Aerosmith - Rocks


「Rocks」
こんな大胆なアルバムタイトルを付けられるなんて相当の自信があるかバカじゃなきゃ無理だよ。そんな言葉がアチコチから聞こえてきそうなタイトル。もちろん今じゃ世紀の王道ロックバンドとして担ぎ上げられているエアロスミスの4枚目のアルバムタイトルだ。エアロスミスってのは同時代の…と言うかいつの時代も、それほど王道アメリカンロックバンドっつう位置付けではないんだよ、ホントは。まぁ、さすがに今となっては王道アメリカンロックバンドになっているけど少なくとも70年代のエアロスミス…これも今から思えばアマチュア時代と言わんばかりのキャリアの短さにだけど、少なくとも70年代のエアロスミスは英国ハードロックのテイストを持ったバンドだった。それが「Rocks」と名付けたんだから、相当の自信だったんんだろう。単純なアメリカのバンドが付けたならそんなに意気込みを感じるほどじゃない。
今となっても多分エアロスミス史上最高傑作として何ら輝きを損なうことのないアルバムとして「Rocks」は光を放っている。自分的にも。もちろん後追いだけど、相当聴いたもん、このヘンのエアロスミスって。この前の作品「闇夜のヘヴィ・ロック」とこの後の「ドロー・ザ・ライン」を含めてエアロスミス全盛期で、どれを聴いても最高にかっこ良いR&Rバンドだった。それでいて一辺倒にならない曲が多数あって、バリエーションに富んでいたってのも良かった。キッス的になっちゃうとやや飽きるが、エアロスミスはその実、一言でハードロックバンドとは片付けられない作風が揃ってる、気がする。
さて、「Rocks」、凄く久しぶりに聴いた。しかも大音量でロックを楽しみたくなったので。冒頭の「Back In The Saddle」のスティーブン・タイラーの雄叫びの凄い事この上ない。どの曲もそうだけど、バックのコーラスも結構ぶち切れていたりして大人しいコーラスワークなんて全然ないし、「Last Child」はそのままラップに出来そうなリフだから結構狙われたんじゃない?もっとも本当の冒頭はもっと美しいバラード的ですらあるんだが。その妙なぐちゃぐちゃ具合のまま始まる「Rats In The Celler」のブチ切れ度合いも堪らん。ステージでスティーブン・タイラーがあの衣装で踊り狂ってる姿が容易に目に浮かぶご機嫌なR&R、それでいて単純でもなく派手に遊べる音。効果音も結構な聴き所で、雰囲気を出すために色々な試みをしてる。この辺はジャック・ダグラスプロデュースによる効果か。そしてあまり知られている曲でもないけど、もっとライブに登場させても面白いと思う「Combination」のグルーブ。ベースが相当ドライブしてるし、正にロックバンドのノリが出まくってる強烈なナンバー。ジョー・ペリーのギターもエグい音で入ってて、ソロではもうこんな音出せないだろうってな話だ。
B面トップを飾るのはエアロスミスお得意の長玉コーラスから始まる「Sick As A Dog」。ドラムの音がちょっとチープだが、それも含めてなんだろう。陰ながら裏から入るサイドギターがかっこ良い。「Nobody's Fault」…Zeppelinの「Nobody's Fault But Mine」というタイトルに先駆けること1年、ところが知名度では圧倒的に負ける…まぁ比べるものじゃないが。ここではやや緊張感を高めたテンションで迫ってくるスティーブン・タイラーの歌の力量。曲そのものは凄いという程のものじゃないが、スティーブン・タイラーの歌のパフォーマンスとテンションの高さによって凄いテンションを保ってる。なるほど、こりゃ凄い。そしてジョー・ペリーの出番とばかりの「LGet The Lead Out」で「Last Child」と同様にやや後ノリ的なリフで引っ張る曲の登場だ。ただ、こちらはB面のこの位置って事でも分かるが、起伏がやや乏しい感じに仕上げている。その分ゴージャスでワイルドでもあるからかなり色合いが異なる。ドラムのフィルインからひたすら勢いに任せて始まる「Lick And A Promise」は凄くエアロスミスらしいナンバーで、お得意の展開でしょ、これ。ライブでは結構登場しているのか?あまり聴かないけど相当かっこ良いテンションとグルーブで全く怖いもの知らずのエアロスミス全盛期。こういうのがこんな位置で出てくるんだからやっぱり「Rocks」ってアルバムは凄いよ。そして最後は定番のバラードソングとも言える「Home Tonight」で異色のオーケストラまで入れて歌い上げるスティーブン・タイラーの歌声とギターソロも音色がかなり変わっててヘンな効果を出している…多分チープさの究極なのだろうが、それもまたエアロスミスらしい…。
「Rocks」
やっぱりそうそう簡単にタイトルには出来ないが、アルバムに収録されたロックナンバーをひたすら聴いて、タイトルを決めた時に出てきた単語が「Rocks」だったんだろう。そう思うのが自然なくらいロックナンバーが散りばめられた傑作アルバム。アメリカ英国問わずの名盤♪
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