Prince - Sign 'O' The TImes

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Prince - Sign O' The TImes (1987)
サイン・オブ・ザ・タイムズ Around the World in a Day

 ちょいと前にプリンスの「Purple Rain Tour」ってライブ映像を見てたんですね。昔夜中にMTVで丸ごと流していたライブで、当時夜中なのに夢中になって最初から最後まで見てて、こんなにギター上手い人なんだ…と、単なる黒人ブラコンアーティストっていうイメージから変わり、ロックギタリストとしても見るようになった。もちろんプリンスがロックギタリストなんていう枠に収まる人ではないってのは今じゃ重々承知なのだが、あのライブを見ていた時には正直言ってクラプトンなんかよりも全然ギター弾くしエモーショナルじゃないか、と。1985年頃のお話。ちなみにそのライブはDVDではリリースされていないので、未だにビデオのみのようだ「Prince - Live」。本人的には終わったものだからあまり気にしてないんだろうね。

 さて、そんなプリンスがその後もちろん天才アーティストとしてどんどんとその才能を世間に披露していく中で、最もバラエティに富んで若さもあり全盛期と呼ばれる時期にリリースした最高傑作として名高い「サイン・オブ・ザ・タイムズ」。1987年にリリースされているが、当時は自分も全然興味なくて…ってかまぁ、思い切りロックばかりを聴いていた時期なので、プリンスは「Around the World in a Day」からもう聴いてなかったもん。たださ、あちこち聴き漁ったりしてると「サイン・オブ・ザ・タイムズ」って後から結構名前の出てくるアルバムだったので、いつしかほぼプリンスのCDとか揃え切ってしまったんだよ。アナログ時代にはシングルジャケに二枚のLPが入った変則的なものだったけどCDでは一枚。そんな背景はともかく音を聴いて理解するのに相当時間かかった。何となく分かったのは多分21世紀入ってからのような気がする。地味に聴いていたんが、なかなかサッと手に取って聴くっていう程にはならなかったもん。今でもそりゃ一番に聴くってワケじゃないが、音の中味の良さは分かってきたつもり。正直言って苦手な部類の音だったし。JBとかスライみたいに強烈なファンクなら分かるんだが、プリンスってのはミネアポリスサウンドって言うが、えらくジャストで軽くて単調なサウンドだからさ、なかなか楽しめないんだよね。もちろん「サイン・オブ・ザ・タイムズ」も聴いていて「わからんなぁ~」ってのも多いんだが、それでもいくつかの点で感動的なところがある。

 まずさ、「サイン・オブ・ザ・タイムズ」ってタイトル曲で幕を開けるんだが、これも含めていくつもの曲でギターが大活躍してる。曲とかでメッセージとかで語られることが多いみたいだけど、自分的にはこのギターサウンドでヤラれた。ソリッドなテレキャスの枯れたトーンで凄くブルージーに弾かれているんだよ。センターピックアップとかで乾いたサウンドをね。それでいてベースやドラムもプリンス自身で演奏しているんだから、恐ろしい。それぞれ特徴のあるプレイだし、それでいて一番人間らしさの出るギターがこの音とフレージングだ。ベースも結構個性的なフレージングなので面白いし。プリンス自身もこの「サイン・オブ・ザ・タイムズ」というアルバムの中で気に入っているであろう「Housequake」って曲では明らかにJB的なノリを意識したもので、グルーブがかっこ良い。それでいてJBほどのファンキーさではなく、あくまでもミネアポリスサウンド。天才的。そして何と言っても強烈なのはマイルス・デイヴィスとのジョイントも実現している「‪It's Gonna Be A Beautiful Night‬」。どういう経緯でそうなったのか知らないけどYouTubeで見るコイツはもう強烈なビートと熱気。そして一気にマイルス・デイヴィスの世界に変貌させてしまうあたりはさすが。それを一瞬にして自分の世界に戻すプリンスも凄い。Wow!

 HM/HR的な曲はないけれど、いわゆるポップス系のサウンドや実験的な試み、効果音やコーラス、単調なリズムへの挑戦やもちろん歌詞によるメッセージ、ひとりで出来る限界点の無さの証明などなど多数の問題提起をしているが、重要なのは聴いていて楽しめるか、ってことでして、はい、十二分に楽しめる気がする。ロック畑からすると分かりにくくて、ちょっと集中して聴かないとBGMになってしまうんだよ、こういうサウンドって。どんな耳に出来てるんだろうな、自分、と思う。





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フレ
Posted byフレ

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