EL&P - Trilogy




はて、マンティコアレーベルの大元でもあるEL&Pでのレーベルリリースは「Brain Salad Surgery」からと言う事になるのだが、その前の作品「Trilogy」をちょいと取り上げてみましょう♪ いや、単に「Brain Salad Surgery」は前に書いたことがあるのでいいかな、って言うだけでしてね、EL&Pも結構自分的には苦手な部類なんだけど割と聴いて書いているので「Trilogy」くらいしか空いてないんだよね、もう。まぁ、「Welcome Back My Friends to the Show That Never Ends - Ladies and Gentlemen: Live」とかあるけどそれはちょっとズレる話になるので。
1972年にリリースされた「Trilogy」というEL&P絶頂期を表す作品とも言われているし、この年に日本公演で後楽園球場でのライブをフリーを前座にして行ったことも知られているだろうし、そのツアーでの甲子園球場では暴動に近い熱狂ぶりが出てきてしまったためにロックコンサートのあり方みたいなモンまで取り沙汰される始末。時代がそういう時だったんだよね。だから最全盛期に来日して本場のロックをそのまま見せつけてくれた貴重なバンドのひとつになる。だから故に日本でのEL&Pの人気ってのは根強い部分もあるでしょう。まぁ、既に40年前の話になっちゃったのでどこまでそれが生きているのかわからないけど、文化と神話ってのはそんなもんだ。
そんな時にリリースされていた「Trilogy」はどっからどう聴いても見事なロックアルバム。この手の音が苦手な自分でもやっぱ凄いバンドなんだなぁ…と言うことに圧倒されてしまうワケですからね、好きな人には堪らないサウンドでしょう、きっと。クラシカルなフレーズからってのはいつもの事だろうけど、そこから展開して白熱していくバンド的協奏曲って言うようなあたりが面白くて、冒頭の組曲からしてゾクゾクする。ピアノの硬い音とアコースティックのソフトな音、そこにカール・パーマーのドタバタしたドラムが疾走感を殺してアタフタ感を出す…、良いか悪いかは別としてもこのリズムこそEL&Pなんだろう。グレッグ・レイクとキース・エマーソンだけなら流暢に流れるリズムもカール・パーマーのドラムで一気にバンド感が出る。まぁ、好ましくはなかったんじゃなかろうかと思うが、どうなんだろ?自分としてはこういうドラムって好きだけど、ちょっとやりにくいかな。
さて、一般的には割とまずまずな評判の「Trilogy」、バンド的にまとまりすぎていてエマーソンの傍若無人ぶりが少ないとか…、確かにちょっと方向性を模索しているような節は感じるけどやっぱり充実した作品集だよね。グレッグ・レイクのベースとかギターだって聴き所満載だし、エマーソンの鍵盤や旋律だって、ましてや音だって今聴いたってハッとするものばかりだし、古臭く感じないもん。ムーグとかって知ってれば古さを感じるのかもしれないけど、目新しい音色なんじゃないかな、一般リスナー的には。そして何と言っても「Hoedown」という真面目にEL&Pらし~い曲が入っているのも「Trilogy」の価値を高めている。この曲のこの音こそEL&Pを代表するようなもんだと自分では聴いていて、それが故にあまり聴かなかった…、こういう曲ばっかなのかな~なんて思ってたので得意じゃなかったっていうだけなんだが…。
40年前の作品に今更だけど、現代でもしっかりと様々な形で「Trilogy」というアルバムが残されていて、聴かれているんだからやっぱり凄いアルバムなんだろう。好みかどうかは別とすれば聴くべきだと思うしね。ただ、ま、好みじゃないのでやはりあまりじっくり聴くという機会が少なかった。