Alcatrazz - Distrubing The Peace


さてさて、今じゃもう大物ギタリストというかベテランミュージシャンとして既に評価も高く、世間的にもかなりの音楽家として知られているSteve Vaiだが、ZappaバンドからHR/HMの世界に出てきた頃はまだまだ若造でギターのテクニックだけでは世界を制することができないということも当然実感しながら様々な試みを行いながら模索していたワケだ。そのひとつの実験の完成形がアルカトラズというバンドとしてはセカンドアルバムとなった「Distrubing The Peace」だろうか。Steve Vaiとしては初めてのアルカトラズ参加作品ながらもかなりの音楽的貢献度…ってかVaiの作品に近い部分あるけど、当然ながらその評判はグラハム・ボネットと二分するワケですね。
1985年にリリースされた「Distrubing The Peace」。まぁ、何と言っても前任がインギーなのでどうしたって音楽性もギタリストの腕も比較されてしまうワケで、それに対応できたかどうか分からないが、大変だったろうなぁ…。何か今となってはどこか同情してしまう感があるのだが、試練試練。グラハム・ボネットだってSteve Vaiを採用したってのはHR/HMの世界だけに留まりたくなかったワケだろうし、だからこそ様々なアプローチを試みた作風が並ぶ「Distrubing The Peace」は当時あまり評価されなかった気がする。ミュージシャンの進化ってのをどう切り取って聴いていくか、はたまたミュージシャンはその変化を如何に上手くリスナーに付いてこさせるか、そんなせめぎ合いがレコードやCDのリリース時に行われる。そんなこと気にしなくて良いんだろうけどね。
さて、この「Distrubing The Peace」という作品、冒頭の「God Blessed Video」のイントロからして衝撃的。デジタルディレイのエコーそのものがリフとして入ってくるっつう革新的なアプローチ。これは斬新な手法ですよ。しかもドラムの入り方がそのリフに合わせたスネアが鳴らされるので更に驚く。ライブだと完全にテンポ合わせないと曲そのものがズレるじゃないか?なんて余計な心配してみたりしたけど、グラハム・ボネットの声よりも何よりもこのリフの構成に驚いた。当時も今も。いや~、久々に聴いたら新鮮でさ。音はさすがにチープだけど曲への取り組みが意欲的。だからHR/HMだけじゃなくて妙~な感じの曲が多くてグラハム・ボネットの歌を聴いていると違和感を感じるのも多い(笑)。グラハム・ボネット自体はそりゃもう60年代からいろいろな歌を歌っている人だから何でも歌えるんだろうけど、リスナーはそういう風に聴いてないから、その辺のギャップが看板持ってしまうと大変なんだろう。
そういえば、ココのところひたすら気に入っているLight Bringerっつうバンドがこの曲をカバーしてこないだシングル出してるんだがどうなんだろ?まだ聴いてないや。それにしても推定平均年齢24~25歳のバンドがこれカバーするって…、親の影響?後追いでこんなトコに辿り着くのか?不思議なコトだが、やっぱり歴史がこの「Distrubing The Peace」というアルバムを評価しているんだろうな、きっと。
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