Frank Zappa - Absolutely Free

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アブソリュートリー・フリー(紙ジャケット仕様)
 奇才フランク・ザッパによる「Absolutely Free」という作品をご存じだろうか?マザーズとのバンド形態による彼のセカンドアルバムとして1968年にリリースされているのだが、歌詞の検閲等で遅れていたため、作品そのものは1967年暮れには出来上がっていたようだ。聴いてみるとわかるようにこのアルバムでは様々なコラージュやらエフェクト音がそこかしこで使用されていて、その音使いはまるで「Sgt.Pepper's,,,」のそれと酷似している部分も数多くあり、どちらが模倣か、と論じられることも多い。その結論を導き出したのはこれもまたフランク・ザッパ本人から、アルバムリリースという形で回答されている。

 アルバム「We're Only In It For The Money / 俺たちは金のためにやってるんだ」という作品がそれだ。元のアルバムジャケットを見れば一目瞭然、見事に「Sgt.Pepper's,,,」をパロディ化している。…って1968年のリリース当初は怒りをおそれたMGMが全然別のジャケットでリリースしており、このパロディジャケは中ジャケとなっているのだが…。そのジャケットもいくつか変更されていて、後ろに立っている人達の目が黒線で消されているものから現在は全てきちんと見えるモノになっている。また、ライコがCDでリリースしたバージョンではドラムとベースが1985年当時のメンバーの音に差し替えられており、知らずに聴いても些か違和感がある作りになっていたりするのだ。現在のCDはオリジナルに差し替えられているので問題ないんだけど…、とまあそんないきさつが色々あるんだけど、この「We're Only In It For The Money / 俺たちは金のためにやってるんだ」という作品、ご丁寧にフランツ・カフカの「流刑地にて」を読んでから聴け、とのことで国内盤にはその「流刑地にて」が付けられている(笑)。

 ま、ビートルズにパクられたのをパロディしながら、実は自分が感じていたコト=日本人強制収容所の違憲性とレーガン氏(後の大統領)の強権性を強く批判することをカフカの「流刑地にて」になぞらえていたワケだ。ちなみにその時代、周りはヒッピー・ムーブメントやらフラワームーブメントやら…そりゃ、ウッドストック前だからね…、そんな時にマジメもマジメ、大まじめにザッパはそれを訴えていたのだ。ちなみにザッパはドラッグも大麻もやらない人で、極めて純粋な音楽家で奇人なだけである。もちろんサウンド的にも最高にザッパ節が聴けるので早い時期から自身の方向性をしっかりと見ていた天才なんだよな。

 そうそう、そのセカンドアルバム「Absolutely Free」なんだけど、これも凄く面白い作品でコラージュやら何やらとファーストアルバムの凄さを軽く凌駕しているんだけどあまり聴かれない作品です。が、既にパクりの嵐に加えてどんなジャンルの音楽とも一線を画す素晴らしきメロディを創り上げていて聴いているとどんどんハマるんだなぁ。やっぱ「Sgt.Pepper's,,,」はこれを真似ているとしか思えん(笑)。ちなみにコレもオリジナルアナログ時代とCDでは細かいところがアチコチといじられているようで、あちこちのザッパのサイトで書かれてます♪

 う~ん、イギリスのサイケデリックサウンドの完成型は実はアメリカのヒッピームーブメントにあるってのは有名だけど、実はヒッピーでも何でもない単なる奇人変人扱いされる天才音楽家の手によって見事な作品が創られていたってコトですかね。だからフランク・ザッパは止められません(笑)。受け付けない人は受け付けないと思いますけど、歌詞カード付きの日本盤を入手してどんなんが来ても聴き通すぞ、っていう意思さえ有れば絶対に面白い人です、はい。
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フレ
Posted byフレ

Comments 4

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nyarome007  

このアルバムと「Sgt.Pepper's」との類似性は、ロックの謎解き話としては、非常に興味深い話題です。ザッパはこのことについて、ある確信を持って、当時のインタビュー記事で、「発売が遅れている間にビートルズにアイデアを盗用された」と発言されていますが。実際のところはどうだったのでしょう?
私も、多分ビートルズは、このアルバムを聴いていたのだろうと思います。曲間を繋いでメドレー形式にする手法、また、「America Drinks」のリプライズと表題曲「Sgt.Pepper's~」の同様の展開といい、核心部分の共通点が目立ち、偶然の一致で片付けるのは逆に不自然な気もするのです。
だからといって「Sgt.Pepper's」の価値は、少しも下がるものでは無いですが。(当たり前の話ですけど。)

2006/04/23 (Sun) 22:23 | EDIT | REPLY |   
sand  

まいどです!
そうかサージェントからだったら「マニー」でしたね!
これはアナログのツヤのあるモコったサウンドで聴きたいですね(モコモコしてるけど妙にツヤがあります)最初のCD化はサイボーグでしたね。例の「ゾボボボ」とか鼻を鳴らす音の、鼻の通りが良くなってた。とんでもない!オリジナルは蓄膿気味で黄色い鼻水が大量に残ってたのに・・・。

余談はさておき、この2枚は良く聴きました。可愛い曲が多いですね。確かにセカンドは名曲が多いし、その後のキャリアのサンプルしたような多様なアプローチです。名盤です。
「ビッグ・レッグ・エマ」はエディ・ジョブソンがいた頃にもやってましたね。違うかヘルシンキだっけ?後で調べます。
ハードなギターが鳴り響く曲があったと思いますが曲名忘れた。探し出して聴いてみます。クリームチーズはビートクラブかなんかのクリップがありましたね。

ZAPPA関連ありがとうございました。

2006/04/24 (Mon) 16:43 | EDIT | REPLY |   
Cottonwoodhill  
こんばんわ

「We're Only In It For The Money」、やはり没となったサージェントのパロディジャケで発表して欲しかったですよね、当時。

2006/04/24 (Mon) 23:52 | EDIT | REPLY |   
フレ  
ざっぱっぱこめんとかんしゃっしゃ!

>nyarome007さん
ビートルズって元々そういうパクりって上手いからねぇ。多分パクりでしょ(笑)。いやぁ、市場取ったもん勝ちですから♪ でもザッパも実は面白いんだよ、ってことで良いんじゃないでしょうか…。

>sandさん
おぉ~、さすがに細かいところまで聴いていらっしゃる(笑)。サイボーグのCDが初耳だったのでその後のオリジナルに驚きましたけど…。ザッパも聴いてるとキリないくらいにハマりますねぇ…。ライブボックスとか凄く面白くて一気に聴いちゃうし、カバーバージョンも見事だし、あれもこれも…キリないわ…。

>cottonwoodhillさん
レコード会社の度胸のなさ、でしょう(笑)。

2006/04/25 (Tue) 23:15 | EDIT | REPLY |   

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