Sandy Denny - Gold Dust: Live At The Royalty Theater




名作ライブアルバムというワケでもないんだけど、追悼の意を込めた記念碑的なライブアルバム…、即ち故人が生前に行った最後のライブと言うことで貴重な価値があると判断されたものもある。サンディ・デニーの「Gold Dust: Live At The Royalty Theater」なんてのは正にその代表的なライブ盤だけどね、もちろん本人が知らないトコロでのリリースなのでそれを良しとするしないの議論はあるにせよ、聴けるという価値にはありがたく甘んじようじゃないかと。…と言うのも、いつしかリリースするつもりもあって正式にレコーディングしていた音なワケで、隠し録りとかPA卓からの流出モノでもないしさ、レーベルが保有していたものをリリースしてくれましたっていうトコだしね。
サンディ・デニーは1978年4月に事故で亡くなっているけど、それ以前のライブって言うのが1977年11月に行われた短いツアーで、ちょうど子供を産んでからのライブだったみたいなんだよね。ってことはその子ももう今では34歳にもなっているワケだ。うわぁ…時代の流れは早いものだ…そして時を止めているのがこういう録音された音源とかなのかな。生まれた子供からしたらその頃のライブ、母親が何をしてたかってのを普通に聞けちゃうんだもん。何と言うか…良い時代ってワケでもないだろうが、不思議な感覚に囚われるだろうなぁ。それで、その最後のツアーの最終日となったロンドンでのライブをレコーディングしていて、90年代になってきてから少しづつ小出しにされていたのはあったみたいだけど、1998年に大元のアイランドレーベルから創立40周年を記念して追悼盤として「Gold Dust: Live At The Royalty Theater」がリリースされた。ほぼ完全な状態でライブが丸ごと出されたようだけど、さすがに補足しないといけない部分もあったようで、驚くことにきっちりと何人かのメンバーでオーバーダビングしているみたい。ま、それもアリでしょ。
「Gold Dust: Live At The Royalty Theater」はサンディ・デニーのライブアルバムってもそんなに聴き込んで曲を全て知ってるってワケでもないから「ほぉ~」という聴き方になってしまうんだけど、やはり全盛期とはちょっと異なる歌声と言うか歌のように感じてしまう。メンバーも慣れたものなのでそんなに差は出ないだろうけど、やっぱりちょっと緊張感とかが違うんだろうな。一発目から流れてくるとドラムの音の重さに「おぁ?」って思ったらやっぱりデイブ・マタックスなんですね♪ご存知フェアポート・コンヴェンションのドラマーとして名を馳せているんですけどね、ジミー・ペイジも組みたいと言ってた人なだけあってボンゾ的なドラミングに近い部分がある。そんでもってベースもギターも重厚なエレクトリックトラッドの音で、とにかくメタルとかハードロックみたいに歪んだ音じゃないけど重くて貫禄のある音色で迫ってきます。ライブが中盤から後半に進むにつれて調子が上がっていくのがわかるな…。これはサンディ・デニーも含めて一体化していくというのか、濃厚な空気感が満ちていくというような感じか。
こういう世界ってロックだけ聴いているとなかなか入りにくいけど、音楽好きな人は多分感動できるんじゃないだろうか?やっぱり世代と時代を超えて語り継がれる英国の歌姫として君臨しているサンディ・デニーだし、最後のライブってだけで聴きやすくなるんでそんな機会からでも良いかと。フォーク畑出身だけど変に哀愁漂うとかじゃなくて、こういう歌声なんだよ。しっとりとじっくりと聴くべき歌の人。名前は知ってるけどなかなか…って人は多分フェアポート・コンヴェンションから聴いた方が良いだろうけど、その後にサンディ・デニーのソロの世界ってのは良いんじゃない?自分もまだまだ全然聴きこなせてないけどさ。ただ、彼女の場合はソロ作だろうとフェアポート・コンヴェンションの曲だろうとフォザリンゲイだろうとディランだろうとトラッドだろうと構うこと無く歌を歌う人なので、そういう意味じゃどこから聴いても良いのか。うん、上手く書けてない…(笑)。
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