浅川マキ - 浅川マキの世界


日本のロックって凄いな。どんだけアメリカとか英国とかかっこいい~って聴いてても日本語という表現による歌詞というのはダイレクトに耳に入ってくるから直結しちゃうもん。そこは音楽的に云々とかってよりも歌詞が頭を占めることが多いのだ。普段まるで歌詞を気にしないのは英語だからということなんだが、そこが日本のロックの凄いトコロ。ロックに限らず、だけど。それでいて音楽性は結構面白くて独自性を持った、今時の言葉で言うならガラパゴス的進化を遂げた世界なので、これもまた唯我独尊の世界なのでした。
1970年にアルバム「浅川マキの世界」でデビューした浅川マキさんの訃報を聴いたのは今年の始めだったか、そんなに想い入れがあったワケじゃないけど、ちょっとショックだった。寺山修司さん関連の人で異質な世界観を持ったそれこそ独自の世界を繰り広げていた人だし、長い音楽人生に於いても媚びることなく自分のまま歌い続けて活動していた奇特な人でもある。その時ふとアルバム聴きたいな、って思ったんだけどなにせCDなんてリリースしていないに等しい人でして、この時代にそれでも愛され続けていた歌手ということ自体驚きではあるんだよ。だから単体でのCDがなくて、ボックスの初期10枚組みたいなのなら出ていたことあるらしいんだけどそれだって手に入らないからちと大変だった。ネットで探し回ったもん。そしたら今は復刻で出ているみたいなので無くならないうちに押さえておくべし、と。
まぁ、そんだけ探して聴く価値はあったかと言われれば、それはもう人それぞれだろうな、と。時代的に1970年なワケで、そりゃまだまだ日本が成鳥していこうとしている頃の歌なんだから色々あるさ。しかも寺山修司さん発掘の歌手なんだから芸術志向の強いアーティストってことはわかるでしょ。カルメン・マキの最初期と似たような世界ではあるけど、多分浅川マキさんの方が暗さじゃなくてストレートに歌を出している感じ。ある種演歌に近い感覚でもあるんだろうけど、こういう歌詞の世界って音よりも全然自然に頭に入っちゃうから困る。良い曲ばかりです、ホントに。ロックとか何とかっていう次元は超越していて本物のロック。音じゃなくて世界が。だから聴いたら凄く気になっちゃってさ、結局何枚も聴いて深みに入っていくパターン。カッコ良いんだよ。こういうのが日本のロックとしてもっと主張していってもいいんじゃないかと。
毎日聴く人じゃないけど、ふとした時に聴くには凄くハマり込める作品で、惜しい人を亡くしたものだ。それでもこの「浅川マキの世界」というアルバムを含めて初期の作品は永遠に語り継がれるであろう宝石のように光り輝いているアルバム。ゆっくりと時間を取ってレコードと向きあって聴いてほしい一枚ですね。
そして、遺作ともなったDVD「浅川マキがいた頃 東京アンダーグラウンドーbootlegg-」がリリースされていることを先程知った。これはまた…。
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