カルメン・マキ&OZ - Live

15 Comments

 カルメン・マキと言われると寺山修司作詞による「時には母のない子のように」がお茶の間でヒットしたらしく、昔教科書にも掲載されていたことのあるくらいの曲だが、この時期の作品集は大変に暗い。時代のせいもあるが寺山修司監修というのももちろん手伝っているし、更にマキの生い立ちを切々と語る初期の弾き語りつぶやき集とも言うべき作品は珠玉の如く輝く、壊れそうな硝子のように弱々しい光に包まれている名盤。

 しかしその後マキは大きく変化する。ブルースクリエイションを経由してから一気に花開いたのが今日とってもハマって聴いていたカルメン・マキ&OZである。ライブ盤を除くとわずか3枚しかリリースしていない70年代日本のハードロックを代表する強烈なバンドでそのエネルギーは王道ロックバンドのそれと比較しても何ら差がないレベルまで昇華させているとは言い過ぎではないだろう。ロックの重さ、激しさ、魂の叫び、混沌、そしてパワーと全てを掛け持っているバンドが我が日本に存在していたのは海外の連中は可哀相だ。これを知らずしてロックを語るなかれとでも言いたくなるくらいの凄いバンドなんだぞ~って自慢したくなるもん。

 で、一番インパクトがあるのがもちろん「私は風」を収録しているファーストアルバム。「六月の詩」から最後の「私は風」まで一気に聴かせてくれる一大大作で、群を抜いた素晴らしさを放っている。マキの魂、春日さんのギターからバンドのパワー、楽曲の良さ、アレンジの凄さなどとにかく涙が出るくらいに素晴らしいとしか言えないね。続くセカンドアルバム「閉ざされた町」も基本的にファーストと同様の作り方でやっぱり圧巻なのは最初のイントロダクションに続く「崩壊の前日」に尽きる。ちなみにファーストもセカンドも間に収録されている小曲も美しくて味があるので決してアルバム構成上ないわけにはいかない要素を持つものばかり。クリムゾンのファーストみたいにアルバム自体が一曲みたいな感じなのだ。三枚目の「III」はちょっと小綺麗になってしまった感じで、洗練されちゃったかな、と。でもやってる音楽は相変わらずなのだが、、、ちょっと軽めなので過去二作と比較してはいけない。アーティストはアルバムを重ねる毎に育つのだから同じコトは繰り返さないものなのだ。

 んで、とどめを刺すのが屈指のライブアルバム「ライブ」。いわゆる解散ライブを収録した作品なんだけど、どこが?ってくらいに強烈でこれぞロック、と言わんばかりのパワーを聴かせてくれる。軽いと思っていた「III」に収められた「とりあえずロックンロール」=「あどりぶ」ってクレジットされてるけど、これがまた超カッコイイ曲に変貌しているからライブは凄い。シゲのソロなんてのもこの時代こんなコトできる人いたんだろうけど、大々的にアルバムに入れちゃう人はそんなにいないでしょ。The Whoのジョン・エントウィッスルくらいじゃない?あ、フリーのアンディ・フレイザーとかジャック・ブルースとか、、、ま、でも日本人ではあまりないだろうなぁ。で、とにかくもう最高のライブ。涙が出てくるのが最後の最後、、、名曲「私は風」の二番のところで突然歌声が途切れてしまうシーン。グッと涙をこらえながら色々な想いを抱きかかえ、マイクを手に持ったまま固まってしまったのではないかと思えるようなステージのシーンが目に浮かぶんだ。観客も沈黙なんだけど淡々とバンドは演奏していて、客の一人が「マキーッ」と叫ぶ、、、そしてマキが小声で呟く…「シビアだ…」。そしてまた歌い始めるのだがこの後のサビ部分なんて涙なしでは聴けないぜよ、ほんと。ジャニスを超えてるもん。いや、ホントに。鬼気迫るライブってこのことを言うんだろうなと思うくらいに素晴らしすぎる作品で、今でも普通に手に入るってのが嬉しいよね。じっくり聴いてると感動の嵐です。いや~、いいロックに出会えてよかったな~。洋モノばかり追いかけているとこういうの見過ごしちゃうんだけど、やっぱり我らが日本も昔はいい音出してます。マキさん、今でもライブやってるので小さなハコで見れるし、見に行きたいな。
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フレ
Posted byフレ

Comments 15

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恵(maeashi)  
初めまして♪

マキOZに反応してしまったので足跡残させていただきます(^。^)
日本ロック映像年鑑で「閉ざされた街」のライブを見たことがあります。
独特な雰囲気ですごくカッコよかったです。

2005/11/04 (Fri) 23:04 | EDIT | REPLY |   
ウグイス  
どうも☆です

ふむ(^^マキ&OZとその雰囲気の時代をも、現在に伝えるのはトテモ、ムツカシイ。でも、このよ~なブログは、親切ですね~。
ヨッシャー!度☆☆☆ということで。

2005/11/06 (Sun) 20:13 | EDIT | REPLY |   
仁井田  

TBありがとうございます。
カルメンマキ&OZは本当に凄いバンドですよね。
カルメンマキの歌も凄いですが、演奏隊も凄い。
ここまでのロックのプロフェッショナル、今の日本じゃなかなかいません。

いつか高校に持っていって友達にも聴かせようと企んでいるんですが、如何せん中古屋で買ったレコードだからそうも行かない。
早いうちにCDで買い直したいなあ、と思ったら、三枚合わせて4500円とな! 安い!!
こんな凄いバンドが一枚1500円で手に入るんですねえ。もう、幸せ。

2005/11/07 (Mon) 22:48 | EDIT | REPLY |   
gomez_the_cat  

昔ちょくちょくシゲの真似して弾いてましたね。

「私は風」をカラオケでやると知らない人はきょとんするのでおもしろいです。長すぎて不評なので自分自身禁じ手にしてますが(笑

2005/11/21 (Mon) 12:38 | EDIT | REPLY |   
seira.D  

コメント&TBありがとうございました。
「マキオズ」は最高です♪

2006/04/07 (Fri) 06:32 | EDIT | REPLY |   
崩壊の二日後  
このサイトにたどりつきました

他の人のロックサイトから、ここにたどりついてしまい、Ozの評論を見つけてしまいました。学生でバンドをやっていたとき「崩壊の前日」をレパートリーとしていました。「フレ」さんもクリムゾンとの類似に言及していらっしゃいますが、「崩壊の前日」のイントロは「宮殿」そのままですよね。ああ、あのイントロが頭の中をくるくるしてしまっています。
ある日ライブ終了後の澁谷の「屋根裏」にいたら、客席から突然春日博文さんが飛び出してきて、ギターをがんがん弾きまくった光景に出くわしたのも、いい思い出です。

2006/04/12 (Wed) 18:47 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>崩壊の二日後

ありがとうございます。
彼等はリアルに70年代ロックを体験してきて当時の日本人としてはできることを精一杯発散した部分もあり、実にロックを感じるバンドです。春日さんのギターはもっともっと評価されて然るべきだな、と感じています。また、お気づきのこと有ればコメント下さい。

2006/04/13 (Thu) 01:07 | EDIT | REPLY |   
雷神  
崩壊の32年後

32年前、俺は高校生だった。毎日の生活に音楽は欠かせなかった。日本語なのに詩は抽象的で独特の音楽観を持っていたOZが大好きだった。NHKでライブ放送された時は学校を早退した。今、俺は48歳。31年前のOZを当時のカセットテ-プ!で数十年ぶりに聞いてみた。時代の流れと歳をとった自分を痛感する。でも、リッチ-ブラックモアばりの春日博文のあのギタ-はやっぱり好きだ。自分の一番古い持ち物はOZの5本のカセットテ-プだな。

2008/05/25 (Sun) 20:44 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>雷神さん

リアルで体験できたこと自体がうらやましいです。今でもまだ見たことのないマキさん、今見てもきっと感動すると思いますし、そのカセットテープに詰め込まれた当時の空気とサウンドは一生ものっす!

2008/05/31 (Sat) 10:42 | EDIT | REPLY |   
雷神  
32年後の構築

ありがとうございます。あの頃の仲間達とは音信不通でOZを語り合うすべはありませんでした。32年前に最後のライブアルバムを買った時にもらったポスタ-をベットの横に貼っていました。そのポスタ-が同系のサイトで5万円近くでオ-クションされいました。青春は終わった時に気がつきます。そして、歳を取ると音楽が不要になっていきました。洋楽、邦楽あらゆる音を聞いていたあの頃。マキのオ-ラ、OZのサウンドは俺の永遠の青春かもしれません。

2008/06/01 (Sun) 07:52 | EDIT | REPLY |   
Canary  

はじめまして!

カルメンマキ&OZを検索してここにたどりつきました。

皆さんカルメンマキ&OZの大ファンの方ばかりで嬉しいです!!

実は、私はTHE CARDINAL ROCSというバンドをやってます。

今度10月1日に原宿クロコダイルでライブをやるのですが、カルメンマキ&OZのベース川上シゲさんとドラムのチャッピー武田さんがゲストで来て下さるのです!!

あのサウンドが好きな方是非聴きにきて下さい!

私のブログのアドレスを載せておきます♪
詳細のってるので、是非!

思わず嬉しくてコメントしてしまいました!
おじゃましました♪

2009/07/20 (Mon) 18:54 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>Canaryさん

いやぁ~、マキOZのあの楽曲を再現するってのはこれまたしんどいでしょうけど、バンドメンバー参加なら強烈なインパクトなのでしょう。マキさんは今はJazzシンガーなのでもうあのようなシャウトは聴けないでしょうから、Yukkoさんのシャウトに期待です♪

2009/07/20 (Mon) 20:55 | EDIT | REPLY |   
OZONE  

6月10日横浜のライブハウス、サムズアップに カルメンマキ&OZのメンバー、春日博文さん、川上シゲさん、Chappyさん、が十数年ぶりに、同じステージに立ちました!
春日さんのバンドのライブが終わったあと、春日さんが「昔の仲間が来てます!!シゲ、Chappy、ステージへ!」と呼びかけると、シゲさん、Chappyさんがステージ上がり、ここでハプニングなのが、元NOIZE、VOWVOWのキーボードの厚見玲衣さんがいきなりステージに上りOZの名曲「六月の詩」のイントロを弾き始めました。そして、カルメンマキ&OZの再演が始まりました。「六月の詩」はインスルメンタルで演奏。客席のマキ&OZを知っている人たちは大興奮。 「六月の詩」が終わると、Cahppyさんが叫びました。「ユウコ!ステージへ!」THE CARDINAL ROCKSのボーカルCanaryユウコがステージに呼ばれ曲は「崩壊の前日」「空へ」「午前一時のスケッチ」と次々に唄う。マキ&OZのメンバーが十数年ぶりに集結!目の前でそごいライブが始まってる。 会場は興奮状態でミュージシャンのお客さんも多く、スタンディングオベーション状態。OZのメンバーはみんな進化しています。NEW OZを見てしまいました。

2010/06/13 (Sun) 01:36 | EDIT | REPLY |   
OZONE  

6月10日横浜のライブハウス、サムズアップに カルメンマキ&OZのメンバー、春日博文さん、川上シゲさん、Chappyさん、が十数年ぶりに、同じステージに立ちました!
春日さんのバンドのライブが終わったあと、春日さんが「昔の仲間が来てます!!シゲ、Chappy、ステージへ!」と呼びかけると、シゲさん、Chappyさんがステージ上がり、ここでハプニングなのが、VOW WOWのキーボードの厚見玲衣さんがいきなりステージに上りOZの名曲「六月の詩」のイントロを弾き始めました。そして、カルメンマキ&OZの再演が始まりました。「六月の詩」はインスルメンタルで演奏。客席のマキ&OZを知っている人たちは大興奮。 「六月の詩」が終わると、Cahppyさんが叫びました。「ユウコ!ステージへ!」THE CARDINAL ROCKSのボーカルCanaryユウコがステージに呼ばれ曲は「崩壊の前日」「空へ」「午前一時のスケッチ」と次々に唄う。マキ&OZのメンバーが十数年ぶりに集結!目の前でそごいライブが始まってる。 会場は興奮状態でミュージシャンのお客さんも多く、スタンディングオベーション状態。OZのメンバーはみんな進化しています。NEW OZを見てしまいました。

2010/06/13 (Sun) 01:37 | EDIT | REPLY |   
フレ  
え!?

>OZONEさん
ホントに!?いや、あるとしたらマキさん側のライブかと思っていてここ数年間しょっちゅうマキさんのHPチェックしてたんですが、まさか春日さんの方でやるとは思わなかった。ユウコさんってどんな声なのかしらないんですけどそりゃもう凄いんでしょうね。多分歌声が張りがあればバンドはもう往年の演奏できちゃうでしょうし。うわ~、いいなぁ~、それ、見たかった!!

2010/06/13 (Sun) 10:28 | EDIT | REPLY |   

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  •  昨夜のJanis繋がりで、聴いたのがカルメン・マキ&OZのLast Liveとなってしまったカルメン・マキ&OZ Live! Janisが誰も真似出来ない、Bluesの女王だってことは、誰もが認めると思うんだけ
  • 2006.02.20 (Mon) 22:50 | その日暮らしの音楽日記
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