Light Bringer - Midnight Circus

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Light Bringer - Midnight Circus (2010)
Midnight Circus(ミッドナイト・サーカス) Tales of Almanac(テイルズ・オブ・アルマナック)

 某ブログの主はある日突然にLight Bringerという日本のバンドにハマりまくり、ひたすらにあちこちで呟いていたり挙句恋に落ちたと告白する始末…、Light Bringerのボーカルが20歳そこそこのお姫様でして、倍位の年のお父さんが恋した、と言っている様からして冷たい視線ではあったものの、お父さんをそこまで想わせてしまうバンドってどんなん?ってのがあって(笑)。いや、ブログ上でも非常にポリシーとスタンスを持った意見を書いていたりして、それは音楽でも経済でもしっかりとしていたんで…、そんな人間が血迷うとは何事!?っていう興味が最初かも(笑)。

 最初にね、ファーストフルアルバム「Tales of Almanac」を聴いたワケですよ。何となくバンドとかアルバムってのは最初から聴く方が良いってのがあったからかもしれない。「Tales of Almanac」自体はなるほど、こういう音を出すバンドなのか…、ポップでキャッチーなメタルでアニメ好きな女の子の歌なんだろうな。ただ、バックの音がとんでもなく凝ってて、テクニックも凄くて…っていうのはあった。最近のメタルってひたすらにアレンジされていて音の移動が早いんだよ。白玉伸ばしてっていうのがあんまりなくてひたすらコードが変わっていくとか鍵盤が上積みして曲の骨子を決めていくとかばっかりで目まぐるしいんだよね。ま、それでも軽快に聴かせていける明るさってのは見事だな、とは思った。しかし、大の大人を狂わせる程か?と疑問符。ん?と聞くとセカンドアルバム「Midnight Circus」限定の恋だとか…。なるほど…。

 ってな前置きで聴いたLight Bringer=通称らぶり~、っていうバンドのセカンドアルバム「Midnight Circus」なんだが、そもそもこのバンドってアニオタでもある…、言い方を変えよう。日本が誇るアニメという芸術を描く事も得意でちょっと前から出てきているアニメとクサメロの融合を普通に受け止めて聴いていた世代の若者達のバンド、即ちアニメが既に世界文化として成り立っていた時代に、そしてクサメロも普通にアニメに使われていた頃の世代。更に、アイドルを歌謡曲で見て育つのとは違ってアニメの主題歌が異様にかっこよくて歌や音楽はそこから入ってくる世代…。要するに、従来の歌手という歌の歌い方がベースじゃなくて、アニメソングの歌が基本なのだろうと思う。知ってる人は知ってるけど、日本のアニメソングって昔から異常に歌が上手い人しか歌ってないし、それも独特の歌唱方法で歌われているので非常にアニメチックな歌、っていうのが存在していた。それでそのままメタルを歌っていると言うようなものだ。なのでそこら辺の歌手とは全然異質な歌唱力と歌唱方法。それがハマったのがLight Bringerかも。別に他にもいくらでもいるだろうけど、まぁ、そういう事だろう。

 それくらい新しい文化と世代の背景を知っておかないと音だけを聴いた時には全く混乱する。もちろん自分も普通に聴いたから何でこんな歌でこんな声なんだ?え?それでこのアレンジ?ん~??って状態だったから。

 「Midnight Circus」は多分相当の名盤。何十回聴いても飽きないくらい深さがあって、ボーカルのFuki嬢の突き抜けた歌唱力と歌い方は日本人らしいけど日本人の歌い方を逸脱した、多分アニメとバンドの力量からして世界に出ていけるバンドだろうと思う。ビジュアル系の側面もあるし、こういうバンドが日本の親善バンドになるのだろう。まぁ、フィンランドのLordiの例もあるから良いのだが、大いなる誤解を世界に与える事にはなるか。

 最初から最後まで44分程度の「Midnight Circus」。無茶苦茶聴きやすいサイズが故に何回もリピートしてしまうアルバム。分かりやすく書けば音は最近の複雑なヘビメタだけど歌はホントに歌唱力のある歌がメロディアスに歌詞の世界も非常に興味深いテーマを扱った深い世界で、ポップでキャッチー。バックのメンバーの力量は半端じゃない。こういう曲って普通には出来ないだろうからいくつものパターンを作っていって組み立てたんだろうなぁとは思うけどよく出来てる。出来すぎてる。変拍子も普通に取り入れてるし。

 「Midnight Circus」、凄いわ。こんだけ何回も聴くアルバムも久々。ルックスやバンドのスタンスを気にしないで音だけ聴いたら日本のバンドも捨てたもんじゃないって思うでしょ。何が良いのか今でもよく分からんが、とにかく良く聴いてるし飽きないし、凄く良い、っていう不思議な世界。






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フレ
Posted byフレ

Comments 4

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ドイツ特派員  
一体誰なんですか、そのバカは?

フレさん、

ほんとにアホですねえ、その某ブログ主。どうもそれらしいのが居たのでURL貼りましたが、どうも見識もなさそうなアホですよ。しかもTwitterのTL無駄遣いして自分の老いらくの恋を訴えられてもねえwww

ま、それはよいとして、見事な分析で御座います。一つ立ち位置として付け加えるならば、このバンドは「嬢メタル」という分類にはならないんだろう、ということ。ちょっとこの辺適切な説明ができないんですが、女性Voを前提とした成り立ちではなく、再現したい音楽をやるVoが女性だった、しかも「女性としての声」を売りにするつもりもなく、そのくせ「この女性Voでなければダメ」な音楽になっていてしかもそれがはまった、ということではないかと思います。何か訳分かりませんが、要は全てに必然性が音楽を作っている、ということですねえ。偏見なく聴いて欲しいなあ、と思います。Fuki様はもう麗しいわけで。

あれ、某ブログ主みたいになってるぞww

2010/09/11 (Sat) 21:19 | EDIT | REPLY |   
kei  

最近のアニメ・ゲーム系は「こっち側」に寄った曲が結構多いですよねー。
ぱっと思いつくのは妖精帝國や電気式華憐音楽集団、ちょっとカテゴリーが変わりますがSound Horizonとかでしょうか。
最近では「はなまる幼稚園」というアニメのキャラソンが話題になりましたね(僕も度肝抜かれました)。
事によっては「東方project」周辺も仲間に入るかも知れませんが。
電気(略)はアルバムが出ていないので一時期ネット上をかけずり回って音源を集めたりしましたっけ。

こういう人たちに共通しているのは、世界観の演出がはっきりしているのと、メタル、プログレ、トラッドだの言う以前に歌ものとして完成しているために、マニアックな意匠を施してあっても聴きやすいんですよね。
それと、わかりやすい個性を持っているおかげで聴くと一発でわかるのも共通事項でしょうか。
まぁ妖精帝國と電(略)だけは区別困難ですが(笑)。

とりあえずアニメとかゲームとかいうイメージは脇に置いて追いかけていくと結構ハマれる世界だとは思います。

2010/09/12 (Sun) 21:03 | EDIT | REPLY |   
フレ  
相変わらずハマりまくってます♪

>某ブログ主さん 否 ドイツ特派員さん
いや、面白いつぶやきがたくさん読めましたのでそれはそれでアホさ加減も楽しめたと…。で、確かに「嬢メタル」ではないですね。下でkeiさんが上手く書いてくれてますけど、「歌ありき」で世界観ありき、その必然でFuki嬢、ってトコですか。まぁ、そんなこと考えなくてもとにかく「うわぁ~、凄いイイっ!」ってのが良いんです。麗しさ云々はともかく、いいねぇ~、ホント。聴きまくってますわ、このアルバム♪

>keiさん
ほぉ…、keiさん深いっすねぇ…。他もそんな世界になってきているんですか?いや~、驚きの世界です、ほんと。確かにアニメとかゲームとか脇に置いといて音を聞くと驚く世界ですわ、これ。Rhapsody of Fireとか聴いた時そう思ったけど…、だから世界に出てほしいんだよねLight Bringerにはね。本家本元日本代表としてさ。

2010/09/12 (Sun) 21:30 | EDIT | REPLY |   
kei  

少し言葉足らずになってしまったのでもう少し補足すると、この辺の音楽は大きく分けて三つの潮流が存在すると思います。

このLight Bringerや次記事のDragon Guardianなんかは、Sound Horizonに代表される「アニメ・ゲーム的な感覚を持ち込んだメタル(ないしプログレ)グループ」の流れですね。
SHがオリコンで一位になりかけたり、DGのデビュー作がディスクユニオンで2008年もっとも売れたメタルのアルバムになったりと人気は高いみたいです。
逆にメタル、プログレ的な音楽感覚をアニメソングそのものに持ち込んだのが妖精帝國、電気式華憐音楽集団、他にAli Projectやkukui等のグループです。
取り入れるものの幅が広い分、こちらの方が音楽としては色々な種類がありますね。

それで、もう一つが普通にプログレだのの影響を受けたクリエイターが声優や歌手に曲を提供する形で作られたもので、これは単発になることが多く、その歌手の継続的な音楽性を示すものではないので上の二つとは違う概念ですね。
アニメやゲームの音楽担当スタッフはプログレ(特にエマーソン)やメタルの影響を思い切り受けていることが少なくないので、そういう人が主題歌も担当したときなんかに現れます。
成り立ち上、他と比べてベタなオマージュが持ち込まれることも多いです。先のコメントでは「はなまる幼稚園」が該当しますね。

ちなみに僕が主に聴いているのは二つ目の一団で、これらは主題歌などを担当したアニメやゲームとともに海外に持ち出されたりするので国際的に認知されていることも少なくないです。
特にAli Projectはアニメ外の活動もあってグループ自体のファンが世界的に多いみたいですね。

2010/09/15 (Wed) 17:47 | EDIT | REPLY |   

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