



1971年4月1日、英国のBBCでは実に歴史的な価値のあるライブを放送し、それは現代に於いてもしっかりと語り継がれる音源として35年間重宝されてきた。もちろん日本のFMでも放送されたことでその音源はかなりのハイクォリティで市場に出回り、またカセットテープに録音して楽しんでいた人も多いだろう。この35年間多少編集されることはあったが何度かFMで再放送されていて、自分自身もその再放送版を録音して何度となく聴いていたのだが、1997年になり唐突にCDでリリースされることになり実に驚いたものだ。そう、云わずと知れたレッド・ツェッペリンの
「BBC Sessions」
である。
この二枚組CDはディスク1が1969年初期のBBC音源でまとめられていて、ディスク2には先の35年前の1時間以上にも渡るライブを収録していて、さすがにラジオで聞き慣れていた音源からは些か編集されているものなんだけど、いや、音圧とかはさすがにジミー・ペイジのマスタリングだけあって迫力を増している。CDがリリースされたから聴いたっていう人もいると思うんだけどやっぱ昔から聴いていたライブなのでその音の差は結構大きいんだけど、もちろん超全盛期のZepのライブともなればそのパワーがどこまで発揮されているのかっていう聴き方にもなっちゃうよね。この半年後には伝説の初来日公演も行われていて、その日本公演は正にZep史に於ける名演とも言われるくらいのテンションだったワケで、そんな時期のライブが悪いはずがない。アルバム的には三枚目をリリースした後で、どちらかと言うと4枚目を発表する直前の頃になるが、冒頭のアナウンスから唐突に始まる「移民の歌」は後の1972年のライブを収めた
「How The West Was Won」
で聴ける完成型とはまだまだ異なるスタジオ版に近い形で演奏されているが、プラントの雄叫びがあちこちで聴かれるさすがの一曲。そしてすぐに始められる「Heartbreaker」のあのイントロ。大体バンドで「移民の歌」をやった後は「Heartbreaker」が直ぐ続くってのが定番になっちゃうくらいにこの曲順はピッタリの選曲で、途中バッハの「ブーレー」を交えたギターソロは特筆モノ、しかもギターが良い音してるんだよなぁ。「貴方を愛し続けて」にしてもかなりおとなしいバージョンで演奏されていて、これほどプラントとペイジの感情によって曲が変化するモノもないだろう、ここでは弾きすぎないペイジとエモーショナルたっぷりのプラントのハマり具合が面白い。で、次の「Black Dog」では最初のイントロが「Out On The Tiles」バージョンで、「狂熱のライブ」を聴き慣れていると違和感があるのかもしれないが、アルバム発表前のプレイのため2番の歌詞がまだスタジオ盤とは異なっているのがわかる。それに後半部のあのギターリフの4度ハモり音がまだ弾かれていないのも違和感があるかな。もちろんラジオ放送用と言うのもあるのかギターソロがそれほどヘヴィに弾かれていないという気もするんだけどね。しかし曲がリリースされる前から既にエンディングパートとかライブ用に出来上がっているくせにスタジオ盤ではフェイドアウトにしたってのはセンスだろうなぁ。
あ~、長い(笑)。書くとマジメに書いちゃっていかん…。まだ4曲目だよ(笑)。さて、お決まりの「幻惑されて」は18分半にまとめられているんだけど、1969年「スーパーショウ」での演奏
(DVDで見れるヤツ)
が最高にかっこよい「幻惑されて」だと思うんだけど、そこから更に拡張されつつあるバージョンが聴ける。やっぱリズム隊も凄いよなぁ。こんなに長い曲なんだけどハマれるってのが演奏力の凄さかな。そして新曲、永遠の名曲がレコードでリリースされるよりも先に本ライブで世界の放送されるってのもZepらしい。まだ完全にライブバージョンとしてのアレンジがなされているわけでもないのでまあ良いんだろうけどね。「天国への階段」。後のライブ盤を聴くと完成されたバージョンなんだけど、ここではまだまだ未完成なライブバージョンで面白い。もっと美しくキメられるべきところがどことなくスタジオ盤に忠実に演奏されていてさ、別に楽曲の良さには影響を及ぼさないんだけどまだ1本のギターでどうやるか、ってのが決まっていない状態で面白いね。もちろん最高の曲です。「カリフォルニア」「That's The Way」というアコースティックな楽曲をこの短い時間のノリノリのライブ放送の中に持ち込むのもZepらしいし、多様性に富んだZepの音楽性をきちんと誇示している。ライブとして聴いた場合の曲構成も先の名曲の次ってのが上手いよなぁ。良い曲だよなぁ。実に英国的。で、「胸いっぱいの愛を」となるんだけど、まだまだ未完成に近いというか1971年のバージョンではこんな感じっていうメドレー付きで、CDでは些か編集されているのが残念だけど、まあ大した影響はないでしょう。このギターソロはいつ聴いても鳥肌が立つよ、ほんと。で、最後の最後、「Thank You」。名曲。ペイジのギターが凄くエモーショナルでコードストローク一個取っても情熱があるもん。美しいジョンジーのオルガンも名曲を光り輝かせているところで幕を引く。
ここ最近ライブ盤をリリースしているジミー・ペイジだけどやはり1970年代初期のプラントがまだ勢いに任せて歌っていた時期のライブの方が多いってのはバンドとしてのパワーを最大限に発揮できているっていう事実から何だろうなぁと思う。聴いていてもやっぱ気持ち良いし圧倒されるモノがあるもん。ディスク1のBBC音源もいずれ書きたいんだけど、凄いパワーでさ、やっぱり英国ハードロックの頂点はZepになるんだよなぁ。
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