Mandy Morton & Spriguns - Magic Lady

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 春から夏にかけての季節の中で聴く音楽ってのは人それぞれ色々と感じ方が違うので好みは出るんだろうけど、自分的には結構英国トラッド系を聴くにはちょうど良い季節なんじゃないか、なんて勝手に思ってる部分があってですね…、そもそも英国トラッドって暗い歌詞…、悲惨な家族の結末とか殺人とか恨みとかそういうのを歌っているのなんだけど、オリジナリティを出してきたロック系のトラッドについてはそうでもないので、ご安心を(笑)。いや、そんなのよりもね、音の暗さはともかくどことなく田園風景を思い起こさせるところからこの季節に…っていう思いなのかもね。まぁ、単純にギラギラと熱いハードなものじゃなくてもスカとかレゲエみたいに涼しいのでなくても、というようなところか。

Magic Lady Time Will Pass


 サンディ・デニーを敬愛していたシンガーは今に至るまで数多くいるんだが、中でも一際目立っていたのがSprigunsというバンドで知られているマンディ・モートン嬢でしょう。Sprigunsそのものも結構なカルトバンドという位置づけになっているのであまり知られてはいないんだろうけど、別に変な音を出していたワケでもないし、聴いてみるとやっぱり楽しめるものです。が、確かに受けないだろうし売れないだろうなぁというのはわかる音なので一生に何百回も聴くかという音ではないかもしれないな。

そんなSprigunsが1978年にリリースした最後の作品…と言うのか名義はMandy Morton & Sprigunsになっている名盤「Magic Lady」。Sandy Dennyが転落死したのを知って悲しんだマンディ・モートン嬢は製作中だったこのアルバムを急遽サンディ・デニーに捧げる作品としてリリース。その思いが現在に至るまでしっかりと伝え切れているところが見事。人の想いってのはこうして伝わっていくのかもしれんな。…と、そんな作品「Magic Lady」なんだけど、こうして紹介しているジャケット写真やSprigunsなんていうバンド名だけで見ているとちょっと不気味感あるよね?うん、自分もそうだけどジャケットが黒魔術の六芒星なワケだからそりゃちょっと引くもん。なんか意味あるのかもしれないけど、そんなに深みはないような気がする。少なくともメッセージとして打ち出しているようなものではないと思うんだけど、どうなんだろ?Sandy Dennyに捧ぐと言う意味でなのか?う~ん、未熟な自分(笑)。

 さて、音の方はどうかと言うと…、よく言われるのがSpriguns of Tolgusというグループ名で出てきた時は純粋に英国トラッドをベースとしたバンドだったけど、Sprigunsになってからは割とプログレッシブな傾向が出てきていた、というもので、本作「Magic Lady」についてはSprigunsの二作を経た後のアルバムなのでどうなっているのか気になるところだったようだが、実際は過去の中で一番ポップなんじゃない?どの曲もコンパクトに纏められていてそれほど民族色も強くないし、暗くもないし、しっとりと湿ったギターの音があったりフィドルがあったりするけど、あとダルシマー…なのかな?よくわからんけど雰囲気はもちろん世界観を醸し出しているね。ハッとするコーラスワークや驚きもあるけど、基本的に歌いやすいポップ指向を持った作品。だからジャケットとこれまでの活動歴とが一気に成熟したような名盤。違和感はない作品だろうし、躍動感すら溢れている見事なアルバム。

 もちろんアナログ時代には見つからなかったし、英国でもレアなアイテムでものすごい値段が付いていたこともある作品で、CD時代になってからもなかなかリリースされなくて、結構聴けなかったアルバムです。今ではどうなんだろ?それでも中古でしか見つからないのかもしれないな。オリジナルのレコードが云々って逸話もいろいろあったんだけど、たまたまネットで調べてたらe-Bayで見つけた時に今はオリジナルの青色盤でも5千円程度みたい。そうか…安くなったなぁ…。



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フレ
Posted byフレ

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