The Velvet Underground - The Velvet Underground

4 Comments
 ドアーズの音楽性は攻撃的でもあり且つアーティスティックな詩世界でもあり、本来は決してメジャーになるようなものでもなかったのだろうけど、新鮮さと刺激とカリスマ性が彼らをヒーローにした。一方のニューヨークではさらに前衛的でアーティスティックな活動をしていたベルベット・アンダーグラウンド。最初の二作はジョン・ケイルが参加していたことで非常に前衛的且つまさにアングラな世界を突き進んでいたのだが、三枚目のバンド名を記したアルバムでは既にジョン・ケイルは脱退、バンドはどこに向かうのかと思われたのだが詩人ルー・リードが才能を発揮してロックの名盤ともなる作品をリリース。

The Velvet Underground VU
The Velvet Underground - ヴェルヴェット・アンダーグラウンド The Velvet Underground The Velvet Underground & Nico - The Velvet Underground & Nico The Velvet Underground & Nico

 1969年にリリースされた傑作「The Velvet Underground」。一般的な名盤紹介では大体がファーストの「The Velvet Underground & Nico」なんだけどさ、もちろんあのバナナジャケットによるインパクトとニコも参加している美しさなど名盤の要素が多分に入っているけど、こちらの「The Velvet Underground」もかなりの作品。ルー・リードが奮闘しているんだけど、奮闘ってのよりも繊細な才能が思い切り発揮された一枚。美しくも繊細な世界が淡々と紡がれていき、これがホントにニューヨークの人間が作ってるのか?と思うくらいに壊れそうな名曲ばかり。

 最初の「Candy Says」からしてとんでもなく素晴らしく繊細で美しい曲で、この系統の楽曲がアルバム内に難局も散りばめられている。ともすればそれは後の英国のカンタベリーロックに通じる美しさを持っているという面白い現象。決して演奏力が高いワケでもないThe Velvet Undergroundの演奏だからこそ心に染み入る独特の雰囲気。まったくルー・リードという人の才能は凄い。それをいきなり証明してしまったアルバムだからこそバンド名をタイトルにしたのだろう。

 昔ながらのヴェルヴェット・アンダーグラウンドらしさももちろん全開で、ガレージ的な音作りは全くこのバンドならではのサウンド。そして浮遊しながら美しさを繊細さを出していった「The Velvet Underground」というアルバムの流れの中で圧倒的に異質なのが「Muder Mistery」。最初に聴いた時はかなり衝撃的だった。歌詞はともかく、ひとつの曲が9分くらいというのはまだしも、ボーカル…っつうかつぶやきが左右両方のスピーカーから聴こえてくる…、即ちダブルボーカルなワケですよ。モノラルから脱出した時代ならではのアイディアなのかそもそもそういう構想だったのか…、面白い試みだし、その衝撃も大きかった。そして曲調もこれはもう超アングラなものですよ。ここまでの流れとは別のもので圧倒的にダーク。ダークだけどどこか浮遊しているという全くカンタベリー的な音世界。ヘッドフォンとか外で聴く音楽ではありません。部屋で一人でゆったりとハマって聴く音楽。

 いや~、「The Velvet Underground」って凄い!やっぱロックの名盤って聴いていると凄いよね。なかなか手を出しにくい作品だし、バンドそのものも個性的すぎるしノリが良いとかじゃないからわかりにくい部分あるけどさ、凄くアート的で刺激的。音の研究には向かないバンドだけどロックという意味ではもの凄く重要且つ衝撃的なアルバム。うん、いいわ、これ。



関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 4

There are no comments yet.
LA MOSCA  

コレも好き、っていうか、俺、ルー・リードのミーハーだからなぁ(苦笑)
「Candy Says」も「Muder Mistery」もいいけれど
俺はこの中じゃ「Pale Blue Eyes」です。

2010/04/19 (Mon) 21:22 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>LA MOSCAさん

さすが(笑)。コレ、暗いくせに引っ掛かるっつうのか…、すごくポップスで捨て曲ないもん。ルー・リードが好きか?と言われるとそうでもないんだけど、Velvet Undergroundは好きだねぇ…。

2010/04/20 (Tue) 23:33 | EDIT | REPLY |   
P.L.R  

ヴェルベッド・アンダーグラウンドも
気になっていながら全く聞いていないバンドの一つです。
レヴューを読ませていただき無性に聞いてみたくなりました。
HMV直行の気配です(笑)

メタルマシーンミュージックとは全く別のルー・リード、期待大です。

ザッパですが、自分のブログ読み直してみたら、1年前は
FreakOutしか聞いていないことに気がつきました。
1年でザッパずいたものです。

そうそう先週キャロル・キング&ジェームス・テイラーのコンサートに
行ってきました。よかったすよ。
ドラムのラス・カンケル、こんなにドラムがインパクトを与えつつ
曲を全然邪魔しないとは。。。
いつかセクションとかアティテューズを取り上げてください。
これらもまだ聞いたことがないので。
あと、客席には槇原敬之、高野寛の姿がありましたと。

おまけ
パーラメントは兄が聞いておりました。青っぽいジャケットで
ゾウの鼻を付けた男の笑い顔が気持ち悪いやつでした。
あれ?ファンカデリックかな?

本を沢山読まれるとのことなので、面白そな
本があったら紹介してください。
ここ数年の濫読がたたりお金とスペースに困り
今はもっぱら図書館活用です。

さらにおまけ
ウィンター兄弟やらリック・デリンジャーやらダン・ハートマンが
好きな人たちがいかに集っています。
たまにのぞいてみてやってください。

Yahoo掲示板
トップ > エンターテインメント > 音楽 > ジャンル > ロック、ポップス > 全般 > ウィンター・ファミリーが好きな人はここに

2010/04/24 (Sat) 11:31 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>R.P.Lさん

是非ウチのリンクからのHMV直行お願いします(笑)。

2010/04/25 (Sun) 22:55 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply

Trackbacks 1

Click to send a trackback(FC2 User)
この記事へのトラックバック
  •  ヴェルヴェットアンダーグラウンド『The Velvet Underground』(2回目)
  • The Velvet Undergroundの3rdアルバム『The Velvet Underground(邦題:ヴェルヴェット・アンダーグラウンドIII)』。1969年発表。 最近たっぷりとこのアルバムを聴いています。正直言って、何度聴いてもすっきりしないアルバムではあったのですが、それでも気付けば本...
  • 2010.04.23 (Fri) 18:16 | ROCK野郎のロックなブログ