The Velvet Underground - The Velvet Underground




1969年にリリースされた傑作「The Velvet Underground」。一般的な名盤紹介では大体がファーストの「The Velvet Underground & Nico」なんだけどさ、もちろんあのバナナジャケットによるインパクトとニコも参加している美しさなど名盤の要素が多分に入っているけど、こちらの「The Velvet Underground」もかなりの作品。ルー・リードが奮闘しているんだけど、奮闘ってのよりも繊細な才能が思い切り発揮された一枚。美しくも繊細な世界が淡々と紡がれていき、これがホントにニューヨークの人間が作ってるのか?と思うくらいに壊れそうな名曲ばかり。
最初の「Candy Says」からしてとんでもなく素晴らしく繊細で美しい曲で、この系統の楽曲がアルバム内に難局も散りばめられている。ともすればそれは後の英国のカンタベリーロックに通じる美しさを持っているという面白い現象。決して演奏力が高いワケでもないThe Velvet Undergroundの演奏だからこそ心に染み入る独特の雰囲気。まったくルー・リードという人の才能は凄い。それをいきなり証明してしまったアルバムだからこそバンド名をタイトルにしたのだろう。
昔ながらのヴェルヴェット・アンダーグラウンドらしさももちろん全開で、ガレージ的な音作りは全くこのバンドならではのサウンド。そして浮遊しながら美しさを繊細さを出していった「The Velvet Underground」というアルバムの流れの中で圧倒的に異質なのが「Muder Mistery」。最初に聴いた時はかなり衝撃的だった。歌詞はともかく、ひとつの曲が9分くらいというのはまだしも、ボーカル…っつうかつぶやきが左右両方のスピーカーから聴こえてくる…、即ちダブルボーカルなワケですよ。モノラルから脱出した時代ならではのアイディアなのかそもそもそういう構想だったのか…、面白い試みだし、その衝撃も大きかった。そして曲調もこれはもう超アングラなものですよ。ここまでの流れとは別のもので圧倒的にダーク。ダークだけどどこか浮遊しているという全くカンタベリー的な音世界。ヘッドフォンとか外で聴く音楽ではありません。部屋で一人でゆったりとハマって聴く音楽。
いや~、「The Velvet Underground」って凄い!やっぱロックの名盤って聴いていると凄いよね。なかなか手を出しにくい作品だし、バンドそのものも個性的すぎるしノリが良いとかじゃないからわかりにくい部分あるけどさ、凄くアート的で刺激的。音の研究には向かないバンドだけどロックという意味ではもの凄く重要且つ衝撃的なアルバム。うん、いいわ、これ。
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