Thin Lizzy - Jailbreak

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Jailbreak

 ツインギターで70年代に名を馳せたアイルランドの雄、シン・リジィもブリティッシュハードロックの一角を担った重要なバンドで、スコット・ゴーハムとブライアン・ロバートソンの風貌は多くの女性ファンをも虜にしたと聞くくらいにルックスのバランスが良いのも人気の後押しだった面もあるだろう。もちろん女性陣の方がかっこ良いモノには敏感なので、遅れて男どもが密やかにかっこ良いよな…って思うバンドも多い。それはさておき、フィル・リノットの特徴有るベースのプレイとやたらと歌が上手いのもこのバンドのかっこ良さ。初期の3枚ではどちらかというとアイルランドの空気をそのまま持ち込んだ少々宙ぶらりんなロックバンドって云う感じだったが、エリック・ベル脱退後にツインギター体制となってからはハードロック路線に進み、超名盤「Jailbreak」をリリースするワケだ。

 この「Jailbreak」「脱獄」と題されたアルバムは一般的にもかなり評価が高いが、そんなのは後から聞いて知った話。自身の最初の体験は「Black Rose A Rock Legend」と云うとんでもない作品で、この中の最後の最後に収録されているタイトル曲だけでも多分3桁は聴いているな。アイルランド民謡の旋律をなぞったギターのプレイはさすがにゲイリー・ムーアならではの仕事。とにかく躍動感溢れる曲で、確かスコット・ゴーハムがそのフレーズを弾けなかったためにゲイリー・ムーアが一人でツインギターを再現していたらしい。それはともかく、アルバム「Jailbrealk」は彼等の通算6作目、1976年に発表されててメンバー交代後としては3作目になるが、とにかくバランスの良い傑作に仕上がっている。冒頭の「Jailbreak」からフィル調のハードロックが奏でられてて、何が良いのかって言われてもなかなか分析しにくいんものの、恐らくメロディーの作り方が凄く日本人ウケしてて、そのヘンはアイルランドとの共通項なんだと思う、としか言えないか。ギターのフレーズもツボにハマるけど、4曲目の「Romeo And The Lonely Girl」ではコーラスワークを挟み込む曲作りもなかなか良く、音楽的な基礎がしっかりしているのが彼等の良さ。かと言ってシン・リジィが英国的なバンドかと言われると全くそんなことなくて、やっぱりアイルランド的な音を出している…、不思議なバンドです。

 で、続いては初っ端からこれまた引っ掛かり甲斐のある特徴的なギターリフで始まり、更にこのギターリフが曲の後半でも大活躍するシンコペーションバリバリの「Warrior」…、多分ギタリストなら自然にコピーしたくなるだろうこの曲はギターソロも含めて完成されたハードロックな一曲。更に「The Boys Back In Town」が続くんだから素晴らしすぎる。軽快なシャッフルで快調に飛ばすこの曲は数多くのバンドにカバーされているのでご存じの方も多いだろう。ツインギターのソロが気持ち良いしねぇ…、実にアイルランド的なハードロックで、傑作だよ、これ絶対。この後は、カントリーチックな始まり方をする、この場合のカントリーとはアメリカじゃなくって地元のパブ的な、って意味合い。そんな音色が漂う「Cowboy Song」がフィルの歌と安っぽいアコギで始まって、もう何と云うのか前進あるのみ、みたいなリフが刻まれて、これもまたリジィ調の作品。サビのコーラスワークやツインギターの旋律もやっぱり凄い。脱帽。静と動が見事に描かれた作品で単なるハードロックと思ってはいけない、うん。そして更にダメ押しの最後の一曲、こいつがまた凄くて…、「Emerald」よ「エメラルド」。そういえば歌詞の意味も調べた事無いから何を歌っているのか知らないが、曲を聴くだけでもエメラルドみたいに輝いてる。これもアイルランド的な曲で、三連が上手く使われてて、曲の持つ旋律がアイルランド民謡のスケール進行。それを特徴付けているのもある。しかしブライアン・ダウニーのドラムは軽快でなかなか気持ちが良いのでシン・リジィサウンドの要になってる。そしてこの曲、やっぱり中間部ではギターだけになりツインギターの本領発揮とばかりに二人で掛け合いのギタフレーズを紡ぎ出す美しさ。これが何とも言えないくらいに盛り上がる。それで一気に二人してメインリフに戻ってきてオシマイ。かっちょ良い!

 こんな楽しみが味わえるのはこのバンドしかないし、更に楽しむには1978年にリリースされた「Live And Dangerous」がオススメ。やっぱロックバンドなのでライブ盤はかっこ良いもん。少々古臭いカメラワークがちょっと情けない。
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フレ
Posted byフレ

Comments 13

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Shinyan  
俺も大好き!!

“Thin Lizzy”
なるほど「フィル調のハードロック」とは上手い事言うなあ(俺もどっかで使おう(^^♪)
良いなあ「リノット叔父さん」は・・・合掌!!!


2006/03/25 (Sat) 23:11 | EDIT | REPLY |   
giantmacs  

最初に聴いたのは「Fighting」というアルバムでした。2曲目のFor Those Who Love to Liveがツボだったなぁ。「Whisky In The Jar」も好きだった。その後、「脱獄」~「Live & Dangerous」当りまでは聴いてましたが、Black Roseは未だ知りません;;そんなにいいですか~?フィル・リノットが亡くなった時は結構ショックでしたね。歌えるベーシスト大好きでしたから...。

2006/03/25 (Sat) 23:19 | EDIT | REPLY |   
seira.D  
Live and Dangerousは今でも愛聴盤♪

懐かしいです~。Thin Lizzy私も聞いたなぁ。今でも好きです。
スコット・ゴーハム、ブライアン・ロバートソン、ゲイリー・ムーア、スノウィー・ホワイト、ジョン・サイクスとたくさんのギタリストを輩出して「HR界のヤードバーズ」ともいわれたこともあったけど、それもフィル・リノットのセンスがあったればこそで・・・
返す返すも惜しい人なくしました・・

フレさん、相互リンクを是非お願いしたいのです。なにとぞよろしくお願い致します。m(__)m

2006/03/26 (Sun) 00:50 | EDIT | REPLY |   
斎田  

こんにちは。私も「脱獄」は大好きです。アメコミ風のジャケも◎です。THIN LIZZYはハードロック好きはもちろんですが、パンク好きやブラック・ミュージック好きにももっと聴いて欲しいですね。あとフォーク好きにも…ポーグスなんか好きなひとにはバッチリなんじゃないでしょうか?

2006/03/26 (Sun) 17:28 | EDIT | REPLY |   
えんすき  
ズバリ 名盤です

はじめまして えんすきと申します
TBありがとうございました

すばらしい作品ですよね。
ハードな中にもメロディアスで味のある曲が主体で
ライヴの選曲にもこのアルバムからの曲が一番多いようです。
ブラックロウズと共に一番聴くアルバムですよ。

私も70年代ものが好きなのでまた御邪魔させていただきます。よろしく

2006/03/26 (Sun) 19:59 | EDIT | REPLY |   
tack  
はじめまして

千里さんのブログでよくお名前を拝見しています、tackと申します。
凄い情報量ですね。色々な記事を探りまくりたくなります。
Thin Lizzyはとても好きです。
今は、BBCのライブにはまっておるところです。Phil Lynottの声にK.O.されています。
Thin Lizzy関係でGary Mooreも大好きですね。
Kossoffの記事も拝見させてもらいました。
まだまだ、勉強中なのでまた除かせてもらいます。

2006/03/26 (Sun) 21:18 | EDIT | REPLY |   
フレ  
アイルランドの英雄に、乾杯!

>Shinyan
リノット叔父さん…、根性入ってますよ~、この人は。革パンがトレードマークなのでドラッグで太ってきた時でも座れないほどギチギチに細い革パンはいてステージしてたそうです。ベースの位置がなぁ、特徴あるんだ(笑)。

>giantmacsさん
「Black Rose」は最後のタイトル曲のためだけにでも聴く価値ありますよ、絶対。アルバム全体もかなりクォリティ高いんですけど、そのタイトル曲がインパクト有りすぎまして…。「Whiskey In The Jar」が好きでしたら絶対大丈夫です。オススメ♪

>seira.Dさん
蒼々たるギタリストを揃えて最後の「Live Life」ってアルバムでは「The Rocker」でみんなソロってギターソロ弾きに出てくるんですよねっ!この瞬間たまらなく好きです。あ、相互リンクもちろんOKです♪

>斎田さん
お久しぶりですっ!嬉しいな、また書き込み感謝です。そうですねぇ、Thin Lizzyの初期なんかはポーグス好きな人には大丈夫でしょうしね。もちろんトラッド系好きな人だと意外な発見できると思いますもん。ブラック系は…、フィル・リノット黒人の血入ってますからね(笑)。そっち側では意識したことないなぁ。ハマるのかな?

>えんすきさん
あちこちでお名前拝見していたのですが直接はお初です、、、ね?よろしくお願い致します。そう、メロディアスかつパワーのある、ってのが良いんです。ライブもこのアルバムからの選曲が多いのもその辺でしょうかね。また是非とも遊びに来て下さい♪

>tackさん
ども、お初です♪まぁ、趣味でアレコレと書き始めたブログですがなんだかんだと情報が溜まってきましたのでお役に立てれば良いかな、と。「目次」と題されたカテゴリで一覧が見れますので楽しんでって下さい。リジィのBBCですか、アレははっきり言ってベストアルバムに近いくらいベストな選曲のライブアルバムで、かなり最高です(笑)。スタジオ盤が物足りなくなると思いますよ♪

2006/03/28 (Tue) 00:15 | EDIT | REPLY |   
ママロック  

ジミヘン好きならこれを聴け、と渡されたアルバムです。歌のグルーヴ感を言ってるのでしょうね。また聴きたくなりました!

2006/03/30 (Thu) 00:23 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>ママロックさん

へぇ…ジミヘン好きだとコレなんっすか?歌のグルーブ感はわかるんだけどジミヘンかぁ…なかなかピンとこないけど何か感覚的にわかる(笑)。

2006/03/30 (Thu) 00:27 | EDIT | REPLY |   
タコ君  
遅ればせながら・・・(^^;

TBありがとうございました。
Black Rose は大好きなアルバムです♪

2006/03/31 (Fri) 12:25 | EDIT | REPLY |   
波野井露楠  

なるほど!
私は「ロメオとロンリー・ガール」「ヤツらは町ヘ」「カウボーイ・ソング」の3曲が大好きだったんですが、他の曲ももっとちゃんとに聴き直さないといけないですね!
フレさんのおっしゃるとおり、「勇士」や「エメラルド」もすごくいい曲ですものね!!
TBさせていただきました。

2006/09/16 (Sat) 21:33 | EDIT | REPLY |   
藤田  

フィル、ゲイリ-ムーア共に亡くした。とても残念です。
私の永遠のアイドルです

2011/12/17 (Sat) 18:20 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>藤田さん

この記事書いた時はゲイリーは生きてたんですけどねぇ…。

2011/12/20 (Tue) 23:42 | EDIT | REPLY |   

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