Jeff Beck - Emotion & Commotion

![ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラヴ [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51z8RKlu5KL._SL160_.jpg)


さてさて期待の、というかここのところ割と盛り上がっていたジェフ・ベックのあのメンツによる新作スタジオアルバム「エモーション・アンド・コモーション」がリリースされました。やっぱり聴きたくて速攻で聴いてみて、そのサウンドプロダクションと作品の質の高さに驚きましたね。実験色が云々ってのは超えていて、日本公演で聴かせていた、もしくは「ライヴ・アット・ロニー・スコッツ・クラヴ」のDVDやCDで聴かせていたような音の再現…よりももっとメロウでエモーショナル。全くタイトル通りに「エモーション・アンド・コモーション」という楽曲が多いんです。話題性で言えばオーケストラと一緒にやってるとか、様々なジャンルに跨る話題の女性ボーカリスト達を迎えて歌わせているとかあるんだけど、それも余興の一つでしかなくって、圧倒的にエモーショナルな高みを極めている。バックを固めている凄腕の面々がこれまた心地良い世界を出してくれている。そしてライブではその容姿と若さで注目されたタル・ウィルケンフェルドちゃんですが、こうして音を聴くとやはりタダモノではないベーシストってのも非常によくわかる。セッションバンドでここまでできちゃうのかい、ってくらいジャズと同じような世界で、メンバーを選りすぐって作品を作っていくという形だ。今では既にライブメンバーが替わっているので「エモーション・アンド・コモーション」で聴けるメンツは実はもう揃わないのかもしれないけど、その分この「エモーション・アンド・コモーション」は凄く楽しめる。
元来ベックってのはギターしかない人なのでどこか途中で飽きることもあったんだけど、「エモーション・アンド・コモーション」はもうそんなのないね。完全にギターが歌ってるし、泣いているし笑っている。こんな風にギターって弾けるのかい?ってのはいつもながらベックのお家芸なんだが、全く何度聴いても驚くばかり。しかしギターインストでここまで口ずさみやすくエモーショナルな曲ができるもんか…言い換えれば全曲が「哀しみの恋人達」のような旋律を持っているんだもん。そこにオーケストラだからさ、そりゃまぁ涙もののメロウな気分になろうというものだ。春先に聴くアルバムではないが、その感情の表現はもはや完全に芸術の世界。
はて、ジョス・ストーンによる歌声に出会うのもここで初めてだが、多分才能を発揮した楽曲なのだろう、ジャズチックと言うか40年代的雰囲気を持った、というのか…それでもやっぱりベックの味のあるギターが隙間を埋めてくれて実に高尚なレベルに持ち上げられているし、イメルダ・メイとのセッションでは更にメロウでムーディなエロさ満開の雰囲気を演出して、何故にここまで?というくらいのものだ。続く「Nessun Dorma」っつうのもその余韻を引きずるような哀愁さを漂わせた曲。まったく7年ぶりの新作、その割にはライブをバシバシやって活動していたのにこんな音が出てくるなんて驚くし、それよりもなんでまたこんな凄いんだ?クラプトンの新作とかでは比にならない圧倒的音楽レベルの高みに到達してしまったジェフ・ベック。神々しいジャケットもその姿を象徴しているし、当分何かと聞いていることが多いアルバムになるだろう。うるさくないし邪魔にもならないからどこでもいつでも聴けるのも良い。
ここの所ジェフ・ベック聴く割合が相当増えているので、また多分ある程度のアルバムを纏めて聴くのも良いな…。いや、しかし「エモーション・アンド・コモーション」は凄い。
- 関連記事
-
- Jeff Beck - Live & Exclusive From the Grammy Museum
- Jeff Beck - Emotion & Commotion
- Jeff Beck - Wired