KGB - KGB

1976年リリースのファーストアルバム「KGB」。メンバーはマイク・ブルームフィールドとカーマイン・アピス、バリー・ゴールドバーグにリック・グレッチ、そしてボーカルにはレイ・ケネディ。うん、あの、レイ・ケネディです…はい、メタルファンにはお馴染みのスーパーロック '84のMSGのボーカリスト。同一人物です。…と言うか、こっちのKGB的なのが本業でして、MSGでの酷評はそりゃそうだろ、ってのがわかるのではないだろうか?別に肩持つ気はないけど、KGBのアルバム聴いている限りはかなり良い味を出したボーカルだからねぇ。
そしてアルバムの方はかなり地味な音だけどアメリカンファンキーロックっつうかソウルロックっつうか、黒い音の要素がブルースとソウルとファンキーと共に詰め込まれていて演奏しているのはほとんど白人という確かに新たなる境地を開こうとしているバンドの意気込みってのがわかる。そこまで読んで聴かないとそれほど面白いアルバム、というようには響かないのでなかなか時間がかかる。だから最初から当時の状況を察してこのKGBの出していた音ってのが世の中にはほとんどないタイプのサウンドだったってことを意識したいんだよね。
しかし…、そんなの気にしなくてもやっぱり凄いわ。マイク・ブルームフィールドのギターは控えめなんだけどここって時には素晴らしい音色とフレーズで登場するし、スライドメインの曲なんかはもう哀愁そのもの。そこにレイ・ケネディのソウルフルなボーカルが絡むとこれがまたかなり素晴らしくファンキーなんで、お前らホントに白人かよ、ってなくらいに濃い。カーマイン・アピスも地味に叩いているけど重さがやっぱり違うしね。
そんなことで、普通に接して聴くと大したことなくサラリと流れてしまうのかもしれないけど、どの曲も斬新なアプローチを試みた傑作。正にスーパーバンドじゃなきゃできないだろう音世界。レゲエだって重いしブルースなんだよ。もの凄くニッチな世界ではKGBの音に本気で惚れ込んでいる人はいるはずだもん。セカンドアルバム「Motion」とかあるけど、そっちはちょっと別モノとして、まずはファーストの「KGB」でちょっと心地良いアメリカンミュージックを楽しんでみよう♪