Wishbone Ash - Twin Barrel's Burning

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Twin Barrels Burning

 Uriah HeepとWishbone Ashのどちらにも在籍していたことのある男が二人いる。一人はさすらいのベーシスト、ジョン・ウェットン。この人の仕事をそれぞれのバンドの関連性に入れてしまうとそれこそ果てしないバンドが繋がってしまうと言うキーマン(笑)。ジョン・ウェットンとかコージー・パウエルってのはもうそういう人達だよね。最近ではサイモン・フィリップスとかニール・マーレイってのもそうなんだけどさ。そしてもう一人がトレバー・ボルダー。こんなところで名前を聞いてもピンと来ない人は多分デヴィッド・ボウイのスパイダースのベーシストという方がわかりやすいだろう…。

 トレバー・ボルダーはスパイダースからBritish Lionsを経由してUriah Heepに参加、ジョン・ウェットンの後釜っていう時代。しかし時代は1980年代初頭、音楽的に迷走していたUriah Heepをすぐに脱退してしまって,
行った先がWishbone Ash。これもまたWishbone Ashからジョン・ウェットンが脱退した後釜ってなるワケで二の轍を踏んでいるワケだ…。ちなみにトレバー・ボルダーが脱退した後のUriah Heepのベースには例のボブ・デイズリーが加入している。そんなトレバー・ボルダーが参加したWishbone Ashの唯一の作品が1982年の「Twin Barrel's Burning」というアルバム。

 それにしても行った先がこの時代のWishbone Ashって…、と思うんだがなぁ。全く泣かず飛ばずとなっていた当時のWishbone Ashはメジャーレーベルからも落とされてマイナーレーベルからしかリリースできなかった時代。そりゃもうトレバー・ボルダーは焦ったんじゃなかろうか?少なくともUriah Heepならメジャーレーベルとの契約は確保できていたワケだし…、と。案の定「Twin Barrel's Burning」一作でWishbone Ashを脱退して古巣のUriah Heepに戻るのだが、そういうことが簡単に出来てしまうのがまた面白い。どちらのバンドも低迷期だったしねぇ…。トレバー・ボルダー的には当時売れまくっていたボウイの元へ参戦ってのも選択できるならしたかっただろうな…。

 さて、そんなWishbone Ashの「Twin Barrel's Burning」ですが…一体誰が残っているのか?アンディ・パウエルとローリー・ワイズフィールド?とスティーブ・アプトン…ですか。それでこの音?時代の産物でもあるんだろうけど、往年のWishbone Ashという古き良き大英帝国の美しきハードロックを奏でていた姿は一体何処へ?みたいにアメリカンポップ的に洗練されたハードロック的な音と妙に浮ついた鍵盤やらコンガみたいなのを入れて派手に聴かせている音。売れるか売れないかという意味ではかなり売れる可能性をもった曲が並んでいるのは事実。ポップで覚えやすい感じだし、もちろん軽めのディスコティックな音の処理なんてのも時代だけど悪くはない、それほど。ただ、やっぱり邪魔するのは「これがWishbone Ash?」っていうイメージか。アルバムジャケットにしても同じだけどね。そんなに目くじら立てないでも普通に聴いて音で判断すりゃいいんだけどさ、何聴いてるのかわからなくなるくらいに解体されているのが問題。過去作品への思い入れがあるが故にギャップが激しい。

 多分往年のアルバムを聴いている人達はここまでのアルバムって追いかけることもないだろうし、ほとんど聴いてない人が多いだろうからその方が幸せだと思う。本当にWishbone Ashが好きな人は聴いているだろうけど、もちろん別モノとして聴いているだろうし、それは音が好きとかではなくって、というファン心理なんじゃないかな。ちょっとあまりにも哀しいサウンドが詰め込まれた感じ。それがトレバー・ボルダー参加のWishbone Ashの「Twin Barrel's Burning」というアルバムの印象。もちろんトレバー・ボルダーは悪くないけどさ。久々に後悔したアルバムでした…。



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フレ
Posted byフレ

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