Michael Schenker Group - Built To Destroy

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 さて、「スーパーロック'84」の参加バンド中最も悲惨だったかもしれないのは実はマイケル・シェンカー・グループではなかろうか…っつうか、そうだ(笑)。オファーがあった頃にはアルバム「限りなき戦い」をレコーディングもしくはリリースが決定していた段階だろうし、全く絶頂期でもあっただろうから全く問題なかったハズなのだが、日本に来る頃には恒例のゲイリー・バーデンが抜けてしまった後のどうしようもなくバンドとしては悲惨な状態だったのだな…。代役ボーカルのレイ・ケネディは歌詞を全く覚えていなくてどうしようもないし、そもそも畑違いのシンガーだからホントにお飾りでしかなくってそれならいない方がよかったかもしれないという程のものだ。

限りなき戦い(紙ジャケット仕様) ロック・ウィル・ネヴァー・ダイ
Michael Schenker Group - The Best of the Michael Schenker Group ('80-'84) [Remastered] The Best Michael Schenker Group - Masters of Rock: The Michael Schenker Group Masters of Rock

 アルバム「限りなき戦い」を録音、バンドもこれからまたアメリカ制覇だという矢先の出来事だったのだが、このヘンがマイケル・シェンカーの不運さを物語っている。このアルバム「限りなき戦い」はマイケル・シェンカー・グループとしては4作目になり、前作「黙示録」ではグラハム・ボネットを迎えての制作だったが、今回の「限りなき戦い」ではまたゲイリー・バーデンに戻ってアルバムを仕上げている。そしてアメリカ進出に当たってマネージメントの重要さを認識したマイケル・シェンカーは再度アメリカに渡って交渉すると、マネージメント側からはアルバム「限りなき戦い」のリミックスと歌の弱いゲイリー・バーデンのサポートとしてデレク・セント・ホルムスを加入させた方が良いとのことを打診、それによって契約更新とすると通達されてビジネス向きでないマイケル・シェンカーは頷いてアメリカ進出を目論むこととなるのだ…。

 一般的には英国と日本盤が同時リリースでオリジナルミックスのまま流通、その後アメリカでのリミックス盤が日本盤でも出回っていたようだ。CDではアメリカミックスでリリースされていたが、今ではどちらも入手可能みたい。2000年頃に出たデジタルリマスター盤ではアメリカンミックスを中心としてボーナストラックに5曲だけオリジナルミックスが収録されているというもの。自分がアナログで聴いていたのは多分アメリカンミックス。そしてCDもこの2000年デジタルリマスター盤で聴いているのでもしかしてオリジナルミックスをフルで聴いたことがないのか?と自分でも情けないと思いつつ、まぁ、いいや、と(笑)。

 簡単に言うとオリジナルミックスはイモくさいがアメリカンミックスはしっかりと音のバランスも取れていてワールドワイドに聴かせるにはもっともなミックスでセンスが違いすぎる。こうまで違うものかと思うくらい音の出方が違うのは面白いし、アメリカ人の売りのセンスってのも凄いわ。結果としてはやっぱりアメリカンミックスの方が聴きやすいしね。曲によってはかなり消されている音もあるし、「魔性の女」ではゲイリー・バーデンの歌声が丸ごと消されてデレク・セント・ホルムスの歌に差し替えられているし、初っ端の「Rock My Nights Away」のイントロからしてアメリカンミックスでは序章が付けられているというものだ。そもそもアルバムの曲順が異なっているっつうのはあるんだけどさ…。

 そういう逸話はともかく、アルバムとしてはかなり名盤でして、秀作がいっぱい入っている…っつうか捨て曲ないんじゃないか?と自分では思うんだけどね。「System Failing」の強烈な上昇下降フレーズの連発、「Captain Nemo」の素晴らしいギターインスト、「Red Sky」の印象深いリフとギターソロなどなどどの曲もしっかりとキャッチーさとハードロックさとギタリスト加減がブレンドされて見事なアルバムを作り上げている。アメリカでもアルバムがリリースされてこれからという矢先にゲイリー・バーデンと喧嘩して脱退、そして何とか緊急でボーカリストを見つけて来日…で、アレだ。それでもマイケル・シェンカー信者は今でも彼を信じているしそういえばこないだ来日公演したばっかだっけ?見に行くのをすっかり失念していたのだが…。ベースにはニール・マーレイ、ドラムにはサイモン・フィリップスという布陣だったらしいから凄い。






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フレ
Posted byフレ

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