Pythia - Beneath the Veiled Embrace

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Beneath the Veiled Embrace

 ゴシックメタルやシンフォニックメタルという如何にもヨーロッパテイスト溢れる仰々しいサウンドを武器にしたバンドはやっぱりヨーロッパのそれぞれの国から出てくることが多く、フィンランドやオランダなんてのは顕著なところだ。そしてロックの本拠地と言えば英国、英国出身のこの手の女性ボーカルによるメタルサウンドのヒロインは実はほぼ皆無だった。普通のバンドで言えばParadise Lostがそもそもの発端という意味で大英帝国を背負った作品をリリースし続けているが。

 そんな英国からようやく期待の新鋭バンドが登場し、それもかなりレベルの高いサウンドとコンセプトなのでこれからが楽しみだ。

 Pythiaというバンドでアルバムは「Beneath the Veiled Embrace」がリリースされたばかり。良いでしょ、このジャケット。センスが違うよね。やっぱりこういう繊細なセンスからして良いのですよ。そして音を聴いてみると、これがまたゴシックメタルっていうのではない感じだが、パワーのあるメタルにややシンフォニックさを加えて、しっかりとしたエミリー・アリスという如何にもな名前の女性ボーカルが前面に出てキュートな姿に似合わない大人な歌声を聴かせてくれるというものだ。なんと言ってもこのエミリー・アリス嬢、ライブではロリータなコスプレで歌っているのだから…。ちなみにバックの面々は野郎どもの真っ黒でラフなスタイル。全くアンバランスなスタイルだが、今更そういうのを気にしてもしょうがない。まずは音で勝負しようじゃないか…。

 いや、ホントにね、やっぱ英国なんだよ、時代は変わっても。ヨーロッパほどシュールに仰々しくないし、しっかりと湿っている音で、本人達は元気良くやってるけどやはり暗い。歌メロもしっかりと出来ているからセンスは見事だと思うし、楽器もヘタじゃないししっかりと曲も押さえている。ただちょっと飽きが来る感じはあるのでもうちょっと曲に幅を持たせるとか、キラーな作り方をするとかが課題なのかもしれない。

 …とまぁ、イロイロあるけど、新旧合わせたメタルの良いところを押さえたナイスな作品「Beneath the Veiled Embrace」…っつうかバンド。ギターも鍵盤も歌もしっかりと自己主張した美しいアルバムで、何回か聴かないと染みてこない感じはある。でも、2曲目のシングル「Sarah」は名曲の域に達していると思う。



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フレ
Posted byフレ

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