Mott The Hoople - Brain Capers

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 時を同じくして英国ロック史に今では割と名を轟かせているが、この頃はと言えば全然パっとはしなくてどうしたモノかと思い悩んでいたバンドでもあるモット・ザ・フープル。もしデヴィッド・ボウイとの出会いがなければ恐らくこのままB級だけど結構センスの良いバンドとして祭り上げられていたに違いないと予想できるんだけど、歴史と運命はそれを許さなかった…。そんな幸運なバンドとして今では語られるが、先日英国で再結成ライブを何日か連続でやって大盛況だったらしい。やっぱり英国人にはわかりやすい英国のバンドなんだろう。

ブレイン・ケイパーズ(紙ジャケット仕様) Brain Capers
モット・ザ・フープル - Brain Capers Brain Capers

 1971年リリースの4枚目の作品「ブレイン・ケイパーズ」。デヴィッド・ボウイの手による「All the Young Dudes」以前のアルバムで、この「ブレイン・ケイパーズ」をリリースしてツアーしてあまりにも売れなくてバンドの解散を表明したらしいが、それすらも話題にはならなくてベーシストが仕事を探してボウイのところに電話したらモット・ザ・フープルというバンドを気に入っていたボウイが手助けした、という美しく見える逸話がある。ボウイのセンスの良さが目立つ逸話なんだけどさ、まぁ、それはともかく「ブレイン・ケイパーズ」はさすがに瀬戸際で制作されたアルバムってのもあって実に充実した内容の作品なんだよ。

 一言で言えばかっこよいロックンロールアルバム。モット・ザ・フープルのR&Rって独特なんだけど、警戒するようなものじゃないから素直に聴ける。ヒネリが多いわけじゃないしね。でも、何でかわからんがヤケにロールしているんだ。イアン・ハンターの独特の浮遊した悲痛な声もあるとは思うが、雰囲気が良い。そしてこの「ブレイン・ケイパーズ」は初期作品の中では多分最高傑作。全キャリアを含めてもベスト3には入るくらいに素晴らしいアルバムでさ、特に「モット・ザ・フープル - Brain Capers - The Journey The Journey」っつう9分にも及ぶ大作はドラマティックで素晴らしい曲。これがあったからこのアルバムを聴きまくったっていうくらいに美しい。基本的に他の曲はR&Rなんだけど「The Journey」はね…、バラードという感じで片付けられないドラマな曲なんだもん。その前の「モット・ザ・フープル - Brain Capers - Darkness, Darkness Darkness Darkness」っつうのがヤングブラッスっつうバンドのカバーソングだけど良いセンスしてる、これも。ボウイが気に入るバンドのハズだ。

 この頃のモット・ザ・フープルって既にライブではヴァイオレンス・ロック・バンドと呼ばれていたくらいに暴動が起こるバンドだったんだよね。何故か観客がエキサイトしても良いバンドだったみたい。後にパンクが起こった時の初期は皆が皆モット・ザ・フープルみたいにエキサイティングなバンドを…ってのが合い言葉だったし、それは多分リアルに知っていた世代ならではなんだろう。クラッシュにしてもハノイ・ロックスにしても敬愛するバンドって言うもんね。

 そう、「ブレイン・ケイパーズ」はホントに傑作。モット・ザ・フープルの煌びやかな黄金期を聴いて知った人は次に「ブレイン・ケイパーズ」を試してみることをオススメするね。なんという美しいバンドなんだろうと言うことに気付くと思う。ここの所何度も何度も聴いているんだよね、これ。イアン・ハンターの悲痛な歌がさ、今の自分にマッチしちゃって…、かっこよい♪





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フレ
Posted byフレ

Comments 4

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波野井露楠  

こんにちは!
モット・ザ・フープル!
いいですよねえ(>v<)!
初期のアルバムも大好きです!
一度でいいから生イアン・ハンターを
拝んでみたいです(><)!!

2009/12/19 (Sat) 16:35 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>波野井露楠さん

生イアンはもう見れないでしょうねぇ、多分。もう70歳くらいなんじゃない?それで今でもあのルックスっつうのも恐ろしいが…。モット、かっちょよいっす♪

2009/12/20 (Sun) 21:09 | EDIT | REPLY |   
アーリーバード  
フレさまこんばんは

20代の中ごろに失恋をしました。
小生にとっては結構傷手が大きかったです。
心の隙間を埋めるためにこのアルバムをずっと聴いて
ました。とりわけThe Jouneyが好きでした。
繰り返し聴いてましたっけ。
イアン・ハンターの唸るようなシャウトに心を
突き上げられ揺さぶられました。名曲です。

フープルのアルバムは後にも先にもこの1枚しか
持ってなかったです。
粗野だけどどこか叙情的なこのアルバムが大好きでした。
コロンビアに移籍してからはあまり好きではありません。
商業的成功と引き換えに小生の心を揺さぶる何かが
褪せていったように感じます。

もう1度このCDを購入して聴きたい気持ち半分。
心の引出しに封印したままにしておきたい気持ち半分。
小生にとってなかなか答えが出せないアルバムです。

2021/07/05 (Mon) 22:08 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>アーリーバードさん

失恋と結びつくには勿体無い名盤、そしてマッチしてしまうアルバムですね。
湿った気分の時にもっともはまいるMottのアルバムは本作しかないです。
だから凄いマッチングで出会ったアルバムかもしれないです。

2021/07/11 (Sun) 20:23 | EDIT | REPLY |   

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