Bill Bruford - One Of A Kind

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 ロックの偉人達がジャズに接近してクロスオーヴァーなサウンドを奏でる…、もちろんテクニックはないとできないし、才能も必要だろうし、多分楽譜も必要だろうから普通のロックミュージシャンレベルでは難しい。もっともそっちに興味が向くことはないだろうけど。簡単に言えばジェフ・ベックは到達しちゃったけどクラプトンはそっちには進まないし、ジミー・ペイジはもっとバンドアンサンブルに邁進したというところで、何が良いというワケでもなくクロスオーヴァーな世界は実にミュージシャン…というかテクニカルなプレイヤー達の楽しめる場所だったようだ。そんな代表でもあるビル・ブラッフォードというリズムの天才がソロリーダー作で到達した世界もそこにあり、ファーストアルバム「Feels Good to Me」ではかなりアグレッシブな取り組みを見せた。そして今度はセカンドアルバム「One of a Kind」の登場です。

One of a Kind Feels Good to Me

 1979年のリリースなんだけど、要するに先のU.K.をホールズワースと共に離脱してこっちのプロジェクトで一緒にやることにしたようだ。U.K.のポップさに辟易してミュージシャン的探求心を求めた結果がこのアルバムによる回答なんだろうと思う。不器用なミュージシャンで魂売れなかったんだろうなぁ…、ブラッフォード、偉いなぁ…とふと思ってしまった(笑)。

 そのアルバム「One of a Kind」は一言で言えばインストのクロスオーヴァーに近いサウンドなんだが…、この手が苦手な自分が実はブラッフォードは好きな類に入るバンドなのだ。理由はよくわからないけど、カンタベリー系統だからだと思う。…って纏め過ぎなんだが(笑)、いや、多分ね、そうなんだよ。軽やかなんだけどしっかりと英国的な重さっていうか湿っぽさがあって、それはブラッフォードのドラムにもあるし、ホールズワースからも感じる。そして鍵盤奏者のデイヴ・スチュワートは正にそのままNational Healthだからね。ベーシストはアメリカ人のバカテクベーシストのJeff Berlinという人で、これもまた凄いワザをたくさん聴けるんだが…、なんつうのかね、全部変拍子っても過言じゃないけど、聴きやすい。そしてフュージョン的ではなくってカンタベリー的サウンド浮遊感が心地良いんです。ホールズワースの出番も見事だし、デイブ・スチュワートのピアノやシンセなんかも美しいし、もちろんブラッフォード独特のあのピッコロの音は健在でして、特徴的だよね、やっぱり。

 この音世界って脈々と引き継がれているのだろうか?なかなか聴かないからわからないけど、非常にユニークで温かみのあるサウンドでインストだけど心地良いんで、一度体験してもらいたいアルバム。ファーストよりももっとロックと融合しているからテクだけを聴かせるってんじゃないし、よろしい作品。



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フレ
Posted byフレ

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elmar35  

コメントできるようになりました、おおきに。(笑)
こいつも例に漏れず紙ジャケ化されてて、リマスターなんですが、前より凄く聴き易くなってる感じがします。
ピックアップされてる“Forever Until Sunday”でEddie Jobsonがヴァイオリン弾いてるようですが、UKの分裂後も関係なく続いていた人間模様の奥深さ・・。
この音楽は、ジャズ、ロック、プログレ、ファンク等の融合・・今で言うミクスチュアの走りだったのかもしれません。
先輩諸氏が力説するとおり、やはり名盤ですね。

2009/11/22 (Sun) 11:07 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>elmar35さん

いや、よかったです、コメントの件。
カンタベリーシーンやクリムゾンでの人脈関係など結構複雑ですよね。契約と賃金の話だけなのかもしれないですけど…、ね。音は常に新しいことにトライするミュージシャンとしてはミックスするという手法は当然なんでしょう。それでいて良質のアルバムを作るってのは大変だろうな、とつくづく思いますが、それにもトライするってのもこれまた素晴らしいかと。

2009/11/28 (Sat) 22:54 | EDIT | REPLY |   

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