Asgard - In the Realm of Asgard

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 英国ロック界にはレーベル毎に特色を出したアーティストをラインナップしてイメージやカラーという売り方をしていたものが多くて、その仕掛けには今でも多くのファンが付いているし、カラーリングは見事に成功した売り方だったと思う。そのおかげでレーベルコレクターなる異様なコレクションも出てくるのだが、それは概ね間違っていないし、楽しみのひとつでもある。レーベルの印刷工場が変わってから色味が変わったなどというところまで追いかけている人もいるくらいだ。もともとはブルーノートとかジャズ系で始まったことのなぞりなのではあるが…。

In the Realm of Asgard

 さて、アーティストが自身の色を打ち出すためにレーベルを作るというケースはビートルズを初めとして多くの大物バンドが実践しているが、ムーディ・ブルースもそのひとつで、もちろん自分達の都合の良いことができるから、という理由なのだろうが、Thresholdレーベルというものを作ったのだな。そして自分達の作品やトラピーズの作品をリリースしていた。更にもうひとつ唯一の作品となってしまったのだが、かなり秀逸な作品を残したAsgardというバンドをリリースしている。それが今回の主役。

 1972年リリースの唯一の作品「In the Realm of Asgard」。基本のメンバー編成にボーカルが二人、バイオリンが一人で鍵盤無しという変わった構成。ムーディ・ブルースが鍵盤を使って壮大なシンフォニーを奏でていたことに対しバイオリン一人でシンフォニーの雰囲気を醸し出すという不思議なバンド。ボーカルも二人いて、更にコーラスが加わるから見事なコーラスワークを聴かせてくれるというのもバンドの売り。ムーディ・ブルースの小型縮小版という感じのする音が中心だけど、もっと可愛い気があるっつうのか庶民的親しみを持っているというのか…、コレでネタが尽きただろうな、っつうのか。曲によってそのレベルがまちまちで、突出して素晴らしい!と手放しで感動出来るタイトル曲などがあるかと思えば、ちょっと足りないと言うかもっと構成に気を遣ってみたら?みたいな曲もあったり(笑)。いや、全然それでも楽しめる実験精神は多々聴けるので良いのだが…。

 うん、前向きに聴くとね、バイオリンの使い方が面白い。歌のバックでも鳴ってたり、普通なら鍵盤で引っ張って叙情性を出すだろうってなところにバイオリンなんで、ちょっと不思議。そして必殺のコーラスワークがなんと言っても圧巻でして、アイディアは満載なんだな。もうちょっと各楽器が主張しても良い気がするけど妙に音楽的にクラシカルにまとまっているというのか…その辺がメジャーではないセンスというかプロらしからぬ部分かもしれん。が、それが面白いのだよ。近い感じがするからさ(笑)。

 ジャケットがよくわからないんで、買うのが後回しになりつつあったバンドでもあった。「In the Realm of Asgard」は聴いてみて最初は相当驚くと思う。多分普通のロック聴くなら相当にこの英国的湿っぽさと美学を満喫できる作品ではあるので試してみる価値はある秀作の域。歌とかとればかなりポップさも持っているし、逆に泥臭いロックな部分はあんまりなくって結構洗練されかかったロックではあるが、やっぱりこの時代のブリティッシュロックという形容しか思い付かない…。



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フレ
Posted byフレ

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