The Running Man - The Running Man

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 70年代初頭の英国ロックの世界では短命に終わったバンドが山のようにあったのだが、初めから短命だということがわかっていながらアルバムを制作して散っていったバンドもある。中でもこのThe Running Manという皮肉なバンド名を持つレイ・ラッセルの率いるバンドは一ヶ月程度しか存続しなかったバンドでもあり、またRCA傘下のラベルの美しさで有名なネオンレーベルからの最後の作品となったアルバム「The Running Man」をリリースしていた。

The Running Man

 1972年のお話なのだが、それまでのRockwork Shopというバンドとほぼ同様の取り組みで英国ジャズロックの実験石というような趣向を持っていたようなレイ・ラッセルというギタリスト。もちろんテクニックやギタリストとしての才能は豊かなものなので、本作「The Running Man」でも十分にその才能は堪能できるのだが、いかんせんどこか付け焼き刃的…というのかセッションアルバム的なニュアンスは否めなくて、かと言って一発セッションモノに見られるハイテンションでスリリングなプレイというのも聴かれないので、中途半端。ただ、楽曲としてはもうちょっと色々と練ったり展開させたりすればかなりテンション高くなりそうなものもあったりするので、勿体ないかな。今できるバンドのメンバーのセッションをそのまま収録しましたという感じなんだよね。プラスアルファが聴ければセンスは良いので面白かったのでは、と。

 うん、ジャズ的アプローチが強いけど所詮はギターでの展開にオルガンが付いていきます、みたいな感じで、ここまで英国幻のアルバムとして騒がれるほどのものではない。もちろんこういうアプローチもあるのか、という聴き方とNeonレーベルの最後の作品ってことで聴いておくってのはあるんだけどさ(笑)。このレイ・ラッセルという人もジャズロックギターっていう役回りから抜けられなくて割と苦労人なんじゃないかな…。派生人脈にはベケットとかボブ・ダウンズとかが絡んでいたんだけど、まぁ、その人達も英国ジャズロック史に残るアルバムは作ったかな、というレベルだからしょうがないか…。いや、そんなB級の香りのするアルバムだけど、ハイクォリティの楽曲もあるのだから面白いよね。



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フレ
Posted byフレ

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