The Kinks - The Village Green Preservation Society

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 英国の田園風景を見事に描写したバンドは意外と多くあるものだが、The Kinksの「Village Green Preservation Society」ほどそれを見事に表したアルバムはそうそう見つからないだろう。The Whoのピート・タウンジェンドと比較されることが多いが、ピートは自身でも初期のThe WhoがThe Kinksに影響を受けていることを公言しているし、一方レイ・デイヴィスはピートを優れたソングライターとして認めてはいるが、決してThe Whoの影響を受けているというワケではない。ま、もちろんそうなんだけどさ。それとこのアルバムでよく言われるのはThe Whoの「Tommy」がロックオペラ最初の作品だとされるが、実はキンクスの本作の方が先に制作に入っていたとか云々。別に誰も気にしてないんだけどな、そんなこと。アルバムそのものの出来映えはどちらも素晴らしいものであって、どっちがどうなんてのは今更ど~でも良いでしょ。好みなんだしね。唐突に文句ばっかり書いてしまったんだけど、要するにこの作品はキンクスにしか出せない素晴らしい音楽を詰め込んだ最高傑作だ、ってこと。

 デビュー時からオリジナリティを発揮していて、ここに辿り着くまでにかなりのヒット曲を連発し、今でも語り継がれるほどの名曲も多数持っているThe Kinksが辿り着いた先は「英国らしさ」=飾らない音楽→シニカルな視線でのロックテイスト、みたいな方向だったみたいなんだな。ま、それは歌詞に表れているので、レイ・デイヴィスのシニカルな視点の才能はあらゆる人に認められているみたいで、多分そういうことなんだろう。何でまたそんな他人事で書いたかと言うとね、それよりもサウンドが良いんだよ。ロックっていうのもあるけど音楽が本当に良くって、英国的だしポップだし、でもロックだし喜劇的でもあるし確かにストーリー仕立てになっていてもおかしくない万華鏡のような煌びやかな光を放っている色褪せない音が満載♪別にハードロックやヘヴィメタやパンクやプログレが好きとかキライとかあっても良いけど、こいつは聴いておいて絶対に損しないし、わからなきゃ英国ロックっていう深さにはまだ辿り着けてないってコトだと断言しちゃうもん。自分自身最初は全然ピンとこなくて「軽い音だなぁ~」ってくらいにしか聴かなかったしさ。ところが、造詣が深くなればなるほどこのバンドの真髄がわかってくるし、この作品の良さもわかってくる、ハズ。

 アルバムとしてこれまたマニアの喜びそうなくらい多数のバージョンが存在しているので大変(笑)今入手できるCDはちょっと前にリリースされた3枚組デラックスエディションが一番お得で名作回収アルバム「The Great Lost Kinks Album」に収録の曲も多数入っている。「Village Green Preservation Society」はもともと12曲入りのバージョンでリリースされたらしいけど、即座に回収されて15曲入りバージョンの今普通に聴ける曲順のものが標準となったという経緯もあったんだけど、このデラックスエディションには15曲入りのバージョンのモノラルテイク、ステレオテイクが収録されてる。で、その前にリリースされたいわゆるデジタルリマスターシリーズの一枚物では15曲入りのモノラルバージョンに12曲入りのステレオバージョンがまとめて収められていたりして、何かとややこしい(笑)。つまりこの二種類は入手できるウチに入手しておくべし、ってことだね。この辺語ると色々あるんでキリがないんだけどさ(笑)。そんなんよりもやっぱ楽曲の良さに耳を傾けるべし。ホントどの曲も最高としか言えないんだけど、中でも特に「Village Green」が大好き♪胸がキュンッてする曲の良さだよね。あ~、いいなぁ~こういうの凄いよ。レイ・デイヴィスって人は絶対に英国シンガーソングライターの中ではダントツの人だと思ってるもん。ポール・マッカートニーよりも全然凄いしさ。ま、少数派だろうから勝手にほざいておくけどね(笑)。

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フレ
Posted byフレ

Comments 13

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V.J.  

>ポール・マッカートニーよりも全然凄いしさ
まだ、コメ入れてませんが、JAMの記事読んで、「わかってねーなー」と書こうと思いましたが、すぐに撤回(笑)
フレさん、やっぱ、分かってるなぁ~♪

少数派同士、わが道を行きましょう!
KINKSそして、この記事最高です!

2006/03/04 (Sat) 22:51 | EDIT | REPLY |   
tente10  
コメントありがとう

フレさんの言うように好みもあるんだ
ろうけど、ザ・フーは過大評価されているようで、おいら嫌いじゃないけど
当時のロック状況から考えたら
キンクスのほうがインパクトは強かった。

2006/03/04 (Sat) 23:06 | EDIT | REPLY |   
Shinyan  
じゃ俺も

俺も、一丁真面目に聴いてみるか
どうも、避けて通っていたんだよな
The Kinks・・・

2006/03/05 (Sun) 00:25 | EDIT | REPLY |   
evergreen  
まわりまわって・・・

まわりまわって・・・THE WHO,THE KINKSですよね。このあたりが、フレさんのツボみたいなもので・・・私は、キンクスは前に書いたとおり、未聴。年寄り向きだよね。渋いもん。フー・・・これは、それなりに知っています。どれも、ここの紹介は、いぶし銀のものが多い・・・

2006/03/05 (Sun) 12:02 | EDIT | REPLY |   
nyarome007  

初めまして! キンクスは本当に大好きで、私は「Face to Face」から「Muswell Hillbillies」までの諸作品には無条件で降参状態なのです。でも実は、一番思い入れがあるのは「Soap Opera」という変わり者でもあります。
フレさんのブログには私の好きな音楽が沢山紹介されていたので、何だか嬉しくなってTBもさせていただきました。今後とも宜しくお願いします。

2006/03/05 (Sun) 13:58 | EDIT | REPLY |   
ぷくちゃん  
今到着した・・・

先日酔っ払った勢いでamazonでキンクスの3枚の紙ジャケをワンクリックで買ってしまい自己嫌悪に陥っているぷくちゃんといいます。

いいですね。キンクス。ひなびたパブで流れていそうで。ちょっとしたラッパの使い方にも独特のセンスを感じます。フレさんの薦めに基づいて「プリザベイション」は朗読を飛ばして聴いている私でした。

2006/03/05 (Sun) 15:45 | EDIT | REPLY |   
SAMARQAND  

私はアーサーに胸キュンしております。キンクスは当時女子に相当人気があったようです。イギリスでの話ですが、それでクリッシーハイドとレイデイビスが結婚なんてなっちゃうんですね。

2006/03/06 (Mon) 01:02 | EDIT | REPLY |   
フレ  
ほんとコメント多数感謝!もっともっとど~ぞっ!

>V.Jさん
はは~、笑った(笑)。「わかってもらえるさ」って感じですかね♪ お褒め頂き恐縮です。キンクスはねぇ、みんなそうんなんでしょうけど、自分で見つけた、自分はわかる、って思えるバンドなんですよ、きっと。だから可愛がるんです。少数派?大好き、そういうの(笑)。

>tente10さん
へぇ…キンクスの方がインパクト強かったんですか?そういう状況ってなかなかわからないので実に興味津々なお話なんですよね…いいな。情報がイーブンだったらキンクスの方が音楽的には絶対良かったはずですから納得します、はい。だってわかりやすいしポップだしね。「Tommy」はクセあるしさ。そういう意味では納得するなぁ。

>Shinyan
まぁ、聴いて損はないと思うけどな…。ハマると楽しいし(笑)。

>evegreenさん
そうですねぇ、好きですねぇ。でもど真ん中には燦然とZepがあるんですけど、V.Jさんのように好き過ぎると書けないっつうか、そういうのあってさ。キンクスとかは書きやすいんだもん。で、万人が聴いてもわかりやすいと思うし、オススメしたいし、ってのが大きいかな。ザ・フーやキンクスってまだまだ知名度っつうか理解度低いもん。Zepはそういうの超えてるから別に、ね。

>nyarome007さん
一番おいしい時期ですね、それ。「Soap Opera」もまぁ、一貫性のある話だし、個人的には「Schoolboys In disgrase」とか大好きです♪あ、これ、nyaromeさんとこのコメントにも書いたか(笑)。音楽雑食ブログですので楽しんでいって下さい♪

>ぷくちゃん
20bit HDCDってヤツ?やっぱ音良いのかな?システムがアナログ的なのであまり享受できないんですが(笑)。「プリザベイション」の朗読は日本人には不要でしょう(笑)。唐突に「Daylight」でいいと思うけどな…、あ、多分賛否両論(笑)。実はこの「Village Green」聴いて「Preservation」聴いて、「2」聴いて「Schoolboys」聴くと初めて完結するんだよね。

>SAMARQANDさん
アーサーですね♪そのうちこれもやります、多分。名盤ですしねぇ。レイとクリッシーは結局結婚したんでしたっけ?しなくて子供産んだんじゃなかったっけ?多分結婚はしてないと思うけど…、ま、どっちでもいいんですが(笑)。ねぇ、凄いですよねぇ…。

2006/03/07 (Tue) 00:13 | EDIT | REPLY |   
chaaki  

コメントありがとうございました!(まだ、FreeのCDは見つかっていませんよ…)
キンクス、私も好きです。初期の頃しか聴いてないけど、「英国の田園風景」って感じがして好きです。最初はフ-が好きでキンクスに繋がっていきましたけど…フレさんのブログを読んで、もっといろいろ聴いてみようと思いました!

2006/03/07 (Tue) 22:51 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>chaakiさん

フリーいいっすよ~♪
キンクスも色々アルバムあるんでどれからってのがなかなか難しいんですけどね、この作品なら間違いないです。…が、まあ、アリスタ時代の方が聴きやすいってのもあるなぁ。ま、アレコレ試すしかないっすね(笑)。

2006/03/07 (Tue) 23:20 | EDIT | REPLY |   
もりたん  

ども!ワタシもこの盤は歌詞もさることながら
メロディがとても良いと思います!
思わず涙目になりそうなくらいの美メロですよね♪

2006/08/03 (Thu) 23:34 | EDIT | REPLY |   
akakad  

タイトル曲のライブ版でTo the Bornに収録されてるバージョンが大好きです
あとはWicked Annabellaが重めでこれも気に入ってます

2020/06/15 (Mon) 21:24 | EDIT | REPLY |   
フレ
フレ  
>akakadさん

「To The Bone」はホント、素晴らしい作品で、キンクスの名曲群を裸にして美しさを聴かせてくれてると思ってます。

2020/06/20 (Sat) 16:23 | EDIT | REPLY |   

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