Gnidrolog - In Spite Of Harry's Toe-Nail
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フルートという楽器は時には凶暴になり、もちろん俗世では優しく憂いのある笛の一種なのだが、前者の凶暴性ってのはロックの世界でしか使えないだろう。もちろん両面とも使えるので実は幅広い音色の楽器のひとつなのだが…。そんなことであまりにも大人しいフルートを聴いていると凶暴性の高いフルートを聴きたくなるものだ。そんなことで、名高いイアン・アンダーソンはちょっと後回しにして、マイナーなニドロローグ。セカンドの名盤「Lady Lake」は以前書いているのでそっちを見てくれると嬉しいけど、大好きで素晴らしい作品だね。だからこちらでは今回はファースト「In Spite Of Harry's Toe-Nail」です。
1972年リリースのデビューアルバム「In Spite Of Harry's Toe-Nail」。昔はこれも全然見かけることなくって探し回った。結局CDになってからやっと聴けたという代物。セカンドの「Lady Lake」もカウンターフィット盤で聴いてて、その後にCD出たから速攻で買って聴いたけどそれよりも更に時間掛かったのがこのファースト「In Spite Of Harry's Toe-Nail」です。聴けた時はホントに嬉しかった。何がってさ、もちろん手に入れたってのもあるけど、音がね、全然裏切られなかったんだよ。期待通り、もしくは期待以上だったもん。セカンドの「Lady Lake」が叙情的且つ凶暴、更にメロディーセンスもばっちりで好みだったので、その準備段階の世界だろうと想像していたんだけど、聴いてみたら既にそのスタイルは完成されている。叙情性ってのがちょっと異なる方向にあったくらいで、凶暴性も美しい旋律も健在。時にはマグマのような展開になるし、それでもやはり英国のバンドらしくしっかりと情緒をわきまえた上品に高貴に楽器が鳴るってなもんだ。ボーカルにしても優しいハイトーンの声で、その姿からは全く想像できないほど美しい歌声と楽曲の数々は多くのファンを虜にする。主にプログレと呼ばれる世界の好きな人は必ず、ですね。
うん、クリムゾンらしさもあるしマグマらしくもあるし、繊細で綿密に創り上げられているっていう意味ではジェントル・ジャイアント的でもある。小曲も大曲も聴かせるところが多くて面白い。ジャジーな展開もクラシカルな展開もあり、やはりロックなアプローチ。フルートやオーボエってのは全開で効果を発揮しているので、このバンドの武器のひとつ。フリーな要素と構築美が見事にミックスされた奇跡のバランスは唯一無二の代物で、もっともっと語られても良いレベルのバンドです。
この後セカンドアルバム「Lady Lake」をリリースして消滅…、勿体ないなぁ。フルート奏者のナイジェルさんはスティーライ・スパンへ参加することとなるようだ。この人のクセってのがまた強くてねぇ…。こんなところでスティーライ・スパンとニドロローグが繋がってしまう大英帝国のロック世界に奥深さを感じるでしょ。
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