Tyrannosaurus Rex - Unicorn

0 Comments
 不思議なサウンドを奏でていた人の中にはマーク・ボランもいる。自分的に、って意味だけど(笑)。うんエレクトリックブギの王者、なんてイメージで植え付けられていたからど真ん中の作品を聴いてみてもそうか?ってな感じで、ちとなぁ…と思ったこともあったんで、その後にアシッドなフォークをやってるティラノザウルス・レックスってのもどうなんだろ?って感じだった。実際最初に聴いた頃は何やらよくわからん長いタイトルや妙~な雰囲気でフォークを奏でてフワフワした歌声が舞っているって印象しかなかったもん。この頃の音の良さを知ったのはもうちょっと後になってからだ。

ユニコーン 神秘の覇者
T. Rex - Colour Collection: T. Rex T. Rex - Colour Collection

 1969年リリースのティラノザウルス・レックスの三枚目、パーカッションのスティーブ・トゥック参加の最終作品。しかし、ギターと歌とパーカッションっていう組み合わせも変わっているよな…。この「ユニコーン」では4曲目の「Cat Black」に冒頭から美しいピアノが入っているんだけど、これはプロデューサーのトニー・ヴィスコンティによるプレイ…、そうそう、マーク・ボランってボウイと共にトニー・ヴィスコンティさんの元で大成した人なんだよね。だからなんとなく「ハンキー・ドリー」と音作りが似ているのだな。

 さて、そういうワケで、ピアノ、フォーク、パーカッション、冗談みたいなコーラスワークによって奏でられているサードアルバム「ユニコーン」だが、どう聴いてもメジャーな代物ではない。ただ、恐ろしくキラキラと光る音色の輝きと幻想の世界に住んでいる住人の浮游感が聴いている者を恍惚とさせる自然さがある。多分ね、エレクトリックな楽器が登場しないから人間的に自然に受け入れられるんじゃないか?優しいもん、このアルバム…っつうかティラノザウルス・レックスの初期作品はどれもそんな感じだから好きだね、今は。ロックかと言われるとちと違うけど、こういうのもありでしょ、っていう不思議な独特の世界。マーク・ボランの世界っていうのでもなくってティラノザウルス・レックスの世界…まぁ、同義ではあるけど、マーク・ボランになってからはやってないでしょ、こういうの。たまに出てくるけど。

 どの曲も2分から3分程度のもので淡々と進められるアルバムの進行なんだけど、時代が時代だから指輪物語の影響を思い切り受けながらどんどんと情景が変化していく様を聴けるのが面白い。何と言っても現世から逃避できる音世界というのが大きい。狙ってできるもんでもなくって、自然にそうなっているところが面白いしブギの帝王なんてならなくても十分に独特の世界を創り上げることの出来た人なんだろう。才能あるね。初期作品の中ではもっとも光り輝く傑作かな。



関連記事
フレ
Posted byフレ

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply