The Rolling Stones - Black And Blue

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 レッド・ツェッペリンが「プレゼンス」の録音を三週間で仕上げてしまったことは有名だが、もともとはメモ程度の録音予定が本格的な録音になってしまったということで、ミックスの作業などを考慮していなかったと言う。そこでジミー・ペイジはモントルーの同じスタジオを後から予約してあったストーンズのミック・ジャガーに二日間だけ融通してもらって急ピッチであの作品を仕上げたというのも有名な話。そのストーンズが同じスタジオで録音していたアルバムが「ブラック・アンド・ブルー」。

ブラック・アンド・ブルー Some Girls (Reis)
The Rolling Stones - Black and Blue Black and Blue

 同じスタジオながらもバンドが違うとこうまで音が違うのかというのは当たり前と言えば当たり前だが、そんな身近な逸話があるので何となくの共通項を探してしまうじゃないか。ただ、間違いなくツェッペリンの方がラフで音がデカくてロックだ、ってのを感じたくらい。それはともかく、この「ブラック・アンド・ブルー」期は有名な話でして、前任のミック・テイラーが突然脱退表明したおかげでレコーディングが滞っていたというものだ。次期ギタリスト候補にはジェフ・ベックやロリーギャラガーなどの名前が挙がり、実際にセッションしていたらしい。他数名のギタリストは実際に「ブラック・アンド・ブルー」のレコーディングにも記されているのもある。それはもう単に入社試験だからなぁ…。結局どこの世界も同じで顔見知りだったり知ってるヤツ、いわゆるコネってのが一番重要で、ロン・ウッドになるワケだ。今となっては正解だった事は一目瞭然だが、そんな最初の作品です。と言うか、コレ、聴いてると分かるけど、何かのセッションアルバムみたいな雰囲気を醸し出しているのは事情が事情だからしょうがないのだろうか?それでもミックとキース主導ならば問題ないはずだが。

 最初の「Hot Stuff」からして誰これ?ってな感じで、レゲエナンバーの「Cherry Oh Baby」なんてどこにストーンズ色があるんだ?ってなモンだ。アルバム一貫して声がミックじゃなかったらワケの分からないアルバムだったろうと思う。ところが、ミックの声なのは事実で、特色のある曲を除けばもちろんストーンズらしいアレンジも聴けるのは当たり前。聴いててホッとするのは「Memory Motel」あたりで、ストーンズらしいと言うトコロだ。何か、ストーンズらしい曲とレゲエとかに影響されまくったのが交互に同居している感じで、当時の周辺の音楽の影響力ってのがよく分かる。レコーディングが1975年頃だろうから、その前後にこういうのが出てきたのだろう。クラッシュの連中がレゲエを血肉にしたのも多分似たような頃だし、クラプトンがボブ・マーリーをカバーしたのもこの頃だ。だから結構流行に敏感なストーンズのアルバムがこうなってもおかしくはない。ただ、今となってそういうアプローチは何だったんだろ?と思うと少々疑問。それでもそうやってバンドは生き残ってきたんだから良いと言えば良いのだろう。

 そんなワケで最近何度も何度も再発が試みられるレーベルの意図は別として、ストーンズのアルバムの順位の中では相当下の方に位置するとは思う「ブラック・アンド・ブルー」だが、アプローチの手法や消化の仕方を聴いている分には面白いかも。



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フレ
Posted byフレ

Comments 5

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LA MOSCA  

うーん・・・。
コレに関してはちょっと反論させていただきます(笑)
このアルバムは良いですよ!
俺的には、ストーンズの作品中、5本の指に入る名作。
ファンの間(少なくとも俺の知り合いの中では)人気も高い作品です。

http://lamosca.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-4c79.html

2009/08/16 (Sun) 21:37 | EDIT | REPLY |   
ひで  

自分も最初聴いた時はガッカリ、っていうか自分のイメージするストーンズ像と余りに違い過ぎるので永らくレコード棚の奥に眠ったままでした。
ホント、最近になってやっとその良さが分かったんですけど。スルメみたいにジワジワ味が出るアルバムですかね。

2009/08/17 (Mon) 16:14 | EDIT | REPLY |   
フレ  
ども♪

>LA MOSCAさん
そうですかぁ…、まだまだ未熟な自分っすね(笑)。やっぱ初期から中期のストーンズこそストーンズの音、って拘ってるからかな。ま、でも好みだからいいか(笑)。

>ひでさん
そうですか…、やっぱじっくりジワジワ系のアルバムなんですねぇ。多分ストーンズ像のギャップ、そのものです(笑)。

2009/08/23 (Sun) 10:06 | EDIT | REPLY |   
OB3  

ストーンズの中ではもちろん、すべてのロック~ポップスを見渡しても傑作の一つではないかと思います。いろんな黒人音楽をストーンズ流に消化してノビノビとやっている感じ。特に1、2曲目のカッコよさは今聞いても鳥肌モノ。メモリー・モーテルはむしろ凡庸な感じがします。これと次のサムガールズ辺りがストーンズのピークかな。

2012/04/24 (Tue) 19:45 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>OB3さん

…とウチのバンドのストーンズマニアも申しておりました。
やはりそういう位置付けになっているアルバムなんですね。
いずれわかる日が来ると思いたいです。

2012/04/25 (Wed) 20:59 | EDIT | REPLY |   

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