ストラングラーズやダムドが築き上げてきた新たなる波=ニューウェイヴによる音楽表現論は英国の一部ではかなりの度合いで浸透し、
ジョイ・ディヴィジョン や
XTC などに代表されるサウンドをもたらしていた。70年代のロックからすると相当に異質且つポップ過ぎる、もしくはオモチャのようなこのサウンドは明らかに聴く者を二分する世代のリトマス試験紙ともなっているんじゃないかな。かく言う自分も当時からやはりあまり受け入れられた音楽ではなかった。が、しかし時が経ても世代を超えて残っていき、更に継承者がそれを超えるサウンドを取り入れいつしか70年代ロックと80年代ニューウェイヴを融合させたようなロックがロックシーンを牛耳るようにまでなってくる姿を見ていると、あながちこのニューウェイヴというロック論も見捨ててはいけない重要な要素と言うことに気付く。まぁ、音楽やロックなんてそんな風に聴くモノじゃなくていわゆる感性に訴えて好きなものは好きで、良いものは良いので聴くという姿勢で十分だろうけど、やっぱりね、根が真面目なのか「どうしてこれほど重宝がられるんだろう?」という素朴な疑問から新たなジャンルにトライするくせが身に付いているのかな。幸か不幸かシーンそのものをリアルに見ていたからオーヴァーラップさせた感覚で新たにチャレンジできるんだな。
で、何をズラズラと書き並べているかと云うとザ・スミスについて語ろうなどとしている自分が少々不思議だからだ。元々ハードロック、ロックンロールが好きな自分がこのようなバンドと接点を持つなどと考えたことがなかったので、何か前説しないとな、なんて思うワケ(笑)。色々な仲間と出会う中でこういうバンドを真剣に聴いて好きでギターを弾くヤツってのがいて、決してセッションなんかできないんだけどギタープレイ一つ取っても全然アプローチが違うから新鮮でさ、何がルーツなのかと云うとこのヘンだったんだな。んで、興味を持つんだけど音楽的には興味がなかったりする。でもギターとか面白い。ん~、、、ってのがあったんだ。でも今は素直に聴いている面があって大人になったなぁと自画自賛(笑)。
ま、一応ほとんどのアルバムは聴いていて、どれも面白い要素があるんだけど、やっぱりこんなサウンドのくせに滅茶苦茶重い感のする
ファーストアルバム が一番良いのかな。決してポップではない、独自のニューウェイヴサウンドで、ダムドのゴシックな世界のサウンドが延長されているようなイメージ。ま、そんなに影響を受けてはいないと思うんだけどさ。その重い
ファーストアルバム 、、、やっぱ相当ヘン。イギリス人だからなのか、作りがヘン。これがセンスなんだろうけどね。でも有名になった「This Charming Man」のギターリフなんてのは正に新たなる衝撃を受けるに相応しいセンスで、これは凄いと思う。Zepが創り上げたリフの世界とは全く異なるトコロで同様のインパクトを与えているとも言える。だからザ・スミスも伝説のバンドになっているんだろうね。アルバムではA面の暗さよりも当然この曲以降のB面の方が圧倒的に聴きやすくザ・スミスの本質を物語っている。ヘンなポップ、なのだ。ドラムは下手だし、
モリッシー だって歌い手としては全然巧いワケじゃないしね。でも個性は凄い。ロックなんだな~、こういうのってさ。
以降のアルバムではやっぱり
「ミート・イズ・マーダー」 が80年代ロックらしくポップさとロックらしさとスミスらしさをきちんと出している作品だね。「Barbarism Begins At Home」のリフが凄く好きなんですけど(笑)。これも思い付かないロックだからかもしれん。まあ、今日はちょっと息抜き的に変わったのを取り上げてみたけど、ニューウェイヴの進化ってのも今やひとつのロック史なんだよな。
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