Rennaisance - Turn On The Card

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 女性の美しい歌声に囲まれると言うのは季節を問わずに心地良いものだなぁとつくづく思う次第です。そんなことで一足も二足も先に立派なマダムになっている美しき歌声を持つ女性の走りとも云えるアニー・ハスラム妃の属するルネッサンス。来歴はそこかしこで見てもらうとして、クラシカルな作風とロックの融合に対してアニー・ハスラム妃のクリスタルボイスを前面に配することでポップさとキャッチーさを打ち出してロックファン以外にも大いにアピールしていたバンド。作風では70年代後半頃まではプログレッシブと呼ばれる部類に属するサウンドで大曲を中心に演奏していたけど、徐々にポップ的な傾向へと進んだ…結果70年代後期から80年代には生き残れずに崩壊。21世紀になって再結成して奇跡の来日公演を行った記録は「ライヴ・イン・ジャパン2001」というCDで楽しめる。

運命のカード カーネギー・ホール・ライヴ
Renaissance - Turn of the Cards Turn of the Cards

 ってなことで、過度期でもありまた非常に充実していた時期のルネッサンスが1974年にリリースした傑作「運命のカード」です。ジャケットは見て分かるようにヒプノシスの妙~なセンスで、アルバムタイトルともリンクしているナイスな代物、裏ジャケではカードにメンバーが写っているのも憎い演出ですな。

 さてさて、あまりにも好きな作品なので語るに語れないんだけど、いや、なんつうかルネッサンスのやりたかったことって多分このアルバムに全て詰め込まれているんじゃないか、と。冒頭の「Running Hard」からして10分弱の大作で実に叙情的でクラシカルで且つロック的な疾走感と美しさに満ち溢れた作品でして、そこに歌メロがキャッチーに入っていたり音色も豊富に要所要所にしっかりとさり気なく置かれていて非の打ち所がない傑作。とても10分弱の曲とは思えないほどのドラマ性がここにはある。ピアノの音色がそのドラマに起伏を付けているんだけど、バックのハットやベース音などがロック的疾走感を煽る…、いや、素晴らしい。そして次には3分程度の小曲「I Think of You」でしっとりと英国的に牧歌的歌い上げるという華麗さ。そしてA面最後を飾る「Things I Don't Understand」も10分弱の大作でやはりベースとピアノが曲の骨子を創り上げながらルネッサンスの影の功労者でもあったマイケル・ダンフォードの正式加入も大いに影響があるのだが、アコギの使われ方が顕著とも云える、正に組曲的クラシカルロックの最高峰。アニー・ハスラム妃の天上から降りてくるような歌声も素晴らしい。

 B面は美しきアコースティックな調べから始まり圧倒的な歌声で攻めまくる「Black Flame」。あまりメジャーな曲でもないようだけどメロディの秀逸さとアニー・ハスラム妃の起伏に富んだ感情的な歌声は実に感動的で、終盤ではどこかゆりかごに揺られているような至福感すら味わえる不思議な楽曲ですらあるが、その壮大感はこれもまた見事なもの。更に続いて「Cold Is Being」はアルビノーニのアダージョに歌詞を付けて歌い上げた代物で、実に荘厳な雰囲気を醸し出した名演。この旋律はねぇ、ジム・モリスンの「American Player」でも使われていtえ、そっちのも印象的だったからハッとするメロディだった。そして最後も10分弱に及ぶ超大作、そして超名作でもあるルネッサンスというバンドの集大成とも云える代表曲「Mother Russia」。ドラマ性や叙情性、そして哀愁性と欧州的センス、更に美しさや感動を与えてくれる何も言うことのない程に圧倒してくれる素晴らしき楽曲。10分弱では短いと思わせてしまうくらいの繊細で美しい音色と構築美で練られた音世界に身を委ねて…。終盤の壮大なコーラスワークから天上の歌声が降りてきて、更に大合唱へと雪崩れ込む様は他を寄せ付けない美しさと威厳を保った正に大英帝国的重厚さ。

 う~ん、久々にマジメにがっつりと聴いて書いた、って感じだ。何かね、やっぱ引き込まれるんですよこのバンドの音には。マニアさんからしたら全然大して聴いてないし、深堀もしてないんだけど聴く度にハマっていくし、それだけ答えてくれる音世界を持ったバンドなんだよね。アルバムジャケットから音から楽器から曲から全てがどこを取っても英国的でさ。

 それでこの時期のライブにはオーケストラを伴ってツアーを行って大成功を収めたということでライブアルバム「カーネギー・ホール・ライヴ」が1976年にリリースされている。これもまた素晴らしい名曲ばかりが収められた、しかもオーケストラ付きなのでたっぷりと堪能できるライブ盤…、またその辺は次回♪






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フレ
Posted byフレ

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