Pink Floyd - A Momentary Lapse of Reason



「鬱」…とはなんとまぁ、皮肉な邦題(笑)。鬱の根元でもあったロジャー・ウォーターズが不在となってからこのタイトルかい。中身は滅茶苦茶鬱感がないサウンドなのだが…。どっちかっつうと清涼感さえあるアルバムという気がする。ま、それは置いといて、この「鬱」というアルバム、そもそもギルモアのソロ作品として制作していたものが母体になっているが故に、ベーシストにはクリムゾンを経由したトニー・レヴィンが参加して、面白い音を聴かせてくれます。ドラムにはカーマイン・アピスやジム・ケルトナーが参加、ニック・メイスンはほんの少し叩いている程度らしい。もちろんギルモアのソロ作だったらここまで幻想的な効果音や空間音を強調するようなことはなく、もっとシンプルな音になったんだと思うけど、裁判沙汰の確執の後に丁度良いタイミングでリリースできそうってことでピンク・フロイド名義にして健在性を見せつけようとしたんだと思う。だから、音響効果的な味付けは見事に往年のピンク・フロイド的エッセンスがたっぷり詰め込まれている。
そして楽曲レベルも相当に高くて演奏は見事なので雰囲気をたっぷりと味わって世界観を見れるって意味では全くよくできているピンク・フロイドサウンドの世界です。特にギルモアのギターがほとばしる「


…と書いてきたけど、やっぱりどこか芯がないってのが自分的このアルバムの総論なんです。多分ロジャー・ウォーターズが持ち合わせていた重さというかポリシーっつうかコアな部分だろうと思う。ロジャーのソロ作を聴いているとそういう重さというのはしっかりと、これまで以上に感じるのでその差を感じてしまうんだな。いや、好みの問題で言えば、だけど。ただ、ギルモアフロイドの雰囲気ってのはもう良くできたエンターティンメントだし、キライじゃないしね。美しい世界だから好みなんだけど…、難しいな。まぁ、こういう世界もあるってことで聴ければ良いでしょ。
アルバムジャケットについての逸話は有名なトコロだけど、各国盤などでジャケットが異なっているってのはあまり知られていない?ベッドに腰掛けている男性のポーズや、ロゴの位置などがそれぞれ異なっているみたいだね。
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