Samson - Shock Tactics

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 実に有象無象のバンドを輩出していた英国のメタルシーン創世期だったが、結局そのシーンからまともに残ったバンドってのはアイアン・メイデンくらいなもので、シーンの形成とサウンドの普及に一役買ったのみという哀しい結果に終わってしまっている。しかしアイアン・メイデンの成功というひとつの象徴はシーン全体に多様な結果を残したのも事実、らしい。知っての通りアイアン・メイデンってのは初期はメンバーチェンジが激しく、アルバムリリースごとにメンバーが異なるというくらいのものだったワケで、それぞれのメンバーの行った先のバンドもあれば元のバンドってのもあるからアイアン・メイデンのファミリトゥリーは膨大なものになっていく。その中のひとつにサムソンというバンドがある。一般的にアイアン・メイデンの声として有名なボーカリストが元々在籍していたバンドがサムソンなのだ。

Shock Tactics Head On

 1980年リリースの「Shock Tactics」という作品が一番評判が高く、確かにバンドとしての完成度も高いし、ボーカルのブルース・ディッキンソンもよく声が出ていてアイアン・メイデン的でもあるので、楽しめるものだ。しかしソングライティングの違いでここまで歌に差が出るモノかってのもあるが、この「Shock Tactics」というアルバムを聴いていると後のアイアン・メイデン時代よりもやっぱり若さが前に出ているって感じかな(笑)。グイグイ引き込まれる楽曲の違いもあるけど、強烈なインパクトの歌が全ての楽器に勝っているっていうのがアリアリとわかるので、バンド内のバランスも悪かったんだろう。そんな風に聞こえるバンドってのも珍しいけどね。

 さて、サムソンというバンド自体の話だが…、NWOBHMシーンに相応しい金属的な荒々しいサウンドで、楽曲はちょっと中途半端な感じが否めないんだが、それら全てをブルースが引っ張っていってしまっているというものだ。様式美的な楽曲を目指している風でもないし、パンクとの融合というワケでもないし、一本調子に攻めるというものでもない…。割と多様なサウンドを試しているという感じだが、やはりブルースに全て持って行かれているってのがな…。

 やっぱりどう聴いてもブルースの前歴確認レベルでしかなくって、それがまた納得出来すぎるくらいに強烈でした、ってなもんだ。結果、アイアン・メイデンの楽曲レベルはこの歌を非凡なモノにしてしまうくらいの素晴らしさってことで、なんだかんだとアイアン・メイデンってのはなるべくしてなったバンドだし、選ばれたモノ優れたモノが集められた集団となったワケだ。

 さて、サムソンというバンドだが、このアルバム「Shock Tactics」でブルースがアイアン・メイデンに加入してしまうので、そのまま消滅してしまったらしい。う~ん、それもしょうがないことだが、こういうB級の香りってのもなかなかよろしいね♪



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フレ
Posted byフレ

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