Patti Smith Group - Wave
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1979年パンクの女王と呼ばれたパティ・スミスがアルバム「ウェイヴ」をリリース。コレを機に一切の活動から手を引き主婦業に専念した。もちろんそんなこと後で知った話でして、なんかちょっとパティ・スミスもパンチがなくなってきたなぁ~、くらいにしか思ってなくって、やっぱり初期衝動が好きだったな~なんてね。一連のアルバムの中ではあんまり聴いた方じゃないアルバムがこの「ウェイヴ」という作品。まぁ、他のをたくさん聴いていたからかもしれないけど、ちょっと骨っぽさがなくなった感じがしたからだと思う。
パンクの女王ったってこのヘンになるとちょっと違うんだよな。今冷静に改めて聴いてみると正しい王道ロックを継承したサウンドにこれもまた正しく継承した詩の世界を振り掛けたもので、どこにもパンクな要素は見当たらないのかもしれない。本人はそのヘンを否定しているのか肯定しているのかも知らないけど、多分語ったことないんじゃないかな。どっちでも良いというか…。特にこの「ウェイヴ」というアルバムは愛に満ち溢れていると言われるところもあるからか、音に余裕があるんだな。もちろんパティ・スミスが歌っているから独自のトーンにはなるんだけど、ドアーズ的な要素が強い感じ。ドアーズも後期はポップでキャッチーなの多かったから、そういう意味で通じる部分はあるだろう。
最初から綺麗なラブソング、そのままで何か違うぞ?と思わせながらも聴かせてくれちゃう「フレデリック」。更に「Dancing Barefoot」と来たらこのアルバム好きです、って言わせてしまうだろうな(笑)。そしてお気に入りの「Rock'n Roll Star」だしね。この辺のインパクトが強いから他の曲がちょっと沈んでしまうくらい。ところがB面に進むと今度は深くて重い作品がズラリと並んでいて、やっぱパティ・スミスの世界は深い、と思わせる楽曲ばかり。名曲「Broken Flag」なんてのはその真骨頂。ただしパンクとかどうのというのではなく、ロックな楽曲として聴いてみて素晴らしいというものだ。
うん、ここの所軽いパンク的な音を聴いていたから、この「ウェイヴ」を聴くともの凄く重く聞こえる。でも、そうだよな、こういう重さこそがロックの真髄で…、なんてまたもやその深さに痺れてしまった。普段から聴いていようとは思わない人なんだけど、聴いた時は響く。だから軽々しく書けないし聴けない。最後のリーディングを聴いているとやはり歌詞を追求したくなる。なんて深い人なんだろう…。
圧倒的にA面のロックとB面のロックが異なったアルバムで、プロデュースのトッド・ラングレンも深くは突っ込まなかったと言われるこのアルバム。初期衝動とは異なるパンクよりも深いロックの真髄をこのハッピーなアルバムですら聴けるホンモノ。
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