Roy Buchanan - That's What I Am Here For

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 多彩なジャンルに精通したミュージシャンやギタリストというものはアルバム毎や楽曲毎にかなり異なるアプローチを試みるもので、そのおかげで掴み所のないアルバムになってしまったり捉えどころのないミュージシャンと思われてしまったり評論されてしまったりすることも多いみたいで、なかなか全体を押さえきれない人がいる。いや、それこそホントのミュージシャンだと思うけど、やっぱりそこはロックという狭義のカテゴライズがあるわけさ。いや、だからそこのゾーンにどうアルバムを打ち出すかってのが売る側の仕事だったり作り手の意図だったりする…んだと思う。

That's What I Am Here For That's What I Am Here For/Rescue Me

 ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズ離脱後に白羽の矢が立ったギタリストでもあるロイ・ブキャナン。彼のギタースタイルを聴いていると結果ストーンズに加入したミック・テイラーとも共通するが、上手くて的確なギタリストを当時のストーンズは欲しがっていたってことだろう。

 それはともかく、このロイ・ブキャナンって人は全く掴み所が難しいギタリスト・アーティストです。アメリカ人なので基本的にブルースやカントリーの影響下にあることが大部分なんだが、ジェフ・ベックと同様に革新的なスタイルを導入することも好きな人なのでそのサウンドが深みを持っているのだ。ブルースギタリストとして圧倒的なプレイを見せることが中心ではあるだろうけど、インストものも非常にユニークだったりするし、とんでもなくアグレッシブな速弾きをディストーションをかけてやったりするのもあるし、なにせトレードマークはテレキャスだ。それでこの音出すんだからとんでもない。

 ロック好きのファンが取っ付くなら1974年にリリースされた三枚目の作品「That's What I Am Here For」が一番いいんじゃないかな、と。ギター的にもロック的にも。歌はほとんどボーカリストのビリー・プライスを雇って歌わせているのでロイ自身の歌は二曲程度だが、まぁ、歌は大して気にしなくても良いでしょう。うん、このビリー君の歌は割とソウルフルで良いんだけど、やっぱこんなもん、ってわかるから。その分ギターに耳が行くと思う。特にジミヘンを意識した「Hey Joe」のカバーでのギタープレイは結構ぶっ飛んでる。歌も歌ってるし。インストものが上手いギタリスト、ってのとはちょっと違うロックな魂を炸裂させてくれる曲だね。しかし歌がえらくソウルフルなのに対し、ギタープレイが思い切り派手なロックなので聴いてて凄くギャップがあり、その辺ダメな人はいるかもしれない。ま、ベック聴ければ大丈夫でしょ。

 …しかし、ここまでギターを弾き倒すアルバムってのも久々に聴いたかも。やりすぎだろう、ってくらい弾いてる。それがまたエグくて聴いてしまうので余計にタチ悪い(笑)。見かけは普通のアメリカ人のおじさんなんだけど、無茶苦茶見かけとギタープレイがマッチしないアグレッシヴな人です。今ならこのアルバム「That's What I Am Here For」と次の作品「Rescue Me」がセットになって安くてに入る…。こういう売り方もどうなんかねぇ…。



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フレ
Posted byフレ

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