Depeche Mode - Violator

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 時代の波は過酷だ。英国のポストパンクやニューウェイヴを担う連中はそういう空気感を肌で感性で感じて颯爽と身を翻したものだ。そういった動物的本能で察知できないバンドは一瞬で消え去るか、伝説と化してその時代の寵児として残るか。しかし一方では本能的に感性で察知してしまうことで自身の音楽性を常に変化させていくという手法もあった。先日のダムドなんてのは実は趣味に進化したという面も大きいが、結構敏感に空気を察知するセンスを持っていたんだろう。ファンというモノはそれについていけずに非難するものだが…。

Violator Black Celebration

 デペッシュ・モード。1980年代にシーンに登場し紆余曲折ありながらも現在ではヨーロッパ全土を制する大物バンドとして君臨しており、その実ありとあらゆるバンドがカバー曲をアルバムで演じていたりするほどだ。しかもそれが通り一遍のアレンジではなく、皆それぞれのアレンジによってカバーされているがどこを切ってもデペッシュ・モード独特の雰囲気が曲全編に溢れているのが凄い。完全な個性を曲で表現しているバンドなのだ。意外や意外、そしてあまり知られていない事実…。

 1990年リリースのデペッシュ・モードの出世作「Violator」。こういう音楽に触れたことのない人はさっさと切るか、興味を持ってハマるか。デヴィッド・ボウイの「ロウ」を初めて聴いた時の反応と同じ衝撃を受けるかもしれない。またはこの得も知れぬ深さを理解したいために何度も何度もアルバムを流すのかもしれない。ただ、何か引っ掛かることは間違いないだろう。ゴシックやらインダストリアルやら色々な新たなジャンルに用いられる単語は生まれてくるものの、どれもこれもデペッシュ・モードに既にやられている音世界である、などという言い方も過言ではないのかもしれない。

 ロックとは元来チープにギターを掻き鳴らし歌うものだ、という概念は正しいが、こういうバンドを聴いてしまうとロックって一体どういう世界なのだろう?と考え直す領域に踏み込む事になると思う。それほどまでにインパクトと衝撃が詰め込まれたサウンドで、一言二言では言い表せないが、やはり未だ見ぬバンドへの挑戦ということで少しだけ書いておこう…。久々にマジメに書いて言葉を失ったアルバムなんだよね、これ。

 基本デジタルビート的サウンドで、ハードなギターなどはほぼ皆無。鍵盤とビートが主体のクールで正にインダストリアル(無機質)なサウンド、そこに低音を強調したデカダンな歌声が正にロマネスクに響く。そう…色は正に銀色。赤も黒も青もない。それでいて不思議なことにもの凄く人間味を感じる音の温かさを感じたりするのはなぜだろう?

 単なるエレクトリックポップバンドとして聴いた80年代のヒットチャートでの音からは大きく逸脱して独自の進化を遂げ、更に全ヨーロッパを制覇してしまったサウンド、しかし彼等は進化を恐れず無碍にチャレンジしていった単なる結果として受け止めていることだろう。これこそ音楽家の姿ではないか?

 いや~、びっくりした~、これ。凄い。最近のバンドでデペッシュ・モードのカバーしてるの多いからちょっと聴いてみたらこれだもんなぁ…。マジ、驚きました。凄い。センスの塊。



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フレ
Posted byフレ

Comments 5

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ハム  

始めまして。いつも楽しく拝見させてもらっています。Depeche ModeのViolatorを始めて聴いたときは衝撃的でしたね。それまでモトリークルーといったハードロックばっかり聴いてて、そんな中CDショップでEnjoy The Silenceが流れてて「何じゃこの音楽は~~!」と(笑)。急いで店員にバンド名聴いてCD手に入れて、しばらくの間ず~と聴いてました。
こういったバンドを聴くと、ロックの定義というものが分からなくなってきますよね。
ただ知り合いの何人かのロック好きにも薦めたけど反応はいまいちでした(笑)。

2009/02/18 (Wed) 19:33 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>ハムさん

ども♪
うん、こういう音って人に薦められても聴かないと思う(笑)。自分もだけど、ピンと来ないモン。ただ、タイミングが合うと「おおお?」って思う。デペッシュ・モードってそういう意味で垣根が高い…。出会ってよかった音ですね、これも。ロックの定義って…難しいっす。っつうかできない(笑)。いいじゃないですか、幸せな音に出会えれば。なんてね。
これからもよろしくお願いします~。

2009/02/18 (Wed) 21:00 | EDIT | REPLY |   
水城ルナ  
はじめまして

Depeche Modeに関する考察なかなか面白く読ませていただきました。

>ロックとは元来チープにギターを掻き鳴らし歌うものだ、という概念は正しいが、こういうバンドを聴いてしまうとロックって一体どういう世界なのだろう?と考え直す領域に踏み込むこととなると思う。
…この意味で言うなら、元々DMはギター・バンドでしたが、ギターがうまく弾けないためにシンセを使いだしたという逸話があります。スタジオ盤では弾いていませんがこの頃のライブではMartinは一部の曲でギターを弾いています。またこの後の「Ultra」のライブではギター・ベース・ドラム・シンセという編成でステージをこなしました。
ご存じかと思いますが、この頃までのDMのサウンドはMartinが作ったメロディーをAlanがシンセで作るというもので、ゴシックやインダストリアルな音はAlanの趣味によるものです。その背景にはDaveが101ツアーで疲弊して麻薬中毒に陥った世界をそのまま音で再現したというものがあります。
AlanとMartinの世界観の差はそのままこのアルバムと、Alan脱退後のRecoilに反映されていると思いますので、よろしければRecoilと聴き比べてみてください。

2009/03/18 (Wed) 15:03 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>水城ルナさん

どこからこんなゴシックやインダストリアルなのを用いてきたんでしょうね?斬新な音と文化の融合ですもん。Recoilってのがその後のバンドなんですね。いずれ探してみます…。しかしDM、こないだも101ライブ買っちゃいまして、結構ハマってる♪

2009/03/18 (Wed) 23:06 | EDIT | REPLY |   
水城ルナ  
マニアックですいません

>どこからこんなゴシックやインダストリアルなのを用いてきたんでしょうね
…DMの音がガラリと変ったのは83年の3rdからなのですが、このアルバムの一部はベルリンのハンザ・スタジオで録音されています。当時のBerlinにはE.NeubautenやNick Caveらがいたので、そこから刺激されたとAlanがインタビューで語っています(Muteレーベル・メイトでもありました)。

2009/03/19 (Thu) 14:24 | EDIT | REPLY |   

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