Fruupp - Modern Masquerades

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 英国ロックとファンタジーってのは割と容易に結びついていることが多いんだけど、アイルランドの音楽とファンタジーってのはあまりない。いや、そもそもアイルランドの伝承音楽ってのはファンタジーに近い部分あるけど、どれもブラックな感じなので、ちょっと結びつけることも少なかった。今更ながらアイルランドのバンドでこれほどに英国的にファンタジーで叙情的なサウンドを70年代に展開していたバンドという存在価値の高さを確信したバンドがこのフループ。Fruuppっつうスペルなんだけど、スタジオにいた幽霊の名前をフループってしていたのでこのバンド名を付けたってことらしい。それくらい日常的に幽霊やレプラコーンっつうのが存在しているのがアイルランドなのだろうか…。

当世仮面舞踏会(紙ジャケット仕様) 太陽の王子+シングル(紙ジャケット仕様)

 いやいや、話題的にはキング・クリムゾンを脱退したイアン・マクドナルドがプロデュースしたフループの最終作品となった「当世仮面舞踏会」ってことが有名なんだけど、もともとこういう気質をしたバンドの音だったわけで、それでも鍵盤奏者が入れ替わっているってのは実は大きな出来事。なぜなら3枚目の「太陽の王子)」までは昔の鍵盤奏者が多くの曲を書いていたワケで、当然作曲者が変われば音も変わるってなもんだけど、あまりその差を感じさせないあたりがバンド、ってことか。

 叙情性は相変わらず素晴らしいもので、実に英国的、もしくは日本的な旋律でして、それもギターでねちっと鳴らしているので心地良くしつこい。それにエレピやらシンセオルガンも鳴ってきて、そりゃもう壮大なファンタジーによる一大絵巻が聴けるってなもんです。プログレとか意識しなくても聴けてしまう音の洪水なんじゃないかな、これ。歌は線が細くて心許ないけど、その分繊細という言い方もできるので、その手の歌が好きな人は悦に入ってしまうでしょ。そういえば聴いているとどこかキャラバンを彷彿とさせる音ってのも面白いね。

 しかし…、面白い音だ。自分的には好きだねぇ、こういうの。ベースが凄く走っていてブイブイとラインを奏でているので躍動感を出しているかと思えば、一気にジャジーな展開になったり歌モノに入ったり、でも基本的には叙情派バンドなのでしっかりと盛り上げてくれるし。ジャケットのファンタジックさも結構徹底していて、この「当世仮面舞踏会」は割と秀作ジャケットでしょう。うん。今じゃ簡単にCDが手に入るみたいで羨ましい限りだが、アナログは大変だったなぁ…。

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フレ
Posted byフレ

Comments 3

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papini  

これ初めて聴いた時さ、演歌かと思った(笑
いや、しょっぱなのイントロとか、演歌っぽいよね?
んで、やっとロックぽくなって安心したけど、やっぱりなんというか
ねちっこいんだな、英国的に(笑
これ、ヴォーカルが細いけど、アタシはこのヴォーカルで良かったんじゃないかな、って思う。
いや、これで野太い声で歌われても、ちと困る(笑

2009/01/20 (Tue) 09:35 | EDIT | REPLY |   
evergreen  
イアン・マクドナルド

私はどうもこのアルバムはイアン・マクドナルドがプロデュースって言うモードに入っちゃって、何かが中途ハンパな感じがするんだよね。
叙情的なのか、ねちっこいのかどっちなんだ!みたいな・・・
でもそこが面白いのかな?・・・結構やっぱり好きな音。

2009/01/21 (Wed) 21:44 | EDIT | REPLY |   
フレ  
叙情的=ねちっこい?

>papini嬢
そうそう、演歌だよ、これ正に(笑)。BJHくらいちょっと洗練されてれば良いんだけど、かなりしつこい。ま、キライじゃないが(笑)。歌は…、これくらいで良いかなぁ。

>エヴァ姉さん
イアン・マクドナルドの貢献度ってのをあまり気にしないで聴くといいんじゃないかと。やっぱバンドの音ありきでのプロデュースだし。ま、叙情的、ってとこで…(笑)。

2009/01/21 (Wed) 23:49 | EDIT | REPLY |   

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