T.Rex - The Slider
また何でそんな話なのか、っていうとだ、今日は名盤のジャケットには必ず出てくるT.Rexのマーク・ボランのどアップジャケットが有名な「The Slider」で行こうと思っているから。うん、1977年9月16日、妻のグロリアの運転する車で大木に激突して助手席に座っていたマーク・ボランは即死、運転手のグロリアは軽傷という不思議な自己でマーク・ボランは自分の予言通り30歳になる二週間前に死去。全く不思議な人生を歩んだ人だった。常に予言や予見があって、しかも思い通りに人を操ることもできたという魔法使いのような人。


うん、名盤、と呼ばれる。自分的にはイマイチ名盤の度合いがわからなくて、どっちかっつうと英国B級路線での名盤って感じなんだけどそのカリスマ性でスターに祭り上げられているって感じ。このアルバムも凄く良いよいう印象じゃなくて、結構ドロドロしてて英国の暗さというか、どことなく恐い部分を持った作品に聞こえるんだよね。もちろん「Metal Guru」とか「Telegram Sam」なんていうキャッチーな曲は対象外なんだけどアルバムとして聴くとさ、割と影のある曲ばかりだもん。「Mystic Lady」だって「The Slider」だってそうだし、アングラ的要素の究極は「Buick Mackane」なんかじゃないかなぁと。好きだけどね、こういう悪魔がかった楽曲ってね。トニー・ヴィスコンティの絶頂期だったからってのもあるだろうけどさ。このアルバムが出たのは1972年の7月だからその前月にリリースされたボウイの「ジギー・スターダスト」と大して変わらない。しかしこのサウンドの違いはやっぱりアーティストの才能の違いであってプロデューサーの手腕ではなかったと云えるんじゃないか?ま、もちろんなんだけど。
しかしボランブギと呼ばれる楽曲はほんと独特のものだけどもっと暗黒面に目を向けて聴くと面白いよぉ~、このバンドは。そうすると自然とティラノザウルス・レックス時代の良さもわかってくるし…、そういう意味ではハマれる人なのかなぁ。どこかおもちゃ箱的で深みにハマってないからまだわかんないけど、ロックスターのイメージで聴かなきゃ面白いはず。最初はとっつきやすくて、途中子供だましに聴けて、しまいには実は凄く楽しめるアルバム。やっぱ名盤なのかもしれん。アルバムジャケットの撮影者がリンゴ・スターだとかそうでないとか…。どっちでも良いけど、凄いのはクリーム解散直後のクラプトンにギターを教わり、リンゴと仲良くなり、ボウイとは盟友でもあったというこの人のキャラクター。
今日もどこかでマーク・ボラン追悼ライブが行われていることだろう。それくらいにカリスマ性を発していた輝けるヒーロー。再度聴き直してみるには良い日かな。びっくりしたのはライノから出ているCD「The Slider」では別テイクを丸ごと収録した二枚組だった、ってことだ。知らなかった…。