T.Rex - The Slider

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 ロックの名盤を語るモノの本には必ずと言って出てくるアルバムがいくつもある。時代は全く進歩してないんかい、とツッコミを入れたくなるくらいに名盤と呼ばれるアルバムジャケットが並ぶ。80年代以降の作品でそういった作品を見ることはそれほど多くはない。そして毎回思うんだが、名盤なのか?と思うようなアルバムも割と多く掲載されていることもあって、やっぱりチョイスは難しいんだろうとも思う。例えばピンク・フロイドの「狂気」って最初から名盤ってわかんないと思うし、いずれはそういう耳を持って聴けるかもしれないけど、最初からそれはキツイんじゃない?って解釈もあるしさ。逆に誰が聴いてもあぁかっこいいなぁってのはだんだん飽きてくるっていうのもある。深みがある名盤とそうでない名盤ってのがあるんだよね。

 また何でそんな話なのか、っていうとだ、今日は名盤のジャケットには必ず出てくるT.Rexのマーク・ボランのどアップジャケットが有名な「The Slider」で行こうと思っているから。うん、1977年9月16日、妻のグロリアの運転する車で大木に激突して助手席に座っていたマーク・ボランは即死、運転手のグロリアは軽傷という不思議な自己でマーク・ボランは自分の予言通り30歳になる二週間前に死去。全く不思議な人生を歩んだ人だった。常に予言や予見があって、しかも思い通りに人を操ることもできたという魔法使いのような人。

The Slider Tanx

 うん、名盤、と呼ばれる。自分的にはイマイチ名盤の度合いがわからなくて、どっちかっつうと英国B級路線での名盤って感じなんだけどそのカリスマ性でスターに祭り上げられているって感じ。このアルバムも凄く良いよいう印象じゃなくて、結構ドロドロしてて英国の暗さというか、どことなく恐い部分を持った作品に聞こえるんだよね。もちろん「Metal Guru」とか「Telegram Sam」なんていうキャッチーな曲は対象外なんだけどアルバムとして聴くとさ、割と影のある曲ばかりだもん。「Mystic Lady」だって「The Slider」だってそうだし、アングラ的要素の究極は「Buick Mackane」なんかじゃないかなぁと。好きだけどね、こういう悪魔がかった楽曲ってね。トニー・ヴィスコンティの絶頂期だったからってのもあるだろうけどさ。このアルバムが出たのは1972年の7月だからその前月にリリースされたボウイの「ジギー・スターダスト」と大して変わらない。しかしこのサウンドの違いはやっぱりアーティストの才能の違いであってプロデューサーの手腕ではなかったと云えるんじゃないか?ま、もちろんなんだけど。

 しかしボランブギと呼ばれる楽曲はほんと独特のものだけどもっと暗黒面に目を向けて聴くと面白いよぉ~、このバンドは。そうすると自然とティラノザウルス・レックス時代の良さもわかってくるし…、そういう意味ではハマれる人なのかなぁ。どこかおもちゃ箱的で深みにハマってないからまだわかんないけど、ロックスターのイメージで聴かなきゃ面白いはず。最初はとっつきやすくて、途中子供だましに聴けて、しまいには実は凄く楽しめるアルバム。やっぱ名盤なのかもしれん。アルバムジャケットの撮影者がリンゴ・スターだとかそうでないとか…。どっちでも良いけど、凄いのはクリーム解散直後のクラプトンにギターを教わり、リンゴと仲良くなり、ボウイとは盟友でもあったというこの人のキャラクター。

 今日もどこかでマーク・ボラン追悼ライブが行われていることだろう。それくらいにカリスマ性を発していた輝けるヒーロー。再度聴き直してみるには良い日かな。びっくりしたのはライノから出ているCD「The Slider」では別テイクを丸ごと収録した二枚組だった、ってことだ。知らなかった…。



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フレ
Posted byフレ

Comments 7

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D.K  
電気の声!

ボウイが創造した?グラムをマークボランが世に広めた?のがグラムですか?T.REXを初めて聴いたときボランの声にエフェクターを掛けていると思っていました。それぐらいグラマラスな声ですね。他にもフープルやルーリード,マルコシアスバンプ(笑)等、色々なバンドがいましたがグラムバンドは大好き!中でもグラムの要素を強く感じるのが何故かパンクバンドのドールズです!どうですかね~?

2008/09/16 (Tue) 21:14 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>D.K.さん

確かにボランの声にエフェクターかかってるんじゃない?これ(笑)。グラムって音楽の定義じゃなくてファッションの定義に近いからねぇ…日本のイロモノバンドもグラムっちゃぁグラムかもしれないし(笑)。いやいや、ドールズ、しっかりグラムですが、ニューヨークってトコでちと違いますな。やっぱ英国グラムっす♪

2008/09/16 (Tue) 22:14 | EDIT | REPLY |   
ひで  

T-REXは日本編集のベスト盤から入ったんですが衝撃的でした。
ボウイを知る以前で、グラムってなんぞいや?って状態で聴いたからなおさら。そこから「電気の武者」「スライダー」と聴き続け段々飽きて来ました(笑)
でも最初の衝撃は凄かったなぁ…ヴィスコンティのドスの効いた嘘臭いオーケストラアレンジが凄く好きでした。

2008/09/17 (Wed) 04:12 | EDIT | REPLY |   
ラ・モスカ  

俺の友人、Mクンの名言。
「グラムっつてもさ、当時はボウイも、ロキシーもフープルも一緒に感じたのかも知れないけど、今、聴くとT-REXって全然違うトコにいるよね~。T-REXがグラムなら、他のはグラムじゃないってぐらい違うと思う」

で俺の意見は、ビスコンティーがどうした、ビブラートヴォイスがどうした、悪魔的な雰囲気がどうしたといろいろ思うものの、一言「カッコイイ!」ですませたい気もしますね。

あとグラムについてコメントもとめられたジョン・レノンのこの言葉が大好き
「ロックン・ロールが口紅塗っただけの話だろう?」

2008/09/18 (Thu) 21:25 | EDIT | REPLY |   
フレ  
さんきゅー!!

>ひでさん
そう、飽きてくるんですよ(笑)。かっこよいんだけどねぇ。なのでたまに聴くと凄く良いんで好きです。今回の収穫は目立たない曲がかなり実はかっこよいぞ、と言うことでしたね。

>ラ・モスカさん
うん、一番グラムらしいのはT-Rex。後はちと違う。でもそうするとグラムってジャンルがいらなくなるので問題(笑)。やっぱブギーなんですよね、ボランの。それとジョンのセリフ、かっこよすぎです。最高にかっこよいセリフっす、それ。知らなかったので感謝です!

2008/09/18 (Thu) 21:57 | EDIT | REPLY |   
波野井露楠  

まさにTレックスはキャッチーな魅力と怖いくらいにドロドロしてる部分の魅力の両方がありますよねえ。
好きな曲はキャッチーなものが多いのですが、アルバムだとドロドロした曲が多いのが好きだったりもします(笑)。

2008/09/20 (Sat) 20:59 | EDIT | REPLY |   
フレ  
>波野井露楠さん

いやぁ=、さっき「Born To Boogie」見てたので余計にかっこよく聞こえてきた。若い時にこの映画見れたら結構人生変わったかもなぁ…。うん、アルバムのドロイ部分の方がマーク・ボランの本領だと思う。

2008/09/21 (Sun) 22:22 | EDIT | REPLY |   

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