Batalion D'Amour - W Teatrze Snow

Batalion D'Amour - W Teatrze Snow (2001)
W Teatrze Snow

 ゴシック・メタル界隈ってのはすでに一度盛り上がって淘汰されてしまって、そこからは消えていくバンドと現存するバンドでも自らの方向性をきちんと決めて生き残っていく事にしているケースが多く、それらの大半はもうゴシック・メタルとすら呼べない世界へ進んでいるものも多い。そりゃあのままやってたら深みも何も出来ないサウンドでもあるから、ある種出てきた時から完成されているサウンドだったのかもしれない。だから新しいゴシック・メタルってのはなかなか出てこないんだけど、ここでまたポーランドからへぇ〜ってのが出ていてね、そらまた面白そうだと。

 Batalion D'Amourってバンドが2016年に新作「Fenix」をリリースしてて、それはもう昔のゴシック・メタル風味も味わえるってことらしいけど、今回はもっと前の2001年の4枚目の作品「W Teatrze Snow」を。まだこの頃ボーカルのアンナ嬢は20代前半だったんじゃないか?ってくらいなんだけど、あの頃のゴシック・メタルなら美女と野獣的に少女レベルをボーカルに据えたバンドってのは多かったし、ポーランドでも例外ではなかったのだろう。ゴシック・メタル的には少々遅めでもあるけど、本作に収録されているサウンドは普通にゴシック・メタル的サウンド。…ってかさ、ポーランドでメタル的なのをちょいとメロウにやってみようよ、ってなったら勝手にこうなるような気がする。だからゴシック・メタルやろう、ってのは後から出てきているような気がしないでもない。もちろん狙ったとは思うけど。

 メロディが面白くてさ…。すごく東欧的、即ち聞き慣れたヨーロッパ的なものと、ちょいと民族チックな東欧的なのが入り混じってて、どこか中東的なのが聴けてしまうという感じ。何だろうな、こういう旋律…、見事に地理的の通りに融合された旋律が西洋的なメタルサウンドをバックに歌われていて超個性的。それが唯一無二感あって面白い。





Artrosis - Live in Trojkais

Artrosis - Live in Trojkais (2001)
Live in Trojkais

 ロックを普段聴いている人でもなかなか意識することの少ないポーランドのロックなんてのに惹かれてドドドッとまとめて聴いている日々なのだが、何となく知っていたつもりだったけど全然知らなかったことにも気づけたし、そこで刺激的なバンドにも出会えてじっくりと向き合ったりもしているが、こういう耽美的陰鬱的な中でのハードな発散みたいなのってやっぱり好きな人も多いんだろうと。自分もそうだけど、そのエネルギーとか開放感とか絶望感ってバンドが生々しくグルーブしていくことで出来上がっていくし、それを感じられるほどにプレイしてくれるというのもバンドの面白いトコロ。そんなのをマジマジと実感しながら味わった一枚。

 世界がゴシック・メタルという新たなシーンで盛り上がっていった頃、ポーランドからもMoonlightと共にArtrosisってバンドが世界に向けて旅立っていった、と言うかポーランドでは人気を二分していた、らしい。いずれも女性ボーカルで美しく憂いのある耽美感を出しながらまさにゴシックな味わいをメタル調のバンドサウンドに乗せての作品で、これがまた美しいんだな。そのArtrosisの方はゴシックメタルというジャンルが衰退すると共にバンドも消えていってしまったというのがある種潔くて印象が良いのだが、短い活動期間の中で二枚のライブアルバムをリリースいていたけど、その最初のゴシックメタル終焉期にリリースしたライブアルバムがこの「Live in Trojkais」で、2001年リリースの作品。

 冒頭から耽美的なムードとまさにゴシックな雰囲気でのライブが淡々と繰り広げられ、何のミサを聴いているんだろうか、って思うくらいの雰囲気。スタジオ盤とかよりも全然ムードが出ているのがライブの面白いトコロで、ただただこの陰鬱さに引き込まれていくような感触。やってる当人たちはそこまでのハズも無かったとは思うけど、何か良い雰囲気のライブだ。ドラムが打ち込みって話だけど、全然許される範囲の使い方だし、そもそもバンド的にそんなにそこがネックになるほどのドライブ感を持つワケでもないだろうからさ、むしろきっちりしてた方がトランス出来るんじゃないか、ってくらいだ。まぁ、ライブらしいアドリブなんかが出来ないというのはあるだろうけど。それでもこんだけのライブを展開していたってのは素晴らしい。久々にゴシック・メタルを味わった。



Moonlight - Downwords

Moonlight - Downwords (2005)
Downwords

 日常から切り離れた世界を味わうと色々と異なる思考に巡り会えて面白いものだ。毎日となるとそもそもどれが自分の基準?みたいになっちゃうけど、たまにそういうのを味わうと新鮮で刺激的。だから人は旅行を好むのだろうか。大した目的は無いけど旅に出たいなんて話もよくあるだろうし、実際そう思う事も多い。行けば何か新しい刺激があるから、って期待感が一番かな。きちんとした目的を持って度に出るのももちろん面白いけど、そんな行き当たりばったりでもなかなか楽しめる。

 Moonlightというポーランドのゴシック・メタルバンドとして90年代には名を馳せたバンドの2005年リリースの8枚目くらいのアルバム「Downwords」。それこそまだやってたのか、って気がしたけど、それじゃ聴いてみようって感じで、実はちょっと期待しながら聴いたんだよね。プログレとかそのヘン聴いてたし、陰鬱なのに変わりはないからどういう路線に進んでいるんだろ?って。そしたら何とも驚く事にゴシック的なエッセンスやムードってのはあるけど、メタルっていう要素は全く無くなっていた。じゃ、どうなったんだ?って言うと、エレクトリカってのかアンビエントってのか電子音楽との融合サウンドってのか、そんなアレンジのバンドになってる。それでゴシックなのか?ってえぇと、これがまた不思議な事にそのエレクトリカ的な音をメタルギターに脳内で置き換えてみると明らかにゴシック・メタルな音なワケ。意味分からんのだけど、歌メロとか旋律とか曲そのものを聴いてるとゴシック・メタルに聞こえるってこと。

 それもまた凄い話で、やっぱり何か一世を風靡しただけあって、革新的で実験的なサウンドに挑戦してっても許されるってのか、プロデュース陣営がやりたい放題に楽しんでるってのか、ヴォーカルのマヤ嬢の能力を知ってか、歌い手として上手く機能させての売れ線もきちんと狙ったバンドにしていきたいのか、ってなトコロだ。それでもこの陰鬱でゴシックな世界観は新たなる方向性のひとつであったのかもしれない。ちょいと舌っ足らずな歌い方はちょいと許しちゃう部分あるしさ、案外聴けてしまってそのアルバムの出来映えの良さも味わえるんだから面白い。



Votum - Time Must Have a Stop

Votum - Time Must Have a Stop (2006)
Time Must Have a Stop

 寒さってのは知識の根源だったりするし、陰鬱に籠もりながら芸術が磨かれるには必要な環境だったりもする。自分敵意そういう環境は好きではないだろうけど、そういう環境下にいたらそりゃやることないからひたすら趣味とかやりたいことに没頭するんだろうな、ってのは想像に難くない。ヨーロッパに対する自分の印象はそんな感じだけどポーランドについてもその印象は同じくある。昔ポーランドモノの映画なんかも見てたんだけどやっぱり陰鬱で重厚感あったもんなぁ…。

 Votumってバンドの2006年デビューアルバム「Time Must Have a Stop」。随分とこなれた後でのデビューだったからか陰鬱ながらもヘヴィにプログレッシブしているロックバンドでほぼRiverside的な印象を受ける。ただ何だろうなぁ、やっぱり芯があるってのかスジが通ってるってのか、そういうのをマジマジと実感するんだから面白い。それでいてメロディアスというかメロディについては妥協せずに作り上げているようで、メロウな曲が多い。いや、軟弱なメロウという意味ではなくってヘヴィな中でのメロウなスタンスというのかな、美しさを感じられるんだよ。そういうのがこのヘンの惹かれる部分で、粗雑になることが無い。きちんと組み立てられている、というのか後付の論理としても美しさが出ている。お国柄のセンス。

 ファーストアルバムと言うこともあって、気合の賜物であるのは事実だけど、それでも柔軟にレコーディングに取り組んでいて、とてもファーストとは思えない音の作り方や重ね方、もちろんプロデューサーの意向もあるだろうけど、それでもここまで出来上がるのは見事。昨今のバンドのプロデュース能力は本当に高くなっている。プログレッシブと言いつつもしっかりとヘヴィメタリックだし、メロディックだし一体どういう音に突き進んでいくのだろう?って期待も大きいバンド。一枚一枚じっくりと向き合っていくべきバンドなんだろう、Riversideに通じた音作りは自分好みなのでちょいとね、時間をかけて聴いていきたい。







Abraxas - Abraxas '99

Abraxas - Abraxas '99 (1999)
Abraxas '99

 久々にのんびりと電車に長時間乗る旅をした。車窓から景色を眺めながら物思いに更け、その変化を楽しみながら時間を過ごす、そうしていると好天から徐々に雲天になり雪景色に突入、その向こうには海が見えてきて普段とはまるで異なる異世界に突入し、自分の中で鳴り響く音楽も明らかに毛色が変わる。雪景色に似合うサウンド…、不慣れだな、と思いつつも最近のポーランドのロックと言えばこういった景色にも存分に似合ってしまう寒さがあるんじゃないか‥などと思いながら時を過ごした。人間って憂いのある生き物だな、ってのと日本って広いモンだな…ってのを改めて実感した。

 ポーランドのポンプ、ネオプログレの走りとなったAbraxasってバンドの1999年リリースの3枚目のアルバム「Abraxas '99」。先日のAnankeを構成するメンバーがもともと居たバンドでもあるんで系統としてはルールを味わえる感触。更に言えばもっとストレートにシンフォニック調でもあるか。ところがこのアルバムはコンセプトアルバムの様相を示しており、所々のナレーションも含めてかなり統一感のあるハードで攻撃的なエッセンスを持ったアルバムに仕上がっている、その意味ではプログレというよりもハードロック的に近いのかもしれない。もちろん根底にはポーランド独特の陰鬱さや重厚感が漂っているので軽々しくならないというユニークさはすでに持ち合わせている。そこにシンフォニック要素が加わり、またクリムゾン的な攻撃性をもインプットしたスタンスが前面に出ているという不思議。だからと言って美しさが欠けているというんでもなく、そこにもきちんと美学が存在している。

 長尺複雑でしかも歪んだギターの音もある中のシンフォニックサウンドと時代を考えれば結構早い時期にこのスタイルに取り組んだということで革新的ですらあったとも言える。ポーランドのロックの歴史では結構なインパクトを放ったに違いないと思うし、今聴いても決して古臭くなく、革新性はそのまま損なわれずに実感できるものだ。それも多分ヨーロッパ、しかも東ヨーロッパという特殊な地域柄の特性か、不思議と魅力に惹かれる作品のひとつ。時代を超えた名盤の域にあるのかもしれない作品。

Ananke - Shangri La

Ananke - Shangri La (2012)
Shangri La

 ポーランド産のネオプログレなロックのスタイル、ここまで聴いているとパターンは色々あれども根底にあるサウンドの共通項は何となく分かってくると思う。決して明るくなる事もなくどちらかと言えば陰鬱感漂う部分が大きいながらも儚い夢を追い続け、みたいなヤツね。だからフロイドやキャメル的な叙情性の高いサウンドの模倣が多くなるし、もっとロックに突き進むならば尖っての主張をどこまで貫き通すか、のようなスタイルになっていくのだろうと思う。そのヘンが面白くてね、英国ロックばかり聴いているとそういうバンドは多数のうちの一つでしかないからさ。それが皆がその思想が根底にあるからいわば一つのジャンルが勝手にひとつの国になっちゃった、みたいなもんだ。まぁ、そりゃ言い過ぎだけどさ。

 Anankeというもちろんポーランドのバンドの2012年リリースの傑作「Shangri La」。もともとがAbraxazというバンドのメンバー二人が一緒に組んだバンドってことで、その音楽性はAbraxasから継承されているってことだ、すなわち当然ながら叙情性や攻撃性すら持った好みなバンドなはず、ということで、当然それ系です。そしてこの「Shangri La」というアルバムは2枚目のアルバムになるんだけど、バンドのやりたい図式はここですべて完成しちゃったんじゃないか、ってくらいに名盤の域にある作品だろうと思う。いつもの哀愁系や当然ながらそもそもの楽曲レベルが高い、下手したら疾走感すらある中での陰鬱さ、叙情感なんてのもあって、メンバーのテクニックも当然申し分ないし、楽曲の展開やパターンの組み方なんてのもそりゃもう普通じゃ出てこない展開ばかりでついていくのに精一杯。実に味わい深いアルバム。

 どの楽曲を聴いていても実に細かく練られているのも分かるし、安直に作られているトコロはホントに無いんだろうと思う。ギターにしても鍵盤にしても効果音にしてもどこもかしこもが必要な音が必要なトコロにきっちり入っているという…、アルバム一枚じっくり聴けてしまうという、しかも傑作ばかりでハマりやすい作品です。素晴らしい。







Lizard - Spam

Lizard - Spam (2006)
Spam

 ポーランドという国のプログレッシブ・ロックとかロックに対しての好みの傾向と言うのはやっぱりメロディアス陰鬱系の方が多く、言うならばフロイドの雰囲気やキャメルの耽美的メロディなんてのを取り入れて自分たちなりに昇華させているかのような作品をリリースしているバンドが多い。EL&Pやクリムゾン的、ましてやソフト・マシーン的なバンドってのはあまり出てくる土壌がないのか文化がないのか、受け入れられにくいと判断されているのか、さほどシーンに登場してくることは多くない。その中でも稀有な存在として突出して出てきているのがLizard。

 1997年にデビューアルバム「W Galerii Czasu」をリリースしてからシーンに登場しているけど、バンドの名を見ての通りクリムゾンフリークが組んだバンドというのも一目瞭然で、ライブなんかでは当然の如くクリムゾンのカバーもやっていて、それらを収録したアルバムもあったりするから面白い。なるほど、そりゃそうか、ってなくらいにはクリムゾン好きなのは分かる。その後色々あったようだけど2006年に4枚目のアルバム「Spam」をリリースしていて、今回はそいつをちょいと聞きかじっていたので、ここでご紹介。時代はもう21世紀に入っているので、まだクリムゾンかよ、ってなトコロはあったんだけど、逆に本家のクリムゾンがまた新たなスタイルで出てきていた頃なので、その影響も大きいのか、昔のクリムゾンからの影響だけでなく、新しいクリムゾンの手法も即座に持ち込んでいるようだ。だから様々なサウンドのパターンが強烈に入っていて、単なるクローンじゃなく、バンドのパワーをそこに集中させているアルバムみたいにパンチのある作品に仕上がっているのが見事。

 攻撃性、迫力、破壊性に加えてのパンチ力が備わっている傑作。すでに本家クリムゾンの方も凄まじい展開があるのでそれを聴いていれば満足できるとは思うが、このLizardの模倣ぶりは大したもんだ。新しいリスナーには新鮮に映るだろうし、それでインパクトを与えられると思う。長尺曲も幾つかあるが、それだけ飽きさせない曲作りや演奏力も当然備えていてさらにドラマ的なアルバムの作り込みもユニーク、クリムゾンからは離れられないけど、それだけじゃなくてきちんとカマしてくれる実力を持ったバンドとして楽しめる。

After... - Endless Lunatic

After... - Endless Lunatic (2005)
Endless Lunatic

 21世紀の作品郡なんてついこないだだし新作みたいなモンだろ、なんてずっと思ってる自分がいて、それがもう20年近く経過しているなんてことをきちんと認識できていなかったりする。2005年のアルバム、とかそういう感じなんだけど実際は14年も前のアルバム、って話じゃない?それってもうさ、バンドのキャリア的には二回り目に入っているってくらいのキャリアなワケだしね。ただ、どうしてもそういう風に感じてしまっている自分は治らないだろう。それがジジイになっていくってなことだ(笑)。いや、そうはなりたくないと思いつつもね…。

 ポーランド出身のAfter...というバンドは2005年に本作「Endless Lunatic」でファースト・アルバムをリリースしてシーンに登場してきてそのまま何枚もアルバムをリリースしている。こちらも実にポーランドらしい陰鬱でメランコリック感溢れる儚い作品で、男性ボーカルでそれを出しているという点がある種普通だけど変わり者なのかもしれない。普通に聴いてしまえば普通に聴けちゃうんだけど、やっぱりネオプログレの流れの中にあるサウンドが中心となってて、分かりやすいサウンドが詰め込まれている。そして陰鬱と言いつつも実にメロディアスで流れやすい歌のラインが印象的で結構好む人も多いんじゃないだろうか。特に変拍子でプログレっていうんでもないし、ヘヴィなギターのサウンド中心ってのでもなく、美しさが前面に出てきているというアルバム。

 Quidamのメンバーが参加しているとか話題はそれなりにあるようだけどシンプルにそれらしいサウンドが売りなのだろう。ギターソロは当然のロングトーン系のメロディフレーズが炸裂してくるというパターンで美しさが印象に残る。この手のやらせたらホント、ポーランド勢はドンピシャにハマったサウンドを出してきてくれるのが嬉しい。今は立て続けに色々聴いてるけど、多分そのウチにより優られたバンドとアルバムが決まってきて、それらを定番的に聴くんだろうとは思うけど、このアルバムはその中の一枚に入ってくるだろうと。あと一歩のインパクトは欲しいトコロだけど、まずは見事な作風です。



Anamor - Za Witrazem

Anamor - Za Witrazem (2018)
Za Witrazem

 ポーランドのロックでも当然多種多様なサウンドがあるし、そこから世界レベルで知られているバンドってなると更に絞られていくのだろう。もっともポーランドの言葉で歌われているバージョンしかありません、なんてのは明らかに世界レベルを見てっていうんでもないけど、サウンドが世界レベルで人気出てきたから、というものもあるし、その逆もあるのか。ただ、バンド側は最初からそこまで狙っているもんでもないだろうし、結果論として世界レベルへの到達につながったという方が多いんじゃないだろうか。それも先人たちが作り上げた道筋の成せる業かもしれんけど、いずれにしてもこうして世界の反対側に近い日本で楽しめるんだからありがたいお話。

 Anamorというバンドの2018年リリースのセカンド・アルバム「Za Witrazem」だが、このバンド、2003年にアルバムを一枚リリースしていて、その後沈黙、そして15年ぶりにこの作品を発表したいというバンドで、そもそも15年間どうやって食ってきたんだろ?とか不思議になるのだが、思うように情報収集が出来ないのも辺境の地でのお話だからだろうか、単純に作品を楽しむしかないのはある意味雑念に惑わされずに音に集中できるから良いかもね。んで、聴いているんだけど、これがまたモロにポーランド的に陰鬱且つエモーショナルな女流ボーカルによる切なく儚いサウンドが中心に作られていてツボにハマります。美しくも儚い…、こういうの聴きたかったわ〜ってなくらいの出来栄えで、作風自体は15年前のファーストと近しいもので冒頭から素晴らしき音を披露してくれてます。

 要所要所にピンク・フロイド的エッセンスもありながら、ボーカルが女性だからそのイメージに囚われることなくちょいとヘヴィネスに聴き応えもある感触を味わいながら楽しめる作風。決して明るくなることはないけど、かと言って暗黒的なものでもなく、ちょうと雰囲気を作り込めているというあたり。変拍子的に狙ってくる部分なんかも多いから技巧派的なバンドの側面はひっそりと出しておきたいのだろう。ギターはロングトーンの上手く活かした雰囲気づくりのソロプレイが目立つ。このギターソロのタメ具合はなかなか簡単に出来るもんじゃないね。そんな楽しみをいちいち味わいながら堪能できる作品で、ジャケットの悲壮さをそのまま味わえるムードのアルバム。





Loonypark - Perpetual

Loonypark - Perpetual (2015)
PERPETUAL

 プログレ畑にいたミュージシャンが徐々にポップに接近していく、ってのは昔からの図式通りなのだろうか。やっぱり才能があるのは分かっているから、それを如何にカネにして一旦生活に困らないようにしておきたい、という普通の欲求が満たされないといけないという庶民的な理由なのだろう。当たり前と言えば当たり前だけど、単なるリスナーからすると魂売った、みたいに見えるのも事実。もちろん好きなことしてるだけじゃ食えないっていう実証でもあるから歳と共にスタンス変わっていくのは当然あるんだけどね。今は分かる、ただ、昔はなんだそれ?みたいなの思ったもんな。

 ポーランドからのLoonyparkの2015年4枚目のアルバム「Perpetual」は恐ろしくもキャッチーで短い曲がひたすら詰め込まれているメロディアスなシンフォニック・ロック、という肩書ではあるけど、普通に聴いてみれば素晴らしき女性ボーカルによるロック作品、というアルバムだ。そもそもNemezisにいた鍵盤奏者の人が新たに組んだバンドってことでスタートしているんだけど、これがまたNemezisのヘヴィなロックスタイルから大きく方向転換されていて、サビーナ嬢を迎えてのしっとりとした憂いのある美しきネオプログレな世界観、もうちょっと聴きやすくボーカルや旋律にフォーカスされたバンドになってる。

 このアルバムではそれまでの実験的な側面を押さえつつも成熟してきたかのように非の打ち所のない傑作にしあがっている。ただしロック的側面から見た場合のプログレッシブな面は大きく後退しているかな。実験精神は旺盛なままだけど、どうしても歌がメインだからね、そこまで演奏に力入れきれない、っつうかな、やや中途半端な印象ある。ここのところプログレッシブなのばかり聴いてるから余計にそう思うだけだが。普通に聴けばホント美しい作品で、こんだけの質感ってのは他では聴くことが出来ない気がする。英国のとは全然異なるし、他の国でもこういうのはなかなかない。やっぱりポーランド特性高いバンドなんだろう。言葉もあるかな。素晴らしき美麗な作品。





Nemezis - Nemezis

Nemezis - Nemezis 2008)
Nemezis

 何となくポーランド面白いよな、って思ったのも幾つかのアルバムを聴いててその雰囲気や展開、重さや叙情性なんかに共感したからなんだけど、そういうアルバムやバンドってのもそこまで多くないのかもな、ってのをちょっと実感した。ここのトコロ立て続けに聴いていて、やっぱりそういう作品ってのはなにかの奇跡が働いて出来上がるモノなのだろうと。ポーランドだからそういうのが常に生まれるってもんではない、ってことは当然ながらやっぱりそのロックに対する熱意みたいなのが無いと出来ないわな。大抵のバンドはファーストアルバムってので代替そういう雰囲気を持つ。一番暑い時期だから。それ以降で傑作が出せるバンドってのはミュージシャン的なセンスがあるバンドだと思う。

 Nemezisってポーランドのバンドのファーストアルバム「Nemezis」を聴いているとその勢い、ロック魂、賭ける意気込みってのもしっかりと実感できて、熱い魂を感じることが出来るものだ。ボーカルが女性なんだけど、今度は迫力ある、と言うかきちんとロックの世界で歌を歌って張り合っていけるパワーとテクニックを持った歌手なので頼もしい。しかもやってるサウンドはヘヴィなプログレ、ネオプログレと呼ばれる世界だ。もっともっと世界に出ていける素質はあったと思うけどなぁ…、今どうなってるのかちょいと分からないけど、日本から見られるシーンに居なそうではある…。それでもこの勢い溢れるアルバムは聴くに値する。

 基本的にギターバンドのアルバムだし、ボーカルの張り具合の高さも味わえるし楽曲の構成と疾走感を味わうにはなかなか心地良い、決して明るくなれないこの雰囲気もポーランドと日本の共通項なのかもね。このテンションはホント、なかなか他では味わえない。ジャケットが醸し出している雰囲気そのままが分かる作品。



Quidam - Sny Aniolow

Quidam - Sny Aniolow (1998)
Sny Aniolow/Angels' Dreams


 プログレッシブ・ロックは時として極上のポップスを生み出す時がある。過去の事例からしてもそれはもう数多く存在していて、顕著なのはメロウキャンドルなんかだろうか、どうしてプログレに入る?ってメロトロンだけだろ、って話だけど、プログレ部類になるのだな。そして極上のポップスを展開してくれている。また、スラップ・ハッピーなんかもそうかもしれない。カンタベリーの右派にもかかわらず極上のポップスを聴かせてくれる先端プログレだった。若干ズレはあるもののAll About Eveなんかも近いのかもしれないが、まぁ、結局むさ苦しいオトコが群がる世界に天使のように君臨するお姫様、すなわちアイドルがそこにいて、ちょいとメロディアスなのを可愛く歌ったらそういう位置付けになった、みたいなトコロだ。

 ポーランドから世界に発信されたバンドの中ではかなり初期の方になるQuidamのセカンド・アルバム「Sny Aniolow」は1998年にリリースされているが、最初のアルバムで話題を振りまいたフルート兼女性ボーカルが脱退してしまって、ある種看板をいきなり失ったバンドだったけど、せっかくなので、ってことで再配置してのセカンドアルバムが本作。結果的にプログレッシブ色、シンフォニック色はほぼ見事に抑え込まれてしまって、結果良質なポップアルバムが女性ボーカルの可愛らしい声で出来上がってしまったという作品。それでもQuidamってのはポーランドの雄になってしまった後なので上手く進んでしまったのか、はたまた音楽性が万人に受けていったから無事に残っていったのか…、んなことはないだろうから普通に楽曲が良かったのだろう。しかしそれがロックファンに受けたのは今度はなんでだ?って疑問は残るんだけどな、なんだかよくわからない。

 そういうの無視して聴いていると極上のポップスではあるけどしっかりと楽器がソロを奏でて展開しているし、フルートの出番も当然多いから単純にポップスではなくてロックの世界でのポップスというバランスが保たれているようだ。なるほど、それアリなのか、って感じで聴いているが、グチグチ言ってるけどね、すごく良いです(笑)。何だこれ?ってくらいに良いです。キャッチーでポップスで雰囲気出してて、明るいし。ポーランドのくせに明るいんです。だから受けたんだと思うが、こんだけ明るい未来を聴かせてくれたら信じちゃうもん。もちろんポーランド語版がおすすめね。









Turquoise - Turquoise

Turquoise - Turquoise (2001)


 ポーランドって東欧的メロディの国柄になるのかな、ヨーロッパから見れば当然東側にあるからそうなんだろうけど、自分的印象としての東欧ってもうちょっと東側っていうか…、ま、同じか。そのヘンがあるから魅力的なんだろうけど、確かにメロディのセンスがちょっと違っていてそのメランコリック的なトコロが響くんだろうね。ギターソロの展開にしてもそういうメロディの根本的なトコロがあるから哀愁という一言以上の深みがあったり重さがあったり…、それはもちろん歴史的背景ものしかかってくるのだろうけど、だからこそ深みを持って聴けるものだ。

 2001年にポーランドから出てきたTurquoiseってバンドのデビューアルバム「Turquoise」は当然ポーランド語で歌われていて、当然ながら雰囲気がより一層出ている。更に言えばプログレとかロックとか言うよりもアコースティック調の雰囲気から出てきていて、女性ボーカルの美しさを強調しているかのようなバンドの作品。だから自分的な世界で言えばトラッドと女性ボーカルの東欧版みたいなトコあって聞きやすいし、すぐに世界に反応してしまうし、取り込まれやすい。アコースティックそのもののスタイルの凝り具合は英国のほどでもないけど、それでも民族的な旋律は心地良いよね、当然。そこに美しい歌声だから惚れ込む。

 もちろんアコースティック中心ではあるけど、盛り上がりや展開でのバンド単位での演奏が中心なので、ギターソロで飛翔する、ってのもアリです。それはそれでまた見事に展開していくので、なかなか聴き応えのあるアルバムになっていて、今の所3枚くらいはリリースされているバンド。ただ、最後が2006年だからもう終わってるのかもしれないが…。勿体無いなぁ、こういうバンド。






Moonrise - Soul's Inner Pendulum

Moonrise - Soul's Inner Pendulum (2009)
Soul's Inner Pendulum

 自分の昔の記事見てても単発的に結構ポーランドものって聴いていて、連続性が無いから自分の中でもつながっていない事が多いんだけど、割とそれなりに聴く度に同じこと思ってたりするみたいだから感覚的なトコロは変わらないらしい。ダメなものはダメみたいだし、暗くて重くて叙情性があって哀愁も漂ってる中に飛翔するかのようなギターソロが舞ってたらそりゃもう最高、みたいなさ。概ねの人ならその手のってキライじゃないんじゃないかな。まぁ、そのヘン知ってる人なら、って事になるけど。

 Moonriseというもちろんポーランドのバンドの2009年リリース作品「Soul's Inner Pendulum」。実に起伏に富んだ叙情性のあるシンフォニックロックバンド、という位置付けになるのだろう、きめ細やかなサウンドで雰囲気を盛り上げつつ、得意のギターソロが正にギルモアと言わんばかりに斬りかかってくる。バッキングでのギターの存在なんてほぼ見当たらないのにこういう時だけ出番だとばかりに出てくるのだから面白い。歪んだギターの使い方、ってのがよく分かる。結果的に楽曲全般では静かめな展開が多くなり、瞬間的な盛り上がりには使われるのだが、決してギターバンド的ではない。でもギターソロが一番飛翔してく…ように感じるのは自分がギター好きだからか?もしれない。

 雰囲気で楽しませるバンド、アルバムになる。大作は最後の一曲くらいになるが、このバンドはサックスがフューチャーされる事が多く、モロにそのサックスが気持ち良く鳴り響く作品で徐々に物語が進んでいく、当然ギターもそのあとを引き継いで楽曲を盛り上げていくのだが、ここでは歌もかなり比重高く引っ張っている。そして全般的なギターソロのオンパレードで哀愁漂うフレーズを弾きまくっての終焉、ん〜、素晴らしい。



Satellite - A Street Between Sunrise And Sunset

Satellite - A Street Between Sunrise And Sunset (2003)
ア・ストリート・ビトウィーン・サンライズ・アンド・サンセット

 昔からある議論のひとつにクリムゾンの「Earthboud」というライブアルバムをどう見るかがある。音の悪さが作品の悪さだ、とする向きと中身の凄さが音の悪さを遥かに凌駕するから名盤だ、とする向き。自分的には当然後者なのだが、確かに音悪いし何度も聴こうという気にはならないが、買うか買わないかで言えば買うワケだ。だからレーベル側としてはそれで良いだろう。ところが上記の議論はリスナー側の話で、とするならばアリなのか?って事。まぁ、一般的に受け入れられなくても好きな人が良いというならそれで良いんだろう、という事になるのだろうけど、普通のアルバムでもそういう事はありうるんだよな、と。

 ポーランドのSatelliteってバンドの2003年の最初のアルバム「A Street Between Sunrise And Sunset」。メンツからすると結果的にはCollageの再編成の名前変えバンド、になるようだが、面白いのは紆余曲折を経てからの再編成だったからか出てきているサウンドは結構異なっているあたり。自分的好みからしたらCollageはイマイチだったけど、Satelliteは全然OKなプログレバンドになる。この2つのバンドによる違いが自分の好みの違いになるのだろう。まずは白々しいシンセサイザーが無いってのは大きい。きちんとある程度感性されたシンセの音だからってだけだが。まぁ、それで聴いていると今度は不思議なことに音色からCamelを感じられてしまうトコロがまた鼻に付くのだが、この手のバンドの成れの果てとしてしょうがないんだろうな、という気はする。作品はもちろん悪くないです。

 10分オーバーの大作3曲が聴きどころだろうな、ってのは最初から分かってたけど、そのドラマ感はやっぱり見事なモノで、歌で盛り上げるなんてのは無くって、やっぱり演奏とアンサンブル、楽曲の構成によって起伏にとんだサウンドを出してきているのは当然ながら、牧歌的な雰囲気なんかもしっかりと音で表しながらギターが活躍しているのも聞きやすい。さすが百戦錬磨のバンド、と言わんばかりに自在にアルバムを作っている味わいを感じられる作品。






Collage- Moonshine

Collage- Moonshine (1994)
Moonshine

 シンセサイザーの台頭によって物凄く可能性が広がった反面、時代時代の音を反映してしまうためチープなサウンドだと恐ろしく古さを感じたりしてしまうことがある。当時はそれが最先端だったんだろうけど、結局時代を追うごとにもっと深みのある音が出せたりするもんだから、どうにも安っぽい音が入ってるな、っていうのを感じちゃうことは多い。ドラムの音なんかもそういうの感じるんだけど、シンセはもっと分かりやすいしね。その音を売りにしていれば良いんだけど、そうじゃなくってきちんとサウンドに組み込んでしまっているとアルバムそのものが古臭く、安っぽい音に聞こえてしまうものだ。

 Collageの1994年の作品「Moonshine」。いわゆる90年代のプログレの名盤として語られる事も多いポーランド出自の作品で、Satelliteの前進バンドとして知られているのもあるかな。発売当時からこのシンフォニックサウンドと叙情性は素晴らしいと言われていたらしいから、やはり珍しかったんだろうし、それでも本物感が漂っていたんだろうと思う。それでも今聴くと実に安っぽい音で作られたアルバムだなぁ…と感じてしまうが故、楽曲の素晴らしさ的なものよりもそのチープさが耳についてしまうのだった。これはいかんなぁ…と。まぁ、数回聴いていればそれも慣れてきて音の構築美を実感出来るのだが、このチープさ、そういえばポンプロックの時にも感じたな、と思いだした。時代的にはちょいと遅いけど、似たような背景だからそうなるのかと。どこ見ても好評な書かれ方してるけど、どういうワケか自分的にはさっぱり苦手な部類のようで、響かない…、プログレもそういうのあるんだよ。多分ジェネシス・イエス系サウンドは琴線に響かないというクセが自分にあるのは知ってるが…。

 シンセらしい音、ってのも苦手だし、何かキラキラしてるとちょっとダメみたい。んでもポーランドのバンドだからそんな明るいワケもなく、きちんと叙情性ってのはあるんだからそっちでカバーしきれるハズではあるが、どうにも…。ミックスの問題でもあるのかな。でも他の方々には名盤って響いているんだから…、と色々思うけどやっぱり好みじゃないんだな。ただそれだけ。当然しっかり作られてるし、楽曲の起伏も富んでいて飽きずに楽しめる音作りになっている。ん、ま、苦手な音ってのがポーランドにもあるってのが分かって良かった。

Albion - Broken Hopes

Albion - Broken Hopes (2007)
Broken Hopes

 英国のプログレブーム再燃時にはジェネシスの模倣的バンドが数多く出てきて、フロイドやクリムゾン、EL&P的なのなんてのはほとんど見当たらなかったものだが、90年代あたりになると北欧やヨーロッパからクリムゾンリバイバル的なのも出てきて、更に21世紀になるともっとマイナーなプログレ的バンドをモチーフとしたようなバンドも出てきて、もちろん時代時代のサウンドとの融合を果たしているので斬新ではあるのだが、そのヘンになってようやくフロイド的なものをモチーフにしたバンドが出てき始めたように思う。ルネッサンスあたりの音は割とモチーフにされていたこともあったけど、フロイドってのはそれだけで真似、って思われるくらいの個性だったからだろう。それでもオマージュのやり方で称賛されるバンドが数多く出てきたってことだ。

 ポーランドのバンド、Albionの2007年4枚目の作品「Broken Hopes」はかなりの傑作として彼らの自信作にもなっているように思う。壮大なる世界観の中を女性ボーカルの美しさで世界を更に深いものにし、聴いている者をうっとりとした異世界に落とし込んでくれる魔力を放つ。雰囲気が壮大なだけでなく、当然ながらその主役となるギルモアよりも叙情的なギターソロがより一層深みのある世界へと連れて行ってくれるし、その先には遠い未来を感じられる希望を見せてくれる…、そして儚くも散っていく世界、それを音を追いかけていくだけで味わうことのできる一体感、素晴らしい。様々な効果音やSEが適所に使われていて、雰囲気を更にそれらしいモノにしてくれているのも上手く作り上げられている。

 恐ろしい程フロイドが試してきた手法論がアチコチで使われいて、ゆったりとしたリズムの中の音を重ねていくことで重厚な迫力に仕上げていったり、そこから唐突な展開によってガラリと雰囲気を変えたり、きちんと自分たちの作品をどこに進めていきたいのかを狙ってディレクションしている、当たり前だけどなかなか描けない完璧さでもある。アルバム全体を聴いているとある種神々しさすら感じられるレベルに高められているので、多分フロイドを超えていると思う。そしてこのメロディアスさだ。ブルースに根ざしたギルモアのプレイからはかけ離れているハズなのにギルモア風、ってことはフレーズではなく音色と音数であろう。見事なアルバム。





Lebowski - Cinematic

Lebowski - Cinematic (2010)
Cinematic

 ポーランドのロックを意識し始めたのはそう古い話でもない。Riversideを聴いてて何か物凄く惹かれるものがあって、なんだろ?って気になってて、じっくり向き合ってみたのが多分最初。その前もいくつかのバンドを聴いていたし、それはそれで気になったりもしたけど、研究するまでには至らなかった。まぁ、今でも研究する程にはなってないんだけど、幾つかのバンドを意識的に探して聴いてって探っていくみたいなことをするようにはなった。もっとも情報源がさほどあるワケでもないから結構困難を極める作業なんだけど、それでもいくつか見つかるし、ポーランドそのもののバンドサイトみたいなトコロを覗くとそれなりに色々分かる。はて、それでも自分はそのポーランドロックのどういう系統のが好ましいのか、ってのを探る旅ってのもあるんだよね。そこからはまた長くなりそうだ…。

 Lebowskiというもちろんポーランドのバンドの2010年デビューアルバム「Cinematic」にして、初めから架空の映画のサウンドトラックといいうコンセプトで作られた作品で、見事に非の打ち所のない程の完成度の高さを誇る類稀なる才能の持ち主のバンドと思われる。バンド活動自体のキャリアは長いので当然そういうコンセプトやスタイルに行き着いてからのデビューというだけに過ぎないだろうけど、それでもこの鉄壁サウンドは素晴らしい。基本インストものでホント、映画のサントラをイメージしたサウンドだから、所々のセリフらしい声や効果音的なのが入ってくる程度。

 サウンドそのものはかなり硬質なギターと柔らかいドラム、そこに各種効果音やバイオリンやピアノで色鮮やかにサウンドを醸し出している。簡単にいえばBGMレベル。ところがそこでポーランド特有のメロディ展開や旋律、陰鬱さを刺激するかのようなメロディで聴くものを惹き付けてしまうという深みはしっかりと持っているので、そこに取り憑かれてしまうかも。この求心力は凄い。ピンク・フロイドでしか出せなかったマジックがどうもポーランドのこの手のバンドには宿りやすいのかもしれない。そしてそのマジックが好きな自分には着実にその魔法に吸い込まれていってしまっていることを自覚している。単純にこのアルバム一枚を通して「無」になってじっくりと聴いてみるとどんだけ心地良いか…、お試しあれ。



Millenium - In Search of the Perfect Melody

Millenium - In Search of the Perfect Melody (2014)
In Search of the Perfct..

 70年代プログレへのオマージュを持ちつつもしっかりと自分たちのスタイルやポリシーを見せつけながらシーンにその存在感を示していく、みたいなバンドが増えている。意識して出来ているというのでもないだろうけど、好きなバンドに成り切り、それでも現代のアレンジやサウンドを取り込み、オリジナリティをしっかりと持つのって難しいだろうから、そこがセンスの有無なのかね。認められるバンドもあれば笑われるバンドもある中、しっかりと育っていってるのがここのトコロのポーランドのロックシーン。実に面白くてこれもまたゆったりとリラックスした気分の時にじっくりと幾つも聴けたバンド郡のひとつ。ポーランド…ホントに興味深くて面白いシーンです。

 Milleniumの2014年リリース10枚目のアルバム「In Search of the Perfect Melody」。見事なまでにアルバムタイトル通りのスタイルを模索しているのだろう、と言わんばかりのサウンドで、彼らの持ち味であるピンク・フロイド、と言うか、これはもう明らかにロジャー・ウォーターズに成り切っているとしか思えないようなスタイル、楽曲アレンジも歌も歌詞もアレンジも見事なまでのサウンドで迫ってくる。当然ながらそういった掴みの中から幾つかのエッセンスを持ち込んで単なる模倣に走らないようになっているのは当然ながら、ふと入ってくる女性コーラスワークの使い方などはモロにフロイドでの使われ方と同じでハッとするし、突然のアコースティック展開なんかはもうイエス的でもあろうしと見事なまでに作り込まれた今どき20分近くある大作というのも見事。この一曲でアルバムの存在感とバンドのスタンスを示し切っているし、堂々とした自信を聞かせてくれている。

 当然ながらその掴みから進む楽曲の質が問われるのだけど、この辺からがオリジナリティ溢れるスタイルになっていて、やや物足りなさも覚える部分もあるのが正直なトコでもあるけど、冒頭のサウンドの余韻が残っているからアリだよな、なるほどな、みたいに許せちゃうってか(笑)、いや、そんなんでもなく、普通にロック的にプログレッシブで気合入ってて聞けるし、新たなるチャレンジも当然取り組んでいるし、何よりもそこには揺るぎなきロック魂みたいなのがあって、芯の通った音へのスタイルが詰め込まれている…、このヘンがポーランドロック勢の面白いトコロで、自分的にも惹かれる部分なんだけどね。サウンドそのものよりもその奥にあるスタンス、ってかさ。これまでも何度か何枚か聴いていたバンドだけど、徐々にこういうスタンスにハマりつつあって、ポーランドロックをまとめて楽しんでいる次第。うん、本作に限らずここのトコロの作品は毎回同じようにハマっているかな。



Thieves' Kitchen - The Clockwork Universe

Thieves' Kitchen - The Clockwork Universe (2015)
The Clockwork Universe

 年末年始になると時間的なゆとりはともかく、気分的なトコロにもゆとりが出来てきてようやく本来の自分らしい感覚に戻ることができる。だからゆっくりとじっくりと音楽と向き合うという自然な時間を過ごすことが出来て、もちろん普通の時でも同じ時間で同じことが理屈上は出来るんだけど、実際どこか気分がそこまで落ち着いてはいなかったりゆとりがなかったりはするのだろう、落ち着いた音楽鑑賞、なんてのにはほど遠い聴き方で聴いていることが多い。そうするとそんなに複雑なモノを聴くよりはスカッと聴くものの方が増えてくるんでこのブログに書かれるのもそういうのが多くなる。ゆとりがあるとやっぱりじっくりと聞き込みたくなるのを聴くんだなぁと自分でも思ったりした。そんな中で聴いていた一枚。

 Thieves' Kitchenの2015年リリースの6枚目くらいのアルバム「The Clockwork Universe」。紆余曲折あったバンドで、今じゃ英国とスウェーデンの混合バンドになるのか、もともとは英国ながらもアングラガルドのメンバーが参加していることでスウェーデン色も着いているという特殊なバンドで、もともと音楽センスの良さから注目されつつも、どの方向性に向かうのがバンドにとって面白い事なのか、シーンに残っていけるのか、みたいな葛藤もあって、アルバムの枚数を重ねているようだが、途中からアングラガルド絡みになってようやく進化していくべき方向性を見つけたようだ。かなり評価されている作品がこの「The Clockwork Universe」というアルバム。

 冒頭から美しくも粘っこい部分もあるエイミー嬢の歌声でアルバムに引き込まれる。さらにアレンジや演奏からして硬質な変拍子や音色、そこに加えてこれもまた粘っこいギターソロ、この手のスタイルはホールズワース的というのが一番書きやすいんだけど、個人的には聴いていてある種のCamelを彷彿してしまったし、かと言ってメロトロンが入ってきたりフルートが鳴ったりするので、その幻想は都度都度切り替わっていく。いずれにしても歪んだギターの音での迫力というスタイルはなく、70年代の王道バンドからの影響下に於ける音楽テキスタイルはあれど、プログレッシブだというほどの重さにはならず歌がきっちりとポップさを奏でているという微妙なバランスの中にあるサウンド、懐かしい中にありながら実に新鮮ですらある。

 数年かけてアルバムを制作してじっくりと出してくることで高尚で良質なサウンドを必ず届けてくれているバンドでもあるようで、自分的にもいそいそとした時代には聴けないけど、じっくり向きあって聴く時には興味深さを増すバンドだな、という感じでまだまだ深掘りしていかないといけないのだけど、この辺の音って進化系で面白いんだよね。耽美系シンフォニック系、ネオプログレってあたりのサウンドは常に興味深いんでちょこちょこチェックしていく必要がある。そんなことを感じながら軽快に聴いていたりするアルバム、ちょいとじっくり聴いていきたいかな。

Ian Gillan Band - Scarabus

Ian Gillan Band - Scarabus (1978)
Scarabus

 そうして意外な方向性に話は進んでいく…。渡り鳥のようなミュージシャンは何人もいるのだが、その手のミュージシャンに一度訊いてみたいのが、自身の好む音楽性ってのと仕事でプレイする音楽性ってのはやっぱり気にしないものなのだろうか?という点。そりゃ仕事だから自分が出来る、貢献出来るって思えば自分が好きな音楽というのとは別にして引き受けて貢献する、という姿勢があるのは分かるんだけど、あまりにもその振れ幅が大きいと、果たしてこの人の主体性ってのはどう見れば良いんだろう?なんて思ってしまうからだ。別にそんなの気にする必要もないんだろうが、バンドという単位で聴いているとそういう嗜好性みたいなのってやっぱりあると思っててさ。

 Ian Gillan Bandの1978年リリースの三枚目の作品「Scarabus」。何でまたそんなトコロから持ってくる?ってな話はもちろんジョン・グスタフソンの名前で色々と思い出す事があったからで、この初期三枚のイアン・ギラン・バンドのベーシストには堂々とジョン・グスタフソンがクレジットされている、というか参加していたので、あのブリブリベースが聴けちゃうんですよ。何かね、やっぱりここでも浮いてると言うか目立ってると言うか、こんだけハードなロックの中にありながら何でこんなファンキーチックなベースが入ってくるかね?って。それこそがイアン・ギラン・バンドのユニークな音楽性のひとつにもなっていったのだろうけど。

 アルバム自体は結構なハードモノで、ファンキーなのとヘヴィなギターを織り交ぜたようなサウンドで結構尖ってるサウンドに、イアン・ギランのあの歌声が入ってきたりしての妙な作風、更にジョン・グスタフソンのベースだ。賑やかで騒々しいバンド、とも言えるのかもしれないが、これはこれで時代性を考えると多分周囲にはいなかったバンドのサウンドだったと思うから個性的だったハズ。しかもイアン・ギランってメジャーな歌手の名を持ったバンドだし、そこそこ聞かれていっただろうからもしかしたらシーンを取れた作風だったかも。実際そうはならなかったのがメジャーな音じゃなかったって事だが。それでも、結構面白い音を出してるんで何度も、ってワケにもいかないけど、挑戦的なアルバムとして楽しめる作品です。



Ann Odell - A Little Taste

Ann Odell - A Little Taste (1973)
リトル・テイスト

 今の時代ってアルバム聴いたりする時に(ってかアルバムという聴き方するのか?)クレジット情報見たりすることってあるのかな?クレジットてのはさ、誰がどんな楽器を演奏しているのかとかプロデュースやエンジニアとかジャケット描いたのは、とかそういうアルバム作りに当たって関わった人たちの名前を記載してあるかどうか、なんだけど、それって来歴漁りやその人達の仕事の関連性や人間ネットワークなんかも含めて色々と紐解くヒントになったり、辿っていく系譜のひとつにもなったりしてとっても役立つし面白い部分なんだけど、正直知らなくても別に問題はないのも事実。先日ピート・タウンジェンドのクレジット見てたらアン・オデルの名前があってさ、ドラムにサイモン・フィリップスもあるからなるほど、そういう事か?って。

 Ann Odellの1973年のソロアルバム「A Little Taste」。サイモン・フィリップスとのバンドとなったChopynに先立つこと2年、アン・オデルのやりたかったであろう音世界がきちんと表現されている佳作、良作の部類に入るであろうとてもキュートでキャッチーでファンキーで可愛い作品です。驚くことにココでのベースを弾いているのは何とジョン・グスタフソンというクォーターマスな人だったりして、もうとんでもなく盛り上がってしまう英国人脈の世界、聴いてると分かるんだけど、とってもベースがアグレッシブで個性的な音でブリブリって弾いてるから気になって見ればそうかよ、ってな話で、何とも素晴らしき世界。このベースでこんだけ可愛らしくやってるってのはもうね、歌謡曲並みにヘンな世界です。

 ちなみにピアノでピーター・ロビンソンも参加しているんで、クォーターマス関連での人脈もここでは生かされてるんだが、著名なトコロではレイ・クーパーの参加か。あのパーカッショニストといえば、の人ですな。そういうトコロから英国ロックの人脈が広がっててメジャーに繋がるというか…、結果ブライアン・フェリーやピートとの仕事をしていくアン・オデルですからね。こんだけユニークな作品をリリースしていてのソロアルバム一枚は勿体無い。歌よりも自分に向いている才能が鍵盤だったのかな。それでもキラキラ輝く名盤です。



Pete Townshend - All the Best Cowboys Have Chinese Eyes

Pete Townshend - All the Best Cowboys Have Chinese Eyes (1982)
ALL THE BEST COWBOYS H

 著名なロックバンドの誰かがソロアルバムをリリースする、ってなると大抵そのバンドは解散か?ってな話になることも多いが、そのヘンは昨今だと事情は大きく異なるようだ。昔はそんなんばっかだったし、それこそメンバーの仲が悪くなったんだろうという話も多かった。もっとも仲が悪くても仕事仲間なんだからそれだけでバンド離脱ってワケにもいかないのも事実なんだろうけど、そんなに大人な連中ばっかじゃなかったしね。そんな事もありながらのソロアルバムって、どういう意味があるんだろ?って思ってた。バンドで出来ない音って、それでもやりたいのって…、ってね。

 Pete Townshendの1982年6月リリースのソロアルバム「All the Best Cowboys Have Chinese Eyes」。The Whoの「It's Hard」が9月リリースだからね、正に並行して作品作ってたって事になるのだが、そこはピート・タウンジェンドの天才の成せる技で、いくらでも曲なんて作り続けられた時期でもあろうよ。しかもこの頃ってヘヴィなジャンキーから脱出してきた時期だからまっとうに音楽に向かっている頃で、だから曲を作ってはThe Who向けかソロでやるか、みたいなのを結果的には振り分けてたんだろうと思う。プレイヤーの違いはあれども、どっちにしてもピートの曲とアレンジだし、本作に入ってる曲をThe Whoでやったとしても別におかしくないし、迫力増したのもあっただろうし、と考えるとなかなか頼もしい。案外静かめな曲でもThe Whoでやったら…とかね。そうしたくなかったからこっちのソロアルバムに入っているのだろうが。

 正直、The Whoの「It's Hard」よりもソフトで聴きやすく、ぱっと聴きでは良い作品が詰め込まれているね、っていうアルバム。だから楽曲面ではレベル高い作りになっている。ところがリスナーがピートやThe Whoに求める音ってのはこういうおとなしいのじゃないから評価はあまり受けないと言う悲しいミュージシャンなのかも。本人はそういうの抜きにして音楽で聴いてくれよって意味のソロアルバムとは思うけどさ、聴く側はやっぱりそういうのを求めている、幻想を持っているからそのギャップがありすぎるとつまらないアルバム、の一言で切り捨ててしまう事も多い。今久々にこれ聴いてると、すごくよく出来ている作品で、こんなんソロアルバムレベルで出しちゃえるくらいのクォリティで良いの?もっとバンドでがっつりやった方が良いんじゃないか?って思うくらいの出来映えだもん。勿体無いと言うか、これで正解と言うか…。ソロアルバムの弱点はそこなんだよな。楽曲を楽曲としてリリースしちゃうからバンドのマジックをそこに入れられない。故にロック好き連中からすると物足りない、ってワケだ。




Mick Jaggar - Goddess in the Doorway

Mick Jaggar - Goddess in the Doorway (2001)
Goddess in the Doorway

 ロックスターの子供に生まれるってなかなか大変な人生なんだろうなぁ…。誰かの子供がそれなりに良い人生を送れているってのはあまり耳にすることはないけど、そんな事も無いのかな。さほど話題にもならない普通の人生を歩んでいる事が多いのか、金はあるから好きな事だけをして生きてるからどこかで名前が出てくるような事も少ないのか、まぁ、いずれにしても親を尊敬しているというようなお話は少なそうな気がする。一般的にどうかは知らないけどね。

 Mick Jaggarの2001年リリースの4枚目のソロアルバム「Goddess in the Doorway」。どことなく何かを振り返っているかのように哀愁っていうのでもないけど、ゴスペルチック、っつうのかガンガン前に向いてロックするぜ、ってアルバムとは対極にあるような出来栄えのアルバム。初っ端から否定的な事書いてるけど、これがかなり良作アルバムで、しっとりしていながら、そしてマイナーチックでもありながらエネルギッシュなスタイルでミック・ジャガーの独特なスタンスのアルバムでもなく、もっと一般的なスタイルに迎合したかのような楽曲が並んでいて、ストーンズからはかなり距離を置いた作品に仕上がっている。それでいての名盤、見事な才能の発揮ぶりとも言えるか。U2のボノとのデュエットやレニー・クラヴィッツの積極的な参加、そしてピート・タウンジェンドやジョー・ペリーの参加と話題は豪華にあるが、それよりも何よりも曲が良い。そこにこのスペシャルなゲスト陣営が参加するんだからそりゃ見事になりますな。

 難しいのはこの人クラスになるとどんだけ凄いアルバム作ってもそれが評価されて売れるというんでもないという事で、結果的にこのアルバムをひたすら聴くわ、ってな事で売れていくわけでもないって事か。アルバムは凄い良いよね、って話は出るけど、本来評価には結びついていかないというか…、それでも聞く人が多いんだからしっかり伝わっているんだから良いんだけど。しっかりロックしてます。それでいてやたら重みが伝わってくるのは信念、かも。これまでのどのソロアルバムよりも地に足着けて自分が何をしたくて何してるかきっちりと抑えているかのような見事なアルバム。普通に流してて格好良い作品に仕上がってます。



Roxy Music - Avaron

Roxy Music - Avaron (1982)
AVALON-REMASTERED

 一般に名盤と呼ばれているモノってのは自分もきちんと名盤だと理解できなきゃいけないって思ってた。それでも名盤って言われてるのが理解できないのも多くて、自分のセンスの無さのせいにしていたんだけど、実はそんなのは好みの問題だから気にすることはないんだな。ただ、名盤ってのはどこの意味での名盤なのか、ってのは理解しておく必要はあるか。ロック的には面白くないけど歌詞が凄い世界だ、とかアレンジが最先端だった、とか重ね撮りの凄さが、とか色々と時代時代での名盤になるべく理由もあったりするから。音だけを単純に聴いて好みか否かでは名盤もよく分からなくて当然だろう。

 Roxy Musicの1982年リリース最終作名盤「Avaron」。これを名盤と呼ばずして何を名盤と呼ぶのだ?とまで言われる程のアルバムだが、よく分からん(笑)。無茶苦茶オシャレでモダンで高尚なムードが漂っているんで、そりゃなんか凄く良さげな品の有るアルバムになっているのは事実そう思うんだけど、だからと言ってロック界でこれ、名盤か?ポップス界となれば名盤なのかもしれないけど、ロック界でこれ、魂売ったんだろうなぁと言うかロックから離れてのお話だろうなぁとか色々と思うトコロは大きい。ただ、アーサー王のとかどこそこの島の伝説をなぞってとかそういうのは英国やヨーロッパではお得意のストーリーだし、よく出来ているんだろうなぁと思う。音にしてもこんなの作れないだろ、ってくらいに気品高く練られているし、どういう音楽です、と言い切れるジャンルが存在しないレベルでの唯一無二な世界を放っているのもある。

 昔から何度も聴くんだけどやっぱり分からん。雰囲気がすごく良いのはあるが、だからと言って何を聴くんだ?ってくらい聴くのに困るアルバム。BGM的に聴くなら良いんだろうなぁ、とかポップスから来たらこれはかなり面白いだろうなぁとかAORから流れてきても完全にアダルトものだし、っていうのもあるか。そっか、ロック以外からはかなり面白く捉えられるアルバムなんだ。ブライアン・フェリーの美学ってよく分かんないんだよね。





Japan - Adolescent Sex

Japan - Adolescent Sex (1978)
Adolescent Sex

 散々書き溜めたブログのライブラリを見ていると結構隙間が抜けてる事にも気づいてしまって、割ときちんと制覇して書いているバンドって多くはないのかも。なのでちょっと隙間をきちんと埋めてってコレクションレビューを完成させていかないと、って思ってアレコレ聴いているところ。もう何を書いてて書いてないか、目次みてもよくわからなくなってるからきちんと整理したいんだが、どうやったらこの膨大な記事を分類整理出来るのか、それが難しい。他のトコロ見てもそんなに整理されてるようでもないし、結局バンド名を羅列するしかないのかな。

 Japanの1978年リリースのファーストアルバム「Adolescent Sex」。バンド名とその美貌から日本では早くから人気を博していて初来日で武道館をやってしまうくらいのアイドルぶりとは知られているけど、本国英国ではまるで無視、どころかキモいと言われる始末だった初期のJapan。それでも音楽性がきちんと進化してスタンスをはっきりさせていくと評価されるんだから音楽に真摯なリスナーが多いのは素晴らしい。さて、このファーストアルバム、よく知られているけど、後のJapanの音楽性とは無縁なファンクソウル的グラマラス的パンク的な音でブリブリ攻めてきてギターもジャカジャカ鳴ってるという変わったサウンドが飛び出してくる。それはそれで結構革新的なスタイルでもあって、ポジパン、ニューウェイブ的な雰囲気とファンクなノリを活かしたサウンドだったので、ユニークではあったけど、シルヴィアンの歌が随分粗ったい。

 ただ、面白い音だな、と単純に思う。後のJapanを知ってると何だこれ?ってなるけど、時代的に1978年の英国でこの音ならP.I.Lまでとは言わないけど結構先端な音だったと思うんだよ。それが受け入れられるかってのはまだ分からなかった時代だし、そういう雰囲気をジャケットにも持たせてたんだろうという気もするし、どう扱って良いか分からなかったの本音だろう。そのヘン日本の女子高生は単純だったワケ。カネになればそこからなんでも出来るんだから、っていう思想でバンドが継続されていったのかもしれないが、結果的にはユニークな立ち位置にまでなったんだから良かったんだろう。そんなJapanの最初のアルバム、案外面白く聴けます。



McAuley Schenker Group - M.S.G.

McAuley Schenker Group - M.S.G. (1991)
M.S.G.

 売る側の思惑と作り上げるアーティストやバンドの意向のギャップが生じることは良くある話だが、大変だなぁってのがアーティストやバンド側ももちろんちょっと魂売ってカネ稼ぎたいって心境が働くと売る側の思いってのに同調していっちゃうんで、チグハグな作品が世に出る事になって、概ね酷評されることが多い。もっともそのパターンで成功している例もあるんで何も悪いことじゃないし、やってみなきゃ分からんって話だけど、概ね魂売ったと思ってる時点で成功しないんのかもしれない。ビジネスだし割り切っていける部分と自分の感性個性と市場の求める商材…、難しいよね。

 McAuley Schenker Groupの1991年3枚目のアルバム「M.S.G.」もそういった思惑の掛け違いが顕著になった作品とも言えるか。元来持ち合わせているロビン・マッコリーの哀愁ある歌声と叙情性をやらせたら天下一品なマイケル・シェンカーの組み合わせなんだから上手くやればメロハー的なのも普通に出来ただろうに、売る側の思惑がアメリカの市場というのもあったからか妙に明るく突き抜けたようなサウンドに仕上げようとしたことからチグハグ感が出ちゃって、そのまま音になってる感じある作品になってる、と言われている。さて、自分的にどうかな、って思うと曲は悪くなさそうだし、マイケル・シェンカーもかなりギターを前に出したプレイしてるし、ロビン・マッコリーはもちろん歌上手いし、しっかり仕事できてるから案外悪くないアルバムな気がしている。

 ただ、皆が求めるマイケル・シェンカー像ってのからするとこういう音じゃないだろ、ってのが強いんだろうよ。それがどういうものなのか、ってマイケル・シェンカー自身が知ってると思うんだけど、同じことやっててもしょうがないし、こういうチャレンジになるのも分かるし、難しいよなぁ…。改めて聴いててね、そりゃマイケル・シェンカー・フェストとかもあったからだけど、かなり良い感じのアルバムに仕上がってるよ。アレンジや作り方がアメリカっぽい、大衆狙いっぽいトコロが耳につくのが難だけど、骨格は良い作品だと思う。何度も聴けないけど…。そこはやっぱりマイケル・シェンカーだからさ。

Van Halen - For Unlawful Carnal Knowledge

Van Halen - For Unlawful Carnal Knowledge (1991)
F.U.C.K.

 フラリと書店の雑誌コーナーを見るとどうにも古いバンドの特集ばっかりが置いてあって、と言うかそういうのしか目に入ってこないだけなのかもしれないが、明らかに多いのは事実だろう…、クイーンやヴァン。ヘイレン、クリムゾンなどなどが目に付く。何でまた一体今Van Halen?ってプレイヤー誌の拍子を見てて思ったのだが、そういえば全然聴いてないなと思い出してね、せっかくだから聴いてみようかな、って事で登場させるんだけど、概ね好みのアルバムは出てしまっているので、あまり出てこないサミー時代か…。

 1991年リリースのサミー時代3枚目の作品「For Unlawful Carnal Knowledge」。リアルタイムの時も聴いたけど何かギャラギャラしてて全然面白くないな、っていう印象のままのアルバムだったが、今回また改めて聴いてみた。案の定かなりギャラギャラしたアルバムだなという実感はあって、それをメタリックになったVan Halenとして捉えるってのもあるんだろうけど、王道アメリカンAOR路線からメタリック路線にやや変わったのか、という感じか。エディのオリジナルアンプやギターが揃ってきた事で音に変化が起こっているのもあるのかもしれないけど、ちょいとギラギラしすぎてるんじゃない?時代の産物かもしれんが。もちろんエディのギターテクやらチャレンジやらは相変わらずなので聞き所は満載なんだけど肝心の曲という面では魅力的なのがあまり見当たらない。

 そこは多分サミー・ヘイガーの特色を生かしているからこそアメリカンになってしまってて流れてっちゃうのかな。だから凄いんだけど記憶に残りにくいっつうか深みに欠けるような感じもある。バリエーション豊富な楽曲が揃っているから何度も何度も聴けば良いのだろうけど、そこまでハマれないのは好みの問題か。ギターを追いかけている分には頼もしくてスゲェ!ってなるから明らかに自分の好みの話。ドリル奏法にタッピングの派手さ、相変わらずの華麗なる指さばき、案外好きなのが曲中でのドライブしたバッキングのリズムで、こういうノリで弾く人って結構少ないしいない。かなり特徴的なんだろうけどあまり指摘されている事はないね。ハードロック的なドライブ感と全ギタリスト脱帽のスタイルの融合、正に唯一無二な存在を知らしめていった一枚。





Culture Club - Live At Wembley

Culture Club - Live At Wembley (2017)
ライヴ・アット・ウェンブリー(CD+DVD+Blu-Ray)

 ロックの歴史は実に面白い。どうしてモーターヘッド、ダムドと来てカルチャー・クラブになる?みたいなトコもあるワケだし。その間にはレミーとファスト・エディとダムドが一緒にmotordamnってバンド名でやった「Over The Top」って曲もあるのだが、どう聴いてもモーターヘッドそのものだからちょいとまたの機会にして、今回はジョン・モスさんです。ダムドで若干参加しました、その後どういう流れからかカルチャー・クラブのドラマーの座を射止めています。更にフロントマンのボーイ・ジョージからのラブコールも凄まじく…ってなお話らしいがそのヘンはあまり知りたくないから無視するとして、そんなカルチャー・クラブって実はまだオリジナルメンバーのまま活動しているって知ってました?

 2016年にはロンドンのWembley Arenaなんてデカい会場でライブをやってて同じ頃に日本にも来てたらしい。んで、その時のライブ盤が「Live At Wembley」としてリリースされてるのを見つけてね、何だこりゃ?って思ったらそんな最近のライブなのか?と気になってみるとこれがまた結構格好良い。ボーイ・ジョージってホント、凄い歌上手いんだよ。今の御年でこの歌声の素晴らしさ、単なるイロモノだったんじゃなくってホントに才能ある人だったんだ…と。んで見てるとさ、80sのヒット曲のオンパレード、それも随分聞きやすい感じにアレンジされているのか、こんな軽やかでカリプソなバンドだったんか、って改めて聴き直しちゃうくらいの見事なサウンドで仕上がっている。こりゃ皆楽しんじゃうハズだわ。

 当人も変わり者だけど来ている観客も似たような変わり者も多いのだろうなぁ、って出で立ちの人も見られるが、単に懐メロを楽しんでいるってリスナーも多そうだ。バンドは無理するような音じゃないか腕が落ちたとか出来ないフレーズがあるとかってのもないだろうし、コーラスやホーンセクションも大増員してのライブだから随分とゴージャスに楽しめる。まさかあの頃のバンドがこんな風に今素敵なライブを繰り広げてくれるとは思わなかったけど、懐かしいって思う人はちょっと楽しめるんじゃないかな。良い感じです。





The Damned - Not the Captain's Birthday Party?

The Damned - Not the Captain's Birthday Party?
Not the Captain's Birthday

 年明け早々からハチャメチャな展開になりつつある当ブログ、相変わらずといえば相変わらずなマイペース感。以前に比べたらホントに音楽やロックを聴く時間が減っているのは確かだし、その集中度もかなり下がっているのもある。そもそも面白いのに出会う率が減ってるから当然そうなるんだけど、昔のバンドのもそりゃアレコレ聴いてしまっているから「もういいだろ」ってくらいには思ってしまっている部分あるな。それでも久々に聴いたりするとメチャクチャカッコよく聞こえるんだから困る。それでしばらくはハマったりするんだけどね。

 The Damnedの1977年11月のライブ収録アルバムで、一応オフィシャルからリリースされているんで、多分ハーフオフィシャルに近い扱いなんだろうとは思う「Not the Captain's Birthday Party?」ってのを。初期のダムドのライブってあんまり聴けないからこういうのって結構貴重なアイテムで、聴きたくなるんだよ。大抵荒々しいだけで無茶苦茶なライブなのでやっぱりそうか、って思うだけなんだけど、ダムドの場合はこの時期既にギター二本体制でドラムはジョン・モスになっている時期のようで、バンドが一旦解体していた時期にハマる。それで面白い記録になっているんだが、あまりダムド史を語る時にこの音源の話は出てこない。そりゃま、演奏無茶苦茶なのもあるし、ハウリングしまくってるのもあるし、普通に作品としちゃどうよ?ってくらいな代物ではある。でもライブの生々しさと貴重な時期の貴重な音源ってことで意味ありでしょ。

 パンクと称されているバンドで、いや、もちろんそうなんだけど、ロックの初期衝動そのままだよ。音楽的にどうのとか一切なし。エネルギーをひたすらぶつけているだけってくらいのライブだから熱い。改めてパンクってのは一瞬で終わったってのが良く理解できてしまうくらいのライブ盤。ただ、その一瞬の輝きは凄いからこうして今の時代でもそれを味わえる。ホント、まったく作られている部分がなく生々しいライブそのままの記録だから細かいことを気にして聴いてたらいけない。なんじゃこりゃ?って衝撃をそのまま受け止めるだけ、そんなライブ盤だ。



 | HOME |  »

プロフィール

フレ

Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


ロック好きの…別館リンク


ブログ検索


最新記事


カテゴリー


最新コメント


最近のトラックバック


カレンダー

12 | 2019/01 | 02
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

過去ログ+

2019年 03月 【1件】
2019年 02月 【15件】
2019年 01月 【31件】
2018年 12月 【32件】
2018年 11月 【30件】
2018年 10月 【31件】
2018年 09月 【30件】
2018年 08月 【31件】
2018年 07月 【31件】
2018年 06月 【30件】
2018年 05月 【31件】
2018年 04月 【30件】
2018年 03月 【31件】
2018年 02月 【28件】
2018年 01月 【31件】
2017年 12月 【31件】
2017年 11月 【30件】
2017年 10月 【31件】
2017年 09月 【30件】
2017年 08月 【31件】
2017年 07月 【31件】
2017年 06月 【30件】
2017年 05月 【31件】
2017年 04月 【30件】
2017年 03月 【31件】
2017年 02月 【28件】
2017年 01月 【32件】
2016年 12月 【32件】
2016年 11月 【30件】
2016年 10月 【31件】
2016年 09月 【30件】
2016年 08月 【31件】
2016年 07月 【31件】
2016年 06月 【30件】
2016年 05月 【31件】
2016年 04月 【30件】
2016年 03月 【31件】
2016年 02月 【29件】
2016年 01月 【32件】
2015年 12月 【32件】
2015年 11月 【30件】
2015年 10月 【31件】
2015年 09月 【30件】
2015年 08月 【31件】
2015年 07月 【31件】
2015年 06月 【30件】
2015年 05月 【31件】
2015年 04月 【30件】
2015年 03月 【31件】
2015年 02月 【28件】
2015年 01月 【32件】
2014年 12月 【31件】
2014年 11月 【30件】
2014年 10月 【31件】
2014年 09月 【30件】
2014年 08月 【31件】
2014年 07月 【31件】
2014年 06月 【30件】
2014年 05月 【31件】
2014年 04月 【30件】
2014年 03月 【31件】
2014年 02月 【28件】
2014年 01月 【32件】
2013年 12月 【32件】
2013年 11月 【30件】
2013年 10月 【32件】
2013年 09月 【30件】
2013年 08月 【31件】
2013年 07月 【31件】
2013年 06月 【30件】
2013年 05月 【31件】
2013年 04月 【30件】
2013年 03月 【31件】
2013年 02月 【28件】
2013年 01月 【32件】
2012年 12月 【32件】
2012年 11月 【30件】
2012年 10月 【31件】
2012年 09月 【30件】
2012年 08月 【31件】
2012年 07月 【31件】
2012年 06月 【30件】
2012年 05月 【31件】
2012年 04月 【30件】
2012年 03月 【31件】
2012年 02月 【29件】
2012年 01月 【32件】
2011年 12月 【31件】
2011年 11月 【30件】
2011年 10月 【31件】
2011年 09月 【30件】
2011年 08月 【31件】
2011年 07月 【31件】
2011年 06月 【30件】
2011年 05月 【31件】
2011年 04月 【30件】
2011年 03月 【31件】
2011年 02月 【28件】
2011年 01月 【32件】
2010年 12月 【32件】
2010年 11月 【30件】
2010年 10月 【31件】
2010年 09月 【30件】
2010年 08月 【31件】
2010年 07月 【31件】
2010年 06月 【30件】
2010年 05月 【31件】
2010年 04月 【30件】
2010年 03月 【31件】
2010年 02月 【28件】
2010年 01月 【32件】
2009年 12月 【32件】
2009年 11月 【30件】
2009年 10月 【31件】
2009年 09月 【30件】
2009年 08月 【31件】
2009年 07月 【31件】
2009年 06月 【30件】
2009年 05月 【31件】
2009年 04月 【30件】
2009年 03月 【31件】
2009年 02月 【28件】
2009年 01月 【32件】
2008年 12月 【32件】
2008年 11月 【30件】
2008年 10月 【31件】
2008年 09月 【29件】
2008年 08月 【30件】
2008年 07月 【31件】
2008年 06月 【30件】
2008年 05月 【31件】
2008年 04月 【30件】
2008年 03月 【31件】
2008年 02月 【29件】
2008年 01月 【31件】
2007年 12月 【29件】
2007年 11月 【30件】
2007年 10月 【29件】
2007年 09月 【28件】
2007年 08月 【31件】
2007年 07月 【30件】
2007年 06月 【29件】
2007年 05月 【30件】
2007年 04月 【30件】
2007年 03月 【26件】
2007年 02月 【27件】
2007年 01月 【20件】
2006年 12月 【31件】
2006年 11月 【30件】
2006年 10月 【31件】
2006年 09月 【30件】
2006年 08月 【31件】
2006年 07月 【31件】
2006年 06月 【30件】
2006年 05月 【31件】
2006年 04月 【30件】
2006年 03月 【31件】
2006年 02月 【28件】
2006年 01月 【31件】
2005年 12月 【31件】
2005年 11月 【30件】
2005年 10月 【20件】


リンク


RSSフィード


全記事表示リンク

全ての記事を表示する


QRコード

QR

Click! Click!


格安sim mineo!

楽天市場

LED ZEPPELIN by LED ZEPPELIN【日本語版・4000部完全限定】

ラヴィング・ジ・エイリアン(1983-1988) (完全生産限定盤)

MISSING TARGET <Rarities 1964-1967>

ジョイント・エフォート

ライヴ・アンド・レア(4CD+DVD)

【Amazon.co.jp限定】Light For The Ages - 35th Anniversary Best ~Fan's Selection -(CD+Books)(初回限定盤)(クリアファイル C ver.付)

レジスト

フロム・ヘル・ウィズ・ラヴ【CD(日本語解説書封入/歌詞対訳付)】

アートワーク・オブ・ヒプノシス

ギター弾き語り クイーン【ワイド版】

バンド・スコア 80年代ブリティッシュ・ハード・ロック[ワイド版]

物語 ポーランドの歴史 - 東欧の「大国」の苦難と再生 (中公新書)

ROCK DECADE TIME MACHINE 1967-1976 ロック黄金時代のアルバム・ガイド