Spiders - Killer Machine

Spiders - Killer Machine (2018)
KILLER MACHINE

 時代の流れか、色々と新しくて面白そうなのをロックというカテゴリーから探そうとするとメタル的なのが多く出てくる。そもそも昔で言うハードロック的なのって今は少数派になっているんだろう。普通のロック的なの、って言うとまだポップス領域に近いトコロでいくらかあるんだろうけど、ハードロック的なの、っていうのだと少ないんだよねぇ。ハードロックってかもっとR&R寄りって感じになると更にいない。だからそのヘンってなかなか漁りにくいんだよ。あるんだろうけど探しきれないしさ。だからジャケットを見て何かこのヘン、そうかも、なんて予感だけで聴いていくんだが、それが玉に当たると嬉しいね。今回もそんな探し方で当たった代物、やっぱりロックバンドのジャケットは大事です。

 Spidersというスウェーデンのバンドの2018年3枚目のアルバム「Killer Machine」。どう?このジャケット。古めかしいR&R的な感じがしない?グラマラス的だしさ。しかもど真ん中、女の子だよな?ってやや疑問を抱きながら聴くワケです。そしたらこれがまたど真ん中ストレートのR&Rバンドで、見事にHanoi RocksというかMichael Monroe的というか、スウェーデンだから北欧的メロウな旋律もしっかりと出てきてるし、もうそのヘン好きだったら琴線に触れるの間違いなしのアルバム。新しい取り組みが色々とされているのか、っていうとちょっと何もないんだが(笑)、こういうバンドって無かったから刺激的ってだけで、時代にこういうバンドがいくつかは必要でしょ。今回のSpidersはボーカルが女の子ってだけでその株が更に上がる。いや、こんだけのR&Rを女の子がやるってのはほとんど無かったワケだし、ここで初めてなんじゃないか、ってくらいに思いつかない。Pretendersとかあるけどもっとストイックじゃない?こんだけグラマラスにR&Rしてるのはないもん。グラマラスなのは男の特権だったからな(笑)。

 そんな冗談も含めて実に刺激的。R&Rから妙にダンサンブルなのも含めて若さと勢いと色気がカッコよい。スウェーデンってABBAもだっけ?だからこんなダンサンブルなのあるのか(笑)。R&Rがカッコよいからこういうのもありだし、ワイルドなスタイル感も絶妙。これはね、気に入ったんでもう過去のアルバム3枚ともゲットですね。久しぶりにこういうR&Rで楽しいの聞けた。





Black Moth - Anatomical Venus

Black Moth - Anatomical Venus (2018)
ANATOMICAL VENUS

 世界中で女性がメタルの世界に入り込んできて、それでなければ出来ないと言わんばかりの世界観を打ち出したバンドもいくつか出てきて、今でもそれは続いている、どころか益々発展して新しいジャンルとも成り得る音楽性を作り上げてきているのはある。70年代だってそういうのはあったけど、多くはない、それにその目立った女性陣達はしっかりとひとつの世界を形成しているしね。80年代以降はそれほど目立たなかったけど90年代に入ってからゴシック・メタルが出てきて、そのヘンから一気に広がっていった、そんな印象だけどここのトコロのは何かもっと妖しい世界が多くて艶かしくて頼もしいものだ。

 Black Mothなる英国はリーズ出身のバンドの3枚目のアルバム「Anatomical Venus」。ジャケット見た時はちょいとコレはグロすぎて自分の聴くべき世界の音では無さそうだが…と思ったが、何事もチャレンジ、聴いてみるのも今の時代は簡単なんだから取り組んでみれば良いじゃないか、ってことで軽く手を出してしまった次第。そうしたら驚くことにこのジャケットに見られるイメージではなく、実に爽やかな…というのもヘンだけど、普通にストーナーなバンドの音だし、そそこから更に聴かれるハリエット嬢の可愛らしくもいやらしい歌い方が普遍的なロック感を出してて、実にユニークなサウンドが出来上がっている。カリスマ的な存在感を出しているんでもなく、それでもバックはサバス直系的なやや地を這うような思いリフを聴かせているのだが、その上に舞うのが普通のロックの女性ボーカルというもので、ギャップ感がこれまで聞けなかったサウンドを出してる。

 そのイメージはありつつもそれだけでなく器用に様々なタイプの曲を作り上げてて、ストーナーなものではあるけど歯切れが良い歌に仕上がってるのが独自性の高い楽曲になっちゃうんだな。ツインギターが云々とかってのはアルバムだけだとあんまり分かんない、と言うかそこまで個性を見極められない…。その内、かな。いやぁ〜、ドゥームな音なのにこのかわいい歌、何か妙な気分になる。本人はきっとそんな風に思って無くてしっかりこの音世界と馴染んでいるつもりで歌っていると思うけど、だからこそ個性的なバンド。







Lucifer - Lucifer II

Lucifer - Lucifer II (2018)
ルシファーⅡ

 様々なカテゴリが出ては消え、また淘汰されて後にひとつのカテゴリになったりもするのだが、その中で代表的とされるバンドというのはそうそう多くはないもので、ニッチに分類されればされるほど、ほとんどがそのひとつのバンドがジャンルになっていたりする。近年ではストーナー系というのも実に多種多様のバンドがあるんだけど、多分色々な形容詞が付けられてサブジャンル化していくだろうし、それはおそらく一つづつのバンドを指す事になるのだろう。それでもそのストーナー系という枠組みの中で今の所最も評価も人気も実力も知名度も高そうなのがこのLuciferになるのじゃないだろうか。知名度はさておき、容姿でも妖艶ないかにもサイケデリックorオカルトな雰囲気がバンドの人気にも拍車を掛けているように思うがそれもそのはず、見事な妖艶さ、人気あるのも分かる。

 Luciferの2018年セカンドフルアルバム「Lucifer II」。色々とメンバーチェンジもあって結局3人しかジャケットには写っていないし、それも永久にこのままのバンド編成だろうとは到底思えないのだが、それはどうでもよくて、多分妖艶ボーカリストのヨハナ・サドニスのソロプロジェクト化していくんだろうという感じ。だから音楽性にはある程度の一貫性は保たれているのだけど、今後も含めてパートナーになる人物によってはどんどんと変貌していくんだろう。今の所旬な時期なのでヨハナ・サドニスの怪しい歌声が見事に生かされたカルト風味な雰囲気とレトロチックなスタイルのサウンド、ややコケティッシュなPVのイメージと共に実にヨーロッパ的なスタンスでの楽曲が多数収録されていて、この手のバンドにありがちな飽きが来ない秀逸な作品に仕上がっている。この辺は見事だと思う。それだけ楽曲レベルが高いと言うかバリエーションに富んでいるというのか、ヨハナ嬢の歌声だけだと当然一本調子になってしまうところが楽曲とバック陣営でそうはさせない味わいを出しているようだ。よく練られている。

 PVのYouTubeのトップ画像が見事に白馬に乗る王子様ならぬヨハナ嬢、ということで先日のWytch Hazelのアルバムジャケットと被るのも面白いな、って事でここで登場したんだけど割とチェックしてたんで7月のアルバムリリース時から聴いてた自分的にはやっぱり推しなバンドのひとつ。レトロチックなだけじゃなくてオリジナルなメロディラインとややキャッチーなスタンスもあったりして面白いんだよ。見ていて飽きない美貌が売りなのはもちろん良いし、世の中ナメてる感も好きだね。それでいてこのグルーブ感、やはりよく出来てる。




Wytch Hazel - II: Sojourn

Wytch Hazel - II: Sojourn (2018)
II: Sojourn

 最近何か良いのある?なんて会話はチョコチョコあるのだが、どう答えたモンやら…と。昔ならお気に入りのバンドとかアルバムとかその時に聴いてたモノとかで答えられたんだけど、今はそういうのはもう頭の中で鳴ってるから、ヒトにオススメできそうなモノ、最近なんかあったっけ?ってこんだけ日夜新しいのとか探しながらチャレンジを繰り返している中で、良いとか良くないなんてのは自分の好みだし分からんなぁ…、まだ聞き込めてないからなんとも言えないし、とか自分的にアレコレ言えるほと聴いてないし知らないし、とかになるんで結局ちょいと前に仕入れたネタなんかになる。それもまた怪しいんだが…。困った時には大抵ベビメタが最強♪ってなるんだけどさ。

 Wytch Hazelという大英帝国のバンドの2018年2枚目のアルバム「II: Sojourn」。実はここ最近のストーナー系やら何やらってのはアサイコレクションからの蔵出しモノで、だからこそ新ネタだったりクセのあるのだったりして刺激的ではあるんだけど、このWytch Hazelってのは最近の呟きモノでしてね、どんなんかなぁって見てみればもうジャケット見て分かる人は分かるし、気になる人は気になるでしょう。んで、当然気になって聴いてみればそのまんま、アレ、です。もうちょっと声に艶があればなぁとかもうちょっとメロディアス感強い旋律が多ければ、とかもうちょっと堂々感が強ければ、とかあるんだけど、アルバム通して聴いているとやっぱり紛れもなく大英帝国の美しきツインギターハードロックに収まっている。この聞きやすさは何だ?って思ったけど、ギターがストラトなんじゃないかなぁ…。線が細くて粒が揃ってるから耳に優しいし、妙にパワフルでもないから品のある音が入ってくる。それが二本、ツインリードの美しさがもうちょいだけど、楽曲ではしっかりと主張されているし、巷の評論ではNWOBHM的な、とも書かれているけど、そもそもNWOBHMってそのヘンからも出てきてるから元が同じなのはそうだろ、って気がするが、NWOBHMの再来、ってんではなくてNWOBHMと同じ影響下でやってる、ってトコだ。だから自分的にはNWOBHM的と言われると、その影響下かと勘違いされるので、そうじゃなくて、モロにWishbone Ashなんかに影響を受けたサウンド、それはNWOBHMの一部も同じだったから、という位置付けだね。

 それはもうどっちでもよくって、曲ごとに味を増していく、と言うか「?」ってな気がするのもあるにはあるけど総じて見事に大英帝国ハードロックの再現、ここに新しい要素が入っているかってのは、実はあんまり無い気がする。イメージとか売り出し方はそうかもしれないけど、それも大英帝国の片田舎的な側面で、昔からある話だし、いやはや…なんてトコロだ。代替がジャケット見てくれれば分かるでしょ。音も裏切らないです。少々歪んだギターの出番が多いくらいで、しっかりとアコギ調のも入ってきてるし、しっかりとThin Lizzy的側面もあったりするし、まぁ、あのヘンごちゃ混ぜにして出してきましたってアルバム。この落ち着いて聴ける感は近年なかなか無かったかな。レイドバックでもないし、妙に面白い。多分何度も聞かないと分からないアルバムなんじゃないか。






Wicked Minds - Visioni Deliri E Illusioni

Wicked Minds - Visioni Deliri E Illusioni (2011)
Visioni Deliri E Illusioni

 イタリアンロックの栄光が70年代のごく一部の時期でしか存在しなかったのは実に残念で、あの時代のあのバンド郡達のあの演奏力と発想力とアレンジ力、そしてイタリア独特の情熱的なイズムをも注入したマインドは実に奇跡的な産物だった。時代の変革の波にあってそのまま存続できなかったので歴史的にやむを得ないのだろうが、それでもその精神と受け継ぐべきバンドも出てきてはいるし、世界各国でもあの頃のイタリアンロックへの望郷を語るバンドも出てきている。それだけインパクトを放っていた時代とバンドだったんだよなぁ。自分的には若かりし頃にユーロロックの一貫で聴いていったんだけど、やっぱり物凄く仰々しくて粘っこい独特な音世界だなぁと割と気に入っていたりもしたもんだ。

 そのイタリアのWicked Mindsというバンドは本来70年代の英国ハードロックをオマージュとした回顧バンドのひとつではあるが、2011年に突如として自国イタリアのあの時代のロックバンドの曲のカバー集を独自解釈で展開した作品を「Visioni Deliri E Illusioni」というタイトルでリリースしている。ジャケットもどことなくキーフを彷彿させる雰囲気がなかなか乙なもんだが、それに加えての中身、例えばムゼオ・ローゼンバッハやレ・オルメのオリジナルボーカル達が自分たちの曲でそのまま歌っているという快挙、即ちバックがWicked Mindsなだけで本人出演ってワケだ。これね、結構聴いてて盛り上がりますよ。あの楽曲群が最新の音でカバーされて本人歌ってるんだからさ、再録なワケでしょ、いやはやなかなか…、しかも結構攻撃的なサウンドに仕上がってるし、それでいてオリジナルのバンド郡達が持つ破壊力や粘っこさみたいなのは普通にあるし、何とも素晴らしく見事なカバー集になってます。カバーできるモンなんだ…ってのがまず驚きなんだけど、これがまた見事でね。

 カバーしてるのはこんな感じ、Trip (1), Osanna (2), Balletto di Bronzo (3), Delirium (4), New Trolls (5), Le Orme (6), Nuova Idea (7), Dietro Noi Deserto (8), Circus 2000 (9), Museo Rosenbach (10), Quella Vecchia Locanda (11), Gleeman (12) で、ソソられるでしょ?ってか多分その筋では知られているんだろうな…。面白いのはオリジナルに忠実ではあるんだけど、当然ながらバンドとしてのアルバムの統一感が何故かあるという事実。こんだけバリエーションに富んだ作品をカバーしてるのにね、そのヘンがWicked Mindsというバンドの凄さなのかも。こういうきっかけからバンドそのものに興味持つもんな。いや〜、ずいぶんと楽しめる作品に出会えて良かった。






Galley Beggar - Silence & Tears

Galley Beggar - Silence & Tears (2015)
サイレンス・アンド・ティアーズ

 脈々と続く英国トラッドの流れなんかは今でもスタイルの変化などもあまり大きくなく生き続けている。そもそもが伝承音楽だから消え去る事もなく受け継がれていくべきものなので、新たな変化を起こす必要もない音楽のひとつでもあるからロックとかと位置づけは異なるのだろうが、それでも切り取っていけば同じ音楽シーンに存在する事もあるわけで、特にフェアポート・コンヴェンションがやったように電子楽器との融合ともなって現代の作品のひとつになってくると今度はそれをもリバイバルしていこうという風潮にすらなるようだ。自分的にはロックに限らず、こんなエレクトリックトラッドの世界までこういうバンドが今この時代でも出てくるなんてのは思いもしなかったもん。

 Galley Beggarという英国のバンドの3枚目のアルバム「Silence & Tears」。見事なまでに英国エレクトリックトラッドの世界を継承しているバンドで、素晴らしくアコースティックだけど近代的な電子楽器でのトラッド風サウンドを奏でるバンド。サイケ風味や多少のエレクトリックロック的な側面もあるけど、やっぱり英国エレクトリックトラッドサウンド。いつかどこかでリチャード・トンプソンがゲストでギター弾いたりしたら見事なまでのフェアポート・コンヴェンション復活みたいになっちゃうんじゃないだろうか。ちなみにボーカルとバイオリンは女性によるメンバー構成なので、美しき歌声を堪能できるのもよろしい。

 それにしてもホント不思議。どこからどうやってこういうサウンドをやっていこうとか思うんだろう?いや、もちろんそういう世界もあるけどさ、こんだけギター弾いたり歌が歌えたりしてこっちの方向に進むってのがね、珍しいように思うからさ。そして聴いていて思うんだが、実に聴きやすくて心地良いサウンドに仕上がっている。だからこそ今の時代でこういう音でも受け入れられるんだろう。そんだけ良く出来てるアルバムで、単にフォークとかトラッドをかのリバイバルじゃなくて、きちんとオリジナルな方向性を見出して新鮮さも打ち出しているんだな。気に入りました、これ。アルバムジャケットの意味深さも結構好みだしね。






Lewis and the Strange Magics - Velvet Skin

Lewis and the Strange Magics - Velvet Skin (2015)
Velvet Skin

 R&Rそのものはもう進化しないんだろうか、新しいバンドでR&R色強い、もしくは新しいスタイルのR&R的バンドってのはほとんど聞くことがない。だからと言ってR&Rが終わったとは思いたくはないけど、多分終わってる。だからレトロなバンドなんかでもウケるんだろうし、ともすればトリビュートバンドだって今は結構な人気を博しているし、人々はR&Rを求めているのに新しいR&Rが出てこないのはちょいと寂しい限りか。

 Lewis and the Strange Magicsというスペインはバルセロナのバンドの2015年リリースの「Velvet Skin」。見事なまでにLate 60'sのサウンドを再現したスタイルのアルバムで、だからと言って何かのバンドみたい、と言い切れるほどのコピー感は無くって、割とオリジナルではある。でも雰囲気やアプローチや音色、使ってる楽器やコード展開なんかはもうLate60'sそのままという不思議。オルガンやエコーやレスリーなんかがそう感じさせるのだろうが、それでも不思議。曲によってはストーンズだけど、ちょっとサイケだし、何か違うかなぁ…みたいな面白さがある。なかなかこういうのを作ろうと思っても作れないから見事な才能だよね。

 この時代を知らないリスナーばかりの時代だから新しさはあるだろうし、60年代の焼き直しだよと言われても適度なオリジナル加減はきちんと入っているからその意味では新しいワケで、きちんとファンが付いて来ると良いんだけどな。ちょいと前に二枚目のアルバムもリリースしているからそれなりに活動できているのだろう、自分的にずっと聞くというのはないだろうけど応援していきたいバンドではある。








The Crystal Caravan - Against The Rising Tide

The Crystal Caravan - Against The Rising Tide (2010)
Against The Rising Tide

 昔みたいに王道バンドが世界を制するなんてのはこれからはなかなか出てこれないだろうと思う。既に今の時代は誰も彼もがニッチな世界でのメジャーにしかなっておらず、それだけで食っていくみたいな世界になっている。だから万人に知られているバンドとかってのはあんまりない。それでもきちんと固定のファンにサービスを施して商売を成り立たせているし、長年活動している。まるでインディーズみたいなものだが、それがメジャーでも同じ手法になっているのだな。だからプロとアマチュアの境目が色々と消えかかっているとも言えるし、商売ってのはそうやって成り立つのかというのもある。もちろんプロの世界の人たちは明らかにプロだからニッチな手法でもしっかりとプロらしさが出ているのだが。

 The Crystal Caravanなるスウェーデンのバンドの2010年リリースのアルバム「Against The Rising Tide」。実に正統派なハードロックを現代に蘇らせている希少なバンドの一つで、70年代的な熱い時代のハードロックそのものを音と共にボーカルの暑苦しさで表現しているという稀有な存在。UFO的とでも言うのかな、ストーナー的要素はないのでドロドロ感はしないのが良いな。思い切り昔のハードロックってトコで、ボーカルの暑苦しさはロジャー・ダルトリーを彷彿させるようなスタイルでもあるし、なぜかパーカッションがポコポコと入ってるのが不思議。どういうエッセンスでこれを入れたがったんだろうか?邪魔じゃないけど、何だこれ?って気になるのは確かなので、そういう狙いなのかも。

 ギターソロにしてもベースプレイにしても実に古臭いスタイルで味わえる熱気、好きですね、こういう暑苦しさって。何度も何度も聴く代物になるかどうかはやや難しいけど、何度と無く聴いてたら多分ハマっちゃうんだろうと思う。スウェーデン的な要素ってのがあんまり出てこないから英国B級ハードロックそのまま感あるし、騙されたと思って聴いてみても面白いでしょ。




Witchwood - Litanies from the Woods

Witchwood - Litanies from the Woods (2015)
Litanies from the Woods

 Garagebandでも出来るのかもしれないけど、過去のデータの蓄積からある程度の音楽のパターンを解析して何々風みたいなのができればそこにコードを多少載せていく事でそれ風な曲が出来上がってしまうみたいなこと、あるんだろうな。AIが発展していくとそれももっとイージーに出来るだろうから、そうするとノスタルジックな何々風の曲とかバンドってのは割と簡単に出来上がってしまう、即ち商売にはならなくなる、なんてこともあり得るだろうか。人間の発想力がAIの分析力に負けるとは思いたくないけど、ある程度は追いついちゃうんだろう。誰でもできちゃったら商品価値ないもんなぁ。でも、やっぱりこういうグルーブや雰囲気ってのはナマじゃなきゃ無理だろう。

 イタリアから出てきたWitchwoodというバンドの2015年リリース作「Litanies from the Woods」。これもまたレトロ回顧主義なハードロックスタイルのバンドというモノだが、イタリアってのが気になってね。やっぱり巻き舌の情熱カンツォーネ熱唱スタイル、なんてのがイメージとしてあるからさ、アメリカのそれとは大きく異なるだろうと。そんな期待を込めて聴いてみると案の定、巻き舌直前まで行っている歌いまわし、そして案の定隠し切れなかった情熱的なボーカルスタイル、イタリア人の血はやはりこういう情熱感にあるもんだ。熱唱しちゃうんだよ、そしてギターソロにしても曲にしても懐古主義なくせにメチャクチャ叙情的で盛り上げてくれる、単なるレトロにはなりきれないイタリアの血、それが見事に70年代ハードロックと融合して、あの時代のイタリアンロックにあってほしかったストレートなハードロックへのアプローチ、それが実現できている。ユーライア・ヒープ的なオルガンが入っていたり、ジェスロ・タル的なフルートがあったりすることでそういう書かれ方をしているようだが、自分的に感じるのはそれよりもイタリア人的気質の表れが見事に反映されているという楽しさ、だね。

 とは言うものの本人達も70年代ハードロックからの影響は否めないどころか好きだと公言していることからすると当然オルガンやフルートの使い方はそのヘンを意識しているのだろうし、9曲で70分という長尺主義はイタリアンロックの系譜からすれば当然の成り行きか。これを長いと感じるか頼もしいと捉えるかは過去どんなモノを聴いてきたかによる感覚の違いか。自分的にはずいぶんと楽しめる尺だから必要だったんだろうなとも思うし、それだけ楽しめたのもある。そしてアルバムジャケット、これも良いでしょ。Springを思い起こすような赤のマントの流れ方、バンド名とタイトルに相応しい情景、芸術的によく出来たアルバムで、そこらのレトロなバンドに比べたらずっとオールドリスナーを楽しませてくれる作品。




Natur - Head of Death

Natur - Head of Death (2012)
Head of Death

 Black Sabbathが現在のシーンに与えた影響ってのはホント、とんでもなくデカいんだろうと思う。もちろんLed Zeppelinなんかも凄い影響力があるんだろうけど、ああいうバンドってのはもう出来ないからかそうそうクローン的なのが出てくる事もないし、発展させてそれらしいってのもなかなか見当たらない。それくらい唯一無二の孤高のバンドなのだが、もうちょっと汎用的になっているのがサバスだったりユーライア・ヒープだったりするんだろうか。多分あの半音下りの悪魔進行的なコードチェンジとあそこまで遅いリズムをヘヴィに仕上げてしまう技ってのは表現しやすいのかもしれん。もともとが悪魔主義的なものってのが暗黒ロックに結びつくのは何ら不思議ではないからそういうバンドも多く出てくるのだろうけど。

 Naturというこれもまたアメリカのバンドの2012年ファーストアルバム「Head of Death」なんてのを。これがまた良く出来てるデビューアルバムでね、タイトル曲が8分半あるんだけど、序盤にバンド登場のインスト的なテーマが流れてって、そのあと強烈なNWOBHMなリフ、それもまた80年代風なダサかっこよい入り方でガツンと来る。アルバムジャケットでお墓を使っているからかどうしてもドゥーミーなスタイルに思われがちだけど、コミカルなジャケットだったら明るく元気一杯のハードロックバンド、として紹介されたことだろう。真逆のジャケットを使ったことでNWOBHMの流れを組んだドゥーミーなバンドとして暗黒的に言われているようにも思う。音だけ聴いてると普通にNWOBHMサウンドでしかないしね。

 その意味では何ら新しい試みが行われているようには聴こえないというのはニッチなリスナーしか獲得出来ないんだろうとは思うものの、その完成度の高さがオールドファンも虜にする魅力がある。こんな世界を今の時代に再現してくれるバンドがあるってこと自体、シーンとしては面白いし、やっぱりこのパワフルなスタイルってのはいつの時代も若者を魅了するもんなんだろう。軟弱なの聴くくらいならこういうのでガツンと味わってほしいもんだ。正直、カッコよいです。






Ruby The Hachet - Valley of the Snake

Ruby The Hachet - Valley of the Snake (2011)
Valley of the Snake

 暗黒系やサイケデリック系のサウンドとかバンドスタイルとかってのは結構多くの人々を魅了するものなのだろう。今の時代になってあちこちでそんなオマージュバンドが山のように出てきてひとつのカテゴリを形成してしまうくらいだし、それなりに売れているのだろうから活動も続けられるのだろうし、なかなか不思議な世界観。自分的には当然嫌いじゃないけど、何度も何度も聴く程のバンドってのもそうそう無いし、だったらサバスとかで良いし、とも思ってしまう。妖しげな女性が歌い上げる妖艶な暗黒バンドなんかだと気になるんで見たりするけど、やっぱりそれも皆似たような妖しさを醸し出すというワケで、衣装も似てくるし、やっぱりイメージが同じなんだろうね、個性が際立たなくなっちゃう。

 Ruby The Hachetと言うこれもアメリカのバンドの2011年のアルバム「Valley of the Snake」。基本シャッフル系なゆったりとしたリズムの上をユラユラと妖しげな女性ボーカルが浮遊しているスタイル、どこかで聴いたことあるようなスタイルの曲が並ぶので心地良さはあるもののフックに欠けるメロディと言うのか、メロディを作っていなくて曲に合わせて流していくだけとも言うような歌のラインでどうにも聴いている側も流してしまいがちにはなる。ただ、もちろんバンドとしてのスタイルは至極こだわったスタイルだし、暗黒感たっぷりなオルガンやギターやベースのリフなのでハマって聴くとかなり気持ち良いものにはなってくる(笑)。このトリップ感がこの手のバンドの売りなんだろうなぁ。

 順序は異なるけど自分的にはこういうのはPursonな印象が強いね。元々はCatapillaな世界と思ってるけど、暗黒感となればやっぱり最近のバンドの特徴だし。ジュリアン嬢ってのがボーカルの女性なのだが、ステージショットとか見てると結構やんちゃな部分もあるみたいで、かなり色気が溢れていて面白そうだ。カリスマ的な存在感もあるし、そういうステージングを魅せられるとリスナー的には取り憑かれちゃうだろうなぁ…。自分もなんだかんだろアルバム聴いて書いてるだけで、生見たら確実に大絶賛に変わると思うもん(笑)。



Brimstone Coven - Brimstone Coven

Brimstone Coven - Brimstone Coven (2014)
Brimstone Coven

 アルバムを聴いていてどんなギター使ってるのか何となくは分かる気がする。ただ、近年はもうギターに囚われない音が作れてしまうものもあるから分かりにくくはなってる。一方でギターそのものの音をきちんと出す人たちもいるから捉え方なんだろうね。わざわざ思いレスポールを使わなくてもレスポールらしい音は出せるだろうし、もっとマルチに音を出したいならフットワークの軽いギターを使う方が応用が効くっていう事だ。スタジオでは使うけどライブでは使わないギターってのも出てくるだろうし、必ずしもライブで見たギターがアルバムで使われているとも限らない。色々な聴き方があって面白いもんだと。

 Brimstone Covenというアメリカのバンドの2014年リリース3枚目の作品「Brimstone Coven」。どこでこんなの拾ってくるのか知ってる人は知ってるワケで、そんなトコロからのスジで知ったんだけど、偏見なしでアルバムを流してみるとこれまたヘヴィーそうあ印象があるものの、ギターがとっても粒の粗いディストーションサウンドで、スカスカ感すらあるのでもしかしてSGか?って思って映像見たらやっぱりSGだった。SGでアンプ直で歪ませるとこういう音になるから、そうか、そのまま弾いてるんだな、なんて納得。バンドはもちろんBlack Sabbath系なストーナーというか暗黒系なサウンドなんだけど、メタルっていうにはちょいと程遠い。正にサバス系でもちろんZeppelin的なヒネた感覚は入っていたり、暗黒系バンドのスタイルは継承しているものの結構音自体は軽めですらある。歌い方やメロディなんてのはモロに暗黒系なんだが、やっぱりギターの粒の粗さとSGの軽さがバンドを重々しくしなくて済んでいるようだ。

 ただ、ライブなんかで見てたらその雰囲気でかなり重くておどろおどろしい感触になるだろうし、そういう曲が並んでいるから余計にそうなるだろう。そのヘン上手く作られてる感じ。曲そのものはもちろんキャッチーさがあるワケでもなく、延々と暗黒スタイルが続くんだが、割と楽曲のバリエーションは幅広くなっていて、だからこそ何枚もアルバムをリリースするバンドになっているのだろう。ニッチなリスナーはかなりハマっていくバンドなんだろうね。






Abramis Brama - Dansa Tokjvelens Vals

Abramis Brama - Dansa Tokjvelens Vals (1999)
Dansa Tokjvelens Vals

 ヨーロッパのバンドも普通に洋楽として、と言うかハードロックやメタルの世界からでしかないのだろうけど、普通に着目される、新譜が取り上げられたり国内盤がリリースされたりするようになったのって90年代初頭くらいからかな、その頃は自分的にはさほど興味も持たずに専ら70年代を漁っていた時期だったけど、仕事柄こんなのあるのかぁとかヘンなのたくさん出てるなぁ、誰が買うんだろ?ってムサ苦しい兄ちゃん達が買ってくのを見てた感じだ。それがまさか最先端のシーンを追いかけていてヨーロッパの世界観を日本に入れている情景だったなんて思いもしなかった。後で振り返ってみればそういう事だったんだなと分かるけど、当時はもう全然。それが今自分で多少聴く事もあるものになっているんだからね。

 Abramis Bramaってスウェーデンのバンドの1999年のファーストアルバム「Dansa Tokjvelens Vals」。この頃から既にストーナー系というのか、そんな単語は出てこなかったとは思うけど、70年代のレトロロック回帰バンドのひとつだ。ただ、どうしても時代の背景から疾走感や歪み具合からするとメタルチックな感触が強いから、こいつを聴いてBlack Sabbathだなぁ、って言うのもそこまで思わなかったかも。今の時代のストーナーバンドと同じことやってるんである種最先端の先をやってたってことになるが(笑)、人間椅子的って方がわかりやすいのかな。好きだけどね、このギターのディストーション具合とワイルドな感じのドラムにチープな歌声と取ってつけたようなメロディ、ロックはリフで持っていくんだぜ、って意思を明確に感じ取ることの出来る見事なこだわり、素晴らしきサバス愛。

 1999年にこんなんあったんだなぁ…。スウェーデンって進んでたんだ…じゃなくて遅れてたのか?どっちでも良いがArch Enemyとか出てきてた頃だからやっぱ捉え方がちょいと変わってたんだろうな、と勝手な推測。んでもこれ、カッコよいわ。サバス的と言う割には案外バリエーション豊かな曲調が並んでいるのも魅力的で飽きさせないし、雰囲気もあるし、それだけではなかなか世界のシーンには訴えきれなかったのかもしれないけどさ、今でも活躍してアルバムリリースしているんだからようやく時代が追いついてきたのかもね。







Honeymoon Disease - The Transcendence

Honeymoon Disease - The Transcendence (2015)
The Transcendence

 古い音源をどんだけリマスタリングしてハイレゾ化したトコロでどんだけ違うんだ?って思う部分もある一方、やっぱり音分離がしっかりして伸びやかに聞こえるかも、なんて思う部分もある。70年代くらいまでのだとそこそこのハイレゾ化音源までしか無さそうなので、無茶苦茶な期待は出来ないけど、やっぱり迫力は凄いよなとかチョコチョコと納得。ただ、もうあんだけ聴いてたレコードとかのハイレゾ化っても、そんなには聴こうって気にはならないな。聴くと燃えるけど(笑)。ただ、好きなものってずっとそのまま好きだからこういう形でいつでも聴ける、良音で聴ける環境が整ってるってのは良い事だなと素直に思う。

 Honeymoon Diseaseってスウェーデンのバンドの2015年リリース作「The Transcendence」。2015年にリリースなんたけどさ、いや、ホントにそうなんだろうけどさ、聴いてみると音は70年代終盤にあっておかしくないサウンドそのもの。音の古さもきちんと再現されているし…、今時ってこういう古いレトロチックな音がデジタルの駆使で出来上がるんだから面白い。カネ掛けて古さを再現してるんだからねぇ…。んで、レトロチックなのは何も音だけじゃなくて楽曲とかリフとか、何よりも歌声(笑)。いや、歌声が古臭いってそんなの無いだろ、って思うんだけど、実際に聴いてると歌声とメロディが古臭い、やっぱり歌声が古臭いんだ。ヒステリックに叫びまくる歌唱で、70年代のお転婆娘達が散々歌っていたスタイル、Babe RuthとかCatapillaとかそういう類の感触でさ、見事なまでにヒステリックスタイルで素晴らしい。楽曲のリフやらアレンジやらも古臭いしドラミングなんてもうどうしようもなく古臭い。そんな研究してからやってるのかな、いや、凄く研究してからのこういうスタイルなんだろうと思うが、そのレトロ感が実にハマる。

 こういうの最近の若者が聴くと斬新なんだろうな。もうちょっとブルース色があったりしても面白いだろうと思うけど、これで北欧から出てくるバンドなんだから不思議。どういう文化圏だったらこういう影響下に自分たちを置けるんだ?そして何とも驚くのはこんだけのギター弾いてるのがAcidという名の女性って事だ。スゲェ良いセンスのギターだしさ、音は少々荒っぽいけど、ツボを得たスタイル。んでリズム隊は男たちだからかきちんと太いボトム支えているし、ありそうで無かったスタイルのバンド、キャッチーさもあるしハードさもあるし、なんかカッコいい。






Gary Farr - Strange Fruit

Gary Farr - Strange Fruit (1970)
STRANGE FRUIT

 70年代のアルバムって40分前後というコンパクトな時間で聴けるんで、ちょっと聴いてみよ、ってのが手軽に出来て良い。それでも以前はアルバム聴くってのはひと仕事だったんで、しっかりと時間を取ってからじゃなきゃ、なんて思ってレコードプレイヤーの前に座って聴いていたものだが…。CD時代になってからついつい40分というサイズが「ながら聴き」するようなものになり、真面目に集中して聴く機会が減っていった。今のDL時代なんてのはもう論外で、そもそもアルバム聴こうという意思がないままに聞けてしまうワケだからダラダラも良いところ(笑)。それでも面白いのはその中でもきちんと琴線に引っ掛かるものが引っ掛かる、って事だ。ただね、今はその琴線ってのを替えなきゃって思ってるのもあるからなぁ…。

 Gary Farrの1970年のセカンドアルバム「Strange Fruit」。話題性としてはもうリチャード・トンプソンの参加とMighty Babyという英国の幻のバンドの参加だろう。ここまで無名のままでいられたシンガーソングライターもそうそう居ないんじゃないだろうか、ってくらいに人気面では恵まれなかったゲイリー・ファー、どこにその要因があったのかは分からんが、作品を聴く限りではきちんと英国人がアメリカ南部に憧れてレイドバックしている感溢れているし、バック陣営はそんな最高のメンツなワケだし、やっぱり売り方なんだろうか。レーベルはCBSだから売ってたハズなんだが…。その意味ではなかなか難しいのがこの世界ってことだ。

 作品の方はフォークありR&Rあり、多少なりともキャッチーなのもありと可もなく不可もなく、のアルバムだけど悪くない。そこに曲ごとに色を添えているのが達人リチャード・トンプソン。明らかにこの人の音色とプレイが突出して作品を色付けている。いつ聴いてもホントに不思議な職人で、一発でどのギターか分かるしさ、全く面白い人だ。それに食われてというんでもないだろうけど、やっぱり楽曲の面白さ、奥深さが足りなかったのだろうな、と思わざるを得ないゲイリー・ファー、この手の音でヒットは無いにしてももうちょっと知られていっても良かったアルバムのひとつ。








Tranquility -Tranquility

Tranquility - Tranquility (1972)
トランクィリティ

 ふと空いた時間なんかがあると頭の中で色々な曲が鳴る。それくらいに知ってる曲しか鳴らないんだから大した数でもないのだろうけど、そのおかげでアルバムを聞き直すとか曲を探すみたいなことをしなくてもある程度満足できちゃう、と言うかどんなんだっけ?なんて思わなくても良くなる。当然本物聴きたいなって思うけど、その本物の音がアタマの中で鳴っているんだからリアルな実感が欲しいだけではある。それこそが聴くという意味なのだが。そうでもない音楽についてはどうだろうか、やっぱり聴いたことあるとか好みの音だな、とかそういうレベルでしかないのかも。それでも色々聴いてるのはまだまだ刺激的な、これからも虜になるようなサウンドを欲しているから、かもしれない。

 Tranqilityという1972年デビューの英国のバンドのファーストアルバム「Tranquility」。紹介文的にはフォークバンド、として書かれる方が多いのだろうけど、いや、それはそうなんだけど、実は結構ギターがカッコよくってさ、ソロを弾きまくってるんだよ。ロック的なギュインギュインしたギターじゃなくってツボを得たサウンドに合ったソロワークが見事にアルバムの彩りを華やかにしている。それに加えてのコーラスワークがこれまた素晴らしい。一筋縄でいかないロックバンド、フォーク的エッセンスが強いからそっちから入るんだけど、聴いていると実は引き出しの多さ深さが多数あることに驚きを感じるだろう。明らかにロックの世界に入るフォーク中心のバンドです。

 英国B級バンドで培ったテクニックや業界のコネなんかを使ったメンバーが揃いも揃ってのバンドなので下積みも長いし、ここでの心機一転を図ったバンドだったんだろうと思う。ある程度のポップさとアコースティック感、そこにギターを入れたロック感が心地良く響くワケだからさ。Fat Matless(ノエル・レディングがいたバンド)、Grapefuits、Cressida、Fuzzy Duckはそれぞれハードロックバンドだし、そこからのメンバー招集なんだからそりゃハードロックになるだろ、って思ったが、こういう音で出てきたワケで…。なかなかの快作。

Claire Hamill - October

Claire Hamill - October (1973)
October

 早いもので今年ももう10月になってしまった。冬から春、そして酷暑を経ての秋を実感する10月と目まぐるしく時は過ぎていく。果たして自分はその間に何か得るものがあったり、楽しみを味わえたりしただろうか、しただろうけど、月日の過ぎ去る速さを超えるほどの味わいだっただろうか、などと考えてしまうのは既にジジイ的発想ではある。昔は月日が経てば大人になる、とかキャリアが積み上がる、みたいな考え方もあったけど、だんだんそんなんよりもどんだけ好きなことに時間を費やせるか、みたいになってるしさ、その意味では今のインフラってどこでもいつでも楽しめるようにはなっているからスピード重視の時代感ではある。

 Claire Hamillの1973年リリースのタイトルズバリの「October」。この作品から有名なIslandレーベルからのリリースで、オリジナルはあの島ラベルなのでコレクション的には面白味のあるアイテム。更に言えば、プロデュース・アレンジャーには元The Yardbirdsのポール・サミュエル・スミスが名を連ねている。この辺は同じIslandレーベルでのThe Amazing Blondelのプロデュースをしていたあたりからの人脈だろうか、ドラムはアラン・ホワイト、そうあのアランですね。そうして聴くと結構なメンツが揃って…となるんだけど、元々が透き通った声を売りにした透明かな触れるキャッチーなフォーク調ポップメロディなのでこのアルバムでもそのスタンスは変わらず、大半はアコースティックだけど、そこにドラムやらベースやらが入ってくると極端にポップになってきて、「Speedbreaker」なんてタイトル通りに凄い盛り上がりと疾走感を味わえる名曲に仕上がっている。アコースティックだからと甘く聴いているとここでロック的本能が呼び覚まされるので面白い。

 そしてこのアルバム、表ジャケットは特に感想もないのだが、裏ジャケがね、凄い良いんです。少女が草原ではしゃいでいる、みたいな絵そのままでさ、それがまた秋の風景の中ってのが哀愁深くて実に良い。アルバムはタイトルそのままに10月な雰囲気の楽曲で構成されているし、ジャケもこれだ。そして染み入るクレア・ハミルの優しい歌声、どこから聴いても秋の気配をじっくりと実感できる素晴らしき作品。


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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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