Autumn's Grey Solace - Ablaze

Autumn's Grey Solace - Ablaze (2008)
Ablaze

 昔はジャケ買いって事も割とあって、色々なアルバムやバンドを聴いていくとアルバムのジャケットを見て、何となく自分のセンスと合うかな、って思って中身も情報も何も知らないままにジャケットだけで買ってくるレコードもよくあった。なけなしのカネをはたいて買ってるから、好きかどうかって基準よりも何かどこかに買った理由を自分で見つける必要があったってのが事実なのだが、それでも当たり外れみたいなのがあったな。当たった時は嬉しいよね。外れても良いとこ見つけて自分を慰めてるが。いつしかそういうのもあまりアテにならなくなって、そして情報が溢れる世の中にもなったからそんなギャンブルしなくても良くなったし、そもそもネットで聴けちゃうし、ってのはホント、良い時代だ。

 Autumn's Grey Solaceというこれもまたアメリカのバンドの2008年リリース作「Ablaze」。ジャケットが強烈に訴えてくるものがあってさ、単に怪しげな女性が睨んでくると言う以上にメッセージを感じてしまってね、果たしてどんなんだろ?と想像も出来ないままに聴いてみた。そして出てきた音には少々戸惑いを覚えながらも、そう来たか、ってね。これもまた自分の世界観としては割とアリな感触で、好みの範疇に入る。一般的にはシューゲイザー的なジャンルに入るらしいが、ボーカルはエリン嬢なる女性で、ずいぶん可愛らしい声で耽美的に歌ってくれるからまるで耳元で囁いてくれているかのような優しさを感じるんで好きになるポイントが圧倒的に高い。音楽性はと言えばシューゲーザーと言われる程の音でもなく、ギターがひたすらキラキラしたコーラスやディレイやフェイザー系の音を駆使してて物凄くレンジを広げているサウンド、その意味ではシューゲイザーなのかもしれないな、やっぱり。決して明るくもなく、かと言って暗い音世界でもなく、やはり耽美的というのがぴったりな音。

 所々で効果的な効果音的なサウンドも入ってくるけどバンドのポリシーとして鍵盤を使わないってことなのでひたすらそれ以外での効果的サウンドを駆使しているようだ。そんな細かい芸はあるものの、ど真ん中に位置しているメロディラインと歌声が圧倒的に聴きやすさを増しているからとてもアメリカのバンドとが思えない感触が個性的か。かと言って英国です、ってほどの湿り気感はないし、なるほど、面白い音になってるもんだ、と感心。何枚もアルバム出してるから結構人気もあるだろうし、自分が知らなかっただけなんだとは思うけど良いモンに出会えて良かったですね。






From Autumn To Ashes - Holding A Wolf By The Ears

From Autumn To Ashes - Holding A Wolf By The Ears (2007)
ホールディング・ア・ウルフ・バイ・ジ・イヤーズ

 好きなバンドの音源をとにかくひたすら聴きまくってとことん楽しむ、いつしかマニアになっていくみたいなのとそこまででもないけど気に入ってるからアルバムはそれなりに大抵聴いている、もちろん何度も何度も聴いててそれなりには知ってるし、やっぱ好きだ、ってのもある。ところがいつからか幅広く聴き始めてってそういう観点とは異なる聴き方、これどんなんだろ?こういうのあるんだ、スゲェな、好きかも、って気づく、みたいなね。そこから何度も何度も聴くのもあるけど、そうなっていくのは多くはない。やっぱり思い入れの度合いなんだろうからあまりよろしい聴き方ではないのは確か。どうせならアルバム一枚をじっくり聴いて、他のアルバムも聴いてそのバンドを知るってのが良いよね。いつしか何度も聴いてるってのもアリだ。

 From Autumn To Ashesというロングアイランドのバンドの2007年リリース4枚目の作品「Holding A Wolf By The Ears」。メタルコアって言われているジャンルになるのか?Bring Me The Horizonみたいなバンドだなぁって感じなんだけど、その元々で言えばそっか、ガスタンクでもあるのかってことに気づく。楽曲はもっと洗練されてるから違うんだけど、歌の使い分けなんかはやっぱガスタンクが元祖なんだろうなぁと。それでさ、面白いのはそんなメタルコアで歪み系なボーカルがあったりするんだけど、自分的には好きなんだよね。何でだろ?メロディはしっかりしているってのはあるが、それでも吐き捨てるかのような歌い方だし、音は思い切りメタリックで疾走感溢れる…、その疾走感とメロディってのが好きなのかもしれない。ちょっと前だったらそういうのも全然聞けなかったんだけど今はある程度なら全然平気、どころか好きなんだから困る(笑)。新しい時代の音に付いていきましょう、ってな事だ。

 このアルバムからボーカルやドラムが変わったりといろいろとあったみたいだけど、その分気合の一枚になったようで、名盤として評価されているみたい。実際聴いてみてそのレベルにある作品だろうな、って思う。どこまで必要か、ってなるとアレだけど、聴いているとそのスタンスはカッコよいな、って。この手のバンドって生き残るの大変だからいつまでもってワケにはいかないだろうけど、こういうメタルコア的なのはもうちょっと自分でも掘り下げても良いのかもなぁと柄にも無いことを思ったりする。まだまだ深いです。




My Autumn Empire - The Village Compass

My Autumn Empire - The Village Compass (2010)
The Village Compass

「Autumn」=「秋」をイメージさせたいからバンド名に付けるだけあって、その名が付くバンドはなるほど哀愁や郷愁への想いが募るような叙情性の高い雰囲気を持つバンドが多い。それは多分アルバムタイトルなんかでも同じだろうし、曲名でもそういうモンなんだろう。調べてないけど多分、バンド名とかアルバム名では四季の中ではAutumnが一番多いんじゃないかな。Winterもアルバムタイトルでは割とあるかもね。春や夏ってのはそれほどでもないイメージ…、人間やっぱり暗めの方へと思考が向くのだろうか、それとも自分の聴く音楽の方向性がそっちの方が多いだけか。

 My Autumn Empireなる英国のアコギプロジェクトによる2010年ファーストアルバム「The Village Compass」。epic45なるバンドのBen Holtonって人のソロプロジェクト作品らしいが、これがまた見事なまでに秋をイメージした音を作り上げていて、バンド名がそういうんだから基本的な音楽の方向性がそっちにあるのだろう。アコギ弾いたことある人は分かるだろうけど、コードワークする時に低音源では指が引っ掛かるからスライドする音とかが鳴るでしょ、アレがひたすらたくさん入ってるというアコギアルバム。ここまであのグリッサンドの音が入ってるのはそうそう聴くこともない。大抵の人はこの音はあまり出さないで弾くか、入っても多少、という程度でそこまでのコードワークをすることも多くはないのだろうが、この人はホント、それが売りって言わんばかりに入ってくるから低音源のフレット移動を意識的にやってアルペジオ展開しているんだろうね。そんなトコロから入ってしまうくらいにアコギ中心な世界のアルバムで、曲が良いとかどうの、って前にアコギプレイの楽しさとか重ね方の面白さとか音色の美しさとかそういうのが耳に入ってきちゃうアルバム。

 インストものかな、って思ってたらちゃんと歌も入ってた。それなりなんだろうけど、どう聴いても歌はおまけでしかないんじゃね?って程度にしか聴こえない。そんな事もないんだろうけど、それ以上にアコギプレイがアルバムを印象付けているからだろう。今時こういうのやる人もいるんだねぇ…。流石に英国インディの世界、自由にやってるけどしっかり主張しているし、次なる世界への挑戦にもなっている。正に新しき秋を楽しむ音とも言えるか。しっかり作られた意外な傑作。ジャケットも何か、良いし、まだまだ楽しめるね。しかしところどころの「プチプチ」音はレコードかけた時のノイズを再現しているのか?懐かしいとも言えるがやっぱりウザいわ。






The Autumn Defence - Circles

The Autumn Defence - Circles (2003)
CIRCLES

 レコードからCD時代へと替わり音が良くなったと揶揄されたがやはりアナログの良さも際立っていった。今度は器の話ではなくリマスターなどでCDのスペックをフルで活用できるようにソースがいじられて一旦の音質は頂点を極めた。そこからデジタルDLになって倍以上のスペックで聴けるようになりハイレゾ化へと進んでいる。ところが一般的にはCDどころではない劣悪な音質であるMP3フォーマットが今や普通の音質だ。SpotifyにしてもアマゾンにしてもiTunesにしてもMP3フォーマット、AACもあるけどそんなもん。それでも今度はその普及したフォーマットで如何に良い音で聞かせるかという技術向上となり、今じゃMP3フォーマットでもしっかりと聴ける音質になっている。先日イヤフォン買って、良い音だ、と思ってても結局その圧縮音源を聴く事が一番多くて、もっと良い音が出るイヤフォンなのだろうと思いつつも勿体無いなぁ…なんて。ただ、それでも良い音なので楽しめるんだが。だからちょくちょくとCD音源レベルは聴くんだが、確かに身の詰まった音なのは当然実感できるけど、MP3音源も今はホント良い音だよなぁとつくづく。

 The Autumn Defenceというアメリカの最近のバンドの2003年の2枚目のアルバム「Circles」。バンド名が顕著に出ているジャケットを選んでいるだけなんだが、これもまた名前とジャケットで選んだだけというバンドだったけど、なるほどそういう音ですが、と妙に馴染めたアルバム。好みではないけどね、ただ、馴染みやすい音世界だったって事で、端的に書けばフォークグループ、しかも最近のだからもちろん単純にフォークギターだけってんじゃなくてしっかりとストリングスやバンドの音も入ってるし、しっかりとしたスタンスでの作品だからフォークバンド、と言って片付けられるもんでもない。何が新鮮なんだろうな、ありそうで無かったと言うかこの時代のフォークだから、なのかアメリカなんて昔からこういうのたくさん出てきていたのにね。

 多分メロディセンスの違いだろう。妙にメロディがあった昔のフォークソングとは違って結構な英国的メロディとでも言うのか、無理にメロディを作っていない、でもディランみたいなんじゃない、ってのか、そのヘンがバンド名にもある哀愁感を漂わせての秘訣なのか、アメリカらしい、っていう部分がほとんど見当たらない珍しい空気感でもあるし。自分は知らないけどWilcoってバンド?のメンバーの2名が独立してやってるバンドらしい。Wilcoなんてウィルコ・ジョンソンだろ、ってしか思わないからな(笑)。






Autumn Chorus - Village to the Vale

Autumn Chorus - Village to the Vale (2012)
Village to the Vale

 こんなブログでもやってなきゃこんなバンド名にAutumn入ってるのを立て続けに聴いてみようとか探してみよう、なんて思わなかっただろうし、そこまでして聴く必要も無かっただろう。ところがそんなくだらない着想から聴いているバンドも面白い世界だなぁとか案外好みじゃないか、とか発見や出会いってのもあるもんなのだ。それは色々な取り組みで思うけど、もう音楽的な情報があまり入ってこないからネット時代になると自分で探しに行くという方が強くなるんだよ。その手法のひとつがこんなやり方だし、他にもあるならそれで良い。残る音楽や刺激的なサウンド、ガツンとくるものなんかを発掘できれば楽しめるし、妙なセレクトだと思われるんだろうけど、それもまた面白い試み。

 ってなことでAutumn続きで、これはもしかして、って思って聴いてみたのがAutumn Chorusという英国のバンドの2012年作「Village to the Vale」。ジャケットからして田園風景的な印象もあって、そういう音楽なんだろうか…って思いながら聴いてみたら何とも驚くことにずいぶんとファンタジックでメロウなネオプログレ色強いアルバムだった。ちょこっとネットで探してみるとやっぱりその手の期待のホープとしてちょこっと祭り上げられていて、なるほど、それはそれは良いものに出会えたと楽しみながら聴いている。凄いんだよ、叙情的でメルヘンチックで破壊的な要素もありつつ、バイオリンやフルート、オルガンやピアノと多彩な楽器がどんどんと登場して、当然ながら優雅な品格を保ちながらのスタイルで、相当の音楽的才能の持ち主であろうロビー・ウィルソン氏による多分唯我独尊のバンド。素晴らしき叙情性。

 ジャケットの要素からは70年代の伝説のバンド、Fantasyを思い起こし、ところどころの破壊的な要素ではクリムゾンを彷彿とさせ、優美な感性は近年のネオプログレ勢のムードを醸し出し、ささやき声に近い切なさたっぷりのボーカルスタイルが抒情を誘い、バンド名の通りに哀愁を帯びたコーラスワークがそこに輪を掛けて壮大な音世界を広げてくれる。こんな形で発掘したにしては相当の名盤であることは間違いなく、相当のハイクォリティなのでその手に興味ある方は騙されてみてください。






The Autumn Offering - Requiem

The Autumn Offering - Requiem (2007)
Requiem

 バンド名決めるのってやっぱり気合入るモンでしょ。プロが集まってやるようなプロジェクト的なのは冗談みたいなのとか付けられるけど、アマチュアのそれなりのバンドで活躍してってプロ目指すぜ、的な段階とか特にコミック的なバンドを狙うんじゃない限り、それなりにこだわりはあるバンド名にはしたいと思ってるだろうし。そこに季節感あるネーミングを入れるってのは季節が持つイメージを音で表すバンドという偏見がまず入る。「秋」と言うキーワードだとやっぱりそれは切なさとか哀愁とか微妙な雰囲気を体現するという意味合いが強くなるんじゃないだろうか。実際そういうバンド名やアーティスト名だとそういう要素多い気がするもん。

 The Autumn Offeringってフロリダのバンド、2007年リリースの4枚目のアルバム「Requiem」がもちろんジャケットが目に付いたのでちょいと…ってことです。聴いて最初に「やっぱりな」って思ったのはアルバムジャケットの女性が歌っているワケではない、ってこととスゲェメタルバンドだ、っていう事だ。こういうジャケットなんだからそれは予想して然るべきだったんだけどね、その前がEmilie Autumn聴いてたからそういう印象もあったワケですな。だからと言って何か残念だったかってワケではなく、ジャケットとバンド名で選んだ割にはメロディアスで美しさも持ち合わせたガナリ声のメタル…メタルコアってのか、そういうんでブルータルさもかなり強烈で、実は結構好みの音だったりする(笑)。いや、早い話がArch Enemy的な音でしてね、メロディもあるし暴虐さもあるし、ギターは際立ったプレイするしさ。ちょいと粘っこさが足りないのはフロリダだからしょうがないだろうけど、畳み掛けてくるようなスタイルも面白いし、結構なバンドだったんじゃないだろうか。

 2012年くらいに解散しちゃってるみたいで、それも最初期から最後まで結構音楽スタイルが微妙に変化していったらしく、更にコレっていう個性が生かされなかったのもあってこの競争の多いジャンルの中では難しかったようだ。こういうのばかり聴いてる人にしてみれば当然そうなんだろうけど、稀にたまたまこういうバンドを聴いた人間からすると結構味わえるバンド、アルバムで楽しんでいる。集めて聴くかって程じゃないんだけどね、やっぱり凄いパワーとエネルギーがあるし、それはもう実感してて気持ち良いもん。






Emilie Autumn - A Bit O' This & That

Emilie Autumn - A Bit O' This & That (2007)
A Bit O' This & That

 世の中、という基準が適当かどうかってのはあるけど割とパソコン使い倒す人って少ないんだろうな。ネットとメールなら別にパソコンじゃなくて良いって事になりつつあるし、画像や動画いじるならパソコン必要だけど、とかゲームやるからってのはあるかね。そのヘンはもう特定な人種に限られてくるからパソコン使えるっていうレベルとはちょいと違ってニッチな世界観だ。エクセルやパワポなんてのは仕事でも使う人は使えるけど案外使えない人も多いし、若くてもそれは変わらない、ってか使う必要性がないから使えない、ってモンだろうか。触る機会ないもんな。結構パソコン覚えないと生きていけないぞ、なんて言われた世代って希少人種なのかもな…。

 秋なのでAutumn、ってのもあって実に久々なEmilie Autumnを引っ張り出して聴いてたり。2007年の「A Bit O' This & That」、初期作品に数えられる作品集で、彼女のレーベルからリリースされていた時代の産物でもあるからか既にデジタルライブラリ限定になりつつあるアルバム。そういえば最近は全然名前を見ないし作品も見かけない…って探してたら「The Asylum for Wayward Victorian Girls」なんて本を出版してた。日本語にはならないだろうから読むことはないのだろうけど、あの才能が小説になると一体どうなるのだろうか?っていう興味深さはあるんで、そのうち何か情報収集しておこうかな。そしてこの「A Bit O' This & That」、もうね、才能弾けまくり。一体どういうセンスと才能でこういうの作り上げられるんだろうか、ってくらいにあちこち多種多様な音楽センスを広げていて、しかも凄いな、ってのはどっから聴いてもロックやパンクのエッセンスが弾けまくってるんだよ。音楽そのものはクラシック的だったりジャズ的だったり弾き語り的だったりするにもかかわらず、だ。人間がロックなんだろう。強烈な存在感はやっぱり最初期の頃から健在で、どの曲も美しく斬新で衝撃的。騒がれないのが不思議なくらいの才能の溢れ出方、アレンジも斬新だしさ、あっという間に虜になるアルバムだね。

 見かけどおりにゴシックロリータ少女エッセンスを出してるけど、バイオリンがメイン楽器、だから素地がしっかりしているのは言うまでもないし、そこにこういうエッセンスだ。だから出てくる音楽も面白くて、歪ませたバイオリンで奏でるパンキッシュなサウンドだったり、もちろん歌も歌ってるんだけど、これがまた凄いアジテーションっつうかインパクトあって、一番バランスが面白い作品かもしれないな。いや、どれもこれも楽しませてくれる天才的なアーティスト、やっぱり凄い。






Mostley Autumn - The Ghost Moon Orchestra

Mostley Autumn - The Ghost Moon Orchestra (2012)
Ghost Moon Orchestra

 季節ごとにバンド名や楽曲タイトルなんかが付けられている事も多いから何だかんだと四季ってのは世界的なレベル感で見ればそれなりにあるのだろうし、皆それぞれが印象を持っているのだろう。春ってのはあんまり聞かないかもしれないが、Summer、Autumn、Winterなんてのは割と目にする事の多い単語じゃないだろうか。Springも無いことはないか…。ただ、各国のそれぞれの季節感と日本で思う季節感がどこまで近いのは何とも言えない。冬ったって、全然印象違いそうな気がするしさ。今回は秋というテーマも良いか、ってことで適当に秋=Autumnってのが何かあるかな…なんてふと思ってね。

 Mostley Autumnの2012年作品「Ghost Moon Orchestra」。もちろん英国出身のネオプログレ&フォーク・ケルト的バンドとも言う出自になるのか、この時点で既に中堅レベルのバンドだったワケだが、一世を風靡したヘザー嬢は脱退してて、オリヴィア姫にボーカルは変わっているが、それでも堂々たる雰囲気をそのまま継続しているんだから大きくは影響しなかったようだ。バックボーカルにフルート他楽器演奏のアン・マリー姫を同時に配しているから美しき二重の天使の歌声的なコーラスもあってかなり幻想的な要素を持ち合わせているのも魅力的。楽曲の方も繊細ながらも壮大に大胆に派手にキメてくれる曲も多く、昔からもういうのは好きだったけど、ここでまた大きく発展したシンフォニック感たっぷりながらも魅惑的なサウンドが聴ける。それでいてきちんとヘヴィで歪んだギターも入ってくるし一体どういうセンスでこういうのは出来上がるんだ?ってくらい。

 正に秋に聴くのが一番だろうなぁ…。季節もあるけどやっぱりお国柄なのだろうか、これだけ独りで聴きたいって思わせるのはさ。ただ、これを独りでじっくり聴いているとハマるんだ…、それこそがこのバンドのサウンドなんだけど、ピンク・フロイドに端を発している事からその作風になるんだろうね。しっかりとその遺伝子は引き継がれていて、その筋の人も存分に味わえる雰囲気、出てます。足りないのはロジャーのような意思の塊、か。それがないからこそ聴きやすさが増しているとも言えるし、もっと多様な音楽性をミックス出来ているとも言える。何にしてもフロイド節から発展した先端のサウンドを継承しているバンド、そしてかなりの傑作と思われるアルバムがコレ。タイトル曲は凄まじくも圧巻な展開を聴かせてくれる。





Last Autumn's Dream - Paintings

Last Autumn's Dream - Paintings (2015)
Paintings

 その日その日の気分によって聴きたい音楽ってのは変わっていくし、どこかの何かのきっかけでアレ聴きたい、とか出てくるし、もう全然自分でも聴きたいものなんて予測できないんだけど、普通は、というか当然だけど知らなきゃ聴きたいって欲求は出てこないだろうし、イメージだけあって聴きたいってのは具体的なアルバムなんかが出てこなきゃ聞きようがない。知らないのが聴きたい、ってもどんな系統の?みたいなのあるし、そのヘンが知ってると応用が色々ときいて便利っていう程度かね。そこまでしなくても今回は普通に何かメロディアスでハードなので爽やかなの聴きたいな、って思っててね。そういうのは当然幾つもあるんだが、手っ取り早く聴いたのがコレ。

 Last Autumn's Dreamの2015年リリース作「Paintings」。バンドも色々あるんだが、コイツはギタリストが変わってしまった後の作品なんで、どうにも、ってな前評判だったんだが、当然バンドってのはここまで来ると一つの大道芸人でもあるから作風に変化が生じるハズもなく、ギタリストが代役になった、というレベルでしかないというある種悲しいくらいに没個性になってしまった新ギタリストではあるが、それでも前任アンディの代役を立派に務めてしまうのは才能でしか無い。聴いている側が全くそれを意識しなくても良いレベルにまで仕上げているんだからさ。もちろんじっくり聴けばその個性は当然異なるものなので出てくるのだろうけど、そこまで気にしなくて良いのがこのバンドのある種のステータス感。どのアルバム聴いてもハイクォリティな哀愁感のあるメロディアスなAOR的ハードロックなんだから文句ない。

 自分的にもAORって聞かないし、好きじゃないんだけど、ここにヨーロッパ的な哀愁感が入ってくると俄然面白みのあるジャンルになるんだから不思議だ。通称ではメロハーってヤツなんだけど、メロハーってアメリカのバンドはあんまり無くてやっぱりヨーロッパ。ってことは自分はメロハーバンドが好きだって事になるんだろうか??どうにもイメージが合わないのだが、飽きない程度に聴いている分には好きだと思う。今回のアルバムだってもちろんメロディアスなメロディにギターソロ、プレイ、どこを斬っても好きな作品で、ちょいと毛色の異なる曲も入ってたり、驚いたのはサックスが入ってるのだったりするけど、それもよし、結局の所快活に楽しめる聴きたい楽曲のオンパレードでスカッとしたもん。






The Human Instinct - Stoned Guitar

The Human Instinct - Stoned Guitar (1970)
Stoned Guitar

 近年トリビュートバンドって存在が市場価値を高めている。昔は単なるフォロワーとかモノマネという意味合いでしかなかったものが、トリビュートという意味合いから尊敬の念に変わってきていて、それがここのトコロではオリジナルのバンドそのものがメンバー死去してたり再結成とか言ってやっててもロクロク往年のスタイルなんて出来ずにヒット曲集になってたりと、そのバンドそのものが持っていたパワーとかカッコよさとかステージでの振る舞いとかそういうのがないから…ってことでトリビュートバンドの存在意義が出てきている。彼らは基本的に夢の世界の再現だから70年代のバンドのライブの姿をそのまま見せてくれる。だからその次代にトリップできる、オリジナルのバンドの方はそんなことするハズないからここで楽しむ、みたいな市場が出てきている。ジミヘンやツェッペリンなんてのもそういう領域にあるしね。

 ニュージーランドのジミヘンと異名を取っていた、(らしい、だってそんなの知らないもんね)Billy TKというギタリストが参加していたバンド、The Human Instinctの1970年のアルバム「Stoned Guitar」。いや、見事なまでにジミヘンそのまんまをニュージーランドでやれたモノだ。生のライブとか見てた事あるのかな?ニュージーランドなんて行ってないんじゃないだろうか。だからBilly TKがどっか行って見てたか、だけどロックでこんだけギター弾くヤツが見に行けるカネあるようにも思えないし、フェスで共演ってのもピンとこないし、それでこんだけフォロワー出来てたらやっぱり凄いと思う。本質的に音楽の才能無きゃ出来ないだろうし、バンドとのグルーブも必要出し、そのヘンもきちんとジミヘンしてるからバンドみんなが感性を養っていったんだろう。見事なまでのジミヘンスタイルバンドです。

 ここまで来るとジミヘンというジャンルもありなんだろう。スペイシーなイントロや間奏があって、それもギターで音を作っていて、疾走感溢れるギタースタイル、更に微妙なカッティングも特徴的だし、また美しいソロプレイも聞かせる、歌は適当につぶやくスタイル、みたいなね、それで出来上がりってか。ただ、楽曲についてはパターンキメられないからセンスだろうね。どれ聴いてても似た雰囲気あるから相当血肉になっているんだろうが、ここは好きだったら出来るかも。いや〜、聴いててジミヘンじゃないの?ってくらいにはジミヘン。見事。




Velvert Turner Group - Velvert Turner Group

Velvert Turner Group - Velvert Turner Group (1972)
Velvert Turner Group

 そうそう先日Apple Store行ったらイベントセミナーやってるトコロで、ちょうどGarageband使って音楽簡単に作れます、みたいなのだったんだけど結構皆さん熱心に聞いてて使い方知りたがってるってのか、楽しんでるってのか、それでもかなり真面目に聞いてた感あるから凄いなぁと。こういうワークショップ型セミナーってこんなトコロでもやってて物凄く市場に敏感な対応と実験精神旺盛なのを間近で感じたね。そこでボーっと思ってたのはこんだけ音楽作りたい人達がたくさんいるのに出てくる音楽が格安で提供されたり売れなかったり、魅力的じゃない市場になってるのは何故だ?それとも皆が出来る事だから商品にならないレベルにまで上がってしまっているのか、何ともシュールな話だな…と。ある種カメラと写真みたいなモンではあるか。

 ジミヘンから直々にギターを教わった事のあるギタリスト、ってのを売りにした見事なフォロワーでもあるVelvet Turner Groupの唯一作「Velvert Turner Group」、1972年リリース。簡単に書けばジミヘンそのもの。歌もギターも見事なまでにそのもの。雰囲気やゆるさや歌い方も宇宙観も曲もそのまま。だから発展していかないジミヘンを聴きたければこのヴェルヴェット・ターナーは最高だ。初期ジミヘンそのままを味わえる。ここまでジミヘン出来るもんかね?ってくらいの作風に驚くばかり。2曲目の「Talkin' Bout My Baby」なんてそのものだし、アルバム全編がギターなんてのは見事にそのまま。どういう経緯で出てきたのか分からないけど、当時のジミとは友人だったことで目の前で色々見てたりしたんだろうなぁ、そういう衝撃を生で、しかもステージじゃないトコロでも見ていたってのは影響度が大きいのは当たり前だろうか。ここでミッチ・ミッチェルあたりと一緒に組んでてくれたらスゲェ面白くなっただろうに…、当然リバイバル的な意味でしかないが。

 アルバムジャケットだけ見てるとサミュエル・L・ジャクソンなんだが、これ、ヴェルヴェット・ターナー本人なんだろうな。この威風堂々感もジミヘン的でコレ見てアルバム聴いてるとホント、面白い。普通に楽しめるレベルの作品でもあるし、ジミヘンでもあるし、楽しめます。もうちょっと話題を取っても良い人だったんじゃないだろうか。ロビン・トロワーとかランディ・ハンセンとかウリ・ロートとかよりももっとジミヘンに近いもん。




Billy Cox Nitro Function - Billy Cox Nitro Function

Billy Cox Nitro Function - Billy Cox Nitro Function (1970)
BILLY COX'S NITRO FUNCTION POST HENDRIX REMASTERS

 iPhoneがシーンに登場した時のインパクトとイノベーション、そう昔の話じゃないけど楽しい時期だった。iPodから息を吹き返してiPhoneで世界の頂点に君臨したという感じがね、どこか近未来を見せてくれているというのも魅力的だし。さすがに10年も経過するとiPhoneやスマホみたいなのが当たり前になって社会への害悪みたいなのが目立ってきたりもして新製品リリースってもさほど変化も伴わないから以前ほどの熱気は見られない。何でもそうなんだけど成熟しつつあるとそこからどうするか、だよね。Appleが強いのはデザインという高級感があるから消費合戦にならなくても良いのだろうけど、それでもその分機能面や驚きが期待されるからそれはそれで大変だろうし。これからもこのスマホ的なものが固定的になっていくだけだろうか、もっと発展してどうにかなるのだろうか?ちょっとイメージ沸かないから期待はしているんだけどね。

 ジミヘンのBand of Gypsys時代のベーシスト、Billy Coxがジミヘン亡き後に組んだバンドのひとつにNitoro Functionってのがあってですね、同年に「Billy Cox Nitro Function」ってアルバムを一枚リリースしています。見た目がロジャー・ディーンだから結構目を引くアルバムなんだけど、これまで聞く機会は無かったんだよなぁ。何でだろ?ジミヘンから入っても、英国B級好きからしてもジャケットアートからしても入る間口はあったと思うのだが巡り合わなかった。ようやくにしてこういう時代で出会ったのはありがたい事で、またこの辺のごった煮英国ロックの世界に突っ込んでしまったが、まだまだあるんだよねぇ、こういうのは。だから面白い。うん、しかもメジャーに名前が通ったビリー・コックスがコレですよ。聴いてみるとそのネームバリューとのギャップに驚くんじゃないだろうか。ある種ジンジャー・ベイカーなんかもそうだけど、そんなんと組んでこんな音やるの?みたいなのあるじゃない。ビリー・コックスのこれも同じような印象を持つ。

 ギターとボーカルにChar Vinnedgeっていう女性を仕立てているんで、ジミヘンの替わりですね。ドラムと3ピースでのバンドだからモロにそのヘン真似です。んでドラムがおとなしいからビリー・コックスのベースラインがかっちりとグルーブしているのが良く分かる。しかしバックとも全然合ってないし、バンドの音になっていないってトコですがな。ところがこのB級性をきちんと保っているのがCharという女性の歌とサイケデリックなギタースタイル。この時代でこんだけサイケな女性ギタリストってのも珍しいし、しっかりと一聴に値するギターを弾いてくれているんで気になる。所々でジミヘンのフレーズ浸かったりストーンズもあったりするし、そもそも「You Really Got Me」やってるし…、これがまたカッコよいんだが、とにかく70年にしてはサイケすぎる嫌いのあるスタイルでビリー・コックスも色々大変なんだなぁなんて思ってしまうが、バンドの方向性としては面白いバンド。もうちょっとリハしてからにしてくれ、ってのが一番か。

Jimi Hendrix - South Saturn Delta

Jimi Hendrix - South Saturn Delta (1997)
South Saturn Delta

 先日アップルストアへ初めて行ったんだが、色々と衝撃的な場所だった。店構えも当然ながらレジカウンターも無きゃレジも無い、即ち店員がどこにいるか分からない。いや、よく見ればアップルTシャツだから分かるんだけどぱっと見ると全然分からない。それでいて当然商品は美しく並んでいるんでスタイリッシュな店内なのだが、曲があのアップルのCM通りに客も店員も多国籍な人種がウロウロしてる。自分はどこに紛れ込んだのだろうか?と不思議な錯覚を起こす。そして店員とのやり取りでのiPadとiPhoneを駆使したサポート体制、WifiでもBluetoothでもなくAppleIDだけで全て同期できちゃう不思議。自社製品での統一だからこういうのが出来ちゃうんだろうなぁ、コレ、夢の世界だったろうなぁ、ジョブスさんよ。この先端技術を目の当たりにしてしまうと、まだまだ一般に使われてきているインフラなんてのは時代遅れで発展できるものなんだ、いや、最先端を取り入れちゃうとこんなんなんだ、自分のスキルを遥かに凌駕する世界観に心打たれたね。

 Jimi Hendrixの48年目くらいの命日らしいが、せっかくなので何か書いておこうかな、ってことで自分のリスト見ると結構な数の記事が書かれている。ただ、ジミヘンのアルバムも編集盤含めれば相当な数がリリースされているから、いくらあっても書く題材はあるんだろうなと探し始めてみて、「South Saturn Delta」にした。オリジナルリリースは1997年だったんだな…、ジミヘン財団が出来てアレコレリリースし始めた初期の頃だった気がする。それで、この「South Saturn Delta」ってタイトル、どころか未発表曲が何だろ?ってのが一番の売りでそれまでは一応リリースされた事がなかったんじゃないかな。もっともどこかのセッション集なんかに入っているレベルだと分からないけど、多分ここで初リリースだろう、だからこそのアルバムタイトルなんだろうし。それにしても音源管理する方もこのデータベース管理って大変だろうなぁ。今はPCあるから良いけどさ、それでも録音ソースを日付と曲とセッション数で並べて、それぞれがどの編集盤に収録されてる、とか記録しておかないとこれが本当の未発表だ、なんて言い切れないだろうし。そういうの面白そうだけど。

 てなことでこの「South Saturn Delta」はスタジオ未発表・未編集作品の寄せ集めというコンセプトで作られている。既発曲でも「Littel Angel」みたいにまるで異なるデモソースレベルまで入っているから、どこまで曲という概念に沿っているかってのはあるんだが、ジミヘンがバンドでやってるのは確かなので、それらを曲という単位で聴けるものにして出したんだろうね。曲そのものは未編集のままとは思うが。だからインパクトのあるアルバム、というニュアンスはなくて珍しいのが聴けるよ、という資料的価値の高い編集盤に仕上がってる。その意味での価値はそりゃ高かったんじゃないかな。自分的にはジャケット見て、こういうジミヘンってのもなかなか見ないし、珍しいから中身もそうなのかな…って手に取ってた記憶がある。聴いてると知ってるようで知らない曲みたいな感じで不思議なんだけど、そのジミヘンのプレイがやっぱ凄い。単純にプレイを味わうという意味でもどんだけギター弾けるじゃい、この人ってのは十分に分かる。いや、聴いてたらどんどんハマってきた(笑)。

Buddy Guy - The Blues Is Alive And Well

Buddy Guy - The Blues Is Alive And Well (2018)
BLUES IS ALIVE & WELL

 街にアジア人が増えた。今はアレコレあって減っているようではあるがそれでもやっぱりまだまだ多い。しかもこれがデカいスーツケースガラガラ引きながらウロウロしているんだからどうしようもない。小ぶりのをガラガラ引いている人も多いし、当然ながら迷惑のかかりまくる時間帯にウロウロしているなんて認識はないだろうからやむを得ないとは言えうっとおしいったらない。人口減少と言われるなかのインバウンド施策としては理解はするけど、元々いる人間たちにストレスを与えてまですることなのだろうか?被災したアチコチの地域では観光業として、経済的な損失は大きいというのはあるが単純に地元民からすると地元民しかいないから昔に戻ったみたいに凄く快適な日本です、みたいな安心感はあるらしい。普段如何にストレスを抱えて街で接触しているか、だよね。難しいけどね、そういうモンだろうよ。

 Buddy Guyの2018年リリース作「The Blues Is Alive And Well」。御大82歳でのリリース。82歳…、何だそりゃ?それでこの音か?ってくらいには普通に気合の入ったロックブルースが炸裂している。ロックの世界では最長に近いストーンズよりもちょいと早くシーンに出てきていたブルースメンだからね、それがこんだけ元気でライブまでアルバム出してこんだけうるさい音でギター弾いて、更にジェフ・ベックやキース・リチャーズなんかもゲストに迎えての楽しみ、なんでも出来ちゃうんだろうね、この人。面白いわ。とは言っても作風曲調に大きく変化があるもんでもなく、細かくは色々と楽しみを加えてくれてるけどここのトコロの作品のどれ聴いても大きな違いはない。だからと言って駄作なワケもなく、どれも素晴らしき傑作なので味わい深く楽しめるところが見事。

 今回の目玉はやっぱりベックとキースとバディ・ガイのジョイントだろうね。ベックは全編に渡ってトリッキーなギタースタイルからオーソドックスなプレイまでキメてくれていて、その合間をバディ・ガイの王道ギターが突き抜けてる。キースはと言えばいつも通りに派手なプレイなどはなく、ギターソロ回しだ、ってバディ・ガイが「キース!」と言って紹介するにも関わらず、ほんの少々サワリ的なフレーズを鳴らしてコードワークで流していく。でも面白いのは、あ、このギター、キースかな、ってのが鳴ってくるんで分かるんだもん。この渋さというか安定感、凄いなと。それとね、皆さんギターの音が凄く良い。これは自分のイヤフォン替えたからだろうが(笑)。かと思ったら今度はミック・ジャガー参加曲もあって、これもまた不自然なトコロが全くないセッションでね、バディ・ガイはホント、この辺りのロックファン皆さん好きだろうね。自分も大好きだし。いつまでもやっててほしいです。








Chicago Plays the Stones

Chicago Plays the Stones (2018)
Chicago Plays the Stones

 秋を感じるって良いね。よく「どの季節が一番好きですか?」って質問あるけど、自分が答えるのはやっぱり秋なんだろうと思う。それぞれの季節やその境目は好きだし、その見方だと好きじゃない季節ってのは無いなぁ。日本人だな(笑)。風情や季節感、それぞれの変わり目みたいなの全てが好きだし。考えたこと無いけど、そうだな、その季節感を感じるのが楽しいというのかありがたいと言うのか、そこには食べ物もついてくるし、ここ一連の災害みたいなのもあるのだろうけど、日本って面白いし良い国だなって実感する。もうちょっと頑張れってのはあるが(笑)。

 The Rolling Stonesの楽曲群をブルースメン達がカバーするというユニークな発想によるコンピレーションは物凄くたくさんリリースされてるんで全部聞けているハズもないのだ、今回また新たにその発想で出来上がってきた作品が「Chicago Plays the Stones」だ。こちらは当人のミック・ジャガーもバディ・ガイの「Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker)」でのサビのバックで参加しているというのがユニークなコンピモノ。ちょいと前に出るってのを聴いて楽しみにしてた一枚だったんで、聴いてみたら軽い衝撃を受けた。オープニングの「Let It Bleed」からしてそうだし、超有名曲の「Satisfaction」や「Angie」ですらこうなるのか、ってのがあってそれはもうアルバム全編を通して言えるのだが、全てがストーンズオリジナル風味が消されていてブルースならではの進行やアレンジやフレーズに置き換えられている。こんな風に出来るのか?こんなリフでメロディ同じで入れるのか?メロディ変えても良いけど成り立つのか?とかそんな不思議が見事に同居してて、何で成り立つ?ってくらいに見事にストーンズの原曲をぶち壊してブルーススタンダードを持ち込んだ曲に歌詞だけがうまく乗っかってる、とも言えるアレンジだ。

 不思議なのは「Miss You」みたいに原曲を意識してあるアレンジのブルースを聴いているとちょいと面白味に欠けてしまうというところで、それでもリフが残してあるだけで曲そのものは明らかにブルースアレンジ、この流れが普通なんだろうけど、ちょっと魅力に欠ける。ん〜、こういうのが出来上がると想像してたんだけどそれを遥かに上回る超絶ブルース作品集に仕上がっているってとこか。地味な楽曲郡が後半に固まってるけど、「I Go Wild」でのこういうのもありなの?って感じるし、若手ブルースメン中心なのかなぁ、あまり名前を知らない面々だからこれからちょっと気にしてみようと。いやはや話題だけかもしれないけど、これはなかなか楽しめる作品です。






Jethro Tull - Benefit

Jethro Tull - Benefit (1970)
Benefit [Deluxe Edition] [2cd/1dvd]

 いつまで経っても不思議な印象の強いバンドのひとつであるJethro Tull。何だかんだと割と多数の作品を聴いてはいるのだが、これもまた掴み所が難しいバンドで多数のアルバムあれどもそれぞれがテーマを持って方向性が異なる喜劇の展開なので一言でその音楽性を言い表せない。それが日本での人気の低さの要因であろうとは思うが、その実玄人には、また英国内では相当に評価の高いバンドであるのも知られている。だからこそ取り組む事も多いのだが、これがどうしてなかなか…ってのが本音。でもね、やっぱり凄いんだよな、ってのは分かる。曲の良さや音楽的なクォリティの高さも聴けばそりゃ分かるでしょ。ただはっきりとこういうバンドと言い切れないから口コミしにくいし、こういう文章でも書き辛いのは事実か。

 Jethro Tullの1970年リリースの三枚目のアルバム「Benefit」。無茶苦茶簡単に例えて書けばこのアルバムはLed Zeppelinの同時期の三枚目あたりと同じ試みで作られていると言えるか。アコースティックとブルースハードロックの中間を走っているアルバムと言う意味だが、そのバランスの良さは多分Led Zeppelinに勝っているだろう。ロックさ加減はもちろんZeppelinに軍配が上がるけど音楽的なクォリティは明らかにこのアルバムの方が高いと思う。Zeppelin大好きな自分がそう思うのはどうかとも思うけど、そこは公平に聴いてそう感じる。どころか、この「Benefit」というアルバム、ジェスロ・タル史においてはさほど重要アルバムとして挙げられることも多くないが、自分的にはこれまで聴いたタルのアルバムの中では一番しっくりくる名盤な気がしている。まぁ、これはまたジェスロ・タルってバンドの作品をある程度聴き直して行かないと分からないが…。

 メロディや雰囲気、ギターとフルートとの対比、楽曲のアレンジなんてのはホント凄く良く出来ているんだが、やっぱり明らかに曲のリフとか骨太さみたいなのが欠けているからロックのダイナミックさからは離れた音になるのもしょうがない。その分繊細な音色については良く練られているのは当然ながらそもそも聴いていて良い曲だなぁと普通に感じるんだからさ。ロックのダイナミズムはそういうんでもないじゃない?だからキンクス的=大英帝国ならではの音と言えるワケだな。こんだけ地味なアルバムで楽しめるんだからまだまだ取り組まなきゃいけないバンドは多々ある。まずはこの辺り、きちんと制覇しよう。




Traffic - John Barleycorn Must Die

Traffic - John Barleycorn Must Die (1970)
John Barleycorn Must Die

 イヤフォン替えてから聴く音楽が物凄く音の分離が良くってさ、こんな風に音が鳴ってたのか、って気づくようなものも多くて、それだけでもイヤフォンを新たにしていくというのは面白いのかも、って思う。リマスター盤やリミックス盤の面白さもあるけど、そのヘンまで音をいじられているんだったらイヤフォンやスピーカーを替えて聞く音を変えるってので気分を変えるのもありだね。そんな事で結構昔聴いてたのとかも聴き直したり、新しいバンドの最先端の音だとどうなんだろ、とか色々試して聴けてる。一番聴くのは古いのだからそのヘンがどう聞こえるかってのが一番気になってたけど、しっかりとヘヴィな音で鳴ってくれるので嬉しい。もっともっと上位機種のイヤフォンもあるからいつかそういうのでまた新たな音で聴けるのも楽しみか。

 Trafficの1970年リリース4枚目のアルバム「John Barleycorn Must Die」。もっともスティーブ・ウィンウッドがBlind Faithをやる時に一度バンドは崩壊しているんで、単にその後ウィンウッドがソロ・アルバムを作っている時にクリス・ウッドとジム・キャパルディを呼んで録音してたら、それならTrafficで良いんじゃね?ってことで急遽Traffic名義のアルバムになってリリースされた代物。そりゃ要はスティーブ・ウィンウッドだから別に問題ないのだろうが、だから故、トラフィックってバンドはどういう方向性にあるバンドなんだろうか、ってのが実に掴みにくい。Jethro Tull並にその辺りは掴み所が無くって昔から結構よく分かんないバンドのままだ。今でもこうして聴いているけど、どこが良いのかさっぱり分からん、とは言わないけど、実に音楽的な取り組みの方が強いからロック的側面からすると全然わかりにくい。英国音楽として聴くとこれがまた妙に染み入る素晴らしさがあるのは良く分かるんで、そっちの角度で聴くのが正解だろう。

 オルガンやピアノなどの鍵盤中心の音にフルートやサックス、そしてアコギなどが流れてインストモノも多く、また長尺の曲も最初と最後を飾ってて正にひとつの絵巻が綴られているかのようなアルバム構成。じっくり向き合うとこの良さというか面白さというか深みは分かってくるものだろうね。タイトルは英国伝承音楽で語られているフレーズそのもの、面白い逸話としては元々スティーブ・ウィンウッドのソロアルバムプロジェクトとしてガイ・スティーブンスがプロデューサーで参加していたものの、途中で離脱、その時までは仮タイトルとして「Mad Shadows」と付けられていたようだ。ユニークな事にこのタイトルはそのまま次のガイ・スティーブンスのプロデュース作品となったMott The Hoopleのセカンド・アルバムに使われている。何だかなぁ…。






The Who - The Kids Are Alright

The Who - The Kids Are Alright (1979)
キッズ・アー・オールライト オリジナルサウンドトラック

 今はホント、ライブ映像とかビデオ作品ってのが容易に見られるし、探すという手間すらほとんどないんだから羨ましい。自分がガキの頃ってそんなのどうやって見るんだ?ってくらいには難しかった。来日公演がそんなにあったワケじゃないし、そもそも興味あるバンドはほとんど活動していなかったから無理だったけど。ビデオも出始めだったから1本14800円とかそんなんだったし、そりゃ無理だろってな事で、テレビでそういうの放送してくれるかってのも分からないし。MTVの出始めだったからPVは割と見れたけど昔のはもう全然。だから70年代のバンドの動く姿って幻ですよ。ヤング・ミュージック・ショウだってリアルじゃなきゃ見れなかったワケだし、どんだけKISSのが話題になろうと再放送がない限りは見れなかったワケだ。そんな貧相な状況から今を思うと、何でも、ほんとに何を選択して良いか迷うレベルでの何でもある世界は素晴らしい。存分に楽しもうじゃないか。

 The Whoの「Road Runner」かぁ…、いいな、ってことで思い出す。昔は簡単にあのアルバムに入ってたとか出てきたんだけど、すっかり忘れてる…、「Who's Missing」「Two's Missing」…、あれ、無い…、ライブだったら…、あ、これオフィシャルじゃないか。何だっけ?あ、分かった、「The Kids Are Alright」だ。ってことでようやく思い出してアレコレ…。ところが今度はどんな映画だっけ?って思い出してみるんだが、これもまた記憶が曖昧(笑)。昔は見るもの多くなかったから結構な回数見てたハズなんだがうろ覚え…、ちょこっと見直してると、あぁ、これか…と一気にフラッシュバックして全体を思い出した。やっぱりこれは映画をひたすら見てからのアルバム聴きだよなぁとつくづく思う。冷静に見れば見事なまでのキース・ムーン在籍時のThe Whoのライブ集大成2枚組アルバムってことで貴重な産物だったんだが、どうもサントラという印象の方が強くてそこまでじっくりと聴いてないアルバムのひとつ。映画見た回数の方が多いかも。んでもさ、昔からバージョン違いのものが多かったり、ライブにしても何だこれ?ってくらいのが入ったりしていつになってもコレクター的に奥の深い作品だったことは否めなくて、名盤っていうんじゃないけど、このアルバムジャケットの気品は絶品だし、中身も超レアなバージョン収録されててThe Whoの意思ではなかった作品としても良く出来てる。やっぱりこれはもう若き監督のジェフ・スタインのThe Whoに対する愛と執念の産物だろう。

 初っ端の「My Generation」からしてこれだ。コメントからしてバカにしまくり、更に楽器破壊で黙らせる。そのときのピートのいたずらっ子が大成功したような苦笑いが印象的。そして絶妙にカッコよい「Happy Jack]のベースライン、「Live At Leeds」のと同じなんだけどね、こうしてクローズアップされるとその曲の面白さが一層輝く。そして長らくの間この一極しか日の目を見ることのなかったロンドンコロシアム公演の「Young Man Blues」が入ってて、レア度を上げてた。凄い迫力なんだよな、これ。んで、次も幻だった77年のキルバーン公演からの「My Wife」で完全版リリースまではコイツも超貴重なライブだった。そしてどうやってもあの映画版の素晴らしきライブ映像を思い出してしまう「Baba O'riley」や「無法の世界」かっちょよすぎる。そして幻中の幻セッションの「ロックンロールサーカス」での演奏がここで見れるんだな。正に絶頂期そのままのパワーが味わえるのはホント、嬉しい。それとねぇ、昔唖然として見たウッドストックの3曲。何か物凄く神秘的な雰囲気が映像から伝わってくるし、挙げ句ピートが最後の最後でギブソンSGをガツンガツンと何度かやっただけでまだそれ使えるだろ、って状態のまま客席にポイッと投げちゃう。え〜!って話ですよ。もらった人、そのまま使えるし、しかもピートの使ってたヤツってさ、これどっかでオークションで出てきてないのかな。そして75年のポンティアック公演での「Join Together」から「Road Runner」「My Generation Blues」メドレーをそのまま入れてると。まぁ、「Road Runner」は昔から確かカバーしてたからここでたまたま出てきてたのだろうけど、時代だね。

 久々にサントラ盤聴いたけど、やっぱこのバンドおかしい。凄すぎ。今のロックじゃ到底敵わないモンあるし、キース・ムーン時代だから余計にロックらしくて凄い。ロックの初期衝動そのままにバンドが成り立ってるというのか、そういうのが収められてて熱気が違う。いつまで経っても結局そういうトコロに戻ってきてしまうんだなぁ、自分…。







Aerosmith - Honkin' On Bobo

Aerosmith - Honkin' On Bobo (2004)
ホンキン・オン・ボーボゥ

 延命措置でどこまで人を生かしていくかという事を追求しているのが日本、欧米他は多分そこまで生かしておく感はなくてある程度までの処置の後は自然の摂理に任せておく、という感覚で無理な延命はしないという感じだ。宗教観の違いなのだろうけど、どっちが良いのかよく分からなくなってくるのはある。長生きして動けて人生を楽しめるならそりゃ長生きの方が良いんだろうけど動けなくて、となると難しい。かと言って…ってのもあるし答えは無いんだろうけどさ、ロック聴けない状態になってしまったらもういいや、って自分なんかは単純に思ったりもするけど(笑)。

 ふとAerosmith聴きたい、って思ったんだよ。何でかってのはもちろん分からないんだが、それで三枚目の「TOYS IN THE ATTIC」を聴いてたんだよね。やっぱりドラッグまみれの頃のエアロって独特の危うさがあってカッコいいな〜なんてね、んでアルバムも良いし、そういえば…って思ってまだ書いてないエアロスミスのアルバムって何かあるのかなってことで見つけたのが2004年リリースの話題作「Honkin' On Bobo」。エアロスミスがブルースアルバムをリリースするってことで話題になってて、それが実際リリースされてみるとたしかに曲は原曲に忠実にカバーされているんだけど、どっからどう聴いてもエアロスミスのロックでしかないという見事なまでの融合作に仕上がっていて、案外普通に楽しめてしまう作品になったと。ストーンズがブルースカバーやったのはあまりにも原曲になっちゃって面白くなかったのに比べるとエアロスミスのコレはホント、エアロってこういうバンドだもんな、ってくらいにブルースに根ざしててロックしてる姿そのまま。見事。

 コレ一発録りなんだろうな…、バンドのグルーブ感が物凄くてユラユラとドライブしてる。それとスティーブン・タイラーの圧倒的なボーカルパワーが冴えまくり。ジョー・ペリーとの2枚看板って印象が強いけど歳を重ねていけば行くほどにスティーブン・タイラーの圧倒的パワーの強いバンドになってきた。バンドのパワーバランスも変わってきてるのはそのヘンあるだろうなぁ。ロック好きさ加減ではジョー・ペリーダントツなんだろうけど、音楽的センスとビジネスセンスではスティーブン・タイラーだもん。話戻してこのアルバム、割と勝手知ったる曲ばかりなので余計にこのカバーのセンスの良さが分かるんで、ぜひ原曲探して聴いてみるのも良いと思う。とは言っても自分も原曲ではなく、その第一次カバーなんかを聴いている方が多いが。ちなみにThe Whoが「Road Runner」「Baby Please Don't Go」あたり、後はストーンズやFleetwood Macらヘンかな。ま、ここでのエアロカバーでまとめて聴いてればそんで良いのかもね。案外味のあるアルバムに仕上がってたんでオリジナルアルバムライブラリに加えても良いアルバム。




Tarja - Act II

Tarja - Act II
アクト II【2枚組CD(日本語解説書封入)】

 日々の生活内で見かけるアジア系外国人の行動は実に不可思議で目を見張るものが多い。まぁ、マイルドに書いているが「何でそんなことしてるんだ?」ってのがあるって意味ですがね、自国では普通なのかもしれないが、日本だとかなり違和感がある行動に映るというだけなんだろうが、周囲を見てその国に敬意を表しての行動という概念自体が無いのだろうから何とも…。他人に対する迷惑にならない範囲ならともかく、やはりモラルや常識感の違いは違和感を大きく覚えるものだし、何とか出来ないモノなんかね…と無理な事を思ったりする。

 Tarjaのソロ活動も既に13年、Nightwishでの活動も一昔以上前のキャリアのお話でしかなく、それすらも必要のないくらいにソロキャリアを着実に重ねているように見える。実際フィンランドではしっかりとソロ歌手としての地位を確立しているようで、今回の「Act II」というライブアルバムでもその人気ぶりが出ているんじゃないだろうか。もっともこのライブはミラノのものなので自国、じゃないけどさ(笑)。ヨーロッパ圏という広義の意味でも同じなのかな、多分。そのライブ、もちろんソロ活動キャリアの集大成的な選曲になっているものの、Nightwish時代の曲がメドレーで披露されていたりするので、その部分を聴いてると結構ゾクゾクするものがあって、やっぱりターヤの歌声の独自性とNightwishの楽曲のマッチぶりは当たり前だけど天下一品と感じるね。逆にバックの楽器演奏陣営の技量不足感を感じるくらいなんだからNightwishってのはやっぱり世界最高峰のバンドなんだなぁとも思ったりするのだが…。

 正直ソロになってからの楽曲群への思い入れもなければさほどじっくり聴いた記憶もないので、こういう感じなんだろうな、やっぱり出自からしてもメタル楽曲での歌唱が多いワケで、数曲アコースティックやピアノ中心でのものはあるが、ターヤの本質を発揮できていると思えるものが少ないんじゃないかなと感じる。もちろん曲ごとでは素晴らしい歌唱力を聴けるんだけど、やっぱり楽曲の出来具合なのだろう。メタルって難しいジャンルだから少々歌に特徴があるからと言ってそれだけで目立つモンでもないし、楽曲の良さがあるからと言ってもそれだけじゃ難しいし、様々な要素が絡み合うからね、だからターヤの凄さだけじゃしょうがない、って話にもなるのだが。もちろん壮大なライブに仕上げているんでライブを見ていればその感覚はあまり無くて見れるのかもしれないけど、音だけを聴いているとどこか物足りなさは覚えてしまう。それでもやっぱり歌唱力の個性は凄いと。







Gary Clark Jr. - Live North America 2016

Gary Clark Jr. - Live North America 2016
ライヴ・ノース・アメリカ 2016

 この手のを探したり漁ったりしているとネット上での専門店なんかも見つけちゃうからそこでも情報収集できたりして、やっぱりネットでのオタク的追求ってのはどんだけ時間あっても足りないなと久々に実感。多分皆普通にそういうふうに調べたりとにかくググれ的に使ってるんだろうけど、いざニッチに調べていこうとすると割とうまく見つけられなかったりするからさ、どっぷりと浸かって調べると面白い。そうかぁ、こんな人達がいるのか、とかまだやってるのか、とかアメリカの地方のフェスあたり見てると無名でも全然凄いのがたくさんいたりするし、有名だったけど普通にしれっと出ているとかさ、何かやっぱり色々と違う。それでいてプレイはもう絶品ものばかりだし、広さが違いますな。

 Gary Clark Jr.の2016年のライブツアーからのアルバム「Live North America 2016」。これがはっきり言って名盤。素晴らしいライブアルバム。こんだけ生々しくギタープレイとか魂出てくるとか歌に出てくるとか凄すぎる。とりわけこのギタープレイが刺さるんだ。他のアルバムやライブでもいつもそうだから取り立てて気合入っててってんでもないんだろうけど、この人のライブはホント素晴らしくてどんどん成熟していく。だから今じゃ多分血も肉もブルースに成り切っててそのままギターを通して出てきているんじゃないだろうか。ジャケットからは想像できない熱い魂の叫びが聴けるライブアルバムです。別に白熱プレイだけでもないし、アグレッシブな曲ばかりじゃないのに、スローでもしっかりとその味わいが出てるしさ、何かもう、神。

 まだ30代前半でコレかよ…、どこ行っちゃうんだろ?音楽的な幅を広げていくのか、ひたすらに探求してこの道を極めていくのか、このままの路線で売っていくことに走るか…、これは無いだろうけど。いろいろな人とのセッションから何かを見つけていくか、既に唯一無二の世界観は作り上げてるから更にある飛翔って難しいだろうけど、まだまだ期待したい人です。こういうブルースをゆっくりとひたすら聴いていたら気持ち良いだろうな。




Eric Gales - Middle of the Road

Eric Gales - Middle of the Road (2017)
Middle of the Road

 脈々と続いているブルース・ロック。英国の白人小僧達が寄ってたかって作り上げたブルース・ロックの流れからアメリカへ逆輸入され、そこからは世界中へと発展し、今ではルーツそのものである黒人達も英国白人達が築き上げたブルース・ロックの影響を更に逆に受けてのルーツ回帰、即ちそのままブルースをやるというよりはブルース・ロックの影響力を受けてのブルースプレイ。結果的にはそれはブルース・ロックになってるんだけど、黒人がそれをやってるってのはなかなかおもしろいなぁと思う。そういう輩が増えてきていて、若い世代からすればロバジョンもB.B.Kingもジミヘンもプリンスも同じように耳に入ってくるんだからそうなるのは自然な流れ。クラプトンなんかもそうなんだろうが。

 Eric Galesの2017年作品「Middle of the Road」。随分とこなれてきてブルース・ロックとかブルースって枠組みにこだわらない作風になってるな、という印象。もちろんしっかりと要所要所では特異のストラトギターのトーンが差し込まれてくるから相変わらずのギター少年ぶりで、その辺りは安心して聴いていられる。それよりもアルバム全体の作風が伸びやかになって自由な曲調が多い。これはこれで面白い作風で、その実あまり聴くことのない空気の乾き方かも。そこを色付けていくのが、先日も絶賛していたChristone "Kingfish" Ingramのど真ん中直球のブルースプレイだったり、Gary Clark Jrだったりローリン・ヒルだったりするようで、なかなか多彩なゲストと自身の自由さを楽しんだアルバムとも言えるか。

 Christone "Kingfish" Ingramのプレイがアルバムという枠組みで聴くとどうなるのかと思ったけど、案外普通に、と言うかフレーズ自体にはまだそこまでの個性はないからなのか独特のトーンは感じるけど、こりゃ一発で分かるってんでもないのが少々残念。まだまだその意味での磨き方は必要なんだろうな。それでもやっぱ、アルバムの中じゃGary Clark Jrと共にしっかりと際立ったギタープレイを聴かせてくれてるのは事実。そして負けじとエリック・ゲイルズ自身はロック寄りなアグレッシブなプレイスタイルが特徴的。完全にブルース・ロックそのもの、ですな。








Christone "Kingfish" Ingram

Christone "Kingfish" Ingram



 稀代の天才を聴ける、リアルタイムでそういった天才に出会えるってのはそうそう多くはないだろう。ミュージシャンを色々と聴いたりしていると、そりゃスゲェとか天才だ!なんて思う瞬間はたくさんあって、それが楽しいし刺激的だからこの趣味やってるんだけど、才能のあるミュージシャンと天才とでは明らかに違いが歴然としていて、こりゃ天才だわ…ってなるのはそんなに多くない。知れば知るほど天才だよなぁってのもあれば最初っから天才だろこれ、って思っててやっぱりその天才ぶりに感銘しているままってのもある。今の時代はそういう天才ってのは早くから出てきちゃうモンで、それはもうネットの世代だからね、そういう天才には周囲の敏感な人がどんどんと反応しちゃうから発見されるのが早い。良い事、なのかな。

 本日のお題となるChristone "Kingfish" Ingramって若者はまだ10代でまさにジミヘンと並ぶ天才とも言われている。まだ学生だからアルバム制作していなくて専らライブ活動だけっていうアマチュアギタリストの領域のハズなのに、既に14歳くらいからその天才ぶりが発見されててプロのブルースメン達とステージでセッションしてたりするんだから末恐ろしい。そのヘンはプロのミュージシャン達も感度高いからさっさと試したくなるんだろうな。同じく子供の頃から天才としてシーンに出てきていた連中からしてもやっぱり可愛がりたい存在にもなっててエリック・ゲイルズなんて人は自分のアルバムに一曲ゲストで参加させて弾かせてたりもするし、サマンサ・フィッシュともやってるようだ。後は高齢のバディ・ガイ、そして最近はデレクとテデスキ・トラックス・バンドでのゲスト参加など引く手あまたのギタリスト。

 はて、どんなプレイか、そして何が天才なのか、ってのは見れば分かるんだろうけど、ブルースとソウルとロックの融合を見事に果たして、そのギタープレイがもうね、練習してたら出来ました的なのじゃないワケ。心のままにフレーズが出てきてそのまま音になってるというか、ジミヘンもそうだったけど、ギター弾いてるってよりは魂そのままを放出しているというプレイなんだよ。冷静に見てると基本ブルースでクリーントーン中心なオーソドックスなブルーススタイル、でもギターソロになるとブルース・ロックの歪んだ音で気持ち良く弾きまくるというスタイル。なるほどこのスタイルはなかなかありそうで無かったパターン。まだまだ荒削りだけど基本はそんなスタイルでのプレイでアメリカのアチコチのフェスにも引っ張りだこどころかトリまで飾っている始末…まだアルバム一枚出してないのに、だよ。

 ホワイトハウスでのイベントにも出演しててオバマ夫人から絶賛されてたってのもユニークな話だけどそんな評判なくてもこのプレイ見たらその天才ぶり、分かるんじゃないかな。あのガタイのカッコ悪さも天才には関係なかったってのもこれまたギャップがあって面白いでしょ。これからが無茶苦茶楽しみな若者ブルースメン。



Danny Bryant - Big

Danny Bryant - Big (2017)
BIG

 元々がアメリカの奴隷制の中から出てきた土着音楽のひとつでもあったブルースが徐々に市民権を得て英国の小僧達にそのカッコよさを見込まれて、その小僧たちがポップシーンにそれを持ち込んだ。そこから小僧とオヤジの交流が始まり、世界に飛び火していった。今じゃその遺伝子が更に世界各地に散らばっていて、その間でジミヘンやSRVのようなカリスマ伝道師の影響が大きく響いたことですでにアメリカという国のものではあったけど、世界中でブルースという形態は解釈されて根強く受け継がれていると言えよう。

 Danny Bryantという英国の若者がロリー・ギャラガーやウォルター・トラウトなどの熱いブルースギタープレイに夢中になってギターを手に取り、プレイし始めていたが、今じゃすっかりダニー・ブライアントありきという位置にまで成り上がっているようだ。日本じゃ全然知名度無いからどうにもわかりにくいんだが…。定期的にアルバムはリリースされているんで、さてさてってことながら「Big」という2017年リリースのライブアルバムを聴いてみた。いやはや、しっかりタイトル通りにデカくなってしまっていた英国人のダニー・ブライアント、ギターがストラトなんかだと小さくて小さくてしょうがないが、アルバムに収められているサウンドの白熱ぶりはさすがに大御所への道まっしぐらのブルースメンなだけあって、密度が濃い。歌にしても重みのある歌声でしっかりと聞かせてくれるし、ギターに至っては、いいね、こんだけ弾いてくれると気持ち良いよ。ロリー・ギャラガー並みに弾きまくってくれてて心ゆくまでギターが聴ける。

 ホーンセクションや鍵盤ももちろん当たり前に導入されているからゴージャス感もあるし、重さもあるし明らかにこれはもうブルース・ロックそのままの今バージョン。もっともっと知名度上がってきても良いんだけどな。そのヘンもロリー・ギャラガーと同じような意味合いで売れ線が出来る曲が無いってことかもしれない。それでも気づいてしまえばこのギタープレイはホント、メチャクチャ熱くてハードなので超満足出来るのは間違いない。






The Marcus King Band - The Marcus King Band

The Marcus King Band - The Marcus King Band (2017)
マーカス・キング・バンド登場!

 新しい世代のロックも聴いていかないと古い世代のロックばかりじゃ終わっちゃう。もうほとんどのバンドの爺さんたちが終わりに向かってるトコロだろうし、時間の問題でしょ。でもロックってのは面白くて残っているんだから新しい世代のをきちんと聴いて探して刺激して楽しんでいかないといつまで経っても古いロックの遺産ばかりを聴くだけになるし、そこには新しさはなくって時代の空気感のパッケージとの出会いしかない。やっぱり今でも新たに融合を果たした熱いライブなんてのを楽しむ事もしたいし、刺激を受けて奮起したいってのもあるだろうし、若くて勢いあるのがたくさん出てきている。どんだけ後世に残るかってのは別として自分たちの琴線に触れるサウンドってのはあるもんだ。

 The Marcus King Bandの2017年リリース2枚目の作品「The Marcus King Band」。メジャーデビュー最初のアルバムになるようだが、それがすでに元オールマン・ブラザース・バンドのウォーレン・ヘインズのプロデュースによるもので、曲にも参加しているが、更にデレク・トラックスまでもが一曲参加してて、それがまた二人して弾きまくっててスライドが凄まじいことになってる。肝心のマーカス・キングその人のギタープレイもそつなく流れていく南部系なプレイで、歌声はちょいと線は細いけど高域まで出てくる歌声で男らしさとはちょいと違うが、マズマズな歌声。ジャニスの軽やか版って感じかな。やってる曲は案外聞きやすい南部系だけどブルース一辺倒じゃないし、サザンロックともちょいと違う。個性的なスタイルで、ギターに頼るんでもなく、歌に頼るんでもなく、割とアンサンブルを意識したコンテンポラリー感溢れる作品で、このヘンはデレク・トラックスと同じようアプローチなのかもね。

 そこで出てくるギタープレイの的確な音が邪魔すること無くしっくりと曲にマッチしてきて品のある楽しみ方が出来るトコロはなかなか新人とは思えない出来栄え。ホーンが入ったり鍵盤が入ったりと、古き良きブルース・ロックの退廃的な雰囲気も持ちながら現代の新しいスタンスも取り込んでいる作風。見事だな…、この世界でこんだけ新しい風を送り込める作風を出せるってのもだし、どういう理由か、それがオールドタイムなリスナーにも受け入れられやすい手触りに仕上がっているのも見事。





The Derek Trucks Band - Songlines

The Derek Trucks Band - Songlines (2006)
ソングラインズ

 どことなく秋の雰囲気が味わえるようになってきたんでそろそろ音の傾向もちょいと変えていきたいかななんて思う。とは言ってもそこまでガラリと好みの傾向が変わることもないので、結局刺激を求めているってのが本音だろう。その刺激ってのはどういうの、ってのもなかなか分からないから結局アレコレ聴いてみるしかないという始末。今時はその意味でもネットで色々と試し聴き出来るんだから楽なモンだ。先日もCD買う買わないの話してたけど、全く買ってないという当たり前の回答をもらってしまったりね、そりゃ普通はそうだろうなぁと。それでもどんどんと新人は出てきてシーンにいるんだから産業としては成り立つ形になってきているのかな。

 これまであんまり興味を覚えなかったDerek Trucks Band、ちょっと聴いてみようかなと思って手を出してみたのが2006年リリースの「Songlines」。初期作品だとまだ10代だったからなぁと敬遠してちょうど機が熟してきたあたりの作品を聴いてみたんだが、これがまた意外や意外の前評判とは全然異なる音楽性でかなり印象変わった。オールマン・ブラザーズ・バンドに参加したスライド・ギターの名手でドロドロのブルースギタリストという印象があったんで、まさかこんなにコンテンポラリーなサウンドが溢れ出てくる作品をソロでやってるとは思わなかった。正直言ってブルースギタリストという肩書が不要、と言うか邪魔しているくらいに才能豊かな人で、このアルバムでも初期のアルバムでもジャズの巨匠達の曲なんかをカバーしているという逆転の発想。なかなかジャズ曲のカバーなんてポップスの世界じゃ出来ないからね、その時点で発想が違う。んで、それが迫力を持って出てくるって時点で普通の感覚を超えている。見事なものだ。

 ブルースギターという角度で聴ける曲はほぼないのかもしれない。所々で入ってくるスライドやギターフレーズなんかが只者じゃないっていう雰囲気で鳴ってくるんで、そりゃデレク・トラックスって人を知ってないと、何だこれ?ってなるんだろうよ。どっちかっつうと一人の音楽家としてのアルバム作成がメインになってて、そこでの突出したギタリストという位置づけでのギタープレイなんだろう。そのインパクトはしっかりあるし、かと言ってそのギタリスト像だけに囚われない幅広い音楽性がコンテンポラリー性を出してて、いやはや驚いた。好みじゃないけど凄いなと。






Mud Morganfield - Son of the Seventh Son

Mud Morganfield - Son of the Seventh Son (2012)
サン・オブ・ザ・セヴンス・サン

 どこの世界でも有名な父親と比較される子供たちって図式はどうしたって出てくるモンだが、往々にしてその対比からか子供たちに歩があるというパターンは多くはないように思える。政治家だろうとスポーツマンであろうと俳優であろうとミュージシャンであろうとそれは同じなんじゃないかな。結局親がどうのってよりも個々人の資質や努力が名を挙げるのだからスタートラインは優位であるが、それ以上に努力しないと超えられないというハードルの高さが次世代には大変な壁として出てくるものだ。そりゃさ、比較対象が悪いよな…。

 そんなお話を地で行くかのような人の一人でもあるMud Morganfieldの2012年リリースの初メジャーソロアルバム「Son of the Seventh Son」。誰この人?ってのはさ、ちょこっと聴いてみてからチェックしてほしいんだが、Muddy Watersの長男さんです。んで、2012年の作品なんだから想像できるようにかなりの歳になってからのソロアルバムです。それまでは音楽業界にすらいなかったワケで、父親の偉大さから距離を置いて普通に仕事してまっとうな人生を歩んでいたらしい。それが幾つかのきっかけによってブルースやってみるかね、って事で悟りを開いて歌ってみたのがこのアルバム。まんまマディ・ウォーターズが歌っているだろ、ってくらに瓜二つの声が聴ける事に驚く。そしてじっくり父親のブルースを聴いてたんだろうなぁ、ってかもう子供の頃から染み付いてたんだろうな、って思うけど、見事なまでにシカゴのモダンなブルースをやらせたらピカイチ。マディ・ウォーターズが現代に戻ってきてアルバム出してるかのような錯覚を起こすほどの再現性は分かってても驚く。

 決して売れることもないだろうし、父親を超えたと言われることもないだろうけど、しっかりと悟った中でこういった音をアルバムでリリースしてくれるのはやっぱりありがたい。故人の新作なんて聴けるハズもないんだけど、こうやって故人の新作みたいなのが聴けるってのは不思議な感覚として楽しめる。しかも音楽性もそういうのを踏襲しているしさ。あまりにも伝説的な存在であるマディ・ウォーターズの倅なんて大変だろうけど、ようやくこの歳でそれを楽しめるようになったってのもね。良いじゃないですか、うん。







Bernard Alison - Let It Go

Bernard Alison - Let It Go (2018)
レット・イット・ゴー

 外食が中心の生活してるからそういった場所での様々な家族形態を見る事が多くなるのだが、そりゃ当然ながら色々ある。一人でフラフラっと来る人も入ればカップルなんかで来るのももちろんあるが、家族単位で来るのも当然多くて、それが親の躾と言うか子供たちへの教育方針みたいなのが見えちゃうっつうかね、無頓着だったりしっかりしてたり自由奔放だったり色々。どういうふうに躾けてきたかってのすぐ分かっちゃうもんな。全部分かるワケじゃないが、そこ注意しなかったんだ、とか良く躾けてるな、とかね。他所様の話だからどうでも良いんだが、子供のそういうの見てると親のそういうのもよく分かる。なるほどこの親にしてこの子あり、みたいなね。

 Bernard Alisonの2018年作「Let It Go」。バーナード・アリソンってのはもちろんルーサー・アリソンの9番目の息子さん、ってことで存命中から一緒に活動していたりしたのでしっかりと父親の遺伝子を受け継いだサウンド、ギタープレイに仕上がっているのは面白いトコロ。っつうことはあのロックともファンクとも言えるミクスチュアなブルーススタイルがそのまま引き継がれているってことで、聴いてみれば分かるけど、ギタープレイも父親そっくりのフレーズと音色がバンバン出てくる。だから若手ブルースメンが云々っても、このバーナード・アリソンの場合は既にオールドタイマーなリスナーを満足させるレベルが、素地が出来上がっているって事で安心して聴ける。その上で今時のサウンドとの融合やミクスチュアなども意識してシーンにアルバムをリリースしている。そりゃま、1965年生まれってんだから決して若手なワケじゃないしな…。

 このアルバムでは割とスタンダードなシカゴブルーススタイルを辿ってはいるものの、やっぱりモダンなスタイルとの融合なんかはしているし、時代遅れにならないサウンドにも仕上げているから妙に新しいんだけど、出てくるギタースタイルは超オールドタイム。今時のブルースメン達と同じフィールドでのサウンドではあるけど、でもバーナード・アリソンの場合は80年代後期からシーンにいるワケだから既にベテランの域にあり、それでいてこの新たなチャレンジって見事なモンだよ。今一度見直して聴き直して味わいを楽しむべきブルースメン。




Luther Alison - Luther's Blues

Luther Alison - Luther's Blues (1974)
LUTHER'S BLUES

 時代よりも早いセンスで音楽を作り出していくミュージシャンやアーティストの作品ってのはともすればその次代の先駆けになることもあれば、早すぎて無視されて後の時代に再評価されるみたいなこともある。どうしたって売れるか売れないかって指標はあるから作品の革新性がどこまでマッチするかしないかってのは難しいんだろうけど、そこに取り組む人ももちろん多くいるからこそ面白いサウンドが出てくる。マンネリ化した音だけじゃシーンは活性化しないし、っていうような図式はこんだけ色々聞いてきて歴史的なものも知ったからこそ言えるもので、普通にアルバム聴いて、っていう感じでリアルで聴いている場合だとどうしたって好む好まない、みたいなのが優先するからそんな冷静には聴いてないよね。そのヘンが難しいんだよな。

 Luther Alisonの1974年のデビューアルバム「Luther's Blues」は何とも驚くことにモータウンレーベルの別レーベルであるGordyって所からリリースされていて、まぁ、言うならばそれはモータウンからのリリースとも言えるのだが、それでいてこんな作品が出せたのか?って驚くばかり。もちろん最初からルーサー・アリソンって人は白熱ブルースギター野郎なんだけど、歌も歌うし、割と新しいスタイルや周囲の音への感度、吸収力なんかもあって何でも取り込んでやるぜくらいのスタンスがあったようで、デビューアルバムでも思い切りホワイトブルース的ロック的アプローチでのスタイルから何とも驚くことに思い切りファンキーなスタンスでホーンセクションありみたいなのも普通に従えている。当時のアルバムだとA面最後からB面にかけてのあたりがちょいと驚くファンクとの融合が果たされている。これでデビューアルバムだ。

 もちろん初っ端からアルバム全編を通してストラトでの歪んだ超絶ブルースギターが鳴りまくっているのと物凄く印象的なスライド・ギターも曲に合わせたスタイルで弾かれているし、何よりも全編当然ながらのボーカルが今度はやけにソウルフルでブルースには軽いけど白熱の熱唱が実によろしい。やっぱりルーサー・アリソンは面白い。ロック好き、ホワイトブルース好きなロック好きにはバディ・ガイよりもマッチするスタイルの人なので超絶オススメ。最初っからこんなんなんだもんな、ライブが白熱しまくるのは当たり前で、そりゃ後に評価されるはずだ。今でもまだまだ知名度低いだろうからどんどん上げていってほしいよね。こんだけのプレイしてくれる人、なかなかいない。ギター好きな方、オススメな一枚…ってかプレイヤーです。






Little Sonny - Black & Blue

Little Sonny - Black & Blue (1971)
Black & Blue

 まだまだ知らないけど面白いアルバムってのは山のように存在する。その氷山の一角を少しでも聴けたらラッキーだな〜って感じでひたすら色々と探して調べて聴いたりしているんだけど、昔ほどカネかからなくて良いわ。ネットである程度まで…と言うか大抵のものは実際に聴けたりするから調べて気になったらちょっと試しに聴いてみて、とかそのままDLしちゃったりとかチェックメモにひたすら入れてったりとかもう昔とは雲泥の差だよね、こういう探し方見つけ方ってさ。そのおかげでユニークな作品を幾つも見つけられたり、自分の好みの方向性がどういう所にあるのかとか分かってくるし、今度はその世界を拡張していくみたいな探し方もあるし、このデータベースの宝庫はホント凄い。

 Little Sonnyの1971年リリースの傑作と名高い「Black & Blue」を聴く。アルバムジャケット、凄く良いよね。昔のブルーノート的なセンスで聴く気になろうってモンじゃないですか。んで、聴いてみればこれがまたここ最近追い求めていたかのようなファンキーでブルージーでソウルフルでハードな熱さを持ったアルバムに仕上がっている。調べてみればやっぱり名盤として名が通っている作品らしく、そりゃそうだろうなぁと納得しながら聴くワケです。リトル・ソニーってのはもちろんSonny Boy Williamson IIのソニーから取られている名前で、リトル・ソニー、ってなワケでのハーピスト。でもここで聴けるのはハーピストとしてのソロ吹きまくりってんじゃなくてきちんとバンド単位でのアンサンブルがあっての作品に仕上がっているんで、そのヘンがうまく作られてる。ホーンセクションもBar-Keysって著名なところを起用しているのもあって、しっかりと要所要所で活躍してくるし、ギターなんかもずっと鳴ってるしね、リズム隊も含めてタイトなバンドがかなり聴きやすく、そしてファンキーにまとめ上げてくれている。

 実際コレ聴いてるとブルースアルバムなのか?って思う部分も大きくて、一言でハープブルースの傑作なんて言う人はいないだろう。どっちかっつうとハープの入ったファンクな作品で、かなりカッコよいよ、って程度になるんじゃないかと。だから紹介しにくいのかもしれないし、自分もなかなか出会うきっかけが無かったというのもブルースギター的な側面からは全然出てくる事無いからだろうと思う。ハープだけってんでもないし、なかなか難しいカテゴライズだね。でもね、これ、かなり面白い所突いている作品です。何かに突出しているんじゃないから、ってのもあるが、だったら聴く必要性もどこまである?って微妙なバランスではあるんだけど…、この世界でも70年代ってやっぱり面白かったんだなぁ…、

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Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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