Dave Grusin. Lee Ritenour - Harlequin

Dave Grusin. Lee Ritenour - Harlequin (1985)
ハーレクイン

 慣れれば聴けるモンだな。暑くなかったら聴いてないし聴けてないかもしれないけど、そういうタイミングもあったってことで相変わらず多岐にわたるフュージョン界隈を探っているんだが、やっぱり大御所のアルバムの緊張感やスタンスってのは別格なんだなってのはロックも同じくだけど、ここのミュージシャンがあちこちに展開していくのはジャズならではの交友で、夢のようなセッションもロックだとなかなか実現しないけど、ジャズ・フュージョンの世界では普通に化学反応が起きてアルバム作りなんかもやっちゃう。そういう自由なトコロは面白いなぁと思う。ジェフ・ベックだってそこまで自由にやれてないんじゃないかってのあるしさ、その基礎を作っていったのはマイルスなんだろうか、昔から勝手にそういうモンなんだろうか、リーダーアルバムっていう概念でのレコーディングは古くからあるし、普通に考えればそういう方がミュージシャン的だよな。

 Dave GrusinとLee RitenourとIvan Linsのボーカルをフューチャリングした1985年のアルバム「Harlequin」。リー・リトナーはアコギ中心のプレイなのであの戦慄のエレキの快活なロングトーンではないんだが、それはそれできちんと味わいぶりを出していて、曲によってはさすが、と唸らされるプレイもたっぷりとあるのはありがたい。んじゃ、何が良いのか、ってぇとだ、イヴァン・リンスのなんとも抜けきっていく歌声なのかもしれない。如何にもフュージョン的なインストものの曲の中に3曲だけイヴァン・リンスの歌が入っていて、これがまた圧倒的な存在感を出しているから浮いてる。浮いていると言うかそれこそがアルバムの目玉でやりたかった事かもしれない。

 ただ、他の楽曲にしてもものすごく上質なレベルで組み立てられていて、派手さには欠けるけどこういうBGMとかキャッチーに使われて流れているってのは多いんじゃないか、ってくらいフックはある。プロな仕事だって思わせる充実した作品に仕上がっているのは確か。こんだけ目立たないでギター弾けるリー・リトナーって凄いな。それでいてばっちり知名度あるワケだし、面白い人だ。全体的にイヴァン・リンスが歌で参加してくると一気にブラジリアンフュージョンになるけど、インストだけならそこまでブラジルを感じる事なく、爽やかな、という程度で抑えてあるのはユニーク。







George Duke - Brazilian Love Affair

George Duke - Brazilian Love Affair (1979)
ブラジリアン・ラヴ・アフェア

 フュージョン系の作品を眺めていると所々でファンクが登場してくる。ベースのチョッパーさやメロディを奏でるギターの使い方、そして快活なリズムに乗せてのスタイル、歌が入らなけりゃ簡単にフュージョンが出来てしまう類似したジャンル、なんてことは思いもしなかった。もっと洗練された歌なしファンクってのが実はフュージョンに近い音に仕上がりますなんてね、へぇ〜ってな感じ。そこへクロスオーバー的にロックではなくてソウルはスペイン、ブラジルなどの民族性を持ち込んでみればそれは新たなフュージョンの出来上がり、なんてことにも…。

 George Dukeの1979年リリース作品「Brazilian Love Affair」はタイトル通りにブラジル民族音楽への接近を試みているアルバムで、そもそもがジャズ系上がりな鍵盤奏者がボサノバのみならずブラジルエッセンスに惹かれての作品を仕上げた。ところがそもそもはソウル・ファンク的なセンスが強かったが故にインストチックな作品では軽快なフュージョン的な作品に仕上がったというワケだ。当然ベースなんかもバキバキチョッパーあったり、コーラスワークあったり爽やかさを醸し出す要素も多いから面白いアルバムになってる。何だろうな、どっかで聴いてるんだよなこの人ってさ…。

 って思ったらそうだ、ザッパのバンドに一時期いた人だ。それがフュージョン界でのこの人だったってワケで、ザッパだって言われれば似たような側面の楽曲を奏でていると言えばそうだ。そもそもあの人はクロスオーバーな人だからそこでの接近ってそんなに不思議な事でもないのか。しかし幅広い音楽の世界、そういうトコロでの名前の知られ方から音楽そのものへと興味を抱き、今そのアルバムを聴いている。やっぱりね、BGMなんかではない、きちんと夏に似合った快活な作品になっているんで心地良いです。



Greg Mathieson Project - Baked Potato Super Live

Greg Mathieson Project - Baked Potato Super Live (1982)
グレッグ・マディソン・プロジェクト/ベイクド・ポテト・スーパー・ライヴ

 漁れば漁るほど山のように聴いてみたいアルバムがあるんだけど、ただ聴いてってもしょうがないから時間を掛けつつゆっくりと一枚づつ聴いていく方が良いんだろうと。ただ、そうしている内に興味が薄れてしまうという怖さはあるんで、なるべくどこかにきちんとメモって聴けるようにライブラリ化しておかないといけないかなぁと思ったりもする。そんなのを漁ってると、こんなのあったんだってのにも出会ってて、ロック側からしたら全然興味はないんだけどジャズ・フュージョンからしたらなるほど、そういうのもありなのか、って思うくらいのね。

 Greg Mathison Projectの「Baked Potato Super Live」、1982年リリースの一発録りライブ作品。当然ライブアルバムだから粗雑に感じるところもあるけどやっぱり恐ろしいまでのテクニカルぶりと緊迫感とパワーが充実したほぼロック側のアルバムで、それと言うのもジェフ・ポーカロとスティーブ・ルカサーが参加したクルセイダーズとのジョイントライブ、みたいなもんだからってことで、もうね、完全にクロスオーバーを超えててやっぱりそこはロックの勢いが強いってことか。Totoの二人がロックとも思えないけど、こういうの聴いてるとやっぱりロックなんだなと実感する。クルセイダーズのライブアルバムとか聴いてたんだけど、ちょいとかったるいなぁって感じで世間で言われているほどには自分的にはハマれなかったんで、却下したところにコイツが出てきて聴いてたんだが、いやはや圧倒的な凄さ。

 ジェフ・ポーカロのドラミングの凄さは昔から言われていてヤマハのドラムマシンの音はジェフ・ポーカロのドラムの音のサンプリングなんだ、ってくらいにメジャーな人で、Totoでもそういうプレイはしていたんだろうけどあれは仕事だったんだな。こういうセッションで聴けるジェフ・ポーカロのドラミングの凄さは素人でも分かる。タイトで且つグルーブしていて隙間の味付けとかコージー・パウエルと同じようなカッコよさがあるんだよ。そんなの知らなかったしさ、ちょっとびっくりです。やっぱり一級品のプレイヤーは凄い。正直そこばかりが耳に入ってきてルカサーがどんだけ弾いてても他がどんだけ弾いててもジェフ・ポーカロのドラムがすべて持ってってる。そんなドラマーもそうそう居ないだろうよ。



Stanley Clarke - School Days

Stanley Clarke - School Days (1976)
スクール・デイズ(期間生産限定盤)

 色々と聴いていると自分の好みってのがどんどん出てくるのは何事も当然なのだが、そもそもこのフュージョンの世界って苦手という意識があった中、ちょこちょことロックとクロスオーバーすることもあったし名前が被ることもあってアルバムなんかも聴いたりしていた。その度にやっぱり凄いなぁと思ってたりするけど、どうにもロック的なパワーとかエネルギーってのとは違いがあってそこまでじっくりとハマって聴くこともなかった。今でもそこまで無いけど、こういうきっかけでアルバムをきちんと聴いてみたり、関連性を見つけてそこから派生して聴いてみたりするとロックでも何でも同じだけどちゃんとストーリーがあるし、70年代だから皆実験精神旺盛だし、面白いモンだなというのを感じる。

 Stanley Clarkeと言えばそれこそどこでもベースの広告では必ず出てきたくらいだったので名前は昔から知ってて、ジェフ・ベックとの共演が実現した辺りからロック・フィールドでも知られていったファンキーなベーシスト。そのスタンリー・クラークがロックに最接近しているソロアルバムとして名高いのが1976年リリースの「School Days」。タイトルからしてロックンロール的だが、冒頭から聴いてて笑っちゃうくらいのリフ。そう、ベースなんだけどリフなんだよ、しかも「Smoke On The Water」そのまま、あの、です。ところがだ、そんな嘲笑をよそに、どんどんとハードになってってまだアルバム一曲目だと言うのにバキバキのチョッパーベースそろがバシバシと出てきてその辺りでは既に聴いているリスナーを完全にぶっ飛ばしてる。これでもかってくらいに白熱してて嘲笑っていたリスナーを逆に笑い返してやると言わんばかりの迫力。もうね、この一極だけで聴く価値あるもん。

 それで終わらないのがこのアルバムの凄さ。当然そんだけぶちかましてくれているんだから他の曲にしても、曲そのものはおとなしい雰囲気があったりもするけど自己主張はものすごい。こんな静かにプレイされているのにベースはそれかよ、ってな音で入ってくる。このアルバムでもスティーブ・ガッドやジョン・マクラフリンが参加しててアグレッシブなスタイルも多いんだけど、一体何だよそれ、ってくらいベース。当たり前だけどベース。これくらい自己主張してくれると聴いてる方も心地良くなるくらいベース。うん、凄いアルバム。




Al Di Meola - Elegant Gypsy

Al Di Meola - Elegant Gypsy (1977)
エレガント・ジプシー

 打って変わってどうしようもないくらいダサくて見たくもないジャケットを堂々と出してきたReturn To Foreverのギタリストからソロへと転向していったAl Di Meolaの「Elegant Gypsy」。1977年リリース作品のソロ二枚目なのだが、ホント、どうしてここまでダサいジャケットでレコードを売ろうと思ったのだろうか?本人もだけどレコード会社も事務所も何かアタマおかしいだろ?って疑ってしまうのだが、これがアメリカ人のセンス、多分、スパニッシュが売りだからこれで良いんじゃない?ってな話か。こういうところがアルバムそのものをないがしろにしちゃっててセンス悪いなぁと思うのだが、もちろん彼らはミュージシャンだからそんなトコロで左右されたくない、大事なのは音楽だ、って話になるのだろう。それもそうだけど購買意欲の湧くジャケットの方が好感度アップするし名盤になっても納得しやすいんだがな。その頃はそこまで考えてなかったか。

 もうね、このアルバムくらいになるとロックもフュージョンも完全に融合してます。そもそもアル・ディ・メオラにパコ・デ・ルシアの共演の「地中海の舞踏」ってのがあのスーパーギタートリオと同じくらいの衝撃度、ギター二本だけでスパニッシュめいた共演を繰り広げてくれていて、そりゃ意気投合するだろうよ、ってなくらいに両者とも白熱したプレイを披露してくれてる。ゾクゾクするもん。アルバム冒頭の曲からしてそもそもロックな音色だし、「スペイン高速悪魔とのレース」なんてのも完全にハードロックエッセンスの入った作風。実際Riotがカバーしていたようだ。しかもメンツがドラムにスティーブ・ガッド、鍵盤にはヤン・ハマーとロック畑でも名前の聴く方々の参加ぶり、そりゃまベックなんかと差は無いわな。

 だからロック畑の連中もこのアルバムはかなり聴けるハズで、自分でもそうだけど割と楽しんだ。物足りなさはあるんだけど、ギター好きだったりするとなるほど、みたいなのは多いしタメにはなるアルバムだろう。こんな風に弾けるのか、ってのはまた別の話だが、明らかにロックに近いアプローチとプレイで聴きやすく仕上がってる。しかしこの世界の人たちは凄い。どこまで自分たちのテクニックを磨き上げてぶつかりあってセンスを磨いて昇華していくのだろう…。



Chick Corea - Return To Forever

Chick Corea - Return To Forever (1972)
リターン・トゥ・フォーエヴァー

 爽やかフュージョンを聴いて夏の暑さから少しでも開放されようという意図だったにも関わらず、やはり、と言うか自分の趣味嗜好の性と言うか、どんどんと演奏そのものが重し奥なってきてしまって、しかもこれまでほとんど聴いたことないジャンルとバンドも数多くあるし、最初は80年代のを…と思ってたんだけど、やっぱり70年代に引き摺り込まれていって、もっともっとテンションの高い演奏力をぶつけ合う的な世界へと行ってしまった。そのヘンになるとフュージョンって言葉もあるかないか、ジャズの発展形とロックからの影響、そこに民族風味もあったりファンク、ソウルの世界からの影響なんかも見事にクロスオーバーな世界観があって、テクニックのあるロック的思想、みたいな部分あるから白熱してるんだよ。そんな時にシーンに切り込んできたのがこのアルバム。

 ご存知Chick Coreaの「Return To Forever」、1972年リリース作品でこのアルバムジャケットの快活さは一度見たら記憶に残る写真で、俗に言うかもめジャケットってやつだが、実際かもめってよりもカツオドリとかそっちのもっと海鳥系な感じだよなぁと。日本で見られるかもめってこんなのほとんど無いし、海の上でしか見られないような黒いかもめ系だしね。ま、そのヘンは良いんだが、美しい海が写る情景、そんなイメージからアルバムに針を落とすとこれがまたとんでもなく白熱したインタープレイの応酬が繰り広げられていて、自分的には正にフリージャズの音色、としているエレクトリックオルガンが存分に活躍している。やはりECM的な音、正に代表的な音、ジャズから発展したフリージャズをもうちょっと形にしてギリギリのアンサンブルを保っているという緊迫感溢れる世界観。それでもこのジャケットのような爽快さはあるワケで、フリージャズのドロドロなイメージからはかけ離れている。そこが面白い。まだジャズから流れてきたリスナーが普通に聴ける範囲のトコロでやってて、何か違うけど心地良いな、という線であっちの世界を見せようとしているのかな、そこから先はかなり危険な世界なんだが…、と。

 決して明るく快活じゃないのに名盤扱いされてて、実際名盤だが、アメリカ人のジャズでこういう作風が出てきたってのも音楽の探求のきっかけなのだろう、やはりマイルス門下生達の才能の豊富さは素晴らしい。テクニックだけでなく音楽的なセンスとひらめきをきちんと持っているし、それを開花させてきたマイルスの扱い方もなかなか真似できないだろう。マイルスがジユにやらせてくれたからこういう世界への到達が見えたというのもあるだろうし、時代に敏感なセンスもあっただろう。歌が入ってるボサノバ曲が心をなごませてくれたりするし、緊迫感のある演奏がセンスを磨いてくれたりもする。決して皆が皆素晴らしいというアルバムじゃないだろうけど、聴いてみたら美しい、って言う作品。




Larry Carlton - Larry Carlton

Larry Carlton - Larry Carlton (1978)
夜の彷徨(さまよい)<FUSION 1000>

 昔の国産ギターのパンフレットに出てきたミュージシャンって、どういうワケかロック系なんてのはほぼ皆無ですべてがすべてフュージョン系ばかりで、それも時代だったんだろうか、どれもこれもベーシストがカッコよく見えてたのを覚えてる。フュージョン系のギタリストって皆オタク傾向の人が多かったからだろうけど、ベーシストは大抵外人ばっかりでそれこそマーカス・ミラーとか出で立ちがスマートな人多かったもん。だからってベース弾こうとは思わなかったけど、もっとかっこいいギタリストいるのになぁ、ヤマハは知らねぇな〜、なんて思ってたくらい(笑)。大人の事情ってのがあんだよな。あぁ、ギターでロック系でど真ん中で扱われてたのは山本恭司さんくらいだったかも。バウワウで世界に出てってたあたりってのもあったかもしれないが、結局誰も彼もがその時代の寵児だったからこそ広告塔になったワケで、冷静に考えりゃそういうことだ。おかげで色々な世界のミュージシャンを知ることが出来たって話。

 Larry Carltonの1978年ヒットアルバム「Larry Carlton」、らしい。冒頭の「Room 335」ってのがこの手のギターを弾く人達の練習曲ってか入門曲として圧倒的だったらしいからマイケル・シェンカーの「Into The Arena」の終盤フレーズやDeep Purpleの「Hightway Star」とかと同じ扱いだったんだろうか、なるほどそう言われてみれば快活でフレージングが多様で弾きたくなるギターがひたすら流れ出てくるから納得。自分的にはこんな長いメロディソロなんて覚えられないな(笑)。ミュージシャンってこういうのやっぱり覚えるんだろうな。弾けるってのは即ち覚えて弾いているんだろうし、感性だけのアドリブならセンスで対応出来るだろうけど、決まったフレーズや長いメロディアスなプレイってのはコード進行による流れだけでは対処できないだろうから覚えるんだろうし、ホント、覚えていられるの?ってのもある。けど、実際ライブでそのまま弾いているとなれば覚えてるんだろう。それに加えての演奏の迫力なんてのもあるから覚えて弾くだけじゃなくてモノにしてプレイするっていうのがあるし、いやはややっぱりプロです。

 そしてこのアルバム、正にフュージョンって感じの作品でしかもギター中心でしっかりと作られているのが嬉しい。聴いててもギターが中心でバンドアンサンブルが高まってくると自分的に好ましい展開になってて良いんだよね。ただ、そのギターの音色がどうしてもオシャレでセンス溢れすぎてて、ロック小僧には眩しくて苦手な部分あるのは事実だが(笑)。そりゃプロのミュージシャンのプロのアンサンブル作品なんだから当然。そんなロック的なこだわりでもなきゃギターなんてさっさと辞めてます。どっかヒネた発想はよろしくないですね。こういうアルバム聴いてるとホント眩しい。ミュージシャンと凡人の違いは歴然とあります、当たり前だけど。って聴いてて凄いなぁってシーンが多いから思うんだよ。フュージョンを偏見で見ている自分からしても良いアルバムだよな、ってのは明らか。



Lee Ritenour - Gentle Thoughts

Lee Ritenour - Gentle Thoughts (1977)
ジェントル・ソウツ

 中学生くらいの頃からちゃんとロックに興味を持って、すぐにギターに興味を持って弾けないし買えないくせにレコード屋楽器屋にしょっちゅう行っててヤマハやアリアプロのギターパンフレットをしこたま仕入れてきてあれやこれやそれは何が違うんだとかそこに出ていたアーティストの写真を見ながらこの人はどんなバンドでどういう音を出してる人なんだろう?とか知らない名前を前に密やかに格闘していて、一方では何かしらの少ない情報の中からどういう基準だったのか自分が好きそうだと思ったバンドやギタリストの曲やアルバムを探していたりして忙しい日々だった(笑)。昔はヤマハってそういう意味で凄かったんだよ。満遍なく網羅していたというかどこにも偏っていなかったと言うか、イベント主催もかなりやってたからど真ん中の会社だったんだろうと思う。

 Lee Ritenourの1977年リリース「Gentle Thoughts」という作品、当時も有名になっていたらしいがダイレクトカッティング盤ってことで要するに一発録りそのままでテープを介さずしてレコードの金型を作るという手法で制作されたらしい。制作ってか同時にテープ録音もしていたから今ではそこからのCDプレスやデジタルデータになっているんだけど、金型ってひとつ3万枚程度しかプレス出来ないからそれ以上売れるとなると最初から複製した金型作っとくか、テープからまた金型作るか、なんだけど、リー・リトナーのおかしいトコロはそれを予測してもうひとつのダイレクトカッティング金型を作っていたってことだ。うん、だから演奏の異なる同じアルバムを隠し持っていたってこと。んで、リリースしたらそりゃ売れてしまったからある時からセカンドプレスがリリース、即ち別演奏の同名アルバムが市場に出てきたってことで、結局好きな人はどっちも買わないといけないからいつまでも売れ続ける作品になるワケだ(笑)。いや、そんなことないけど、どうやらテイク3バージョンまであるとか無いとか…。そんな面白い話題が先行してしまったんだが、その甲斐あってものすごく緊張感の高いライブそのまんま、もしくはライブ以上のテンションの高い白熱した演奏が聴けるんで、名盤扱い。そりゃそうだ。

 こんなんを一発録りでしかもレコードまで作るなんてプロだって腰引けると思う。それもこんなテンションと難曲ばかりでソロもあるしユニゾンもバリバリにある。アドリブ要素は多いけどしっかり譜面化されていたんだろうね、恐ろしく緊張感の高い、それでいて音楽的レベルも高くてロックだフュージョンだなんてのを気にすることなく、ジェフ・ベックの作品だもん、っても聴けちゃうくらいのミュージシャンには確実に好かれる傑作が聴ける。もっとリラックスして聞こうかと思ってたらとんでもない演奏が続くんですっかりハマってしまったアルバム。リー・リトナーって洗練されたギターを弾く人というイメージはそのままだけど、やっぱりこの手の人は上手いし盛り上げるしきちんと感情移入も出来るし、凄いなぁと。子供騙しのロックの世界とは大きく違うわ、なんて聴いてたりする。しかしどこを切り取っても格好良い曲と演奏ばかりで痺れる。





Pat Metheny Group - Pat Metheny Group

Pat Metheny Group - Pat Metheny Group (1978)
想い出のサン・ロレンツォ

 フュージョンって夏以外に聴く事があるのだろうか?ってくらい夏に似合ったサウンドだと信じてて、その昔々夏のジャズイベントが流行していた時、夜中にテレビ放送してたのを何気なくずっと見てたりしてて、それまで真っ暗な中でのロック系しか見てなかったのが、こんなに爽やかなトコロで爽やかに演奏して快活なサウンドを出す世界ってあるんだ、って別物のように考えて感じていたことがある。今でも別物として捉えていて、やっぱりジャズ・フュージョンってのは音楽家達の演奏するモノで、ロックってのはそれ以前の衝動が先にありきのものだから音楽的には未熟なものが多いという図式だと踏んでいる。そうじゃないロックミュージシャンもいるんだけど、ってかほとんどそんなミュージシャンはいなくて、きちんと音楽家な人達ばかりなんだけど、イメージが先行するんでどうしてもそうなる。だからジャズ出来なきゃロックやれ、って言われるんだろうが。

 Pat Metheny Groupの1978年リリース「Pat Metheny Group」、初期の名盤と言われているアルバムのようだがもちろん初トライ。随分爽やかではあるけど、きちんと風情や起伏も当然あって、ピアノが美しいなぁと感じる作品。あれ?パット・メセニーってギタリストじゃなかったっけ?ってくらいに冒頭の楽曲からしてピアノ中心のアンサンブル。いいなぁと思ったのはさ、アルバム6曲しか入っていなくて、それもインストでしょ?プログレだよね(笑)。親しいトコロにあったんだろうけど、あまりにも方向性が違いすぎたか、ECMレーベルも一方ではフリージャズからのプログレ畑だし、それはそれで優れたミュージシャンの宝庫だったんだろう。

 そしてこのアルバム、と言うか、こういう音って耳にすることがなかったからどう聴いて良いのか分からない。BGMほどの爽やかさではないけど、何をじっくりと聴けば良さが見えるんだろ?そんな事気にしないで肌で感じれば良いだけなんだが、難しいのは引っ掛かりが分からないっていいう点だ。多分自分は高尚な音楽を聴いていられる人種ではないのだろう。良い作品で音楽的にも価値の高いアルバムってのは分かるんだがなぁ…、もうちょっとじっくり聴いてれば分かるのかな。情けない耳のブロガーだ(笑)。大体暑いから真面目に聴いてられないんだろうよ。





Weather Report - Night Passage

Weather Report - Night Passage (1980)
Night Passage

 ブログってさぁ、書いてて面白いなぁって思うのは何故か書き手が適当に手を抜き始めると読んでる側にももちろんそれが見えちゃうからダラダラやってると読み手がどんどん減っていくんだよね。これがまた素直に数字に現れてくるというダイレクトマーケティングな世界で、不思議なモンで、こいつはイイゾ!と気合を入れて書いてるときちんと読者が増えていたりする。どうしてそんなの分かるんだろ?って不思議になるんだけど、見事にそういうのが現れてくるからさ、ホント不思議。昔の記事でもそれなりに書いてるのでメジャーなのはきちんと今でも読まれているし、書いた側としては恥ずかしいなぁ、もっときちんと書いておけば良かったなんてのも数多い。今更そんなんしょうがないけどさ。

 Weather Reportの1980年リリースの作品「Night Passage」。ジャコ参加最後の作品って言うのが一番大きいんだけど、ウェザー・リポートのファンからしたらこのカルテットでの演奏が最後というアルバムになるのか、それでも、と言うか、だからこそこのアルバムでの演奏が一番の名盤だ、みたいな人も多いらしい。スタジオ盤だけでの比較ならそういう風になるのもあるかもなぁと思いながら聴いているだけど、そりゃさ、自分なんてニワカで聴いているだけだから全然以前の作品とどうの、ってのはよく分からん。ただ、熱気のあるアルバムでジャコ好きな自分からしてみれば少々おとなしい感はあるけど、ソロではしっかりと弾きまくってるし、バンドアンサンブルは良く出来てるし、やっぱりバンドの音してるな、って感じた。演奏陣のテンションの高さは半端ない感もあるし、ひとつづつの音の出方に情が入ってる。こういうのがウェザー・リポートの面白いトコロで、ロック好きからも楽しませてもらえる部分。だからライブの方が面白くて好きなんだけどさ。

 まだまだウェザー・リポートを整理して聴けていない。せっかくSpotifyで聴いてて色々のアルバムがあるからどっかでまとめて一気に聴いてみてもいいなぁって思ってる。ジャコ時代のメリハリとかはやっぱり聴いてその過程を楽しんでおきたいもん。そういう事をするにはちょうど良い、この暑さかもしれない。エアコンにあたりながら良質なサウンドを楽しむ、ってね。ロックくらいの暑苦しさはちょいとまだ不要だけど、こういうクールなのは楽しめるし。





Shakatak - Night Birds

Shakatak - Night Birds (1982)
ナイト・バーズ+1(紙ジャケット仕様)

 熱帯化した日本としか思えない異常気象続きの日々、正直、何かを一生懸命聴いているなんてことすら出来ないレベルにあると思うんだが、どうだろう?そこで暑苦しいロックに手を出すのもなかなか出来ず、適当に逃げて聴いていたんだけどそんな日々が続けば続くほどダメージが積み重なってもっと逃げたくなってきた…。レゲエでもダブでも暑いのは変わらず、ただダラダラユラユラしてて良いか〜って気分になるだけだったんで、もうちょっと人間的な方が良いかも、ってことで、単純に飽きたからガラリと路線を変えて聴いてみるかと、多分初挑戦の世界観かも。

 っても名前だけは知っていたShakatakの1982年作品「Night Birds」。なんで名前知ってたんだろ?ドラマ化何かの主題歌やってたとかこの頃突如としてロンドンから出てきて一躍売れたバンドってんだから不思議。日本は何かで有名になったんだろうなぁ…、じゃなきゃ絶対に聞かない路線のバンド、アルバムだし、きっと一般受けしていたんだと思う。んでさ、こういうのってきっと爽やかな気分になるんだろうな、って思って聴いてみたんだよ。Spotify便利だわ…、こういうのでも簡単にあるんだもんな。CD売れないハズだし、単発のDL販売も無理なハズだ。一体音楽家を何だと思ってるんだ?そういえばこないだマストドンがミュージシャンはもう食えない、って露骨に吐露していたな。読みながらそりゃそうだろうよ、って哀しく思ったもん。昔の人は昔の遺産で食えるから良いけどこれからの人はもうねぇ…。

 それでこのシャカタク、なんとまぁ…、こんなに爽やかでテクニカルで耳に全く残らないけどとても素敵なBGMを作れるバンドがあったのか、と。どこから来てどうやってこういうのが出来るんだろ?英国だから?かっちりとしたBGMを聞かせてくれるんで、ギターとかサックスとかそういう楽器臭さを全然感じないというのか、歌が入ってても歌があるという認識になる前にBGM。やってる側は相当のプロじゃなきゃ無理だけど、コンテンポラリージャズからの派生なんだろうか?ベースとか凄いもんね。オルガンの音なのかなぁ、フワフワしてるのが特徴的で、それでもよく聴いているとかなり白熱した演奏ってのもあるからBGMを狙ってたワケじゃないだろう。それでもこんだけどこのドラマでも使えそうな、CMなんてこのアルバム一枚あれば大体バック作れちゃうだろ、ってくらいの良質な作品、だと思う。いや〜、爽やかだ。

Black Uhuru - Tear It Up - Live

Black Uhuru - Tear It Up - Live
Tear It Up - Live

 若かりし頃からレゲエってのは割と身近にあったモンだな、と改めて昔を思い出してみると実感した。時代時代の音と言うよりは何らかの影響をレゲエが及ぼしていたからルーツとして聴いてた、みたいなのが多い。80年前後くらいってそういうの出てきて面白かったし、90年代に入ってからもそのヘンはまだ進化してレゲエ・ダブってのが近場にあったんだろうな。ロック一辺倒だった自分からするとあくまでも脇に流れている程度のものではあったけど、そういえばレゲエファッションしてた友人とかも割といたな、と。パンクに通じてたってのは大きいけど、ストーンズなんかも通じてたしそれだけメジャーグラウンドに侵食していたリズムだったんだよね。

 Black Uhuruの作品はいくつかそんな流れで聴いていて、正にレゲエって感じの音でさ、更に洗練されていたから聞きやすかったのはあった。ハッパ臭くない音ってのか、そのヘンがメジャーに受け入れられた理由だろう、1981年のユーロツアーからまとめ上げたライブアルバム「Tear It Up - Live」ってのがあって、曲名までは把握していないけどよく耳にした曲ばかりが収められているんでそういうアルバムなのだろう。よく言えば裏切られることのない、しっかりとレゲエしているライブアルバムで楽しめる。悪く言えばもっとラリった感触のライブに仕上がっているとディープに楽しめたのだが、もちろんそうは仕上げないワケで、それでもライブ感溢れる全盛期の記録として楽しめるライブだ。

 この頃のライブって結構転がってるモンなんだな。当時はもちろん動いているのを見るなんてことが無かったからこうして手軽に動いているのを見れるのはなかなか斬新。なんというのか、コンサートホールでやるような世界の音じゃないんだろうなぁと言うのは何もレゲエに限った話ではないが、似つかわしくない。やっぱり暑いギラギラの野外でダラダラとやるのがこういうジャンルのライブなんじゃないかと思ってしまう。今なら野外フェスなんかでぴったりなんだろうね。それにしてもこの心地良さってのは何だろうか、自分的に一番レゲエらしい音で安心できているのかもしれない。



Sting/Shaggy - 44/876

Sting/Shaggy - 44/876 (2018)
44/876

 ロックにレゲエを持ち込んだバンドとしてポリスってのがあって、そこからスティングだもんなぁと思ってたらんだが、そしたら最近アルバムリリースしていたな、ってことでふと聴いてみたらなんと超ど真ん中のレゲエをやってた。ソロ活動になってからのスティングがこんだけレゲエにフォーカスされた作品を創るってのもなかったんじゃないか、って気がするし、しかもシャギーってジャマイカ人とのユニットによるアルバムだから見事に本場本物のレゲエが入ってて随分楽しめそうだって気がして手を出してみた。

 Sting & Shaggy名義での2018年作「44/876」。シャギーって知らないけど結構有名なジャマイカ人でアメリカで売れてたらしい。このアルバムで聴ける範疇からするとレゲエってのもあるが、ソウルフルなラップ的な歌とも言える部分を担っているみたいなのでそういうのが本業なのだろう。スティングの方はいつも通りと言えば何時も通りの歌で、伸び伸びと歌い上げている。合いの手をシャギーが入れて曲に異なるムードを入れてくるのは割と雰囲気変わってて面白いね。曲そのものは多種多様なサウンドが入ってるけど、レゲエ的な雰囲気が一番多くて夏に聴くには良い感じな仕上がり。

 それでもかなりおしゃれな感覚でのアルバム。シャギーのニューヨークの洗練感が表に出ているのかもしれない。そもそもスティングもソロアルバムだと結構オシャレなの作ってたりするから相性合ってるのかもな。ただ、このアルバムもそうだけど実にプロフェッショナルな仕事で仕上げたスキのないアルバムってのは分かるし、それなりに売れるだろう。聴いてて邪魔になる曲がないんだもん。んで、どれも何か聞き所あったりしてよく出来てる。好みな人は相当良い作品に感じるだろうという気がする。自分的にはそもそも音楽的にここまで出来ていると好みにはならないけどね。




Joe Strummer & The Mescaleros - Live at Acton

Joe Strummer & The Mescaleros - Live at Acton (2012)
Live at Acton [Analog]

 今時の時代にロックにこだわってる若者なんてのはいるのだろうか?そこまでロックは魅力的だろうか?歴史を紐解いてそこまで辿り着けばそれは魅力的であってほしいとは思うけど、多感期だからと言って得られる情報量の中にロックなんて入るのかな…、親の影響でと言うならあるのか。とするとそれは古いロック中心のきっかけで周囲を見渡していくとかそんな流れなのかな。どんどんニッチな流れになっていくんだろうとは分かりつつも、もっともっと楽しんでほしいんだが。

 レゲエやダブなんかをパンクに持ち込んで一時代を風靡したThe Clash、そのキーパーソンでもあるジョー・ストラマーはソロ活動をしつつもシーンからほぼ消え去っていたところ、世紀末前後に復活、そのサウンドは驚くことにレゲエ・ダブから派生したようなサウンドでそれでも明らかにロックでしかないサウンドとここに来て新たな領域を作り上げていった。もちろんその頃も結構ハマって聴いててその才能の豊かさに驚いていたものだが、合わせての日本公演なんかも行われてて、まさかここに来てナマで見れるとは、なんてのもあった。そんなジョー・ストラマーだったが2002年暮に突如の他界、その直前の11月にはロンドンのアクトンタウンのライブで最後の三曲をミック・ジョーンズとジョイントしたというのは知られていた。2012年のReord Store DayでRancidのHellcatレーベルからアナログで再発されて一躍話題になっていたが、それがこの「Live at Acton」なワケだ。

 冒頭からして安定のライブ感でジョー・ストラマーのあの不思議なロック感が聴けるし、クラッシュの名曲群もところどころで出てきて、バイオリンの音色の面白さがこのメスカレロスの特徴、妙に酒場チックな音になっていくってのがいいな。終盤に新曲も混ぜての「I Fought The Law」、そしてミック・ジョーンズの登場での「Bankrobber」「White Riot」「Lodon's Burningという怒涛のクラッシュ曲連発。涙なくして聴けないクラッシュへの夢、そしてジョー・ストラマーの訃報。なんとも言えない記録だよなぁと感慨深く聴き直している。やっぱりこういうの好きだ。





Lee Scratch Perry& Upsetters - Blackboard Jungle Dub

Lee Scratch Perry& Upsetters - Blackboard Jungle Dub (1977)
Blackboard Jungle Dub

 暑い時って何も考えたくないんだよな。だから暑い国の人って考えたくないってのが根底に出てきてしまうんじゃないだろうか。その中でも何か感性に従って音楽を作り上げていく人もいて、更にその斜め上らへんを作り上げていく奇才もいる。その代表例がリー・ペリーなんだろう。自分的にもよくわからないけど、何かと名前が出てくるし、作品聴いてるとどっか違う、ってか普通に聴ける作風にはなっていないことの方が多い。だからこその奇才と割れる所以だが、不慣れでも明らかに違いが分かる作風ってのはやはり天才的なんだろうと。なんでこんな作品??ってのもあるけどさ。

 Lee Scratch Perry & Upsettersの「Blackboard Jungle Dub」、1977年作品で実に革新的なダブサウンド。端から強烈な長尺インストでダラダラと聞かせてくれる。いや、ダラダラってもものすごく戦慄を覚える、ダブサウンドで戦慄ってのもヘンだが、ベースとペットでそんな雰囲気を着々と作ってくれて展開されていく。リズムが変わるわけじゃないからやっぱりメロディー系のところでドロドロさせていくのだが、この作り方がさすが。それだけでもなくしっかりと脳天気なジャマイカンなのもあるから妙なセンスを持った人なんだなぁと。ある種ドイツのCanとか聴いているような感覚に陥るもん。同じリズムで反復フレーズをひたすら、って話だからそりゃそうかと理論的には納得するが、それでもこういう手法があるのだなぁと。

 芸術性ってよりも宗教性なのか精神性なのか、そっちの方が大きいから出来上がるのか、それともそんなこと一切考えてなくて音楽を追求してったらこうなった、なのか分からないけど、ものすごく完成度の高いアルバム。更に音楽的にも恐らく前人未到の世界観を出した傑作、と思う。聴き続けるってものでもないけど、やっぱり凄いなぁと。


Fred Locks - Black Star Liner

Fred Locks - Black Star Liner (1975)
Black Star Liner [Analog]

 自分がほとんど知らない世界のジャンルの音楽ってのもきちんと進化したのは確かだが今の時代では既に退化してしまっているのだろうか、それともまだまだ進化し続けているのだろうか、と気になる部分はある。レゲエ・スカなんてのもそうで、ポップスともミックスなんかはあったりもするだろうけど、レゲエ・スカ側からした時に進化しているのだろうか。ロックやポップス側からすれば融合すべき音楽スタイルのひとつだけど、本場のレゲエ・スカ側からしたらそうでもないだろうし、いまでもそのままなのだろうか。ブルースだってそうだから、近いかもな。若手も王道路線をやってるだけとか?ん〜、何かしら進化しているだろうからそれもないと思うが、基本に忠実なのが一番受け入れられやすいのはあるしね。

 Fred Locksの1975年リリース作品「Black Star Liner」。これぞレゲエと言わんばかりの作品で、無茶苦茶スタンダードに安心して聴けるレゲエサウンド。ルーツ・レゲエの基本とも言われているようだが、正しくその通りで、ボブ・マーリーにはなれていないけど、そんじょそこらのレゲエでもない、という位置づけ。こういうのを初めて耳にした連中はホントに驚いたことだろうと思う。リズムと楽器の使い方のち外や個性の出し方がまるで裏腹、どうしてこんなん出てきたってくらいに間逆なスタイルだもんな。70年代中期の音楽の進化の過程の功績、パンクの連中と同時期にシーンに出てきたから無茶苦茶影響をウケたパンクってのもわかるわ。レゲエはあまりにも音楽してたけど、しっかりと主張が強く出ていたし、パンクは音楽じゃなくって、ってところしかなかったワケだからそこにこういうのがあったら取り憑かれるってのも分かる。なるほどね、と。

 ロックファンにとってのレゲエへの入り口はポリスやクラッシュ、もしかしたらストーンズなんてのもあったから入りやすいんだろうと思う。ボブ・マーリーなんてやっぱ凄いしさ。自分もそのヘンまでだったけど何かとちょこちょこと聴いたりしててこんな作品にも出会う。フレッド・ロックスのこのアルバムはリズムは音楽はもちろんレゲエらしい作品だけど、しっかりと歌メロが存在してて、心地良く聴けるんだな。だから何かもう一回聞こうって気になる。覚える気なくてもどっか耳に残るってのかな。それとねぇ、快活。あぁ、いいなぁ〜って情景が思い浮かぶ。そんな心地良さを味わいながらの灼熱地獄。


Horace Andy - Dance Hall Style

Horace Andy - Dance Hall Style (1983)
Dance Hall Style (Reis)

 Spotifyってそういうモンか、ってのを意識してから周囲を見渡してみるとなるほどどの人のiPhoneにもこのアイコン入ってたりするんだな。若者のが目に入ってきてもやっぱりこのダサいアイコンあるもんな。いや、若者だからむしろあるのか。んで聴いてる人も多いし、なるほどそういう形で聴くのが一般的なのだな、と認識するのはあまりにも遅かった自分ではあるが、それが故にもうCDなんて売れない、全然売れない。そりゃそうだろうよ。ダウンロードも売れない、そりゃそうだろうよ。結果的に音楽は流通事業内ではカネにならない、ひとつのビジネスモデルの中で契約成立しないとビジネスが出来ないようになってしまったし、それだけで売れるワケでもない。ただ人々は何かしら音楽を聴き続けるのだろう。

 Horace Andyなるレゲエ界の重鎮に近い人が1983年にリリースした「Dance Hall Style」って作品。もちろん自分的には初アプローチになるのだが、これで1983年のリリース作品?って耳を疑ったほどのチープな音作り。レゲエとかってのは音数少ないし、隙間だらけだからそんなに高価な機材は要らない気もするけど、それでもこのチープさは面白い。んでもって高音でちょいとソリッドな印象のレゲエが鳴ってくる、レゲエってのかな、ダブってのか、こういうの。正直言って良し悪しってのは分からない。誰のどんなんでも感触は良いとか悪いはあるが、気分的にリラックスして聴きたい時の作風ではないな。どっちかっつうともっと攻撃的な時、底辺にあるのは怒り、みたいな時に向く感じか。その証拠に曲数は少ないながらも一曲づつの後半はほぼインストに仕上がってて、案外このインストのループにハマる。ダブあたりのこういうショーケースな作風は好きだね。

 そうして何枚も聴いていると作風の違いはもちろん顕著になってくるし、取り組み姿勢もロックと同じくミックスしながら打ち出してくるってのも分かる、残念ながら自分的に最先端のレゲエ・ダブってのが誰がどうやってるみたいなのを知らないから探り切れないけど、そのヘンも面白いんだろうなぁと想像する。もっとも聞く機会があるのかどうかは分からないが。ルーツ・レゲエの確かさはこういった作品で聴けるし、メッセージ性が強いとちょいと聞き辛くはなるけど、聴いてて分かるもんな。面白いもんだ。


Junior Murvin - Police & Thieves

Junior Murvin - Police & Thieves (1977)
Police & Thieves

 灼熱地獄の街中、自分的に夏は好きな方だし、暑いってのも特に苦手じゃないけど街中の暑さってのは好きじゃない。自然に暑いだけなら結構心地良さも伴うんだけど、コンクリートやアスファルトによる蒸し風呂状態の暑さはどうしようもない。こんな気候の中でオリンピックが企画されているってのはホント、殺人行為に等しいと思うのだが、それも色々と規制を敷いたりするようで、何やってんだか…な気がする。先日のワールドカップもそうだけどスポーツの祭典にはとことん興味がないので余計なお祭りでしか無いという感覚、うん、あまりにも社会活動には馴染まない感覚はよろしくないのは承知だが、だからと言って興味ないのをわざわざ知りに行くってのもナンセンスだろうし、世の中好きにやってくれ、って感じか。

 その暑い中ヘヴィなのを聴く気にもならず、やっぱり年一度は通っていくレゲエ・スカ・ダブ周辺な時期かなってことでガラリと気分を変えての作品。Junior Murvinの1977年の大ヒット作「Police & Thieves」。タイトル見て分かる人は分かるだろうが、The Clashのカバーで有名な曲のオリジネイターで、聴いてみれば驚く事にまるで異なるオリジナルバージョンだ。ここまでフワフワしたレゲエなサウンドとは想像しなかった。よくぞまぁ、これをああいう風にアレンジして自分たち流に仕上げたものだと驚く。ジュニア・マーヴィンって人はフワフワなファルセットでのボーカルが売りな人だったし、その後ボブ・マーリーのトコロに行ったりもしてて多才な人だったからこういうのが出来ておかしくないようだけど、それでもこのゆるさと個性は素晴らしい。

 リー・ペリープロデュース作品の1977年作、当時のキングストン界隈のヤバさってのは自分には全く分からないのだけど、相当のものだったらしい。冗談抜きでの権力対市民の構図が行われててのこういう楽曲が生まれてきたようで、パンクもそこを見ていた頃。それでこういうユルユルな音なのか、ってのはあるが、手段はともかくメッセージ色が強いのは当然か。そしてサウンド面でもアルバム的にも名盤と語り継がれている作品、素人が聴いてもそこまでは分からないのだが、多分商業ベースに乗り続けていることがそれを証明しているのだろう。単純に暑い中をこういうサウンドで癒やすっていう聴き方している分には相当心地良い作品。




My Dying Bride - Angel & The Dark River

My Dying Bride - Angel & The Dark River (1995)
Angel & The Dark River (Dig)

 何処に住んでても、と言うか自分があちこちに住んでる中ではどこへ行っても割と上空を戦闘機が通過したりする地域が多い。普通はそういうの無いのかな。一般的な航空機が飛ぶってのはあるのかもしれないが、どうもそういうのが上空を飛ぶ音を聞くことが多くて、基地の近くと言うか、基地って割とあちこちにあるからどこでも結局巻き込まれるんじゃないか、なんて思う。うるさいって思うほど回数多く飛ばないからそこまで気にならないけど、窓開けてる時とか夜中とかいきなりだから気になる時もあるか。難しいよねぇ、平和なら不要なんだろうけど平和って言葉は平和にさせてるから平和なだけであって、実際は平和じゃないからこそこういう事態にもなっているワケで…。

 My Dying Brideの1995年3枚目のアルバム「Angel & The Dark River」。前作からゴシックメタル的な教祖とも崇められていた中での3枚目の本作、冒頭から恐ろしいまでの暴虐さの中で鳴り響きピアノの美しさが際立った傑作、いきなりの12分超えの大作でリスナーをどん底に落とし込んだ曲とも言える。この暗さは本人たちの性格によるものだろうか、それとも売るための作風だけ?それでも仕事でこういうのってだけってのは難しいだろうからやっぱり嗜好性があるんだろうな。バンド名からしてそういう嗜好性だったワケだし、ある意味狙っていた方向に向かっているのだろう。バイオリンによる美しさで絶望の淵から救い上げてるという手法も使っているし、人が心を救われるという楽器の音色をよく研究しているのだろうか、うまい具合に使い分けでくるから聞くべきところを見いだせるってもんだ。

 しかし暗い…、けど、面白いと言うか引き込まれる魅力を放っているトコが怖い。体に馴染みやすいってのかな、生理的にイヤな音とかリズムじゃないんだよね。音を伸ばすのだって心地良いところまで伸ばしてから次のフレーズに入ったりしてて自然な感じ。狙って出来るもんじゃないから多分感性だろうけど、それが自然なんだろう。これだけでバンドが成り上がっていったんだから凄いよなぁ…、この頃こういう音世界ってのは他に無かっただろうし、取扱いに困ったバンドだっただろうと思うけど、リスナー的にはとっついただろう。見事な暗さ。


Paradise Lost - The Last Time

Paradise Lost - The Last Time (1995)
The Last Time

 絵画や画家の作風も当然ながら人生を重ねる事によってどんどんと作風が進化していくものだ。有名な話ではピカソの作品なんてのも、初期はホントに絵の上手い印象派の画家だったのが、いつしかああいう抽象画にまで進化してしまって名を成したという人だ。あそこまで極端ではないにしてもそりゃ色々あれば作風は変わっていくものだろう。その進化をも楽しめるのだが、それが副次的にこういうアルバムアートワークなんかでも感じられるのは面白いなと今回ひとりのアーティストを追っていて思った。ホリー・ワーバトンでもこの5-6年の間で変わっていってるんだなぁと。いや、もしかしたら異なる作風のバリエーションを当て込んでいっているだけなのかもしれないけど…。

 Paradise Lostの超名盤と誉れ高い「DRACONIAN TIMES」からシングルカットされた「The Last Time」のジャケットもホリー・ワーバトンらしい、そしてパラダイス・ロストらしいジャケットにも仕上がっていて印象的だったので載せてみた。んで、この4曲入ミニアルバム、ってかシングルCDになるのか、はアルバム「DRACONIAN TIMES」に入っていない曲ばかりがあって、4曲中3曲はアルバム未収録作品。多分今はどこかのボートラとか編集版に入っているだろうから楽曲そのものが珍しいとは思えないけど、この時期の作品ってことで、当然ながらあのドゥーミーな歌声と楽曲ばかりが入っているので、結構刺激的で面白い。何せ長いバンド史上で最高傑作と言われ続けているアルバム「DRACONIAN TIMES」の頃なんだからそりゃそうだろう、って話で、どれもこれも攻撃的且つ自虐的、というのか、内省的なエッジが凄い。メタリカと同じような歌声形式ではあるけど、決して外に吐き散らすような事はなく、しっかりと中に向けている。そもそも全体が大英帝国の尊厳とばかりに雑なトコロが一切無い、完璧な作り込みだし、この時期にこの音、時代を考えてみれば恐ろしく密度の濃い音が出来上がっている。それでいて品性を保っているというのが素晴らしい。

 このシングル盤の狙いは何だったんだろう?4曲立て続けに聴いているとどれもミディアムテンポのパラダイス・ロストらしい曲が並んでいるんだけど、だからこそアルバムに入らなかった曲になったのか、とも思える。「Walkin Away」はSisters of Mercyのカバーってことみたいだけど、この時期ってCDたくさん買わせるためにシングルCDにはアルバム未収録曲を入れてリリースするってのは当たり前だったから出てきた曲なのかもしれないが。それでも決して曲の品質が低いワケじゃなく、それだけ充実していた時期とも言える濃さを保った作品ばかりだ。このバンドってギターソロにもうちょっと注力させると魅力的になるんだけどさ、それが無いのが魅力なんだろうな。




All About Eve - Road To Your Soul

All About Eve - Road To Your Soul (1989)
Road To Your Soul

 美術館って最近は行けてない。昔は割とちょこちょことと行ったりもしててなんとなくの感性を磨いていたのもあったんだけどな。何がどうってほど詳しく好きなワケでもなくて、なんとなくアルバムジャケットという世界から入ってみて、絵画の芸術ってのも面白いな、本物ってどういうんだろ、って興味程度から。海外にもちょこちょこ旅行で行った時も博物館とか美術館ってやっぱり見てくるし、その延長で日本国内でもどっか行ってアレば見たりしてたしさ。まぁ、詳しくないしただ単に見てて面白いってだけの楽しみなので何も語れることはないんだが、刺激にはなってた気がする。

 All About Eveとホリー・ワーバトンの関係もあって、セカンドアルバム「Scarlet & Other Stories」が知られている。そこはもうウチのブログにも登場しているので、今回はこのセカンドアルバムからシングルカットされた「Road To Your Soul」のジャケットもホリー・ワーバトンの作品だってことなので登場させてます。これまでの合成チックからするとちょいとアート的になってて作風がやや異なる気がするんだけど、1989年の作品だからそういうのもあったのかな。All About Eveもジュリアンヌ・リーガンの美貌と耽美的な作風でニューウェイブからプログレリスナーまでを魅了してしまっていて、オールドファンにはヤードバーズのクリス・ドレヤが絡んでいるってのもあったからか、オールマイティなリスナーからの愛を一気に背負っていたとも言えるのか、珍しいバンドではある。冷静に聴いてみてもどこが凄かったんだ?って思う部分はあって、普通にロックバンドなだけで、女性が歌っているって話なのだが、やっぱりムードとかなんだろうなぁ。自分的にもこういう世界観に出てくる女性像ってのは好きだし、舌っ足らずな歌い方もソソられるのは事実。

 このシングル「Road To Your Soul」ではセカンドアルバムの冒頭にもなっているから取り立ててって話じゃないけど、今は拡張バージョンも出ているようで、ボートラ行きになってる。んで、結構な勢いと思い切りの良さで気持ち良い歌い上げていながらも叙情的な感性を全面にだした実にそれらしいサウンドに仕上がっている傑作。この一極で起承転結が出来上がっているもので、All About Eveここにあり、的な楽曲で良作。もちろんこのアルバムも見事な作品なんでね、ルネッサンスにはない瑞々しさがたっぷりと聴ける時期。




Stravinsky - Firebird Suite / Fireworks

Stravinsky - Firebird Suite / Fireworks (1986)
Firebird Suite / Fireworks

 テーマを決めて検索してると知らないものばかりに出会う。もっと知ってるモンだと思ってたけどなぁ、これ何だろ?なんて探究心からアレコレ調べちゃって探し出してくる。音楽が絡む場合は音楽を聞くという行為も発生するから時間もかかるし、その音楽性とかもアレコレ考えちゃったり感じたりしちゃうから面倒だ。その幅の広さもあって楽しめているってのもあるけど、もっともっと時間があったら体系化して整理したり自分にはわかりやすいまとめ方を作ってみたりとか色々やってみたいと考えることはある。が、そこまで到底時間も根気もないので結局頭から忘れ去られていってしまうものの方が多い…、多くなってきた、歳のせいも大きいだろうけど、記憶力薄れてるもんなぁ…。会話してても「あれ、なんだっけ?」って単語が多くなってきてて、ロックの会話なんて記憶力の塊みたいなモンだからそういうの繰り返さないとどんどん抜けてく。ってもそんなに会話できてないから結局忘れていく、だからこうして書き連ねているけど、それも忘れていく(笑)、いや、何がしたいんだ??

 驚くべきことにホリー・ワーバトンのアートワークはクラシックのアルバムにまで使われていた事が判明して、なるほど、それはそれで面白そうだもんなぁ、と思って、せっかくの機会だし聴いてみるか、とSpotify見るとあるんだなぁ、ちゃんとこれが。んで聴いているトコ。「Firebird Suite / Fireworks」。正直、何も知らないので書きようもないのだが、マハビシュヌ・オーケストラに同じタイトルあったけどアレは確かオリジナルだし、別にバレエクラシックとは関係なかったはずだしなぁ…、やっぱり全然知らないわ。ってことで初の挑戦、そもそもクラシックそのものなんて不慣れだし、バレエ音楽って踊ってるの見て音楽に合わせて、んで物語を読んでいくって高尚なものでしょ?いや〜、それ、芸術性高すぎる。そんなのの音楽にホリー・ワーバトンのアートが使われるんだから面白い。しかもジャケットのイメージはしっかりとそれらしく出来上がっているしね。

 覚悟を決めて最初から聴いてみた。面白いのかもしれない、ってのは分かった。それとなんでクラシックのアルバムとかが何枚も何枚も色々な演奏がリリースされてくるのかも分かった。やっぱり色がそれぞれ違うライブ盤なんだ。情景が異なっているとでも言うんだろうね。没頭して聴いていると、なんとなくのストーリーを読んだだけだから分からないけど、きっとこういうシーンなのかな、とか勝手な想像はできる。ま、ただ、自分には100年早いな。確かにこれも1910年の作品なんだけどね…。

Annie Haslam - Annie Haslam

Annie Haslam - Annie Haslam (1989)
Annie Haslam

 ルネッサンス来日決定、の報を見てはいるんだけどどうにも食指が動かない。もっともルネッサンスに限らず最近はあまりその手のオールドタイムなバンドの来日公演にはほとんど食しが動かなくてね。見に行ってもやっぱりノスタルジックさがあるだけで、白熱した演奏とかロックに求めていたパワーとかエネルギーなんてのはあるはずもないし、単にジジイ連中がファンサービスよろしく演奏しているだけ、っていう酷な見方も出来てしまうワケでね、ルネッサンスレベルのバンドだったらもちろん演奏力とか楽曲の素晴らしさを伝えていくという意味ではロックとは違うんで、美しき安定した歌声を披露してくれる、生で聴けるというのはありなんだろうけど、そこは演奏会という意味合いなのでちょいとロックとは違う…、いや、こだわらなきゃよいんだろうけど、単にそう思ってしまっている自分がいて困る。2001年の来日公演は見ているんでまぁ、いいかってのあるかも。

 Annie Haslamの1989年ソロ名義でのアルバム「Annie Haslam」もホリー・ワーバトンによるアルバムジャケットの産物で、こうして並べてみるとそりゃアートとしては統一感あるのは当然なんだけどアルバムの音からしてみたらそれぞれ全然異なるサウンドだし、それでもアルバムの音とジャケットのバランスはしっかり保たれているとも言えるからそれほど絵を書く側と音とのマッチングというのは気にしなくても良いのかな。それよりもイメージが固定化されない方が幅広くなってって良いのかもしれない。なるほど。ってなことを思いつつこのアルバムを聞くのだが、冒頭からして「Moonlight Shadow」なワケだから、もうキャッチーそのものでいきなりアニー・ハスラム節全開で言うことなし、続いてはジャスティン・ヘイワードとの共作による曲でルネッサンスとムーディー・ブルースですか…、しかもアコギと天井の歌声ですね、いやはや大したセッションです。その跡ももちろんかなりの美しい楽曲と歌声による作品が詰め込まれていて、ちょいとニューエイジ風なデジタル出始めの頃のチープな音が好みではないけど、この楽曲群と歌声の前ではそれも許されてしまうだろう傑作。

 メンツを見ていると後期ルネッサンスの面々も参加しているし、結局アニー・ハスラムのプロジェクトにルネッサンスのメンツが合流して、ゲストにジャスティン・ヘイワードを迎えてプロデュースしたルネッサンスのニューアルバムの位置付けだったのかも。それにしてはクラシカルなルネッサンスサウンドに囚われていないからソロアルバム名義にしてきた、それならマイク・オールドフィールドとの共演でヒットを放った「Moonlight Shadow」をアニー名義でも録音して売りにしていこうぜ、ってな構想だったのだろうか。悪くないんだから当たりだけどね。まだまだアニー・ハスラムの歌声も絶世の歌声を誇っている時期だし、見事なアルバム。




Danielle Dax - Inky Bloaters

Danielle Dax - Inky Bloaters (1987)
Inky Bloaters

 絵画やジャケットなんかを手がける芸術家達はレコードジャケットやCDジャケットという作品はどう思ってたんだろうか。自分の作品がそのミュージシャンやバンドの音とマッチしている方がそりゃ良いのだろうけど、そこまで聴いて作品を合わせていったなんてのはあまり耳にしたこともないから、バンド側が選んでいくのだろうな。それだと絵を書く側からしたら自分のイメージとは違う音なんてのも出てきたりするんじゃないかな、なんて余計な事を思ってしまってね。それが巨匠になっていくと余計にそういうギャップ感が合ってはいけないんじゃない?みたいなさ。ギーガーにしても誰にしてもそういうのあったんじゃないかなぁ。今回のホリー・ワーバトンにしてもそれはあったんだろうか?なんて事も頭をよぎりながら色々とと着手してみる…。

 ホリー・ワーバトンと言えばDanielle Daxが一番メジャーな関わりなんじゃないだろうか、ってくらいにはほぼすべての作品で関わっているんでこの人の売れ方で知られていったと思う。Daniel Daxの1987年3枚目の作品「Inky Bloaters」なんてのを聴いているんだけど、まぁ、早い話がケイト・ブッシュがもっと常人のロックに近づいて降りてきて歌っているようなモンで、それはそれで新しい取り組みです…ってか当時からしても結構インパクト強いアーティストだったと思う。当時はあんまり思わなかったけど今聴いてるとものすごく歌がしっかりした人だったんだって事に気づいた。サウンドはアヴァンギャルド的ポップでもあってバックの音がバンドらしくなってるのもあるから、聴きやすいんだけどね、ところどころで超アヴァンギャルドやってて面白い。それも明るく突き抜けていくトコにあるから気持ち良いのかもしれない。

 基本的な音の上に被さってくる効果音やノイズ、ひたすら繰り返されるフレーズのループ感による高揚、さすがノイズバンドから出てきただけあるアヴァンギャルドな姿勢は不思議だけど心地良い。この心地良さに気づくとそういう世界を楽しめるのだろうから、やっぱりその意味ではマニアック。ただしダニエル・ダックスという美女が奏でるってことでキャッチーさを増していてポップにも寄っているんでウケが良い。上手く出来ている。今にして楽しいアルバムだなぁと感じている次第…。






黒百合姉妹 - 最後は天使と聴く沈む世界の翅の記憶

黒百合姉妹 - 最後は天使と聴く沈む世界の翅の記憶 (1990)
最後は天使と聴く沈む世界の翅の記憶

 梅雨明けが早かったと言えども雨風台風による天災が立て続けに日本を襲うという日々、昔々だったら台風とか来る、っていう予想なんて出来なかったんだろう。だから突然雲行きが怪しくなって、どれだけの猛威を振るうのか分からないという状況で待ち受けて家に籠もっていたりしたのだろうけど、それは恐怖だったろうなと想像できる。そんな境遇でも様々な建築物が建造され、今でも残っているものがあるってのはどんだけの想定で造られていったのだろうか、とその想像力や取り組むの姿勢には感嘆する。現代まで災害の規模の大きさは色々あれども過去の歴史からしてもそれほど変わらないレベルってのはあるのだろうか、今回の大雨による被害状況を見ているとよく出来ているもんだ、と思うところもあってそんなことを考えてしまった次第。

 ホリー・ワーバトンという合成写真アーティストによるアルバムジャケットはいくつかのバンドなどで見ることが出来るか、先日のアルバムジャケットを見ていてその共通性に懐かしさを覚えたので、ならば、ってことでまずは黒百合姉妹の1990年リリースのデビュー作品「最後は天使と聴く沈む世界の翅の記憶」から。この時点でホリー・ワーバトンの作品を使うというのはかなりアーティスト的に早い時期だったんじゃないだろうか。しかも売れるかどうかわからない日本のバンドのデビューアルバムに採用されるというのもこれまた結構なギャンブルだろう。もっともホリー・ワーバトンの方もこの時点ではまだそこまでの巨匠でもなかったのだろうけど。言われてみるとよく見かけるジャケットの作風ってことにも気づくのかもしれないけど、中身の音も結構なクォリティで作られていて、自分も当時は知らなかったし、もっと漁ってて出会ってれば面白かったんだろうなぁとも思うけど、その頃こういう音を聴いたかって言われるとそうでもなかっただろうから、今の時点で出会えて良かったのかもしれない。

 JuriとLisaなる女性二人が中心のユニットで、今でも活動しているんでいずれ見に行きたいとは思っているのだが、今から28年も前の作品ですね。超ピュアで透き通った水の中を覗き込んでいるような感触で聴ける音楽、ロックじゃないです、多分。自分的にはやっぱりメロウキャンドルの拡張版な世界観。ベースが活躍しているところはもうちょっと骨格がしっかりと支えられているのはあるけど、日本語の歌詞で世界を出してて、これなら多分世界にこのまま出ていってても受け入れられたんだろうなとは思う。ただ、時代が早すぎた。決してポップではないけど、キャッチーさを持たせてみてもこの世界観に影響はないだろう。一気に聴けてしまうくらいに唖然とした夢のような時間を味わえる。単に自分の好みかもしれないけどさ、フワフワと浮遊したままアルバムが終わってしまうんだよ。アルバムジャケットの幻想感と音楽が実にマッチしててどこか異世界にいる自分を味わえる作品。素晴らしい。






Let's Eat Grandma - I'm All Ears

Let's Eat Grandma - I'm All Ears (2018)
I'm All Ears

 DLの時代になってもアルバムジャケットって重要なんだな、と痛感。やっぱり雰囲気で音を想像しちゃうし、それが当たってくれると嬉しいし、良い拾い物した気になるしね。普通のは全然わかんないけど、雰囲気あるのは何か気になって聴いてみる。こないだも書いてたけどすぐ聴けちゃう環境だからさ、試しちゃうんだよね。もっと大切に音楽聴いてじっくり楽しんでっていうのがスジなんだろうが、そういう聴き方もあるってことで…。音楽を消耗するというスピードがどんどん早まっているのかも。一曲づつをもっと大事にしてればこんなに産業も衰退しなかっただろうしリスナーももっと深く聴いてたかもしれん。

 2016年にシーンに登場したLet's Eat Grandmaという英国の女の子二人のユニットの2018年セカンド・アルバム「I'm All Ears」。何がって、このジャケットの雰囲気がとってもアングラな雰囲気出してて黒百合姉妹みたいな感じ…、4AD的と言うのかな、そんな感触だったんで聴いてみた次第。聴きながらアレコレ初めて調べるんだけどね、面白いよなぁ、こういう何でもありな音とファッションの二人組が出てくるトコロが英国の深いトコロ。決してアングラな音でもなく、キャッチーにポップに可愛らしくもあり、ただ、アングラ臭もプンプン漂うというムードの作品だ。でも、確実にプロが聴かせやすく作り上げているという実験作。彼女たちは一体何をどうしているんだろうか?曲を作ってるのか音を作ってるのかアイドルやってるのかと不思議になる。多分音楽作ってるんだろうとは思うけど、それも骨格作ってるだけなのか、アレンジ面まで関与してこういうの出してるのか、歌詞書いてるだけなのかとか色々不思議なトコはある。そのうち分かるだろう。

 エレクトリックポップなんだろうな、こういうのって。バンドの音じゃないし、ここで登場しなくても良いのかもしれない。ただ、どっかでこのアングラ感が面白くなるかも、という期待感。それに加えてやっぱり新しい世界の音ってのは常に刺激があるから古いのばかり聴いてるんじゃなくて飛び出していかないとね。




T.Rex - Bolan's Zip Gun

T.Rex - Bolan's Zip Gun (1975)
ブギーのアイドル【K2HD/日本盤初版LP再現紙ジャケット仕様】

 昔はあまり聴かなかったアルバムなんかも割と簡単に聴けてしまう環境になってからはすんなりと聴くようになっている。昔みたいにレコード買ったりしなきゃ聴けない状況だったらわざわざ聴かなかっただろうと思う。それが聴き放題いくら、みたいな感じでライブラリが手に入ってしまう時代になったら、そりゃもう何でも聴いちゃうでしょ。眼の前にあるんだから。ホントにそんな聴き方で良いんか?ってのは今でも疑問だけど、どうなんだろうなぁ、それでミュージシャンの商売が成り立つんなら良いけどさ、実際分からない。

 T.Rex、即ちマーク・ボラン主役の1975年リリース作品「Bolan's Zip Gun」。これまでのサウンドとは一線を画したアルバム、トニー・ヴィスコンティが絡んでいないってことで、その分どうにもまとまり感とか統一感的なもの、方向性的なものがバラバラになってしまった感はあるかな。プロデューサーってそんなに影響力あるのか、ってのがこういう時に分かる。ミュージシャンはあくまでもミュージシャン、プロデューサーはやっぱりプロデューサーなんだろう。とは言え、ミュージシャンたるマーク・ボランの頭の中にある音がそのまま出てきていると思うと、こういうアルバムもあって良いんじゃないかと。当時からしても全く見向きもされない状況で、あんだけアイドルだったマーク・ボランの名声も地に落ち、売上も下がり仕事も減っていった頃と聞く。そこでのこのアルバムリリースで、生々しいマーク・ボランの作品が聴ける。

 冒頭から内縁の妻グロリアのバックコーラスワークが明らかにこれまでとは異なるベクトルを醸し出している、ソウル・ゴスペル系なコーラスを取り入れているから、中期のHumble Pieみたいなのを狙ったのだろうか、ってかこの頃流行してたからなぁ、こういうコーラスモノ。T.Rexが取り入れるとこうなるのかというのはあるが、難しい。個性になっていると言えばなっているが肝心の独特のブギ調のスタイルがまるで聴けないから普通のバンドになっていて、それならそれで個性は?みたいなところか。よく聴けばマーク・ボラン節ではあるが、作品が面白みに欠けるのも事実か。




The Pretty Things - Silk Torpedo

The Pretty Things - Silk Torpedo (1974)
Silk Torpedo

 バンドが自身の姿をどんどんと変えていってリスナーを驚かせるというのはやってる側からしたらある種当然の事なんだが、聴いてる側としてはそういう音だから好きだったのに、異なるのが出てくるってことは音楽じゃなくてアンタの音楽性とかを好むようになれってことか?みたいなのがあって素直に認められない事が多い。そりゃそうだろ。赤色が好きだって言ってるのに青色出されて好きになれってもさ、他に赤色に近いのあるからそっちにするわ、ってのが普通でしょ。ところがまぁ、そこまで極端になることはあまりなくって、メンバー変わったからちょいとづつ変化していく、とか時代に合わせて変化します、みたいなのはありなんだろう。解散再結成でも同じメンツならさほど変わらないが熱意が異なるのはある。そのヘンバンドって素直に音に出てくるからね。

 The Pretty Thingsの1974年リリースのアルバム「Silk Torpedo」。ご存知Led ZeppelinのSwan Songレーベルからリリースされているアルバムってのが話題で、中身の音はもちろんあんなハードロックじゃないし、どっちかっつうと元々のThe Pretty Thingsみたいな音に毛が生えた感じのロックなのでツェッペリンの威光はレーベルだけの話なのだが、それでもやっぱりジミー・ペイジが認めてる、っていうイメージは大きい。The Pretty Thingだって相当の知名度だったんだからそこまで、とは思うけど、後追いからしてもそりゃそうだろう、ってのあるしな。実際音聴いてても悪くないけど掴みどころのないアルバムなのかなぁという気がする。ギターが凄いとか曲がカッコよいとかもないし、演奏に緊張感があるとかじゃないし、じゃ、何?的な感じでね。アルバムジャケットがヒプノシスで見開き全面使ったデザインは相変わらず秀逸というのだけはある。

 もうちょっとキンクスに近いサウンドもあった気がしたけど60年代までだったか。この時期はメンツも相当入れ替わってるし、時代も過ぎ去っているからってのが大きかった。60年代末期のプリティ・シングスは神秘的な感じもあって興味深かったんだけどな。ところが時代を経てみると結構な人気があったようで、その煽りを受けての再結成劇が何度となく繰り返されている。このアルバムの頃は二回目の再結成だったけどね。いくつか不思議な曲も入ってるからやっぱりプリティーズだな、っていうのはあるものの、どうにもパッとしないってのが本音。ん〜〜。


The Kinks - Preservation Act 2

The Kinks - Preservation Act 2 (1974)
Preservation Act 2

 レイ・デイヴィスの天才・奇才ぶりは当然キンクス時代から世間には知られていたものだけど、一般的にはRCA時代に入ってからは更にマニアックな世界に走っていったという認識のようだ。もっともそれはその通りだろうし、作品を聴いていてもマニアックなんだろうなぁ、とは思う。そのマニアックさってのは何が?ってトコなんだが、ひとつの事柄に執着した作品に仕上がっていることからマニアックと言われるワケで、ストーリーやテーマは実にシンプルなものなんだが、知らないと分からない、みたいな書かれ方しててさ、そういうモンでもなくて別に曲だけ聴いてて楽しめりゃ良いじゃないか、とも思う。もちろん中身知ってりゃ更に楽しめる部分は多いけどね。

 ってなことで久々にThe Kinksの世間的扱いが実に低い作品の1974年アルバム「Preservation Act 2」、前作「PRESERVATION ACT 1」の続編なのは当然ながら、そもそも論としては「The Kinks Are The Village Green Preservation Society」の主役達の拡大解釈物語はツラツラと書かれているものだ。この「Preservation Act 2」では更にバージョンアップしてナレーションまでもが入っているので一大絵巻、正にレイ・デイヴィスの演劇・喜劇ぶりが炸裂している時期の作品。当時の評判は両極端だったようだけど、確かに好きな人にはとことん面白い世界観。にわかに聴いている程度のリスナーには鬼門とも言われるあたりかな。先日もさほどキンクス好きってワケでもなく、それなりに聴いてますみたいな人と話してたらRCA時代はちょっとまだ避けてます、みたいな事言っててね、そりゃそうか、と久々にそういう実感を味わった。もっともそんなKinksの話が出来ること自体がほぼありえないんだからどっちにしても楽しいお話だったが。そんな風に思われているであろうこの「Preservation Act 2」、自分は好きでしてねぇ…。この喜劇っぷりがわざとらしくて好きだし、それでいて曲はしっかりと面白いのは面白いしロックしてたりするし、中にはふざけてるのもあるけど、それもキンクス、自虐ネタもあるし、時代はグラムロック全盛期、キンクスもグラムするぜ的なステージも見事だった。この時期はもう「Preservation」しか演奏しない、ってくらいのライブが繰り広げられていたみたいだし、もっとこの頃のライブアルバムを出すべきだと思っているリスナーの一人です。

 昔はアナログ2枚組で聞き辛いなぁってのあったけどCD時代になって、ずいぶん聴きやすくなったな、と思って今じゃiTunesでそのままサラッと聞けちゃうんだからそんなに長々したアルバムじゃないんだろうな。じっくり聴いちゃうとひとつの演劇をまるごと聴いてる感じで、キャッチーな曲も多数あるし、実にバリエーション豊かでレイ・デイヴィスの恐るべし才能をこれでもかってくらいに突き付けられる。ホント、天才。それでいて名曲も多数、どころかほぼすべて名作。多分単発でこういうのが流れてたら気になるんじゃないかってレベルの曲ばかりが入ってる。どうしてこれが世間的に好まれない?マニアックだから?そりゃそうだけど(笑)、まっとうに聞こうぜよ。ただ、まぁ、多才すぎてロックという枠内だけで収まらないアルバムではあるか。




Ray Davies - Our Country : Americana

Ray Davies - Our Country : Americana (2018)
OUR COUNTRY: AMERICANA

 先日ジェームズ・コーデンのCarpool Karaokeにポール・マッカートニーが出てて、これがまた実に素晴らしい愛に溢れた番組に仕上がってて、その演出やポールの姿勢に感動したのだが、皆さんやっぱり人生の総決算に入っているんだろうなという印象もあった。ビートルズ縁の地を振り返る、とかパブで突然ギグやって地元で楽しんだり、そりゃそうだよな、もう70歳半ば頃だろうし、いつ訃報が入ってもおかしくないんだし、と思ってたけど、番組見てたら何かね、こんだけ人を感動させる人って数える程もいないんじゃないかと。好き嫌いは別として人間国宝なのは確かだ。

 The Kinksのリーダーでビートルズと同じ時期に活動していて、今なおソロアルバムの新作までリリースしているというレイ・デイヴィスは自分的にはポール・マッカートニーを超えるレベルの天才だと思ってる。ソングライティングや市の作り方や彼の見る世間へのものの見方なんかも含めて世界的に数少ない天才音楽家だろ思う。まぁ、個人的にそう思っているというだけなので異論はあろうが…。そのRay Daviesが放った新作「Our Country : Americana」。前回の「Americana」の続編ってか、一緒に出来上がっていたんじゃないかなぁ‥、そもそもが自身がアメリカに来てからの回想録を書いてて、その自分でのサウンドトラックアルバムというものなんだが、その発想が凄くね?70歳半ばでその発想力想像力だよ?回想録を書く、までは分かるとしても、その回想録に沿ってアルバム2枚作っちゃうんだよ。しかもそれはやっぱりアメリカというフィルターを通したサウンドに仕上げていながらもしっかりとレイ・デイヴィス節のシニカルなものでメロディラインも相変わらずのレイ・デイヴィス節。そこに「Oklahma USA」なんて昔の曲もしれっと入れておいて古くからのファンを惹き付けちゃう。んで、聴いてみればそれはまったく別のアレンジが施された楽曲に仕上がってて、今夏のアルバムのトーンにマッチさせているという不思議。どこまで行っても天才的なレイ・デイヴィスのマジックにどんどんハマッていく。

 アルバムとして聴いてしまえば、ずいぶんと軽やかで多分レイ・デイヴィスならギター一本でこんだけ作って出来ちゃうだろうなっていうくらいには軽い感じで仕上がっているけど、出てくるメロディが好きだからねぇ。アレンジはアメリカ的にしてるのと、面白いのはこの人昔からそうだけどモノローグってのか?曲中、曲間で語りが入ってアルバムを演劇仕立てにして物語を紡いでいくというスタイル。「ストーリーテラー」で日本に来ていた頃もだし、その前の「Preservation」の頃なんかも同じような事やってたからそもそも演劇的なの好きなんだろうけどね、それがそのまま今でもやっていて実に個性的だったりするから面白い。この回想録って日本語版出てないだろうなぁ…。デジタル本だったらページ単位でGoogleさんに訳してもらおうか(笑)。うん、全曲聴いてみるとね、いつしかキンクスの昔の世界観とオーヴァーラップしてきて、中盤くらいまで行くとかなりどっぷりと味わえてしまって楽しい。この楽しさは多分相当ヘンな人ならではの楽しみ。いや、やっぱこの人、好きだ。天才。レイ・デイヴィスだからね、物語あっての音楽、これはあそこの話を演奏しているんだな、とか情景を思い浮かべてのサントラだからホントにそうやって聴いたらもっと楽しいんだろうよ。いや〜、面白いわ、これ。さすがレイ・デイヴィス。

 そういえばまたキンクスやる、みたいな発言を最近してたみたいで、それも多分総決算なんだろし、見たいかと言われるといもうどっちでも良いやって気がするが、レイ・デイヴィスが現役で頑張ってるの見てると多分カッコよく見えちゃうんだろうなぁとか色々…。





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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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