Colin Blunstone - One Year

Colin Blunstone - One Year (1971)
一年間

 英国ロックの裏方探ってると面白いわ。所詮マニアな楽しみでしかないけど、そもそもこんなもん好きじゃなきゃ聴かないし、マニアじゃなきゃ手を出さないだろうから良いんだけどさ。ちょいと前にジム・ロッドフォードが亡くなったのを機にあの人ってどんな仕事してたんだろうなぁ、とぼんやりと思った事から始まってるんだけど、60年代のゾンビーズには勿論絡んでいなくて、それでもロッド・アージェントの従兄弟だからってことでどっかでシーンに登場してきてて、そのまま居続けた人だからね。ボブ・ヘンリット然りなんだけど、彼はまだキャリア的に見えるんで、やっぱジム・ロッドフォードがなぁ…って感じ。

 それでゾンビーズのフロントマン、コリン・ブランストーンの1971年のソロアルバム「One Year」なんてのに手を出してみればそのクレジットにはちゃっかりとジム・ロッドフォードが登場してくるワケだ。なるほど、そうなるのか、しかもボブ・ヘンリットとのリズム隊もここで出来てたワケか、と納得。しかも他のメンツのクレジットがゾンビーズそのままなロッド・アージェントにラス・バラッド、プロデュースはクリス・ホワイト、そしてもちろんコリン・ブランストーンという、そりゃ名盤が出来上がるハズだろ、と。ソロ名義の方がバンド名義より良かったんだろうなぁ…、そりゃゾンビーズじゃ売れなかったか、という反省かもしれない。まずアルバムのクレジットから驚きながら音を聴くのだが、これがまたとんでもなく名盤。もっともっと知られても良いアルバムなんだが、ロック的なトコロでは名盤とは言われないのかもしれない。英国ロックとして、ポップ的、フォーク的なトコロでの傑作だからロックだぜ、ってのはまるで無いし、立ち位置的に中途半端だったのかもしれない。

 どこからどう斬っても素晴らしい作品。歌心と味わいを存分に楽しめるアルバムで純粋にポップを探求したんじゃないかな。カラフルなゾンビーズのアルバム「Odessey & Oracle」からサイケさとカラフルさを拭い取ってモノトーンにしてみたような印象。ちょいと疲れた的な作品になるのか…、なのでこのジャケット、実にこのアルバムの表情を物語っている。見事なアルバム。この辺の人達は凄い才能だね、ホント。




The Zombies - Odessey & Oracle

The Zombies - Odessey & Oracle (1968)
Odessey & Oracle

 雪景色をカラフルに彩るなんていうサイケデリックなアート感覚、やってみたいなぁと思ったりする人はそう多くはないのかな。雪国だったら思ったのかもしれないけど、そうじゃないとそんな発想すら浮かばないか。水に絵の具入れたレベルの色付きのモノをそれらしく雪の上にバラまいて楽しむんだよ。いや、やったことないけど、面白そうだなと思ってさ。昔のPV見てるとモノクロだけどそういうのあったりするし、サイケ全盛期で楽しそうだし、それもこれももう50年以上昔の話なんだから恐れ入る。ただ、面白いのはその自由な発想とセンスって今でも斬新に写ったりするからさ、時代を超越しているんだよね、それがレコードに残されてて今でも聴けるって、素晴らしいと思わないか?

 The Zombies、ひねくれ者の英国人が付けそうなバンド名で、案の定調べてみれば「人に真似されないバンド名にしよう」って事で付けられたらしいが、その分損している面も多いかも。やっぱり「ゾンビ達」だからね、イメージはよろしくないでしょ。ま、それ言うと「ビートルズ=カブトムシ達」も何故売れた、ってくらいなモンだが、一捻りのBeatって単語が良かったんだろうか。戯言はそのヘンとして、1968年の二枚目、位置付け的にはラストアルバムとなった「Odessey & Oracle」。超名作・傑作、時代を超越したポップミュージックの決定盤とも言える作品としてよく讃えられているが、その通りだ。これほど素晴らしいアルバムはそうそう多くないだろ、ってくらいのレベルにあるロック界での名盤に数えられる作品。とてつもなくサイケデリックな風味は漂っているけど、歌のメロディからメロトロンの雰囲気、効果音の使われ方、ドラムの如何にもなオカズ使い、それそのものが曲を印象づけているかのようだ。そして録音状態もそれぞれがステレオの定位に配置されているからカラフル感満載だし、更に楽器の音がキレイに鳴り響くというサウンド的サイケ感も見事。もちろん楽曲に捨て曲なんぞあるハズもないし、見事に統一されたアルバムで何度も何度もリピートして聴くアルバムだしね、ホント心地良いです。一家に一枚的な名盤なのは言うまでも無かろうか。

 …って自分はゾンビーズ聴くのってちょいと遅かったかな。ヒット曲程度は知ってたけど、所詮60年代のヒット曲だからああいうポップ感でさ、それほど突出した感を思わなかったんだよね。その後適当なシングル集みたいなのも持ってたけどピンと来なくて。んで、アレコレロック聴いて一回り二回りするとゾンビーズってよく名前が出てくるワケ。んで、アレだよなぁ…ってのあったから手を出さなかったんだけど、さすがにどれどれ、ってな感じで聴いたのがこの「Odessey & Oracle」。かなりぶっ飛んだね。もうThe KinksやThe Whoからプログレとか聴いてたから余計に響いたのかもしれないけど、スゲェポップス、って印象。んで、よくよく聴いてるとベースにしても歌にしてもドラムにしても曲にしても音の配置にしても凄くよく出来てるから楽しい。なるほど名盤と言われるハズだ、と納得したもん。一時期結構聴いてたのを久々に聴いてまたまたリピートしまくって聴いているというお話。

 バンド名と写真のイメージに惑わされずに黙って聴いてみればこのキラキラしたポップスとサイケ感が心地よくなります。サイケってもそういうサイケじゃないし、ポップスってもポップだからビートルズとかビーチボーイズみたいなモンで、ELOとかそのヘンな感覚。素晴らしいです。


The Argent - All Together Now

The Argent - All Together Now (1972)
All Together Now

 60年代のミュージシャンとなるともうホントに良い年頃になってるし、訃報そのものも入ってこないくらいになってる人もいるだろうし、いつしか天命を全うしている人も多いんだろうな、などと思う。此処のトコロ割と何人かそういうミュージシャンもいて、そりゃさ、別に個人的に知ってるワケじゃないから、そっか…、くらいにしか思えないんだけど、そういうのをきっかけに聴き直したり来歴漁ったりするからその時点では多少思い入れ入ったりするかな。今回もそんな感じですが…。

 ジム・ロッドフォードっていうベーシストが天に召されてまして、この人、古くはアージェントで活躍してから同じリズム隊のドラマー、ボブ・ヘンリットと共にキンクスに入り、末期まで活躍したという人生。ミュージシャン的に地味ではあるけど最初期から成功したバンドでのベーシスト人生を歩んだ人で、キャラクターも見るからに良さそうな人で、ベース弾いててもガッチリとプレイしてくれる安心の人だったように思う。そのジム・ロッドフォードが在籍していたThe Argentの1972年の3枚目の作品「All Together Now」をチョイス。バンドはもちろんゾンビーズからのロッド・アージェントといぶし銀ラス・バラードがメインで、先の二人がガッチリと支え切っている傑作。何と言ってもロッド・アージェントの迫力の歌声と鍵盤センスが突出している。こんだけ鍵盤出てきてキャッチーでちょいと凝ってて暑苦しいってのもあまりいないし、それでいてメロディもキャッチーでロックしてる。なかなかいないバンドだったように思うが、自分的にはあまり通って来なかったんで、今更ながらこの力量に感嘆している次第。

 昔から名盤扱いでジャケットは見てたんだけどそこまで進まなかったな。プログレって言われ方は曲によって鍵盤がゴージャスに鳴って長尺な曲があったからだろうけど、曲そのものはプログレらしいもんでもなく、ちょいと凝ったロックの実験作だし、そもそも他の曲がキャッチーでヒットを放った作品だってあるし、ファンキーとロックとジャズの入り混じりみたいなもんだし、割とごちゃごちゃなアルバムだけど、何か見事な輝きを放ってる。ベースのジム・ロッドフォードはロッド・アージェントの従兄弟ってことでメンバーも不動の4人で活動していたし、メンツ見ればそりゃ相当の強者だし、アルバム的にも見事だし、聞かない手は無いわな。


The Kinks - Sleepwalker

The Kinks - Sleepwalker (1977)
スリープウォーカー+5(K2HD/紙ジャケット仕様)

 音楽的に天才だな、って人は割といるのかもしれないがその方向性ってのはそれぞれ異なっていると思ってて、当然ながら作詞作曲に長けた天才、メロディやフレーズやアレンジなんかも含めて作り上げるトコロの才能って意味での天才もいれば、音楽理論的なセンス、理論も全て熟知していながら音感もあってそれらも駆使して作り上げていける天才なんてのもある。もちろん各楽器を演奏するのにテクニック的に天才という人もいれば感覚的に音楽が全て理解できてしまう人もいるのだろう。多分そういう人達が集まっている中でバンドが組まれたりする場合ってのはそりゃもう基本から違うワケだから出て来るものが悪いはずがない。バンドの歴史を取ってみると、最初は友達バンドでしかないけど、そのうちその才能の差にきづいて辞めていく、んで後任はそういう世界の人だからある種の天才が入るってなるとバンドが一気にレベルアップしていく、なんてことがある。だからバンドは続くわけで、そういう反応がないとどうしてもうまく機能しなくて停滞する…。

 1977年のThe Kinksがアリスタレーベルからリリースした実にアメリカ市場向けな一枚が「Sleepwalker」だ。個人的には無茶苦茶好きなアルバムのひとつで捨て曲がない。ここに登場したのは一応アンディ・パイル繋がりってことでしてね、そう、この人キンクスにも参加してたんですな。ところがこのアルバムでもベース弾いてるのは一曲だけで、その前のアルバムは参加していないという事で、見事にアルバムとアルバムの間のツアーしか参加していないという始末。その前も後もジョン・ダルトンがベースを弾いているということで都合よく参加させられたのか、サポート的に入ったってことなのか、色々な仕事してればしょうがないですな、と。

 そういう側面はあるもののキンクスのアリスタレーベル一作目としてここまで洗練されて垢抜けたアルバムが仕上がるとは誰も思っていなかっただろうけど、実にシンプルで格好良いアルバムになっている。正に天才の作ったアルバム、と言わんばかりのメロディセンスに溢れた作品。アメリカ市場向け、と言いながらそのメロディや曲調は明らかに英国風味なマイナー節が多くてどこがアメリカ向けなんだ、って思う部分もあるけど、音の作り方なんだろうなぁ、どう聴いてもアメリカ向け。でも曲は英国そのもの、という面白さ。このアルバム聴いて泣けない人もいないんじゃないか?ってくらい。いや、思い切りロックなんだけどね、染み入るメロディってのがホントに心に染みてくるから困りモノなんです。それこそがキンクス=レイ・デイヴィスの真髄でさ、そんなのがそこかしこに仕込まれてる。それを支える弟も見事だし、メンバーもそりゃ素晴らしいです。隠れた傑作と思っている作品のひとつ。

R.I.P Jim Rodford






Alvin Lee - Pump Iron

Alvin Lee - Pump Iron (1975)
Pump Iron

 職人芸のミュージシャンは昔も今も多数いるし、それぞれの仕事は追いかけていくとホント、キリがないのだが、そんな関係性が面白くて色々と繋がっていくのも英国ロック。たまたまではあるけどアンディ・パイルって確か…ってちょこちょこと調べてたら実に色々なトコロで名前が出てきてて、そっか、それで何となく記憶にあったのか、なんて事が判ってね、やっぱり英国ロックの楽しみってのはこういうトコロにあるのか、なんてフムフムって思ってたトコロ。

 アンディ・パイルさん、セッション活動も盛んだったことからパートナーとして認定されることもあったようで、今度は我らがアルヴィン・リーに抜擢されていて、アルバムとしては1975年のAlvin Leeのソロアルバム「Pump Iron」に参加している。アルヴィン・リーもこの頃ってのはTYA解散してどうすっか?ってな時期だけど、やっぱりながら本人大得意のオールドタイプなR&Rスタイルをひたすらにやりまくるという作風に始終したアルバムに仕上がっている。そりゃさ、得意なんだからそれが一番なんだけどオリジナリティに欠けるってなモンでして、その辺の選択も時代と合わなくてなかなかシーンでももがき続けたという印象はあるが、ギタープレイを聴いているとそりゃいつも通りでTYAの頃の速弾き感ではないけど、さすがに弾いてるんで心地良いのは心地良い。

 ちなみにアンディ・パイルもかなりのランニングベース的に弾いていてそりゃ気があったんだろうなぁというのがよく分かる。TYA時代からそういうの好きなのは見えてたし、そこでこんだけ追随するベーシストだったら一緒にやろうってなるわな。ちなみにこのアルバムではイアン・ウォルラスやメル・コリンズ、ボズ・バレルなんて強者達も参加していて、実はアルヴィン・リーってキング・クリムゾン連中と仲良かったのか?とも思えたりするのだが、まぁ、クリムゾンからハジかれた連中ばかりとも言えるんで、そのヘンはR&Rやブルース好きな連中だったからこそって話だろう。

 ちょいとアルバムとしては曲調がワンパターンになりつつあって、飽きてくるのとギタープレイが凄いんだけどあのアルヴィン・リーを彷彿とさせるほどのプレイにも感じられないというちょいと残念な作品か。




Blodwyn Pig - Getting To This

Blodwyn Pig - Getting To This (1970)
Getting To This

 iPhoneを水没させてしまったのだが、それが一瞬だったからかほとんどの機能が無事に使えててラッキーだなぁ…なんて思ってたら音が出ない、のと当然ながら電話ができないって事が発覚して、さてさて困ったと。それ以外は使えるワケだが、携帯電話が電話機として機能しないってのははたして価値があるものなんだろうか?それってiPod Touchと同じじゃないか?みたいな事を思いつつどうしたものかと新しいiPhone見てニヤニヤしちゃってたんだけどそんなにカネ出す価値もないしなぁ、ってことで密封パックにシリカゲル入れて一晩放置してみた。スピーカー部分だろうから乾けば何とかなるだろうという目論見だったがこれで見事に復活したのだな。ならばもうちょっと使い倒してから新しいのにしようと決めた今日このごろ、何はともあれ良かった良かった…。

 1970年にリリースされたBlodwyn Pigのセカンド・アルバム「Getting To This」。ご存知Jethro Tullの初代ギタリストだったミック・エイブラハムがTull離脱後に組んだ自身のバンドで、ここのメンツが後にJucy Lucyに行ったのだが、こちらのBlodwyn Pigでのサウンドスタイルがこれまた結構Jucy Lucyにも通じている部分多くて、妙にメンバーの入れ替えに納得しちゃったんだが、そのルーツはと言えばやっぱりジェスロ・タルでして、そこは当然だけどミック・エイブラハムのセンスが大きく貢献していたんだなぁと納得。その玉石混交的なセンスがここでも生かされていてどんなバンドかはそれで想像付くんじゃなかろうか。もちろんギターそのもののクローズアップが大きいんだが、ベースにしてもドラムにしてもフルートにしても大活躍してのごちゃごちゃの音、それでも妙に美しく聞こえるというのはセンスの問題か計算されたアンサンブルの賜物か。

 ファースト「Ahead Rings Out」に比べてセカンドの方が明らかにバンドの音としては進化していて、多様性も一層増しているように感じるが、その分バンド内での人間関係が微妙になってきてしまったらしく、結果的にミック・エイブラハムが脱退することになって解散状態へと進んでしまうのが残念だ。この路線で一丸となったバンド活動していたら結構評価されたんじゃないかなぁ…、正にロック的なジャズスタイルで、いや、ロックでしかないけどジャズな取り組みしているって音でもしかしたらジェスロ・タルよりもハードロック、ギター寄りで分かりやすいと言うか聞きやすいと言うか…、そんな気もするからさ。アコギにしてもフルートにしてもきちんと美しく入ってるし。うん隠れた名盤ですよ、これ、多分。


Jucy Lucy - Pieces

Jucy Lucy - Pieces (1972)
Pieces

 世の中の評判がよろしくないからと言って自分が聴いてみて同じような感想を抱く必要もない。いや、そう思うのはあるのかもしれないけど、だからと言ってそういう聴き方をする必要もないし偏見を持つこともない。自分がそれでもこいつは格好良いぜ、って思うアルバムなんてのはいくらでもある…、のは一般からズレてるってことかもしれんが、所詮ロックなんて嗜好しかないんだからそれで良いじゃないか。万人と同じ感性なワケないんだしね。久々にそんな事を感じたアルバムがこれ。

 Jucy Lucyの1972年リリースの4枚目のアルバム「Pieces」。既にオリジナルメンバーは全員離脱していたにも関わらずJucy Lucyというバンド名を継承したまま活動していたというバンドで、その中心にはポール・ウィリアムスとミッキー・ムーディがいたわけだ。当然ながら色々な方向に散らばっていくこの個性がここで一瞬だけ光り輝く作品を出してて、歴史に埋もれているのはやや残念か。かく言う自分もJucy Lucyの三枚目までは一気に聴いていたけど、この「Pieces」は全然聴いてなかった…ってか手に入らなかったのもあったんだが、聴けてなかったもん。そもそもオリジナルメンバーもいないから作品としてきちんと数えられてなかったっつうか取り上げられる機会も少なかったんじゃないだろうか。上記二人に加えてBloodwyn Pigからのリズム隊を加えての作品で、果たしてどうなっていることやらと思って楽しみにしていると…。

 初っ端から強烈なグラムロック風味のR&Rが出てきてもう最高です♪ 実力派のポール・ウィリアムスなんだから言うことなしの迫力だし、ミッキー・ムーディもこんなギター弾くんだなぁと思うくらいの泥臭いR&Rスタイルのプレイ、カッチョ良いです。この初っ端でこのバンド、まだまだイケる、って思ったもん。まぁ、それ以降はちょいとパッとしなくてやっぱり快心の一発は一発でしかなかったか、というのはあるとしても、決して悪くないアルバム。ただ、どこに向かうのか、ってのが見えきれないままのバンドになってしまったんで、どうしようもなかったんだろうなぁとは思う。ただ、自分的にはどこかSilverhead的なグラムロックスタンスと共通のものを感じるアルバムなので、割とお気に入りですね。

Killing Floor - Killing Floor

Killing Floor - Killing Floor (1969)
Killing Floor

 ブルース・ロックに取り憑かれた連中が何人も周囲にいて、皆が皆夢を見てバンドを組んでライブハウスに出たりメンバーとセッションしたりして、ってのが60年代末のロンドンのシーン。他にも勿論色々なシーンはあったけど、ブルース・ロックは主流だったしね。んで、いち早く一番若いFreeってバンドがヒットを放って飛び抜けた存在になっちゃったけど、その周囲にはBlack Cat Bonesで残された連中もいたし、ポール・ロジャースとサイモン・カークの友人だったKilling Floorのステュアート・マクドナルドもいたワケだが、旧友を知るステュワートからしてみたら自分もベースでFreeに参加していれば人生違ったのに、ってのもあっただろうなぁ。友人が成功するステップを見事に目の前で見せられて、自分が埋もれていくのも同時に実感して…、なかなか辛かっただろうに。それでもPeaceでポール・ロジャースが何かやろうって時には一緒に付いていって、また捨てられて…と、最初の選択が異なると人生変わるってな見本みたいなものだ。別にこの手の話はビートルズに限ったことじゃない。ストーンズでもキンクスでもフーでもあるが、もっとマイナーなトコロでも多数ある話。

 Killing Floorの1969年デビューアルバム「Killing Floor」。それこそ友人たちと同じレベルでシーンに出ることが出来ていたワケだからこの時点では何らフリーと、ポール・ロジャースやサイモン・カークと比較して負けてることはない、むしろKilling Floorの方が圧倒的にブルース・ロック、ギタリスト的にもロック的にも味と油の乗ったブルース・ロックを繰り広げていて食いつきが良かったんじゃないだろうか。今聞いても結構な迫力と演奏力を持ったサウンドだと思う。一方のフリーはそこまでキャッチーではないし食付きが良いとはいえないサウンドでもあったはず。ところがそのKilling Floorも出だしほどでもなくいそいそとセカンド・アルバムも同年にリリースして何とかシーンに残ろうとしていたが、ここからが難しい。フリーは天才が数人いた集団だったから勝手に音楽性が広がっていったことでバンドが解体していったが、Killing Floorはブルース・ロックしか出来なかったし、それが売りだったからこれが受けなくなると勝手に衰退していくのだな。もちろんそんなのは瞬時にして衰退していったので、鳴かず飛ばずの状態になってバンドは崩壊。フリーはその後ブルース・ロックから飛躍した楽曲で世界中にブレイクしていったという明暗。

 こうやって書くと分かりやすいよね。こだわりとプレイの旨さ確かさと音楽センスと先見の明、バンドや個人のセンスによる運命の分かれ道、ほんの紙一重の違いなのかもしれないけど、はっきりと分かれてしまう人生の道筋。今じゃカルトバンドのレアアルバムとして名高くはなっているが、本人達が欲しかった勲章ではないだろう。そういうのも含めてこのアルバムを聴くと、熱いだけのロックは実に短命ながらも、聴く側にするとホントに熱く魂を聴かせてくれる傑作で血湧き肉躍るアルバムだ。ブルース・ロックでこんだけ聞かせてくれるのもなかなか見当たらないし、格好良いアルバムだよ。悲運の人生と共に共鳴する作品。




Peace - Peace

Peace - Peace


 ロックってさ、裏話とか逸話とか小話みたいなの知ってると色々な事柄が繋がってきて面白いんだよね。新しいバンド結成の裏話とかインタビューでも一緒にツアーやったことがあって知り合って、次のメンバーを探す時に声掛けたとかよくある話だけど、それってこの頃のツアーの時の話なんだろうなぁ、とか夢膨らむ想像が出来ちゃう。想像ってか、そこだよな、って確信だけど。結局人繋がりでメンバー固めていくってのもまだまだ多かった時代だし、やっぱりミュージシャンだからセンスで合うか合わないかみたいなの測るだろうしね、だからそんな小話ってのは結構アンテナ広く漁ってたかも。

 ポール・ロジャースがフリーの空中分解後に同じアパートにいたKilling FloorのStuart McDonaldとそれこそ兼ねてからの知り合いだったベテランドラマーのMick Underwoodと一緒にPeaceってバンドを組んだのは割と知られた事実。そこにギタリスト不在で、ポール・ロジャースが兼任していたものの、候補として上がってたのがGinhouseのGeoff Sharkeyだったのだが、そこまで話が進む前にFree再編成となってしまったために中途半端にバンドは解体されたという酷いバンド。ところがFreeがビッグネームだったこともあって、ポール・ロジャースが新たに組んだバンド、っていう注目度は高く、シングルもアルバムもリリースしていないのにBBCへ出演していたり、Mott The Hoopleの前座でツアー周ってたりと活動は意欲的だったようだ。冒頭の話で言えばこのヘンでポール・ロジャースはミック・ラルフスを知ったんだろうなぁ…って思うわけよ。バドカン結成ってこの人脈かね、と。んで、一緒にアパートにいたStuart McDonaldはフリーのサイモン・カークの元々のバンドメイトだったってな事で、見事に全てが繋がる狭い人脈と気心知れたメンツでのバンド結成だったってな話。

 この短命なバンドでも期待度が高かったことを証明するかのようにいくつかの音源がリリースされていて、それはもちろんフリーの活動集大成の中に紛れてしまうのであまり注目を浴びることもないんだけど、実はPeaceとしてのソースだけでそれなりのアイテムにはなる、はず。Freeの編集盤「FREE STORY」には「Lady」って曲が、ボックスセット「Songs of Yesterday」には「Like Water」と「Zero BC」ってのがスタジオ録音ソースで入ってて、これは上記のメンツによる録音だからフリー関係ないんだよね。明らかにPeaceのソース。んでBBC音源は3曲残ってるけどきちんとはリリースされていないのかな。もちろん「Heartbreaker」「Seven Angels」ってフリーの後期の曲と「Like Water」だからだろう。ちなみにここでのドラムはミック・アンダーウッドだからサイモン・カークのそれとは全然違ってちょいハネな軽快なドラミングでなかなか心地良い。

 ってことでその実6曲くらいの音源とMott The Hoopleの前座のライブソースかなにかがあれば何かとっても貴重なCDがリリース出来るんじゃないか?なんて思うんだけど出てこないねぇ…。ミック・アンダーウッドのインタビューからするとほとんどがフリーの「Hearbreaker」で曲が使われているってな話だけど、自分たちのソースも録音していたからアイランドレーベルにはあるはずだ、ってな事だ。う〜ん、聴いてみたい。








Ginhouse - Ginhouse

Ginhouse - Ginhouse (1971)
GINHOUSE ~ REMASTERED EDITION

 しかし好きで書いているとは言え、我ながらこんなマイナーなのとか書いてて誰が楽しんで読むんだろ?習性惰性でしか開かないだろうなぁ、このブログ、って思う(笑)。そんなバンドもあるのか、とかまたこのヘンの路線か…とか知らないなぁ、こんなバンド、いつのだろ?とか読んでる側になるとそういう感じに見るんだろうな、ってのは自分でも思う。普通さ、もっと時流に合わせたネタとかもうちょっとテーマ的に何かあって、とかだもんな。何も無く単に書き連ねているブログってのはなかなか読む側の心を引きつけるってのは難しいだろうよ。ブログが全盛の頃はコメント欄でのコミュニケーションが活性化しててそこでの人間性なんてのが繋がりの中心だったけど、今の時代ではそれがSNSに移行していて、そこでの活性化は結構労力かかるので大変だったりするし、まぁ、好きに自分のメモと割り切って書きますかね、って感じにはしているが、やっぱり書く意義・意味ってのも必要だよなぁと何となく思ってたり。

 Ginhouse、1971年リリースの唯一作「Ginhouse」。単純にスゲェ好みなハードロック。これぞ70年代のハードロック。英国ロックのハードロック。トリオ編成で勢いだけで迫ってくる割にはちょこっとヒネったスタイルや音使いもあって、アコースティックギターも上手く使いながら基本ハードロック。いや、圧倒的にハードロック。そもそもQuatermassを意識した音作りってことで、ロックバンドの可能性をそこに見出してのバンドだからそうなる。メロトロンとか効果音的な細かい音もちょこちょこ出て来るし、その意味ではプログレッシブな感覚をも持ち込んでいるバンド。でもGroundhogsほどでもなく、やっぱりもっとすっきりしたハードロックの範疇でのサウンドスタイルが心地良い。

 主要メンバーのGeoff Sharkeyは後にSammyをMick Underwoodと組んでいるし、ドラムのDavid Whitakerもまた著名な人で、Kestrelに参加していくことになるんで、それなりに英国ロックの底辺を支えていくのに脇役となるメンツが揃っていたのだろう。この人のドラミングは好きだな。あんまり意識しないけど、センス良いところでドラムが鳴ってくるのが気に入っている。ギターも歌も曲のあり方も好きだから、やっぱり自分好みのバンドスタイルなんだろう。うん、良いよ。

Sammy - Sammy

Sammy - Sammy (1972)


 古いロックだとひとつのバンドから人脈関連でアチコチに派生して他のバンドやサウンドに出会えたりすることが多いのだが、近年のバンドをそうやって漁ろうとしてもなかなか先に進めない。秀逸な人材に出会うと数多くのセッションやプロジェクトに参加している事も多くて派生バンドなんかも出てくるんだけど、そこに到達するまで名を成しているというのが多くない。だから新鮮な刺激を手に入れるのはアンテナを別の形で張っておく必要がある。その分昔のはラクだなぁ…。

 Sammyという1972年にアルバム「Sammy」で出てきた英国のバンド。メンツがこれまたいぶし銀でしてね、自分的に著名なトコロから書くとMick Underwood、もちろんあのQuatermassの人ね。んでGinhouseのGeoff Sharkey、これもまたブルースハードロックなカッチョ良いバンドだったんだな。だからここまでだとハードロック要素が入ってくるんだろうって想像が付く。そこにAudienceやStackridgeに進むKieth Gemmelが入るからサックスやフルートっつうのも出てきて、ハードロックからちょっと離れる世界?ってのが楽しみになる。ほかは自分的にはまだ知らない世界の人達なのでよく分からないけど、ここまで知ってる人脈で想像する音世界は何となく楽しみで、今度は時期的なトコロで1972年のMick Underwoodってポール・ロジャーズと一緒にやるとかやんないか、って頃で、その辺も絡むのか?ってな事で調べてみると案の定、そのプロジェクト崩壊後に残党が集まったバンドとも言えるようだ。そりゃ結構なミュージシャンが集まるはずですな。

 ってことで楽しみにアルバムを聴いてみると、初っ端から勢いのあるカッチョ良いハードロックが炸裂、更にサックスもカラムから快活で英国ロックでもここまで快活になるか、ってくらいなモンだ。ところがメンツがメンツなのでハードロック一辺倒のはずもなく、それどころかギターがメインでもなく割とサックスが全面だったりしてあちこちに振れ幅の大きいロックが繰り広げられる。その意味ではかなり可能性のあったバンドの音という印象でアルバム一枚ってのが勿体無い。きちんとスタンス決めてバンド活動していったらHumble Pieあたりまでにはなれたんじゃないだろうか、と思うくらいのレベル感だ。なので、聴いてみてその味わいを楽しんでほしい一枚ですな。

 昔からよく分からないのがアルバム・ジャケットで、英国盤はメンバーショットでその裏ジャケがインディアンみたいなので、米盤は逆になってるのかと思ってたけど、どうなんだろ?そうでもないのかな…。そもそも英国盤ってなかなか見かけなかったんでアメリカ盤の方がイメージあるけど、CDだと逆だな。う〜ん、よく分からん。しかもアマゾンには無さそうだし、マイナーな扱いなんだろう。



Audience - Audience

Audience - Audience (1969)
Audience

 ヒマだからバンドでもやろうぜ、ってな空気が今の時代にはなかなか無いんだろうな。他にもヒマだからやろうぜ、って選択肢が多いからそこでわざわざバンドなんて選択肢も無いだろうし音楽という選択肢ですら少ないだろう。そう考えると今でも出て来るバンドや歌手ってのは希少価値が高いのかもしれない。どんだけ才能が無かろうともその意欲やきっかけとして役に立つなら可愛がって広い目で見ていかないといけないのか?なんて目線もあるのだろうが、当然リスナーはそんなこと考えてないからつまらなきゃアウト、面白いものを探す。だから少ない分母の中から更に寄り優れた音楽を奏でるトコロに少ないリスナーが集まっていくという形になっているということか。

 1969年にデビュー作「Audience」をリリースしてその後72年までに4枚の作品を残したその名もAudienceという英国のバンド、人並み以上にはセンスを持った若者たちが集まって出来上がったバンドなのだろう、メインのハワード・ワースという人物はバンド解散後もドアーズのレイ・マンザレクあたりとも一緒にやったりしていたってんだから人脈も才能も確かだったのだろう。鍵盤やフルートを奏でているキース・ジェンメルって人はAudienceの後にStackridgeで活躍していった人だし、そもそもAudienceってバンドも4枚目の作品「FRIEND'S FRIEND'S FRIEND」ではストーンズとの活動で有名なボビー・キーズなんかをゲストに迎えたアルバムをリリースしたりもしているんだからそれなりのバンドだった、とも言える。デビュー作「Audience」はポリドールからのリリースで、以降はカリスマレーベルからのアルバムってことなんで、多分ポリドール側ではこの頃にあった青田刈りのバンドのひとつでしかなかったという感じだが、バンド側としてはきちんとした音楽活動を成果として残したくてカリスマレーベルに拾わせたというトコロか。音楽性だけ聴いているとポリドールの選択は確かに正しかったのかも、とも思わせるが…。

 その「Audience」という作品。と言うかバンド、なんだが、一言で言えば普通の英国ロック。ただし普通の英国ロックって何?ってのあるし、ジャジーなセンス、サックスだったりフルートだったりと言ったのも活躍しているしブルース・ロックに影響されたギターもきちんと入ってるし、この時期特有のランニングベースラインもしっかり入ってるから歌心のある曲が多い。ただ難しいのが、名曲だ、ってのがあるワケでもなくハードロックだ、とかロックらしい曲だ、ってのも特に見当たらず、かと言ってボードヴィル的な曲やシニカルな作風ってのがあるんでもない、いや、どれもそういう雰囲気、という曲が多く、器用に小粒にまとまっているので可能性は凄く感じるけど、どうなんだろ?っていう微妙な位置づけ。英国ロック好きな人は好きですよ、間違いなく。これもまたキンクスやジェスロ・タルあたり好きなら大丈夫。ただ、ユーモア分からないと厳しいかもなぁ…ってくらい。

 この辺のバンドってのは何がしたいんだ?とか難しい音楽的な事を求めてはいけないのだ。ただただ冒頭のようにヒマだからバンドやってみて集まったメンバーで面白そうなアイディアを詰め込んでみたらこうなった、みたいなイメージを持ってそれぞれの人間の個性やバックグラウンドなセンスが詰め込まれていると思った方が良い。それが化学反応を生み出して楽しめる音になる、と。だから突飛もないのが出てきたり無茶苦茶なのが詰め込まれてきたりするんだろうね。そういうごった煮、って感じのバンドの筆頭でもあるか。




Stackridge - Extravaganza

Stackridge - Extravaganza (1974)
エクストラヴァガンザ(幻想狂詩曲)

 同時代に出て来るバンドの音ってのはどういうワケか似たような風潮を持つバンドが多かったり、それ自体でひとつのカテゴリに出来るくらいになってたりすることも多い。70年代の英国ロックではそればあまりにも多様だったためまとめた言い方してるけど、それでも似たような作風を売りにするバンドがいくつもあって、実際はその辺をサブカテにしてまとめていくと割と容易になる気もしているのだが、どうもその意味でも括り切れないというバンドの幅の広さもあってかそのままだ。自分的に感覚で括っておくしかないだろうなぁ。

 Stackridgeというバンドがあって、これは主に古き良きポップスをやります、っていうバンドで、俺はロックだぜ的なものとは違う。どっちかっつうとキンクスの軽快さやエルトン・ジョンのポップさなどを拡張したようなユニークなバンドなのだが、プロジェクトに近かったのかな、と近年思うようになってて、それはメンバーが頻繁に変動するってのがあって、それでも出てくる音はどのアルバムも一貫性があるから、主役となっているであろうアンドリュー・デイヴィスって人の趣味・嗜好なんだろうと勝手に解釈している。もっとそういう側面が出てくるとわかりやすいのだが、そこまででもないのか。んで、1974年リリースの「Extravaganza」ってのを聴いていると随分とボードヴィル調なムードで軽快に流れてくるのもあって、聴きやすくこなれていて綺羅びやかで楽しい気分になる。実に英国的。正にキンクスの「この世はすべてショー・ビジネス」あたりに通じる味わいだ。

 歌詞まで追えてないんだけど、きっとブラックでシニカルなユーモアたっぷりな歌詞なんだろうなぁと想像してます。スタックリッジは毎回聴く度に思うのだが、ひたすらこのアルバム達を聴きまくって幸せになろうって気にさせる。実際そうすることはないんだけど、やってみたいなぁと。なぜ出来ないかってのはもちろん途中で飽きるからなんだが、そうじゃなくてアルバム4枚か5枚程度なんだから聴き倒す、それで存分に味わう、ってね。iPod shffleに入れてひたすら聴いてようかな、なんで思ったりもしれいるバンドのひとつです。


Jackson Heights - The Fifth Avenue Bus

Jackson Heights - The Fifth Avenue Bus (1972)
THE 5TH AVENUE BUS

 いつの時代にもマイナーなバンドやどこかのバンドの誰それの組んだバンドがあって、売れる売れないもあるけど話題になるならないとか、趣味的だったりプロジェクト的だったりと色々な形で作品が残されていたりもする。それらが全てコレクション的にライブラリ的に収集できるレベル感なら良いんだけど、今の時代ではそれはほぼ不可能だろう。昔は、ひたすら探してそういうのを見つけるという楽しみもあったけど、今はもうありすぎるしそもそも情報収集すらままならない。近年のインターネットでの情報は偏りが大きいので集めるのがかなり難しくなってるし、そもそもライブラリの概念が不要になっているんじゃないかと思うくらいだ。だからマイナーなのはどんどん消えていくし、あってもきちんとした情報が特にくくなってる。探し方が下手なのかもしれないが…。

 フィル・コリンズが在籍していたフレイミング・ユースにはもうひとり、ブライアン・チャットンって鍵盤奏者も活躍していて、この人はその後Jackson Heightsってバンドに入ることになる。んで、Jackson Heightsってのは元々The Niceってバンド、これは有名なように、キース・エマーソンが元々在籍していたバンドなんだけど、もちろんそこにもバンドのメンバーってのがいてですね。そのうちの一人のギタリストにリー・ジャクソンってのがいたんですな。で、そのリー・ジャクソンがThe Nice解体後に自分でバンド作ろう、って言って作ったのがJackson Heightsというバンドで、そこにフレイミング・ユース出身のブライアン・チャットンも参加しててアルバムを何枚かリリースしているって話。今回は1972年のセカンド・アルバム「The Fifth Avenue Bus」なんてのを取り上げてみますが、これはですね、今度また面白いことにその面々に加えて、ドラマーが不在となってしまったJackson Heightsを助けましょうか、お手伝いしましょうか、ってことでドラマーとして参加しているのが、元King Crimsonのマイケル・ジャイルズなワケで、言い方をものすごく包括的に言ってしまえば、EL&PとGenesisとCrimsonの派生メンバーが一緒に組んだバンドのアルバム、なんて風に言えちゃうワケです(笑)。

 それでやってる音は、と言えば実に牧歌的なフォーク・ロック的な作品で、決してプログレッシブでもないし、アグレッシブな楽器バトルな世界でもないし、それぞれの出身バンド周辺で話題になったような世界観を味わうような作品ではないです。だから割と無視されたり、話題にすら登らない傾向にあるワケで、まぁ、言うならば聴いても聴かなくても益も害もなくて、普通のサウンドだし、ってことだ。まぁ、それでも何枚もアルバム出してるんだしそれなりだったんだろうとは思う。実に普通なフォーク・ロックと言うかコーラスもあったりするけどさ、マイケル・ジャイルズのドラムも流石にプロって以上でもないし、目立つことはあんまりないなぁ…。



Flaming Youth - Ark 2

Flaming Youth - Ark 2 (1969)
Ark 2

 アイディアのぶつけ合いこそがそれぞれにとって面白い事だったり刺激だったり新しい事が生まれたりと創造性が高まる最初の一歩だろうと思うが、プレイヤーが少なくなればその機会は減ってくるし、機会がなければアイディアをぶつける機会も少なくなる、即ち刺激的なものへの創造性が低くなるという悪循環。それでも社会の流れからするとやむを得ない部分はあるのだろう、特に我が国日本ではそういうのは顕著だろうなぁ…、ま、世界各国そうなんだろうけど。だから故に刺激的なサウンドに出会うことが難しくなっているのか?昔のロックはそんなのばっかだけど、ヒマだったからだろうか…、多分正しい(笑)。

 ジェネシスの看板と言えばピーター・ガブリエル、その後はもちろんフィル・コリンズの天下になり、彼の才能は世界中に知られることとなる。その結果、フィル・コリンズってのは一番最初にFlaming Youthってバンドで出てきたんだよ、それはね、1969年のアルバム「Ark 2」ってのがあって、一番下に写ってる髪の毛もふさふさなこの若者がフィル・コリンズなんだよ、ってなお話。だからフレイミング・ユースがプログレバンドの発祥というワケでもなければプログレバンドへの接近というものもない。普通にこの時代のロックバンドのひとつでしかなく、英国B級バンドの中のひとつに埋もれていっても十分におかしくないくらいのバンド。ところがそこにとてつもない才能の持ち主がいたことで脚光を浴びることにもなった、幸運?なバンドって話です。

 でもね、そういうきっかけでフレイミング・ユースを聴く人が多いだろうし、自分もそうだし、その結果、こういう面白い音楽世界に出会えた、ってのは良いんじゃないかな。正しくサイケロック、アート・ロックの世界で、メランコリックさとポップさの同居、ともすれば演劇性すらも高く、さすが英国人だよなぁ、と思うばかりのバンドだ。端的に書けばThe Kinksとタメを張るくらいのコケティッシュさを持ち合わせているとも言える。だから随分とユニークなバンドのアルバムで、惑星をテーマにした12分強のコンセプトドラマも展開しているし、いやはや、フィル・コリンズのおかげでこういう英国ロックバンドの数々が知られるってのは良いことですな。そしてこの英国独特のユーモアセンスを味わうのもこれまた楽しい。そもそもフィル・コリンズって芸人だもんな。


Genesis - From Genesis to Revelation

Genesis - From Genesis to Revelation (1969)
創世記(紙ジャケット仕様)

 2000年代と言ってももう18年目なんで新しいというんでもないんだろうけど、それでも自分的音楽史からすると随分と新しい部類に入る時代なのだが、そのヘンでの面白そうなバンド発掘ってのを頑張ってたんだが、なかなか琴線に触れるってのが見つけにくい。あるとは思うし、実際あるんだけど、普通のロックという世界で発展しているバンドに触れてみてくてね。メタルとかじゃなくて普通のロック。そうすると焼き直しばかりになってくるんで、その焼き直しにプラス何か、ってのを上手く見つけているバンドってのがあるはずでさ。モッズ風味だったり何かが加わってるとかそういうの。カッコよさってのはそういうのから出てくるだろうから、刺激が欲しくてね。

 さてさて1969年に同じくプログレの雄と名を馳せるジェネシスもまたデビューアルバム「From Genesis to Revelation」をリリースしていて、これもまたイエスと同じくプログレッシブ・ロックたる断片は聴けるものの、サイケデリックやアート・ロック風味が圧倒的に強くて後のプログレバンドっていう雰囲気とはかなり異なる作品だ。それでもイエスと同じく同時期の英国ごった煮ロックのレベルからしたらかなりハイレベルにある作品になってるし、革新的ですらある取り組みが出てきていると感じる。それはもう音もそうだけど単にピーター・ガブリエルの超絶個性的な歌い方とメランコリックメロディセンスが大きいだろう。もちろんフィル・コリンズ以外のバンドメンバーが後の全盛期を支えるメンツで既に構成されているので、彼らのセンスの厳選が既に発揮されているという意味では実に多様で多彩なアプローチを聴くことも出来るし、さすがだなという面が大きい。スキが無いもん。良く練られている、この時点でも既に。どこか牧歌的でフォーキーな曲もあればピーガブ節バリバリもあるけど、これはこれでひとつの完成されたアルバムの世界観を味わえるのは確かだ。自分的にはこのヘンの方も好みかな。

 後のアンソニー・フィリップスやピーガブのソロアルバムで開花する彼らのセンスってのは根本的にここから変わってない。特にアンソニー・フィリップスのアコギへの取り組みなんて一貫してこのまんまだしね。それがジェネシスの牧歌的側面でもあるし叙情性のひとつでもある。トニー・バンクス然りなのだろうけど、あのフワフワ感は既に味わえる。ただ、まだまだアート・ロックへのチャレンジ感が大きいんでカラフルな音色が揃いまくっているアルバムというトコロか。ジャケットの黒一色とは裏腹なカラフル感が味わえる事を思うとこのジャケットのセンスは大失敗だね。もっとカラフル感を訴えるアートワークが良かったんじゃないか、などと余計なことまで思ってみたり。


Yes - Yes

Yes - Yes (1969)
ファースト・アルバム アトランティック70周年記念(紙ジャケット仕様)

 自分って未熟者だ〜って自覚する時ってよくあって、こんなことも知らないんだ、とか出来ないんだ、とか考えられないんだ的なことに気づく。それが克服できるものもあれば出来ないのもあって、さてさて人間はそういったものを全部克服したりする方へ向かうものなのだろうが、その必要もあるのか?などと反発的に考えてしまうのも良くない。即ち自己弁護型ってことだが(笑)。やらなきゃいけないんだからやる、ってのはあるのだろうけど、やらなきゃいけないことをやる人は他にもいるんだからそうじゃないことをやる、ってのが自分だ、という理屈ですな。まぁ、世の中通じないです。現実逃避しましょう…。

 あのプログレッシグバンドの雄として名高い、そして魂売りまくっていまじゃ金の亡者とも言われるくらいのバンドになったYesですが、そんなバンドでももがきまくって出てきたファーストアルバムってのがあるんです。1969年リリースの「Yes」。アトランティックからのデビュー作ってことでツェッペリンばりの期待をされてリリースされたけれど、その中身からしてまるでお話しにならなかったという曰く付き、イエスの歴史の中でもほぼ黙殺されているアルバムではあるんだが、結構面白くて、プログレを確立してからのイエスよりもチャレンジしまくっている若気の至りってのがこの頃の英国ロックの中のひとつのバンドでしかないというトコロもあって楽しめる。この時期のB級ロックバンドと比較しても全然やろうとしていること、やってることなんてのは大差なくってごった煮への挑戦でしかない。即ちこの時点での差はほぼ無かったと思える音楽だ。ただ、個々人の力量やセンス、音楽的なバックグラウンドなんかは全然違ったんだろうし、出て来る音の自己主張さも確かに力強くて確かな手応えでのサウンドが出てるからそこはアトランティックレベルがメジャー契約するだけのバンドのレベルだったのだろう。

 その中味はと言うと、これがまたアート・ロックとサイケロックとかの間で、コーラスワークやベースラインのでしゃばり感はイエス特有のものが既に出てきているが、ピーター・バンクスの器用なギタープレイ、ジャジーでもありコースティックでもあり、サイケデリックもやります的なトコロが上手く彩りを与えていて、骨太なリズム隊との融合が繊細に出来上がってきているというのかな、そこにトニー・バンクスの鍵盤の彩りも加わり、高齢のジョン・アンダーソンの高い声がフワフワ感を出して、あのコーラスが被ってくるという不思議さ。後のイエスを彷彿とさせる部分は多いものの、もっと英国特有のメルヘンさ加減が出てたりするトコロもあってかなり楽しめる。イエスというバンドを後のバンドと比較しないで初期英国ロックの一つのバンドとして聴くとそのハイレベルなセンスの素晴らしさを実感できる。

Little Barrie - Stand Your Ground

Little Barrie - Stand Your Ground (2006)
スタンド・ユア・グラウンド

 ひとつ新しい道が開けるとそこからは割とゾクゾクと新たなる世界が広がっていく。様々な音楽の世界とかジャンルを聴いていると時にそういう瞬間に出会うこともあって、こういうのがあったんだなぁ…と噛み締めたりするものだ。今回もそんな隙間からちょこっと新しい路線が見えてきて、それも面白いことに70年代ロックの風味を醸し出したサウンドだけど全く新しいという不思議な感覚。一体何がどう違うのか、楽器は変わらないんだけどやっぱりセンスの部分で大きく違うんだろうなぁ。

 Little Barrieという勿論英国のバンドで、今回は2006年リリースのセカンドアルバム「Stand Your Ground」をチョイス。何とトリオ編成でのバンドでリーダーのバーリー・カドガン自体はアチコチの著名なミュージシャンとのセッション活動が有名なので、ちょこっと調べれば出て来るくらいの人物。それがリーダーバンドを組んだんで、プロ中のプロのバンドってことで後は売れるかどうかって話だけに近かったのかも。人脈やセンスは折り紙つきだったワケですな。メンバーも何人か変わってるけど、そこも面白いことにイエスのスティーブ・ハウの息子のヴァージル・ハウがドラムを叩いているという編成で、話題も事欠かないように出来上がっている。残念ながらこないだヴァージル・ハウは急逝してしまったという悲劇もあるのだが、それはともかく、この「Stand Your Ground」というアルバムを聴いてみてのお話。

 60年代初頭のThe Whoと言ったトコロか。モッズサウンドのようなシンプルでソリッドなスタイルのサウンドが甘いボーカルと共に流れてくるという小洒落たバンドの音。最近こういうの聴いてなかったから凄くかっこよく聴こえてきたね。んで、ギターもスゲェ弾いてて、何というのか、ブルースギターのソロを弾きまくりとは違った、センスで押していくようなギターがどんどんと出てきて聴かせてくれるという代物、更に曲もソリッドでかっこよくて文句の付けようのないくらいの出来栄え。程よくロックとポップ、そしてR&Bの香りも入りつつ、曲によってはT-Rex的ですらあったりとなかなか器用なバンド。世界的にもかなりの人気バンドらしいが、自分的には初めて名前知った(笑)。こりゃ格好良いわ。


The Heavy - The House That Dirt Built

The Heavy - The House That Dirt Built (2009)
The House That Dirt Built [帯解説・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC426)

 今時の新しい時流の音楽を知るってのもきっかけがないとなかなか難しいのは常々書いているんだが、実際一般の人々はどうやって今時の歌を知っているのだろうか、って疑問もあって、それでも売れてるとか売れてないとか知ってる、知らないなんてのあるんだから不思議だ。自分的にはそういう情報アンテナがあまりないから分かんないんだよね。ひたすらに何かから調べていく方が多いし。とは言え、何かの映画やTVドラマで耳にしたとかはそりゃあるにはある。ただ、そこでいいなこれ、って思うことはあんまりないし、そんなにきっかけとして重要なもんでもないから影響力は薄いんだが…。

 それでもコイツは面白そうなサウンドじゃないか?って思ったのがThe Heavyってバンドの曲で、ふ〜む、それならアルバム聞いてみようかなってことで2009年リリースの「The House That Dirt Built」。何かの評を読んでみればカーティス・メイフィールド meets レッド・ツェッペリンってなことで、なるほど言い得て妙な例えだなと納得。聞いてて確かにソウルフルってのもあるけどそれだけでもなくてノスタルジックな部分も大きいしギターがハードな部分もあって、なるほど斬新で懐かしいサウンドかもしれんと。ちょこっと調べてみれば黒人ボーカルと白人メンバーに女性コーラスというバンド形態でだからこそちょいと不思議な質感を保てているのだろうと納得。英国出身なんだよね。だからそこに英国風味の湿っぽさも同居してるから単純にソウルにはならない。

 音楽そのものはミクスチュアなのは勿論だけど、オシャレでセンスが良いので心地良さも結構なもの。ロックさ加減はその分少ないけど聴きやすいし、なかなかユニークだなぁ…なんて思いながらフワフワとアルバム一枚が終了する。こういうの聴いてバンドやろうってのは思わないんだろうけど、音楽の深さを改めて実感した作品だった。いいきっかけで知ることの出来たバンドだったんで、ちょっと小洒落た感じにマークして聴いておこうかな。他にもこんなんが幾つかありそうなので、そういう漁り方もまた楽しみです。


Joey Gilmore - Bluesman

Joey Gilmore - Bluesman (2008)
Bluesman

 仮想通貨ってのはどうなんだろうなぁ…。儲かるとか儲からないって話もあるけど、それ以前にその概念が定着するんだろうか。リアルなカネとは別の概念がそこで産まれているワケで、それはそれでその概念をリアルに持ち込んでいるトコロも増えているから成り立つ可能性は十分あるし、実際成り立っている世界でもあるから今更何を言ってるって話かもしれない。もしそっちに進むのならばかなりの変革になるし、広がる時には一気に広がるかもしれない。でも、やっぱりどこかゲーム的感覚もあるにはある。分からんなぁ…、いずれにしても手にするには既に遅いのでユーザーとして成り行きを見守る程度しか出来ないのだが。

 Joey Gilmoreというこれもまた相当のキャリアの爺さんだけど、ギタープレイも然ることながら、どちらかと言うと歌心でキャリアを築き上げてきた人のようで、確かに「Bluesman 」なんかを聞いててもバンドと歌心が一体化した作風に仕上がってる。歌もブルースメンと言うにはちょいと上手いというかソウルフルに上手すぎるかもしれない。その分迫力もあって重みが増しているので随分とグッと来るアルバムに仕上がっているのは確かだ。ホーンセクションも使っているしピアノもいたりするし、それでもオーソドックスでモダンなブルーススタイルを踏襲しているので往年のブルースリスナーには実にハマりやすい音になってて嬉しい。

 近年色々とライブアルバムなんかもリリースしているので、聴くのはまるで困らないのが嬉しいね。自分も名前知って、へぇ〜ってな感じで聞いててアルバムまで突入って感じなんだけど、まだまだこんなシブイのが転がってるんだなとこの辺の発掘作業に邁進しているトコロ。今では黒人ブルースでも白人系のと変わらないサウンドで出してくるので、聴き易さも増しているし、その意味ではバディ・ガイが広げた路線はやはり強かったな。彼が白人ブルースへ接近したことで門戸が開かれた感あると自分では思ってるんだけですが。




John Primer - You Can Make It If You Try

John Primer - You Can Make It If You Try
You Can Make It If You Try

 心地良い音楽に身を任せてユラユラと聴いているって感覚が好きだ。なかなか出来る事じゃないし、そんな贅沢も許されない世の中ではあるんだけど、一瞬…と言うか束の間でもそういう気分で音楽を聴くとものすごくリラックスする。当たり前だが。でも、それが出来ない。やろうとしないと出来ない、と言うのもどうかと思うが、そんだけ時間に追われている日々を過ごしているんだよなぁ…。もっとゆとりを持って人生進めていきたいです、はい。そんな願いを込めて、ってんじゃないけどさ、ハードなのを聞いてて疲れてくるとちょいとゆったりとしたいな、ってのあって、ブルースです。ブルースが一番落ち着くんです。飽きるけど(笑)。

 John Primerという黒人のブルースメンがおりましてですね…、Magic Slimのバックでやってたことで知られているらしいですが、自分はそこまで調べ上げてなかったんでその印象もなかったんだけど、なるほどそうですか、と。んで、この「You Can Make It If You Try」というライブアルバムを聴いてまして…、いやそりゃもう恐れ入りましたってくらいのモダンなシカゴブルースが飛び出てきて、しかも入ってる曲が全部有名な曲のカバーばかり。レイヴォーンが入ってるのはさすがだとは思うが後はもう知らない人いないだろってくらいに名曲ばかりでね、それをきちんと自分流にカバーしてやってるんです。ってもシカゴのモダンスタイルなんでいわゆる普通のブルーススタイル。これがまた気持ち良い。スライドも巧みに操る人なので職人芸的にギターをキメてくれてて、しかも外す箇所がほとんどない。う〜ん、堅実と言うかホントにストイックなプレイスタイルで、なかなかこうは弾けないかもなぁというブルースプレイ。でもね、とっても味が付いてて美味しい…んじゃなくて味があって深みも感じるプレイ。そりゃキャリア長いからだろうけど、本人の歌とギターだけじゃなくてやっぱりバンドとのアンサンブルも見事だし、聞いててホッとするもん。

 まだまだこういうブルースメンってたくさんいるんだろうし、そのほとんどが日本では紹介されていないというか少ないんだよね。自分で見つけるしかないからアチコチ探してて、やっぱりたくさんいるんです。んで心地良いのが見つかるとにんまりしちゃうという…、発見は面白いです。ただ、アルバム買って負い続けるのかってほどになるまではなんとも…。それでも間口は常に広げて受け入れてかないと人間古くなっちゃうしね。こういうの、スタンダードだけどやっぱり良いよ。昔の黒人ブルースとはちょいと違うモダンさはあるし。




Judas Priest - Painkiller

Judas Priest - Painkiller (1990)
ペインキラー

 しかしウチにはApple製品がたくさんあるなぁ…、使えないものも使えるものも含めてMac関係からiPod、iPhone関係などなど、そこらじゅうにAppleマークの製品が転がってる。やっぱりデザインが良くてシンプルに使いやすいってのが大きいんだろう、悩まず手に入れられるってのもラクで良い。Apple製品以外だと例えばPCってどこのにする?ってこだわり持ってる人も多くないと思うし、スマホにしても選ぶの困るんじゃないかな。性能とか機能とか犠牲にしてる部分あるけど、その分美しいとかわかりやすいというのが強い、少なくとも自分にとってはそっちが大きい。これからの未来も何かとイノベーションを与えてくれる事を期待したいし、それを見てみたい。それが出来るのは大して多くない企業群だろう。

 Judas Priestの1990年の作品「Painkiller」。正にヘヴィメタルバンドとして銘打ったアルバムとして名高い作品で、これまでのジューダス・プリーストの持っていた大英帝国ヘヴィメタルから、より一層の金属音へのアプローチへと進化したアルバムとして名盤扱いされている。得意ツインギターは勿論のことながらロブ・ハルフォードのハイトーンボーカルも更に輪をかけていて、これ以上のハイトーンは無いだろってくらいに叫び倒している。ギターの音色そのものもこれまでのマイルドでセンスのある上品な音から一気に超金属音の尖った音作りへと変化していて、一聴してうるさいという感じのする音に仕上がっている。ドラマーが変わっているのがその要因でもあるだろうし、バンドがこれまで迷走してきた音と決別して、この路線で進むんだという意思表示の一枚でもあり、そのインパクトは冒頭からしても絶大だ。とことんスラッシーなサウンドが叩きつけられ、同時代のメタルバンドなんぞ全て蹴散らしての元祖重金属バンドとしての格を見せつけてくれる作品。

 ところが面白いのはそんなスラッシーでヘヴィなスタイルで序盤から攻め立ててきているにもかかわらず、アルバムの曲を進めるごとに元々の大英帝国風味のかかった叙情性がにじみ出てきてのしっとり感、ここが普通のメタルバンドとは違う味わいの深さだろう。キャリアの成せる技とも言えるのだろうが、ギターのリフにしても楽曲の展開にしても歌メロにしてもどうしたって叙情派と呼ばれたバンドの真髄は出て来る。それがジューダス・プリーストと言うバンドの強み。だから古くからのリスナーも金属音になったからと言って離れることがない。むしろこんなアルバムを若いもんに叩きつけてくれて最高だぜ、的になる。しかもそんな連中が手の届かないような深みのある音楽性を含めての作品なのだから。そのセンスに気づけるとジューダス・プリーストの面白さに更にハマってくんだろうよ。

 それにしてもヘヴィに攻めてくるアルバムです。


Praying Mantis - To The Power of Ten

Praying Mantis - To The Power of Ten (1995)
TO THE POWER OF TEN(新価格盤)

 Macが逝かれてしまった…、ウチにはMacがゴロゴロと転がっているのでテキスト入力やネット接続レベルは何とか他の手段でもどうにでもなるかな、という感じ。それにバックアップなんかもこないだの事もあって割と取っている状況だったからそこも大丈夫だから慌てるってこともないし、そりゃ兆候はあったから豆にバックアップしてたのもあって、あ〜あ、ってな感じだ。HDDは物理的にイカれている部分があるらしくOS再インストール不可、外付けにインストールで動かしてたけどどうも調子悪い、てなことしてると電源周りが怪しくなってきて、ともすればロジックボードなのかもなぁ…、電流過負荷なんだろうか、と素人ながらに色々考えるのと、iMacの解体も面白そうだが…なんて欲求もあったりしたけど、やっぱり止めて新規購入へ。もちろん選択肢はiMac一択だから悩まない(笑)。

 Praying Mantisの1995年リリース作品「To The Power of Ten」。バンド自体もトロイ兄弟以外はメンバーチェンジの多いバンドで特にボーカリストは二枚連続で同じだったことがなく、ある意味毎回ゲストボーカル登場というバンドでもある。その分楽曲レベルの高さが要求される…なんてのは今になってから言えることで、この頃のバンド事情からすると一向にボーカルが定まらなくて難儀してたんだろうことは容易に想像がつく。そこに旧知の仲でもあったゲイリー・バーデンが参加してのアルバムが本作。マイケル・シェンカーのトコロでの実績しかないけど、それこそメロディがしっかりしたバックに対してのボーカリストだったワケで、普通に歌ってる分には別に下手でもないし、案外マッチしたのかもしれない。はじめはそうは思わなくて、え〜、ゲイリー・バーデンがマンティス?なんてのがあったけどさ、冷静に考えりゃそっか、結局メロディアスなのは合ってるのか、と。MSGではゲイリー・バーデンが歌メロ作ってたワケだしね。

 そして聞いてみると、初っ端からピッタリと馴染んでる、と言うかこのアルバムに於ける楽曲群のレベルの高さがゲイリー・バーデンであることをそれほど意識しなくても良い程にPraying Mantis節全開になっているという事だ。俗に言うメロハーなんだけど、正しく英国ロックのWishbone Ashの系譜を汲んでいるし、AORと違って叙情性がしっかりしているし、クサくもないし、品格が保たれているトコロで俗世間のその手のバンドとは一線を画していると思う。他にもヨーロッパではそういうバンドもあるけど、Praying Mantisの美しさってのはちょいと違うかな。このアルバムはそれに磨きをかけている一枚だし、もうボーカリストとかバンド力には頼らないでトロイ兄弟が自分たちでこの路線を作り上げて磨き続けていこうと意識した一枚なんじゃないだろうか。実力は素晴らしいのだが、セールス的にはまるで振るわないバンド、世界ではマイナー扱いでしかないしね、勿体無い。ヨーロッパならもうちょっと受けると思うんだがなぁ…。

 ってなことで、意外なゲイリー・バーデンとの融合を果たしたことばかりが話題になるけど、中味の曲も含めてかなりの高レベルにある秀逸なアルバムです。ってかこのバンドはホント、どれ聴いても外さないんで安定のメロディアスサウンドが聴ける。


motorhead - Under Cover

motorhead - Under Cover
UNDER COVER [CD]

 硬派なロックをガツンと聴きたい気分になってきたんだけど、メタルってんでもないしやっぱりロックなんだよな。そんな気分でアチコチ眺めつつも初期バッジーのストレートさが欲しかったんだなってことで、モーターヘッドくらいか?って勝手に思ってると、「Under Cover」なんてカバーアルバムがリリースされていた。う〜ん、知らなかったのか後回しにしてたのか記憶が定かじゃないが、いずれにしても面白そうなアルバムだし…、どんなんをカバーしてるんだろ?って曲目見て大半が知ってる曲だし、そりゃ面白いだろってことで聞いてみた。

 2017年リリースで、そもそもmotorheadとしてレミーが健在の頃からカバーアルバムってのも面白いだろうって話はあったらしい。レミーの意思を汲んでのリリースではないけど、いくつも録音してあったものはあったからまとめて出してみた、との事。それでこんだけの代物ならありがたき作品ですな。冒頭はジューダス・プリーストの有名曲から始まるが、ある種意外性もなく馴染んだサウンドとも言える仕上がり。Sex Pistolsの「God Save The Queen」は実にモーターヘッドらしくまとまってるかな。スピリッツが同じだから違和感がない、とも言えるが、モーターヘッドが上手すぎる(笑)。んで、ちょいと期待のDavid Bowieの「Heroes」。最初からしてこんなに歪んだ音のまま出てくるのか?ってのがあまりにも意外だったけど、違和感なく「Heroes」なんだな。レミーがこんだけメロディアスに歌うっていうのもあまり聞いたことないからちょっと不思議さはあったけど、きちんと曲の悲壮感も出ているしね。Rainbowの「Starstruck」はFastwayのボーカルがゲスト出演で歌っててmotorhead色はさほど強くないんでなんとも…か。Ted Nugentの有名曲はレミーお得意って感じだなぁ…、言われてみれば似てる部分も多いのかもしれない。そしてストーンズの名曲はやっぱりモーターヘッド節全開。なるほどハネないで疾走感だけで突っ走るワケか…。ボーカルスタイルは実はミック・ジャガーも似たようなメロディラインだったってこと?違和感ないってのはやっぱりそういう事なんだろうが、意外だな。

 オジーの「Hellraiser」って90年代のか、原曲の記憶がほぼないので何も言えないのだが、これは多分オジーの個性と比較しちゃいかんのだろうという気がする。さてさて個人的に結構な期待のRamonesの「Rockaway Beach」は、やっぱりモーターヘッド流のR&Rで疾走感溢れるサウンドに進化してるが、やっぱりラモーンズそのままという不思議。ここまで軽やかにやってるのもほとんどないんじゃないか?ってくらいにラモーンズの疾走感とモーターヘッドの疾走感が同居している。んで、この「Shoot 'em Down」ってTwisted Sisterのヤツ?へぇ…、そんなの取り上げてたんだ?圧倒的にレミー節にしか聞こえないくらいの完成度の高さだ。そして最後はメタリカの「Whiplash」だが当然ながら何ら違和感のない圧倒的なメタリカとモーターヘッドの癒合…、見事だ。この手ばかりだったら確かにそのまますぎて面白味が薄れるというものだが、こうして多様なバンドのカバーがあったあとに馴染みやすいこの手のが出てくるとさすが感が増して面白いね。見事に楽しませてくれたアルバム♪


Budgie - Deliver Us from Evil

Budgie - Deliver Us from Evil (1982)
Deliver Us from Evil : Expanded

 年末年始に結構聴きまくってて、自分のブログも見直したりしてたけど内容はともかくながら記事数的には結構な数あるよなぁ…、そりゃ最近書くものも減ってきたと思うはずだと実感。間違って二回書いちゃったりしてるのはあるけど、一応一回登場したらそれで終了ってことにはしてるんで、同じものってそんなにはないはず。DX盤とか意識してるのはあるけど、それでこの記事数なんだからそりゃ適当なのがあったとしてもアルバム数的には結構なモンだよな。新しいのとか出れば書いたりしてるから多少は水増しできてるんだろうけど(笑)、基本的に70年代中心になるとさすがに残りは少ないか?んでもアメリカ系とか全然だしなぁ…、そこまで手を出す気力はないからアレだが…。

 Budgieの1982年リリースの10枚目「Deliver Us from Evil」。一旦ここでBudgieは幕を閉じる最後のアルバムとなった作品。自分的には後追いも後追いだからリアルタイムでの衝撃とかつまらなさとかってのが分からないんだけど、バッジーについては結構面白かったから一枚目から順に聞いていったから疑似リアル的にアルバムの順序での作風の進化ってのを認識しているつもり。んで、その目線でこの「Deliver Us from Evil」を聞いてみるとねぇ…、分からなくはない、分からなくはないが、これはバッジーと言えるのか?ってくらいのアルバムにはなっている。いや、何で?って思ってクレジット見てると何とダンカン・マッケイが鍵盤で参加しているんだよ…って、10ccなんかで活躍してた人。即ちバッジーとは正反対の路線にいた人だったりするワケで、それがさ、どの曲も鍵盤入ってておいおい…ってな感じ。初っ端からしてもうAORになっちゃってて、曲も歌メロも残念感漂いまくっててさ、しかも音がマイルドでエッジが全く立ってなくてそれもこれも鍵盤がまろやかにしているような嫌いがあるワケよ。

 黙って聞いてりゃ、聞きやすくてイージーなリスナーなら取り込めるのかも、っていうくらいにAORサウンドだから狙ったんだろうよ。しかしバンドの魂をここまで売ってしまったら消えていくリスナーも多かっただろうと。かろうじて意味深なジャケットで期待感は持たせてくれたものの、聞いて残念なアルバムだった。冷静に今聞いていってもやっぱりバッジーである必要性はまるで感じられない作品だし、そりゃもうバンド終わるわ、っての分かるし。生き急いだバンドでもあるし、時代を追い越していたバンドとも言えるが、初期のあのハードでエッジの立った音がやっぱりバッジー的の印象。そこから抜けられなかったのはリスナーの未熟さか。それでもこれは聴かないなぁ…。

Red Hot Chili Peppers - Californication

Red Hot Chili Peppers - Californication (1999)
Californication

 世の中で必要なことは結局自分で学んでいくしか無いというのは今に始まった事じゃないけど、色々と変化・進化していく時代の中でそういう事を学び続けるのもなかなか難しいな。変化・進化に対応する能力みたいなのがないとそもそも厳しくなっちゃうしさ。でもいちいち学習していくってのもこれまた出来るもんでもなくて、どうしても置いてけぼりになる部分も出てくる。大抵はそこまで考えることないけど、保証や保険、税金や相続、補助金なんてのとかになると自分自身のメリット・デメリットも考えて知っておくと損しないものでもあるし、かと言って真面目に覚えられるほどじっくり研究するって気力もないし、どうしたもんかなぁ…とか考えちゃう。

 Red Hot Chili Peppersの1999年の傑作「Californication」。最全盛期のメンバーでもあったジョン・フルシアンテが復活して全面的に作り上げた会心の作品。レッチリってぇとやっぱり初期のグリグリファンキーでハチャメチャな曲という印象が強いのだが、ここではそれらを超えた作風になってて、結果としては今後のレッチリの方向を示した作品になったけど、なかなかソフトな印象の強いアルバムだ。…と言いつつ、冒頭の「Around the World」からして、ん?Budgie?そのままじゃね?ってリフが歪んだベースでかき鳴らされるのは驚いたのだが、多くの楽曲は実にメロディアスな歌が聴かれる作品が多くて、いや〜、単なるポップ路線じゃねえの?っていう感じはするな…。それでもそうは思わせないトコロにロック的資質の高さがあるのだが、レッチリってのはそもそもそういう路線は簡単に出来てしまうんだ、という前提でハチャメチャにできるか、っていうのあったからここではある種原点回帰なのかもしれない。それにしてもメロウなのが多いな…。

 ベースの変態さとかドラムの音のでかさとかがなかなかわかりにくくなってるアルバムという印象、逆にギターの繊細さや歌の聞かせ具合みたいなのは実に伝わりやすく聴こえてくるアルバム、狙ったんだろうな。そもそもバンドが崩壊寸前の状態だったトコロに旧友の復活も合わせての会心作、しかもジョンに任せてみたという潔さはなかなかモンスターアルバムを作ったバンドに出来る事ではない。そんな背景を知らなくても十二分の良いアルバムだ、と思える作品だし、知ってれば知ってるで愛情あふれる作品に聞こえるし、要するに傑作なんだろう。とっつきやすさは重要だ。うん、覚えやすい曲多いしね、見事なアルバムです。


The White Stripes - White Blood Cells

The White Stripes - White Blood Cells (2001)
White Blood Cells

 年末年始って結構働いている人が多いよなぁと当たり前の事だけどつくづく痛感した次第。一般的には大型の休みという感じで捉えられているけど、その反面働いている人ってのが相当な割合でいるはずだよな…とサクッとググってみたら労働人種の15%程度は働いているらしい。なるほど、そんなモンかもな…と周囲を思い出してみると分かる気がした。主にサービス業に従事している人達が多いのだろうけど、いつもよりも忙しいだろうし、なかなか大変だよなぁ…と。そんなサービスがあるから休む人達は大いに休日を満喫できるのだろうが、そんな心遣いもして然るべきかななんてのも人間的に思うワケだ。

 The White Stripesの2001年リリース三枚目の作品「White Blood Cells」。もうそんな前のバンドになってしまっているのかと驚いたが、そりゃそうか。何せ出てきた時は衝撃的なバンド形態と音ってことで話題になったし、しかも姉妹だか夫婦だか元恋人だとか色々な噂もあってのお二人で、最高のガレージロックを聞かせてくれていたもんだ。それでいてしっかりとブルースやカントリー、ロックそのものも吸収しきっている才能あふれるジャック・ホワイトのエナジー爆発という感じで、コンセプトから何からすべて寝られているプロ根性感も見事にシーンに食い込んできた。このアルバムはそんな布石が幾つかあっての三枚目で、多分ブレイクしたのはこのあたりからだったんじゃないかな。

 今聞いててもどうやってんだ?ってくらいの音。冷静に聴くと、やっぱりギターの低音がベース音として出されてて、バンドの音に厚みは出せているし、ドラムはそりゃもうガレージサウンドなんだけど、正直ドラムもあってもなくても良いくらいのギターと歌のパワーが見事。そこに幾つかの効果音が入って、圧巻なプレイ…とは言え、ベースラインあるよな、ってのもあるからスタジオ盤ではそれなりに作り上げているのだろう。歌メロも独特のラインを持ってるから一発で分かる声質と共に大きな武器だ。生々しいロックサウンド、そのものが最後のロッカーとも言われた所以だろうか、深みという面ではやや物足りなさを感じるんだけど、バリエーションは豊かなアルバムで、かなりカラフル感がある。こんなストレートなロック、あまり聴けない時代になってきたからなぁ…、またどっかで活躍してほしいものだ。


AC/DC - Dirty Deeds Done Dirt Cheap

AC/DC - Dirty Deeds Done Dirt Cheap (1976)
Dirty Deeds Done Dirt Cheap (Dlx)

 世界を股にかけるバンドになるってのはなかなか狙ったって出来るもんじゃないし、それぞれの国のリスナーがきちんと好んでくれないと長続きもしないし、一過性のポップスターと同じになっちゃう。だからじっくりと熟成させながら活動して認知してもらって根強いリスナーを育てていって初めてワールドクラスのバンドってものになる。アメリカのバンドはアメリカという国がそもそもそういうよそ者ばかりで成り立っている国なので、ひたすらドサ回りして認知度を上げていかないと認められないのもあって、自然とそういうことをしているから、アメリカでそこそこ売れると当然世界的に売れていく、みたいな構図ではあるが、その逆は結構しんどい。アメリカを制覇したら世界はほぼ手中にあるとも言えるのかもしれないが。

 AC/DCの世界デビューは1976年だったが、オーストラリアでデビューしてから二年後の話だった。そして今回はメジャーでの二枚目のアルバム「Dirty Deeds Done Dirt Cheap」だが、これも1976年にはリリースされていた。若い時代だから目一杯活動している時期だったんだろうなぁ…、まだボーカルはボン・スコット時代で、あの歌声が力強く生々しく聴けるのもこのアルバムの魅力なのだが、ちょいと待てよ、1976年にこの音とサウンドだったってのはやっぱりかなりハードだったんじゃないか?って思うワケだ。やってること自体はブギと呼ばれる部類のサウンドに近いけど、それにしてもパワフル。この時代に出てきていたバンド郡からしてもかなりハードだっただろうと思う。Zeppelinとかとは違うハードさで、やっぱりそれはHM/HRと呼ばれる世界でのハードさなんだが、その意味ではこの頃ってまだそんなに居なかった時代だし。レインボウの様式美なんかとは違うしね、明らかに新時代のサウンドを出しているバンド、アルバムだもん。リアルタイムではかなりの衝撃だったんじゃないだろうか。

 今からしてみるとまだまだシンプルでソリッドな音で、AC/DC的サウンドの骨幹は出来上がってるのは確かだけどあと一歩のトコロにある感じかな。それでも後々まで残る曲も割とあるから原点でもあるか。ギターの音が生々しくてさ、SGってこういう音なんだろうなぁ、ってのに想いを馳せたりね、ここまで体ごとグイグイ引っ張ってくのもなかなか無いなぁとかさ、R&Rそのものでしかない。それで世界を取ったバンドなんだ。このパワーをひたすらに継続しまくったからってのも大きいだろうし、個性的な音とキャラクターの確立もあっただろう。でもやっぱりものすごく熱いロック魂そのものが格好良いんだろうよ。あ、忘れてたけど、このアルバム・ジャケット、ヒプノシスなんだよな。う〜ん、AC/DCにヒプノシスはまるで似合わない…。



Taste - On the Boards

Taste - On the Boards (1970)
On the Boards

 正月ってのは時間がたっぷり取れるから好きなのをじっくりと吟味しながら聴けるってのは毎年思うが実にありがたい休みだ。他にもすることたくさんあるだろ、ってな話だけど割とそうでもなくて結構ね、自分の性格的にはいわゆる夏休みの宿題は最初の3日で仕上げてしまって残りはすべて思い切り遊ぶという計画的な部分があって、追い込まれないとやらないというんでもないのでやんなきゃ、ってことはさっさと片付けてしまっての時間を有意義に使うって感じです。その方がすっきりとモヤモヤなく好きなこと出来るんでね、あれやこれや気にしなくて良いし。だからホント、じっくり聞く時は聴けるという幸せ。じゃ、何聴こうかなぁ〜ってのもまた楽しみだし。

 Rory Gallagher率いるTasteの1970年のセカンドスタジオアルバム「On the Boards」。そもそもスタジオ盤二枚しかリリースしてないし活動期間も1年強程度しかなかった強力なトリオだったワケで、それでスタジオアルバム二枚にライブアルバム何枚か、ってのは結構な仕事量だったと思う。ライブ盤がいくつもあるのは注目されてなきゃ録音されてないんだから、やっぱ人気も期待度もあったんだろう。ワイト島くらいなら分かるけどさ、それでもワイト島のライブに出れるってのもそれだけの注目度だったんだろうしね。もっともライブやこのスタジオ盤なんか聴いてみれば当時がいくらブルース・ロック全盛期だったと言ってもクラプトンじゃないけど、ロリー・ギャラガーが突出したプレイヤーだったってのは分かるでしょ。Tasteというバンドのアンサンブルだって結構なモンで、ロリーが引っ張ってるのはあるけど、しっかり付いてってるしさ。

 んで、この「On the Boards」ってアルバムはセカンドで、短期間でリリースしてきたのもあってか普通はファーストと似たような傾向になるんだけど、敢えて意識的にちょいと変化球を入れてきたという感じの作風に仕上げているようだ。このあとのロリーの活動を見ると決して自身の音楽性がこのアルバムで聴けるようなちょっとプログレッシブな方向にあったようには思えないので、意図的に作風を変えてきたんだろうと思う。サックスやブルースハープまで吹いているようだし、それもできちゃうってのも凄いけどさ。んで、どう変わってるかってぇとちょっと深みのある曲構成やアレンジ、多様な楽器類を用いた変化球という感じではあるけど、それでもまぁストレートなブルース・ロックそのまんま、ではある。やっぱギターを弾きまくってるのが一番格好良いもんなぁ。確かに飽きるけどさ、その意味でこのアルバムは秀逸かもしれない。物足りなさはあるけど出てきた時のギタープレイはさすがっ!ってな感じで聴けるし。

 ホント、この人、もうちょっと楽曲を磨くってのがあればなぁ…、それが無いからこそ熱いギタープレイな男、なんだけどさ。久々に聴いたこの「On the Boards」は割と冷静に聴けて色々考えてたのかなぁとかちょいと捻ってるんだろうなぁとかね、見えちゃって。それでも味わい深いアルバムだし、こういうロックが自分は大好きだし、やっぱりロックは格好良い。


Frank Zappa - Uncle Meat

Frank Zappa - Uncle Meat (1969)
Uncle Meat

 昔はパソコンなんて特殊な連中が触るもので一般人が触れることは無いという代物だった。携帯電話だって特殊な仕事の人が持つもので一般人には無縁だったもの、どころか概念だった。ポケベルとかあたりで精々…なんて感じ。まぁ、なんでもそうだし、今普通にあるものは後の時代になるとそんなことしてたのか?くらい時代遅れのものになってしまうものだ。ガラケーなんて正にそうだし、多分今のiPhoneなんかもそうなるのかもしれない。実際PCが一般化したあと、今はPCじゃなくてそっちに行ってるワケで、じゃPCはどうなるんだ?ってのはよく分からん。ただ、個人に必要なのは多分もうPCじゃないのかもしれない。自分的にはMac必要だけど、それでもやること限られてきてるから別のツールでも良いのかもなぁ…とは思う。時代の進化はそんなもんだ。

 Frank Zappaの音楽はその点全く古くならない、どころか今聞いても斬新で刺激的で前衛的だ。ちなみに今回は1969年リリースの名盤の誉れ高い「Uncle Meat」だ。1969年、だ。50年前のアルバムで今聴いても「刺激的」で「斬新」なんだぜ?どんなんだよ、それ?って話でしょ。かと言って多くの人が思うほどに聴きにくいアルバムじゃないし、もっと気楽に流して楽しめちゃうレベルのアルバムなんだよね。だからポップと言えばポップだし、ヘンと言えばヘン。ヘンなのは音の作り方と言うかそのスタイルであって、音楽的に聴きにくいというんじゃない。音楽的にと言えば美しいチェンバーやギターやそれぞれの楽器のソロパートがクローズアップされたスタイルやらアンサンブルやら色々ある。更におしゃべりや叫び声、ヒステリックな音色やお笑いなどなど、とにかく音楽思想満載な傑作とも言える作品。こんなの出来る人いないだろうしなぁ…、のちまでライブでも登場する名曲群もいくつも入ってる。有名なスージー・クリームチーズもあったり…、って意味分かんないよね(笑)。

 アナログ盤とCD盤やサントラの存在などなどと色々とあるけど、まぁ、つまらない曲は飛ばせば良いってだけで、その意味でアナログ盤に入ってる曲順が一番本来コンセプトだろ、って好む人が多いだけだ。実際それが一番だとは思うのでCD盤でそうやって聴けば良いでしょ、一旦。ミックス違いとかもあるんだけどさ、キリないしさ。そもそもザッパが存命時代のCDリマスタリングなんてのは、普通の概念=音をキレイにしてデジタル化します、というものよりも更に斜め上を行ってて、折角なら作品を作り直しちゃおう、って発想だったからある種別バージョンを作り上げようって意図が強かったみたいだし、そりゃ何バージョンがどうの、ってなっちゃうわな。そういうのが既にアーティスティックな発想でしょ?それを音楽でもやっちゃうワケ。説明しにくいなぁと思えば解説やコメディアンによる紹介を入れてみたり、音とセリフは同じく表現手法という感覚でのギタープレイ、とか。意味わかんないよな(笑)。

 それでもね、ギタープレイなんてホント、クレイジーなくらいでこんなん聞く事ないよ、他にさ。フュージョンとかジャズとかロックとか色々あるけど、こんなプレイはザッパだけ。今でも他にいない。いつも聴くたびに天才だよなぁ、ホントに、って思うけど、それに輪をかけての発想力だったり奇人ぶりだったりユーモアセンスあったりするんだから正にアーティスト。今聞いても斬新な作品も多数あるし、まだまだ飽きない、どころかようやく入り口かもってくらい久々に味わいましたね。


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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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