H.I.M - Love Metal

H.I.M - Love Metal (2003)
Love Metal

 「最近良いロックある?」なんて訊かれることもあるんだけど、そもそも最近シーンに普通に「ロック」と言える音やバンドが存在しているのだろうか?などと自問してしまう。ヘンなのやポップなのはたくさんありそうだし、メタルやそれ以上の音、ってのも結構ありそうだけど、普通にど真ん中の「ロック」ってのをやってるバンドってあまり思い付かない。それってどういうの?ってもアレだけど、メッセージとして言いたいことってのがないんだろうな、世界的に。だからそういう筋論的なのを言うのもほとんどなくて言葉としてのメッセージになってるのかもしれない。何言ってんだ?って話だけど…。

 話変わって、フィンランドのメロディアスなバンドと言えばラブメタルを提唱している唯一のバンド、H.I.Mですね。そのH.I.Mの2003年リリースの4枚目のアルバム「Love Metal」そのものです。当時からそのラブメタルってのを掲げていて、何だそりゃ、アホか、って思ってたんで全然聴かなかったんだけど、それでもフィンランドだし、メロディ的には多分、アレ系の塊なんだろうな、ってのもあったからやっぱりどっかで手を出すんだよ。んで、ちょいと軟弱的にも聞こえるのは事実だけど、レベルはやっぱり高くて哀愁のメロディというよりかは、普通に良いメロディが散りばめられている作品、バンドで、かなりこのアルバムはメタル寄りになるのかな、エッジ立ってて暗くて愛が伝わってくる作品とも言えるね。音楽的な所ではロマンチスト系な作風とでも言えば良いか、やたらとキャッチーで重さは皆無。不思議なことにそういう作風、即ちお茶の間にも受け入れられるであろう軽やかさとメロディのある作品、ってことだ。

 こういうバンドってあんまりないんだろうな。日本のビジュアル系みたいな位置づけになるんだろうか、フィンランドや英国あたりではかなり認知されているバンドのようなので、多分そういう感じなんだろうけど、まぁ、分かる。ギターソロがスゲェってんでもなくバンドにパワーが有るってんでもなく、多分ルックス的な側面と聴きやすさ。それでもこのメロディセンスの秀逸さは他では真似出来ないものがある。そのセンスと人気を見越してか、次作からアメリカでのアルバムリリースへとバンドはステップアップしていくのだ。





Sentenced - The Funeral Album

Sentenced - The Funeral Album (2005)
フューネラル・アルバム

 ふとした時にハマるフィンランドのメランコリックメロディー熱。多分このメロディが好きじゃないってロックファンってあんまりいないんじゃないだろうか。知らないから聴かないってのはあると思うけど、嬉しいことに何故かそのメロディはハノイ・ロックスが80年代から日本で売れていたことで知られているあのメロディー感だ。最近ではもうフィンランドがメタル王国として知られているので、そっちから入る人も多いとは思うけど、別にメタルじゃなくても根本的にあの哀愁漂うメロディってのはフィンランド産のメロディセンスとして出て来るものなので、どんなの聴いても実感するんじゃないかな。

 ってことでフィンランド産のバンド、なんかああいうのないかな〜って適当に探してみると色々あるんだよね。自分が知らないだけでその世界じゃ結構評価されてるバンドは多い。その中からSentencedというバンドの2005年リリースの最終作となった「The Funeral Album」ってのを。それまでの作品を聴いてないからここに至った過程を認識せずに聴いているんだけど、これは好みだわ(笑)。音がヘヴィメタル的だからアレだけど、メロディセンスとか疾走感とか鬱感とかやっぱり良く出来てる。こういうの求めてたんだよ、今はさ。メランコリックメロディの宝庫、且つしっかりバンドの音としても美しく叙情性を持っての展開、ダミ声が好みを分ける所だろうけど、味わいあって良いでしょ。

 しかしこんだけの作品でラストアルバムって勿体無い…、十二分に突き抜けてて疾走している作品だし、明らかに頭一つ出たバンドだったろうし、今のシーンでもいたら楽しみなバンドだったろうしね。こういうのがLordiはBattle Beastに引き継がれていってフィンランドのシーンの象徴になっていったってのが分かるサウンド、これはまた最初期の作品から徐々に聴き漁っていかないといけないなぁ…、聴きたくなってきた(笑)。







Battle Beast - Bringer of Pain

Battle Beast - Bringer of Pain (2017)
バトル・ビースト『ブリンガー・オブ・ペイン』【CD(日本盤限定ボーナストラック収録/日本語解説書封入/歌詞対訳付き)】

 ヨーロッパってホント、メタル的シーンが充実していると言うのか多いってのか、その手のばかりが目立つ。もちろんポップシーンもあるんだろうけど、バランス的にはメタルシーンも結構着込んでるんだろうなぁという気がする。その辺もあってか、かなり面白いバンドがいくつも出てくるし、その反面バンドが短命だったりメンバーがコロコロ替わったりとなかなか大変な事も多くでているのは確かだけど、それだけメンバーも働き口があるってことなのだろう。

 Battle Beastもボーカルが替わったり、メインソングライターがいなくなったりとなかなか大変な人事が発生しているけど、バンドのコンセプトと出て来る音が評価されているので頑張って存続しているようだ。自分的にはこのバンドはメロディが好きなのともちろん迫力の女性ボーカルも好きだ。まぁ、フィンランドのこの辺のハードロック止まり程度のバンドってのは好きですね。ハードロックよりはメタルに入っているかもしれないけど。んで、そのBattle Beastが2017年早々にリリースしたのが4作目のアルバム「Bringer of Pain」。相変わらずインパクトのあるジャケットで一回見たら印象に残るアルバムで、もちろん中身も今までの作品からしてもかなり良作で、バンドのポテンシャルの高さをしっかりと出してきてくれた。

 パワフルでメロディもしっかりしててキャッチーでツボを抑えている曲ばかりが並んでいるんで普通に聞きやすいし、だからと言ってパンチもあるから軽くはない、メタルメタルもしてないから耳障りもそれなりに悪くない。曲の出来具合もしっかりしてるからなぁ…、面白いバランスで保たれてるバンドだ。これまでの作品全てがそんな感じなので、一生そのままで進むんだろうな、どうすんだろ?そうするとバンド的には多分長持ちしないし、その辺他のバンドも含めて上手く深化出来ると良いな。





Xandria - Theater of Dimensions

Xandria - Theater of Dimensions (2017)
キサンドリア『シアター・オブ・ディメンションズ』【CD(日本語解説書封入/歌詞対訳付き)】

 いつしか新作がリリースされててわ〜おっ!ってなることはよくある話で、アマゾンのリコメンドでアレコレ見たりしてるんだけど、どうにもアレ、偏ってて当然ながら自分が気にしてるもの全てのリコメンドなんてしてくれないから似て非なる部分は抜けてたりしてさ、知ってたらもうちょっと早めに聴いたのに、ってなことにもなる。別に聴くのが遅れたからどうってもんでもないから気にすることもないんだけどね。昔はやっぱり速く聴きたいっってのあったけど、そこまでじゃないバンドだからかな、そんなに焦らなくはなったか。

 Xandriaの2017年作7枚目のアルバムになる「Theater of Dimensions」。もうさ、メンバーも歌い手も変わっていってるから昔のバンドのサウンドの面影なんてのは感じられることなく、いつしか完全にシンフォニックなメタルの世界に突入していったことからその発展系へと進化しているようだ。Nightwish化したかと思ったら今度はクワイヤなんかも用いてるからEpica化していってるし、Xandria的な個性感ってのはどこに見い出せば良いんだろうなぁ…ってのが本音。多少なりともドイツ的民族音楽が入ってるとかなのだろうか、それにしてはちょいと弱いし。うん、楽曲そのものやプレイ、歌唱力や表現力なんてのはもうかなり洗練されたトップクラスのバンドの域にあって、十二分にメジャー感も漂ってる作品で、世界に出して恥じることのない出来映えだから、そこはもうプロなんだけど、それが故に個性的な所がちょいとわかりにくくって、って話。

 そもそもこの世界の音ってのは似ているものばかりで、そこの細かい所での差別化なワケだし、それが分かりやすければ良いけど、そうでもないってのはね。でも、多分その筋の人が聴けば分かる違いってのがあるのだろう。自分的には割と前からアルバム出るごとに聴いてるけど、いつも個性が不足してるって感じてて、それでもシーンにいてアルバム出すんだから個性があるのだろう。いつものことながら、それでも自分的にはサラリと流れてしまうアルバムが増えたってことになっちゃうのかね。しかし、この歌ってるお姉ちゃんの歌唱力、ハンパないテクニック…。





Thunder - Backstreet Symphony

Thunder - Backstreet Symphony (1990)
バックストリート・シンフォニー

 70年代王道ハードロックってのはね、そこでしか出せない味わいってのがあって、もうこれからも誰も追いつけない領域だろうし、そのままやってもウケないし、それはそのまま残しておけってくらいなモンで、今でもそこら辺しか聴かない輩は多いだろう。若くしてもその辺に出会ってしまうと、どうしてもハマってしまうのもいるらしく、異様な魔力を誇っている様相はやはりそのものが黒魔術の仕込みなのかもしれない(笑)。ハードロックってもさ、昔のと今のジャ結構違うし、単語的に合わないのもあるけど、あくまでもスタンダードなハードロックを指してのことを自分的には行っているつもり…、だから近年のハードロックバンドってのはなかなか難しい…メタルとの差別化って意味でね。

 1990年にリリースされていたThunderのファーストアルバム「Backstreet Symphony」。いや、実はThunderはまったく通らなかったんです。この頃ってもうオールドロックにどっぷり浸かってて、リアルタイムのバンドは後でも聴けるから今は70年代、みたいな聴き方してたしさ、まぁ、ハードロックってよりもメタル系なんでしょ?っていうのもあったからそのままにしてたバンド。後にどこかでThunderって知ってる?って会話もあった気がするけど、いや、聴かないって話終わったし、ちょっと今になってもったいなかったなぁって気がしてるけど、聴けたからいいか。こんなにオーソドックスなハードロックやってるとは知らなかった。英国ハードロックの典型的って言われるけど、そこまでは思わないなぁ…、ま、でも能天気なアメリカンハードロックじゃないし、ホワイトスネイク的なハードロックではあるか。かなり意外だったなぁ、もうちょっとメタルチックかと思ってたからさ。

 ブルースベースな所もあるし70年代に影響されてるのも分かるし、バンドもしっかりしてて上手いし実力もしっかりあるし、何かが間違ったんだろうか、抜けきらなかった感あるしさ。とは言ってもしっかりとした良作をリリースしてて、このアルバムもファーストアルバムにしてしっかりと自己主張した作品郡で、ちょいとベテラン的な風格をも出しながらの作品だし、さすがに英国産なだけあって後からジワジワ来るアルバムかな。この湿り気具合は好きな人には堪らないだろうし、ギターもしっかり歌ってるし肌にあるバンドですな。





Black Star Riders - Heavy Fire

Black Star Riders - Heavy Fire (2017)
Heavy Fire

 やっぱ軽いの聴いてるとガツンとしたのが欲しくなる。何かエネルギッシュなロックが聴きたいな、ってことでそういえばそういうの忘れないように自分チのアマゾンリンクに貼ってあるんだよな、ってことでしっかりと思い出したのがBlack Star Riders。元Thin LizzyってかThin Lizzyのトリビュートバンドから派生していって出来上がったバンドだからその筋から外れることのないバンドの音が出されているという貴重なDNAと言えるか。こういうのも珍しいバンドだよね。そこにはスコット・ゴーハムという70年代ロックの生き証人も参加しているワケだから真実味が増す。

 こないだリリースされたばかりのBlack Star Ridersの3枚目のアルバム「Heavy Fire」。相変わらず生きの良いストレートなThin Lizzy風ハードロックが展開される所はまるで変わらず、どうしてこういう枯れた音が出て来るのか、こうなってくるとセンスなんだろうなぁ、としか思えないんだが、どの曲でも思い描くThin Lizzyの風味なんだよね。ガツンと来るところもそうだし哀愁を感じるところもあるし、ちょいと掠れた感じの曲調と言うかさ、そりゃもっとゴージャスになっている部分はあるけど、それでも今時の時代からしたら珍しいくらいのトーン、しっかりと響くサウンドに仕上げてくれてるのは嬉しい限り。こんだけの音作れるってホント、何だろ?

 スコット・ゴーハムが気合い入れてこのバンドに懸ける意気込みっての、分かるな。Thin Lizzy好きな連中が集まってきて、そのトリビュートやってきて、曲作ってみたらそのまんまの音が出てきて、しかもそこで自分のエッセンスを入れてみたらぴったりハマって…、他の連中だってそりゃ、そういう音になっちゃうんだから楽しいだろうし、それなりにリスナーもファンも付くから悪くない。しかも評論家からも多分相当に評判良いんじゃないだろうか。男気のあるハードロックだけど、しっかりとそれらしい風味を漂わせてくれるサウンド、これまでの2枚のアルバムもそうだけど、この作品も同じくだ。そういう意味ではアルバムごとに差がそれほどなくどれも高品質ってことだけど、名盤ってどれになるんだろ?ってのはあるか。こういうの聴いてるとロックってどこに行っちゃうのかなってのもちょっと思う。ま、そんな事気にする必要のないくらいにあのサウンドを楽しめる作品です。





Bruno Mars - 24K MAGIC (2016)

Bruno Mars - 24K MAGIC (2016)
24K MAGIC

 ブルーノ・マーズって何なんだろ?って知らないの?って言われるくらいの売れっ子なのかもしれないけど、全然知らん(笑)。ただ、あんなプリンスカバーを見せられたもんだからちょっと気になって軽くアルバムを聴いてみた。R&Bとかヒップホップとか書いてあるからあんまり気乗りしなかったんだけど、YouTubeで聴く分にはまぁいいかって感じで軽くね。

 2016年リリースの「24K MAGIC」、何でも4年ぶりのオリジナルアルバムだとか、それにこれまでとはガラリと変わった作風だとか、その前には何とかって大ヒットシングルが合って云々らしいけど、知らん。興味ないからまるで情報ないし、どっかで聴いたことある、なんてことはまずありえなくて、故に自分の意思で聴く以外の音楽はほぼ知らないからさ、売れてようが何だろうがラジオなんて聴かないし、テレビも見ないし喫茶店で流れてくるヒットソング、なんてのにも多分縁がないし、そもそもそんなトコもあんまりないだろうし、飲むのはコーヒーブラックだし、いや、それはどっちでも良いけど(笑)、そんな中でこの話題の若者の音を聴いてみたのだ。

 何ともまぁ古めかしいブラコンというのか、全然ヒップホップじゃなくてR&Bだね。80年代の黒人系のサウンドが大きいいんじゃない?歌は上手いし音もメロディーもしっかりしててスゲェ聴きやすいから多分才能なんだろう。こんなロック漬けの自分でも聴けちゃうんだからプリンスとかと同じレベルで万人に聴かせられる人なんだな。曲も悪くないし、歌も良いしアレンジもそりゃプロだし、非の打ち所ないアルバムだろうね。売れたんじゃない?ん〜、でもそんだけなんだよなぁ…。ハーフタイムショウでのレッチリも入り交えたライブなんてライブバンドらしくてカッコ良かったんだが、こういうアルバムだと魅力が半減するのはしょうがないのか。ブラコンなライブの方がカッコ良いからどうせ聴くならYouTubeでのライブの方か。





2017 Grammys

2017 Grammy Nominees
2017 Grammy Nominees

 先日グラミー賞が開催されていた。別に意識してるワケでもないからリアルタイムでは幾つかの断片的な情報が入ってきてはいたけど、それでもちょっと前辺りから趣向が結構面白くなっていて、それは往年のミュージシャンが亡くなることが多くなってきたことで、現役の若いミュージシャン達がアーティストに敬意を評した形でカバーバージョンをライブで披露するというものだ。2016年のレディー・ガガのボウイトリビュートでそれは拍車が掛かり、2017年はブルーノ・マーズによるプリンスのカバーが秀逸過ぎた。グラミー賞ってアメリカにとっては、というか世界的にひとつの権威ある賞のひとつだし、そこでのイベントはお祭り的でもありミュージシャン側も何かをするにはちょうどよい品格ある機会と捉えてもいるようだ。

 同じようにアメリカ人から権威あるステージとして捉えられているのが多分スーパーボールのハーフタイムショウなのかな。ちょいと価値観違うけどコンパクトに大観衆を前にパフォーマンスを行うということでそのバンドなりのセンスが問われるというか、ショウの完璧さを求められるという部分が大きいかも。まぁ、話戻してのグラミー賞なんだけどさ、ブルーノ・マーズって若い黒人のプリンスの「Let’s Go Crazy」は本物のThe Timeをバックに従えての完璧なパフォーマンス、誰が見てもプリンスの再来と思えたことだろう。本人の才能も手伝って良いプロモーションになったんだろう。そして真逆に人々の感動を誘ったのがアデルのジョージ・マイケルのトリビュート。天才は天才を慕うと言うか、ここまでしっとりと思いを込めて歌い上げてしまうというアデルの人間らしいパフォーマンスには感動する。ただでさえ染み入る歌声なのにそこに感情が入って更に込められてしまっては聴いてる側としては為す術もないだろうよ。

 そしてイベント的に意外性とさすが、と思わざるを得なかったのがレディー・ガガとメタリカのセッション。一体何なんだ?って感じはあるけど、レディー・ガガのオールドタイムなロック好き感はあちこちで出ているし、良く知られているのだろうか、とにかく好きなんだよね、この人って古いロックもメタルも。んで天才な実力も持ってるし歌唱力もハンパないし、どんなファッションやアートもこなしてしまうからインパクトも絶大だけど、それぞれと絡む時のパフォーマンスもプロそのもので相手を食うこともなく、むしろ引き立たせるかのようなパフォーマンスを出して自分をもきちんと打ち出すという駆け引きのうまさ、今回のメタリカだって、普通にメタリカの熱演なんだから、そこにいること自体が違和感なハズなのに、冒頭からすんなりと溶け込んでる。歌ってもそのままメタル出来るだろ、って感じ。更にパフォーマンスが素晴らしく、メタリカにメタリカ以上のパフォーマンスを与えてしまっている。

 そんなのもあったからアレコレ見てるとレディー・ガガってホント色々な人とそれぞれに合わせてセッションしているのな。トニー・ベネットとのジャズアルバムでも驚いたけど、ストーンズ、エルトン・ジョンなんかもやってるし、そもそも例のハーフタイムショウでのアメリカ国家の熱唱ぶりは圧倒的に軍を抜いてのダントツの歌い上げで素晴らしい以外の言葉が出てこない。そういえば、グラミー賞に話戻って、ビヨンセってのも聴いたことなかったけど、こんなポップスターが何とゲイリー・クラークJrをバックのギタリストに従えての登場で驚いた。しっかり個性を発揮していたGary Clark Jrだけど、こういう所でこのギターが気になって追いかけるなんてリスナーが増えると良いなぁ…と。うん、そういう楽しみがいくつもあるエンターティンメントの世界の象徴だけど、得るものも多くて楽しめる。自由に映像見れると良いんだけど、制限厳しいのかどれもこれもYouTubeではカットされたりしててまともに見れないのもツライが…。







Stray Cats - Live At Rockpalast 1981&1983

Stray Cats - Live At Rockpalast 1981&1983
ライヴ・アット・ロックパラスト 1981&1983【日本語字幕付:DVD】

 人によるのだろうけどStrayという単語で思いつくバンドで一番メジャーなのはやっぱりStray Catsなんだろうなぁと。でも古い時代からロックを聴いている人にはStrayだろうし、プログレ畑を専門にしている人からしたらStray Dogだろうしとそれぞれで印象は異なることだろう。自分的にはどうもStray Catsが名前の親しみとしては一番ありそうな感じだ。スゲェ好きって感じで聴いていたワケでもないけど、やっぱりギター的にもスタイル的にもカッコ良いから気になるよね。実際あんなギター弾けないしさ。パンクとロカビリーってのも新鮮で、いつまでもロックは融合体の音楽なワケだ。

 Stray Catsのライブ2本を映像と音の両方で記録したアイテムの登場、「Live At Rockpalast 1981&1983」。1981年と1983年のロックパラストのライブで、1981年ったらデビュー時のライブだし、83年は圧倒的に全盛期の中でのライブ、そもそも最初からあのスタイルが完成されていたからか、あてゃ円熟していくしかなかったのか第一期は短命に終わったバンドではあったけど、そりゃそうだろうなぁ、と言うのも頷けるくらいに突っ走ったスタイルは軍を抜いている。そもそもアルバム出してすぐにこんな番組でライブが出来ちゃうってのも凄いし、それは多分見た人がこのテクニックとスタイルなら、とか新鮮な刺激を持ってるバンド、ってのが一発で分かったんだろうと。映像見てもらうとわかるけど、初期はまだパンク的なエッセンスも出していたからか、ファッションなどはやや抑えめ、その分とんがり方が凄い。それでいてあのテクニックなワケで、ベースはウッドベースでドラムは立ってるし一体なんだこりゃ?な世界だったとは思う。自分も初めて見た時は何だ?って思ったしさ。それ以上にギタープレイの凄さというか革新的なところに惹かれたし、すもそもこのエネルギーこそロックだな、ってのもね、凄かった。そんなエネルギーが思い切り発散されているのがこのライブ作品。

 テレビ放送だからYouTubeで簡単に見れるけど、オフィシャルリリースものは音が違うね。トリオ編成なんだからそんなに変わるはずもないんだけど、ロックパラストってどのバンドのもそうだけど、レンジが狭くてかなり圧縮された感の音だから名演でもイマイチ感出ちゃうのが個性的で、その辺改善してるのが今回のリリースかな。しかしじっくりとギタープレイ見ててもよくわからん(笑)。根本的にギターに対する音の出し方の概念が違うんだろうとしか思えん。こんだけ広がりを見せるギタープレイってのはなかなかいないし、カントリーベースなんだよなぁ、やっぱり。そんなこと考えながらたっぷりと楽しんでたアイテム♪





Stray - Suicide

Stray - Suicide (1971)
スーサイド(紙ジャケット仕様)

 Strayの意:彷徨う、彷徨える、の形容詞だけど名詞になると浮浪者、彷徨人ってな事らしい。そんな形容詞をバンド名似付けるってのはなんとなくは理解するけど、それを名詞的にバンド名にしちゃうってのもこれまたゴロが良いとかそういう意味合いなのかな、よく分からん。ただ、Stray○○みたいなシリーズ的に覚えられるのはそれなりに後世の人間にとっては分かりやすくて良かったとも言える(笑)。

 Strayという英国のバンドの1971年のセカンドアルバム「Suicide」。衝撃のファーストアルバムから続いての作品で、案外期待してたりするバンドだったんで、楽しみにしながら聴いたんだよ。そしたらさ、期待通りに超絶B級なハードロック路線まっしぐらな音が出てきて嬉しかったもん。チープな歪んだギターとメロトロンの洪水なんてもうこの時代ならではの味わい。そこに美しいメロディを乗せてきたり、雰囲気出したり、ハードロックバリバリながらも結構なサイケデリック臭を出していたりと時代の産物でもある音の数々、メンバーは多分この頃まだハタチ前くらい?だろうから、勢いあるのみ。その分活動歴も長く今でもやってるようだけど、この時代のロックエッセンスはホントに見事。これぞ70年代的な音の代表格、とばかりの作品。

 今の時代にこういうのやっても多分出来ないだろうから、ここでの熱気は本作だけのドライブ感だろう。ソフトな曲にしてもきちんと狙いを定めて作っているし、その最高峰は「Jericho」という曲に集約されるってのは確かに。ハードロックの欲しているものを全て持っている楽曲で、泣きメロから疾走感溢れるドライブする躍動感、メロディも味わい深い聴かせ方で攻めていくが、楽曲がその勢いのまま展開していくという素晴らしき発想、こんだけの作品があってB級とは言わないが、もっともっと出てきても良かったんでは?と思わせるバンドの底力がある。他の曲もかなりレベル高く楽しめるので、じっくりと聴いて味わい深く楽しむにはバッチリの作品。古き良きハードロック、いいね。









Stray Dog - While You're Down There

Stray Dog - While You're Down There (1974)
While You're Down There

 EL&Pのマンティコアレーベルって3年間しか無かったんだ?それであの知名度…ってのも凄いな。だからこそのレーベルメイト達がそれなりに売れていたってことかもしれないけど、PFMやBancoはともかく、そういえばStray Dogあったなぁ…ってことでファーストの「ストレイ・ドッグ」を聴いてて、なるほどやっぱりカッコ良いロックだ、なんて思ってたところ。ついでだからセカンドの「While You're Down There」も聴いてみましょう、ってことで聴いてました。

 1974年リリースのStray Dogのセカンド・アルバム「While You're Down There」。前作よりメンバーを増やしての5人編成になっての作品で、世間的には全く無名だし売れなかったとも言える商業的には失敗作なアルバムで、これにて解散ってなトコだけど、今の時代の基準からしたら相当なレベルにあるアルバムだったんじゃないかな。B級と呼ぶには洗練されすぎてるし、きちんと狙いもあるかのような音作り、そして何よりもきちんとカッコ良いというロック感を持ち合わせているところが自分的には評価高いです。もっともギターがスナッフィなので基本ブルースロックな人だし、嫌いじゃないからってのあるけどね。このスナッフィって人、フリーのコソフの代理をやってた人ですからね、うん、それは比較対象が悪かったと思うが、それでもその位置できちんとギター弾いてたワケで、こういうバンドから見たら大出世だったろうに…。

 しかし軸足はきちんとStray Dogにあって、ここでも奮闘している。ギタープレイヤーと言うよりはコンポーザーと言うか、楽曲面での貢献が大きいんじゃないかな。良く出来ている曲ばかりだからそういうセンスは良かったと思うんだよね。よくアメリカ寄りになった音と言われているみたいだけど、そもそもアメリカ人なんだからそりゃそうだろ。英国風ミニ味付けてたファーストとはちょいと違って、だんだんそのままになってきただけと思えるけど、言わんとしてることは分かる。でも結構佳作が多くてこだわらなきゃ楽しめるロックサウンドでしょ。最後の大作なんて面白いよ。







Hanson - Now Hear This

Hanson - Now Hear This (1973)
Now Hear This

 いつもの事だけど、系譜辿りによるアルバム漁りは大抵つまらないものを引くハメになって一気に方向転換を図ることが多い。やっぱりね、それなりに名を成していく人ってのはアルバムの質やバンドのレベルも他界んだけど、脇役になってくるとどうしてもソロアルバムレベルになってきてミュージシャンとプレイヤーの才能のズレが出てきてあまり面白みのあるものが出てこないケースが多い。名プレイヤー名監督ならずってヤツですな。

 ボブ・テンチが3曲程参加していることと、クライブ・チェアマンもメンバーで参加していることからギタリストJunior HansonがHansonとしてリリースした作品「Now Hear This」はJeff Beck Groupのメンバーが参加したアルバムとしてちょいと知られた存在になっていった。このJunior Hansonってギタリストさんって一体何者?ってな話、しかもアルバムはEL&Pで知られているマンティコアレーベルからのリリースなワケで、アルバムを聴いていても結構白熱したギターを弾くプレイヤーさんで、悪くないんじゃね?ってなモンだけど、ボブ・テンチが歌っている曲なんかはいつも通りな感じ。ちょいとブリブリした質感のサウンドが中心で、ロック的エッセンスが散りばめられているからそのヘンの融合がなかなか楽しめる。Funkadelic的な試行錯誤もあるのかも。

 しかし、B面の最後でのアグレッシブな混沌とした志向性はこれぞロックと言わんばかりの迫力あるセッションに仕上がっていて、こいつをやりたいがためのアルバムだったんじゃないか?ってくらいこの10分の曲に全てが集約されている。ロックバンドたるもの、この時代だったらこういう世界好きだもんな。白熱したそれぞれのプレイをぶつけ合って出来上がっていくテンションの高いサウンド、緊張感、スリリングな駆け引き、そんなのが詰め込まれていて意外とここでハマった。



Love Affair - New Day

Love Affair - New Day (1970)
New Day

 バーニー・ホランドが一瞬だけ参加していたLove Affairというバンド、随分昔にバンド名見て探してみたことのあるバンドだったなぁ…と懐かしく思い出してライブラリを漁ってみるとちゃんとあるモンなんだな。何にも印象が残っていないバンドなので、果たしてどんなんだったんだろ?って事で聴いてみる。聴きながらクレジット見ててもバーニー・ホランドなんて名前は出てこないから、あれ?って思ったらこのギタリストがいなくなってからの参加で、しかも一瞬だけだったってことね、多分崩壊の始めに参加することになったんだろうな。このバンド、テクニック面ではまずまずのバンドだったししっかりとしたコンセプトもあってのバンドだったからに呼ばれたのだろうか。

 1971年リリースのLove Affairの「New Day」という作品、これ以外のアルバムのジャケットとか見たこと無いし、これしか自分も知らないので、英国B級ロックの一発屋さんだろうと思ってたけど、かなりキャリアも息も長いバンドなんだな。知らなかった。もっとも全盛期は60年代終わりから71年頃までってことで、正にその時代の代表作がこの「New Day」。難しいなぁ、これを書くのは。どこも特性がないと言えば無い、フルートが珍しいくらいだけど、この頃には既にJethro Tullがもっと強烈な使い方してたし、かと逝ってメロディアスで云々とかハードでどうの、ってのもなく、普通に英国ロック・ポップスな世界での音楽が中心で、可もなく不可もなくの音世界で、プログレってんでもないし、正に英国B級なこの時代の音のひとつ、聞きやすいのはあるけどね。

 この音の中でどうしてバーニー・ホランドがそこまでギター比重の高くないこのバンドに参加することになったんだろう?器用だから何でも出来る、他の楽器も出来ちゃうからっていうマルチミュージシャン的才能を買われての話なのかな。しかしこの手のミュージシャンは奥が深い…。



Hummingbird - Hummingbird

Hummingbird - Hummingbird (1975)
ハミングバード(紙ジャケット仕様)

 やっぱりさ、こういうの漁ってて一番おもしろいのが英国ロックなんだよ。他の国のでこういう追いかけ方ってしないからわかんないけど、多分出来ないんじゃないかな…、ってのは、一人のミュージシャンからの派生がどんどんと繋がっていくってこと。他の国のでももちろんどっかで繋がっていくんだろうけど、英国の70年代のはホント、面白いくらいにあっちこっちで繋がっててね、それがロックという基盤を作ってたみたいな感じでね、楽しいんです。

 それで今回はまたしてもボブ・テンチがベック・グループ解体後にそこのメンバーを中心にして組んだバンド、Hummingbirdの1975年リリースのファーストアルバム「Hummingbird」です。冒頭からモロに今想像できるベックのサウンドそのまま。あれ?いや、そうじゃなくてこのHummingbirdにベックはいないんだからそんなハズないんだけどなぁ…、でも聴いてるとそんな感じ(笑)。ボブ・テンチの歌声もここでの方が抜けきってる…やっぱベックの曲だと歌が生きないのかもね。元々実力ある人だからこういう風に伸び伸びと歌っていけば力量発揮できたんだろうけど、なんかそこまで出せてなかった気がするな。だからここでのボブ・テンチの歌はGass時代のように見事な歌いっぷり。そしてこのサウンド、クロスオーヴァーなサウンドってのかな、自分的には得意じゃないサウンドだけど、この頃出てきた音だよね。

 んで調べてみればBernie Hollandってギタリストが良いギター弾いててさ、ん?ん??って感じで…、そっか、ニュークリアスやパトゥーに参加、Judy GrindやLove Affairにも参加ってさ、正に英国B級まで入り込んでた人ってことですか、なるほど、それでいてこのギターサウンドをここで出し切っているってのは実力の出し惜しみすることなく才能発揮の場所ってとこだ。ニュークリアスやってたらこれくらいチョロいわな。しかしマックス・ミドルトンの鍵盤ってのがこんなにも個性的だとは…、だからベックの音みたいに聴こえてしまったのだろうけど、リズム隊も含めてどっぷりと楽しめるサウンド、ちょいと洗練されすぎてるかな。フュージョンに近いもんな…。

Gass - Gass

Gass - Gass (1970)
Gass

 例えばさ、ジェフ・ベックがボブ・テンチって人を見つけたのはGassってバンドで歌っていたのを聴いたから、ってことだとしたらベックもGassってバンドのレコード聴いたことあるってことだろうし、それかライブを見たって可能性だってあるハズだ。Gassってバンドのライブを見たことある人ってそりゃそれなりにいるだろうけど、こんなライブだったよ、なんて言える人ほとんどいないだろうから、その意味でもベックって人はとても貴重な英国B級ロックの生き証人でもあるワケだ。それにGassってバンドのレコードを聴いていたとしたら、今となっては相当な英国ロックのマニアでもある、と言えるのかもしれない(笑)。

 ま、それは冗談としても、そんな可能性を具体的に実現させてくれたアルバムってことでボブ・テンチとしてはこのGassの1970年の唯一のリリースアルバム「Gass」は忘れられない人生の貴重なきっかけのひとつだっただろう。自分的には真逆にこのGassはB級ロックバンドとして知って聴いていたので、このボブ・テンチってベックのところでこの後に一緒にやったんだ…って思ったくらいだけど、一般的にはそりゃ逆だわな。んで、このGassってバンドの音、結構好きだったんです。ごった煮そのままの英国B級ロックそのままだけど、その中でも結構光ってたしなぁ…、ソウルフルな歌声がかなりハマってて、バックの音は黒い、と言うよりも民族的なものとサイケ的なものが入ってて聴かせるアルバムにもなってるし、結構良い感じなんだよね。

 驚くべきはこんなバンドのデビュー作なくせに、Fleetwood Macを離脱したピーター・グリーンが2曲参加しているという所だ。一体どういう人脈だったのか…バンドの来歴自体は古いからそれなりの人脈があったみたいだけど、なかなか出来ないよね。デビューアルバムでそんなメジャーなギタリストがゲスト参加してるなんてさ。んで、これがまた面白くてね…、ハマってるんだわさ。B級バンドなんて書いてるけど、やってる音はかなりメジャー系に攻めていけるレベルの洗練された音だし、ファンクやアフロエッセンスも入った正統派英国ロック、とも言えるサウンドなのでこの系統平気な人はぜひ。ピーター・グリーンも凄いしボブ・テンチもイケてるし、ギターもベースもかなるブリブリしててお好みです♪





Jeff Beck Group - Jeff Beck Group

Jeff Beck Group - Jeff Beck Group (1972)
Jeff Beck Group

 誰でも何かしらの音楽的背景があったり、好きなバンドがあったりアイドルがいたりしたのだろう。ふとした事からそんな会話になり、アレが好きだったなんて話がよく出てくる。自分のロック好き…マニアックなまでの好きさはさほど外に出すこともないけど、やっぱり知ってるから話は出来ちゃうんだよね、そんなに知らなくてもさ。そこから何かの共通項見つけて話に突っ込むとやっぱり会話としては盛り上がる。面白いよね。何か若い頃に戻って会話して熱くなっていくみたいな瞬間があって、自分ってホント、ロック好きな子供のままなのかなぁ…とか。

 ボブ・テンチってベックのトコで歌ってた人だよな…ってことで、1972年リリースの第二期Jeff Beck Groupの2枚目の作品「Jeff Beck Group」、通称オレンジアルバムなんてのを聴いてみた。この手の音ってあんまり好きじゃなかったからそこまで聴いてなかったんだよね。ベックと言えどもまだ普通のギタリストしている頃ってかさ、ソウル、R&Bに大接近しててプロデュースにはスティーブ・クロッパーを迎えての作品で、ドラムがコージーなのにどうしてこんなに黒い系統な音になるのか、やっぱり黒人メンバーの音ってのは大きなインパクトなのだろう。もっともそういう音を目指していたってのが一番大きいだろうけど。ということで、本物の黒いのを聴いた後だと、全然黒くもなんともないけど、やっぱりベック的にはこの頃はこの手のソウルフルなサウンドに傾倒していてのサウンド、ボブ・テンチの歌がロッドの黒いバージョン的なもので、本格的なシンガーではあるけど表現力に乏しい、と言うのか、どうもこのバンド、もっさりしていてイカン。コージーのドラムは冒頭からさすがに痺れるぜって感じに刺さってきたんで期待できたんだけど、アルバム全般だと後にベックがメンバーに満足しきれなかったと言ってたような事が何となく分かる。

 もっともベックのギターもそこまでトリッキーに何か出来ているという風でもなく、ひとつのロックバンドのひとりのギタリスト的になっている感があるからちょいと勿体ないかな〜、今聴けばだけどね。リアルタイムあたりで聴いてた人は結構衝撃的なバンドのひとつだっただろうし、こんな黒っぽいのでもこんだけギター聴かせちゃうワケ?ってくらいにギターが鳴ってるのは確か。インストもあるし、もちろん歌ってるギターですよ。ただ、やっぱり時代からしたら物足りなかっただろうなぁ、なんて思ったり。でもね、やっぱりベックですよ、聴いてるとついつい耳がギターに進んでしまうし、そのプレイもメロディアスだったりしてソウルフルな音とのギャップがあったりね、なるほど、そういう事か、ってな局面も多々あります。





Streetwalkers - Red Car

Streetwalkers - Red Card (1976)
Red Card

 ファミリー時代のロジャー・チャップマンの歌声からしてもっとブルースロック系統あたりに進んでたら結構なバンドでもイケたんじゃないか、って思う事よくあったんだけど、その意味からするとファミリー解体後にチャーリー・ホィットニーと一緒にやったバンド、Streetwalkersはその系統の路線を打ち出しててなかなか70年代中盤を駆け抜けるには良いバンドだったと思うんだけどな。それなりにはチャートを駆け上ったりしてたので成功した部類に入るのだろうか、その割にはあまりロック名鑑的な所では出てこないのだが…。

 1976年リリースのStreetwalkersのセカンド・アルバム「Red Card」、ベースはボブ・テンチ、ドラムは現Iron Maidenのニコ、という布陣。このニコって人も結構下積み長くて今の地位を築き上げた人で、割とアチコチに名前が出て来るのは面白い。さてさて、このアルバム、どんな雰囲気?ってのはさ、昔のファミリーと違ってきちんとロック路線に進むというバンドの方向性はあったみたいで、昔よりはストレートにそういう方向性が出ている作品になってる。ここまでなのかな、ってのもあるし、この微妙なバランスでのロック的スタンスが良いのかも、ってのもある。歌がこんだけしつこいから他の音は並程度で対応していないとグチャグチャのサウンドになるだろうし。

 ニコのドラムは、だからと言ってと個性的なワケではないし、ボブ・テンチの方がよほど目立ってる。ただ、やっぱりフロント二人のバンドっていう見方が強いかな。当時だとバドカンと被る路線でもあったのかな、もうちょいと垢抜けたサウンドが出来ていればもうちょっと抜け出た存在になれたかもしれないのに、という程度には物足りない感ある。B級ロック好きにとってもそこまで、という味わいがないからさ。一番困る度合いのバンドかも(笑)。



Family - Fearless

Family - Fearless (1971)
Fearless


 ジョン・ウェットンも逝ってしまったなぁ…、結構プログレ系もここ最近多くの人が亡くなってて、いよいよ70年代ってのがクラシック化していく頃になってきた。まぁ、特に感慨深くなることもなく、聴きまくるでもなく淡々としてたけど、ちょっとこの辺で何かあったかな、って思ってたらFamilyの名が出てきて、そっか、Familyにもいたんだな…、作品的には全然記憶に残ってないアルバムだったが…、ってことで。

 Familyの1971年リリースの作品「Fearless」。もちろんジョン・ウェットン初参加のアルバムですが、もちろんここにはボーカルにロジャー・チャップマンっつうコテコテの歌声の人がいて、チャーリー・ホィットニーってブルースメンがいるんで、ジョン・ウェットンはしっかりとコーラスとベースメンでしかない。じっくり聴いていれば個性も聴けるんだけど、そこまで単に目立つようなスタイルではないので仕事のひとつとして聴くのが適当だろう。あくまでもFamilyの作品に貢献しているという所だ。ここで目立つのはフロント二人、特にチャーリー・ホィットニーのよれよれなギタープレイは聴いてて大丈夫か?って思うくらいにフワフワしてて印象深い。ロジャー・チャップマンの歌声も自分的にはキライじゃないから、聴いてみると、あぁ、この声だったなぁ…、しつこいっ!って感じで聴いてました。

 どういうんだろ、こういう作品は。どこにも属することのない英国70年代のロック、としか言いようのない作品。ハードロックでもないしブルースロックでもない、言うならばビートルズみたいなモンで、どこかの方向性に軸足を定めてのバンドじゃないから、何でも器用にロックしていると言うような感じか。Famllyってそういうバンドなので、とっても把握しにくい。どれも駄作じゃないからそれなりに名盤と言われるのも多いし、ジャケットにしても面白いから印象深いけど、音に関してはホント、普通にロック、としか言えない。そこではジョン・ウェットンのあのかっ飛んだプレイは出しきれなかったか。もっともそれよりもアルバムの楽曲そのものの質の高さが優先しているのは確かだ。









Slayer - Show No Mercy

Slayer - Show No Mercy (1983)
Show No Mercy

 往年のスラッシュメタルバンドの初期を聴いていると日本のシーンも同じ時期に進化していたんだなぁとマジマジと実感。いずれも自分の趣味という世界からは離れるんでさほど詳しくはないけど、それでもこのシーンは正に進化している過程だったんだろうし、そういうのを目の当たりに通ってきていたってのに気づいたのはもちろん後になってからだ。ハードコアパンクとテクニカルなスラッシュメタルの台頭と融合、その攻撃性とメッセージ、更に演奏力だったりイメージだったりが加わって世間的にそのバンドをどちらの軸で出していくのか、みたいな感じか。日本はスラッシュという軸よりもパンクの世界の発展系だったし、アメリカはメタルからの流れになってた。テクニカルだったのはあるけどね。

 そんな筆頭格のSlayer、帝王と呼ばれる彼らにも最初という時期は存在していて1983年のアルバム「Show No Mercy」でシーンに登場してきた、その前のオムニバスアルバムでシーンに出てきてはいたみたいだけど、この「Show No Mercy」でフルレンスのアルバムは初登場、それでこれか、と驚くばかりの代表的スラッシュメタル…、いやスレイヤーそのもの、と言った所だ。吐き捨てるようなボーカルスタイルと悪魔主義に加えてのスラッシーなギターリフと速さ、圧倒的に攻撃的なスタイルがバンドのイメージをそのまま出してきていて、加えてテクニカルなバンドサウンドだ。もっともドラムの音だけはどうにもならんのかと言う所ではあるが、ここまで殺人的なギターサウンドってのはほぼこれまで聴かれたことはなかっただろう。それでいてテクニカルだし、そりゃ注目されるでしょ。そもそもスラッシュメタルって上手くないと出来ないからね。

 全編に渡って殺戮を醸し出すかのような攻撃的なプレイは実に疲れる。音が良くなくても疲れる。それこそがスレイヤーの狙っていた所だろう、若さに任せての勢いある作品、今から35年くらい前の話だけど、シーンでは超異端児として扱われていたけど、カルト的な人気を博していたと思う。リアルタイムで接する機会もあったけど、無理だったもん(笑)。ただ、ハマるヤツはしっかりハマってた。ギターにしてもサウンドにしてもこのパワーにしても。敏感な連中だったんかな。ヤバいんじゃね?って思ってたくらいだけどさ。今聴いててもこの攻撃性とかはやっぱり斬新だし、通じるし、やっぱり凄いのをやってたんだ、という感覚。



Anthrax - Spreading The Disease

Anthrax - Spreading The Disease (1985)
狂気のスラッシュ感染

 破壊力があるバンドとかアルバムってメタルだ、っていうのは全然無くてさ、一般的にうるさい音として認識されているのだろうけど、割とそうでもなくてガツンと来るような音の作りにはなっていないものの方が多い。それはバンドそのものがうるさいからアルバムでは音を軽くして聴きやすくしているのもあるだろうし、やっぱりロックの重さってのとメタルのうるささってのは意味合いが異なるってのも大きい。だから両方の部分で重さを持っているバンドはホントに重い音のバンドになるんだろうけど、そうそう多くない。スカッとして聴きたいから、とか車で走りまくるぞ、みたいなのにはピッタリこの軽さとスピード感が似合うのかもしれない。

 1985年にリリースされたAnthraxの出世作「Spreading The Disease」。初っ端からしてひとつのスタイルを確立した事が分かる作品で、ザクザクした質感のギターとスピード感溢れる楽曲の中に歌の上手いボーカルが宙を舞ってくれているというパターンはかなり珍しい展開だった。ある種ハードコアパンクとの融合を果たしているとも言える作品の質感は1985年という時代にはやや早かっただろうけど、きちんと売れ線まで持っていけたって所は凄い。キャッチーさがあると言うのはあるのだろうけど、快活な音のヌケ感が凄くて、ドロドロした所がないから、アメリカで聴くにはホントにスカッと聴けるバンドなんだろう。複雑さもないから聞きやすいし。

 実はこのアルバムは当時聞かされた事があって、何だかよく分からずに拒否してた(笑)。多分音が悪いと言うか、聴きにくい質感の音で、子供の耳には辛かったんだろう。今聴くと、これこそヘヴィメタルっていう曲が並んでて信者が多いのもよくわかる。スラッシュメタルとして分けなくても良かったんじゃない?ってくらいには普通にメタルな感じもあるけど、多分この頃のメタル=LAメタルって風潮だったからそうじゃない、ってのを線引したかったんだろうね。ま、分かる。今で言うところのヘヴィメタルのスタンダードな形がここにあると言えるのかもしれない。





Megadeth - Rust in Peace

Megadeth - Rust in Peace (1990)
ラスト・イン・ピース

 ロックの発展系ってのを考えてみたことモないけど、常に深化変化して発展してきた50年間だったワケで、これからだって発展していくだろう。今あるロックの世界を見渡して、今後の将来像を考えた時にこういう系統のものが発展していくんだろうな、みたいな予兆があるバンドってのもあるのかもしれない。自分的にはそういうのは全然分からないけど、多分あるハズ。それはもう常にシーンにそういうのがあったんだからさ。そんな中のひとつだったんであろうバンドのひとつが多分Megadeth。

 1990年リリースのMegadeth最高傑作と謳われている「Rust in Peace」。自分的にはメガデスって名前は当時から知ってたけど、ほぼ通ることなかったバンドなのでじっくり聴いたのはそう古い話でもない…、って今2017年?ん〜、そっか(笑)。「知的なメタル」とか「スラッシュ四天王」という肩書があったことで、そうそう簡単に音が聴ける時代じゃなかったのもあって後回し感強くて結局そのままだったからさ。今にして思うと、「スラッシュメタル」ってのは自分の解釈だと速くてドカドカしててうるさいメタル、という概念しかなくて、まさかこういう変拍子や構築美をメタルベースの音でやっている、っていうのをスラッシュメタルと呼んでいたとは思わなかった。同じ部類に入れて語るなよ、って思うけど時代的にはしょうがないんだろうな。

 さて、マーティ・フリードマン加入しての最初の「Rust in Peace」、冒頭の曲からしてかなりびっくりしたアルバムで、変拍子に複雑に構築された世界、静と動の巧みな使い方、メロディアスでインパクトのあるギターソロにリフ、こういう音に出った人は、どうメガデスを表現していいかわからなかっただろう。以降こういうバンドは雨後の筍のように出てくるワケだから、明らかにパイオニア。それでいて聴きやすさを伴う完成度の高さ、幅広く受け入れられる土壌を持ったバンドだけど、ちょっと入り口が入りにくかったのがスラッシュメタルという称号か。ドリムシなんかと同列に語られれば違った面もあったんだろうが…。

 しかし、この音、Doomを筆頭に日本のインディーズシーンで繰り広げられた音世界に端を発していたのだろうか、とも思える類似性、当然世界としちゃメガデスになるんだろうけど、何か聴いたことのあるような感覚と質感だなぁ…と思ってたんだけど、そんな風に思うのは偏屈な人間だからだろう(笑)。明らかに名盤の域にあるアルバムだけど、自分的には最後までそのテンションが持たないのは、やっぱり得意じゃない世界なのか、聞き込みが足りないのか…。





James Brown - Live at the Apollo 1962

James Brown - Live at the Apollo 1962
Live at the Apollo 1962

 何でかな、JBだと実に聴きやすくてカッコ良いな、と素直に思えてしまうのは、やはりThe Whoのファーストあたりでの影響が大きかったからか、それを聴いてその異質感がカッコ良くて、それもThe Whoの魅力に思えたし、それがモッズな音ってモンで、つまりはその頃のファンク=JBの音だったってところに行かないとアレは分からないワケで、今でもThe Whoのファーストってのはよく分からんって人も多いだろうし、逆に好きだって人も多いだろう。生粋のファンクリスナーからしたらあんなもん…って感じらしいが、ロック畑からしたらアレは凄いエネルギーの塊で凄いんだけどな。

 James Brownの1963年リリース作品「Live at the Apollo 1962」。この時代にライブアルバムなんてまず見当たらないと思う。凄く珍しい事で、あり得ないくらいのリリースだろうなぁ、と思ってちょいと調べていると、やっぱりキングレコードからは断られててJBが自費で録音したソースをリリースしたらしく、それがまた大当たりしたということでJBが全国区になり、ライブアルバムってのが手法として認知されたワケだ。それくらいのインパクトを放ったアルバム、っつうかライブショウを記録しているワケで、今でこそ普通にJBのショウと言えばこんな感じだよな、って認識あるけど、当時からしたらライブ見たことなきゃ分からない世界なワケじゃない?最初に前説あってJB登場でノンストップライブで繋いでいるとかさ、一般のポップスからしたら一曲やって「ありがとう!」って言ってまた曲を始める、みたいな印象あるし。それが全てひとつのショウとして連続していて、また良く出来てるワケだ。まるで劇場での演劇を生で見ている感覚だし、やってる側は自然にそうなったんだろうと思う。ライブ=演劇ってことで一発勝負の劇なワケよ。だから解釈が全然違ってて面白い。

 そしてこの「Live at the Apollo 1962」だ。もうねぇ…、息付く間もないほどの連続したショウで緩急つけながらの曲を並べ立てててえらくファンクなのからマイルドなバラードが入れ替わり立ち代わり、そして若々しいJBの底知れぬ歌声があのファンキーさと共に響き渡っていく。素晴らしい、正に素晴らしきライブアルバム、これを聞かずしてJBを語るなかれ、と言わんばかりの作品だ。後にどんだけのライブアルバムが出ようともこの一枚のインパクトは圧倒的。偽物の歓声があったりするけど、それもまた良し。この頃のライブアルバムなんて2chでしか録られてなかったんじゃない?頑張っても4chでしょ?正に生での一発モノ、だからこその一体感とプロフェッショナルさをたっぷりと実感できる一枚。超名盤。



Funkadelic - Funkadelic

Funkadelic - Funkadelic (1970)
Funkadelic

 きっと黒い系の中にも自分の好みの音はあるのだろうと思って、何度となく期待しながらアレコレと漁るのだが、結局はJBとプリンス、ファンカデリックあたりにしかその要素はなく、どうも激しくカチャカチャしているファンキーなのが良いらしく、結局それはロック的なエッセンスがあるからという事になるので、やっぱり黒いの系は苦手だってのは変わらないようだ。今回もさ、アレコレ聴いてみたワケよ。カチャカチャだったらナイル・ロジャースのシックとかさ、でもねぇ、やっぱ曲的にああいうのはハマれなくて、あの頃ナイル・ロジャースのプロデュースでたくさん出てきたパワーステーションサウンドってのも全般的に飽きたもんな…。

 やっぱりね、その手の聴くくらいならこっちのが良いや、ってことでさっさと切り替えてしまったFunkadelicの1970年の最初のアルバム「Funkadelic」。最初のったって、元々がパーラメントでそれのギター強烈版+ジミヘン的サイケの合せ技なのだからそもそも素人が出てきたってんじゃないし、しっかりとやってきたことからの蓄積と新たなチャレンジ作品ってアルバムになる。だからスタジオ作とライブ作が一緒になって登場してくるし、まぁ、何がなんだかってくらいにはサイケしてるし、ギターだってなんじゃこのチープな音は…ってくらいにはチープ。一体どうしたいんだ?ってくらい万華鏡なサイケ。ただ、作ったサイケってよりももっとドロドロにハマってる感じで、いわゆるロックのサイケだと浮遊している感じのサイケなんだけど、こっちのはもう液体ドロドロの中で再消しているってくらいにネバネバした感じ。いや〜、絡みたくないわ…(笑)。

 ただ、その気持ち悪さの分、吸引力が凄くて、チープなギターがいきなり歪んでヒステリックに突き刺してくるもんだから何か掴みたくなるっつうかさ、なんでこんな感じにできるんだろ?時代だろうなぁ…、ジミヘンの影響超大きいバンドコンセプト、しかもジミヘンが行き着かなかった世界へ勝手に辿り着いてるし、この後の活動や音楽遍歴からしても明らかにベースとなるファーストアルバム、その意味では恐ろしい完成度でもあるし、どんな方向性にでも対応していける作品とも言えるが、ただただ生理的に気持ち悪いサウンドってのは変わらない。いやぁ〜、こういうの堪らないね(笑)。



Ruth Copeland - Take Me to Baltimore

Ruth Copeland - Take Me to Baltimore (1976)


 白人であるにもかかわらず、Soul/Funkのカテゴリに入ってくる人と言うのもそうそう多くない。その筋で入ってきた人だったり、そういう実力がある人じゃなきゃそうならないワケで、その意味ではその極少ないウチの一人であるRuth Copelandはご存知Funkadelic/Parliament絡みで業界入りしたソウルフルな歌声の持ち主な美女。細かくは追ってないけど、昔レコ屋で聴いてそのまま一目惚れしてお持ち帰りした女性です。今回はそこからあとの作品で今のところラストアルバムとして知られている作品「Take Me to Baltimore」だけど、未だCD化されていないという希少な作品。もうそういうのも少ないだろうなぁ…、DLもあるのかどうか…。

 1976年リリースの三枚目のアルバムで、以前よりもファンカ色は強くないけど、相変わらず強烈な歌声とグイグイと引き寄せてくれる歌心は聴くものを惹き込んでしまう魅力に溢れる。それに加えてのリズム隊の強烈なグルーブがアルバムの質の高さを物語ってくれていて、ベースには職人肌気質で知られているらしい、フランチェスコ・センテノ、ドラムにはあのスティーブ・ジョーダンという布陣で、このブリブリさが見事。そこにルースのシャウト系ボーカルが乗っかるんだからしつこい作品が出来上がるハズです。これまでとはやや経路が違うけど、何で未CD化なの?って思うくらいには出来映えがとても良い作品で、もっともっと知られても良い歌姫とアルバムのひとつ。

 二曲ばかりあのダリル・ホールとの共作している曲があって、もちろんあmレラがメジャーになる前のあたりのセッションだろうけど、白人で黒い分類にされている人とそうされたがっている人とのセッションはなかなか魅力的。本来ソウルな色合いの強いダリル・ホールだからルースが歌う分には何ら違和感なく、きっちりと送り届けてくれる作品です。アルバムの最初から最後までこのい歌声に惚れ惚れし続ける作品で、ジャンルの壁関係なく好きな作品。いや、普通にロックな歌ものアルバムです。







Betty Wright - I Love The Way You Love

Betty Wright - I Love The Way You Love (1972)
アイ・ラヴ・ザ・ウェイ・ユー・ラヴ・ミー

 アメリカの歌ものなんて滅多に聴かないし、聴いたこともほとんどないし、ロック面からならもちろんあるけど、そうそういないから結果的にはほぼ聴いてないワケだ。ましてや黒人系はほとんど手を付けてないから知らないに等しい。それでもね、こういうの漁ってるとそれなりに名前やアルバムジャケットだけは知ってたりするのがあったりしてさ、好みじゃないんだろうってのは判ってるから手を出さないんだが、こんだけ自由に聴ける時代になるとちょいと…ってのが増えてさ、その時の気分とかによるけど、いいな、って思う時もあるんです。音楽ってそういうモンだからこだわりまくらなくっても良いんじゃね?って。ま、ロック一番ではありたいけど。

 Betty Wrightの1972年リリース「I Love The Way You Love」。まだ彼女が10代の頃のアルバムだとかで、要するにそれは単にアイドルと同じように歌が上手いから世間知らないままに歌を歌ってたというような時代だ。それでも実力があったからこそ成功しているんだろうけど、そりゃま、一生懸命歌う時期だろうよ。制作布陣も粒揃いでこの手のものにありがちな歌はめちゃくちゃ上手いけど曲がつまらんってのにはなってなさそう。ムーディなのが多いんだよなぁ、10代なのにな、もっとファン機で楽しめるのでも良かったのに、こんだけ実力あるからこういう歌の方が合ってたのかな、今聴いても凄く上手いし情感こもった歌い方で張りのある歌声が素晴らしい。

 それでだな、深いな〜ってのはさ、ギターってこういう風にも弾けるんだなぁ…って事が聴こえたことか(笑)。ギターなんてごく一部の楽器でしか無いアルバムだけど、それでも出てくるとその存在価値をバッチリPRするプレイで、なるほど…なんて思う。スマッシュヒットしたらしい「Cleanup Woman」なんて、最初からギターの音か、これ?っていうような使い方だしさ、他のソロなんかもロック聴いてると出てこない味わいの弾き方でね、歌聴いてたらどんどんギターに耳が向いてしまって…(笑)。いや、アルバム的にもかなりの名盤だろうと言うのはわかります。







Joanne Vent - Black and White of It Is Blues

Joanne Vent - Black and White of It Is Blues (1969)
ブラック・アンド・ホワイト・イット・イズ・ブルース

 自分がロックを探求し始めた頃からしたら今は発掘音源も含めてかなりのアイテムがリリースされているし、自分のロックの知識は基本的にそのまま古いままで多少の上書きはあるものの、基本的な所は大して変わっていないので、幻のバンドとかアーティストとかシンガーの音源が初めてリリース!なんてのは到底知る由もなく、何それ?そんなのあったの?としか思えないのでたまにびっくりするようなものに出会う。今回は正にそんな感じで、誰これ?こんな人いたんだ?へぇ〜〜ってなモンです。

 Joanne Ventなるブルース的女性シンガーの唯一発掘作「Black and White of It Is Blues」、1969年のリリースだったらしく、もちろんどう聴いてもアメリカのシンガーなのだけど、う〜ん、こんな人がいたのか、アメリカは広い。ジャニスばりと書いてあるけど、ジャニスってよりももっとソウルな世界をやっていきたかった女性が熱唱しているようなスタイルで、カバーも多数歌っているこの時代にありがちなパターン。レーベルはA&Mだし、何でそんなに再発掘されなかったのかな、デジタル時代になってからこういう人って割と出て来るんだよね。レコード会社が棚卸ししてる時に出てくるのだろうか。

 このJoanne Ventという女性、パッと聴くと、曲調があの時代のああいう雰囲気でのプレイだから凄く雰囲気ある熱唱型ボーカルという感じなんだけど、やや迫力不足なのはあるかな。それでも十二分にびっくりしたし、実はこういうボーカルもあんまりいないか…、自分の知ってる所だとRuth Copelandかな。でも、かなり説得力ある歌だし演奏の方も良いし、ソウル、ブルース、何よりも歌、そして雰囲気と時代、ロックってこういうモンだよな、ってのが詰め込まれてる感じが好き。聴いてみるとこのソウルフル感、伝わるだろうし、このブログ見に来る人なら好きなんじゃないかな。







Judy Collins - Who Knows Where The Time Goes?

Judy Collins - Who Knows Where The Time Goes? (1968)
時の流れを誰が知る

 シンガーの声とか歌い方ってのはやっぱりロックなものとそうでないものがある。例えフォーク一本で歌うにしてもその違いは出て来るような気がしてて、聴いているとそれが分かる。カントリーとかブルーグラスの歌聞いててもやっぱり明るさや楽しさはあるけど、はまいれないし面白味も飽きてきてしまうな、という自分の好みだけど、そこで出てきたのがJudy Collinsのジャケット。これもまた聴いてなかった人の一人で、アメリカものはどうもブルース以外は後回しになってしまうので、こういうのを全然聴けていない。まだまだ人生長いから聴いていこう、と思う部分もあるのでジャケットの良さに惹かれて聴いてみました。

 Judy Collinsの1968年作「時の流れを誰が知る」。タイトルが「時の流れを誰が知る」だからね、実際Fairport Conventionよりも早くリリースされたとか…、なんでもその筋では有名なジョー・ボイド氏からライブのテープをもらって聴いて、これは素晴らしい、ってことで速攻でカバーした、のか制作側のよこしまな意向なのかは分からないけど、まぁ、普通に良かったから歌ってみた、なんだろうな。他にもカバー曲をいっぱい入れてるし、メジャー前のジョニ・ミッチェルの曲とかもあるようだし、歌手としての才能のある人だから誰の曲であれ自分の歌にしちゃっただろうし。んでさ、聴いてるととてもフォーク一本的なシンガーで、もちろんピアノとか色々入ってるけど、ガンガンなロックじゃないのは当たり前で、フォークシンガーみたいなもんよ、でもさ、ロック的な声質なのか歌い方なのか、深いんだな…、この深みとかが響きやすいというか、単なるシンガー的な位置ではないと言うのか、そう感じちゃう部分あるんですな。

 んでもって、期待の「時の流れを誰が知る」ですよ。もちろんFairport Convention含めて散々聴いているし、サンディ・デニーが大事に歌っていた曲だからさ、どんな風になるのかなぁ、と。でもね、聞く前からJudy Collinsの声だったら多分ぴったりハマるだろうし、何ら遜色ないカバーなんだろうというのは予想が付いたし、実際その通りだった。稀代の歌手二人がこの名曲を歌っているバージョンがあるってのは嬉しい贅沢です。サンディ・デニーの方が透明感あるかな。こっちはもうちょっと湿っぽい感じ。いやはや素晴らしい。






Lucinda Williams - Car Wheels on a Gravel Road

Lucinda Williams - Car Wheels on a Gravel Road (1998)
Car Wheels on a Gravel Road

 名前だけは何度か聞いたことがあるかなぁ…って人が出てくると、昔だと買うワケじゃないから聴かないままで過ごしていたのが、今の時代だと適当に聴けたりしちゃうから良くない…良くないってか好奇心で聴いてしまうから、良くも悪くも判ってしまって、ラッキーなのもあれば、聴かなくても良かったな、ってのもある。そういう自分での発掘が楽しい部分はあるので、それ自体はありがたい環境ではあるか。今回もルシンダ・ウィリアムスって人、カントリー系ってことで名前を聞いてたけど実際聞いたのは初めてで楽しみでもあった人。

 Lucinda Williamsの1998年グラミー賞受賞アルバム「Car Wheels on a Gravel Road」。どっからどう見てもアメリカ〜な印象しかしてこないのもまたアレだけど、聴いてみると正にそのままアメリカのカントリーな作風が並ぶ。流して聴いてて心地良いのは確かで、土着的なサウンドだよなぁ。こういうのって誰でもやってそうだから、そこで名前を知られるまでになるって相当色々あるんだろうよ、と思って来歴見てたら60年代から活動していたという現在では既にお婆ちゃんなワケで、それも驚いたけど、それでも出来ちゃう音楽ってのも素晴らしい。大陸的な雰囲気にアメリカの、そうだなぁ、ペダルスティールとかそういうのもあったりギターソロ的なのにしても懐かしさすら覚える感覚のギターとかメロディにしてもこうなるんだろうなぁという感じで、ノスタルジックというか、ホントに心地良く馴染む歌。こりゃアメリカで好かれるハズだわ。

 ギター的にもこういうフレーズとか音色とか味わいとかってのはアメリカ的で面白いなぁと。チープな音だけどさ、気取って無くてそのまま、アメリカ人って皆大抵こういう風になっていくんだろうな、って思うサウンド。クリッシー・ハインドなんかも結局こういう風になっているワケだし、老化すると皆同じになるってのは音楽的な所もそうなのかもね。いやはや随分レトロに楽しんだ一枚でした。



 | HOME | 

プロフィール

フレ

Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


ロック好きの…別館リンク


ブログ検索


最新記事


カテゴリー


最新コメント


最近のトラックバック


カレンダー

01 | 2017/02 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 - - - -

過去ログ+

2017年 12月 【1件】
2017年 11月 【19件】
2017年 10月 【31件】
2017年 09月 【30件】
2017年 08月 【31件】
2017年 07月 【31件】
2017年 06月 【30件】
2017年 05月 【31件】
2017年 04月 【30件】
2017年 03月 【31件】
2017年 02月 【28件】
2017年 01月 【32件】
2016年 12月 【32件】
2016年 11月 【30件】
2016年 10月 【31件】
2016年 09月 【30件】
2016年 08月 【31件】
2016年 07月 【31件】
2016年 06月 【30件】
2016年 05月 【31件】
2016年 04月 【30件】
2016年 03月 【31件】
2016年 02月 【29件】
2016年 01月 【32件】
2015年 12月 【32件】
2015年 11月 【30件】
2015年 10月 【31件】
2015年 09月 【30件】
2015年 08月 【31件】
2015年 07月 【31件】
2015年 06月 【30件】
2015年 05月 【31件】
2015年 04月 【30件】
2015年 03月 【31件】
2015年 02月 【28件】
2015年 01月 【32件】
2014年 12月 【31件】
2014年 11月 【30件】
2014年 10月 【31件】
2014年 09月 【30件】
2014年 08月 【31件】
2014年 07月 【31件】
2014年 06月 【30件】
2014年 05月 【31件】
2014年 04月 【30件】
2014年 03月 【31件】
2014年 02月 【28件】
2014年 01月 【32件】
2013年 12月 【32件】
2013年 11月 【30件】
2013年 10月 【32件】
2013年 09月 【30件】
2013年 08月 【31件】
2013年 07月 【31件】
2013年 06月 【30件】
2013年 05月 【31件】
2013年 04月 【30件】
2013年 03月 【31件】
2013年 02月 【28件】
2013年 01月 【32件】
2012年 12月 【32件】
2012年 11月 【30件】
2012年 10月 【31件】
2012年 09月 【30件】
2012年 08月 【31件】
2012年 07月 【31件】
2012年 06月 【30件】
2012年 05月 【31件】
2012年 04月 【30件】
2012年 03月 【31件】
2012年 02月 【29件】
2012年 01月 【32件】
2011年 12月 【31件】
2011年 11月 【30件】
2011年 10月 【31件】
2011年 09月 【30件】
2011年 08月 【31件】
2011年 07月 【31件】
2011年 06月 【30件】
2011年 05月 【31件】
2011年 04月 【30件】
2011年 03月 【31件】
2011年 02月 【28件】
2011年 01月 【32件】
2010年 12月 【32件】
2010年 11月 【30件】
2010年 10月 【31件】
2010年 09月 【30件】
2010年 08月 【31件】
2010年 07月 【31件】
2010年 06月 【30件】
2010年 05月 【31件】
2010年 04月 【30件】
2010年 03月 【31件】
2010年 02月 【28件】
2010年 01月 【32件】
2009年 12月 【32件】
2009年 11月 【30件】
2009年 10月 【31件】
2009年 09月 【30件】
2009年 08月 【31件】
2009年 07月 【31件】
2009年 06月 【30件】
2009年 05月 【31件】
2009年 04月 【30件】
2009年 03月 【31件】
2009年 02月 【28件】
2009年 01月 【32件】
2008年 12月 【32件】
2008年 11月 【30件】
2008年 10月 【31件】
2008年 09月 【29件】
2008年 08月 【30件】
2008年 07月 【30件】
2008年 06月 【30件】
2008年 05月 【31件】
2008年 04月 【30件】
2008年 03月 【31件】
2008年 02月 【29件】
2008年 01月 【31件】
2007年 12月 【29件】
2007年 11月 【30件】
2007年 10月 【29件】
2007年 09月 【28件】
2007年 08月 【31件】
2007年 07月 【30件】
2007年 06月 【29件】
2007年 05月 【30件】
2007年 04月 【30件】
2007年 03月 【26件】
2007年 02月 【27件】
2007年 01月 【20件】
2006年 12月 【31件】
2006年 11月 【30件】
2006年 10月 【31件】
2006年 09月 【30件】
2006年 08月 【31件】
2006年 07月 【31件】
2006年 06月 【30件】
2006年 05月 【31件】
2006年 04月 【30件】
2006年 03月 【31件】
2006年 02月 【28件】
2006年 01月 【31件】
2005年 12月 【31件】
2005年 11月 【30件】
2005年 10月 【20件】


リンク


RSSフィード


全記事表示リンク

全ての記事を表示する


QRコード

QR

Click! Click!


楽天市場
HMVジャパン

Amazon