Gillian Welch - Boots No 1 the Official Revival Bootleg

Gillian Welch - Boots No 1 the Official Revival Bootleg (2016)
Boots No 1 the Official Reviva

 うわ〜、良いジャケット!ってだけで聴いてみたくなって、DLして聴いているという始末。だってさ、このジャケット…ってかレスポールJrに目を惹かれただけなんだけどね、こうして見せられるとやっぱりカッコ良いギターだな〜って。自分的にはR&Rなギターのひとつなんで、こういう女の子が弾いている姿ってのは想像もしたことなかったけど、こうして見ると、コガラなボディだし軽さもあって女性に受けてもおかしくないか、とも思う。

 Gillian Welchなる女性の「Boots No 1 the Official Revival Bootleg」…、いや、全然知らないからさ、とにかアマゾンリコメンドでジャケットが出てきて、聴いてみた次第なので、どんな音楽やってるのかも知らないし名前も初めて聴いたし、それでもレスポールJrダブルカッタウェイですからね、悪いはずないだろ、という勝手な先入観で聴いてみると、ほ〜〜、これはこれは…、モロにアメリカのカントリーやブルーグラスとかその類のシンガーソングライターの一人なのだろう、もちろん女性でして、垢抜けた感じがよろしい。これ、レスポールJrの音じゃないんだろうなぁ、と思いつつも、きっとどこかでは使われていると期待したいが…アコギ大半なのでなんだろな…と思って聴きながら調べていると、1996年に彼女がリリースしたアルバム「Revival」の20周年記念ってことで、2枚組の豪華版がリリースされたってことで、でもテイクやら何やらが詰め込まれているらしい。それでこんなに生々しいサウンドばっかりなのかと気づいた次第。こういう順番で聴くってのはどうなんだ?って思うけど、こんだけ色々リリースされている昨今、そういう風に入る人もいるのだろうな、と往年の名盤でもそう思う。

 内容的に自分はどうかで言えばどっちでもなく、サラリと聴けてしまうし、歌声が個性的ってワケでもないし、ただアメリカではこの手のシンガーは大抵それなりに受ける。だから人気はあるんじゃないかな。中身よりもジャケットでヤラれたパターンだから飾りながら聴くってのが一番良いんだけど、DLだしなぁ…、しょうがない(笑)。こういうギターもあるんだよ、っていうことでカッコ良さを味わって下さい。ジョニー・サンダースやミック・ジョーンズが使ってました♪





Thompson Twins - Set

Thompson Twins - Set (1982)
Thompson Twins: Original Album Classics

 80年代の英国ポップの逆襲ってのは凄い勢いだったんだな。単純にトンプソンでアレコレ見てて、あぁ、こういうのあったな…、と懐かしくて聴いてたりしたんだけど、当時はもちろんヒット曲程度しか聴かないバンドだったし、そもそもバンドという見方もしてなくて単なるポップスとしてしか認識してなかったから今改めて聴くのとは感覚がまるで異なる。もちろんそういう見方で聴くんだけど、ちょいと調べてると1977年から活動しているってあって、そもそもバンド活動で云々ってあったから、へぇ〜って思ってね、この頃の連中ってポップスやるために作られてたみたいに思ってたトコあったけど、実はきちんと新しいサウンド目指して出てきた人たちばかりなんだよね。だからその下積みってどんなんだろ?って興味もあって、ちょいと聴いてみた。

 Thompson Twinsの1982年のセカンド・アルバム「Set」。何と、メンバー編成が7人もいたようで、後の3人でのポップユニット的な編成とは大きく異ったスタンスってのがまず違うね。あの綺羅びやかなポップスサウンドが出て来るのかと思いきや、かなりクールなニューウェイブサウンド…、この頃のThe Stranglersみたいな音に近いかも。もうちょっとDepeche Mode的かも、とかそんな印象。そもそもこういうデジタルビート的な志向ではあったんだな、というのは分かるけど、良い感じにクールです。愛聴盤になりますってんじゃないけど、単なる80年代ポップスのバンドの初期アルバムってのとはちょいと趣が違うかな。ニューウェイブ視点で聴くと結構新鮮。自分があんまりそういうの聴かないからだろうけど、Japanとかの雰囲気もあるし…。

 ま、かと言って面白いワケではないわな(笑)。プロデュースはあのスティーブ・リリーホワイトってんだからU2的か?ってのは期待したけどそうはならなかった…のは当たり前か。それでもアルバム全体がクールなのはさすがと言うべきか、ってかさ、この頃の無名?な時代にスティーブ・リリーホワイトのプロデュースってのが驚きだ。どうやらこの後1984年にヒットした映画「ゴーストバスターズ」にこの一曲目が使われていたようで、当時もそれなりに知られたらしいが、自分的には、そうなんだ…くらい(笑)。いや、ガラリと異なる聴かない世界をちょいと楽しんだかな。



Thompson - Family

Thompson - Family (2015)
Family (+DVD)

 音楽夫婦の間に出来た子供達がそのまま才能を受け継いでいるならば一家揃って演奏するなんてのも出来ちゃうんだろうけど、なかなかそうはいかないのが才能というものだろう。しかも両親はその才能を世間で認められて仕事にしているワケだから、一級品だし、いくら子どもたちと言えども一緒のステージに立って同等の存在感を出せるくらいにはならないと本当の共演にはならないだろうし。もちろん親からしたら一緒にステージできるだけで満足なのかもしれんが。

 そんな物語をそのまま実践してしまったThompsonのアルバム「Family」。もちろんリチャード・トンプソンとリンダ・トンプソンの家族のお話で、息子のテディと娘のカミラとその相方など含めての共演で正に一家でのアルバム。面白いのは離婚した両親がここで共演しているってところか…当たり前ではあるけど。音楽的イニシアティブは息子に委ねているとは言え、圧倒的にリチャード・トンプソンの存在感が支配していると言って良いだろう。もちろん子どもたちも頑張ってるし、それぞれの歌や曲でしっかり音を作ってるけど、やっぱり父ちゃんのプレイの存在感は凄いわ。プロ中のプロの中でもあんだけ目立つんだから、普通の所でやったら浮きまくるのは目に見えてる分かるように、素晴らしく目立ってる。

 アルバムはどうしたってFairport ConventionやRichard & Linda Tompsonのアルバムのようになるワケで、ここでも基本路線はそんな感じ、それぞれをフォーカスした曲を収めてあるけど全体感はエレクトリックフォーク、トラッドの世界。周りから見たらこういう作品って羨ましいだろうなぁ、と思うくらいに愛の溢れているアルバム。





The Rails - Fair Warning

The Rails - Fair Warning (2014)
Fair Warning

 そっか、往年のアーティスト達からしたらもう子供、孫のいる世代にまで時代は進んでいるんだから、子供たちのバンドや孫達のバンドなんてのが出ててもおかしくないんだよな。とは言えども、それだけではなかなか世界レベルのミュージシャンになっていくってことも多くないようで、それほど2世や3世が音楽の世界を賑わせるようなことは実際にはないようだ。ロックの世界でも何人かはあるけど、そう多くはないし、当たり前と言えば当たり前なんだろうな。

 リチャード・トンプソンとリンダ・トンプソンの娘であるカミラ・トンプソンが夫と組んだバンドがこのThe Railsで2014年にアルバム「Fair Warning 」をリリースしている。あの親にしてこの娘あり、と言わんばかりの歌声に音楽スタイル、しっかりギターも弾いているし歌も母親ばりの歌声で、旦那のギターも冴えたもの、なかなか面白い方向に人生が進んでいるようだ。カミラはソロアルバムもリリースしていて、さすがにそっちはアコギ一本ってワケにもいかず、ポップス調の作品には仕上がっているけど、本質的にはこういうトラッドフォーク路線のままというのは興味深い。

 こちらのThe Railsはカミラだけが主役でもなく、旦那の方もかなり主役を張っているので、そのヘンはしっかりとしたバンド感を持っているみたい。今時の、と言えば今時のなんだろうけど、若者たちがこういう音楽を奏でているってのは面白いよなぁ…、どこかでリチャード・トンプソンあたりもライブに参加してたりするんだろうか、まったくおかしくないサウンドだからありうるだろう。新世代によるあの時代のサウンドのリバイバル、しかも血統書付きのバンドなんだから許されてしまうであろう所が見事。そしてその期待を裏切らない音が出てきてるからこれもまた素晴らしい。こういうのから入るのが良いかも。





Gay & Terry Woods - Backwoods

Gay & Terry Woods - Backwoods (1975)
バックウッズ (生産限定紙ジャケット仕様)

 英国フォークの深淵は底なし沼とも言われてて、確かにちょっと漁ってみてからはその深さをマジマジと実感することも多く、どこまで行っても底が見えずにどんどんと広がり続けていく。それは時代が新しくなって、新婦がリリースされるからと言う無限地獄ではなく、一定の時代の中だけでもどこまでも深く広く繋がっていってしまう懐の広さがあるからだ。どこからでも良いけど、ちょっと漁ってみて、そのメンバーの誰かのキャリアを木にしてみるとすぐに深い世界の一歩に入り込めるだろう。制覇するなんてことは考えるだけ無駄なので、手当たり次第に存分に楽しんで聴き漁り、気になる楽器のプレイヤーの名を記しておいて次に進む…、ジャズと似てるかもね。

 Gay & Terry Woodsという夫妻のユニットの1975年のファーストアルバム「Backwoods」。あの初期Steeleye Spanに参加していたけど、即離脱してこの夫妻ユニットでまた夜に出てきたという二人。その前は「Woods Band」ってのでもやってたからキャリアも十分な方々、このアルバムもそういう意味では豪華なゲスト陣営も含めて期待されていた一枚。完全にフォークだけでもなくしっかりとバンド形式での楽曲もあり、美しき歌声とアコギで聴かせるだけではなく、フォークバンドアンサンブルな曲も楽しめる。とは言え、今の気分はアコギだけの作品の方が好みだけどね。

 案外聴きやすい。ポップとは言わないけど、割とそれに近いメロディラインで出来上がっていたりするのでさほどの違和感は抱かないんじゃないかな。ギターにしても小難しいことしている訳でもないし、アコーディオンやらで柔らかいサウンドに仕上げてくれてるのもあるからね。ほんわかとした気分になり、日常から離れる意味ではとても良い作品だし、何かほっとする味わいを持っている。そこかしこで名盤扱いされてるので、疑いなく聴いてみて損はしないんじゃないかな。





Richard Thompson - Acoustic Classics

Richard Thompson - Acoustic Classics (2014)
Acoustic Classics

 今は昔ほどギタリストっていうのがクローズアップされなくなってて、ギターヒーローなる人がほとんど聞かれないのが今の時代。ここ最近でのギターヒーローって誰かいるか?ってな話で、それがロックとかならまだしも、アコースティックやフォーク含めての人ってなるともう全然聞く事がなくって、誰かいるのなら教えて、ってくらいに知らない。たくさんの人が出てきてるのはもちろんだけど、ヒーローになるまでの人ってのがいるのかどうか…。ウチのブログでもこりゃスゲェっての取り上げたりしてるけど、だからと言ってその方々がヒーローなのかってなるとちょいと違うのかな、って思うし。

 昔はヒーローがいた。リチャード・トンプソンなんかカルトヒーローみたいなモンだ。最近でこそ知名度がやや高まった部分あるけど、それでも玄人向けのヒーローだもんね。そのRichard Thompsonが2014年にリリースした作品が「Acoustic Classics」。この前作が「Electric」で、対になった一枚ってことで、そうだね、自身の過去の名曲郡をアコギ一本で歌っているというシンプルなコンセプトによる作品集、なんて低予算で出来上がった作品なんだろう、と思わざるをえないけど、そういうのを望んでいたリスナーも多かったに違いない。だから、このアルバムはホントに一人でオーバーダブも最低限にしてあって、大部分がギターを爪弾いて歌っているので、生々しいRTが楽しめる。もっとギターに偏った作品でも良かったんだけど、さすがにこの時代にそこまではなかったか。

 それでもしっかりとギターを聴かせる部分ではテクニカルなプレイを聞かせてくれているし、さすがの一言。いつものRT独特のエレキギターでのプレイとは違うけど、やっぱり軽やかなプレイは独特の個性だ。ホントにギター上手いんだよなぁ、こういうところ。ロックのギターヒーロー達には出来ないであろうプレイだし、英国の裏側を知らないと弾けないプレイだし、そういう個性が出てて現役でいられる人って少ないので頑張ってほしい人。じっくりと研究していくとホントに深くて面白いのも特徴的で、そろそろハマってかないとな…。







Bert Jansch - Avocet

Bert Jansch - Avocet (1980)
Avocet

 昔は全くもって謎のギタリスト達で、ジミー・ペイジが好きなギタリスト達なんてのに名前が出てても聴くことすらなく、レコード屋でどこ探したら見つかるかも分からず、結局まるで見かけることの無かったトラッドフォークの偉人たちのアルバム、今でこそCDやら何やらと簡単に手に入るけど、それはもう全然見ることなかったもん。中古レコ屋でもほとんど見なかったし、どういうコーナーに置いてあったのやら…、そもそもそんなに枚数出てなかっただろうから見なかったのかもしれないけどね。

 Bert Janschの1980年リリース作品「Avocet」、全曲インストモノと聞いて、これは期待できると思って聞いたアルバムのひとつ。もっともバート・ヤンシュの場合は歌心もひとつのパフォーマンスだったんで歌がないってのはどうかってのはあるけど、ギターだけで聞かせてくれるのも面白いだろうという期待感はあった。お馴染みの仲間たちのサポートは入っているからギターだけのアルバムじゃなくて、バンド形式でのインストアルバムってトコだけど、1980年にこの音で出すってのはなかなかレトロな作風で時代を超越しているとしか言えない(笑)。それでもこの時代になって聴き直してみれば、それはそれは見事なまでの大英帝国のトラッド、フォーク的な作品で田園風景そのままをイメージできる作品で、美しい情景が目の前に広がることだろう。タイトルは全て野鳥の名前で、イメージもそのまま自然な風景に溶け込むような音楽世界。

 ギターを弾きまくるってのがさほどないので、バンドアンサンブルと音楽世界そのものを追求している作品のためか、取り立ててバート・ヤンシュが際立つようなこともない点がちょいと物足りないけど、インストアルバムとして聴けばそりゃそうだ、こんだけバランス良く出来上がっている音楽をどこかに寄せて崩すこともなかろう、というのは分かる。ジョン・レンボーンのとはまた方向の違うインストアルバムで両雄の個性が現れ出ている作風が面白い。こういうのをじっくりと聴けるような時が来るとはな…、大人になったものです(笑)。



John Renbourn - The Hermit

John Renbourn - The Hermit (1976)
隠者(紙ジャケット仕様)

 Led Zeppelinの1970年頃のライブで「Heartbreaker」を聴いてみるとあのギターソロの途中で、クラシカルなフレーズによる独創が挟み込まれる。随分昔にそれを聴いて、何だろなぁ…と思って調べていくとバッハのリュート組曲って事が判って、それを手に入れて聴いていると正しくあのフレーズ、そしてギターの重奏による旋律ってのも判って、それをああいう形で弾いているのは凄いな、なんて思ったものだ。そこでの旋律は正しく古楽的で美しく、自ずと惹かれていくものだったけど、その由来や他でどういう形で聴けるのかなんてのは全然わからず、何となくの知識だけが蓄積されたものだ。

 John Renbournの1976年の作品「The Hermit」はそんなギターの旋律が大いに詰め込まれた実に美しく気品高く格調高いギターだけの組曲がこれでもかとばかりに繰り広げられている。アコースティックギタークラシックギターでの表現はココまで出来るのか、ってくらいにリラックスしつつも美しき旋律が奏でられ、本気でギターを学ぼうとするならばこのアルバム丸ごとコピーしてみるとものすごい知識量が増えるのは間違いない。基本的にギターだけが鳴っているアルバムで、他の音がないから音は取りやすいし、片方のチャンネルだけ取っていけば、それは一本のギターをそのままコピーするだけに近くなるから、難しくはないんだろうと。ただ、自分の引き出しには全くない音使いとかフレーズとか旋律なので、そこでの指使いなんてのが戸惑うんだろうとは思う。とは言いつつも、自分じゃこんなのは絶対に弾けないって思うけどさ(笑)。

 こういうギター組曲的なアルバムってあまり見当たらないから聴いていると新鮮だし、自分がやっぱりギター好きだからじっくりと聞き入ってしまう。そういえばこのジャケット、「Led Zeppelin IV」の中ジャケと同じコンセプトなんだろうなぁ…、真似とかでもないだろうから、深遠な部分での共通項になるのだろうか、歴史とか文化とかそういうお話ね。いや、それにしてもこの人のギターは実にためになるプレイで、面白い。バート・ヤンシュの方はもっと土臭い部分があるけど、ジョン・レンボーンの方は貴族的な方向というのかね、そういう志向性が相まったPentangleはユニークなバンドだったってことだ。



Amazing Blondel - Evensong

Amazing Blondel - Evensong (1970)
Evensong / Fantasia Lindum

 優しい音楽に出会うとホッとする時もあれば、軟弱だな、って思ってハードなのを聴く時もあるけど、気分がマッチするととても優しく流れていって心地良さが増す。そんなに癒やされたかったのか、自分?みたいに思うくらいにはゆっくりとさせてくれる効果があるのは間違いない。古楽、中世音楽なんてのは普通あんまり耳にしないし、どういうのかもよくわからないけど、英国からヨーロッパ方面ではごく普通にある音楽なのだろう、そういう影響を受けるバンドや自然に取り込めているバンドも多い。

 Amazing Blondelの1970年リリース2枚目の作品「Evensong」。冒頭からモロに古楽的で電気的楽器がほぼ姿を表さない自然で心地良い楽器の生音がそのまま聴けるあたりはかなり特徴的。フルートやリュート、タブラに生ギター、そこにコーラスが絡まって何とも言えない雰囲気、これは英国以外じゃ出てこないだろうなぁと思う。こういうバンドでもロックというカテゴリに該当するのだろうか、大抵はトラッド風味のバンドの中で登場したりする。最もファーストから大いに進化したこのセカンドアルバム「Evensong」で、この後も進化して最高潮が「England」というアルバムになるのだろうけど、深みを増した作品にどんどんと突き進んでいったといいう所か。ここで聴ける音はやりたいことを一旦やりまくってます、みたいな部分があって、のどかな村での広場で演奏しているかのような雰囲気の音楽で、大いに楽しめるってもんだ。

 トラッドじゃないしなぁ…、ロックでもないし、やっぱり古楽バンドになるけど、そういうカテゴリも成立しないからホント、独特の世界観。どういう経路を辿ったらこういう音を出せるのか、出したいと思うのか、伝統音楽に親しんでなきゃ無理だから、やっぱり身近にあるんだろう。面白い世界です。



Blackmore’s Night - All Our Yesterdays

Blackmore’s Night - All Our Yesterdays (2015)
All Our Yesterdays

 リッチーと言えば今はもうBlackmore’s Nightを組んでから20年の月日が流れているワケで、当然一番長いプロジェクト継続期間で、アルバムも10枚くらいリリース、20年って相当なモンだよなぁ…。最初期からしたらかなり多岐に渡るジャンルを展開していて、その中でもエレキを復活させたりしていて割と独自の世界観も入れ込んだりしているところはもっと注目されても良いかと思うのだが、どうしたってレインボウとの比較などになってしまって、20年やってきた事の深化についてはあまり語られることが無いようだ。分かるけど、もうリッチーって言えばBlackmore’s Nightだろ、って人もいい大人になってるんだからそういう風潮やまとめがあっても良い気がするけどね、実際そうはなってないのはなぜだろうか。

 Blackmore’s Nightの2015年作品「All Our Yesterdays」。もはやルネッサンスや古楽の再現という次元を超越した唯我独尊の音世界、入りはそれまで通りの感触でシングルPVにもなっているので随分と取っ付きやすく、相変わらずだなぁ〜なんてほのぼのと見ていられる美しき世界だけど、以降なかなか変貌していく様が聴けて深みを味わえる。ストラトの歪んだ音との融合作品だったり、何ともプログレッシブな音世界と古楽の融合からこれもまたストラトでクラシカルなフレーズを弾きまくり、昔やってた風味のリッチー節のギターソロがメロディアスに聴けたりね、こういうの聴かないのは勿体無いんじゃないかな、凄くリッチーらしいソロでギターだけじゃなくて音楽をきちんと聴かせてくれるもんね。

 随分とロックに戻ってきている、と言うかロックをきちんと消化しているからこその音作りが古楽やケルティック、ルネッサンス音楽と上手く融合しててバリエーション豊かに楽しませてくれる。個人的な聞き所はあの「Moonlight Shadow」のカバーで、どういう風に料理してくるのかと思いきや、まさかまさかこんなアレンジで取り組むとは一体どういう了見?と疑ってしまった(笑)。これこそ古楽ルネッサンスでトラッド的にやるかと思ったんだけどなぁ…、こんなに現代的なビートサウンドとポップなアレンジとは…、面食らった、っつうのが正しいか。

 そんな風に既に古楽器だけで創り上げるような世界は目指していないし、エレキでの歪んだギターも普通に入っていて、ドラムやらも普通にある。だから以前のような印象のある方はちょいと認識を改めた方が良いかもしれない。ただし、それはキャンディス・ナイトの歌声をクローズアップするために作られているかのような作風が多いので、決してリッチーのプレイがハードになっているワケではないのはしょうがないことだろう。もちろん編み出されるプレイはさすがだ…ってのは当然だが。







Deep Purple - Now What?!

Deep Purple - Now What?! (2013)
Now What?!

 少年少女達が夢見ていたロックバンド、その夢を壊しながら今でも現役でやってます、みたいな方が良いのかなぁ…、そもそも夢見てた世代が大人になっているんだから夢じゃなくて一緒に現実に向き合ってくれよ、みたいな趣向で捉えれば素直にバンド名だけで聴けるモノかもしれないか。ロックって夢見せる世界なんじゃないのか?って夢は置いておけばそりゃそういうのも納得なんだけどね。今更何思ったって現実が付いて回るのは当たり前、そう割り切ってリスナーやってくしかないか。

 メンバーチェンジの挙句、今でも現役活動中なDeep Purple、主役のリッチーが不在になってからはともかく、創設者のジョン・ロードが他界してもビジネスは続く、故にスティーブ・モーズはともかく、ドン・エイリーを引き込んでの2013年の作品「Now What?!」なんてのを聴いてみた。もうすぐ新作「Infinite」ってのも出るらしいし、来日公演のライブ盤「To the Rising Sun - In Tokyo」ってのもあるから現在のDeep Purpleってのは色々と確認できるようだけど、まるで触れてなかったからこの「Now What?! 」で初めてモーズ時代のパープルに遭遇したことになる。

 そりゃさ、こんだけのビッグネームとメンツだからアルバムになったらよほど変な事しなきゃかなりのクォリティの作品になるのは当たり前で、この「Now What?! 」も聴いてみたら相当に作り込まれていて、見事なアルバムだったんだ、ってことに軽く驚いた。そりゃ昔のパープルみたいな曲はないけどね、こういう大人のハードロックに進化していったんだな、と捉える事が出来る方向に進んでるしさ。ただ、難しいな、って思ったのはDeep Purpleってどんなバンド?ってのが言えない。往年の方々がやっているようなちょいとハードなロック路線で、別にイアン・ギランじゃなくても良いし、現にオジーが歌った方が面白いだろ、って思えちゃうのがあったりするし、どこかの誰かを想像できちゃうような曲調ばかりで、さすがパープル、ってのが分からん。じっくり聴いてりゃ分かるのかもしれないけど、音楽的にこうしたいとか何がしたいってのは見えないなぁ…、仕事臭がしちゃうから夢も何もないし、そりゃもう子供じゃないんだから現実的に考えてくれよ、って答えなんだろう。

 書いてて寂しくなってきた(笑)。本能的にこのヘンに手を付けなかったのはそういう答えをどこかで知っていたからか、触れたくなかった事なんだろう。いつまでもロックは夢を見せて欲しい、なんて青いこと思ってるウチはダメだね。とすると新しいことに挑戦してそれを続けていってるリッチーの方が明らかに健全なロックだとも思う。レインボウの再結成だって、メンツに拘らなかったのは判ってるからなのかも。うん、変な視点でロックを見つめ直してしまった…。



Helloween - My God Given Right

Helloween - My God Given Right (2015)
My God

 長期に渡って活動していて、どんどんとメンバーチェンジが繰り返されるバンドってのが増えてるんだが、それでも同じバンド名を維持したまま続けていく、オリジナルメンバーっているの?ぐらいになるまでバンド名を維持してやり続けていくってのもあるけど、果たしてそれは何なんだろ?なんて考えてしまった。そのバンド名で売れているってことになるから中身の音楽性云々なんてのはそれなりの方向性なら良いワケで、同じじゃ飽きるし違いすぎるのは冒険だしって間を上手く縫う。メンバーはそれを理解してバンドを進めるってところか。それにしてもなぁ…ってのが悩ましい。

 Helloweenの作品をここいらで取り上げておこうって思ってて、幾つか聴いてたんだけど、自分的にはリアルで通って来てないので有名な「守護神伝 第一章」「第二章」あたりしか知らない。んで、どのヘンが面白いんだろ?って探っててもよくわからん。じゃ、新作でいいか、ってことで2015年の「My God Given Right」を。聴いた瞬間から、これ何のバンド聴いてるんだっけ?って思うくらいな話で、作品のレベルや出来映え、魅力という面で何ら遜色はないものの、Helloweenってバンドって今こうなってるのか?くらいなモンだ。そういうメンツになって久しいハズなので自分が時代に付いていけてないだけってのは重々承知しているが、それで冒頭のようにバンドって…てな事を思ってしまったワケだ。所詮ハコの話でしかないし、そのハコを上手く使ってやってるんだよな…。

 気を取り直して、そんな事を思いつつも聴いてみればそれはそれは良質なメロディとパワーを持ったメタル、あのキャッチーさはさほど見当たらず、スピーディさも普通になってて、突出した所はどこにもなく、一般的に普通にパワーメタルバンドだよな、ってアルバムなんじゃないだろうか。だからこそバンド名で売っているというようにも見えてしまうのだが、メタル全般がそういう節あるからしょうがないんだろうけどさ。それでもレベルは高いし良質なのは確かだし、売れるのも当たり前だし、なるほどなぁ…と。何か自分が何を求めてるか分からなくなってきた(笑)。





Last Autumn’s Dream - Saturn Skyline

Last Autumn’s Dream - Saturn Skyline (2006)
サターン・スカイライン

 この手のAOR的メロハーってヤツは自分的にはもちろん聴きやすい部類にあって、キライじゃないんだけど、ずっと聴いていられない音ではある。流して聴くには心地良くて、そりゃもちろんギターソロやメロディのツボなんかもしっかりハマるから楽しいんだけどさ、ひっかかりがちょいと弱くて、だからこそ流して聴いていくにはどんどんと聴いていけるというシロモノ。そういう聴き方が良いのかどうか分からないけどさ。

 Last Autumn’s Dreamの4枚目「Last Autumn’s Dream - Saturn Skyline」、2006年の作品…、ってそんなに新しいバンドの音なんだ。そりゃそうか…、それでももう10枚位のアルバムはリリースしてるんだからベテランの域にあるんだもんな。基本的にFair Warningからのメロディメイカーによるプロジェクトだから安定的なメロディアスハードロックなんだけど、以前にも増してツボを得たメロディが上手く作られてる気がする。こういうメロディって狙って作れるものなんだろうか?音楽理論的にメロディアスだ、と感じられる音階の旋律とか音の移り変わりみたいなのが定説としてあるのだろうけど、それってコード単位だろうから、そこを流れるメロディの組み立てってのはどうしても作る人のセンスに依存する所が大きい気がしている。それで、このレベルをずっと出し続ける、それがその人の才能として生み出し続けられるってのは普通に歌詞や曲を作り続けるってのとはちょいと違うように自分では思う。

 なので、その才能はかなり特殊なんだろうってのはあるとしても、次に出てくるのは当然だけどどれもこれも似たようなメロディの羅列になってしまって曲による違いがどんどん出しにくくなるってことだろうか。それもある種しょうがない話だろうから、歌詞やらアレンジやらで差をつけてくんだろうね。だから自分的にはずっと聴いてると飽きるってのはあるけど、作品としては相当良質な部類な事は確か。こんだけの泣きのギターを入れられるとかさ、歌にしても大衆的なメロディで聞かせてくるし。このバンドってどれ聴いてもそういう意味で駄作が無かったし、それこそバンドのジャンルとして確立されてる節はあるもんね。





Fair Warning - Rainmaker

Fair Warning - Rainmaker (1995)
RAINMAKER

 70年代のドイツって面白いのいっぱいあったのに80年代になると突如何も無くなってクラウトロック=ヘンなのばかりが脚光を浴びてくる、ようなイメージ。それとNena♪ 多分自分の勘違いで、もっとたくさんドイツってのはあるんだろうと思うけど、全然体系化も研究も出来てない。その辺はこれからの楽しみってことにしておこう。ちょいと路線の外れたのが出てきてしまったので、ガツンと爽やかに気分を変えようってことで想像もしなかったであろうコレを突如聴いてました。

 Fair Warningの1995年のセカンドアルバム「Rainmaker 」。いやね、AOR的ってもさ、ガツンって欲しいし、なるほど、そういう所でメロハーってジャンルは活躍するのだな、なんて思った次第。今更気づくなってくらいに時代遅れですがね、90年代ってのは自分的にはついこないだって感覚でしかなくて、どっちかっつうと新しいバンドとかアルバムって感覚なんだよな。良くないよな、こういうジジイ的感覚(笑)。それはともかく、あの暗黒の時代のドイツでこんだけ爽やかなのやってたって凄いよなぁ、しかもそれなりに売れていた、んだろう。爽やかってもしっかり影があって単純なAORにはならないのはさすがだし、何と言ってもギターソロのメロディアスさと歌メロの美しさ、更には楽曲の哀愁とよくもまぁこんだけツボを刺激するような曲とメロディが出来てきたものだと感服する。

 自分がこの頃10代だったら凄く聴いてただろうし、有無を言わせずにファンになってただろう事は想像に難くない。それくらいに抜けのない、人間の感情的に押さえるべき所は全て抑えているアルバムで、多分Fair Warningの全アルバム郡の中での人気は高い位置にある作品じゃないだろうけど、自分的にはコレ、凄いなぁと思う。だから他の作品聴いてみたらもっと凄いなぁって思うんだろうけど、「Go」のクサさほどではなく、適度にツボを得たアルバムって所が好みなのかも。アコギも鳴ってるし、やり過ぎてない音作り曲作りが心地良い。

 いいねぇ、こういう快活な音を聴きたかったんだよ。想定通りに入ってくるサウンド、ギターソロ、ドラムのオカズ、期待通り、そして心地良いハイトーンボーカル、あの時代にコレだったら売れたのも納得。かなり浮いてたバンドだったんじゃないだろうか。今聴いてもこんだけ快活なのはなかなか無いしね。



Randy Pie - Highway Driver

Randy Pie - Highway Driver (1974)
Highway Driver

 先日「こんなバンド知ってる?」なんて話を振られて、「いや、知らない」と言うと「何でも知ってるかと思った」と…。あのな、何十万枚っていうバンドやアーティストがあると思ってるんだ?もしかしたら何百万とかそれ以上かもしれないけど、そん中で知ってるのなんてタカ知れてるよ。一般の人たちが500くらいとしたって、自分達なんてそれに多少色が付く程度でしょ。ニッチにやってたって万の単位まで知ってるかどうかだろうと思う。んで、しかもロック周辺くらいしか知らないワケで、そりゃアンタ、それを分母にしたら自分なんて何も知らないに等しいさ。知ってたってしょうがないしね。

 1974年リリースのRandy Pieってバンドのセカンド・アルバム「Highway Driver」にジャン=ジャック・クラヴェッツは参加したってことでちょいと聴いてみた…が、一体どうしたんだ?いや、これは何なんだ?ってくらいにこれまでのブルージーでハードなオルガンやギターをかき鳴らす世界とはかけ離れた音が出てきている。今度はブラスとかシンセとかそういう世界で、言い換えると相当に洗練されたAORにも通じるブラスな世界、エレピで奏でている時点で何かおかしいって感じだけど、それでもサックスとかでのソロを聴いているとジャジーなプレイも出て来るから、ごった煮と言えばごった煮なアルバム。自分的にはここまで来るとちょいと付いていけないな、っていうくらいではある。

 鍵盤奏者二人のバンドなんだ…、しかし1974年でこういう音に進んだってのはさすがドイツ、先見の明があるというか変態チックに進む方向こそが本能か?時代とマッチした方向性だったんかな…、もしかしたらちょっと早いくらいかもしれない。そういう目線で聴いてみるとかなり新鮮さが発見できる部分はある。でも、やっぱ…ね。ジャケは結構良い感じなんだが…。




Atlantis - It's Getting Better

Atlantis - It`s Getting Better (1973)
It`s Getting Better

 70年代ってもう40年前なワケだけど、未だにそんなのを聴いて発掘したりして、やっぱ良いな〜とか言ってる場合なんだろうか(笑)。昔はバンド名だけは知ってたけどなかなか聴けなかったし、レコード屋行っても見つけられないままでそのまま、ってのも多いし、すっかりそういうのを集め直すなんてのも忘れてるし、今じゃデスクトップでアレコレ探して聴けちゃう時代、考えられなかったよな、そんなの。アルバム一枚探してきて買って、正座して、とは言わないけどじっくりと耳を通して、なるほど、こういうアルバムなんだ、もう一度聴いてみよう、なんて何度も聴いていったモノだ。レコード5枚くらいは普通に買ってきちゃうから、全部ってワケじゃないけど、コレってのは大抵そうやって聴いてたもんだ。

 Atlantisの1973年リリースの二枚目の作品「It`s Getting Better」。これもドイツのバンドなんだけどヴァーティゴからのリリースで、ジャケットを見たことはあったけど、ソウルフルな云々ってのが頭に残ってたから後回しにしてた作品のひとつ。今回インガ・ランプとジャン=ジャック・クラヴェッツあたりの英国的センスが気に入ってきたので、手を出してみた作品です。確かにもともとソウルフルな、ってかファンキーなのもやってみたいってんでコンガみたいなパーカッションが入ったりベースラインがやたらファンキーになってたりするんだけど、インガ・ランプの歌声はオトコ顔負けのロックスタイルだし、鍵盤のジャン=ジャック・クラヴェッツはマルチだから何でも出来ちゃうし、ギターも思い切りブルースギター弾いてるし、結局リズムセクションのファンキー化だったのか、かなり面白い作品に仕上がっているように聞こえるな。

 Babe Ruthあたりと被るような方向性で随分と楽しめる。こういう作品群って今の技術でもっとキレイな音にならないかな…、迫力ました音でこれ出てきたらやっぱロックかっこいい!ってなる人多いだろ、と勝手に思ってるけどさ。こいつもあの頃のブルージーなハードロック路線が好きな人は好むでしょ。鍵盤比率は多くなくてベースがうるさいくらいに出てきてるけどギターもかなり出張ってる。一番はやっぱりインガ・ランプの歌声を味わうってバンドなので、そこが売りではあるな。

Jean Jacques Kravetz - Kravetz

Jean Jacques Kravetz - Kravetz (1972)
Jean Jacques Kravetz

 70年代ドイツのバンドってのは英国のロックに影響を受けていて、やっぱり近いから何だかんだと生々しい情報も入ってきたんだろうね。ビートルズが武者修行のライブの場所としてハンブルグを選んだので分かるように逆もまた真なり、ってことでの影響は大きかったように思う。それでいて、そのまま出来上がらずにどうしてもドイツ的な部分が出てきていたバンドが多かった。ところが幾つかのバンドは英国からのアルバムリリースなんかも果たしていて、音を聴いてもドイツ産には聴こえないセンスってのもあってね、昔からその手のは大抵聴いてたんだけど、まだまだ抜けてたね。今回このジャン=ジャック・クラヴェッツのソロアルバムにようやく着手。

 1972年リリースで、まだジャン=ジャック・クラヴェッツがFrumpyに在籍していた頃のソロアルバム「Kravetz」で、ヴァーティゴからのリリース。この時点でそのアルバムの出来具合をチェックしておかなかったのは失敗だった。フランス人だろ、ってのもあったけどさ。ドイツで活躍していたFrumpyのフランス人鍵盤奏者が英国のレーベルからリリースしたものを日本人が聴いているというワールドワイドなお話(笑)。しかもこれさ、初っ端から自分の凄く好みな曲調で始まってくれて、歌からギターから曲からオルガンから展開から全部好みで、もうこれ、良いよ、ホント、って感じ。アルバム全般になるとそこまでの入れ込みはないけど、それでも英国の音として聴けちゃうし、フランス人の鍵盤奏者のアルバムなんては思わない。インガ・ランプも歌ってるからその存在感も凄いし、アルバムとしての完成度も高い。多分ウチのブログでこの手の音で共通項になっている人ならば必ず気に入る作品。こういうギター好きだわ、ホント。

 時代だよな、ブルース&オルガンハードなのにアルバム5曲しか入って無くて、ほとんどが8〜9分の曲で、もちろん期待通りに展開されていくし、飽きさせないソロの応酬も好み。こういうのじっくり組み立ててやるんだろうね。オルガンハードとギターハードが両方あって、英国風ロックに展開していくから頼もしい。こんだけのギターって普通に弾けちゃうんだもんな…、時代なんだろうか。そんな事を思いつつアルバム丸ごと一気に聴けてしまう傑作♪





Frumpy - All Will Be Changed

Frumpy - All Will Be Changed (1970)
All Will Be Changed

 70年代のロックを漁る時って、メジャーなのは良いけど、マイナーなのはさ、全部含めてマイナー扱いだからその中でのハードロックとかプログレとかフォークとかジャズ系とか色々あるんだけど、明確に分けられないってのもあって、どっち系統の音かってのが分かりにくくて一括りにされてることが当たり前で、だから、ハードロック系統だけを知っていきたいっても、そこにはぶつかってみないとそれが自分の求めてるハードロックなのかどうか分からないっていう挑戦がある。結果的にはどれ聴いてても面白さが共通になるので、そこに拘らなくなるし、だからこそその辺って細かいカテゴライズにならないんだろう。面白いな、それこそ音楽だな、って思う部分。

 ドイツのFrumpyが1970年にリリースしたファーストアルバム「All Will Be Changed」。天下のInga Rumpfという強烈な女性ボーカリストを配したバンドで、冒頭からアメリカ受けしそうなディープな曲で聴く人の心を捉えつつ、そこから繰り広げられる楽曲郡は完全にプログレッシブロックな世界。特にオルガンやピアノなど鍵盤が強烈で、メンバー見てみればギターいないんだからそりゃオルガン中心に頑張らないとロックにならないもんな、的なバンドの音です。もちろんその隙間を埋めるってことはベースもランニングで動き回らないといけないし、ドラムだってビートだけの担当のはずもなく、ガシガシと叩きまくって音を埋めている。その間をInga Rumpfの図太くも通った歌声が突き抜けていくんだからバンドのアンサンブルとしては走る演奏と弾きまくる歌という構図が出来上がり、強烈な個性を放っている。

 冷静に聴けば演奏は3ピースでEL&Pなんかと同じ構成なんだよな。それでいてこういう音世界ってのはなかなか頑張ってるよなぁと。EL&Pとほぼ同時期にドイツから出てきてる分けで、ギターレスでのロックって発想なのかな、それとも見つからなかったからそのままギターなしでいいんじゃね?ってことなのか、音楽聴いている限りはギター入ってたらもっと面白いこと出来てたアルバムだよな、って思うし。それが多分次のアルバム「Frumpy 2」に反映されてるんだろうけど、このファースト「All Will Be Changed」はそれはそれでプログレッシブなアプローチが楽しめる。もちろん秀逸なアルバムだからこそこんだけ楽しめる作品なんです。

Asterix - Asterix

Asterix - Asterix (1970)
Asterix

 ロックの歴史って面白いなぁって思う事のひとつに世間一般に知られている、世間でもないのでロック界隈で知られている事柄ってのが必ずしも正しくないし、事実でないという事が割とあるってことで、それはもうプロレス的と言うか、所詮商売のお話だから上手くそうやって売ったもん勝ち、戦略勝ちで、まさかそんなに後世になって語り継がれていくものになるなんて思ってなかったんだから、どこかの何かで最初に書いたり発言したりしたことがそのまま残っているなんて考えもしないしね。

 このAsterixってバンドはLucifer’s Friendのメンバーが組んでたバンドで、ほぼそのままLucifer’s Friendに名前を変えてのデビューアルバムをリリースしているのだが、Asterixとしても1970年にアルバム「Asterix」がリリースされている。もっとインパクトあるバンド名にしてキャラクター出して売れる下地を作っていかないとダメだろう、ってことだったのかもしれないね。んで、面白いのはこの「Asterix」を聴いてみると、何と快活なハードロックが展開されているんだな。つまり、スコーピオンズよりも前にこういうジャーマンハードロックを展開していたし、その中には英国ハードロックよりも秀逸だろうってのも多くて、ってか、アルバムがそのレベルにあるんだから当然もっと知られていてもおかしくないアルバム、バンドだったワケだ。それがヴァーティゴ行ってLucifer’s Friendになったらマイナー落ちしてしまったっつうかさ、戦略ミスだったのかな。だから、ここで聴ける音はロックの歴史には出てこないけど、多分この手のハードロックとしては相当早い部類に作り上げていて、それがこの後売れていく事を思えば、実に残念な作品になるワケだ。いや、アルバムは凄い良いよ。

 冒頭の曲はもうアメリカにそのまま通じるだろ、ってくらいに能天気で、あんまり好みじゃないけど、アルバム聴いていくとどんどん湿っぽさが出てきて、どこか突き抜けられない感があるんだけど、歌はもう感性しているし、バンドのテクニックもしっかしてるしアレンジだってアマチュアの、70年代のそれとは一線を画しているし、アルバムジャケットだってアップルで卑猥さを表現しているのか?のようでもあるし、まぁ、そこがダサいんだろうってのあるが、かなり面白い感じの作品になっていることでちょいと驚いた。自分の好みの音ってのが大きいけどさ(笑)。

Lucifer’s Friend - Banquet

Lucifer’s Friend - Banquet (1974)
Banquet

 70年代のドイツのバンドっていくつかは知られているんだけど、大抵はクラウトロック=ミニマル的なのが多くて、それがドイツらしいみたいな印象があったんだけど、当然そんなハズはなくって、そこから中に入っていかないと外には出てこないバンド郡ってのは分からなくてね。んで、漁って見るとかなり面白い世界なんだけど、如何せんマイナー過ぎて手に入らないという…、今の時代でもアマゾンになかったりするしさ。日本で言えば日本でしか売れてないバンドを探す、に近いんだろうね。そんな中、ハードロック界隈ではそれなりに知られている、長いキャリアを誇る、またジョン・ロートンという英国人をボーカルに据えている事もあってか知られているバンドがLucifer’s Friend。

 1974年の4枚目の作品「Banquet 」はどうにも驚きの世界観で唯一無二とも言えるのかもしれない。ハードロック…それもB級感もあるハードロックバンドが、進化していって、何でもありな世界だからって、ここでシカゴの影響を受けたのか、そういう世界も良さそうだ、ってことで進んだのか、ブラスを大胆に導入。ブラス入りのハードロック的展開だけど、曲は思い切りプログレという不思議。歌っている人は普通にロックを歌っているかのようなスタイルなんだから何とmおアンバランスでチグハグな音世界なワケですよ。正にごった煮な世界で、キャッチーなメロディーを快活なジョン・ロートンがブラスをバックに歌いつつも曲は一辺倒では行かない、だからこそのアルバム中5曲しか入っていないという長尺曲の嵐。こういう自由度が良かったんだよなぁ。それに加えての圧倒的な熱気、やる気、白熱ぶり、がアルバムに詰め込まれている。決して売れていたバンドじゃないのに、好きなこと尾をやっていくんだ、みたいな気概ってのかね、それで40年やってるんだし、そういうスタンスは当初から出ている。名前とバンドの実態とカテゴライズ出来ない分からなさが聴きにくさを増しているんだろうけど、最初のアルバムから取り組んでいけば色々判ってくるし、バンドの実力なんてのも見えてくるんじゃないかな。とってもユニークなドイツらしくない、いや、ドイツだからこその発想で出来ているのかもしれないバンド。

 んで、このブラスロック&プログレハードなアルバムってのはなかなか聴くことないんだけど、案外ブラスが邪魔になっていない。全面に出てくる所も多いんだけど、きちんとブラスの音の使い方みたいなのが研究されてて邪魔なトコには来ないし、有効に使われているからかな。それがバンドの音を邪魔していない、ってかさ。そういうセンスがしっかりしているんだな。だからブラスの入ったのなんて聴かねぇよって自分でも、あぁ、ブラス入ってるんだ、くらいで聴けてしまう。そんだけの自信なかったらこういう路線に挑戦しないだろうしね。いやはや、やっぱり70年代の音は楽しい。



Scorpions - Animal Magnetism

Scorpions - Animal Magnetism (1980)
Animal Magnetism

 CD時代になってからのアルバムジャケットのアートワークとしての魅力は間違いなく下がってしまっている。古くからあるバンドやアーティストでは相変わらずジャケットに拘ったりしてくれるが、あのサイズじゃアートも何も表現する価値が低いのだろうなとは思う。今の時代なんてジャケットって…ってくらいに見向きもされていないんじゃないだろうか。それに比べてアートワークまで拘る、むしろそっちで話題を取る、くらいの売り方もあった時代の作品群は芸術性も高くて面白いものも多かった。その代表格が英国では知られているヒプノシスやキーフ、ロジャー・ディーンになるのだろうし、アーティストとクリエイターがタッグを組んでいる例も多い。

 ヒプノシスとScorpionsという不思議な組み合わせは何枚かのアルバムで続けられた。その中でも昔から実に秀逸な作品だと思っているひとつに「Animal Magnetism」がある。1980年リリースのスコーピオンズのアメリカ進出を目論んだ作品として知られていて、どうにもパッとしない作品として語られているけど、このアルバムジャケットだけで作品としての価値を高めている。それくらいにアートワークってのは世代を超えて重要なモノだったのだ。事実、それだけでこのアルバムをずっと記憶している自分なんかもいるわけで…。普通に眺めてても興味深いし、何かのアートワーク写真集とか見ててもやっぱり出てくるし、とにかく目立つ。特撮じゃないし、ヒネってもいない。単に普通の被写体の置き場所を練っただけでこのインパクトだ。人間の深層心理をよく見極めた洞察力の賜物だろう。

 そんな印象が強い中、それでもスコーピオンズなんだし、マティアス・ヤプス加入後2枚目となるアメリカ進出を意識したアルバムってことなんで話題も豊富だし、楽曲だって悪くない。以前のネチネチした独特のドロドロサウンドはまるで見られなくて、叙情的、とも言える作品に仕上げていて洗練されている。その分バンドの個性をどこに求めるのか、となる部分はあるが、そこはクラウス・マイネの歌声一本に尽きるか。ジャーマンハード路線とも言えず、メタルとも言えず、この中途半端さこそがスコーピオンズの個性にもなったかと思われる作品。でもさ、アルバム通して聴いてると結構悪くないな、って思えるんだからやっぱりどこか面白いんだよ。そんなアルバムなんだが、やっぱり裏ジャケも含めてのアートワークの勝利に思える(笑)。



Accept - Staying A Life

Accept - Staying A Life
Staying A Life

 90年代って無機質でインダストリアル的なのが割と出てきてた時代だったんだなぁ、とアレコレ調べてたんだけどね、結局ふと気づくのは、自分はこの手の音ってほぼ通ってないし、好きじゃなかったし、あんまりそっちの世界って面白味を感じないしな…、と。どうも人間の精神的マイナス面をクローズアップしていて、それが芸術的だったりするから存在価値はあるんだろうけど、そこに入り浸るってのは向かないな、ってのもあってね、やっぱりスカッと能天気に、能天気ってのとは違うが、ガツンと血湧き肉躍るみたいな方がいいや、ってことで…。

 Acceptの1985年の大阪公演を完全収録したらしいライブアルバム「Staying A Life」。いや、ドイツのバンドあたりがチラッとかすった時に思い出したんだけど、ちょいとな…ってのがあって、でも、やっぱり聴きたい時に聞きたいモノを聴いて楽しむってのが普通の感覚だし、そのまま聴こう、ってことでAcceptアルバム探しです。何気にメインどころは抑えてあったので、どっか無いかな、やっぱりウド時代のが聴きたいぜよ、ってことで見つけてきたのがこれ。リリースは1990年ってことで既にアクセプト崩壊していた頃にこの全盛期のライブ盤が出てきたってことで、これまら盛り上がったらしく、バンドの再結成への足がかりになったとか…。それにしても独特の歌唱法が超個性的なウドの歌は他のどのバンドをも圧倒する迫力、それに加えてのバンドの一体となったパワフル&スピードな世界が正にアクセプトとしか言えない世界。この頃こういう硬派なバンドは他にメジャー世界では存在しなかったのは確かだ。それがこんだけの人気を博してて、今でも重宝がられているってのはやっぱり超個性的だったってことだろう。

 やっぱりね、アメリカや英国からでは出てこない音の質感がある気がする。ドイツならではの重さがあって、硬質な印象そのまま…、それに加えてのライブの白熱。それが当時のアクセプトで日本公演でその全盛期が見られてたんだもんな。確かその来日公演時のチラシだか何だかを見た記憶がある。30年以上経過してそのライブ盤を聴けてしまうってのもなかなか不思議な話ではあるが。自ずと気合の入るライブ盤で、一気に聴き通してみるとかなりスカッとするね。



Depeche Mode - Songs of Faith & Devotion

Depeche Mode - Songs of Faith & Devotion (1993)
Songs of Faith & Devotion

 日本では全く人気がないけど欧米ではとても人気があるバンドってのが結構存在する。そもそも日本での人気なんて欧米のバンドやレコード会社がさほど重要視しているようには思えないし、もちろん売れるんだったらどこで売ってやるみたいなのはあると思うけどさ、そうじゃないのをワザワザマーケット広いからって理由でプロモーションをかけるってのもないんじゃないかな。日本側から引っ張りたがればそりゃ対応するだろうけど。どうしても日本的には合わないバンド、ってのがあるのかもね。その昔で言えばその代表格はthe Whoだったろうし、Rammsteinなんかもそうだね。それにDepeche Modeなんかもそうなる。何せ欧米では超の付くビッグアーティストでスタジアムを埋めちゃうくらいのバンドなのに、日本じゃ…ってね。

 Depeche Modeの1993年の作品「Songs of Faith & Devotion」。色々と転機があるバンドだけど、自分的には90年代前後の音が好きだね。好きってもさ、しょっちゅう聴く好きってんじゃなくてこういう世界観が好きっていうだけなので大して知らないけど、ニコ聴いてて、こういう無機質な音世界ってのはDepeche Modeあたりに引き継がれていくんだろうなぁ、なんて思ってたんで引っ張ってきました。ニコのアルバムの後に聴くとこの「Songs of Faith & Devotion」ですらどんだけポップに聞こえることか(笑)。普通だと結構無機質でねぇ…なんてアルバムなのに、凄く人間的でロックしているとすら思えるもん。実際そういう時期にリリースされてるからかなり寄ってきた作品らしいけど、それでもこれだもんな、十二分に暗いです(笑)。いや、でもね、この音世界の中にかなり自分に響く部分を持ってて、それが何なのかがよく分からないんです。でも、聴いててイヤじゃなく、すんなりと聴いていられるしさ、歌声なのか?音なのか?姿勢なのか?分からん。こういう音が好きだとは自分では思えない(笑)。

 そういうターゲットに大して上手くハマりこんでいったんだろうと思う。世界中ではそういう感性の方々が多くて日本では少ないというだけのことだろう。日本人の多くがサザンを聴いて、いいねぇ〜って思うのと同じだ(笑)。Depeche Modeのこの音は素晴らしくロック。不思議ながら。当時はもう全然聴けなかったバンド、聴かなかったバンドだけど、いつしかこのセンスが面白くなってきたワケです。ヨーロッパでの人気は分かる。確かにヨーロッパ受けするもん、これ。でも、アメリカってのは分からんなぁ…、それでも人気あるんだもんな。そういう作品だけど、評判はかなり良いハズ、うん、暗いのは暗い、かな。



Nico - Desertshore

Nico - Desertshore (1970)
Desertshore

 2017年にはまだ馴染みがなくってどこか未来的な感覚を持ったままだ。毎年そうなんだけどしっくりとすぐに馴染む年もあればなかなか馴染まない年ってのもある。自分と数字の相性なんだろうか、もちろんすぐに慣れてしまうのだろうけど、そういう感覚があるってことをメモっておこう。しかしもう昔映画で見たような西暦になってきているんだもんなぁ、それに比べたら実際の進化は遅いと見るべきか、速いとみるべきか、着実に進化しているのは確かだし、随分と変わっている事も多い。年を取った自分がいるのも確かか…。

 Nicoの1970年リリースのソロ名義での3枚目の作品「Desertshore」。昔、これ聴いた時、とにかく重くて暗くてツライ作品という印象しかなくって、到底全部は聴けなかった。たった30分くらいなのに、それでも聴けなかった。それからチョコチョコと聴いたりしたけど、それでもなかなか分かんなかった。たあだ、前衛音楽的なのを認識した頃からは何となくそういう世界とニコの持つ美しさ、地下の水道管と呼ばれた歌声とのマッチングに納得して理解し始めた。それを意識してからはこの「Desertshore」という作品以降で聴かれるドヨーンとした音世界と重さは分かるようになった。好きキライの次元ではなく、そういう芸術というものの存在を認識して、理解できるように努めた。そりゃ音楽だし、レコードなんだから分からない事もないし、ましてや言い方を変えれば実にシンプルな音世界なワケですよ、これ。ハーモニウム(ってオルガンの一種らしい)とニコの歌声だけで成り立っているんだから、他の楽器が出てこないんだからこれほどシンプルなアルバムもないだろ、ってくらいにシンプル。それが重くて聴けないってんだからどうしたものか、って話。ってことは単純にニコの歌声と歌い方がヘヴィだって事なんだろうね。それはその通りだ(笑)。

 ミュージシャンとしてのニコの世界はこれで確立されている気がする。それまでは、例えばVelvet Undergroundなんかではやっぱりバンド側の音に参加した、という印象しかないし、ソロ作にしてもちょいと変わった風味の歌声と歌い方ってことで確かに既に重みはあったけど、こういう神々しさと言うのか、突き抜けた独自の世界ってのはなかったもん。まだ普通に語れたし。それがこの辺りになると、もうニコの音だよ、って言えば「あれか」ってなるくらい、ここから10年内くらいでこういったニューウェイブやアンダーグラウンドなジャンルだ出来上がってくるんだからその元祖でもある。インダストリアル風味とでも言おうか、ドイツというお国柄を見ればそうかもしれないね。そんな作品で決して明るくなるものじゃないし、芸術肌な作品だけど、この暗さと重さはクセになる…、のは女性歌モンが好きだからか?ニコだからか?



Triumvirat - Spartacus

Triumvirat - Spartacus (1975)
スパルタカス(紙ジャケット仕様)

 そういえば今年の豊富とか目標とか色々とそういう設定って全くしてないな…、どうしようか。多分自分の中では常に何かそういうのは決めてあって淡々とやっていくんだ、っていう意識しかなくて、それを表明することが出来ないんだろうと思う。ここで「ブログ続けて頑張ります」ってもさ、普通じゃね?ってくらいにしか思わないし、「ロック一生懸命聞きます」ってのもずっとそうだしさ、じゃ、何だろ?って思うと…、「飽きられないように書きます」か。それも普通だからなぁ…、とか趣味の世界ってのはあくまでも自分の趣味だからさ、あんまり定めなくてもいいかなって思ってるのはあるね。

 1975年にリリースされたTriumviratの三枚目のアルバム「Spartacus」。いきなり登場なんですが、リコメンドで出てきて、あったなぁ〜と気づいて聴いている次第です。ご存知の方はご存知だろうけど、知らない人は全然知らないだろうドイツのバンドで60年代末期から活動していたとか。そもそもがキース・エマーソン大好きな鍵盤弾きユルゲン・フリッツ君が主役になってそのままバンドをやっているという状況からして、想像通りにEL&Pの音色そのままが出てくるという(笑)。ここまでEL&Pで良いのか?ってかそういう音が同時代で出せてしまうのはある意味才能ではあるんだが、聴いている側からしたらさほど面白味はない、か。よくこんだけ出来るな、とかそれでも多分ドイツの中では破壊的な方向ではなくてポップな世界へ進む事を狙ってたのかも、なんていう程度には大人しい。音はそのままだけど。

 面白いな、って思うのは出てくるサウンドがドイツ的って事。同じような事でしてるのに英国的じゃなくてちょいと硬い音なんだよね、やっぱり。それと割と規律正しいって言うか、イレギュラーしてこない。破壊的じゃないってのはそういうトコでさ、予測できるそのままで展開してくるし、心地良さのそのままかな、っていう感じ。でもね、面白いよ。組曲になってるからかな、物語性と言うかそういうのが味わえるし、アルバム丸ごとでEL&Pだけどやっぱり個性は出て来る。何か違うな、っていうのは多くあるから。アコギやメロトロンが多いのは特徴的だよね。

Caravan - If I Could Do It All Over Again I'd Do It All Over

Caravan - If I Could Do It All Over Again I'd Do It All Over (1970)
If I Could Do It All Over Again I'd Do It All Over

 誰でもそうなんだろうけど、自身の音楽の好みとか食べ物だってそうかもしれないけど、好みって定義できないよね?こういう系統が好きとかキライとかあるんだけど、それでも例外みたいなのはあるし、メタルは聴かないけどベビメタは好き、とかさ(笑)、プログレはダメだけどフロイドは好き、とか。第三者からシたらCamelもCaravanも似たようなモンだろ、って言われるのは承知の上で、Camelは苦手だけどCaravanは大好きな自分です…、ってことでついでながらこっちも聴いておこう♪

 Caravanの1970年のDeccaにレーベルを移しての一作目となる「If I Could Do It All Over Again I'd Do It All Over」、バンドとしては2枚目の作品なワケで、最初のが全然売ってもらえなくてレーベルを変えたという経緯もあることから、こちらをバンドとしての一作目と言う言い方もあるようだけど、どっちでもいいや、ここからCaravanらしい音が始まるのは確かで、冒頭からもっさり感はあるものの、正にCaravanと言わんばかりのサウンドがアルバム最後まで繰り広げられます。歌声にベースライン、ギターにオルガン、フルートなんかの使い方、聴きやすいメロディーの旋律にフワフワする心地良さ、どうしてこういう音が出来上がるのか、どうしてカンタベリー一派ってのはこうなるのか、そんなことが一番感じられるバンドがCaravanだし、だからカンタベリーは好きだな、って言ってしまえるバンド。実際他のカンタベリー系統を聴いていてもここまでピンと来るバンドはそうそう多くはない。

 この後のアルバム郡の方が有名だし、確かに名作名盤多しなんだけど、この「If I Could Do It All Over Again I'd Do It All Over」は確実に今後のCaravanの原点となる楽曲をたくさん入れてあって、正に名刺代わりの一枚で存分に楽しめる。どこか切ないこの歌メロに歌声、そして無駄のない自然な楽器の音使い、決してテクニカルではないけど牧歌的な風景を目の前に映し出してくれる、そんなバンド、アルバムとして好きな作品です。



Camel - I Can See Your House From Here

Camel - I Can See Your House From Here (1979)
I Can See Your House From Here

 自分の音楽の好みがどんどんと変化しているな、と感じることがある。それでも昔好きだったのをキライになることはないけど、そんなに聴かなくなるってのはある。それが散々聴いてもう自分では消化しちゃってるから同じのをまた聴かなくても、時間を割かなくてもいいか、っていう類の音楽と、それほど聴いてないけど、好みとして変化したので今はあまり聴かなくなってる、ってのがある。前者は好みそのものは変化してないけど後者は好みが変化しているから聴かなくなったって話だね。後者の方が多いかもなぁ(笑)。

 その代表格がプログレ系統のバンド。昔は時間を割いて一生懸命聴いてて、それが楽しかったし漁りまくってたんだけど、それも時代と時間の無さからだろうか、昔に比べたら全然聴けてないし、聴いててもそんなに熱狂的に楽しめるワケでもなくなってる。自分の好みがどんどんとロック的なエッセンスを求めるようになってる気がする。そんな中、Camelのアンディ・ラティマーのギターの音色の話が出てきたので、ちょいと聴いてみるか、と「I Can See Your House From Here」を。1979年の7枚目、かな、もうね、初っ端からふざけんなってくらいに警戒でキャッチーで苦手な音が展開されます(笑)。いや、自分にとってのお話なので好みはそれぞれってことで…(笑)。音楽的にはかなりキャッチーに仕上げてピーター・バーデンスも抜けてるし、Caravan組もいないし、どっちかっつうとHappy The Man要素なんで、そりゃ明るくなってくわな…ってのは分かるし、アンディ・ラティマーのギターがこう来たかってくらいにフュージョンチックになってて納得感はあるプレイだし、楽曲群。幻想的な世界とキャッチーな歌メロが絡み合っての快活なサウンドは多くのリスナーを魅了したんじゃないだろうか。

 今となってはどこかでBGMとして流れていても何ら違和感のないくらいには警戒で美しく、叙情性もきちんと持ち合わせているアルバムに仕上がっているし、あまりにも軽やかに流れていくサウンドが勿体無いくらいのアルバムだと思う。それまでのCamelってバンドもそういうエッセンスはあったけどここまでになると…ってのがオールドファンの感想だろう。時間が経って、振り返って聴いていればこういうのも悪くないし、アンディ・ラティマーがやりたかった音楽はこういう路線だったんだな、とか分かるけどさ。…と何だかんだと聴いてる作品かも(笑)。



Gentle Giant - Gentle Giant

Gentle Giant - Gentle Giant (1970)
Gentle Giant

 今ロックを聴き始めた、聴いているという若者達レベルでプログレってのは身近にあるのだろうか?昔々の70年代はDeep PurpleやLed Zeppelinと同列でPink FloydやGenesis、Yesなんてのがあって、プログレなんて意識もしないで、こういうヘンテコなのもロックとしてはあるんだ、っていう程度に身近だったと聞く。今の時代には当然そんなことないんだろうなぁ、と想いつつも、一方ではふとYouTubeあたりで探していくと2次元的に今のバンドと同列にプログレバンドだって出て来る。それで聴くかってのはあるけど、聴くことに関しては昔よりも全然身近になっているんだろう。やっぱり好奇心か。

 時間がゆっくり取れないとじっくり聴けない音楽のひとつにGentle Giantがある。折角なので久々にじっくりとゆっくりと聴いてみた「Gentle Giant」、1970年のファーストアルバム。そう、ファーストアルバムにしてこの完成度の高さと構築美の高さ。ロックという次元を超えているのは確かで、その分ロック的面白味には随分と欠けるし、プログレバンド的な華やかさも見当たらない、故に日本じゃあまり知られていなかったようだし、多分今でもコアなリスナーを選ぶバンドなんじゃないかな。自分で今回聴いてても、ロック的に面白くないもん(笑)。ただ、音楽集団として、実験精神的な部分も含めて本当のプログレッシブさで言えばものすごいバンドで、聴いてると凄いな、ってのが先に来る。好みとしてはそうでもないけど、やってることは唯一無二の世界を既にここで実現してる。難解で受けにくいだろうけど、テクニカルな実験音楽が好みならハマるだろう。

 簡単に言ってしまうとですね、自分的には歌とギターの音が苦手なんだな、と改めて思った。楽曲の作りや展開なんかはプログレ的で好きだし、迫力あるトコやクールに攻め立てて来るトコは面白いし、静と動の世界も好きだし、別に苦手な理由もない。ただ、歌はなぁ…、ギターもCamel的な音で好みではないのが大きい。でもね、多分、聴いてると凄くハマってくのはわかる。どうやって作ってるんだ?ってのが最初の不思議で、この音色ってどっから思いつくんだ?ってくらいに多様な音が散りばめられてる。デビュー作だから予算なんてそんなにないからバンドの楽器の音だけのハズなんだけど、こんだけ綺羅びやかに聴かせる程の音色って一体?みたいな音に対する斬新さとかあって、彼らはロックをやってる意識はなくって音楽を作り上げてるって意識でやってると思う。そこにロックファンが飛びついた、みたいなね。とても牧歌的な楽曲もあるし、正しく英国からしか出てこないバンドだから、きちんと制覇していかないとな…。



Gryphon - Treason

Gryphon - Treason (1977)
Treason

 酉年のジャケットを探している時にふと思い出した作品ってのも幾つもあって、ジャケットは思い出すんだけど、どのバンドのアルバムだっけな…とか、頭の中だけでイメージされてて、バンド名が出てこなかったりとか、タイトル忘れてたりして探し出すのに時間かかったりしてたのもあったし、なかなか普段考えない項目でアルバムを探すのは大変です。鳥の絵が使われてるジャケット、なんて探し方したこと無いでしょ?これが案外たくさんあるんだけど、インパクトとしてはさほど多くなかったかな。

 Gryphonの1977年リリース5枚目にしてラストアルバムとなった「Treason」。元々が古楽とロックの融合ってことでリチャード・ハーヴェイがその才能を余すこと無く活用していたバンドだったんだけど、アルバムごとにポップ…と言うか普通なプログレのバンドへと接近してきて、挙句はかなり良質な聴きやすいサウンドへと進化してしまったが故にコアなリスナーからは嘆かれる始末、時を経て聴いてみればそれは良質な音楽的変化と進化であって、決して悪い方向でもなかったように思えるが、あそこまで綺羅びやかで繊細なサウンドを作り出していた事を思うと、普遍化へのアプローチは残念感が漂うのはしょうがないか。

 …と言えども、そのアンサンブルは他では真似出来ないレベルにあることは間違いなく、本作「Treason」ではそれはイエスと同じような作風に仕上がってしまったことで分かるように、完璧にシンフォニック且つ構築美を追求していく性であるが故に、こうなってしまったと言ったところか。決して悪くない。悪くないが、Gryphonである必要性もこれまた薄い、か。やってることは凄いんだけどなぁ…、ってな作品。

Budgie - If I Were Brittania I'd Waive the Rules

Budgie - If I Were Brittania I'd Waive the Rules (1976)
If I Were Brittania I'd Waive the Rules

 正月ってヒマと言えばヒマだし、行事的に忙しいと言えば忙しいんだろうし、毎年のことながらウチのブログなんかでは年末年始ってのはガクッとアクセス件数が減る傾向にあって、割と真面目に書いててもしょうがないんじゃないか?なんて思った時期もあったんだけど、まぁ、結局自分的には好きで聴いててどうあれ何か聴いてるワケだから別に何でもいいか、ってことに落ち着いてて、しかも好きなの聴いて適当に書いてるだけなんだからアクセスがどうとかってのも、どうしようもないしな、なんて悟りの境地に入って長くなる(笑)。

 Budgieの1976年の6枚目の作品「If I Were Brittania I'd Waive the Rules」。一説にはこれでBudgieは下降線に入っていくっていう作品らしい。いわゆる普通化してきたっていう事らしいんだけど、リアルタイムな頃にはそうだったのかな、今聴いてみると到底そうは思えないBudgie節バリバリな気がするんだけど、それまでの作品で強烈な英国的ハードロックの一面を作り上げてしまったってのがあるから、それに比べたら確かにインパクトは欠ける、か。あんなのばっかり作れないだろうよ(笑)。

 …とそれは比較論的に言われることだけど単発のアルバムとして聴いてみた「If I Were Brittania I'd Waive the Rules」ではやっぱりバッジーそのもので、さすがにやや冗長的な部分はあるけど、ギターリフにしても歌にしてもアレンジにしてもこの強引さやチープさやあり得ないだろ、っていう展開は相変わらずだし、鋭角的な音はやっぱり独特。強いて言うならば録音技術が高くなったから3ピースのこの音がチープに録られていることがアリアリと判ってしまうって事か。それもバッジーなんだけど。

 AC/DCのルーツってのもこういうところにあったのかもね。比較されることもないだろうけど、割とアプローチ似てるかな、なんて思った。メタリカが影響受けたってのは分かるけど、やってる音は全然違うしさ、いつまで経っても愛すべきB級バンド。なんだろうな…。



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Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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