Lucifer’s Friend - I'm Just a Rock N Roll Singer

Lucifer’s Friend - I'm Just a Rock N Roll Singer (1973)
I'm Just a Rock N Roll Singer

 イモ臭さが残るジャーマンハードを幾つか聴いてて、あまりにもその手のばかりなのでもうちょっと洗練されたカッコ良さがあるバンドも聴いときたいのぉ…ってことで、手を出したドイツと英国混合編成って言い方が正しいのだろう、Lucifer’s Friend…ルシーファーの友達って、ヨーロッパでそれって結構ヘヴィな名前なんじゃないか?なんて改めて思ったりしたのだが、インパクト欲しかったんだろうな。英独混合編成になったのはもちろんあのジョン・ロートンがボーカルで歌っているからなんだけど、この人、ホントメジャーになれなかったけどものすごい歌唱力なロックボーカリストなんだよねぇ…。

 Lucifer’s Friendの3枚目の作品「I'm Just a Rock N Roll Singer」は1973年リリースで、やっぱりこのジャケットのインパクトが凄いよな。ちなみにこれはジョン・ロートンじゃないです、くれぐれも。アルバムのインパクトを出すために作ったジャケットで、「I'm Just a Rock N Roll Singer」って言いながら頭の天辺が薄くなったオッサンがボーカルってのも哀愁と皮肉がたっぷり振り掛けられているってことをシニカルに楽しみましょう。そのユーモアが分からずしてこのバンドとアルバムは楽しめまい…。ってね、音聴くとジャケットの事なんてどうでも良くなるよ、多分。ホントにさ、冒頭から快活なR&Rと抜けるような歌声でのロックが聴けるし、2曲目あたりになるとどこかロバート・プラントと同じようなニュアンスでの歌い方も聴けるし、この声の伸び方も半端なくプロな歌が聴けるしね。そして、この頃の独のバンドと明らかに異なるプロダクションのプロフェッショナル加減とA級な音作りとヌケの良さ、Vertigoってこんなにメジャー級な音出せたのか?ってくらいに王道に引けを取らないサウンドプロダクションが素晴らしい。いや、普通なんだけどさっきまで聴いてた音がアレだからさ、コレがすごく抜けて聞こえてくるワケよ。ギターにしてもドラムにしてもベースにしても全部。

 そしてアルバムの中身と言うかバンドの実力も明らかに抜き出てて、どうしてこれでメジャーに進めなかったんだ?ってくらいにアグレッシブだし、やっぱりジョン・ロートンの歌が圧倒的。バンドもそこに引っ張られるかのように勢い余ってるし、不運なバンドだったのかな、やっぱりルシファーの友達じゃなくて天使の友達とかじゃないとダメなんだろう。そうだね、確かにバンドとしての代表曲みたいになるのがちょいと無さすぎて、ゴチャゴチャしちゃってるのはあるか。ギターももっとブルージーに行くか抜けまくるかって中途半端さはあるし、と聴いてると色々あるけどさ、でも良いバンドだし良いアルバムだよ。ジョン・ロートンが結構Lucifer’s Friend時代の事を好ましく思ってて自分の出発点的に意識しているみたいで、何でだろ?って思ってたけど、全力でやれることやりまくってるってのが分かるとなるほどなぁ思う。最初の2枚が有名だけどその後ももちろんカッコ良いのいっぱりやってます。ただ、それがアルバム一枚素晴らしい、ってのにはならないのは実力か…。



Birth Control - Hoodo Man

Birth Control - Hoodo Man (1972)
Hoodo Man

 ジャーマンハードっても英国のハードなのが流行ってた時期と結構かぶってて、だからこそそれらの影響をモロに受けてるのもあるし、発想が似ている部分もあればどうしてそうなる?ってのもあるけど、どれもこれもダサくてねぇ…、抜けた存在ってのが実に少ないのはお国柄か?その中でも名盤「Live」ってのがあるから結構なバンドだろうって思いながら聴いて漁っていったのがBirth Controlってバンド。ところがどっこい、キャリアが長いだけあって70年代でもかなり変貌しているので好みのアルバムを探し出すのは割と手間取った。

 1972年リリースのBirth Controlの3枚目のオリジナルアルバム「Hoodo Man」はすでにジャケットが物語るようにセンスの無さは一目瞭然…、いや、だからと言ってそのアルバムの中身までどうのってんじゃないところは流石だ。75年のライブアルバムまではこのバンドはハードロックテイストの強いプログレ風味のあるバンドで、ギターの比重も大きくカッコ良いバンドなのだが、その後は鍵盤の比重も高まり、また楽曲もハードロック一辺倒ってのはなくなってもっとプログレ的になっていくので、自分の普通に聞く範囲での好みはどうしても初期に偏ってしまう。ま、それはそれで良いじゃないか、と。キモはギターの追加にベース、鍵盤とメンバーが変わった次作あたりから一瞬が一番充実していた時期にあるのだが、今回は微妙にその直前の作品「Hoodo Man」です。

 根底にはハードロック的なスタイルを進めていきたいってのがあるけど、鍵盤も出してキャッチーさも多少は…ってのか、勢い一辺倒だけの作品とは異なり割と練られてる。そこは普通にバンドとして3枚目のアルバムにもなるんだから色々考えての作品に仕上がるのは当然だけど、この時点での方向性は良く分からん。オルガンハード…とも言えないしジャジーなベースラインもあっりするし、そこまで考えきれてない作品かね。最後なんてどうしてこういう音が出て来る?的なのあるし、もうちょっとハードに偏ってるかと思って聴いていたからかスカされた感はあるか。まぁ、この手のバンドに当たりってのは少ないからこんなもんでいいんだけどさ(笑)。



Jeronimo - Cosmic Blues

Jeronimo - Cosmic Blues (1970)
Cosmic Blues

 音が良い、悪いというのは時代によってどんどんと変わっていくのだろうけど、どんなのが本当に良い音なんだろね。今のデジタル技術で録られた音は確かに今は聞きやすいしきちんと本来の楽器屋声が持つ音を捉えて再生してくれているのだろう。しかし、それなら昔の音も同じように生々しくその次代の音を伝えてくれている。レンジの幅や情報量と言う部分では圧倒的に少ないのかもしれないから、そういう所で音の良さが変わってくるのかな。もちろん録るという部分から違うんだから当たり前だけど、じゃ、肉声や生バンドの音だったら今と変わらないって事ではあるよな。でも、ま、アンプとかあるし結局ロックの世界って機材の発展で音が変わっていくのはしょうがないのだ。

 1970年のドイツの田舎から出てきたJeronimoというもちろんダサいハードロックなバンドのファーストアルバム「Cosmic Blues」。有名なのはセカンドの酋長ジェロニモの写真の「Jeronimo」だけど、こっちは出てきたばかりの頃の音で、とにかくエネルギーやパワーは凄いんだけど、曲が妙にポップセンスあったりして不思議な音が出て来る。やってることはハードロックとR&Rの合いの子なんだけど、メロディがダサダサのポップさなんだもん。メロディーだけ取ったらGFRやランナウェイズみたいなモンじゃないか?ってのは言い過ぎだが…。そうか、ギタリストがセカンドだと交代しているんだな、だからこっちのはそういう意味でまだハードロックだぜ、って方向性も明確にはなっていなかったのかもしれない。

 実に生々しい録音でのアルバムに驚くが、これこそ冒頭の文章に繋がるサウンドで、迫力やら白熱さってのはもう凄いのがマザマザと伝わってくるし、目の前でツバが飛んで来るくらいの勢いだろって音で聞こえるんだから堪らない。なんつうかなぁ…凄いドラム含めてドライブしてるの。リズムキープってよりもドライブしててさ、妙にファンキーなのもあったりして、実はハードロック一辺倒なバンドじゃないんだろうな、っていうのはメロディもリズムもある。ベースも結構それに追随してて何やら実は訳の分からない方向性が出ているアルバムだ。そこでセカンドで方向を定めたって所か。そんなことを感じながら単純に笑って聴けてしまうアルバム、いや〜、もっとガツンガツンと楽しみたかったのがこういう風に力が抜けるとはね、なかなか楽しめるよ。



Hairy Chapter - Can´t Get Through

Hairy Chapter - Can´t Get Through (1971)
アイズ+キャント・ゲット・スルー

 どうも発散しきれていない日々が続いている…、それなりに色々とあるのは当たり前だけど悶々としてるのが溜まりっぱなしなんてのもあるんだな。本人そんなに自覚してないけど、重なってくるとやっぱ鬱になってくるし発散の仕方が下手になるかも(笑)。んで、聴くものもだ、やっぱり頭使って聴くのはヤメてただただガツンガツンと来るのを聴きたいなって思うワケ。じゃ、それってさ、って話なんだけど、こういう時が来るのが分かっているし、そもそも好きなタイプの音だからチマチマと取り揃えてたりしてるんですよ、日々ね♪

 1971年にリリースされたドイツはボン出身のHairy Chapterってバンドのセカンドアルバム「Can´t Get Through」。いわゆるジャーマンハードってヤツとしちゃそれなりに知られている、ハズ…だと思う。人によってはファーストのほうが絶品だと言う人もいるのだろうけど、自分的にはセカンドの方がガツンと来やすいかな。…とは言っても、何だ、この時代のドイツのバンドだからさ、ガツンは凄いんだけど、ダサダサのパワーで、音はとってもチープだから今時の基準からしたら単に古いロックってだけにも聞こえるのだろうな。んでもさ、生々しいギターとベースとドラム…そもそもオーバーダビングとかしてないんじゃね?生で一発録音に近い音で…、あ、ギター2本鳴ってるから重ねてはいるのか…、それでもこれだもんな。ちょいとドラムのドタバタ感が足りない気もするけど、ベースもしっかりとやりまくってるしギターはもうとにかく俺が引っ張るぜってくらいに弾きまくりでギターらしい音がそのまま出てて心地良い。更にフレーズはとても単純で一辺倒なリフで叩き伏せる的なのもよろしい。

 もちろん初期のサイケブルースからの発展もあって、この頃の英国ハード的な取り組みにも近い…もちろんB級感溢れるのはしょうがない。歌にしても生々しくて、日本でもそうだったけど上手いとか下手とかってんじゃなくってどんだけ成り切ってハマってロックしてる自分に酔えるか、みたいなところで歌ってるから雰囲気は凄いワケよ。それがバンド全体に満ち溢れていて、曲にしてもひたすらにダラダラと長々やって、それでも展開は幾つもあって、小技なんて利かせることもなく、ストレートにぶつかってくる…、音も技術も今じゃどうでも良いけど、このアグレッシブなロックに対するひたむきな姿勢が感動的ですらある。この辺だけを取れば今のストーナー系に引き継がれている所だろうか、いや、それなら今でもこのまま通じる…、うん。このアプローチはこの時代ならではだけどな。



Gordon Giltrap - The Peacock Party

Gordon Giltrap - The Peacock Party (1979)
THE PEACOCK PARTY: REMASTERED AND EXPANDED EDITION

 まだまだ聴いたことのないアルバムだったりアーティストだったりってのはもちろんたくさんある。何かをきっかけにして聴いてみれば面白い発見もあるんだろうし、自分に似合う音ってのも見つかるだろう。それにしてもあまりにも過剰に溢れているからそれを見つけ出すのが大変だし、自分でも思ってない所で好みの音があったりすることもあるからね、なかなか大変です。無理して探し出すほどでもないけど、見つけると嬉しいし、止められない趣味のひとつだ。

 1979年にリリースされたGordon Giltrapの作品「The Peacock Party」。そういえば昔何かの本でジャケット見たことあったけどとても探し出せないままで、ほったらかされていたアルバムだ。こういうのもその時聴いてみたいって思っても手に入らなくて、でも、その時に聞きたいって思ったんだからそれなりに自分に似合う音だったんじゃないか、って確率が高い、はず。まぁ、全部が全部好みじゃないにしてもどんなんだろ?ってのと何となく想像している音ってのもあるし、期待して聴くワケです。うん、何ともフュージョン的と言えばそうだし、プログレ的アプローチと言えばそうだし、やっぱりアコギ系と言えばそうだ。メンツにはそれなりの猛者が何人も揃っていて一大イベント的なアルバムに仕上がっているけどGordon Giltrap自身はフォーク上がりの人だし、それでいてこんだけのファンタジックなインスト作品が綺羅びやかに書けるってのは凄いよね。キラキラしたサウンドがまんべんなく散りばめられた作品で、どこからどう斬っても英国的な気品に満ち溢れている。

 Gryphonのリチャード・ハーベイがリコーダーなんかで参加しているのもあるのか、実にGryphon的な音でもあるし、牧歌的な古楽的な雰囲気をも持った作品で、バイオリンにはリック・サンダース、ベースにジョン・ガスタフソン…、何か凄いな、この個性派の集団って。それでいてこの音とは英国は深い。ジェネシス的と言われていたので見つけて来たんだけど、そんなにジェネシス的とは思わないけど、まぁ、ギター中心に聴けばそうかも。ハケットってあんまり好みじゃないからこっちの方がいいか。それにしてもインストでこんだけ聴かせられるのもなかなかないんじゃ?





Genesis - A Trick of the Tail

Genesis - A Trick of the Tail (1976)
A Trick of the Tail

 ハードなロックが好きでギターサウンドが好きな自分的にはプログレバンドと言えども聞く回数の多いバンドは圧倒的にクリムゾン、フロイドで、その次にEL&P、グンと減ってイエスとジェネシスになるのだけど、それでももちろん結構聴いたりチャレンジしたりはしていて年数を重ねてもいるからそれなりには聴いてるんだろうと。でも、好む、までは至らずにまたちょっと聴いてみようかなという感じで何度か聴いている。そのウチ好きになる日が来るかもしれないっていうのもあるけど、やっぱり知っておかないとなぁってのもあるか。何となく傾向は判ってるけど深く入れないしさ、ちょこちょこ耳にして掌握してこうと。

 1976年リリースのジェネシスのピーガブ脱退後、そしてフィル・コリンズ最初のフロントボーカルバンドとなった時期のアルバム「A Trick of the Tail」だ。昔初めて聴いた時、違和感なく聴けちゃって、こっちのジェネシスの方が良いじゃないか、って思ったくらいだ。ピーガブのジェネシス程のヘンさが無かったから素直にファンタジックなプログレが聴けたってのが良かったんだと。フィル・コリンズってのも意識してなかったから、これがそうだったのか、って後から思ったくらいで、まずアルバム的にいいな〜ってのが最初の印象。ただ、ちょっと線が細くて軽やかにすら聴けてしまったのがロック的じゃなくて気になったのかな、ジェネシスは軽い音だな、っていう。英国のこの手のバンドとして聴くととても良くできてて繊細な音もきちんと大切に鳴らされてて、もちろんアレンジも音使いも素晴らしいし、B級バンドにはない確実な才能が聞こえてくるのは確かなので、その耳で聴くと極上の作品とも言える。こういうのを作りたくて皆苦労してるんだよ、ってくらいのお手本的名盤。

 今聴き直しててもプログレ的プログレとも言えず、もっと英国に密着した音と言うか、やはりそのヘンは12弦ギターの音色なんかも手伝うんだけど、キラキラしてるからかな、変拍子ちっくな訳でもないし、音楽の構成としては物語の展開があるから曲調が変わったりするのは当然のようにあったり、コーラスにしても鍵盤にしてもそういう雰囲気を出していく事でその音が必要みたいになってるし、フィル・コリンズの歌はクセもなくそのまま楽曲の歌を表現しているだけなので害はないしね。ただ、どうしてもあの顔と頭が浮かんでしまうから自分としては常にマイナスイメージが付きまとうのが苦しい…(笑)。そういうの抜きにすると素直に好きな音、です。もっと聴き込んでもいいんじゃない?ってくらいには思うけど、何故かやはりマイナスイメージのせいかあまり積極的には聴かないのだな…。



David Gilmour - Live in Gdansk

David Gilmour - Live in Gdansk
Live in Gdansk (Snyp)

 ピーガブとケイト・ブッシュがアーティスト的に割と近い関係にあって、幾つか共演したりしている。一方でケイト・ブッシュってのはピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアが発掘して育ててデビューさせているという経緯がある。しかしながら面白いことにピーガブとギルモアってのはオープンに共演してます的なのは写真程度しか見たことがないので、奇才二人の共演ってのはなかなか難しいのかもな、などと思っていながらそういえばこれ見たいんだった…。

 2006年のライブツアー千秋楽のポーランドのライブを収録したDavid Gilmourソロ名義の「Live in Gdansk」ライブアルバム。見ていると実際は半分Pink Floydをやってるようなモンだからそういう見方になっちゃうんだけどさ、映像の方ね、見かけはそりゃ年取ってるけどもう音は芸術的な域にまで達したギルモアフロイドサウンドの究極の姿かも、ってくらい完璧に仕上がってて、その圧倒的な完成度の高さに驚くばかり。こういうのが当たり前なのかもしれないけどさ、ロジャー・ウォーターズにしてもギルモアにしてもやはりピンク・フロイドっていう芸術集団を担っていた方々はステージや音、芸術性にこだわったスタイルってのが変わらないもんなんなだと。一時期はギルモアフロイド、ロジャー抜きのフロイドって…ってのあったけど、こうなってくるとそれももう超越してて芸術音楽としてのレベルの高さにただただ脱帽。狂気からダイアモンド、そしてエコーズなんてのはもうホント、圧巻です。

 盟友リック・ライトが鍵盤で参加していたツアーで、映像でも見れるけどちょいと感動的だったのはやはりふたりのコーラスワークで、しかも「Comfortably Numb」ではロジャーのパートをリックが歌っててさ、他の人が歌うより説得力あるもんね。明らかに二人フロイドを見せてるライブで、ギルモアのギターと歌をクローズアップしまくってて、ソロ曲は元よりやはりフロイド曲を聴いてしまうよね。当時は前衛的な音楽として知られていたフロイドサウンドが40年経過してもこういう形で芸術的な音楽として今でも脚光を浴びて演奏されるってのは凄いよな。実際聴いてて見てて惹き込まれるし、今の機材だともっと進化したフロイドサウンドなんてのも出来上がっちゃうし、そういうのも実験している感じはあって何気に今でもチャレンジしている姿が聴ける。

 ポーランドという国の雰囲気だろうか、このサウンドと硬質なポーランドの雰囲気と妙にマッチしていて拍車をかけてのライブの完成度を高めている感じだ。いやはや、それにしてもエコーズが凄い…。





Peter Gabriel - Peter Gabriel 3

Peter Gabriel - Peter Gabriel 3 (1980)
Peter Gabriel 3 (Remastered)

 ロックのアルバムには芸術性の高い作品やエネルギーをそのまま封じ込めた作品、音楽として作り込んだ結果というものなど様々なベクトルを向いたものがあるが、そういうのをカテゴライズしたものがカテゴリという概念、そういう意味で行くと芸術性の高いものがポスト・パンクやニューウェイブ、前衛的なサウンドとも言えるのだろうが、この手の作品は実に難しい。普通にロックだぜ、って言って聴けるモンじゃないからそれなりに「ヘン」な感性を理解できるセンスが必要だ。本能的にそういうのが好き、キライっていう事でその感性は出て来るから敢えて近寄らないでもいられるんだけど、近寄ってみるとそのセンスに入れるか入れないかってのがマザマザと分かる。

 自分的にはこのピーガブのセンスってのはともかく、声が苦手だ、アルバムは名作傑作の誉れ高い1980年の代表作「Peter Gabriel 3」。ゲートリバーブを導入したドラムサウンドから始まることで斬新な作品、こういう実験的な取り組みやシンバルを一切使わないという制約の中で作り上げた冒険意欲、こういうのもロックというか芸術性の高い創造作品の成せる業とも言える。聴いている側はその違和感に惹き付けられてその芸術性の奥深さに入り込んでいく、そういう聴き方が出来る人はそうなっていくのだろう。正しくアーティスティックな作品として名高いアルバムで、聴いてみればそりゃもう、なるほどなとなる作品で、普通に聴いていられる作品ではない、少なくとも自分には全てが違和感という作品。そこで声の好き嫌いが思い切り出て来るんだけど、それを無視してもポストパンク的なニューウェイブ的なアルバムサウンド…、PILみたいなモンでね、それはもう音作りとかアプローチが、ってことだけど、どんだけロバート・フリップがギター弾いててもケイト・ブッシュがコーラスしててもこのヘンな違和感は残る。それで何度も聴くってのもあるのだが…。

 深い。とにかく深い。面白いのは、こういう実験的なことをして今の時代にまで通じる音作りを成し遂げているという野望、そういう作品が出来た、っていう事がロックだ。単に前衛的な実験音楽をやっているんじゃなくて、それがきちんとポップスの作品として成り立ち、一般化しているというセンス、先取りのセンスだ。そこにはロックアーティストというよりも芸術肌の職人たちが多数絡んでいるというあたり、実験音楽ってのは単に実験だけじゃしょうがないからね。この時点でスティックを既に操っているトニー・レヴィンなんかもそういうセンスだったのだろう。そううのを総評しながらアルバムを聴いてみてやっぱり、この人の作品は好きじゃないわ、って思う自分なのだが(笑)。







Robert Fripp - Exposure

Robert Fripp - Exposure (1979)
Exposure

 ヨーロッパの音楽に傾倒していったBowieさんが名盤をリリースしまくっていった頃、その雰囲気を作り上げていたのはもちろん稀代の音師、ブライアン・イーノだったのだが、その脇でその不思議な前衛感覚を音にしていくギタリストとしてロバート・フリップ卿という人物がいたのだな。そこでこの二人の化学反応を持ち込みながらもらしさを失わない強力なサウンドが出来上がったのだが、一方でクリムゾンの音は実に好みで聴きまくってるのだが、ソロ活動系になるとほとんど着手していなかった自分もいた。参加メンバーに食しをソソられなかったのとやはり前衛的な音が中心だからだろうという勝手な予想からだった。

 1979年にリリースされたロバート・フリップのソロ名義の「Exposure」。いや、もっと早く聴いておくべきだったと後悔した一枚。いつものことながらそれでもこうして耳にできた、聴いたってことで良かったな、というのはあるけど、ここまで「Red」時代のクリムゾンの延長線にある曲があるとは思ってなかった。ダリル・ホールと仲良くやってたってのが自分的にはすごくマイナスだったんで、こういう路線とは考えなかったもん。あ、それはもうダリル・ホールとの共作のお話じゃなくて、それ以外の曲のクォリティとピーター・ハミルの旋律の歌声による所が大きい。ダリル・ホールとの共作は全く面白味もなくなんでこんなのをやりたがったんだろ?と首を傾げる普通にポップス領域の曲調ばかりだ。それなりに試みはあったんだろうけど、ここで今さらフリップ卿がやる必要はなかったんじゃないかね、って気がする。

 ところがその辺以外の曲について言えば不思議な雰囲気と旋律とアグレッシブなあのギタープレイが楽しめる、もしくはフリップらしいギターの旋律が走りまくる、さらに攻撃的なスタイルが多くのクリムゾン信者を納得させる歪んだギターサウンドが聴ける。そうそうダリル・ホールの歌らしいけど「NY3」なんてボウイの「スケアリー・モンスターズ」とほぼ被る取り組みだし、こうして実験的な音は成功へと変わっていくんだなというのを聴ける一例。そういう意味でこのアルバムは価値が高いはずだ。さらに「Mary」でふと女性ボーカルが透き通って出て来るとなんだっけ?くらいに不思議な感覚に襲われる…、ソロアルバムの自由度ってこういう所にあるんだろうなぁ…曲は「風に語りて」的だからおかしくないし。そしてピーター・ハミルと一緒になっての歌とかさ、どちらも自身のバンドじゃあり得ないワケで、だからこそのこういうセッションを楽しんだんだろう、その切実な雰囲気な曲と楽しみが同居している様が聴けて面白い。

 じっくりと何度も聴ける作品じゃないけど楽しめるアルバムで、クレジット追いかけながらなるほど、ってな楽しみ方になるかな、作った時なお話を色々と調べていると結構難産だったらしくポップスター事務所からあれこれと出してくれるな的なクレームが多かったとか…、今なら出せる音ってのもたくさんあるらしい。ブロンディのデボラ・ハリーが参加してるヤツとかね。



Mick Ronson - Heaven & Hull

Mick Ronson - Heaven & Hull (1994)
Heaven & Hull

 ボウイの右腕ギタリストとして常に名が挙がるのはミック・ロンソン、自分的にはそれほどかとは思わないんだけど、やっぱり黄金のジギー時代を支えた美青年ギタリストってことで根強い人気があるのだろう。ボウイ遍歴の中でのギタリストって結構多彩なメンツとやってるので面白いし、かと言ってそんなにギターに依存した曲が多いというワケでもないので、やはりクリエイターとしての作品ありきでギターも必要であれば使う、という感じだろうか。それでも一緒に仕事をした面々に対しては常にリスペクトしている節が多く、仲違いしたというのはほとんど無さそうだ。さすがプロの仕事人。

 ミック・ロンソンの遺作となった「Heaven & Hull」は結果的に生前完成に間に合わず、ほぼ出来上がっていたマテリアルを友人たちで仕上げてリリースされたアイテム。1993年の製作中での出来事からこの作業を行い、翌年にはリリースしているのだから当時も話題性は高かった。更に言えば前年の春にはフレディ・マーキュリー追悼ライブでボウイやミック・ロンソン、イアン・ハンターやジョー・エリオットなどもそれぞれに仲良く共演していたワケで、その流れでの合流とサポートだったのだろう。なかなか涙混じりになってしまう遺作なので、レベル的にどうのとか言う話じゃないんだろうな。それでも久々にリリースされたソロ名義の作品としてはかなり気合の入った力作だし、作り上げた連中の腕の確かさってのもあるからか、引き締まったスタンスのアルバムに仕上がっていると言えるんじゃないかな。冒頭二曲は圧巻の出来映えだろうし、ボーナストラックでのライブも聞き所だ。

 タイトルは文字通り天国と英国のハル出身のミック・ロンソンだからハル、なのだろう。相変わらずなロックギタリストになりたがっているギタープレイ、どこか安定しないアマチュア的な側面を持つプレイで、そこが自分的にはどうも、っていう点なんだけど、愛らしいプレイなのかもしれない。ミュージシャンというよりは明らかにギタリスト、ギター好きな人のプレイで曲作りにしてもゼロベースってよりはあるものいじる方が上手そうだし、だからこそソロ作が少ないと言うか、20年位の沈黙があったのか…。いやいや、それでもボウイをして一番のギタリストだったんだからね。





David Bowie - Heathen

David Bowie - Heathen (2002)
Heathen

 大して線の太くないところでも何故か繋がっていて仕事になっていくとか、ふとしたきっかけで会話が弾むとかある。普段接してても全然流れない会話と比べてみるとどちらが自分の日常なのか、なんて思ったりもする。徐々に普通の日常に制されつつあるんだけど、どうにかして脱出して夢の世界で生きたいなんて気がしてるけど、到底無理だろうし、じゃ、一時の夢を見るような生活にしていきたいけど時間が許せるか?みたいなトコだな。時間は作るもの、と言うけどね、それでも足りないってのは大いにあってさ、レコード聴くとかってのはやっぱりそれなりに時間がかかるし、そのために忙しい中で聴くのと、じっくり聴くのでは心構えも準備も違うんで、必要最低限の時間ってのが自分の気分も含めて調整できるか?ってな話。

 ピート・タウンゼントが参加したってことでちょいと面白い話題にもなったDavid Bowieの2002年のノスタルジー感たっぷりな「Heathen」という作品。元々メロディセンスには事欠かない稀代のソングライターでもあるボウイなので、この手の作品を作るのは全く容易な事だったんじゃないだろうか、とも思えるし、以降の作品も含めて実に自然体での曲作りなんだろうなぁと思わせるものが多い。この「Heathen」について言えばビートのある曲そのものがほとんど見当たらない、すなわちガツンと来るようなロックというものではない、ってことだ。じゃ、踊れるようなのがあるか、ってぇとそれもない。普通にポップス的な作品ってのもの見当たらないので、じゃ、どんなんだ?ってなるような感じで、結局唯一無二な作風の世界にいるんだよ、ボウイってさ。歌を聞かせるってほど歌がうまいワケじゃないしさ、曲が無茶苦茶良いか、ってぇとそういうんでもない…、いや、すごく良いのが並んでるからそう聞こえるんだが…、はて、それでは一体この作品は何なんだ?と。

 アルバム単位で聴けば名曲揃いの歌曲揃い、歌唱力にしても表現力にしてもアレンジにしても雰囲気にしても全て見事に作られたハイレベルな作品で、自分的にも実に好きなアルバムのひとつだしね、その要素がボウイだから、って一言に集約されちゃうワケ。味があってどんどん染み渡ってきて、繰り返し聴いて、また忘れた頃に聴いて、って感じでそれでも飽きずに入ってくる深さ。好みだけじゃない気がするけどなぁ。んで、ピート・タウンゼント参加の「Slow Burn」なんかは冒頭からギター弾きまくりの掻きむしってるサウンドがその存在感を際立たせている。この二人の関係性ってのもいまいちよく分からないんだが、ボウイがロック的なのを求める時ってThe WhoやStonesなんだろうな。その期待を全く超えたギタープレイを披露してくれるのがピート・タウンゼント、いやいや、こういうギターを弾けるのはもちろん知ってるけど、やっぱりギタリストとしても素晴らしいプレイヤーであることの証明がこんなところでも聴ける。

 結局この頃のボウイはちょっと自分の歩みをゆっくりしていた時期で、だからこそ自身の60年代の作品を再録音したアルバムを出そうとすらしていた時期で、いくつかはアチコチに断片が入ってるけど、そういう自身の初心の楽曲が同時にマッチするような時期だったんだろう。言い換えると40年くらい前と同じような事をこの時代の楽器とアレンジでやってみた、というお話なのかもしれない。それでも60年代の楽曲群の素晴らしさは改めて知らされることとなったんだけどね。自分自身コレ聴いたのってリリースされた2002年当時くらいで、十数年ぶりに聴いたけど、こんなに良い作品だったのかと驚いてる。この人の場合は70年代とか限定する必要なく、21世紀の作品だって完璧なクォリティの作品が並んでいるんで、まだまだ楽しめそうだ。最終作の「Blackstar」だってまだ全然聴けてないしな…。





Pete Townshend - Scoop

Pete Townshend - Scoop (1983)
SCOOP(紙ジャケット仕様)

 自分でギター弾けるようになって色々と楽しみが出てきて、バンドなんかやったりするでしょ、そんで自分達の曲なんてのをやってみたくなるんだけど、誰が曲なんて作るんだ?って、その時点既に素人でしかないんだけど、そうなってくるとギター弾くヤツが普通は曲ってのを作るんだよ、ってなるし自分でもそうなんだろうなぁと思ってたし、果たしてどうやって曲なんて作るんだ?って所から始まるのだな。その時点でやっぱり才能ないんだけど(笑)、ま、曲らしきものを作る、ってかギターでかき鳴らすとかリフみたいなのを弾いてそれらしくしていくなんてのは出来たりすると思う。ただ、問題はどう作ってもバンドのメンバーにどうやって伝えるんだ、これ?って。テープ録音するってもギターだけだろ?仮歌メロなんて…ね、ヤだしさ(笑)。そもそも考えてないとも言えるが…、4trマルチとか知らない頃のお話でした。

 だからPete Townshendの「Scoop」ってアルバムは相当驚いた。1983年のリリースだからThe Whoが正式に解散してしばらくしてからこんなお宝物をリリースしたんだ…、ギタリストのソロアルバムなんてさほど面白いものが多くないんだが、こういうお宝モノなら受けただろう。一般的なファンの獲得じゃなくてThe Who好きだった人たちへのプレゼントでもあるか。内容はですね、シンプルに本当の意味でのソロアルバムとも言えるんだけど、ピート・タウンゼントが自宅で録音していたThe Whoの頃の楽曲とかのデモテープそのもの。ソロアルバムのもあるけど、どっちでもピートが自分で曲作ってリズムマシンや自分でドラム叩いたり、ベースもギターもピアノも効果音ですらも入れてしかもあのまま歌っている、完全にバンドのメンバーにはこれを聞かせて、やるか?くらいのもの。やるならそれはこのデモテープのコピーだからな、ってレベルだ。バンドメンバーはこの才能を凄いと思っていたんだろうけど、ここまでヤラれると単なるプレイヤーでしかない、っていう感覚でもあったんじゃないだろうか。もっとも単にその通りにやるだけではないし、あのメンバーがこのデモを独自の解釈で叩きつけてくるからこそのバンドのパワーになるのだが、それでもこのデモテープのクォリティの高さというかそのままリリースできるレベルであること自体、それを物語っているけど、ホント、ここまでしたら自分の音世界を他人に伝えるという意味では最強。ものすごい時間かかるだろうけど、もう楽曲が頭の中で全部鳴ってて完成しているんだろうな。それを再現するだけってのが中心で、そこでいじっているウチに新たにアイディアや流れが飛び出してくるっていう感じかな。機材オタでもあったようだけど、それでも凄いわ。ちゃんとミックスもしてたりエコーがかかってたりもするんだから、もうこういう雰囲気で作るんだ、ってのまで指示してる。プロデューサーにすらイメージを伝え切ってるのだ。

 自信のソロアルバムで使われている曲もあるしThe Whoのもあるし、これでしか聴けないのもあったりするんで、ピート・タウンゼント作曲の未発表曲をバンドで迫力増してやったら何か凄いかも、なんて思ったり(笑)。コレはピート・タウンゼントのホントにお宝の一角でしかなくって、このあと幾つかデモテープ系の作品がリリースされるし、果てはThe Who時代の「Lifehouse」や「Tommy」「四重人格」までもデモテープをリリースしてて、ホントに、コンセプトから歌詞から曲、ストーリーや諸々まで全てピート・タウンゼントが作って仕切っていたのがもう明らかで、それでいてあのライブパフォーマンスってのもまたギャップがあって分かりやすい。そんな事を実感するお宝アルバム、しかもアナログ時代は2枚組だからね。







Jimi Hendrix - Live at the Fillmore East

Jimi Hendrix - Live at the Fillmore East
Live at the Fillmore East

 白熱のライブを聴いていると、やっぱり音が古いなぁ〜とつくづく感じる(笑)。今のバンドでもこういう演奏している人たちっているって思うんだけどここまでの熱気を感じることはない…ないのかな、そういうのを耳にしてないだけかもしれないから、そんな事ないよ、今だってスゲェのいるよって教えて欲しいくらいだけど、多分難しいだろう。何せこういう音をやることに賭けてる人達ばかりだし、他にやることもなかったし、今の時代とは違って忙しくなかったしバンド集めてひたすらに口と手と楽器でやって曲作りしたりジャムったりするんだから、デモテープ云々とか宅録で云々なんてのはもうちょい後だしね、そういう作り方してた人は割と珍しかったんじゃないだろうか、ってくらいの70年前後の時代。そう考えるとThe Whoのピート・タウンゼントは凄いわ。

 白熱のライブとブルース、そして命日じゃないかと気づいたのでジミヘンです。もうじき「Machine Gun Jimi Hendrix the Filmore East」ってライブアルバムが出るんでそっちにしたかったけど、まだリリースされてないから似たようなのを(笑)。「Live at the Fillmore East」ですね。似たようなの、って言えば「Band of Gypsys」とかあるんですがね、要するに1969年大晦日から正月にかけて夜通し行われたライブで、しかも二日間に渡りっていうのが凄いエネルギーだと思うがこの頃ジミヘン26歳くらいだし問題ないか。ヤク漬けだしそのくらいじゃどうってことなかっただろう。マジメに書いておくと大晦日に2ステージ、正月にも2ステージという二日間でのライブ、それがしかも全部録音されてて、そこからの抜粋盤が最初に、ジミヘンが存命の頃に「Band of Gypsys」としてリリースされたワケ。まぁ、これは契約消化の意味合いが強かったらしいが、それでも新曲多数だったし、しっかりとアルバムの体を保っていたとも言えなくもない…か。それで、もちろん全部録音されてたワケだから幾つかそこから抜粋して編集版が出されたりしたけど、そんなに大っぴらに出てくることはなかった、けど、この「Live at the Fillmore East」が1999年にリリースされた時はもうジミヘンの遺族が版権握ってリリースしていたので、こういう大胆なライブ編集版も出てきたんだよ。それがまた「Band of Gypsys」とはほぼ被らない演奏をチョイスしてきたと言うマニア泣かせなリリース、ホントに少しづつ出しやがって商売上手いな、ってトコだ。

 今度リリースされる「Machine Gun Jimi Hendrix the Filmore East」は1969年大晦日の最初のステージ丸ごとというモノで、これがまた「Live at the Fillmore East」や「Band of Gypsys」なんかにはほとんど入っていないので、演奏の質がそこまでのものじゃなかったのかとも想像されるけど、未発表ライブだよ、みたいに言われると食指が疼く、さらにこのときのライブの最初の演奏ならそんなに悪いハズないし、とも思う。そういう要素も商売なんだろうけどさ、まだまだ続くジミヘンのライブ音源リリース、知る限りではまだまだ良質なソースは残っていそうだから当分楽しめるだろう。もちろん既に集めることは諦めてて、聴きたい時にいつでも聴けるジミヘン、その時に違うライブを毎回探して楽しめばいいや、というようないい加減なリスナーに成り下がっているが、それでも聴く度にエキサイトするし楽しむものなのでいいでしょ。

 話戻してこの「Live at the Fillmore East」、冒頭の「Stone Free」からして新しい魂を宿したバージョンというように感じるんじゃないだろうか?初期の勢いだけで畳み掛けてくるライブ演奏から随分とアレンジと言うか曲と演奏を楽しむようになってきたと言うか、あれ、これって「Stone Free」だっけ?ってくらいには何コレ?感があって楽しめる。初期の曲もこうして変化させていくのはやっぱり面白いよね。やってる側もそうだろうし聴いている側も飽きないし、またライブ見よう、聴こうってなるもん。もっとも初期の曲なんてあまりやってないけどさ。だからこそこういうのが面白い。他のジプシーズ時代のはもっとソウルな感触が強くなってるからちょいと馴染みが違うからさ。特にこの「Live at the Fillmore East」ではそういうのが集められてる、かと言ってそれがジミヘンらしくないハズもなく、これこそジミヘンだろってくらいにギター弾きまくってて新たな宇宙を創造している姿が目に浮かんでくる。いやいややっぱりギターに酔えるねぇ〜。





Led Zeppelin - The Complete BBC Sessions

Led Zeppelin - The Complete BBC Sessions
コンプリートBBCライヴ【デラックス・エディション】(3CD)

 ロックに対して自分と似たような姿勢で聴いていたって人もそうそう出会うことはないし、異なるからこそ面白いのもあるんだけど、ふとした会話の中で、あ、それ、そうそう、全く自分もそう思ってたんだよ、みたいな会話があってね。いや、ちょこちょことそんな瞬間があるんで止められない。もちろん似たようなあたりが一番のお気に入りなロックなんだけど、やっぱり三つ子の魂百までとは言ったもので、そこに戻る。んで、そういえばさ、ZeppelinのBBC完全盤ってことで3CDでリリースされるんだよ、って会話もしてたんで、うん、やっぱり聴くワケですよ。自分的にはもちろん全部聴いてるし、昔はもうデータまで含めて全部ハマってて未発表曲だのなんだのとあれこれ楽しんでたんで聴いてないのはなかったんだけど、BBCモノってやっぱり数曲単位でしかやらないモノだから音も良いんだけどじっくりと聴くってアイテムじゃなかったんです。1971年4月のライブは70分強の長さがあったから聴いたけど、それでもやっぱり贅沢なことにこの頃のライブの中で突出した出来というワケでもなかったからか、あまりハマっては聴いてなかったかな。そんな思いもありつつ、1997年に2CDで「BBC Sessions」がリリースされた時にもちょいと冷めて聴いてた。なんだ、あれこれ抜けてるしカットしてるし、アレ入ってないのか…とか。でも、もちろんこのクォリティでの音はありがたかったね。

 そして2016年、昨今ひたすらオリジナルアルバムのデラックス盤をリリースしまくってきたジミー・ペイジがなぜか「BBC Sessions」の完全盤「The Complete BBC Sessions」をリリースするとな…、それかよ、と思いつつもタイトル通り全部入るのだろうと期待して聴いてみるのだ。蓋を開けてみればオリジナルの2CDにボーナスディスクとして未収録だったBBCセッションがまとめて突っ込まれているという事態。う〜ん、そもそもこの辺のマテリアルを入れなかったからああいう曲順になったのかと思ってたけど、こういう出し方になるのか、と。これまでのデラックス盤のあり方からしてもそうなるのは予測は出来たけどね、まぁ、いいや、ジミー・ペイジがきちんとリマスタリングしたらしいんで、結構な音圧で聴けるしこの時代の音を再現するにはもう素晴らしくてどうしようもないくらいの音です。それはもう大音量で聴いてみて感動的なくらいに目の前で演奏しているような錯覚を覚えるくらいの音圧。Zeppelinってスゲェわ、やっぱ。何だよ、この音圧と音のデカさ。それにこのエネルギーが溢れまくっててどうしようもないくらいのパワーの塊、曲が良いとか演奏が云々なんてどうでも良いくらいの迫力、これぞロック。正にロック。ロバート・プラントの野獣の雄叫びのような叫び声に迸る熱唱、圧倒的に場をシメているボンゾのとんでもないドラミング、縁の下の力持ちと言われるジョンジーだってブイブイと鳴らして屋台骨の輪郭の太さを強調している。そしてジミー・ペイジの変幻自在に富んだカラフルなギタープレイ、なんてこった…、とんでもなく凄まじいプレイとしか言えない。それがどのライブ…いや、どのスタジオセッションでも力を出し惜しみすること無く全力でバシバシと叩きつけてくれます。

 それにしてもファーストアルバムをリリースして間もない頃のライブのくせにアルバム通りに曲を演奏しているなんて半分くらいしかないというか、この時点で既に楽曲なんてのは崩されまくっててバンドのインタープレイの素材でしかないような扱いですらあるのは時代の成せる業か、クリーム亡き後の時代だからこその解釈としてポップバンドとは全く異なる世界観でのロックスタンダードだったか、ラジオ音源であっても実験的なライブプレイをそのままやってる始末。もっともレコード通りにやるなんて発想自体が無かっただろうが。まったく苦笑いしか出てこないようなお話だけど、ホントそれが凄い。そしてこの「The Complete BBC Sessions」の最大の功績はBBC自体が録音していなかったのか消してしまったのかと言われているセッションまでもがコンプリートの名の下にブートレッグからの逆収録ってことでオフィシャル化されているところだ。必要悪と昔から言われていたけど、全くその通りで、こうやって収録されてくれるってのはありがたいよね。よりによって「Sunshine Woman」なんて未発表曲がいきなりライブで聴けちゃうワケでさ、それを出せない、出さないってのはジミー・ペイジ的には無いもん。今の時代じゃなきゃ出来なかったかもしれない。聴いている限りは先の音源達と無茶苦茶差がある、というような音質でもないし、そりゃちょっとマスターソースからっていう感じではないけど、十二分に迫力は増しているし音圧も加えているからそういう意味ではボーナスというよりもきちんとキレイにして収録しているんでね、幻のセッションも聴けるし、こういうロバート・プラントの歌い方のパターンやジミー・ペイジのギタープレイも新鮮なので似てはいるけど毎回違うプレイを存分に楽しめる。アングラで発掘された時も結構聴いたけどここまでキレイな音で聴けるとはね。

 初期のZeppelinはブルースベースのバンドだったからこの後で聴ける超プログレッシブなバンドという姿になる前だし、基本的にブルースからロックという流れのど真ん中だからどっぷりと楽しめる。ちょっとね、違うんだよ、初期の楽しみ方は。ただ、ひたすらにZeppelinのパワーとエネルギーを楽しむと言うか…、曲の凝り具合ってのがまだ無いからそういうパワーで押しまくるっつうかね、そういうところが思い切り出ている時期。そこに留まらなかったからこそ偉大なるバンドになっていくんだけど、この初期のスタイルだけでも相当なモンで、同時代のバンドとは圧倒的に一線を画している。似たような音をだすバンドは多数いたけど、ここまではないもんなぁ。いやいや、久々にZeppelin三昧で聴きまくったが、やっぱり凄いの一言。ただし…疲れる(笑)。






Little Junior Parker - Drivin’ Wheel

Little Junior Parker - Drivin’ Wheel (1973)
ドライヴィング・ホイール+8

 古い録音のアルバムだとそれぞれの楽器を誰がプレイしているみたいなクレジットが無いものも多くて、結構苦労する。このギタープレイって誰なんだろ?知られてる人なのかスタジオミュージシャンなのか、それとも若いころの誰それなのか、とかそういうのが分かると納得するのもあるし、またこんだけギターが弾けても名が知られてないってのは名が知られている人たちってのはやっぱりどこか突出しているんだろうって納得するし、コレクター的な部分で知りたがる。今じゃネットで調べればなんて思うけど、実際そこまで言及されているのってなかなか無くて苦労する。クレジットされてなきゃわかんないもんな。それでも知られているのは知られているし、ニッチなトコいけばこの時期のメンバーが云々なんてのはある。

 Little Junior Parkerなる人、ブルースをかじり始めた頃にも名前は見たりしたんだけど、歌とハープな人だったから全然食指が動かずそのままにしてて聴くのは随分後になってしまったけど、ちょうど良い機会なので1973年の作品「」、モロにアメリカの黒人の憧れをそのままジャケットにしました的なデカい車をバックの記念撮影、いいねぇ、古き良きアメリカ。出てくる音は割と洗練された暑苦しくない歌でちょいと意外なんだけど、ギターが良いなぁ…誰なんだろうなぁ…と冒頭の文章になるワケです。ペケペケな音なんだがフレーズがロック的解釈してて、それは時代背景によるものなのか、なかなかに楽しませてくれるプレイ。ただ、やっぱり全体感としては歌もの系な傾向が強いかな。

 とは言え、ここまで来るとそうそう発掘モンのギタリストってのもなかなか見つからないし、愛好家さん達もかなりディープな世界まで入り込んでいる世界だからねぇ、広がりはないだろうし、この中で探していくしかない。新たなマテリアルが出てくるモンでもないし、そうやって全てのコンテンツが発掘されてしまったら恐らくそのジャンルは衰退していくだけ…、歴史になるかゴミになるか…(笑)。





Little Milton - Blues N' Soul

Little Milton - Blues N' Soul (1974)
Blues N' Soul

 ロックの世界ではギタリストってのはとっても花形だし、歌もそうだ。んで、歌いながらギターを弾くってのは2つの花形を一人で持ってく、すなわちワンマンバンドになっちゃうんだけど、実は歌もギターもスゲェって人は多くない。ジミヘンはギターは神だけど歌は別に上手いワケじゃないし、3大ギタリストは歌わないし、クラプトンが頑張ってるけど、どっちも…ってな感じになってるし、なかなか両方って人は多くない。ブルースの世界に行くともっと顕著で、ギター系はとっても好まれてるから歌はさほど重要視されてない…けどB.B.Kingなんかは歌もしっかりソウルしてたりするから唯一無二な存在だったのかも。

 さて、Little Miltonはギターもさながら、どっちかと言えばその歌声のソウル感の方が目立つためかソウルな系統に位置付けられることも多いけどその姿を見てわかるようにギターを抱えているワケだからソウルなボーカルシンガーってな色眼鏡がなくなる。んじゃブルースメン?になるけど、それでこの歌?スゲェ…みたいなお話。1974年にリリースされた有名な「Woman Across The River」を筆頭にしたアルバム「Blues N' Soul 」。明らかにソウルメンだろ、って歌とブルースメンなギターの両方がしっかりと入ってるアルバムを大いに楽しもう。ホントはこういう全てに秀でた音楽ってのが望まれてるのかもしれないけど、それが実現しちゃうと実は完璧すぎて面白みに欠けるって部分もあるのだろうか、なかなかそういう作品は少ない。

 しかしこんだけギターがキュイーンって鳴いてて歌が完全にソウルフルでホーンセクションもあって、しかも曲がしっかりと良い曲で出来てるってのはなかなか無い、無いけどそれが凄く傑作ってワケじゃないのは面白いよなぁ…世間的に知られてる作品ってワケでもないし、何でだろ。とは言え自分でもリトル・ミルトンってやっぱりソウルフルな歌が…ってのが邪魔だったってのあるもんな。純粋にギターブルースを追いかけてると後回しになっちゃってね、普通にギタリスト的にスゲェって思ってればそんなことなかったのにな。しかし、これ、名盤だな、ロックエッセンスももちろん入ってるし、ブラスロックでもあるし(笑)、足りないのはヒネりかな、しょうがないが。







Memphis Slim - At the Gate of Horn

Memphis Slim - At the Gate of Horn (1958)
At the Gate of Horn

 シカゴにメンフィス、テキサスにニューヨーク、ブルースはその地域地域に密着したスタイルを着実に根付かせていて、今でもそのスタイルはその土地々々に継承されているし、ニューオリンズなんから純然たるブルースというスタイルにはならずに更に独自進化している。そんな土着音楽がブルースだ。最初は分かんなくても、何となくこれがあれがと聴いているとシカゴは、メンフィスはなんてのが何となく判ってくるようになるし、だからこそ楽しめる世界もある。今回メンフィス・スリムを聴いてて、あぁ、やっぱりシカゴ系な音だなぁ…とマジマジと実感しちゃってね。

 Memphis Slimの1958, 59年の録音素材をまとめたアルバム「At the Gate of Horn」。ブルースロックファンなら聴いておいた方が良い。メンフィス・スリム自体はもちろんピアノプレイヤーなのでロックファン的にはちょいとハマる事はなさそうだけど、ここでギター弾いてるマット・マーフィー、すなわちブルース・ブラザーズで有名なマット・マーフィーのギタープレイが超ロック的でストンとハマってくる。それにね、ロック的感覚からしてもかなりガレージ的なアプローチとも言えるスタイルがあったり、2曲目の「Steppin’ Out」なんてクラプトンで知られてるけど、このフレージング、自分的にはポール・バターフィールド・ブルース・バンドのアレなんだよなぁ。それでシカゴかぁ、確かに洗練されたシカゴブルースってああなるのかも(白人だけど)って思ってね、地域密着スタイルがそんな所で聴けて…、全編がそういう雰囲気。ピアノという楽器が流れているからかもしれないけど、当然の如くホーンセクションも鳴っている。

 歌にアクはないけど、ギターにピアノという楽器のスタイルはともかく、出てくるサウンドが妙にスタイリッシュで洗練されてるのが印象的な名盤。ホント、ギターがかっこいい。こういうの聴いてたから後のロックバンドのギター小僧達はああなったのか、ってのも何か分かるわ。





Robert Jr Lockwood - Steady Rollin’ Man

Robert Jr Lockwood - Steady Rollin’ Man (1974)
ステディ・ローリン・マン

 昔はリズム&ブルースとブルースの意味合いの違いなんてのがよく分からなかった。R&Bってブルースも含めての事じゃないの?とかね、ソウルとR&Bとかブラコンとかその辺の意味の違いも分からなかったな。単なる総称なんだけど、それなりにその単語があるということは意味があるってことだろうし、それぞれの代表的なモンってのがあるんだからそれなりに意味のある呼び方なんだろうと。そこでブルースだ。R&Bのブルースじゃなくて純粋にブルースだ。それには戦前と戦後がある。ただ、戦前に活躍した人たちが再度活躍したのが70年代だから戦後ブルースと重なってきてややこしい話にはなるのだが…。

 Robert Jr Lockwoodの1974年復帰してからの二枚目くらいの作品かな、「Steady Rollin’ Man」。この頃このままのメンツで来日公演を果たしてそのライブから超有名曲ばかりを収録した名盤「ブルース・ライブ!(フロム・ファースト・ジャパン・ブルース・フェスティバル)」なんてのもあるので、この頃が一番日本ではRobert Jr Lockeoodの名が知れ渡ったんじゃないだろうか。来歴はもうご存知のようにロバジョンの義理の息子、ってのはギターだけの意味かと思ったらホントに母親の再婚相手がロバジョンだったらしい…、女癖悪くて云々ってことは母親がその相手だったってことか?確か刺されたんじゃなかったっけ?まぁ、そういうのは色々あるんだろうということで、話を本題に戻して、ロバジョン直伝にギターを教わったRobert Jr Lockwoodのギターはロバジョンよりもちょっと現代的なギターフレーズで仕上がってるからまだ理解しやすいと思う。そこのあの手のギターフレーズがバンバン入ってくるワケだから馴染んだものだ。

 今の時代になってこういうのをたくさん聴いていると、それぞれの個性の違いをきちんと認識するまでじっくり聴くってのは皆出来るものなのかなぁ…。気に入ったのをひたすら聴けばそれで良いんだけど、あの人とこの人はこういうところで違っててさ、とかアルバム聴いててもどっかで聴いたような…ってのも多いけどギターのフレーズとかで聴き分けちゃうとかそういうのが必要な世界な部分もあるし、一般的ではないわな。Robert Jr Lockeoodはそういう面では尖った個性と言うよりはマルチ的な個性で多様なプレイヤーな方じゃないかな。だからアルバムそのものにはさほどの個性派宿ってないけど聴いたら凄いブルースな作品だからハマってく、そんなアルバム。ハマると面白いしね。



Al Green - Green is Blue

Al Green - Green is Blue (1969)
グリーン・イズ・ブルー

 色々と重なってて疲れが超ピークでダメダメな日々なのでまともに音楽聴けてない。そういう時に聴きたいと思う音楽ってのはそんな疲れとか無視して突っ走れるくらいのガツンガツンくるロック系か、癒やされたい〜ってのかどっちか。どっちかっつうとガツンと行きたい所なんだけど、その前にこの頃のブルースってのもホーンセクション絡んでたような…とかアレコレ見て聴いて調べてる余裕もなかったんで、何か…、へぇ、こういうのもそうか、と聴いてみたのが自分的にはとっても珍しいであろうコレ。

 Al Greenの1969のセカンドアルバム「Green is Blue」ってなモノで、自分的には大した知識もなかったんだけどブルース名盤なんかでは取り上げられてることも多かったし一応知ってはいた。ただ、今回聴いてみて思ったけど、これまで自分が接しなかったという理由はなるほど、正解だったかなと。基本的にゴスペルボーカリストなソウルフルな歌い方なのでそりゃもう心の染み入る歌で、その意味ではもうまったりと甘ったるくてドロドロって感じなんで、ロックとは対極な所の歌ですな。こういうの聞きたかったか?ってぇとちょいと違うけど、それよりもバックに出てくるギターのエグさがかなり強烈で、それにちょっと興味を感じた。まろやかな旋律と音でソフトに弾いてくるのかと思いきや、ギュワンギュワンとファズりまくったシングルコイル的なギターの突き刺さるような音が瞬間的に入ってくるという効果的な音で、そういうのをこういう甘い音野中で使うのか、と云うのは新鮮だった。それがなきゃ、3曲も持たずに寝てるもんな。

 もちろんそういうギターの音だけじゃないし、しっかりと曲にあったマイルドなトーンが基本、それでホーンセクションもしっかりと使われてて、この辺はTower of Powerで慣れてるとこだけど、B.B.Kingなんかもお得意家芸だったから違和感はない。ここでB.B.Kingがギター弾いてたらぴったりと当て嵌まっただろうね。後々にはセッションしてるからそういうのはいろいろな人が感じるものなのだろう。久々にこういう歌もの聴いたけど、気持ちは良く分かるけど、好みじゃないってだけだな、自分。デカい音でナマで見てたらスゲェ感動するだろうし。スピリッツ的にはロックもソウルも変わらんトコあるし、そういうのが詰め込まれててさすが熱気ムンムンな作品、ってなトコだ。



Chicago Transit Authority - Chicago Transit Authority

Chicago Transit Authority - Chicago Transit Authority (1969)
Chicago Transit Authority

 ブラスロックの本家本元と言えばもちろんシカゴになるのだが、自分的には全然シカゴってバンドを通ってない。有名曲「長い夜」くらいは知ってるけど、アルバム単位で云々なんてまるでなし。ベストヒットUSAとかで出てたのを聞いてた事があるくらいだけど、その時代のシカゴじゃ多分話にならないだろうし。アメリカのロックって全然弱くってさ、リアルタイムで知ってるレベルのものはまだマシだけどちょっとでも後追いしないとわからないのは全然追ってないから知らないんで、この辺の話はまるでダメ。…ってことでシカゴも実は全然なんだけど、良い機会なのでね、聴くんです。

 Chicagoの1969年にリリースした衝撃のファーストアルバム「Chicago Transit Authority」。いや、これは衝撃的だっただろうというのは即座に分かるくらいのよく出来た、出来過ぎたアルバムとも言えるか、完全なブラスロックを最初からやり尽くしてしまっているんだから恐ろしい。そりゃもうここから先は何も出てこないわ…と納得するばかりの出来栄え。パワフルで、メロディアスで、アグレッシブなプレイに計算され尽くしたかのようなブラスセクション、新しい音を作っていったバンドなんだな、ってのは良く分かる。しかも単に融合させただけじゃなくてしっかりとクォリティの高いものに仕上げて出して来てるし、ロックそのものの定義とか意気込みなんてのを忘れてなくて、きっちりとその辺は押さえて出てきてるから見事なもんだ。デビューからしてしばらくはアルバム二枚組で出し続けたってのもなかなか反抗的で良い。

 バンド名がシカゴ、だけでなかったのも有名な話だけど、アルバムジャケットもその影響でファーストの「Chicago Transit Authority」だけはちょいと異質になってしまったのはやむを得ない事だろう。それにしても見事なアルバムだな…、良く出来てるし聴き惚れる人も多いのが分かる。好き嫌いになるとやっぱりブラスが邪魔じゃね?とか思うけど、それはそれできちんとバンドと音楽が成り立っているんだから重要なモノであろう。こういう新しい音世界は確かに刺激的。今聴いても新鮮だもん。



Heaven - Brass Rock 1

Heaven - Brass Rock 1 (1970)
Brass Rock 1

 ロックの熱気は70年代に限る。いや、限るというか、ひたむきに愚直なまでにそれだけを貫いていたという意味で70年代はぶっ飛んでる。信じられ無いだろうけど60年末には「世界に平和を」ってフレーズが本気で信じられてて皆が皆それを願っていたし、何事にもひたむきに進んでいき、疑うことはなかった時代だ。その流れは70年代に入ってからも続き、商業主義が出てきてもそれはごく一部のお話でやってる連中は実にピュアな取り組みでロックをやってた。だから今じゃ同じことは出来ないし、特殊な要素が詰め込まれていたのも事実。うん。

 このHeavenってバンド、ほとんど知られてないんだろうと思う。1970年の唯一作「Brass Rock 1」をリリースして散ったバンド、ただし時代の産物だったことであのワイト島フェスにも出演しているし、その頃はアメリカのシカゴに対抗できるブラスロックバンドとして期待されてたという。今聴くと本気か?って思うんだが(笑)、そのぶっ飛びモノの熱気と気合とアプローチは頭が下がるくらいに熱狂的で心が疼く。ブラスロックか、と侮るなかれ、どっちかっつうとB級白熱ロック路線の中にブラスが入っているだけ、というような感じなので、主体があの時代のロックのアドリブ感や熱気や音のぶつかり合いにあって、それをテーマ的にひとつの流れに沿っていけるようにブラス勢がテーマを作っているというような感じか、聴いてみればわかるけど、単純にロック。バンドの演奏もアンサンブルもなかなかおもしろいし、何よりもこの歌…暑苦しい(笑)。

 こういうバンドが世界を制するハズもないけど、こうしてB級好きには堪らないお宝バンドとして重宝する。ギターにしても歌にしてもベースにしてもドラムにしてもかなりユニークなスタイルで、このまま普通にハードロックバンドとして君臨してくれても良かったのに、と思うくらいのプレイスタイルは喝采モノ、しかもそれをこのスタジオ・アルバム内で実現しているというのはメジャークラスのバンドでも出来なかった熱気の封じ込め、一発録りに近いから出来たのだろうけど、こりゃ凄いわ。どうしたらこんなに暑苦しく出来るんだ?ってくらいにはロック。ブラスロックって聞いてて結構興ざめで手を伸ばすのも遅かったけど、ちょっと損したかな…、でも、出会ってみれば面白くていいよ、これ。



If - If 4

If - If 4 (1972)
If 4

 一人でハマりまくって聴くのも良いけど、やっぱりロックってのは発散していくモンだしなぁ、とジャズロックと言えどもそういうのってあんだろ、ってアレコレ漁っててそういえば…って想い出したのがIfってバンド。イフ、ね。ブラスロック代表共言われるけど、ギターが結構頑張ってて、見事に歪んだギターとブラスが融合しているジャズ的アプローチを取り入れたロックバンド、でもあって、世間的(?)に名盤と言われている「If 4」はライブアルバムなのでその熱気が存分に収録されているのだ。

 1972年リリースとなるIfの4枚目の作品でライブアルバム「If 4」。冒頭からジワジワと来るイントロ、そこにギュワンギュワンしたギターが被さってきて瞬時にしてロックの世界に引っ張られる。そこで繰り広げられるアンサンブルはフリーロックとも言える世界だけど、トーンダウンからはブラウが大活躍してのアドリブで曲を自由に転がしまくる…、そこでもバックは、特にベースは明らかにロックのアプローチでしか挑んでこないのが頼もしい。そんな音での大げんかを繰り広げながら実にハードに熱くエネルギーをぶつけあってくれる姿が聴ける。仏にロックのアドリブでのぶつかり合いと何ら変わらないテンションが聴けるのは面白い。それでいて音も分厚いし乱れることもないという上手さ。

 更にそれでいて面白いのはしっかりと歌も聴かせるというポップシーンへのご挨拶も出来ているというか、これで歌入れるんだ…ってくらいに普通に入れてる…当たり前だけど。音だけ聴いてるとそんなのいらないのにな、って思うけど、だからこそ聴きやすくなってるのはある。どこでもヘヴィーなギターがいいなぁ、これが絶対自分の好みなんだよな、だから聴いてて聴きやすいっつうか聴き応えあるってか…曲の面白味ではなくて楽器の面白味…、これもまた一般的には受けないんだろうけど、ロック的な解釈なら名盤です、うん。





Henry Lowther Band - Child Song

Henry Lowther Band - Child Song (1970)
CHILD SONG

 70年代英国ジャズロックの世界は普通にジャズの要素を用いてきたものとフリージャズの世界の原点的なアプローチ、はたまたフュージョンへの布石だったりポップフリージャズとも言えるカンタベリーの世界など多岐にわたる展開を見せていた。それぞれひとつのムーブメントになったワケでもないけど、そういう実験精神から生まれて商売になっていったものもあるし、ニッチな世界を広げていった例もある。自分的にはこの辺何でも聞いたけど、電子ピアノとトランペットやバイオリンなどの不思議な音色で彩られる作品は浮遊感漂ってて好きな部類だ。

 Henry Lowther Bandの1970年にリリースした「Child Song」ってのは随分後になってから聴いたので一時期ハマってたカンタベリーに近いその音色にはちょいと興奮したものだ。してみればその筋では知られたトランペットとバイオリン奏者ってことでロック色よりもジャズ色が強い人だったらしいけど、「Child Song」を聴いているとカンタベリーな世界だ。電子ピアノがねぇ、いいんだよ、ホント。んでも、確かに歌は少ないし演奏ばかり聴かせているアルバムだからジャズ色強いんだよな。こういうのって聴いててハマれるかどうか、ってだけで、曲が良いとかどうのってのはきちんと言い切れない気がする。こういうジャズへのアプローチもあるロックの世界なんだな、っていう程度で聴いてみるきっかけになれば良いよね。

 美しい。ひとことで言うと上品で格調高く洗練された音がアルバム全編に渡って展開されている。粗野で無益な音はまるで皆無、ひとつの芸術作品として作り上げてる事が一目瞭然と分かるくらいに整った作品。それが故にロック的スタンスだと面白みはないけど、音楽的芸術の極みで言えばトップクラスの出来なことは言うまでもない。ず〜っと電子ピアノにヤラれっぱなしです(笑)。



Warm Dust - Peace for Our Time

Warm Dust - Peace for Our Time (1971)
Peace for Our Time/Warm Dust

 久しぶりにこの辺のB級ロックに手を出しているか?そうでもないか(笑)。今やどの時代でもB級路線になってしまったロックってのがあって、それはメタルだろうがメインストリームであろうが世界が広がっているので、その中から次世代に繋がる音が出てきたり実験的だったバンドが取り上げられてカリスマになったりするってのもよくあるお話。英国の70年代B級バンドは自らがそうなろうと決めていたワケじゃなくて勝手にそうなっちゃっただけなので何も狙ってはいなかったと思うんだけどね、それぞれが色々な音楽を編み出したりアメリカからの影響を受けて独自解釈していたりと、そのアプローチ状況が独特で面白い。

 1971年にリリースされたWarm Dustのセカンド・アルバム「Peace for Our Time 」は一般的(?)にはアメリカのあのChicagoに対するアンサーバンドと言われているみたいだけど、そんなにジャズブラスロックしてるか?っていう気はするし、ノリと勢いをブラスで作っているっていう雰囲気でもないから、大きな勘違いなのかもな、と思ったり。もっと実に英国的にブラス系の音を入れてきてて、それは音楽そのものに合わせていくってのよりももっと展開の一つの音として使われていたりするし、それで盛り上げていこうなんていう使い方じゃないし、湿っぽくて湿っぽくて…正に英国的。それでもこの時代にこういうのを入れて出してくるってのは何かと重宝がられていたのは確かだろう。この頃にブラスロックとして英国出身のバンドなんてIfくらいなんじゃないか?アングラでもそうそうなかっただろうし。

 んでね、このアルバム、ど初っ端から曲ごとの繋ぎでもそうなんだけど、ポエトリーリーディング…ってかあらすじの解説が入っててね、それで曲を繋いでってるからひとつのトータルコンセプトアルバムになっているワケよ。それで曲もつながっているからきちんと聞いて歌詞を見ていくと楽しめるようになっていると思う。自分はやったことないけど…。しかし何やりたかったんだろうなぁ…これ、って思うくらいの曲もあるし、売れる売れないで言ったら絶対売れないだろ、これ、って感じだもん。それでも楽しむ人もいるんだから価値はあるけど、普通はかったるくなるんじゃないか(笑)。



Manfred Mann Chapter Three - Chapter Three Vol.1

Manfred Mann Chapter Three - Chapter Three Vol.1 (1969)
Chapter Three Vol.1

 ほっとくとどんどんと70年代英国ロックな音に引っ張られていくのが自分の常なのだが、聴いていてふと思う。こんなの今時聞いて書いてて、読む人も聞いてる人もそんなに多くないだろうし、そもそもジジイ達ばっかだろうし若い世代って聴くことあるんだろうか?なんて気がする。似たようにそのヘンの音に取りつかれている人も多いだろうから最低限の需要はあると思いたいけど今時ブログなんてのも真面目に見る人も減ってきているし、じゃどうなってるんだろ?という不思議な点はあるものの、まぁ、昔に戻りつつあるのだろう。いや、多分、コレクター気質な人が減ってきているんだと思う。何せ探して集める、なんてことしなくてもネットやiPhoneですぐに聴けたりしちゃうんだから集める必要ないもんね。ふとそんな事にも思い当たり、色々とつまらんな…なんて。

 Manfred Mann Chapter Threeの最初のアルバム「Chapter Three Vol.1」は1969年にリリースされている。今でこそこれはプログレッシブなジャジーな作品だ、と言えるけど、当時はビートグループだったマンフレッドマンの組んだバンドの作品だろ?何だこりゃ?ってなモンで、ロックの範疇からしても随分とおかしなジャズロック風味で、英国ジャズロックのそれとはちょいと異なる。Sweet PainやらColloseumやらなどのジャズロックとは違ってもっと大陸的というかビッグバンド的なジャズ志向と言うか、そういう類なのだが、きちんと歌が入っているからロックの世界として残っているのだろう。ボーダーラインが無茶苦茶で良いねぇ、こういう音は。確実に暗い。実験的だから流して聴けるモノでもない。でも音楽的なアプローチが面白いから何かずっと聴いていられるクォリティの高さがあるし、テンションも相当に高い。チャレンジしている熱気なんだろうね、こういうのは。プレイヤーが持てる力をそのまま発揮して取り組んでいる姿勢がアリアリと分かる作品で、それを良いとか悪いとか言う次元で語るもんじゃない。

 この後名盤「Chapter Three Vol.2」をリリースしているんで、バンドの名前や音楽へのアプローチは知られている所だと思うけど、このファーストの「Chapter Three Vol.1」もかなりユニークな音作りしていてかなりの刺激になる。英国ジャズロックに多少興味あればオススメしていく作品ですね。最初は何だこりゃ?ってな事を思うかもしれないけど、こういうモンです。それにしてもあのマンフレッドマンがここでこういう音を出してきたのは音楽的探究心からか?見事なアプローチだと唸るばかり。

Strawbs - Dragonfly

Strawbs - Dragonfly (1970)
Dragonfly

 アルバムに於けるプロデューサーの役割というものをイマイチよく把握していない。名前からして創り上げる人という役割なのでそのものズバリなのだが、実際は作るのはバンドなワケだろうし、それを料理する役割なら分かるんだけど、創り上げる役割なので、じゃ曲も何も全部作るのか?ってぇとそうでもない。だからどこまでがプロデューサーの役割で変わっていくのか、バンドの役割はどこまで?みたいなのがよく判ってないんですな。

 そのプロデューサーに有名なトニー・ヴィスコンティを迎えて制作された1970年のStrawbsの2枚目のアルバム「Dragonfly」。話題的にはそのトニー・ヴィスコンティの繋がりからリック・ウェイクマンが一曲参加して、次のアルバムではメンバーと同じ仕事量をこなすというイエスでの知名度が上がる前の仕事として知られている。一方デヴィッド・ボウイのこの頃の作品もトニー・ヴィスコンティのプロデュースだったこともあり、同じくリック・ウェイクマンは参加していたりするので、この辺の音の質感は割と似通っているが、もちろんStrawbsの音は幻想的なフォークにサイケ、アシッド風味がまだまだ時代を色濃く残した音触りで、そこからの離脱を目指したボウイあたりとは大きく異なり、思い切りど真ん中の音が出されている。その分個性は埋もれてしまっているようにも聞こえることからしても今作はそこまでの作品と言えるようだ。

 ただ、この手の音を聴くならStrawbsはアリだろうな、というレベル感での作品には仕上がっている。さすがに今聴くと古臭く感じる部分が大きいけどこの野心は時代の反映として重要だろう。バンドは後にどんどんと進化していくワケだし、こういう音から始まっていたこともバンドの進むべき道としては納得感がある。自分的には中期以降の方が好きだけどね。このヘンの初期のってどうにも静かに自己満足的な音なので少々飽きてくる。もっともフワフワとした幻想的な感覚は嫌いじゃない。フルートにシタール、チェロやらストリングス、ピアノやアコギなどどうにもロックから離れた音が美しく鳴り響く世界感は珠玉の情景を魅せてくれるからね。



Richard & Linda Thompson - First Light

Richard & Linda Thompson - First Light (1978)
First Light

 リチャード・トンプソンの作品を聴く度に思うのはきちんとじっくりと腰を据えて聴かないといけない人だよなぁ、という思い。想いはあるんだけど、なかなか実際にそうやってギタープレイをじっくりと聴くという取り組みには進まないのはやはり独特のギタープレイ、コードワークなり音使いなりだからだろうか、多分自分的にこういう音を取って弾くってことが出来ないだろうなぁってのが大きいかもしれない。だって、相当ヘンなんだもん。それが個性なんだけど。

 1978年にリリースされた相変わらずの奥様リンダ・トンプソンとの作品としては4枚目となる「First Light」。例の宗旨替えしてから数年経過してからの音楽活動への復帰作とも言える作品だが、さほどその色は強くもなく、相変わらずの英国的サウンドで安心する。参加しているメンバーはややアメリカ系が増えている部分はあるけど、相変わらず昔ながらの友人たちは参加しているし、ドロレス・ケーンやマディ・プライヤなんてのまで参加しててなかなかその交友関係の広さをも物語っている。おちろんフェアポート組は言わずもがな、この人ってホントに人柄が良いんだろうなぁ、なんて勝手に想像しているが。

 音的にはしっとりと歌を聴かせるのがやや多いのかギターをこれでもかと聴かせるってんでもなくて当たり前だけど音を大事にした作風で、しっとり目の作品が耳につくけど、それでもトリッキーと言うか相変わらずなんじゃこりゃ?的なプレイも織り交ぜて聞かせてくれるので頼もしい。だからじっくりと聴いて弾いて解析して楽しまないと、っていつも思うんだよね。そういう意味ではリンだの歌声の美しさとかあまり気にして無くて、リチャード・トンプソンのギターばかり聞いている。この辺りの作品って今じゃほとんど触れられないから、さほど耳にする人も多くないとは思うけど、でも実は結構面白い…ってかこの人の作品で面白みのないのは多分ギター的にはない。音楽的にはあるけどさ。





Fairport Convention - Rising for the Moon

Fairport Convention - Rising for the Moon (1975)
Rising for the Moon

 深い…、実に深いと思う英国の70年代。ニッチなものが多いとかだけではなくて聴いてて改めて深い世界だと実感しちゃったワケで、何が?って言われても困るけど、こういう音世界ってどういうんだろうな、んでもZeppelinなんかもそのままやってるし、一方では確実に英国伝統の音だし、今の時代にこういうのやってる人たちがいるのかどうか知らないけど、それでもこの世界観ってのは深い。着実に英国では根付いているバンドなワケだし、ロックの世界への影響力ももちろん大きいし、そもそもそういう区分けをあまりしてないのかもしれない。ん〜、深い。

 サンディ・デニーが一時的に復活したFairport Conventionのスタジオ録音アルバム「Rising for the Moon」は1975年にリリースされているけど、これがもうFotheringayとFairport Conventionの合体劇で、どっちかっつうとFotheringayの色合いの方が圧倒的に濃いのはやはりサンディ・デニーがフロントに出てきているからだろうか、もちろんそれでも違和感なくFairpot Conventionではあるんだけどね。冒頭から明るめなジグナンバーで伝統的な音だけでなくそれをベースにしたエレクトリックトラッドの発展形、正しくその世界の実現で深みを実感するワケだ。アルバム全体では往年のサンディ・デニー的なエッセンスが強くてやっぱりこの直線的な嘆きの歌声ってのは唯一無二な歌。

 楽曲も粒揃いで後になってみれば名曲と呼ばれるものが幾つも入ってて、これまでイマイチテンション下がっていたFairport Conventionからしたらこれで再起と言わんばかりの名作に仕上がっているし、サンディ・デニー達も久々にネームバリューの恩恵に肖ったことだろう。リチャード・トンプソンとデイブ・マタックスがいないのが残念だけど、その分落ち着いた演奏になっているとも言えるか。この二人ってロックな人たちだからさ(笑)。







Spriguns of Tolgus - Jack With a Feather

Spriguns of Tolgus - Jack With a Feather (1975)
Jack With a Feather

 どれくらいの確立か、CDで再発します、って時にどうしてかアルバムジャケットが変わっているケースがある。もちろんアーティスト側の意向であることはほとんどない様子なので、売るレーベル側や権利を獲得したレーベルが売るために変えるのだろうけど、それがまた大幅に替えてる場合もちょこっといじる場合もあるというのがユニーク。それが90年代に古い幻のあルバムなんかでヤラれると、こんな色とかジャケットだったの?なんて思うものもあった。それから30年、ネットでもそういうのが普通に画像で出ていて、果たして何がオリジナル?みたいなのがワケ分からん状態になってることもあって大変。

Sprigunsの前身バンドSpriguns of Tolgusの記念すべきデビュー作品「Jack With a Feather」は1975年にリリースされているが、もうこの頃ってこの手のフォークサウンドってのが終わってる時期だったにも関わらず頑張って出てきたというくらいの才能だったと推測されるのだが、このデビュー・アルバム「Jack With a Feather」はかなりトラッドフォーク色が強いと言うかこの作品だけ聴いてたらトラッドのバンドでしょ、ってのは普通に思うし、クレジット見てるとマンディ・モートンの気合の入った作品ってのもわかる。ベースもギターも歌もプロデュースも全部やってるんだもん。まだまだ若かっただろうに。この時代だと珍しかったのかもしれないが。

 次作以降はもっとロック寄りになっていくんだけど、このファーストはホントにシンプルにトラッドフォークをやってて、サンディ・デニーを崇めて歌手やってるくらいだからそういう路線の歌い方だしなるほど、ってな所なのでそういう楽しみ方ができる。個人的にはこの路線でいてくれてよかったんだけど、やはりウケなかったんだろうな…バンド形態でのちょいとプログレッシブな方向に進んでいくのだな。

 そうそう、これがさ、もちろん昔全然手に入ることのないアルバムの一つで、オリジナル盤なんて見たことなかったんだよ。んでCD時代になって出てきて薄紫色のジャケットで、こういうもんなんだ…、なかなかおしゃれな色合いだな、なんて信じてたんだけど、いつしか何かで見ているとモノクロのジャケットが出ててね、あれ?これって…って思ってみればもちろんオリジナルは白黒のヤツ。う~ん、そうだったか…と。






Sandy Denny - Live at the BBC

Sandy Denny - Live at the BBC
Live at the BBC (W/Dvd) (Pal)

 英国女性フォークを聴いているとその美声に聴き惚れる事が多く、自分レベルが名前を知ったりするんだからもちろんそれなりに名を馳せた方々ばかりだからどれもこれも上手いし個性もあるし歴史に残っていくべき人ばかりだから、そんなに好みが分かれるモノでもなく、まんべんなくどれも良いなぁ…って聞いている。その中でもやっぱり改めて聴いているとダントツに個性が飛び抜けてるんだ、ってのをまざまざと実感したのがSandy Denny。

 今回はSany Dennyの「Live at the BBC」なる大箱を…、ってか他のアルバム大抵書いてるんだよね、もう。やっぱり名前を耳にするのも早かったし聴くのも早かったし、今でも聞くし、そういう意味では大御所の部類。もちろんそういう捉え方してなくて、普通に美しい歌声の人って聴き方だけど、それでもね、今回BBCの映像も見てて、やっぱりこの抜け切った歌声の弾き具合って他のシンガーとは桁違いに通ってくる。しかも全くの無色透明で抜け切ってくるから素晴らしい。一人でピアノ弾いてこんだけ歌っちゃうって、どんだけの才能?ってくらいな人だ。

 年代順にBBC出演のライブの模様を入れてある作品なんだけど、それ自体は昔から出てて聴いてたし、いいな〜って感じだったけど映像がやっぱり強烈に残ってるな。1971年のBBC映像だからこれもまたボウイのBBC出演映像と同じスタジオだろうし、そういう所だもんな。んでフォークギター弾きながらも一人で歌ってるし、こういうギターだって普通にさらりと弾けるか?って感じだろう。名前だけを知ってて聴くのと、こうして映像で人となりを見ながら楽しむのとではやっぱり親しみ具合が大きく異なる。Led Zeppelinの4枚目で彼女をゲストに迎えたってのも非常によくわかるでしょ、こういうの見てるとさ。

 何だろね、一抹の寂しさを感じる声だけど、そんなにくよくよしないでいいんだ、みたいな透明感がある。そんな歌声に影響を受けて歌い始めた影響下のシンガーも数多し、そりゃそうだろ、これは。

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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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