Richard & Linda Thompson - Shoot Out the Lights

Richard & Linda Thompson - Shoot Out the Lights (1982)
Shoot Out the Lights

 エレクトリックトラッドフォークの世界って有名なのはZeppelinのサード以降になるのかな、ああいう世界ってのは普通にロック聴いてるだけだと出て来ないから何かよくわかんない、みたいなのが最初にあるんじゃないかな。最初からああいうのが好きだっていう人よりも後から好きになる類の曲ばかりだと思う。当然ながらそれを主として演奏しているミュージシャンもいて、当然ながらそれはZeppelinよりも前に存在している人達ばかりだ。それで遡って聴いているとなるほど面白い、となって深みにハマっていくのだな。

 Richard & Linda Thompson夫妻の1982年リリースの作品「Shoot Out the Lights」。まぁ、とにかくリチャード・トンプソンというギタリストは自分的には深い謎な方で、どうやってこういう音が出て来るのか、どういう経路でこういうフレーズが出て来るのか、またどうしてこういうギタープレイがこういう曲でハメれるのか、ってのがとにかく読めない人のままとにかく面白いギタリストだという印象なんですね。ライブ見てても普通にしか見えないけど出て来る音がなんかヘンで、どういうエフェクトなのか…そういう次元じゃなくてこの人のギタープレイそのものがこういうスタイルなんだろうと…、そんな事を毎回思う人です。だから好きなんだけどしょっちゅう聴かないというか…曲が好きとかじゃなくてギターが好きなだけだからだろうね、曲を覚えるとか何回も聞きたいというのじゃないからどのアルバムが云々もあまり気にしてないと言うか…そういう意味では全然ファン失格ですね。

 そしてこの「Shoot Out the Lights」ってアルバム、巷では結構な名盤扱いで、さすがに良い作品だな〜1982年って時代にこういうアルバム作ってリリース出来たってこと自体凄いと思うけど、しかも名盤だから素晴らしい。昔ながらの相変わらずの自分の音をそのままやってるだけという時代錯誤な作品だが、リスナーからすればこれほど安心できた作品もなかっただろう。歌にコーラスにギターにおっとりとした曲調…どこを斬ってもいつ聴いても見事なアルバム、もちろん全体はエレクトリックトラッドの世界なのでガツンというのではないけど、このまったり感とエッジの立ったギター、やっぱりギターに耳が行ってしまうんだなぁ…。





Judy Dyble - Gathering the Threads

Judy Dyble - Gathering the Threads (2015)
Gathering the Threads

 秋といえば食欲の秋、実際美味いものがたくさん出てきててついつい食べ過ぎてしまうのだが、もう若くはないんだからそんなに食べるなよと思いつつも…ね。不思議なことに70年代のアーティスト達は年齢もあるのか、80〜90年代にはあまり活動していなかったように見える人が多い。00年代になっていくとちょっと動きが出てきて今じゃ70年代のがロックシーンを占めているとも言えるほどの活動量の多さだ。女性アーティストに当てはめればそれは子育て中とも言えるのだろうが野郎達はどうしてたんだ?地道に活動してました…って話なのだろうけど、単なるリスナー側で見てるとよくわからん。

 60〜70年代初頭にかけて幾つものフォークバンドを渡り歩いたジュディ・ダイブルのキャリア50年総括作品集みたいな「Gathering the Threads」ってのがリリースされていたので、ちょいと興味を持って聴いていた。秋だしねぇ、フォークは良いですよ。ちなみにここでいうフォークは全て英国のトラッドフォークの事で、日本のフォークという意味合いとはちょいと異なりますので、なんでここであのフォークが出て来る?って思わないでください(笑)。ロックってブルースに行き着くことが知られているけど、英国ロック聴いてるとそれよりも簡単にフォークに行き着くんだよ。だからやっぱり聴いておかないとロックの真髄は分からないんじゃないかという事もあって聴いてたけど、心地良いから今じゃ普通に好きで聴いてる。

 んで、ジュディ・ダイブルの3枚組CD「Gathering the Threads」では見事にキャリア総括で古い音から新しい音までまとめて聴けるのは良いわ。2006年にフリップ達を迎えて再録音された「I Talk To The Wind」って知らなかったから新鮮に響いたしさ、そもそもフェアポートからトレイダー・ホーン、GG&Fと彼氏が変わるとバンドも変わるという遍歴で、男を見る目があるというか何と言うか…、とてもロックらしい女性だったんだという事に気づくワケです。歌声が凄く良いとか上手いという印象ではなくてもっと尖った突き放すような歌声なのでキツイんだけど、それも性格とリンクしているのだろうか、などなど、作品そのものはベスト盤+一部でもや未発表なんかも入ってるけど、そこまで詳しくないからまとめて聴けるお得な作品集として聴いている。作風が個性的というのでもないからやはり歌声の変貌が聴いていけるというところかな。





Gary Clark Jr. - The Story of Sonny Boy Slim

Gary Clark Jr. - The Story of Sonny Boy Slim (2015)
The Story of Sonny Boy Slim

 いつの間にか夏が過ぎて秋になってる…それを感じるのはやっぱり食べ物(笑)、いや、そうじゃなくて、日々の気候なんだが、やっぱり食べ物も美味い季節だよなぁ、昔から食欲の秋とはよく言ったもんだ。確かに秋になると食べたくものも多いし、それよりも夏の間って暑くてやっぱり食欲落ちてるし、食べるものも決まってくるし、冷たい系ので美味いのよりも熱くて美味いもんの方が大いに決まってるし、そういうのもあって食欲の秋って言うんだろうね。実際こういう味がいいねぇ〜てのをよく食べてるもん。

 Gary Clark Jr.って米国のブルースメン…になるんだろうと思うが、ブルースメンのセカンドスタジオアルバム「The Story of Sonny Boy Slim」。まぁ、ブルースメンっても、型にはまった単なるブルース野郎ってんじゃない。そうじゃないからダメだとか認めないなんてのもあるのかもしれないけどブルースってのを完全に自分の血肉にした結果更に進めたサウンドを自分なりに作り上げている新世代のブルースサウンドとして捉えてもらえれば良いんじゃないかな。個人的にはこういうアプローチは好きだ。昔はもっと拘ってたから認めねぇな、これは、って思っただろうけど、今はアリだろ、って思える。年の功ってよりも音楽というものへの理解の結果そう思える。ブルースメンならブルースギターを弾いて魂の歌を歌ってるだけで良いだろ、ってのも確かなんだが、Gary Clark Jr.のようにそれもあるけど、他の音楽とどんどんと融合させてその中でブルースを出していければいいんじゃないかというサウンドが今回のアルバムだ。

 伝統的なR&Bから近年の黒い音まで、更に民族土着系の空気をも持ち込んで自分の個性的なギターを活かして作り上げている…が故にバラバラ感はあるけど、アルバムってまとまってなきゃいけない事もないし、こういうバラバラさは飽きにくいんじゃないか?今誰のアルバム聴いてるんだっけ?ラジオだっけ?くらいに幅広く楽しめる土着的サウンド。調べてないけど多分ソニー・ボーイ・スリムって人物の物語になっているみたいだからコンセプトアルバムという域にあるのかもしれん。この人良い声してるよね。ギターは幾つだお前?って枯れ具合だけど声は艷やかで聴かせるモンが多い。才能ある人なんだな。そんな快作を心地良く楽しんだ一日でした。





Skull Fist - Head of the Pack

Skull Fist - Head of the Pack (2011)
Head of the Pack

 時間の流れと云うのは音楽を風化させるには実に有用な効力であって、当時新しいと思えた音楽なんて時の流れによって簡単に懐メロや古めかしい音になってしまうものだ。80年代なんてのは顕著なモノで、デジタル的なものが出始めてきた時代だったからこぞって皆取り入れたりしてたけど、今となってはあまりにも古めかしく聴こえてしまうデジタル音だったりして余計にレトロ感が出てしまう。その辺を上手く利用したものもあって、それはデジタル音に限らず、音楽スタイルという古臭さもあったりしてなかなかそのレトロ感ってのを楽しむのは時が経ったからとも言えようか。

 カナダのハードロックバンド、Skull Fistの2011年リリースのファーストアルバム「Head of the Pack」。まぁ、NWOTHMの騎手とも言えるバンドだからその古めかしさは顕著なものだけど、聴いているとホントにその古臭さに笑う。それでいて割と最新のエッセンスなんかも入ってるから何とも面白いバランスで成り立っているバンドで、そういうファンが付いているところが面白い。冒頭を聴いた瞬間からいつの時代のレコード聴いてるんだ?って感じになり、しかも80年代だったらヘヴィーメタルと呼ばれていた類のサウンドそのものなんだけど、今聞くとそれはちょいとハードでエネルギッシュな速いハードロックとも言える程度で、決して重金属的な音という感触ではない…のは今の時代に於いては、だ。大体だな、こんなハイトーンとラフさパワー発散型のメタルなんてのは今の時代にはほとんど無かったものだからだ。今のメタルってのは小奇麗に演奏されているものが多いからこういうラフなロック的な音ってのは自分的にはパワフルで好きだ。

 時代錯誤ってのを除いて普通にロックなアルバムとして聴いた場合どうだ、ってのあるが、ちょっとボーカル弱いかもって気がするかな。ハイトーンは出てるんだけど、もっと粘っこさってんが欲しいなぁ。ま、そんなに大した事でもないんでさらりと聴いている次第ですがね、こういう音ってのがさメイデンで出てきたら燃える音なんだが、本家が当然今となってはそういうのが出せないんだからこういうバンドがフォローしてってサウンドを継承させていくってのはアリだという結論に達している。だからどんどん頑張ってくれ、と応援したくなるんだよね。多分10年一日的なサウンドで進むと思ってるし、カナダだからそんなに凝らないだろうし、それでいいと思う。今のトコはそのまま来てるからね、嬉しい限りです。



Within Temptation - Mother Earth

Within Temptation - Mother Earth (2000)
Mother Earth (Reis)

 こないだ立ち話で黒人系大好きなヤツと会話…、スライのライブ出たの聴いたけど、いいね〜、燃えるわ〜って言ったら、俺スライダメなんだよ、と。黒いの全般平気なんだけどスライとかファンカとかダメなんだよなぁ〜とボヤいてて、ほほ〜、だから自分は好きなのか、と妙に納得。要するに彼はロックがダメな人でしてね、自分は黒いのダメな人だから、黒くても聴けるのあるよ、って話はしたことあるけど、そういうことで黒くてもロックに近づいているのはダメみたいだね。自分はそういうのだからこそ聴けるワケなのだが…、歌モノなんてもう以ての外だしさ(笑)。

 2000年のクリスマスイブにリリースされたオランダの期待の星、そして期待通りにブレイクして今や大物になっているWithin Temptationのセカンド・アルバム「Mother Earth」。もう15年前のアルバムなのか…、そりゃシャロンもママになっておばさんになるハズだわ…。この頃の声ってやっぱりそう思って聴くからだろうけど初々しい…と言うかまだ持ち前の歌を探していてその一つがこの歌声、みたいな感じでね、バンドの音もそうなんだけど、キャッチー路線をきちんと作り上げているんだけど、その途中過程みたいな所あって、今の路線も原点とも言える作品。様々なアプローチをメタルテイストで仕上げているけど、結局はポップな歌謡曲レベルとメタルを見事に融合させてシンフォニックに仕上げているという作風。見事の一言。スタンスはゴシックメタルだから最初からメタルの中に受け入れられての作品だしバンドだからこの幅広さは才能の発散とでも言うように受け入れられて、一般レベル以上の知的音楽が加えられたことで評価が高い。普通はこういうエリートなのってどっか排除されるんだけど、1stでデス声までやってたくらいだからメタル好きなんだろうってのはもちろん受け入れられてて、この作品でも当たり前にメタルなんだが、やっぱり歌メロが圧倒的に光っているもんね。

 今聴いても良いアルバムだな〜って思う曲が多い。シャロンも伸び伸びと歌ってるし、確かに歌い方聴いてるとケイト・ブッシュとも言えるような歌い方が出て来るし、決してメタルボーカルのそれではない。こんだけのソプラノボイスってのは見事だよなぁ、初めて聴いた時はクラシックの声楽歌う人がなんでメタル歌ってるんだ?って思ったくらいだもん。そしてそれがまた上手くて良いワケで。そんな好評ばかりで絶賛されたWithin Temptationの出世作、そして様々なサウンドと幅広さにチャレンジした傑作で、ここから彼らの快進撃がスタートしたと言っても良いだろう。聴きやすいしな〜。



Renaissance - Academy of New York 1974

Renaissance - Academy of New York 1974
アカデミー・オブ・ミュージック1974 (ACADEMY OF MUSIC 1974) (直輸入盤帯ライナー付国内仕様)

 突然に自分の好きなミュージシャンなんかに出会えて会話する機会があったとしたらどうだろう?話すかね?話さないかね?若い頃だったらもちろん色々と話したいとか訊きたいとかあっただろうけど、今のネット時代になるとそのミュージシャンがある程度自分自身を発信していたりして、結局音楽じゃなくて人間的に好きか嫌いか、よく分からないとかあまり関わりたくないなってのが見えちゃう事も多くて自分なんかはもうほとんど関わりたくないと思ってるくらいだ(笑)。いや、皆が皆悪い人とかヘンな人ってんじゃなくってね、やっぱり夢は夢のままでいてもらう方がいいし、音楽とライブという世界だけの対象にしている方がピュアに楽しめて良いと言う理由です。

 Renaissanceの発掘ライブアルバムシリーズ、1974年のニューヨークでのオーケストラを従えたライブアルバム「Academy of New York 1974」ってのがちょいと前にリリースされている。古くからFMラジオ放送音源ってことで割と知られていたらしい音源のオフィシャル化。発掘ライブが出されるのは嬉しい限りなのでどんどん出してくれっていうのはあるのだが、出す側からしたら美味しい商売だよね。出せばそれなりに売れるし、小遣い稼ぎになるだろうしさ。まぁ、そういう需要のある産業になったんだよ、ロックってのは。何でこんなにヒネた所から入るのかってぇとやっぱね、アニー・ハスラムって人に依るとこが大きくて…、歌声はもう素晴らしく、正にルネッサンスの顔だし、英国クリアーボイスの筆頭だし、やってる音楽も当たり前にクラシックとの融合を果たしているしドラマティックで壮大で美しく、唯一ギターが弱いな〜ってのは、今回もだけど、Wishbone Ashのアンディ・パウエルをゲストに迎えてカバーしちゃってるし、オーケストラの融合も見事に果たしてしまっているし、ライブそのものはもちろん全盛期のバンドのライブなんだからまったく非の打ち所がないという素晴らしいライブの出来映え。特に後半なんて鳥肌モノな演奏で、正に夢の世界に旅立たせてくれる見事な飛翔感を味わえるショウだ。

 なので、音楽とかライブってのは大好きなんだけど、アニー・ハスラムの絵が自分はまずダメ。ここ最近の作品は全てアニー・ハスラムの絵がジャケットになってるから見る度にげんなりしてしまうくらいにダメ。ヘンな絵とか様々見てるからあまり好き嫌いってのはそこまで出て来ないんだけど、この人の絵はなぜかダメ。それだけ傑出した個性なのかもしれないけど、万人向けのアルバムジャケットとしてはどうなのかな…、絵画展やるんでこういうのバンバン出すのは良いけどさ、商業向けなんだからちょっとクセありすぎるんじゃね?って思ったり。更に何かのインタビュー記事読んでて、この人の思想が自分的にはダメで、知らなきゃ良かったな〜、人柄とか考え方なんて…ってつくづく思ってしまったもん。それでやっぱり心の何処かでRenaissanceの作品を前ほどよく手に取って聞くって機会が減った。まぁ、彼女に限らず他にも似たようなことを思って聴かなくなった人は何人もあるんだが…、よりによってRenaissanceだなんてね。ま、作品はやっぱり感動できるから素晴らしいです、このライブもホント盛り上がってくし大成功なライブのひとつだったんだろう。



David Gilmour - Rattle That Lock

David Gilmour - Rattle That Lock (2015)
Rattle That Lock

 長くやり続けること、ポリシーは変えないこと、この二つができると多分何かしら認められる時が来るんじゃないかと。認められるってのは誰にどんだけ、って話があるんだけどそれは別に考えなくても良くて、そのうちそういう事のためにやってるんじゃない、っていうように思う時が来るのだろう。未だに残ってるロックの有名人って結局そこなんだと思う。売れるために良い物を作るために、出来ることをやるために、色々あるけど、結果的にポリシーを変えずに進んでいる人は残ってる。評価されたってことだろう。ただ、その辺まで行くと評価とかよりも自分がこのままどこまで出来るかみたいなトコにあるような気がするんだよね。わからんけど。やっぱりその人その人が持ってる音楽センスとかってのは根本的にそんなに変わらないだろうしさ。

 David Gilmourの2015年の新作「Rattle That Lock」はそういうことを感じさせてくれた一枚だった。もうねぇ、好きとか嫌いとかの次元じゃないんだよ、聞く側もさ。真面目に聴いてたら、到底こんなの聴いてられないくらいにかったるいし、AORの出来損ないで雰囲気だけのアルバムじゃないか、って言えちゃうもん。でもさ、そんなんじゃ片付けられる深さってのがあって…、自分的には全然ギルモア派じゃないからロジャーのいないフロイドってのは別物としてしか聴いてなくて、それはほとんどがギルモアのソロアルバム的な要素にフロイドという名前に恥じない雰囲気を持たせることという作品だと思ってて、だからこそギルモアのソロアルバムってのはもうちょっと本人がゆったりと音楽と向き合うものなんだろうと解釈してた。今回の「Rattle That Lock」もそういうモンに近い部分あるけど、もうこれくらいになってくるとギルモアもソロとフロイドの境目もあまり意味が無くなってて、その時々に出て来る音をなぞってアルバムに仕上げているようなリラックス感を感じる。もちろん音色の美しさやギターの音ですら今まで以上に研ぎ澄まされた空間を舞い上がるような雰囲気で鳴っている。すきじゃないけど、素晴らしい。全く素晴らしい。そう言えてしまう作品だ。

 面白いな〜って思ったのはギルモアさんのソロアルバムなのにロジャー・ウォーターズの存在…存在と言うか手法なのかもしれないし影響なのかもしれないが、ロジャー・ウォーターズの音の作り方に酷似している部分があちらこちらであって、結局フロイド=ロジャーの呪縛から逃れられない…と言うよりも元々ギルモアにもそういう気質はあったんだけど、ロジャーと袂を分かってからはその部分を出さないようにしていたのが、ここに着て普通に作ったら出てきてしまった、というのかもしれない。自分的には嫌いじゃないんで良いんだけど、血気盛んな時だったらロジャーのものまねじゃねえの?って思ったかな(笑)。もっと高尚に音楽と雰囲気を混ぜ合わせたサウンドという感じだが。

 歌もギターも存分に、そして楽曲のアレンジもこれはこれでちょっと聴けばフロイド?ギルモア?って分かるような個性はきちんと持ち合わせているってのはさすがだ。ロックと言うのとはある意味正反対に位置する音楽作品かもね。そこには音の追求というテーマがず〜っとあるから人を惹き付けるのかな。落ち着いて雰囲気を味わっても楽しめるし、音をきちんと追求しても楽しめるホント、高尚な作品ですな。





motorhead - Bad Magic

motorhead - Bad Magic (2015)
Bad Magic

 ロックを仕事にしている人はホントに人間がロックじゃなきゃ出来ないだろう。そうじゃなきゃ音楽家としてキャリアを作ってミュージシャンやアーティストになればいい。何を言ってるかわかんない言葉の使い方だけど、近年つくづく思うのがそういう事なんだよな。歳とともに頑固な部分が出てきてさ、ロックとミュージシャンってのは別なんだよ、みたいに区分けして考えるの。別に音楽ってのやってる側だから一緒なんだけど、やっぱり聴いてる側の響き方が違ってて、自分は圧倒的にロックというのが好きらしい。面白い話があって…って書いてるとまた長々ってなっちゃうんで次回にしとこうか(笑)。まぁ、何だ、人間がロックだ、ってのはこの人、レミーを見てればわかるでしょ。これぞロックだ。自分的にはそんなに好きだっていう部類の人でもないけど、誰が見てもこういうのがロックなんだよ。チャラい服着てロックだ〜ってったって無駄だよ(笑)。

 モーターヘッドの新作「Bad Magic」だ。22作目くらいらしいがそんなことは多分どうでも良くて、その時、気になった時に手に入るアルバムを手に入れて聴けば良い。常にそういう環境にあるのが今のモーターヘッドだ。そして驚くことに今は北欧方面でカリスマ的人気を博していて、それどころかチャートでもきちんと入ってくるセールス面でも一級品になっているのだ。30年以上やってても未だに世界の何処かでトップラインにいるというのは凄い。しかもこの音でだ。この音、ってのはさ、まぁ、聴いてみろよ、これ、レミー69歳の叫び声とR&Rだぜ。R&Rってのかどうか…メタルじゃないし、疾走するロック、ハードロックじゃ軟弱すぎる、やっぱりロック、モーターヘッドだ。フォロワーもたくさんいるけど69歳にしてこの音、そしてこのドスの効いた歌声にハードな楽曲、何なんだこの人達は…って普通は思う。いいか、周囲にいる70歳くらいの老人を見てみろ、同じ年令重ねてる人がコレだ。ジジイ侮るなかれ…。

 そしてまた曲がさ、これまで以上にハードに攻撃的にドライブしてくるのが凄い。執念とか怨念とか意気込みとかもう命賭けてるって事がビシビシと響いてくるもんね。生半可に聴いてちゃイカンだろ、ってくらいにビシビシと刺さってくる。そして最後の最後にはストーンズの「悪魔を憐れむ歌」だよ。いや〜、どんなカバーに仕上がってるんだろ?って楽しみにしてたんで、この出来映えには驚いたしさすが…と唸らされたし、それでいてモーターヘッド節、間違いなくレミー節で圧巻の出来映え。更に凄いのは原曲を忠実になぞっている所で、何も壊していないというあたりだ。全く恐ろしい男の率いるバンドで、今のレミーはすでに糖尿病を抱え、杖なしでは歩けない状態でステージではそのおかげで立ちっぱなしで歌い、微動だにしない神様のようなスタイルでどっしりとプレイしているらしい。まったくどこまでもやる男だ…。そんなことを微塵も感じさせないこのアルバムの迫力は当分どのバンドからも聴けない鬼気迫る世界だ。







Keith Richards - Crosseyed Heart

Keith Richards - Crosseyed Heart (2015)
クロスアイド・ハート

 ジジイ達、頑張ってるな。日常生活生きてるとこのジジイ達ってのがジャマクサくていい加減にしろよお前らって思う事の方が多くてさ、昔はそれでも年寄りには優しくなんて思ってたんだが、自分が年取ってきてその上のジジイ達見てるとそんな優しい事思ってやらなきゃいけないヤツなんてそんなに多いもんじゃないって事に気づくわけだ。まぁ、別に特定の人間に対して言ってるモンじゃなくてさ、自分も含めてなんだが、ジジイになってくると自分の価値観で生きてるから世間とズレてても直そうとはしないし、変えようともしない。そこに安住しちゃうんだよな…、変わるってことに抵抗があってできるだけそのままでいたい、出来るならば何も変えたくない、なんだよ。人間皆そうだけど。んで、それがロックの世界にいくとホントに頑固ジジイってばかりのヤツらが生き残って今でもロックしてる。全く日常生活だったらホントにジャマなジジイ達だろうと思うわ(笑)。

 中でも最高のジジイ…キース・リチャーズが71歳にして三枚目のソロアルバム「Crosseyed Heart」をリリースしてきた。しかし今更何をやりたいんだ?って思ってしまったりするが、何かの期待をしてしまうのもある。別にストーンズも普通に活動してるし、音的にストーンズで出来ないってのもなかろうよって思うが、そこはやっぱり自分の仲間で刺激を受けながらやりたいとかあるのかな。変化を好む瞬間なのかもしれない。ジャケットのキースを見ても、随分と丸くなったよなぁと見えるのだが、そりゃそうだろ、71歳だぜ。フムフム…って聴いてみるワケだ…。

 唐突に予想を覆すアコースティックブルースでキースが歌う…こりゃもう痺れた。ギター弾いてるのキース?じゃないと思うけどキースだとしたらスゲェ…。そこでもうヤラれちゃってさ、間髪入れずにお得意のグルーブで始まる2曲目、そしてストーンズばりの曲に続いてのソフトでカリプソ風味も入ってる小洒落たバラード、そしてシングルカットされて小気味の良いキース独特のギターリフからの「Trouble」、スティーブ・ジョーダンのみごとなパーカッションからのレゲエ節などなどなどなど、相変わらずの多趣味満載だけど、不思議だよなァ、ホント、どこをどう斬ってもキースなんだ、これが。曲のバリエーションも多彩だし、歌に個性があってキースらしいってんでもなくて、曲とかギターなんだよなぁ…、多分ギターなんだろうな、このキースらしさって。ストーンズよりもキースらしいアルバムに仕上がってる。ヘンな書き方でね、ストーンズ以外のキースなんてそんなに知らないのに、ストーンズよりもキースらしいなんてさ。でも、キースのキースらしいところが全部出てる。多分根っこにあるのがキースというロックなんだろうよ。

 ふと思った。もう71歳だからアレだけど、こういう人だったらキンクスのレイ・デイヴィスみたいな吟遊詩人的独特な世界をず〜っと続けて出来たんだろうなぁと。ストーンズって看板に隠れてたけど実はものすごくそういう人だったんじゃないだろうかなんて。シャイな人だな…。ず〜っと聴いてても飽きない心地良さがず〜っと続く。そしてこういうのもロックだよ。間違いなく。やっぱりロックは人に宿ってるもんだ。これさ、普通にロックの名盤だよ。この期に及んでこんな名盤作るのかこの人は…、凄い。





Faces - Reunion 2015

Faces - Reunion 2015
Faces: 1970-1975 You Can ake Me Dance, Sing Or Anything

 普通はロック聴くのって卒業していくのかな。だんだん聴かなくなってっていつしか…みたいな人が多いんだろうけど、何かのきっかけでまた聴き始めるってことも多いようだ。自分なんかは好きでず〜っと聴いてて、今でもまだまだ聞きたいってくらいなモンだから離れるとかあまり考えたことなかったけど、そりゃま生活が忙しくなったりパターンが変わったりしてそうなっていくんだろうね。そしてまた戻ってくる人は戻ってくる…しかも普通に手に入る、どころか見れたり聴いたりが簡単になった時代になってるんだから、しかもレコード屋行ってみれば安いし、自分は大人になって多少なりともカネ持ってるから買えちゃうし、そういう輩向けにいろいろな商品はきちんとリリースされてるし、なるほどよく出来た構造だ。

 2015年9月5日の英国のチャリティイベントで存命3人によるFaces再結成との報はTwitterで初めて目にしたんだけど、どうせまたロッド抜きだろ…って思ってて、でも、よく考えたら存命の3人って、あれ?誰だ?まさかテツ山内さんってことも無かろうし、ケニー・ジョーンズとロン・ウッド…やっぱロッドか??って思ったら案の定ロッドだったんで驚いた。そこでようやくロッドが戻ってきたのか〜、どんなんだろうな〜なんて思ってはいたけど、実際当日はすっかり忘れてたという始末。またしてもTwitterで話題になってたので、あ、そっか、もう終わっちゃったのか…って思いつつも、そのうちYouTubeで上がるかな、と適当に待ってて、時間見つけて探して見てたらホントにロッドが歌ってて驚いたというか感動したと言うか感極まったと言うか…、そんなに思い入れのあるバンドでもないんだけどさ、やっぱりなんかひとつの歴史がまたここで蘇ったっていうのか、それよりも多分ロッドがR&Rを歌ってるのが良かったんだよ。もうさ、全然違う世界に行ってる人だっていう印象があったから、こんな風に酔いどれジジイ達と一緒に歌ってる姿を見るとさ、何だよロッド、全然変わってないじゃねぇか、と言いたくなるくらいに普通にFacesのロックシンガーロッドだった。

 普段は上手いメンツを集めてのバンドによるライブで安定した歌を歌っているんだろうけど、ここじゃやっぱりFacesだ、上手いとかナントカの次元じゃなくR&Rだ。何せロニーがリーダーだからな、グデグデですよやっぱり(笑)。んでも皆楽しそうでさ、殊にロッドとロニーが好き勝手に適当にプレイしてて、所々ではロニー・レインやイアン・マクレガンを追悼しつつ…んで「Ohh La La」が出た時には涙したなぁ、ロッドよ、やるなぁ…。選曲だってさすがにファンを知ってるなっていう曲ばかりで7曲、最後は恒例のR&RってのもFacesらしい。なんつうかさ、ファンもスゲェ再結成だ!って言う風には見てなくてそこらの有名な爺さん達がまた集まってやってくれてるわ〜くらいの懐かしさ感で普段のロッドとはまるで異なる世界感だよね。やっぱりロックが似合ってるぜ、ロッドよ。そして現役のロニーもさすがだ。一人でバンドを引っ張り、ロッドを操ってる。

 良い再結成モンを見れたもんだ。まさかあのまま変わらないプレイとステージが見れるとはなぁ、ホント嬉しかった。この二人が実に微笑ましく楽しそうにやってるのを見ててやっぱ良いモンだな。





Taste - I'll Remember

Taste - I'll Remember (2015)
I'll Remember

 こないださ、またZeppelinの日本公演見たよ、って人がいてね、やっぱりいいな〜って毎回思うワケよ。ジジイなんだけど昔好きでな〜、ギター弾いたりしてバンドやってたよ、クリームとかな、なんて言ってるもんだからZeppelinとかどうなんだ?って話てたら行った行った、凄かった、あの頃いろいろなライブ行ったけどZeppelinはホントに凄かった、もう何だこれは?って思って衝撃的だったって目を輝かせながら言うワケよ。あ〜、そうかい、そうかい…、どんだけライブ聴いてても音追いかけて知っててもその思い出には敵うまいよ、いいな〜としか言えん。あんま時間なくてそれ以上話せてないけどもっと聞きたいね、悔しいけど(笑)。

 そしてだな、なんでまたこの時期になのか知らないけどTasteの4枚組CD「I'll Remember」なんてのが出たワケだよ。密かに楽しみにしててね、恒例の友人に買うの?って聴いたら当たり前だ、と。そりゃそうだな。聴いてから会話してないけど、どうなんだろな、悪いワケはないからどこで燃えるかって話だろうけど(笑)。CD1,2はスタジオ・アルバムの1,2枚目にボートラ加えてるんでそれはそれで面白いんだけど、一番最初に聴くのはそこじゃなくてDsic 4の最後から4曲のデビュー前の1968年のTasteのライブだよ、諸君。どんだけ初期のライブだよ、ってくらいの生々しいライブが4曲だけ奇跡的に残ってたってことですわな。裏話はジミヘン録音ソースから発掘されたみたいなとこあって超高値でオークションで落とされたって話だが、それはまぁテープなんてそんなもんだろうからいいけど、そんなもん残されてるんだなぁと感心。最初っからこの人こういうギターと熱いプレイなんだなぁってのをマジマジと感じる歴史的なライブでさ、未熟なんだけど惹き込まれちゃうっていうヤツ。正にお宝音源。

 んで、今回フォーカスするのはDisc 3の1970年9月18日にスウェーデンで演奏されているライブのお話。この日ってジミヘンが死んだ日なんだよね。時差の関係上そのニュースはもちろんロリー・ギャラガーには伝わっていなかっただろうとは思うけど、同じようなトリオバンドのスタイルでギターヒーロー中心にプレイしている姿からしてカブる部分はあるし、ロリー・ギャラガー自身ももちろんジミヘンってのは一目置いてただろうし、奇しくもこうしてその日のライブがきちんとした…ってかまぁ聴けるレベルの録音で残されていたってのは運命的かもしれない。いわゆるライブアルバムです、っていう程のきちんとした音質では録られてなくて単にボードで録音されましたっていう感じのテープなんだけどね、演奏が凄い。初っ端からとにかく燃える。バンドってのはこういうインタープレイが普通に出来るもんなんだよって言わんばかりに自由奔放に音に身を任せてプレイしている大好きな形でのライブプレイ。同じディスクにはBBCでのライブも入ってるんだけど、不思議なことにこっちはもっと音が悪い…でもさ、こういうの聴いてると燃えるわ(笑)。やっぱロックはライブがいいよ。

 同時リリースで「ホワッツ・ゴーイング・オン-テイスト ワイト島ライヴ 1970」なんて映像も出てるんでこっちも楽しみなんだよね。見たことあるんだけどさ、やっぱりこうして今出て来るってのは何かまた見たくなるじゃない?しかもこのジャケもまたカッコイイしさ、最近ロック色が足りなかったからこういうロック的なのは燃えるよ、単純に。バンドで音出したくなってくるもんね♪

ホワッツ・ゴーイング・オン-テイスト ワイト島ライヴ 1970【通常盤DVD/日本語字幕付】





Jimi Hendrix - Freedom: Atlanta Pop Festival

Jimi Hendrix - Freedom: Atlanta Pop Festival
Freedom: Atlanta Pop Festival

 世間で騒ぎになるような事柄ってのは聞きかじりじゃなくてきちんと正しい知識を得てから自分で判断するほが賢明でね、何となくああいうことなのかとか勝手に解釈してると全然ホントの事からはかけ離れていることがあるし、メディアを鵜呑みにする必要はないし…、ってか左右されない方が良いね。なんでそういう解釈なんだ?って思うこと多数、きちんと説明解釈があってこそならともかく映像とキャッチフレーズだけ出されてもね、よくわからないでしょ。そんなことをヒシヒシと思ったなぁ…、鬼怒川の決壊のアレだってもう何も報道してないから全然わかんないし、他のどんなんよりも気になるんだけど…、しょうがないか、って結局ネットに戻る。やっぱり自分にはテレビってのは要らないんだなぁ…。

 ジミヘン没後45年??うわっ、そんなになるのか…、それでいて未だにジミヘンってのは普通にロック界の会話では出て来るし雑誌なんかでも出て来るってのはもうアレだね、ベートーベンとかそういう次元に位置している人なのかもしれないな。そんなジミヘンの1970年7月4日のアトランタ・ポップ・フェスティバルに出演した際のライブCD「Freedom: Atlanta Pop Festival」が2枚組できちんとリリースされた。きちんとっても最後の最後が無いので完全版じゃないけど、いいでしょ、これくらいで。昔「Stages」って4CDボックスがあって、それの4枚目にこのライブも入ってたんだけどちょいと曲が少なくて残念って思ったのと、ライブそのもののエナジーがどうにもイマイチ…って気がしてたのであまり聴かなかった。その前にビデオも出てて、それも暗い感じで覇気がなくて何かジミヘンってホントに波があると言うか、輝いてるライブを捉えているってのは結構少ないんかもなぁ、とか実際そういうライブも少なかったのかもなんて思ったものだ。こんだけ時間が経っていろいろと出て来るとアレはスゲェ、コレはダメだとかいろいろあるのがよくわかるが。昔はアングラの音の悪いのとかでも聴いてたからぞれに比べりゃ今は贅沢な時代、こんなに良い音でライブがたくさん聴けるんだもんね。

 んでこのライブ、久しぶりに聴いたけど音の分離とかくっきり具合は凄いなと思うがやっぱりジミヘンの数あるライブの中でピカ一クラスとは言えないレベルのショウな印象だ。実際は知らないけど、音だけ聴くとそんな印象で、どこか宇宙に行き切れていないというか音で駆け巡ってないというか…そういう演奏してるしそういう音も出してるんだけど、ちょいとマインドがそこに行ってないのかもなぁなんて思う。命削ってギターを弾いてた人だからそんなこと言ってちゃいけないけど、もっと心に染み入るギターを聴きたいな〜って勝手に思ってしまう。それにしてもミッチ・ミッチェルの驚異的なドラミングはいつ聴いたって衝撃的だ。それにビリー・コックスの後ろ乗りながらもフレーズを弾きまくるベース、そしてジミだからなぁ、良くないったって普通レベルなんてのは軽く超えてるんだからとんでもないライブなのはそりゃそうだ。

 アメリカの独立記念日でのライブってことでアメリカ国家だって特別なものにしたかったんだろうというのも感じるし、それぞれのソロプレイなんてのはもうやっぱりどうやってんだ?くらいに弾きまくって顔で弾いてるギターが思い浮かぶくらいなのでやっぱりノックアウトされちゃうんだよね。一体何なんだ?って。45年経ったって未だにジミヘンを超えたギタリストってのは出てないし、最初で最後の人なんだよ、やっぱ。そりゃベックなんかもそうだけどさ、やっぱりだからこそ数少ない楽曲とプレイながらもいつ聴いても陶酔できるギタープレイなワケだ。生きてたら70歳過ぎてたくらいか…、どんなブルースギタリストになってんだろうな…、バディ・ガイがあんなんにギター弾いてるのとは対照的だったかもしれないし、一緒にやってるくらいだったかもしれない。いつまで経ってもジミヘンはこのままの姿で皆の姿に焼き付いている、それもまた時空を超えた伝説になりアイコンになっている理由だろう。生々しい彼の音が聴けるってのはホントに幸せだ。このライブ、後半に行けば行くほどにライブが良くなっていく、そこでやっとノレてきてるのかもねっていう気がする。「Voodoo Chile」とかはもうさっきまでのイマイチ感なんて無くなってて、とんでもないギター弾いてるからぶっ飛びモノだ。

 このライブの2ヶ月後にはドラッグでサヨナラ、病気とかじゃないから死の目前だから調子が悪くてなんてのはナンセンスでさ、ドラッグの効きが遅かったからライブの終盤の方がノレてるんじゃね?なんて思ったりするのだが、一方でミッチ・ミッチェルがややお疲れ気味になってるのもあるのかな、ガチッとハマり切れてなかったとかそんなことかもね。なんせこの時期でもジミはデビューしてまだ3年なんだし(笑)。やっぱね、ギター…いいわ。気持ちいい。





Airbag - Greatest Show on Earth

Airbag - Greatest Show on Earth (2013)
Greatest Show on Earth

 70年代のロックってのはホントに偉大だったのな。未だに出て来るバンドの数々に影響を与え続けていて、ど真ん中にその存在感を圧倒的に示し続けている。そこには新たに加えられたエッセンスもあるんだけど、ど真ん中にはしっかりと、そして堂々とピンク・フロイドって存在があるのだ。それでいてバンドの個性を出しつつ、独自性を出しつつってな事をやっているわけだけど、しっかりと聴く側もそれをわかっていながらの聴き方するからやっぱり好ましく聴いちゃうんだよ。ある意味最初から好きになるのを分かっていて聴くんだから質悪い。案の定いいじゃねぇか、って話になるワケで…(笑)。

 ノルウェーから2009年に出てきたバンド、Airbagの三枚目の作品「Greatest Show on Earth」。自分はまだこれしか聴いてないからほかと比べてどうのってのは分からんけど、この「Greatest Show on Earth」を聴く限りでは明らかにピンク・フロイドの「狂気」以降の一番自分が好きな時代の影響下にあり…いや、影響というレベルを超えてちょいと変形させているだけで雰囲気も音もイメージもともすれば音色も同じ作品と言えるか。もちろん音色の新しさや鮮やかさなんてのは全然違うけどさ、ど真ん中がピンク・フロイドのそのヘンなんだもん。オマージュ作品だから良いんだけど、いや、褒め称えるならば見事にその世界を再構築してくれた、と手放しに喜びたいアルバムです、ホントに。ここまで出来るかってくらいに出来てるから文句のひとつも出ないですな。

 そしてアルバムジャケットすらもヒプノシス風味な作品で好感が持てるね。日常に於ける非日常というテーマを貫いたヒプノシスのアートセンスをこういう風に持ち込んだかと。面白いモノで、素人の自分なんかでもこれはヒプノシスに似てるけどヒプノシスじゃないだろうな、っていう微妙な違いってのがあって、わかるんだからヒプノシスのセンスってのはホントに特異なんだろうなぁと。具体的に言葉でああだこうだと書けない所がまた見事で、ヒプノシスだったらもうちょっとトーンが…とかそんな風にしか言えない。どうだろうなぁ、実際何が違うんだろうなぁ、ホント不思議だ。そんな事も含めてどっぷりと楽しめた1時間、そしてタイトルは「Greatest Show on Earth」…、そんな70年代のバンドのジャケットはヒプノシスだったよ(笑)。





Millenium - Puzzles

Millenium - Puzzles (2011)
Puzzles

 オマージュとパクリ、愛があるかないか、対象を馬鹿にするかしないか、言葉でなく作品でその意図を示さないといけないのだからその境目はかなり曖昧だ。Zeppelinなんていくらでもそういう境目にある曲があってモメたのもあるし、多分他にも色々なバンドにそういうことがあるだろう。曲の部分部分ならともかくジャケットやコンセプトや音世界など、どこまででも出来てしまうのが今の世の中、本当にオリジナリティ溢れる創造物を作ることってのは凄く難しいんじゃないかな。オリジナルとして完全に作ったとしても似たようなのは溢れてたりするワケだし…ってどっかのオリンピックみたいな話だけど、ホントにオリジナルならオリジナルだと言い張ってその正当性を主張し続ければ良いのにね、そうじゃないから認めたんだろうと世間は思うワケよ。

 ポーランドの新鋭プログレバンドとして…ってももう15年選手だからなぁ、新鋭でも何でもないMilleniumってバンドの2011年の会心のリリース作品「Puzzles」。タイトルだけ見ると何じゃこりゃ?なんだけどジャケット見て、更に笑えるワケ。んで、普通はなんかのパロディバンドなんだろうなぁなんて見ちゃうじゃない?ところがもちろんそんなことなくてピンク・フロイド大好きな事から始まって、あの「The Wall」を見習っての2枚組大作コンセプトアルバムを作ってしまったようだ。そしてそのジャケットにテーマとなったパズルを持ち込んでピンク・フロイドへのオマージュとしたワケだ。だからジャケットのコミカル具合と中身のシリアスな音世界とのギャップはかなりある。

 そもそもが実力あるプログレバンドのコンセプトアルバムなんだからサウンドや作品に問題はなく、実際に内を歌っていてコンセプト的にどうなってるのかってのはよく知らない…ってかそこまでのめり込んではいないんだけど、やっぱり軽めに聴きやすくっていうのか、もちろん近代作品だからそういう側面がないとアレなのかもしれないが、どこか作品集に聴こえてしまうだけという点も否めない。きっとそんな事もないんだろうし、深く聴いてハマっていけば心地良い世界になるんだろうって気がするけど、今はまだそこまで…って感じか。ただ、心地良い音だなと。フロイドってよりももっとキャメルなんかの世界な気がするけどな。そう比べるとやっぱり英国ロックって凄いな。





Riverside - Love, Fear & the Time Machine

Riverside - Love, Fear & the Time Machine (2015)
Love, Fear & the Time Machine

 記憶力はある程度良くないとレコクターって出来ないんじゃないだろうかと思ってて、例えばライブラリに何があるかを掌握しておかないと実際に昔は店に買い物に行ってその場でレコードとか見て持ってたか持ってないか、または自分が必要としているレコードなのかどうか、自分の買いたいリストにあるものかどうかってのを記憶してないとダメでさ、もう一回買いに行くってのはあるけど、大抵見た時が買い時なので二回目に行くと無くなってるってモンだ。普通に思うとメモ持ってけばいいのでは?って思われるかもしれないけど、明確にコレ、ってのを買いに行くならそれでいいんだけど、もうね、数十枚以上のモノを聴いてみたいって思ってる時だからリスト書いたってわかんないし、いちいち見てもいられないからさ、記憶だけが便りになるワケ。それはもう聴いた時もそうだしね。どんなアルバムだっけ?ってなるじゃない?そんな事で記憶ってのは重要…だけどこれがまたこぼれ落ちていくものなのだよ…。

 結構待ちに待った新作リリースだったRiversideの「Love, Fear & the Time Machine」。ポーランドのバンドってのはウチでも良く取り上げてるけど、Riversideを筆頭にポーランドってのは自分的にかなり面白いバンドの宝庫になっていて、フィンランドに続いての注目国なんですね。良質なサウンド、自分の好みのサウンドが世に出て来るってのがその辺のポイントで結構面白い。その筆頭格がRiversideなんだけど、当然新作も期待してるワケで…、期待ってよりも当たり前の安心感。自分好みの音が必ず出て来るって安心感。最初に聴いてそう思えないハズもないし、何度聴いてもハマれる音だろうし、問答無用に楽しめることがわかっているバンド。当然今回もその期待通りの音世界で、以前に比べるとやや真の暗さから浮上している感はあるけど、それでも十分にRiverside的暗さの範囲内でなかなかよろしい。

 サウンドは相変わらずの円熟したプログレロックと言えるだろう。ギターの歪み中心ながらもメタル寄りと言うんでもなく、ロックの範疇内でのプログレッシブサウンド。なんといってもこの歌声が個性的で浮遊していて好きだ。力まず淡々と、それでいてきっちりと表現し切る歌、重さと強さが存在している歌なんだろう。その他楽器、楽曲は捻りも何もなく…ってかRiverside的捻りは既にたっぷり入っているからそれ以上でもなく、きちんとプレイヤーがプレイヤーとしての仕事をこなしている音が出て来る。こういう書き方すると冷淡だろうけど、その暗さ冷たさ職人性がRiversideの面白さだし、ロジャー・ウォーターズの世界に被ってくるあたりなのだな。そう、だから好きなんです。コピーでもカバーでもないけど、本質的な所でロジャー・ウォーターズと同じ香りがするんだよね。

 だからアルバムは一気に何回も聞くってよりかは事あるごとにいつも聴いているというような聴き方になるんじゃないかな。時間をちょっと作って一気に聴ける時、夜中黙々と何かをしている時、そんな集中する時間に聴くものになるね。それでいて覚えやすいフレーズはたくさんあるからすぐに過去作品とも同じレベルに馴染んじゃうだろうし。そういう意味で何も進歩してないアルバムとも言えるか。今はそれで良いんじゃないかなと。







Periphery - Juggernaut: Alpha

Periphery - Juggernaut: Alpha (2015)
Juggernaut: Alpha

 ちょっと思い切ってココも雰囲気変えたりレイアウト変えたり書き方やリンクなんかも色々と変えてしまいたいな〜って感じるようにはなってるんだけど、何かと面倒で取り敢えずそのままもう何年も同じ感じでやってる。グチグチ言えばYouTubeのリンク切れてたりするのも直したいとか、iTunesストアのリンクは古いの全部直さないといけないし、そもそも適当に付けてるから決まってないし、もちろん誤字脱字も修正できるならしたいとか、いろいろあるんだよねぇ、中身的にも。アマゾンリンクもちゃんと画像出るように直したいとか、新しく入手出来るのにリンクし直したいとかさ。そうするとほぼ再構築しなおしで結構な時間がかかりそうだからブログが二回りするならその辺直して加筆修正してまとめ直すってのはあるけど、それもまたなかなか面倒な作業だからほったらかし…orz

 とりあえずちょいと前にリリースされたばかりのPeripheryの2枚組ではないけど2CDセットでバラ売りってリリースの最初の方「Juggernaut: Alpha」ってので。何てのか、この手の音ってのはどっちかっつうと斬新さとかリズムのヘンさとか技巧的な所で聴かれるケースがあるんだけど、結局はメタルの領域に属した世界だからそのヘンなリズムなどに振り回されずに聴いてるとどこまでPeripheryってバンドの歌とかギターとかが好きかって話になる。そうするとバンドの個性ってのは技工面じゃないとすると何なの?ってトコで、案外自分的には興味をソソられる部分が少なかった。ただしジェントの部分はやっぱり聞いちゃって、そうなってるのか、とかそういう割りなのか、とかさ。

 でもやっぱりヘヴィロック・ヘヴィメタル新世代的な意味では凄いんだな〜って思う。デジタル域とヘヴィ域、変拍子に加えての曲のレベルの高さ。こうなると良質な曲ってのがどういう目線での意味合いなのかってだけで、どれも良く出来ている作品ってのは確かだ。しかしどういうアタマしてるとこういうのが出来るんだろうな(笑)。





Ten - Isla De Muerta

Ten - Isla De Muerta (2015)
Isla De Muerta

 ロックのアルバムジャケットってのはやっぱりカッコ良さがないと魅力に欠けるし、ミステリアスであったり叙情性をソソるものだったりすると更に楽しめる。奇抜性や美しさ、ヘン感みたいなのも英国ロックでは顕著なのでその辺もソソられる一因ではある。美しきアートワークとアニメ的なジャケットってのは結構紙一重的な所があるけど、やっぱりアニメ的なのは好まないな。中身の音の話じゃなくてアートワークとしてのお話だけどね、ところが今の日本含めて世界中ではアニメ的なものってのはもう普通に氾濫しているからそういうこだわりもおかしな話になっちゃうんだが、もっとカッコ良いもの、美しいアートって出来るんじゃない?なんて思う。メンバーの写真だけよりはマシって考えかもしれないけどさ。やっぱり中身の音をイメージさせる重要なファクターがアートワークだと思うし。

 …ってことをつくづく思ったTenの作品「Isla De Muerta」。こないだリリースされたばかりの二部作の二枚目ってことらしいけど、前作聴いてないんでよくわかんない。ただ、どっちもジャケット見るとファンタジー世界のお話っぽくてこっちでは海賊的なもののようだ。そんな想像と中身の音は全然違うのかもしれないし歌詞ですら関係あるかどうかわからん。ちなみにこのジャケットで手に取って買うか?って言われたら絶対それはないな。知ったバンドだから聴いてるワケで、CDという媒体が欲しいと思うものでもないのでDLです、こういうのは。むしろジャケットをあまり見なくて良い方が助かるか。ところがですね、アルバムの中の音ときたら相変わらずな英国・アイリッシュ旋律がたっぷりと盛り込まれたメロディのしっかりしたハードロック、そして説得力のあるボーカルの歌声とギターの旋律で20年選手の新作としちゃ飽きることもなく聴き応えのあるアルバムに仕上がっているのは頼もしい。

 冒頭からアイリッシュなメロディーとムードがたっぷりで違いをはっきりと打ち出してくるから惹き込まれていっちゃって、もちろん流れで聞くんだけどアルバム通してってなるとそんなにアイリッシュ的なのを打ち出しているってんでもない。もっとオールドスタイルなハードロックに準じた作品でかっちりと創り込まれている音。起伏に飛んだメロディとはっきりした歌声にギタープレイとわかりやすい。何度も聞くかってんじゃないけど、聴いて安心するサウンドではある。このバンド、もうちょっと追求しても良いかな〜とは思うもののどっかで飽きちゃってね…。





Praying Mantis - Legacy

Praying Mantis - Legacy (2015)
レガシー

 最近友人がアナログレコードばかり買っていると嘆いてて、気持ちはわかるな〜って話。昔は中古で買う時でも1,200円が何となくの境目で、もちっと安けりゃ買ってもいいかな、とかそんな意味合いでね。それが今は概ね300円とか500円でそのヘンのが買える。プレミアム感があるのは1,000円ばボーダーライン、みたいな…。それでも安くなってるし探しきれれば珍しいのも安値で買えるし、レコードは残っていくだろうから老後の趣味に聴きまくるんだって話もチラホラ聞く(笑)。デジタルモンはどんどん無くなってくけどアナログはそういう意味ではホント残ってくからいいよね。たまにアナログ聴くと凄くホッとする音してるから気持ち良いし。

 Praying Mantisの2015年作「Legacy」。不遇な境遇からシーンに返り咲いて毎回メンバーが変わりつつも頑張って良質なアルバムをリリースし続けてくれているんで、ある種不動のバンドでもある。音楽性としちゃ何も変わらない相変わらずのメロディーのしっかりしたメタル・ハードロック系なサウンドで聴きやすさも相変わらず。叙情性がやや欠けているのはボーカルのイメージだろうか?コーラスワークも相変わらず哀愁漂う雰囲気だし、さすがの安定感。声が伸びるボーカリストだったら多分Praying Mantisってバンドの歌にハマるんじゃないかな、そういうボーカルばかりを上手く起用している。ゲイリー・バーデンだけはちょっと異質だったが(笑)。

 そんなことで金太郎飴状態に近いくらいに大きな変化は何もなく安定のメロディーを奏でてくれる今じゃ各国混合バンドになっているPraying Mantis。ギターの旋律も相変わらず美しく、そこにかぶってくるコーラスワークとメロディ、叙情性をしっかりと持ち得た壮大な曲世界、最初は変わり映えしないな〜なんて聴いてたけど、だんだんとやっぱりいいな〜と変わってくるんだから面白い。「Tokyo」なんて曲もあって一体どうしてそんな歌詞が出来たんだ?って気もするが、日本人的にはどっか嬉しいよね。曲も悪くなく、ギターが目立つサウンドでその前の曲の素晴らしさと比較しちゃいかんけど、良い感じ。大して期待してなかったけど、やっぱりPraying Mantis、素晴らしい。







Iron Maiden - The Book of Souls

Iron Maiden - The Book of Souls (2015)
魂の書~ザ・ブック・オブ・ソウルズ~【初回限定デラックス盤】

 しかし夏の終わりからずっと天気が悪い日々が続いててどうにもどんよりとした雰囲気があったけど、英国ってそもそもそういう気候な国で、何度か行った事ある程度なんだけどいつも冬だったからか曇り空ばかりでしとしとな天候ばかり。そりゃ英国人が底抜けに明るいなんてことはないだろうよと納得したものだ。そんな中から出てきているロックの世界の大御所多数、やっぱり大英帝国的なところがあるんだよな。作品を重ねるごとに失速していうバンドもあれば相変わらずというバンドもある。ただ音楽やってると常に新しい事もやりたくなる、取り入れたくなるってのはミュージシャンとしての宿命でもあり、一方では変わらないモノ、これまでと同じ路線でより素晴らしいクォリティを求めるなんていう贅沢も出て来るのが難しいところ。

 Iron Maidenの2015年作「The Book of Souls」。そもそもリリース前からメイデン新作出すのか?しかも2枚組で?大丈夫か?絶対ダレダレになったアルバムになるんじゃないか?って予想が大多数、でも何かやってくれるだろうという期待感、いやいや、もう付き合いですからね、良い悪いじゃないんだよってのも大多数。結局何でも良いんだよ、メイデンならさ(笑)。そんな気風の中リリースされた新作2枚組を何度か聴いてみた。やっぱね、一度じゃしっくりと来ないし何回か聴かないと…しかも今回は2枚組の長尺アルバムだから簡単には分からんよな〜ってのがあったしね。ところが聴いていくと面白くて、どっちかっつうとDisc2の方が面白い、ってかこれまでのメイデンらしい感じが漂ってる。Disc1ももちろんそうなんだけど、ちょっと物語的な長尺感があるからかな。それともアルバムに入り込むまでに時間が掛かるからDisc2でようやくのめり込めてるのかもしれない。

 ん〜、速くて躍動するような昔ながらのメイデン風味のある曲はさすがにないんだけど、円熟味を増したメイデン風のは多数、トリプルギターだとやっぱりそれぞれの個性やツインギター的な所が目立ちにくいのかなぁ、ギターのメロディでのドラマティック感がもうちょいかも、なんて思ったりもするけど、これまであまり聴かれなかったようなフレージングによるギターも出て来るから、へぇ〜ってのはあった。それよりも何よりもブルース・ディッキンソンの歌声が最初の方は無理してる感を感じたけど聴いてるとそんなことないか、きちんと声出てるか、って感じるので何とも不思議なものだ。立て続けに聴いてればそういうのも気にしなくなるんだろうけど。しっかり10分レベルの大作が数曲あって、これがまた聴いてるウチに曲の長さを気にしなくなってくるという作り込みようが見事で、テンポチェンジや突然の展開なんてのもいつも通り出て来るのでメイデンらしい。

 さて、それでこのアルバムはどうなの?って話になると、そりゃ80年代のメイデンを求めちゃ酷でしょ。アレには敵わないよ。んで、90年代以降のメイデンとは?ってなるとそっちをあんまり聴いてないからわからん(笑)。だけど、案外長尺感を感じることなく聞けるし、慣れるとメイデンだな〜ってのが染み渡ってくるから、そこからは聴きやすいしメイデンらしいしかなりの作品に仕上がってるんじゃないかと。昔の作品みたいに何度も何度も聞くってんじゃないけど、でも、ここから入った人は何度も聴けるくらいのスルメ的クォリティは持ってるし傑作の部類だろうと。まぁ、やっぱり80年代のメイデン求めちゃうんでその辺からはダメだろうけどね。燃えないんだよな〜どれも(笑)。



This Heat - Deceit

This Heat - Deceit (1981)
Deceit

 カンタベリーシーンの浮遊感ってのは今でもあるのかな?もう全然追いかけてないからあまり耳にすることもないんだが、あるとしてもかなり変化した形なんだろう、きっと。今度ちょっと探してみようかな。それとは別にまるで違う形態に進化しているもののカンタベリーシーンからの登場という出自だけが語られることの多い、チャールズ・ヘイワードとニール・マーレイ、いや、どっちもそんな風に語られる事の方が少ないのだろうし、既に別世界で名を成しているからそっちの方が知られているだろうからここでわざわざそんな取り上げ方ってのもしなくてもいいんだけど、流れ上行きがかり上…ね。

 チャールズ・ヘイワードが参加した多分漠然とずっとこういう音世界への情景はあったんだろうと思われる完成形…のひとつとして思えるThis Heatのセカンド・アルバム「Deceit」。1981年リリースだからほんの数年しか続かなかった衝撃的なパンクの流れを超えてポストパンクムーブメントへと一気に移行してしまってからの作品、そもそもQuiet Sunの時にもこういう破壊感と言うか硬質感はあったから、その辺でモヤモヤと思いはあったんだろう。それが具現化したのが衝撃的なファーストアルバム「This Heat」になる。そしてセカンド・アルバム「Deceit」はさすがにちょっとはコマーシャル的な方向もあったのか、やや聴きやすくなっている気がする…のは歌が適度にあるから、か。それでも全然ポップじゃないのだが(笑)。

 この頃の英国の裏シーンって退廃的で破滅的なのが幾つも出てきてて、その中ではしっかりと存在感を放っていたバンドだろうと思われるし、そのサウンドも斬新でシーンから注目を浴びていたハズ。PILが提唱していたメタルミュージック的な側面と破壊性、パンク的なアプローチの中に見える知性、着実に自分達が「創っている」感あっただろうなぁと思えるチャレンジ的な試み。カンタベリー出身のチャールズ・ヘイワードがやりたかったサウンドだからカンタベリーシーンの音というのにはまるで当てはまらないけど、そんなきっかけからこういうアプローチに興味を持つ人もいるのかな。自分的には実験精神性は好きだけど音楽として普段聞くか、って言われるとそうでもない音世界かな。



Quiet Sun - Mainstream

Quiet Sun - Mainstream (1975)
メインストリーム (SHM-CD生産限定紙ジャケット仕様 豪華ブックレット付)

 深みにハマると楽しくなってどんどん突っ込んでいきたくなるのが英国ロック、そして特にその中でも泥沼化していくのがカンタベリーかもしれない(笑)。一律にカンタベリー一派と言われるものの、その幅はかなり広くなっていくので、音楽的ジャンルでは括れない状況になっていくのだった。じゃ、何?ってぇと、まぁ、ある種の淡々としたテイストにユーモア、ポップセンスに浮遊するジャズ感覚を持ち合わせた技術集団的音楽…か。元祖はソフツやキャラバンなので、その辺の影響下にあるケースが多いのだろうけど、独自解釈で幅を広げていくのは音楽の宿命。中でも異色な振れ幅を引き起こしてシーンどころかプログレロックの中でも特異な地位を発揮したアルバムがこいつ。

 1975年リリースのQuiet Sunの唯一作「Mainstream」。メンツはご存知フィル・マンザネラ中心でカンタベリーと言われる所以はビル・マコーミックの参加によるものだ。一方ではここでシーンに名を広めたドラマーのチャールズ・ヘイワードが以降のキーマンとなる。ご存知、This Heatへとカンタベリーシーンを引き込んでしまうワケで、そこからはもう歯止めなし…ってか追いかけ切れてないからよく知らん(笑)。話は戻してこの「Mainstream」、カンタベリー的浮遊感は要所要所で聴かれるものの、フィル・マンザネラの歪んだギターとこれまた硬質なチャールズ・ヘイワードの変態的ドラムが軸になっているからか、相当にクリムゾン的暴虐さを表現しているようにも感じるし、一方では確実にソフト・マシーン直系の音世界の伝承者とも言える手法を繰り広げていて決して初心はが取り付きやすい音楽を奏でているワケではない。イーノの変態的センスももちろん振り掛けられているので更に妙な世界に仕上がっていると言う奇跡のセッションとも言える作品。だからこその唯一作になったんだな。

 しかしホントどうやってこの変拍子や展開を即席に近いバンドで組み上げられるものなのか。何が最初に出来上がってメンバーでジャムれるのか、不思議でならない。そんなにしょっちゅうスタジオで顔合わせてジャムってて出来上がるってんでもないだろうし、才能なのかな、それでいて新しい世界をきちんと作り上げていくというのもあって、聴けば聴くほどに不思議感は増すけど惹き込まれていってしまうアルバム。結局自分はこういう攻撃的な音が好きなのだ(笑)。



Egg - The Civil Surface

Egg - The Civil Surface (1974)
The Civil Surface

 音楽とロック、プレイヤーとロック、自分が好きなのはどっちかっつうと絶対にロックであって、音楽やプレイヤー部分ではないのだろうなと思う。何を言ってるんだ?って事だけど、結構そう思うと納得する事が多くてね…、それはアルバム聴いてたりライブ見てたり会話したりしてて思うこと。人間がロック、ってトコ、あるじゃない?そういうのは全部じゃないけど好きになる要素が結構多い気がする。一方音楽的だったりしているのも好きなので表面的にはその差はそんなにないんだけど、やっぱりガツンと聴きたくなるってのはロック的な側面を欲しているんだろうと。そんな解釈してるだけって話で意味は無いです。ふとココの所やけに音楽的なの聴いててホッとしてる部分あるんだけど、そこって何だろ?って思ってね。あぁ、そうか、ロックしてるんだ、と思うと凄く納得するワケ。カンタベリーであってもね。

 1974年に3枚目の作品、再結成しての作品となるEggの「The Civil Surface」なんてのを。メインはデイブ・スチュワートでモント・キャンベルとクライブ・ブルックスはもちろん参加してて、その他ゲスト陣営にて制作されているけど、それももちろんカンタベリー筋からのゲスト陣なので音そのものは明らかにカンタベリーサウンド。ただし、ここで聴ける音世界はフワフワ感というのではなくってもっと硬質で淡々とした…淡々ってのはカンタベリー的だけど、無感情的と言うのか、無機質な音にすら聴こえる。ソフトタッチの楽器があまり登場しないことが要因かもしれないけど、かなり硬い感じがする。そもそもEggな世界はそうなんだけど、このアルバムは特にそんな感じだ。それだけきっちりと計算されて作られているとも言えるので、作品としてのレベル感は相当高いモノに仕上がっているのは当然か。

 それでいても感情面をコントロールする楽器はゲスト陣で奏でているので、音として存在していないワケじゃない。ただ、やっぱりソフト面は表面の音でしかないというのか、根幹的に硬質感たっぷり。モント・キャンベルってこんなベースだっけなぁ…とか思うんだが、きっとそうなのだろう。自分があまりそういう聴き方してなかっただけだし。ドラムのクライブ・ブルックスなんてGroundhogsに参加してたんだからこんなテクニカルなドラマーというイメージは無かったんだが…、細かく覚えてないけどさ、やっぱバンドでガラリと印象が変わるのは当たり前なのかな。アレコレ言いつつも結構じっくり聴いちゃう作品で、前2枚と同じくらいのテンションで聴けるんだけど、何かが足りない…その辺がイマイチ聴く気にならない部分、多分それはカンタベリー的キャッチーさ、ポップさなんだろうと。やっぱね、そういうオフザケ面ってのはあってほしかった。無くてもカンタベリー的だけど、ちょっと真ん中からは外れているね。



Gilgamesh - Another Fine Tune You've Got Me Into

Gilgamesh - Another Fine Tune You've Got Me Into (1978)
Another Fine Tune You've Got Me Into

 ジャズにしてもカンタベリーサウンドにしてもだけど、作曲する人ってどういう作り方するんだろうな。結果論としてバンドの演奏を聴いてるからその過程がなかなか見えなくてね。コード旋律とか主メロディーが書かれてる、その間のフリー部分とテーマ的なのは決まってるなんてのは分かるんだけど、実際聴いてるとそんな簡単じゃない曲構成だし演奏だし、それでいてビシッと合う所は合わせてくるし、そこまでじゃないけど雰囲気的に盛り上がる箇所ではメロディ楽器が同じラインを奏でてくるなんてのもある。偶然じゃないんだろうし、旋律もたくさんあるから全部覚えてられないだろうし、一体どういう作りになってどういう演奏になるんだろ?こういう感じのバンド経験はないから分からないんだよなぁ。

 ギルガメッシュの1978年リリースのセカンド・アルバム「Another Fine Tune You've Got Me Into」。こちらももちろんアラン・ガウエン主導のバンドで、こっちがメインな印象だけど、数年間バンド解散しててのアルバムリリースなため、ギターのフィル・リーとアラン・ガウエンだけがオリジナルメンバーで、他は手近な所での寄せ集めか?ってもベースにはソフツで知られているヒュー・ホッパー、ドラムはトレバー・トムキンスってなトコで何ら問題もないメンツになるのだが、それでもこんだけの演奏出来ちゃうって曲がどこまで仕上がってての話なんだ?って思うんですよ。上昇フレーズなんかも突然同時に出てきたりするし、静と動なんてのは当たり前、全体のムードもきちんとバンドが支配しているし、見事な作品としか言いようもない。アメリカのジャズはまだ分かるんだけどカンタベリーのこの世界は心地良いだけにそんなこと考えることもないんだけど不思議。心地良いからいいけどさ。

 結構昔からこのジャケットは目立ってて、ウィリアム・バロウズの作品って一発で分かる人はもちろん多いだろうし、だからこそのギルガメッシュ…ギルガメッシュっつうと「ナイト」って付けたくなるのは年の功、割とよく出て来る名前なので初めて調べてみたけど、メソポタミア・シュメール初期王朝時代の伝説的な王の名とある。ネット時代はこういうのがラクだな。辞書に出てない単語とか調べるのはそこまでの欲がないとやらなかったけど、今じゃググレ、だ。そんな事しながらず〜っと聴いてるけど、ホントカンタベリーな音だ。鍵盤とギターなんだろうな。ベースはもちろんのことながら…、あ、全部だ。夜中にじっくり聴いてると心地良いですねぇ〜、真冬の夜中とか最高だろうな、こういうの。ジャケットからは想像できないくらいにフンワカした音が聴けて幸せになります♪



National Health - Of Queues & Cures

National Health - Of Queues & Cures (1978)
Of Queues & Cures

 ふと会話してて自分で思ったんだが、もうちょっとロック聴く時に歌詞に重きを於いて聴いていたら結構感覚違ったかもな…って。すると言われたのがほとんどのロックは歌詞なんてホントにどうでもいいことしか歌ってないから別にいいんじゃね?って。ん〜、なるほどそれもそうか。そもそもロックの歌詞なんてそういうモンだもんなと言うことに気づいて納得した。歌詞に共感しました、ってのは一時期なお話が多いだろうし、ディランみたいにプロテスタント的にやってもそれはそれで時代を感じさせちゃうものだし、ってことはやっぱり歌詞ってのはその時代を映すという側面が強いのだろう。ビートルズでもストーンズでもそうだろうし、今のメタルやロックでもほとんど意味は無いんじゃないだろうか。ファンタジー物語作ってやってるのとかは歌詞ってよりも物語だし、う〜ん、ロックの歌詞ってのはそんなもんか?ジム・モリソンさんよ…と。

 カンタベリーって面白くてね、同じようなメンツがちょっとメンバー替えたら違うバンドになってたり、全然違うメンバーなのに似たよう〜な音を出してたり、兄弟姉妹みたいなバンドがアチコチにあって、それがまたそれぞれに影響を与えたりしてるもんだからバンド名ってのはその時限りの名称みたいなもんだ。ジャズみたいに個人プレイヤーでアルバム作ってけばいいのに、とすら思うのだが、そこがポップ・ミュージックである所か。National Healthのセカンド・アルバム「Of Queues & Cures」、1978年リリースだからもう結構な時期で、全くウケなかったんだろうことは想像に難くないがだからどうした?好きなことやりまくってるぜってくらいやってる。頼もしい連中だ。後のヘヴィメタル界とカンタベリーシーンをつなぐ重要なキーマンとなるニール・マーレイはここでは脱退してしまっているので、語り切れないのが残念だが、圧倒的に後期カンタベリーシーンの中で音的に重要な人物になっていったフィル・ミラーのギタープレイが心地良く聴ける一枚です。ホーン・セクションも入れての実験的展開もあるが、いまさら驚くことでもなかろう、そもそもが実験精神と即興性の場なのだから。

 んで、もちろんデイブ・スチュワートも参加してるからその手の音になるんだけど面白いのはココでHenry Cowの面々が参加してくることで、それによって更に即興性が強くなろうと言うものだ。しかも今回はベースのジョン・グリーブスという結構バンドの屋台骨を支える位置での参加になってるからブイブイとベースが引っ張ってる…引っ張りすぎてるくらいにグルーブしててどんなロックバンド聴いてるんだ?くらいには思う。着いづいするピプ・パイルのドラムが繊細系なだけどそのギャップはあるんじゃないかな〜なんて勘ぐってみたり。こちらもあまり聞き倒さなかったアルバムだからこういう感じに聴いてて面白いな〜、ちょいと硬めな音だな〜とか更にカンタベリーの深みが楽しみになってきたりして結構楽しめる。苦手な人は苦手だろうけど、素直に音を追ってると楽しいアルバムです。インストモノばかりなので普通ならプレイヤー志向作品になるんだけどカンタベリーの場合はそういうのでも名曲として仕上げてくる、と言うか単なるプレイヤーの満足度ではなくてそこからリスナーに音楽を楽しめるようになっている、っつうか…、そういう所が痺れるんだよ。「Squarer for Maud」とか最高だもん。




Matching Mole - Little Red Record

Matching Mole - Little Red Record (1972)
Little Red Record

 秋の訪れが早そうな気配を感じつつ流れがカンタベリーに来てたので、そうだなぁ〜、カンタベリーも久しく聴いてないし、どんなんあったっけ?ってライブラリ漁りと自分の知識漁り…、ま、ネットで適当に探すのが早いかと思って探すけど、その間に、あ、あれ聴きたいとか思い出したりして聴くんだな。結局何探してたっけ?って思うこともしばしば…、いや、あれこれ聴いちゃって楽しくなっちゃうとさ、聴いちゃうじゃない?んで、カンタベリーとかプログレ系ってのはじっくりと時間取ってノイズの入らない環境で聴きたいから割と限られちゃうし、そんなことを出来る時間を作ってヘッドフォンでひたすら聴くワケです。

 Matching Moleの1972年リリースのセカンド・アルバム「Little Red Record」。冒頭から音が出てきた瞬間から「あ〜、カンタベリー…」ってのが判っちゃうというかそういう音だし、その時点からフワフワしてるんです。そこからはもうフワフワと緊迫とオシャレ感と緊密な演奏、ヘンな音によるスケールやメロディに心躍らされてしっかりとあのカンタベリーの世界を満喫できる一枚。昔はMatching Moleってったらファーストの「Matching Mole」で「O Caloline」から涙するみたいなのが当たり前でその流れのままアルバム聴いてるってな感じだったんだが、こうしてきちんとセカンド・アルバム「Little Red Record」を聴いていると随分とビシッとしてきたもんだな、なんて感じる。よくよく見ればプロデューサーがロバート・フリップ卿でしたね…。しかも1972年って自分のバンドの方も結構大変な時期じゃないですか、なのにこんなとこでこんな音作らせてたとはね、なんて気もするが、しっかりとその影響はあって、パーツパーツでは戦慄クリムゾンを彷彿させるような空気感のあるシーンも割と出て来る。

 ファーストとメンバーが替わってて、ロバート・ワイアットと二枚看板だったハズのデイブ・シンクレアは離脱してるから、その分ギターでフィル・ミラーが頑張ってる…ってよりも一番功労者なのは多分ビル・マコーミックかな。スゲェベース弾いてくれてるし、鍵盤のデイブ・マクレーもそれほどメジャーな人ではないのにこんだけカンタベリーな音を弾いてくれるというのは嬉しい限り。一般的(?)なカンタベリー的サウンドよりはもうちょっと緊迫感と破壊感はやや漂う作品、それでもしっかりとロバート・ワイアットのオフザケは入っているというユーモラスなアルバム。この人のドラムも実に素晴らしくグルーブしてくれてて、ホントに微妙〜に独特の味。好きだわ〜。サイケ調な感触を感じるのはところどころのSE的な部分だけど、そこからジャズアプローチだからねぇ、そういうサイケ時代のバンドもなかったし、ユニークなアプローチとも言えるか。ボーカルコラージュもあるし、まぁ、多彩なバンド。こんなに「Little Red Record」って面白かったのか、と改めて感じた程の作品、ファーストの陰に隠れがちだけど聴いた方が良い名盤。いや〜、どこを斬ってもホントに素敵な音です♪「Gloria Gloom」なんて最高♪



Caravan - Blind Dog At St. Dunst

Caravan - Blind Dog At St. Dunst (1976)
Blind Dog At St. Dunst

 しかし古臭いロックばっかりが出て来るな(笑)。ロックに限らないけどさ、もっと新しく売れるものをちゃんとオンタイムで書けばいいのに、とも言われたことがあるが、そんなもん情報漁ってるだけで疲れるし、そもそもそれは他の人がやってることだからそっちに任せとけばいいだろ、ってくらいにしか思ってない(笑)。ウチでできる事ってのはさ、自分のワガママを聴いて書いてることだけで、それも時勢は関係なく、その時その時で時代は50年分くらいを行ったり来たり…、結局そういうのが市場で売れてるワケだし、ひとつのマーケットなワケだから多少は役に立つでしょ、多分。最近はもうCDが売れなくなってきてるけどさ、音楽は皆聴いてるんだよ、何かで。そこから深堀りできるかどうかってだけじゃない?そんなきっかけにでもなればいいし、マニアにも楽しめるようにもなってきてる…だろう、きっと(笑)。

 カンタベリーをさ、久しぶりに聴きたいなって思って。Caravanのマイナーな作品1976年リリースの「Blind Dog At St. Dunst」ってのを。ザッパのジャズアプローチ感覚から影響を受けているであろうカンタベリーシーンの不思議なフワフワバランスでのロックというかポップというかジャズ…ジャズではないけどジャジーな音ってか、やっぱりカンタベリーなサウンドは心地良いんです。この「Blind Dog At St. Dunst」でもメンバーは色々と替わって大変な時期の作品だけどパイ・ヘイスティングの頑張りが素晴らしく地味だけどかなりの傑作に仕上がってます。普通に聴くと、どこがロックだ?とかカンタベリー的なんだ?って疑問は出るんだろうけど、聴いてると多分何かヘンな事が分かると思う。普通にロックじゃないしもちろんプログレじゃないです。聴きやすいポップ的とも言えるサウンドが顕著な作品なので難しいこと好きな人にはウケない、実際ウケなかったアルバムだけどね、聴いてるととってもキャッチーで且つカンタベリーなパイ・ヘイスティングの歌声とメロディにヤラれるんじゃないだろうか?自分はもう昔からキャラバンって好きだったから初期はしょっちゅう聴いてたしね。

 この「Blind Dog At St. Dunst」はなかなか手に入れにくかったアルバムなんです、昔は。レーベルがデッカからBTMに替わった事で市場に出て来る枚数が減ったのか単に売れなかったのか、あまり再発されなかったからなのか日本配給との都合上なのか色々とあるんだろうけど、CD化される時も随分後回しになってた時期のアルバムでね、初期作品はこれぞカンタベリー的に取り上げられたりしたものだけど、このヘンになると地味でさ、あまり誰も何も書いてくれてないワケ。まぁ、自分的にはキャラバンだからナントカ手に入れて聴いてたけどね、メンバーがどうとかあるけど、単純に良い作品。そしてかなり良質で聴きやすい作品。唯一の欠点はポップ過ぎるってことだ(笑)。それも好きだけどね。





Frank Zappa - Guitar

Frank Zappa - Guitar (1988)
Guitar

 心なしか近年自分が生きている中で、ふと腹が立つとかザケンなって思ったりするのってそりゃいくつもあるんだけど、概ね公共の場に於けるその人間たちの立ち振舞が多い。口うるさいオヤジになった気もないけど、普通に常識的な範囲を守れない輩が多くてね、それがまた若者とかじゃなくてジジイ連中だったりするんだな。健康志向で定年退職しても身体はそれなりに元気だったりするといろいろな事に手を出すのは分かる、んだけど君たちはその世界では初心者なんだからきちんと初歩からマナーを学び基本的常識的な事を学んでから出てこい。歳取ってたって知らねぇもんは知らねぇんだからそれだけで偉そうにするな、なんてことを思うワケです。それはもうジジイに限らずオヤジ世代なんかもそうだろうけど。若者たちの方は結構きちんとわきまえてるのが多いぞよ。

 奇想天外な究極のミュージシャンとしか書きようもないフランク・ザッパ、未だ彼の作品は多数世に出て来るのだが、多分全てが録音されていたんだろうし、それを素材にしてたんだから当たり前だ。しかし、「Guitar」のようなアルバムをリリースするという発想はなかなか誰でも思いつくものじゃない。1982年の「Shut Up 'n Play Yer Guitar」の続編となる「Guitar」だけど、アチコチのライブでの様々な曲のギターソロパートを切り出して2枚組のCDに入れ込んでしまったというアルバム。歌がないからその分ザッパお得意のオフザケによる英語の訳詞とか気にしなくて良くて、音だけを聴いてれば分かる、と書きたいが、多分分からない(笑)。ただねぇ、この人のギターソロ、ってかギターって凄く生真面目な哲学的な音に聴こえるんだよね。ロックとかジャズとかどっちでも良くって、凄くギターに真摯な弾き方、クソ真面目なギターが聴けるんだよ。音一つ一つに凄く忠実に取り組んでるんだと思う。それが2時間強たっぷり入ってる代物。

 どれが良いとか悪いとかあそこがどうとかって次元は超えてるんだけど、面白いのはやっぱりザッパのギターのトーンってのが統一されているし、ソロが音楽してるからそれぞれ繋がっている…とまでは言わないけど、メロディ的に流れていく、曲が違えどね。そういう雰囲気で聴けるのがユニークだし、そう作るのも苦労したんじゃないかとは思う。いつも聴いてて思うけど、この人はドゥーワップに影響を受けたと言いつつも、ギターについてはどんな背景を持っているのだろうか、と不思議になる。ブルースや黒人系の音はあるのかもしれないし、スケール的なものはもちろん判ってるだろうけど、こういうギターってどっから出て来るんだ?と。それも多分作曲としてのギター、ソロメロディを奏でるギターとして捉えているから普通とは違うのだろう。聴いてて苦にならないギターソロアルバム。







Gary Boyle - The Dancer

Gary Boyle - The Dancer (1977)
The Dancer

 はて、こんだけ色々と聴いていると自分の好きな音楽はどういうものだ?と疑念も沸くのだが、面白いことに蓄積されるだけで、どれも好きなモノ、になっていくだけなのだ。こだわりという意味ではまた違うけど、ホントは何が好きなんだ?ってなった時の答えは多分、どれもいいよ、だ。そりゃ好きな度合いは違うけど、こんだけいろいろな音楽やバンドがあるんだから別に一つに絞らなくてもいいでしょ。一生好きな音楽もあれば一時的に好きな音楽もある、そんだけの話。だから昔嫌いだったのでも聴けるし、昔好きだったのも聴かなくなるワケで。

 アイソトープってバンドのワガママギタリストとして知られていたゲイリー・ボイルのソロアルバム「The Dancer」は1977年にリリースされているが、ジャケットはわりとアチコチで良く見かけたし、だから安い時に買ったりして聴いたのは覚えてるけど、中身はまるで興味の対象外だったのも記憶している。でもねぇ、こういう機会になると確かこのヘン、こういうフュージョンチックなのだったんじゃないかな〜と思い出すんだから不思議なものだ。んで、実際に聴いてみるとやっぱりそういう音で、自分が聴かなかった理由がよく分かる。多分この人ってその筋のリスナーにはウケてたんじゃないかな〜ってのもわかるけど、どうにも爽やか路線に進みたがってる感があって、フュージョンとかテクニカル路線ってんじゃなくて、大人のインスト的な…、この辺の境目も難しいな。AORなんて絶対に聴けないもんね、自分(笑)。いつか聴く可能性は無きにしも無い。

 ギターは凄いよ、いろいろな局面でいろいろな弾き方してるしフレーズももちろん多彩でアコギも見事だし、エレキ引き倒しも凄いし、廻りを圧倒させるレベルでのギタープレイなんだからそりゃそうだ、唯我独尊なプレイぶりで楽しめる。うん、そういう聴き方では楽しめる。でも、音楽としては楽しめるっていう感じでもない。それでも佳作だし、名盤と呼ばれているのもわからんでもない…が。そろそろこういう路線も飽きてきたからまたいつもの如く、ガツン系に進むかな(笑)。






Neil Ardley - Harmony of the Spheres

Neil Ardley - Harmony of the Spheres (1979)
Harmony of the Spheres by ARDLEY,NEIL (2014-08-12) 【並行輸入品】

 久々にちとマイナー所までハマってみたけど、ジャズ・ロック系ってあんまり手広く聴かなかったかも。特に演奏中心で軽やかなのは苦手だったし…、今でも得意じゃないけど、まぁ、聞けるからいいかってくらい。アレコレみてて、ふ〜ん、そうか、こんなのもあったな…とまるで記憶に無い一枚を聴いてみることに。そういう意味でライブラリと自分でなんとなく残っている記憶や知識は役に立つのか立たないのか…(笑)。

 Neil Ardleyって英国の人知ってる?Nucleus一派の方で云々…、まぁ、ジャズ・ロック畑の人の1979年の作品「Harmony of the Spheres」で、ジャケットだけは何かの本で見てたんだけど実際に聴けたのは相当後になってからだった。ジャケットの記憶だけで手にしたんで聴いて驚き、全然面白くないじゃねぇか、とそのまま放置。そんな一枚なので期待もしてなかったんだけどね、フュージョン系を経由して聴いていると、なるほどそういう感じなのかな、なんて思う。ああいう華麗で華やかなインスト系の作品じゃないけど、やってることは割とそれに近い雰囲気。でも1979年だからもうそういうのからはやや離れてきてて、そういう音世界も取り込みながら独自のインスト世界へと突入している感じか。白熱したインタープレイとかってのじゃなくてきっちりと出来上がった聴きやすいジャズチックなサウンド、とでも言うべきか。アンビエントまではいかないしね。

 シンセを中心としたジャズ、みたいな音世界と言うのが良いのか?それでもギターもきちんとフュージョン的に鳴っているし、ジャケット通りにスペイシーな雰囲気もきちんと出ているし佳作ではあると思う。ただ悩ましいのは何度も聴かないだろうし、聞き所って言えるような箇所は自分的にはあまり見当たらないってトコか。こういうのはホント聞き所がないと、またメロディがきちんと楽しめるとかいうあたりがないと難しいよね。ミュージシャン側の満足度は高いのかもしれないけど。英国ジャズ・ロックの不思議な作品としてはかなり特異な位置にあるのは確かだろう。



Soft Machine - Switzerland 1974

Soft Machine - Switzerland 1974
Switzerland 1974 -CD+DVD-

 このヘンが面白いと思えるならば、もしかして今の自分だったら後期ソフト・マシーンなんかも聴けたりするのか?なんて思ってみた。昔からソフト・マシーンは大好きなバンドの一つなんだけど後期のフュージョンに近づいた辺りは苦手意識もあってあまり好んで聴かなかったから、アラン・ホールズワース参加ってもそんなに手を出さなかったもん。でも、時が流れてみると発掘ライブ音源の大半がホールズワース時代のものだったりして、それより前のライブが好きな自分としてはそんなに食指が伸びなかったので、それはそれで良かったんだけど…、いくつかはもちろん持ってたりするし手を出してたりしたのでね、せっかくだからと聴いてみて、さらにこんなのも出てるってことで聴いてみた。

 ソフト・マシーンの1974年のモントルージャズフェスティバル出演時の模様を音声と映像で収めた発掘ライブ盤「Switzerland 1974」。ジャケットが全然ダメダメだけど中身は昔から知られていたようにジャズ・ソフツとしては凄いライブなワケだ。まぁ、自分的には聴いてなかったんだけどね、今回聴いててさ、やっぱりホールズワースって凄いな…と眺めていたという…。それとソフト・マシーンの面々はやっぱりジャズメンになりたかったメンツなんだろうなと。いや、十分にジャズメンなんだけど、英国気質だからか普通にジャズメンじゃなくて、明るさがないでしょ?これって何なんだろうね、湿っぽくて鬱系な音でのジャズなんだよ、やっぱり。元々ソフツはサイケロックバンドです、はい。オリジナルメンバーのマイク・ラトリッジの幅広い音楽性への順応力のおかげでバンドがどんどんと進化し続けていってしまったってトコだけど、それでもリスナーはきちんといるってのが面白い。何かね、付いていかないとダメなんだ、ってくらいに自分の感性も進化させないとっていう感じがあってね。

 さてさて、このライブ、映像でも見れるからかやっぱりインパクトが違う。ジャズだジャズだと書いておきながら、これはもうね、圧倒的なロックバンドのライブですよ(笑)。その境目ってなんだ?って思うだろうけど、そう感じるだからしょうがない(笑)。ジャズみたいなことしてるけどどう聴いてもロックでしょ。そこがソフツの面白いところ。多分ね音が尖ってるんだよ。流れないの。ホールズワースなんて顕著にそれが出てるし、明らかにフュージョンと言われる世界のギターと違うもんね。その流れない引っかかり具合が好きだな。



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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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