Jericho - Jericho

Jericho - Jericho (1972)
Jericho

 あ〜、また、気になる発言を見てしまったので、すっかりと忘れていたアルバムを探しに…。昔も探してたんだけど、見つけられず仕舞いで結局イスラエルのバンドだからまぁ、後回しで良いか、と。イスラエルのバンドなんて他に知らないしな〜、なんてお気楽に忘れてしまっていたバンドJericho。一方では英国で活動していたことで英国のハードロックバンドとして語られる部分もあったようだが、自分的にはそうは思っていなかったんで通っていない。ところが恒例の某氏がまたまたひとり呟いていたお陰で、あれ?あれ??あ〜、アレか!と思い出した次第でした。

 1972年に英国でJerichoとしてリリースされた最初のアルバム「Jericho」、になるのか、そしてもちろん最後のアルバム、でもある(笑)。いや〜、最初はどんなのかな〜、大したことあったら面白いな〜なんて気楽な気持ちで流そうとしていた自分が甘かった。思い切りぶっ飛びなかっこ良いブリティッシュ・ハードロックでねぇ…、間違いなくB級の香りプンプンしたリフトフレーズと歌とメロディ、どこを切ってもメジャー級ではない(笑)。でもでも、イスラエルから出てきた実力派なのだから、そりゃ大したもんですよ、もちろん。それどころか自分のストライクゾーンど真ん中のダサさ加減が素晴らしい。こんだけ一辺倒に弾くギターって好きだよねぇ、いつもいつも。押しまくりの楽曲もパワー満ち溢れていて思わず身を乗り出してしまうほどの代物。それだけでなくって、結構メロディ・ラインも綺麗に練られている所もあってエグく歪んだギターとの対比が面白い。

 面白いのはさ、この時期の英国のハードロックバンドにありがちなブルースロックないしはブルースからの影響ってのが全く感じられないってトコで、それはもう国が違うからの一言に尽きるんだが、ブルースを通らずしてこの時期の英国ハードロックと同じたぐいの世界に辿り着いているってことは、どういう経路なんだ?あんまり影響も感じられないんだよな。そりゃクリームとかツェッペリンは聴いていただろうけどさ。血肉にならずに表面上のハードロックさ加減だけを取り入れていったのかもしれんが、そういう意味でギター的にも不思議。その辺は英国のバンドだと言われたとしてもやや「?」だったかも。ま、それにしてもその辺好きな人は一度通ってみて下さい。かなりハマれると思います♪



Ozzy Osbourne - Speak of the Devil

Ozzy Osbourne - Speak of the Devil(2012)
Speak of the Devil [DVD] [Import] 悪魔の囁き(紙ジャケット仕様)

 今回初めてのオフィシャル化ってワケでもなさそうで、いくつか映像は出ていたらしいけど、どれも怪しげな感じだったとか?まぁ、自分的には全然知らなかったので、そんなに古いリリースでもなかったんだろうとは思う。昔からあれば絶対見てただろうし知ってるハズだもん。何が?ってオジー・オズボーンの「Speak of the Devil」というライブDVD…っつうかライブ映像。YouTubeでも全編見れるんで普通なことなんだろうけどさ、昔はもうブラッド・ギルズが参加しているオジー・オズボーンのライブ映像なんて見れると思わなかったから、結構幻なイメージだったんだよ。アルバム「悪魔の囁き」で弾いているってのは知ってても、やっぱりビデオで見るのとではまた大違い。

 そんなことで今回再発されたオジー・オズボーンの「Speak of the Devil」という映像集。ライブ丸ごとをパッケージしているし、もちろんカメラもそんなに多くないから割とマンネリ的な映像ばかりになってるんだけど、どうもブラッド・ギルズへのスポットがかなり少ない。もっともこのライブの3週間前にランディ・ローズを亡くしたばかりなので、この時点でブラッド・ギルズをパーマネントのギタリストにするかどうかなんてのは決めてなかっただろうし、だから故かあまりフォーカスされることなく映像が収められている。普通ならもうちょっとギターソロとかギターってのはクローズアップされるもんだろうが、1982年という微妙な年だからか?いや〜、そんなことないよ、多分意図的じゃないか?なんて危惧してしまうくらいブラッド・ギルズのギタープレイが映る姿が少ないのが不満。映ってみればそれはもうアグレッシブにギター弾いてる若き姿が見れるんで、おぉ〜となるんだけどさ。

 オジー・オズボーンってやっぱこの頃声出てるよなぁ…。パフォーマンスのダサさはともかく、歌が凄い。バックももちろん強力な布陣だから文句ないけど、そこにブラッド・ギルズで、これもまた見事以上にプレイしてくれているし、お得意のアーミング奏法もたっぷりと使いまくって個性をアピールしてる。ランディ・ローズと比べちゃうとやっぱ重みがあってトリッキーな側面が出てくるのと、この人はやはり二人のギタリストがいる中でのプレイヤーなのかもしれない。どうにもギタープレイがはっきりしすぎているっつうか、なんかそんな感じに聴こえてしまったな。ライブそのものはねぇ、もう、何か圧巻と言うか、全盛期だし、白熱するっていう言い方があまり似合わないのでちょっと違うんだろうけど、本気な気配バリバリでいいよね。相当ラリってたんじゃないだろうか?みたいな(笑)。いや、わかんない。ソロ2作からとサバスの曲で占められてて、アルバムはサバスの曲ばかりだったけど、映像ではソロ作も普通に交えてやっているんで違和感ないし、ランディ・ローズのフレーズをこうやって弾いてるんだ、ってのもよくわかって面白い。なかなか見応えのあるライブだったね。



古い映像ならフルで見れます。

Wishbone Ash - Pilgrimage

Wishbone Ash - Pilgrimage (1971)
Pilgrimage Argus (Dlx)

 ウチのブログってWishbone Ashで検索して来る人も多くて、それはもう昔々に書いた「Argus」ってアルバムの記事が何故か検索のトップの方に来るからクリックする人が多いようで、まぁ、期待に応えられていれば良いんだけど、随分昔に書いた記事なので今見るともっと書き直したいな〜てのもたくさんあるんだよな。ただ、まぁ、それはそのままにしていずれまたなんかの機会に、例えばデラックス盤、みたいに書き直せば良いかと思ってて、とっとと次なる作品に掛かってます。ホントはいつかバンド単位とかファミリートゥリー的にウェブをまとめ直して見やすくしたいんだけどさ、なかなかそこまで辿りつけない(笑)。記事もだけどHTMLもそこまで進めないし、せいぜい左側のリンク先にまとめる程度…、それも随分更新してないからまたどっかで更新しないと…。いや、自分がわかんなくなるんだよ、何書いたか(笑)。ちなみにほとんどダブりはないんだけど幾つかはダブって書いてしまったのがあって…、なるべくね、そういうのも意識してます。

 Wishbone Ashの1971年リリースのセカンド・アルバム「Pilgrimage」は一般的にジャズアプローチが強くて地味なアルバムという評価が多くて、それほど目立つように扱われることもないみたい。自分もそんなに好んで何度も何度も聴いたアルバム、ではなかったしね。ただ、英国ロックを聴いていく中でWishbone Ashって結構キモだったりして、もちろん先の「Argus」なんかは必須作品だけど、その周辺も当然聴くワケで、そうするとかなりこの「Pilgrimage」というアルバムの位置付けが面白くなってくるんだよ。ジャズ的ってのはまぁ、わからんでもないけど、どっちかっつうと自分ではTen Years Afterに影響を受けたようなジャズ的アプローチと言う感じでね、もちろんそんなことなくて色々と意識しての作風だろうけど、そんな感じに聴こえるワケですな。それに、冒頭2曲のインストという楽曲に力を入れているというのも以降のバンドの歴史を考えればかなり面白い試みだっただろうし、それがジャズ的、とうぃあれるのだろうが、アプローチだけであって音は完全にロックでしかないし、プログレと言う程のものでもない、か。

 ようやく歌声がまともに聴ける「Jail Bait」ではまだまだ大英帝国のWishbone Ashという雰囲気までは出し切れていなくて、ちっぽけな普通の軽めの楽曲というような位置付けだ。そしてまた2曲はインスト曲…、何となくアルバムとしてはそういう方向だったんだろうなぁってのはわかる。ところが「Valediction」という曲では完全に「Argus」で聴けるWishbone Ash独特の個性が際立った楽曲が聴けて後追いならではの楽しみが味わえるね。リアルの場合はこの曲にひとつの完成度を見出したんじゃないだろうか。多分、凄く好きだった、これ、って人もいたような気がする。ちょっと静かだけどね。最後の「Where Were You Tomorrow」はブギ調の時代を反映したロックなので特にWishbone Ashじゃなくても、って感じだし、それこそTen Years After的…な感じでさ。となるとやっぱり「Pilgrimage」という作品は「Valediction」に尽きるワケで、ここから「Argus」に発展したってトコだ。他の楽曲で試みていたアプローチは以降ほとんど表面には出てくることはないのだった。





Budgie - Bandolier

Budgie - Bandolier (1975)
Bandolier In for the Kill

 偉大なるB級ハードロックバンドって言えばやっぱり自分的にはBudgieが出てくるワケで、それはもう世界中で認められているというか、それならB級じゃないだろ、ってな話だが、かと言ってやっぱり売れてたワケじゃないし、マニア向けであることに変わりはないからねぇ。後は、やっぱ曲調もともかくながらエッジの立った音とかワンパターンでの強引なリフでの曲の進め方ってのも特徴的。正直言って歌はそれほど重要視されていなくって、リフの合間に歌が入っているような感じとも言える。その割にモーターヘッド的に結構エグい歌声で攻めてくるのだが…。

 1975年、多分みなが認めるBudgie最後のアルバムとも言える「Bandolier」で、自分もココらへんが最後かなぁ〜。いや、以降も聴いたんだけどやっぱりちょっとね、失速してるのがわかってしまうんでやっぱ「Bandolier」まで。初っ端の「Breaking All the House Rules」のリフからして圧巻。やっぱBudgieはこうじゃなきゃいかん(笑)。エッジの立ったギターのリフで攻め立てる、正にそんなイメージを裏切ることのない作品。8分弱もありながら全然長さを感じない畳み掛け、見事。ところが続いて出てくるのは「Slipaway」と言う、ちょっとプリンスみたいな裏声ソウルなバラードみたいに入ってくる曲で、まぁ、Budgieらしいけどさ、ここでいきなりテンション落としますか?って感じ。続く「Who Do You Want For Your Lover」もちょっとスカすなぁ…、まぁ、バリエーションが広がったと言えばそうなんだろうが、どこに向いてるんだ?みたいな印象でやや残念。そこでA面終了してB面へ…、やっぱりオープニング「 I Can't See My Feelings」はそれらしい曲を持ってきてくれているね。カウベルが懐かしい感じあるけどちょっと歌メロ考えてしまった?みたいな部分あるけど、ベースもかっこ良いし、うん、いいよ。その勢いからちとキャッチーな「I Ain't No Mountain」へ…、ヤバイかも、こういうの。なんかこの後の活動を彷彿とさせるかのようなヤバさがあるなぁ。ハードロックだけどAOR的っつうかさ。そんな中味を払拭させてくれるのが最後の「 Napoleon Bona-Parts 1 & 2」でね、アルバムジャケットにも絡めたドラマティックな名曲で最後を飾ってくれます。何となくアルバム一枚持たなかった感じがあったけど、この最後でやや報われるっつうか、うん、良かったんじゃないか、みたいな感触を味わえるアルバム。

 70年代を生き抜くって大変だったんだと思う。過度にロックに期待がかかってたし、産業そのものも未知の世界だったしライブも運営も全て巨大化していく中でバンドは疲れ果て、色々なシーンが現れては消え、面白いと言えば面白いけどやっぱり70年代って凝縮されていた時代だと思うしさ。90年代とか00年代とかとは大きく違うよ。そんな中、一瞬でも光輝いてくれたBudgieの勢いを楽しみたいトコだ。



Blackwater Park - Dirt Box

Blackwater Park - Dirt Box (1971)
Dirt Box Dirt Box

 真夏の日々が続く暑い中、何でまた自分はこんなに暑苦しいモンを聴いているのかやや理解に苦しみながらも新しい世界との出会いと少しだけ開いてしまった扉をどうやって閉めたものかを考えながら聴き漁っている日々。困ったなぁ…。ドイツ産ハードロックって、どんだけあるんだろ?とかちょいと覗いてみれば結構そりゃそれなりにバンドが有象無象にある感じで、どこから聴いていくか、そもそもそこまで聴く価値があるバンドってどんだけ?とか、まぁ、好きだけど何度も聴くのってそんなに多くないんじゃないか?とか色々と深淵の縁で考えるワケですよ。多分知っちゃった人にしてみればそんなに大層なことでもなくて、普通に整理できちゃうんだろうけど、これから、っていう人にはちょっとコワイな〜って(笑)。ま、英国をある程度知ってしまった自分からすればそこまで深くはないだろ、という軽視もできるんだけど、それだって結構な年月かけたから言えるワケでさ…。

 1971年にリリースされた名盤の誉れ高いBlackwater Parkというバンドの「Dirt Box」。これもまたちょっと探したんだけど、灯台下暗しとアマゾンのMP3ダウンロードで売ってたのに驚いた。もちろんYouTubeにもあるから聴けるのはもちろんなんだが、そうか、こういう音か、とやっぱりサンプル的に聴いて安心するってのはあるな。そう考えれば昔よりももっと自分の好みで選別してゲットしていけるってことか?でもなぁ、全部制覇したくなるし…(笑)。

 それはともかく、このBlackwater Parkの「Dirt Box」だが、全体感で言えば、かなり洗練された音のハードロック。ドタバタしてないし暑苦しくもなくて結構スマートなハードロック。ストラト系なのかな。確かにハードロックバンドが出来立ての頃の音って感じで、言うならばDeep Purpleの最初期に近いような感触で、ドラミングとか結構好みだな。今聴いてしまうとどうしたってB級的な音にしか聞こえないってのはあるんだが(笑)、それはもう自分の好みなので褒め言葉なんでね…、いいなぁ、熱いなぁ、これ。「Indian Summer」とか「Dirty Face」とか「Rock Song」とか良いっす。不器用さ加減が適度に出ていて一生懸命さもあってこういうひたむきさが好きです。あ、ビートルズの「For No One」か、これ?妙にいじくり回したアレンジやってて、一辺倒なハードロックバンドがこの曲だけハードプログレバンドと化している(笑)。

 なるほど、かなり音楽的センスが高いバンドだったんだろうと思われるBlackwater Parkだが、これもアルバム一枚で終わってしまった?時代なのかねぇ…。







Night Sun - Mournin'

Night Sun - Mournin' (1972)
モーニン
 若い頃にひたすら英国ロックを漁って自分の知識と方向性を見出していたりして、またその深さと広さに心奪われて、もちろんレコード屋に行けば色々な国の色々なレコードが売ってて、多分様々なものを見ているんだと思う。貴重盤屋さんも結構行ってたし、それはそれは細かく仕切られていてこのジャンル何なんだ?みたいなのもあったけど、とにかく英国一辺倒に絞って集めてたんだよな。だから他の国のロックについては英国と絡むものは多少聴いたけど、ほとんど通ってない。ユーロ・ロックと呼ばれた世界はプログレの流れからそれなりに聴いてたんで、何となく吸収できているのはあるけど、普通のロックとかハードロックとかポップスとかそういうのはもう全然通らなかったし脇目も振らずに英国一本だったからさ。ところが最近Twittterなんかで似たような感覚の持ち主がつぶやいているのを見たり教えてもらったりして、何となくその幅が広がってきてて…(笑)。あんまり他の国のハードロックとか行きたくないっていうのあるんだけど…、聴いちゃうとさ、カッコ良くて(笑)。YouTubeとかで簡単に聴けるってのもこれまた問題だよ。

 んなことで、ドイツ産ハードロックをいくつか教えてもらったのでご紹介♪ NIght Sunというバンドの1972年デビュー作「モーニン」。普通にはCDが手に入らないらしいので何かしらの手段で聴かないといけないみたいだけど、YouTubeには全曲アップされているので聴くだけなら全部聴けます♪ それが良いのか邪道なのかはもう今の時代はわからないんだが、音を感じるってことで取り敢えずアリかな、と。

 んでさ、聴くとだな、最初っからもう笑ってしまううくらいB級なハードロックの香りがプンプンしてきてね、大好きです、こういう一辺倒なハードロック。ともすればそのまま70年代後期から80年代前半のNWOBHMと同じくらいのパワーとステータスを持った音で、ハードロックと言うよりはメタルの元祖かもしれないね、この音。ベタベタに重苦しくて暑苦しくてドタバタしてて一辺倒に押してくる音。曲のバリエーションなんて期待してはいけない、とにかくひたすら攻めまくってくるスタイルで素晴らしくハマれる音です。サバス的な重さとバッジー的な金属鋭角感が合わさった感じで、英国B級ハードロックバンド達と何ら変わらない音が嬉しい。70年台初期のドイツにこんなバンドがいたんだなぁ。ちょっと漁ってみたくなってきた…かも。面白いのは、こんだけ英国B級的なニュアンスがあるのに、英国ブルース・ロックという波を経由していないで発声してきたのか、そういう血筋がまるで見えないってとこかな。サバスでもバッジーでもそういうのはどこかしら出てきていたんだけど、このNight Suneにはそれが全くない。そこが国の違いだったりするのかもしれん。まぁ、クリームとかZeppelinとか聴いてたとは思うけど。

 てなことで、ドイツ産ハードロックバンドNight Sunの「モーニン」、これ一枚だけなのかな?たっぷりと楽しめる一枚でした♪





Soft Machine - Fourth

Soft Machine - Fourth (1971)
Fourth Third (Bonus CD)

 ストーンズのライブ聴いてたらさ、もう普通のロック聴いてもかっこ良い〜って燃えられないな〜とか思ってしまって、そりゃ他にもあるんだろうけど、何か素晴らしく燃えてしまったので、ちょっと小休止。ってことで先日はまるで異なる世界を聴いていたりしたんだが、今回もまた別の世界を堪能しよう。そういえばロンドンオリンピックの閉会式にはレイ・デイヴィスが出たりThe Whoが出たりするらしいが、前回からのつなぎとなったJimmy Page氏は特に何もなし?ストーンズは?みたいな不思議はいくつか…。それぞれ大人の事情なのだろうが、もうロックという世界からはかけ離れた存在になってきたなぁ。

 今回のソフト・マシーン「Fourth」。1971年リリースの個人的には大好きなバンドで、それは多分音楽的に凄く好きと言う意味でもなくて、難解だから、ってのとか不思議で追求しきれない音だから、ってのもあるが、そもそも独特の世界に位置しているバンドだから、ってのがある。当初こそサイケデリック・ロック的に出てきたんだが、その後カンタベリー独特の世界からジャズともフュージョンともロックとも言えない世界を構築していって、最終的にはまぁ、あまり好みでない音を出すバンドになってしまったんだけど、そういう意味では自分の好きな音世界の幅を知らしめてくれたバンド、ってことになる。最初期の音はロックとして入り口的に聴いておくような音=60年代サウンド、中期はロックのフリーフォームからフリージャズに至るまでのインプロ中心の70年代へ、そしてロックとジャズのクロスオーバー臨界点から先、即ちフュージョンと呼ばれる世界への到達=個人的に臨界点超えのため対応不可、みたいなね。まだまだ全然聴けてないバンドだし、これからも聴いていかないといけないバンド。今回でほぼオリジナルアルバムはこのブログで書いてしまうことになるけど、まだまだねぇ…。

 1971年リリースの「Fourth」。初っ端からとんでもなくハイテンションなジャズ。そう、ジャズ。コントラバスが底辺を響かせて管楽器が宙を舞う、歪んだオルガンがそこに入り交じって浮遊している、そしてこんなにジャズアプローチが上手いのかと思わせるドラマー、ロバート・ワイアット。更に完璧に作り上げられたフリーインプロビゼーションの世界とそのテンションの高さ。演奏としても緊密な世界を発しているし、曲そのものの良し悪しは演奏そのもの、とまで言い切れるくらいのテンションなので…、あ、そりゃそうです、ボーカルないんだから(笑)。ま、よくある論議として「ロックなのか?」だけど、明らかにロック。ジャズ的ではあるけどジャズじゃない。ヨーロッパのジャズと比較すればややこしいけど明らかにいわゆるジャズではないね。ロックだよ。英国のフリージャズってジャズじゃなくてロックだし。ま、いいんだけどさ、そんなの(笑)。

 細かいことは色々なサイトが書いてて、ロバート・ワイアット最終参加作品とかエルトン・ディーン参加作云々とか…、ただ言えるのは一人でじっくりとそれなりの音量でそれぞれの楽器の出番を聴いて音を追いかけていると空間の音世界が広がる素晴らしいサウンドってこと。今じゃ多分リマスターとかして音良くなってるんだろうからもっと楽器の分離度が高いのかな。そうするともっと迫力あるだろうね。自分のは古いアナログだからそこまで分離してないけどさ。しかし、フリーインプロと言いつつも、楽器が戦っていることはなくて調和している方なので、頼もしい。B面にあたる「Virtuality」は賛否両論だけど、プログレッシブロックと言って差し支えない演奏と組曲に仕上がっていて、ジャズ的サウンドとは一線を画している部分もあって頼もしい。ある意味ロックとの決別もあるのかもしれないけど。多分彼ら自身はそういうのあんまり考えなかったんじゃないかな。唯一無二の世界を作り上げていった方が大きいし、それをどう判断するかなんてのはリスナーの勝手だし。そういう孤高感が凄くかっこ良いバンド。





上間 綾乃 - 唄者(うたしゃ)

上間 綾乃 - 唄者(うたしゃ) (2012)
唄者(うたしゃ) まじゅん

 音楽の懐の深さに魅せられるのは今に始まったことじゃないし、今だって自分が知ってる聴いたことがある音楽なんてホントに氷山の一角でしかないんだからもっともっと人生が豊かに幸せになれる音楽とか感動とか刺激ってのがあるはずだ。そんな音に期せずして出会えると凄く得した気分になるし、自分だけの掘り出し物って感じで大切に応援していくたくなるものだ。結構前から着目していて、これは出てくるだろうな〜、でもどういう形でどうやって出されるかな〜なんて思っていた人が本日のお題となる上間綾乃さん。

 先日メジャーデビューしたばかりの上間綾乃の「唄者(うたしゃ)」だけど、特別にここがこれがあれがとか言い切れないんだけど、物凄く何度も何度も聞きたくなるアルバムで、聴き返している。夏に合うってのもあるんだけど、それだけじゃなくて凄く心地良いし自然なんだよな。だから体に馴染むっつうか日本人に馴染むっつうか、心地良い。自主制作の頃に見つけて同じようにしっとりと感じるものがあったのでちょくちょくと聴いてはいたんだけどね、やっぱメジャーの音の作り方とか出し方は違う。こういうサウンドプロダクションがやっぱり自主盤で出来る幅とは大きく異るんだよな。深みが出るし音色が綺羅びやかになる。上間綾乃本人はもう完成された歌手で三線弾きだから後は熟達していくだけという感じだが、その実まだ26歳くらい?小さくて可愛い美人な沖縄っ子ですな。アイドルにもなれただろうに、自分の実力で沖縄民謡歌手、三線弾きという道を歩んでいる性根の座った子。

 沖縄民謡の現代アレンジ版から「アメージング・グレース」から沖縄語での歌、そして自分のオリジナルも作って歌って行かないと沖縄民謡に新しい風が吹かないってことで秀逸なオリジナルな沖縄民謡チックな曲まで入れた静かなアルバム。様々な楽器が鳴っていたりするんだけど、どれもこれも情景を匂わせてくれるような雰囲気の音として取り入れられているようで、それもまた心地良いし、ここ最近ではこういうロックやポップスとは違う世界からの新鋭ってのはあまり耳にしなかったので期待してるね。何かヒット一発でも出せば面白いのにな、とか。応援しちゃうね。





The Rolling Stones - Live At The Tokyo Dome 1990

The Rolling Stones - Live At The Tokyo Dome 1990 (2012)
フラッシュポイント(発火点)(初回受注完全生産限定)

 1990年1月5日、忘れもしないローリング・ストーンズ初来日公演のチケット発売日。後にも先にもあんだけ興奮してチケットを取ることに燃えたのは他にはなかったと思う。以降の大物関係なんかも結構興奮はしたけど割とすんなりとチケットが取れる方法というか人脈と言うか、やり方ってのを知っていったし、以降はネットで先行予約とかだから割とラクな世界だったんだよ。昔は公衆電話まで行って、ひたすら電話かけまくって繋がるまで鳴らし続けてチケットを取るってのとかさ、そのためにどこそこの公衆電話は繋がるのが早いらしい、とかどこのNTTの近くだと早い、とか凄い口コミが流れてたんだよ。信じられないだろうけど(笑)。

 んで、ストーンズの時はそれがもっと面白くて、1月5日の新聞紙上にどういうチケットの取り方かが出るからそれを見て体、って感じで、電話とかプレイガイドに並ぶとか以外に何かあるのかと思って朝刊が刷り上がるのを待ってたんだよ。そしたらなんてことはない、その日から発売します、って告知でさ、そりゃねぇだろ、オイ!って感じだけどもうお祭りだから寝ないでそのまま並びに行くのさ。もちろん死ぬほど寒い中を。全く人騒がせなチケット争奪戦だったもんだ。そんだけして取ったチケットは二日間だけ。だって二人で取りに行って、一人1公演4枚までしか買えません!って言われたからしょうがない。結局二日目の2/15と最終日2/27だったような。

 それが今回ストーンズアーカイブからリリースされちゃったから驚きだよ。まぁ、2/26公演中心ってことらしいので行った日ではないんだけど、もう一緒だしさ、そんなの。テレビ放送してたからもちろんビデオ撮って何度も見たけど、それも来日公演終わってしばらくの間だから以降はあんまり見てないんだよな。それでも鮮明に覚えている。ライブの始まりから出てきた時の興奮とかミックやキースの動き、バービー人形の膨らみとか二人の絡みとか曲とかビル・ワイマンの不動ぶりとチャーリーの笑顔、ロニーのギターの弾かなさとか全部。ミックの下手な日本語からの曲の流れとか最高にゾクゾクしたしね、もう全てを頭の中に焼き付けたくて見てたもん。テレビで見て全然迫力ねぇな、って感じで大してまともに相手しなかった。それよりに二日間見た生のビジュアルが鮮明。それももう2年前の話だからどんだけ自分は覚えてる?とも思うが、凄く久しぶりにこのライブを聴いたんだな、今回。

 すげぇカッコ良い。1990年のストーンズってこんなにカッコ良かったんか?あの頃はもうジジイだし、死ぬ前に見ておきたいな、くらいだったのが今でも現役なストーンズ、するとそんだけ前のライブだからまだ若いってことか。いや、そういう次元の話でもなくてさ、1990年のストーンズっていう姿があって、それがかなり熱くてびっくりした。今回のボブ・クリアマウンテンのミックスが上手いのかもしれないけど迫力も勢いもライブ感もロックさもよく出されているし、ホント、驚くほどにかっこ良い。キースってこんなにギター弾いてたの?とかさ、ストーンズのグルーブを上手く出してて、こんなロックバンド世界にストーンズだけだろ、ってくらいのグルーブ。やっぱ脱帽だわ、これ。

 友人に超が付くストーンズマニアがいるのだが、おかげで自分は全然ストーンズを知らない人間に思えててね(笑)、こんなところで書いてていいんか?とも思うが、まぁ、それくらいは好きなのだよ、ストーンズってのは。こういうギターって弾けないもんなぁ。いや、脱帽。日本公演の思い入れとライブそのものの白熱ぶりだけで聴くべし、だな(笑)。「アンジー」がないのがちと残念だが、このジャケットになったパンフレット、まだ家にあるしなぁ…。



Geroge Michael And Queen - Five Live

Geroge Michael And Queen - Five Live (1993)
Five Live クイーン フレディ・マーキュリー神話~華麗なる生涯~【DVD/日本語字幕付】

 フロントボーカリストを失ったバンドはこれほどまでに難航の旅に出てしまうことになるのかと、今にして思う。フレディ・マーキュリーが無くなったのが1991年11月、以降クィーンと言うバンドはやる気満々の二人と、人区切りつけたベーシストが残された。そこで今でもクィーンを職業とする二人は老いても伝説を磨き上げる努力を惜しんでおらず、それはそれでファンとしても嬉しい限りだ。ましてや今度はマイケル・ジャクソンとのデュエットナンバーまでもが公開されるということで話題に事欠かない。どんどん出してくれ、フレディ・マーキュリーの偉大なる姿を。

 1990年初頭頃ワム!のジョージ・マイケルは版権闘争などから自分の曲を歌えない時期があったらしく、そのころは様々な曲のカバーを中心に歌っていたそうだ。知らなかったなぁ、それ。歌のうまい人だからそれはそれで楽しめたんだろうと思うけど、作曲の才能もあったりするミュージシャンだから辛かっただろうな。その頃かな、歌手としての才能に磨きがかかったのは。Queen絡みで言えばもちろんあのフレディ・マーキュリー追悼ライブでの圧倒的な熱唱でファンを虜にし、更にはQueenに加入とまで囁かれ続けた「Somebody To Love」がダントツ。ジョージ・マイケルのソロ曲とかはさほど知らないし聴かないからわからんけど、「Somebody To Love」は全く驚く歌唱力だった。高音もしっかり出ていて、更に柔らかく響かせ通る声がコーラス隊とマッチして正に聖歌のごとくウェンブレーを感動させていたのだ。

 そんなんでちょこっと見てたら「Five Live」というミニアルバムがリリースされていたんだな…マキシシングルってヤツか?「Somebody To Love」と、リサ・スタンスフィールドが入っての「There Are The These Days of Our Life」がウェンブレーのライブから収録されてて、興奮を誘うね。さて、問題は他の曲だ。およそ知らない…ってのもこれまた情けないが、そういう嗜好の違いが顕著に出てしまうってのは自分が聴くアーティストじゃないってことなんだな(笑)。「Killer」はSealとアダムスキーって人のらしい。別に面白くもなんともない「Papa Was…」はどうにもテンプテーションズで知られているらしいが、自分…知らないなぁ(笑)。ま、しょうがない。「Calling You」…、ん?ん??何だろ?と気になって調べたら映画「バグダッド・カフェ」の主題歌だったようだ。その後セリーヌ・ディオンが歌ってヒットさせたらしいが、それは知らない(笑)。「バグダッド・カフェ」ってさぁ、凄い色のトーンが鮮やかなドイツ映画で不思議なんだよな。そっちのが印象深い。最後に「Dear Friends」…、ん?Queenそのままじゃないか?コレってジョージ・マイケル?いや〜、違うでしょ…とか思ってたらやっぱ違った(笑)。思い切りQueenの「Sheer Heart Attack」に入ってるあのままだった。ややこしい所に入れられたもんだ。

 てなことで、ホントはジョージ・マイケルってQueenにふさわしかったのかどうかよくわかんないな。結局実現しなかったんだから相応しくなかったんだろうけど、ちょっと面白そうってのもあった。まぁ、そのヘンはジョージ・マイケルの断りが見事正解だったんだろうと思う。ましてや1990年代じゃね。それを思うとポール・ロジャースってのはやっぱり最強のボーカリストだったんだな。

バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 Blu-ray
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Queen + Adam Lambert

Queen + Adam Lambert (2012)
グレイテスト・ヒッツ トレスパッシング(初回生産限定盤)(DVD付)
Greatest Hits (2011 Remaster) - クイーン Greatest Hits (2011 Remaster) Trespassing - Adam Lambert Trespassing - Adam Lambert"

 クイーンってのは大変往生際の悪いバンドというイメージもあるのだが、一方で最早フレディ・マーキュリーのオリジナルクイーンってのはクラシックと同じ位置づけになって、そのクラシックをどんな人達が歌えるのか、歌うのか、みたいなものになっている。もちろんその決定権はブライアン・メイとロジャー・テイラーの二人にあるということになるのだが、徐々に年齢を重ねてきたこの二人はどうしたってその思想が徐々にこだわりを薄め始めるってのも当然のことなのかもしれない。

 クイーンがアダム・ランバートをボーカルに据えてイベントやツアーに出るってのを聞いた時に、今度はあのアメリカン・アイドルで世に出てきた若造と組んでクイーンを若返らせるのか?と思ったものだ。このアダム・ランバートってもちろん自分は聴いたこともないし、どんな声質とパフォーマンスの持ち主なのか全然知らなかったんで、ほほ〜と思ったくらいだったんだけどね。

 Twitterで、かな、ライブやったよ〜ってのが流れてきて、お〜、そうか、もうそんなに時間経ったのか、と思ってYouTubeに走ってみるといくつも映像が上がってて、色々聴けるじゃないか。なるほどなるほど、とどれもこれも画質も音声も良さそうだ、ってことで見てみて結構驚いた。やっぱりクイーンの二人は安直にクイーンを出さなかったな、ってかさ、気品を守ってバンドのステータスも守って人選したんだなと。フレディ・マーキュリーって人は何やっても多分天国から面白いじゃない、いいよ、やれよ、っていう人だと思うんで、ファンの幻想を崩さないようにするのがこのクイーンの二人の役目だしね。

 このアダム・ランバートって若者、難しい(笑)。いや、表情がないんだよ。感情起伏を歌にするってのがなくて、機械みたいな表情で恐ろしく幅の広い声域で歌を歌う若者で、クイーンの持つ人間味ってのがなくてねぇ…。そう見えるだけかもしれないけど、その辺がやや気になるな、と。でも、上手い。圧倒的に声も張りがあって艶があるし、高い声だって普通に出してるし、見事だ。パフォーマンスの下手さが気になるが、まぁ、これは経験だからしょうがないとして、存在感とか貫禄ってのはありそうだ。それでYouTubeにいくつも映像が上がっているのをひたすら見聞きして楽しんでいたのだった。

 ブライアン・メイも「Under Pressure」ではレッド・スペシャルのダブルネックなんてのを持ち出してきてるし、歌はボウイのパートをロジャー・テイラーが歌ってて、アダム・ランバートはハイトーンが出るからもちろんフレディ・マーキュリーのパートでなかなか突き抜けてるね。「The Show Must Go One」とかその類のバラードに近い雰囲気のある曲での歌唱力とはさ見事だと思うよ。一方のロック曲はちょいとダメってのが面白いな。まぁ、全体的には線が細くて情感に乏しいからってのもあるけど、もう一つは頭の中にフレディ・マーキュリーじゃないクイーンだったらポール・ロジャースってのもあってさ、この歌唱力がハンパじゃなかったからそれとも比較してしまって、まだまだだな〜と思ってしまうからだと思う。こうして思えばポール・ロジャース+クイーンってのはかなりハイレベルな合体だったってことに再度気づくワケでしたね。ま、商売だから良いし、若者へのチャンスとしても良いんだが、アダム・ランバートってやっぱゲイ?普通と雰囲気違うけど…。








Animetal USA - Animetal USA W

Animetal USA - Animetal USA W (2012)
アニメタルUSA W(初回生産限定盤)(DVD付) アニメタルUSA

 別にアニメが好きなワケでもないし、メタルが無茶苦茶好きってワケでもないんだが、アニメタルという発想と素材の使い方の上手さと商売の上手さは面白いなと。もちろんアレンジの面白さもあるんだけど、まぁ、それにしても企画一発モノという感じでしかないと思っていたのが、いやいや、逆にひとつのジャンルどころかムーブメントを創出してしまったどころか、メタルのスタンダードとして世界中に広がってしまっている次第。実際外国にいてそのムーブメントを見ているワケじゃないからわからんけど、多分、普通にメタルとアニメ要素ってくっついたモノとしてして知られているバンドも多いし、それが日本発だってのも知られている。全く世の中はわからないものだ。

 アニメタルだってアニメタルUSAなんて出せるとは思わなかったし、もちろん素材の面白さがアメリカ人ですらも面白いと思わせてしまうものだったってのと、それぞれのメタラーさん達も企画に参加できることを嬉しく楽しく思っているんだろうから、それだけ知られているってことだ。なんともまた世紀末的なお話…。

 そのアニメタルUSAのセカンド「アニメタルUSA W(」ってのがリリースされたのには、これもまた驚いた。一発でおしまいかと思ったらあの凄腕の面子がまたまた揃いも揃ってアニメの名曲群をアレンジして…ってアレンジは別の人だろうけど、プレイしているのは事実だろうから、仕事として受けているってことだ。昨年はラウドパークにも出演してアニメタルUSAの面白さと存在をしっかりアピールしていたし、今年も出るのか?それもまた面白いか。ラウドパークって疲れるからこういう遊び心持ったバンドもいないと大変なんだよね。

 その「アニメタルUSA W(」という作品、曲目は見ればともかく、個々人によって思い入れの度合いは違うだろうからなんとも言えないが、アレンジがやや単調な感じがしないでもない。もっとドラマティックなアレンジとか原曲に忠実なアレンジのままでも良いんじゃね?ってのもあるし、「Cat's Eye」なんてそのままでもしっかりメタル調にできるのに普通にスピードメタルにしちゃってるしねぇ。「タッチ」とかは秀作ですよ、やっぱトップに持ってくるだけあってさ。ギターソロでは「Into Th Arena」のあのギター練習用フレーズまで出てくる始末。個人的には「銀河鉄道999」もちょっと勿体無いアレンジかな〜と思う。ゴダイゴのアレなんで、もっとシンフォニックなメタルに出来ただろうとかさ。その辺は予算の都合上かな。「愛・おぼえていますか」のマクロスはかなりドラマティックに仕上げているんで、かなりウケが良いんじゃないだろうか?だがしかし…ってのはあるけどね(笑)。

 まぁ、こうして色々な曲がアレンジされて世界に飛び火してってジャンルを跨いで行くってのは面白いことで、なかなかそんなのないからさ、楽しめるよな。



Diabulus In Musica - The Wanderer

Diabulus In Musica - The Wanderer (2012)
Wanderer Secrets
The Wanderer - Diabulus In Musica The Wanderer Secrets - Diabulus In Musica Secrets

 やたらとアチコチからリコメンドで見るジャケットだったんでどんなんだろ?って気になったんで聴いてみたという適当なリスナーによる記事なので、まぁ、そんなに真剣に読まれなくても良いんだよなぁ、と思うこのヘンの音ですが、とりあえず聴いたものの忘備録的な意味合いが強いですね。ブログ書いてると実に様々な意味合いで書いていることがあって、とにかく書きたい、誰でも良いけど、誰かに言いたい!みたいに勝手に書いてる時もあれば、ちょっと聴いたから書いてメモっとこ、程度のものもあるし…、まぁ、そのヘンはよく見に来ている人なら多分温度感をわかってもらってると思うんだが(笑)。今回のは明らかに聴いたからメモっておこう、ってなもので、真のファンにはあまり見られたくないかもしれない(笑)。

 Diabulus In Musicaってバンド=邪悪な音って意味らしいが、そのDiabulus In Musicaのセカンド・アルバム「The Wanderer」」です。まぁ、邪悪な音って言われても全然美しくかっこ良く仕上がっているのでバンドの名とやりたい趣旨はわかるけど、実際には良く言えばそれらを越えてしまっている、ってのかな。でも、きちんとバンド名を表現出来ていて、自分なんかが一番キライなデス声がたくさん入っているという音だし、一方ではもちろん歌姫の女性ボーカルなんだけど、もう慣れてきたのか、Diabulus In Musicaがセンスあって上手いのか、対比の美学がきちんと成り立っているようだ。一見、ここ最近のメロディアスなシンフォニックメタルと言われる世界のバンドかとも思うんだけど、自分が最初に聴いた感じではもうシンフォニックとかゴシックとかそういう次元よりもSonata Arcticaとかのメロスピな世界に近いんだな、って感じ。よくわからんけど。かと言ってあまり仰々しくもなくて速さがあったりするんで、その中間な位置づけ。面白い融合と言うか進化っつうか…もうわからんのだけど、面白いと思う。そこに鍵盤でやけにキャッチーなメロディも弾かれていたりしてポップ的にもなってるし、凄い才能の集まりだ。メタルも民族音楽的なセンスも一緒くたに取り入れて昇華させている曲とかもあって、ほほ〜、とか思うもんな。

 ちょいと気になるのは音のミックスと録音のバランスの悪さかな。もっと上手く派手に音作りしてると良いと思うんだが、この手の音ってこんなにコンプレッサーかけたような音になっちゃうのは何故?バランス取るの難しいからなのか?それとも予算の都合上?ま、音楽の本質とは違うんだけどね。

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The Wanderer
The Wanderer
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The Murder Of My Sweet - Bye Bye Lullaby

The Murder Of My Sweet - Bye Bye Lullaby (2012)
Bye Bye Lullaby ディヴァニティー
Bye Bye Lullaby - The Murder of My Sweet Bye Bye Lullaby Divanity - The Murder of My Sweet Divanity

 随分とロックの定義も変わってきているんだろうな、という風潮は肌で感じていたけど、今はロックという世界ではなくてメタルという世界での進化を割と実感する。ロックという広義の意味では常に進化しているんだろうけど、本物、って思えるものが少ないしポップとかの領域に近いものも多いし、その点メタルってのはメタルってだけでロックだし、ロックじゃないメタルなんてのはあり得ないから、カテゴライズしやすい世界なんだろうと。もちろんその中には色々あるけど、その細分化と融合がもの凄いスピードで進んでいて、まぁ、全部抑える必要もないけど傍から見ていると面白いものだ。そんな中で恒例の如く、リコメンドで引っ掛かったThe Murder Of My Sweetってバンド…ススウェーデン出身だそうで、これまたどんなん?

 The Murder Of My Sweetのセカンド・アルバムになるのかな、「Bye Bye Lullaby」という作品が先日リリースされたようで、いや、もちろんアルバム・ジャケットで何だろ?ってのが最初なんだが、音を聴いてみたらなかなかDelain風味があるってワケか?とか。こういう風潮なのか、ソフトで歌モノ的なメロディのあるラインを女性が歌ってリフやリックではなくもっと流れる感じのバックが歪んだギターという感じ。The Murder Of My Sweetに至っては冒頭から何か軽やかでおかしいな〜と聴いてたら、シャッフルのリズムでメタルしてるじゃないかっつう革新的ですらある音の作り方にやや驚いた。普通なのかもしれないけどだから軽いワケだ、こりゃ、と。その流れがアルバム全体を制していて、軽やかで流れるアルバムに仕上がっている。重くて暗いってのはほぼ皆無。軽くて流れるメロディのバックがメタルチックっていうだけ。でもさ、面白いのはきちんと暗黒的、っていう面が出ているってことだ。決してキャラキャラとはしていなくて、やっぱ黒一色なんだよな。その雰囲気はさすがです。

 それにしても楽器群の誰もが目立たない、音楽がありきで歌い手がありきで曲がありき、そこまでっつうか、音楽的には当たり前だけどメタルとかでは考えられない感じになっているのも進化、なんだろう。もっとバシバシと聴かせてくれてもよかろう、とか思うのだが、こういう音だからこそ一般受けするんだな。今後もどういう進化をしていくのか見所ではあるバンドです。

MP3 ダウンロード
Bye Bye Lullaby
Bye Bye Lullaby
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Delain - We Are the Others

Delain - We Are the Others (2012)
We Are the Others: Special Edition April Rain
We Are the Others (Deluxe Edition) - Delain We Are the Others (Deluxe Edition) April Rain - Delain April Rain

 色々な事件やニュースが話題になっていて、ホントネットも含めて踊る文字を見ることが多いからか結構食傷気味。こんなにくだらない情報とか同じ情報や憶測がそのままニュースとなって出てくることもこれまであんまりなかったのに、素人が情報発信をいとも簡単に出来るようになってからか、情報の質が落ちた。それをそのまま取り上げるメディアも増えているんで、プロフェッショナル魂とは何処へやら、ってなことも思うのだが、時代の流れか。情報収集する側がきちんと収集する術を身につけないと随分と信用ならない世界になってきたもんだ。もっとも知らなくて良いことが大半だろうから隔離されればそんで良いんだけどね。あ、自分なんかは新聞やテレビってまず見ないから今まで隔離されてたんで良かったんだなぁ…。それがiPhoneとかで色々な情報入ってくるようになったから情報過多に困ってるだけかもしれん、多分そうだ。

 そんでもって肝心な情報を知らなかったというDelainの三枚目の作品「We Are the Others 」のリリース。結構好きでなんとなく気にしてはいたんだけど、リリースされてから知ったという情けなさ。情報整理しましょう…。2012年にリリースされたホントに聴きやすい、歌謡曲とも言えるくらいにソフトになった最早メタルというカテゴリにすら入れられないんじゃないだろうか?と思うくらいにソフトなサウンド。どうしてもWithin Temptationの影がチラついてしまうのは歌のメロディラインや声の質感、そして楽曲のメロディアスな上手さと流れる旋律のせいか?兄弟だからと言っても同じようなサウンドを構築してできるってことはないだろうから、元々の近いセンスに追随したということなのか?それとも普通にこういう路線に自然になっていったのか?思い起こしてみればセカンドの「April Rain」からこんな路線は始まっていたワケだから、自ずとこんなソフトなメロディアス路線に進むべくして進んだ2つのバンドなのかもしれない。今のところゴシック・メタル界広しと言えどもこの路線を貫いているのはこの二つのバンドしかないワケだから。

 まぁ、能書きはともかくですね、Delainの三枚目「We Are the Others 」はメンバーもガラリと変わっているけど、核となるシャーロットと鍵盤のお兄さんに変化はなく、結果進化系のサウンドを知らしめてくれたワケですが、このシャーロット嬢って、まだホントにお嬢様の24歳くらいなんじゃないか?それでいてキャリア6年くらいでしょ?大物ともコラボしてるし、先日はSonata Arcticaのライブにもゲストで出ているし、実力の程も知られ始めているってなもんだろう。あまりにもクセがないと言えばないんだが、何でも歌いこなせるという器用さも持ってるので、Delainの音楽の幅がかなり広がっている。正直歪んだギターとか不要なんじゃない?って思う曲も多いし、あっても目立つものでもなくなっているのはジャンルの中ではかなりユニーク。その分シャーロット嬢の歌声がクローズアップされてて、流れるコードの幅が広いからゴツゴツしないでソフトに聴かせているワケだ。どの曲もキラーチューンと言って良いレベルに仕上がってて、途中で飽きることはないし、メロディもよく出来てる。強いて言うならばロックさ、に欠けているってことか(笑)。

R.I.P
Jon Lord





Message - The Dawn Anew Is Comin

Message - The Dawn Anew Is Comin (1972)
The Dawn Anew Is Comin From Books & Dreams
The Dawn Anew Is Coming - Message The Dawn Anew Is Coming From Books And Dreams - Message From Books And Dreams

 Twitterって誰をフォローするかによるんだけど、いつしかそれなりの連中が集まるような感じになってくるので、自分の見る情報ってのは自ずと自分が好むであろう情婦に近くなってくるというのが受けてる要素の一つかなとも思う。まぁ、偏った情報だけじゃ面白くないけど、一般的すぎる情報ってのも要らないし、ホントに呟いているだけの情報ってのもあんまり必要ない。やっぱりそこにはもっと有用な絞り込みが出来ると良いんだけどなぁとか思う。次のSNSはそのヘンに鍵があると思ってるんだけど、ま、根本的に一過性のものでしかないと思ってるのでどっちでも良いや。んで、そのTwitterで某氏が何気なく呟いてただけなんだろうけど、自分の琴線に見事に引っ掛かったのがあって、何だろ?聴いたことないな?ってね。

 Messageというバンドの1972年のファーストアルバム「The Dawn Anew Is Comin」だ。ネットでちょっと調べても大した情報が得られないくらいな代物で、こりゃ困った…ってのが本音だけど、音は幸いにしてDLでもCDでも手に入れられたので助かった。ちょこっと調べてみれば、どうやらボーカルとサックスを兼任している自分物は英国人、その他はドイツ人ってことで、ドイツのプログレハードサイケバンドとして知られていたらしい。自分の趣味はせいぜい英国止まりだったので、こういうバンドの知識がなかったんだよな。もったいなかった…っても知りようもなかっただろう、ってのが言い訳だが…。リアルタイマーだって知らないかったんじゃないだろうか?いや、普通は知らないんだろうけど…。

 そのMessageの「The Dawn Anew Is Comin」という作品、いや〜、もうね、古い音が鳴ってるんですよ、ホントに。正しく1972年頃のごった煮英国ロックに通じるものがある空気感が実に堪らない。重さ、曇り加減、ブルースさがあるけどハードで展開は無茶苦茶に進んでいて、全体的には妙な構築美を感じる、そして演奏は上手いって程でもなく味がある、っつうか。何みたい、っていうのがたくさん思いつくくらいにグチャグチャに色々な音が混ざってる感じ。断片図だけだけど、ジェスロ・タル的な歌とBJH的なギターになんだろうなぁ、このダサさは…ガービッツ兄弟のバンド並みのダサさっつうか、単調さに強引な展開、なるほどStill Life的ってのもわかる気がする。もちっとさ、流れるような展開とか脈絡のある構成ってあるだろ、とツッコミたくなるんだけど、その変幻自在さがユニーク。憂いさも持ち合わせていて、かなり面白い。セカンド・アルバム「From Books & Dreams」も評価が高いのでちょっとまた楽しんでみようと。まだまだ楽しい出会いがあって面白いね、ロックは♪



Comus - Out Of The Coma

Comus - Out Of The Coma (2012)
Out Of The Coma First Utterance  [12 inch Analog]

 まさかの再結成、そしてまさかの来日公演、更にまさかの新作アルバムの登場、これでもかと驚くのがその作品の出来映えの秀逸さ。そこまで驚きを与え続けられるバンドとか音ってのもそうそうないんじゃないか?それがしかも英国での活動が40年ほど前で、新作の音が変わらない…って言うか進化しているのが恐ろしい。真のミュージシャンだったんだなと思えるコーマス。昔の作品を聴いている時は単なる時代の流れの一幕で出てきてあのとんでもない狂気の世界「First Utterance」を作り上げた集団だと思っていたけど、何のことはない、コーマスは室内楽や宮廷音楽の流れであの「First Utterance」を作っていたみたいなのだ。随分と感性が異なると違う解釈で出来上がるものだな~と思うものだが、それだって最近知った事実。

 2012年4月にリリースされた待望の新作「Out Of The Coma」は6曲入りのミニアルバム?なワケなくて、フルアルバムとしての重さやスペックをたっぷりと持ち合わせたヘヴィな一枚。ホントにこれ新作か?っつうくらいに今の時代にはあり得ない音楽が詰め込まれていて、正にファースト「First Utterance」の続編ともなるアルバムで、更に磨きがかかって洗練され、贅肉を削ぎ落したような音になってる。かと言って、あの狂気は鳴りを潜めたか?いや、進化してしっかりと存在している。一体何なんだろう、この澄み切った狂気の源泉は?とも思うがBobble Watsonの美しい歌声は普通に聴いたら普通だけど、なぜかComusで聴くとかなり向こう側にいる歌声に聴こえてしまう。それはRoger Wootonの成せる技なのか?何がここまで高揚させる要因なんだろう?そんなことを思わせるくらい自分には高尚な音楽だし、ロックだし触れてはいけない世界だけど見てみたいという世界観でもある。そしてアルバムの最後には組曲として「‪The Malgaard Suite‬」っつう16分ほどの壮大なる楽曲が収められているが、どうやらコイツは1972年のライブを記録した一曲のようで、そりゃもうそれだけで期待満々さ。ご丁寧に序章により解説までされているし、それ自体は何を言ってるのかよくわからんけど、なんか気を引き締めて聴かなきゃって気になると、更に恐ろしくも狂気じみた世界が冒頭から繰り広げられるという素晴らしさ。曲が進むに連れて何とも末恐ろしい世界に自分が連れて行かれることがわかってくる。でも、抜け出せない、救いの手は差し伸べられるのか?そんなことをマジマジと考えてしまう程の正にアルバムのハイライトなのだ。やっぱり全盛期のライブは凄まじいし、なんとリンゼイ・クーパーも参加している正に入魂の一曲なワケで、一気に名盤の域にアルバムを押し上げてしまった。こういう技は販促だろうとも思うけど、それまでの新曲だって全然ヒケを取らないんだから文句もあるまい。更にアルバムジャケットもあの時代のジャケットを彷彿させるデザインになっていて、そもそも音を期待していたんだけど、ここまで見事な世界とは感動!このアルバムジャケットもバンドの要であるRoger Woottonが書いているのだ。

 「Out Of The Coma」はアルバム全編で40分強、うまい具合にA面B面も切り分けられるサイズになっていてアナログ世代の主張とも言えるが、その分アルバムとしての効果は覿面すぎるくらい完璧に構築されていて、全く70年代に戻ったかのような魔の饗宴が繰り広げられる。久々にここまでの世界を堪能した。どんなバンドの再結成だって新作だってこんな風には作れないし出せないし、実はオールド・タイムな英国ロックファンが求めていたのはこんな素敵なアルバムだったのかと気づいた次第。まさかそれがコーマスから教わるとは思わなかった。新作ってあんまり真面目に聴く心構えがなかったんだけど、「Out Of The Coma」は完璧だ。完璧にタイムスリップしつつ、今の新しいアバンギャルドなコーマスを楽しめるし、何ら変わっていないコーマスの狂気の姿が嬉しい。こういう音は狙って作れるものなんだ…、それは凄い才能でしかないし、本人たちは全然狂人じゃないんだから…。ただ、こんな音世界にどっぷりと浸かって人生を過ごしても良いなぁ~なんて思う、そんな世界を繰り広げてくれます。なんということだ…。

 もう一度書こう、Comusという英国のバンドの「Out Of The Coma」だ。ただ、英国のあのへんの世界に理解がない人が聴くと恐らく全くおもしろくないアルバムに聴こえるかもしれないのでご注意を。

Song to Comus: The Complete Collection
Comus
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Patti Smith - Banga

Patti Smith - Banga (2012)
Banga Banga

 コレクター話の戯言…、いや面白くなってきてね、色々居るんだよ、コレクターってさ(笑)。男子たるもの、何かしらのコレクターになるのは結構な確率で自然なお話だと思ってて、大人になるにつれて自制していくというのが世の常だったり世間体だったりするんだけど、今はそういうのも減ったんだろうか。まぁ、自分たちの頃はまだそういう感じで世の中に揉まれていくのが当たり前だったんだけどさ、程々に、って言葉があるじゃない?それは多分家族間だったり世の中とのバランスだったり常識だったりするが、大体が周囲に理解を求めても難しいことなので、男同士が傷を舐めあうってのが多いんだが、身近な例で言えばコレクターでありすぎるが故に離婚したってヤツが何人もいてねぇ(笑)。気持ちは判る、判るけどさ、お前な、と言ってあげたくなるくらいのが何人もね。ロック好き同士で結婚しててもそのヘンは多分常識の範疇を越えてしまったんだろうなぁ、とか。普通に考えればどう見たってダンナの方が悪いって思われるもんな、ってのばかり。だが、コレクター気質の連中が集まると言うことはガラリと変わって、そんな理解のない家庭なら捨てた方が賢明だってことになるワケだ。ただまぁ、コレクターに限らず、どこも何かしらのストレスと妥協を抱えて生きているのは世の常で、自分みたいに適当にコレクターして生きてる人って少ないのかもしれん…とか思ったり(笑)。いやいや、バランスは重要ですよ。

 先日新作をリリースしたってことで、久々だったりする?と思ったパティ・スミスの「Banga」というアルバム。話題性は結構なもので、東日本大震災に見舞われた日本を歌った曲とか、エイミー・ワインハウスを偲んで、とかジョニー・デップが作曲して演奏まで参加した曲とか何かと話題には事欠かないアルバムとして仕上がっているようだけど、まぁ、そのヘンはアマゾンレビューでも見てくれれば書いてあるさ。肝心なのはそういう情報もだけど、やっぱり音楽の質になるワケで、いや、歌詞が全部英語でネイティブで理解できる人なら歌詞と共に楽しむということもできてメッセージを自分なりに解釈して理解することもあるのだろうけど、残念ながら自分にはそういう能力は備わっていないのであくまでもアルバム制作の意図と音楽は頭の中でくっつけるしかないんですよ…、こればっかりは残念だな〜といつも思う。ま、今更しょうがないんだが。

 さて、「Banga」という作品、最初に聴いた時はやっぱり相変わらずパティ・スミスの世界観で暗いな〜とか思ったんだけどさ、90年代に復活してから出てきたような暗さではなくって、もっと…、ポジティブな暗さ、っつうかそんなに暗くないんじゃないか?と数回聴いていると思った。それどころかかなり希望に満ち溢れて感じすら受ける曲も多い。多分声が暗い系なだけで、また歌メロも明るくはないだけで、気迫と言う気負いと言うか、そういう部分は前に向かって進んでいる感じなんだよな。日本に向けてのメッセージだって、いつものパティ・スミスのメッセージ調だけど、前向きな感じだし、エイミー・ワインハウス追悼の歌だって優しさっつうか安らかさってのがあって暗いってんじゃない。不思議な人だ。21世紀になって、もう齢70近くなってまだこの変化が聞かれるアーティストってさ、なかなかいないでしょ。達観しつつあるという見方もあるんだけど、きちんと自分のスタンスとスタイルはそのままに心だけが安らかになっていっているような、そんな感じ。結果、「Banga」はこれまでのパティ・スミスのアルバムの中で一番愛と優しさに溢れているアルバムになっていると思う。こんなパティ・スミス、あまり聴いたことがない。久々のオリジナル・アルバムだから?

 もうさ、自身が幸せだからとか今愛に溢れているからとか言う次元じゃないくらいに様々な経験をしてきた人だからこそこういう音が出てくるんだろうし、そうじゃなきゃ出来ない音だと思う。繊細な人だし、やっぱり自分もなんとなく響いてしまうから実は何度も聴きたくないアルバム。この人の魂の琴線に触れてしまうと脆くなるから。でも、大事に聴きたい作品、かな。そんな繊細な聴き方しなくても普通にカッコ良いロック、として聴いても良いんだけどね。「April Fool」とか「アルバム・タイトル曲「Banga」とかカッコ良いロックだもん。



Chris Duarte - Blues in the Afterburner

Chris Duarte - Blues in the Afterburner (2011)
ブルース・イン・ジ・アフターバーナー Infinity Energy
Blue Velocity - Chris Duarte Blue Velocity Vantage Point - Chris Duarte Vantage Point

 ギブソンのギターが家に数十本あるって…凄いなぁ。いや、先日コレクションを手放さないといけなかった方のお話なんだけどさ、そんんだけギブソンあったら…うわぁ〜、なんか弾いてあげないと可哀想、でもなかなかそんな時間は取れないしみたいな感じだろうか。もっともコレクションとして置いてあってもそりゃもう圧巻で、見ているだけでも十分なんだろうなぁ。もちろんそれぞれに音の個性があって、活躍していた時代もあって、手放さずにあったんだろうから愛情はたっぷりだったろうが…残念な話です。ただ、ギターも他のオーナーのところに行って大事に扱われればそれはそれで嬉しいと思うしかないかな。自分もちょっと前に何本もギター売ったし、その前もかなりの本数売ったし…、実は今でも結構後悔…と言うか、あ、アレ弾きたいな、って思うことはあるんだけど(笑)、まぁ、年に何回もないから素直に諦めるようにしてる。プロのミュージシャンになっちゃうとそこまでの愛着って出ないのかもしれないと逆に思うんだよな。クラプトンとかギターに愛着全然ないもん。ジミー・ペイジなんかは逆で愛情注ぎまくったのしか使わないってのあるけど。そういうのも好みって出るね。楽器をコロコロ替えるって、なんか仕事って感じしちゃうし。いや、色々な理由はわかってるんだけど、どうしてもね。例えばSRVなんてホントにあのギターを愛着持って使ってたからこそあんだけボロボロになるワケで、ロリー・ギャラガーだってそうだし、そういう思い入れって好きだし。自分もそういう愛器ってあるし、ね。やっぱりさ、ロックって、どんだけ一筋か、ってのあると思うんだよ。どんだけギターやオンナ替えても結局一筋なのが一番カッコ良い、っつうかさ。U2のボノとか奥さん子供一筋、音楽も一筋、バンドも一筋で、スゲェかっこ良いしさ。

 なんて話が毎回逸れまくってるが、ブルースってもちょいと重くて新しくて熱いの聴きたい、ってか書いてなかったんでちょうど良いなってことで登場のクリス・デュアーテさんの昨年リリースされたもう何枚目なのかわからんくらいのアルバム「ブルース・イン・ジ・アフターバーナー」。もちろん相変わらずのヘヴィロックブルースが詰め込まれてます。グイグイと引き込まれるギタープレイはもちろんのこと、段々声も渋くなってきたよなぁ。曲はね、多分本人は色々なタイプとかスタイルとか挑戦しているんだろうと思うけど、やっぱりどれ聴いてもクリス・デュアーテの音と曲だな〜っていうくらいに独特の個性が出てきているので何でも良いわ(笑)。こういうギターが好きだねぇ…。毎回こういうギタリストを聴いて思うのは、どうしてミッチ・ミッチェルみたいなドラマーと組まないんだろう?ってコト。ジミヘンのブルースってミッチ・ミッチェルのドラムだからこそ驚きが何倍にもなるんで、そういうスタイルのできるギタリストだったら是非ミッチ・ミッチェルみたいなドラマーと組んでやってほしいんだよな。SRVにはもうそれが叶わないからさ、せめてクリス・デュアーテには一度試してもらいたいもんだ。

 話逸れまくって夢物語ばかりだけど、ホントに心地良く伸びるギターで自分にはこういうブルースが一番合ってる。音もリズムの無視した独自のタイム感で感情のままに弾いて弾いて弾きまくってバンドが盛り上がり、それでこそブルース・ロック、って言わんばかりにまろやかに聞き手を酔わせるってモンだ。こんだけギター弾けたら魂売りますよ、ホント(笑)。んで、ちなみにこの「ブルース・イン・ジ・アフターバーナー」という作品は2011年の新作です、新作。どこが新作なんじゃ?ってくらい新作です(笑)。老いぼれてギターが弾けなくなったブルースメンの新作よりも生き生きしたブルースメンを聴いてる方が元気になります、うん。もちろん冒頭のギブソンのギターではなくてストラト系のギターの音なんだけど、こんだけ太い音出るならギブソン弾かない方が良いでしょ。弦も太いんだろうなぁってのもわかるし、自分には一生できないプレイな人です。

 しっかし…iTunesには全然揃ってないし、ジャケットのセンスもイマイチなんだけど、日本盤CDが出ているってのはそれなりに需要があるってことだろうから嬉しいね。



Elvin Bishop Group - Elvin Bishop Group

Elvin Bishop Group - Elvin Bishop Group (1969)
Elvin Bishop Group Feel It!
The Blues Rolls On - Elvin Bishop The Blues Rolls On Gettin' My Groove Back - Elvin Bishop Gettin' My Groove Back

 最近コレクションをやむを得ず全て放出せざるを得なかったという方のお話を聞いた。自分もそうだけど、コレクターってコレクターを辞める時って来るんだろうなぁと思う。辞めないで墓場まで…ってのはあると思うけど数千枚のレコードとかCDとか数十本のギターとか、しかもそれらが貴重なものになっている可能性が高くて、それは一緒には焼けないだろ、と。すると残された家族が処分するのか?ってぇと、その価値がどんだけかわかるとも思えないし、処分先も困るだろうと。一番良いのは勝手知ったる友人や馴染みの店などに渡せば、とも思うけど、そんな関係でもないだろうし、なかなかコレクションってのは厄介な代物になるのだ。自分が最初でもないし、これまでも数多くのコレクター達が世を去ってたりするだろうからそういう表に出てこない処分はいくつも存在したんだろうけど、ふとそんなことを思ってしまった。んで、自分はどうか?ん〜、基本的にモノに執着しないようにしてきたし、デジタル時代になって余計にそうなってきた。ま、最近の話だが(笑)。結局、自分の血肉になって知識になって感動を思い出せて、同時に青春も詰め込まれたそのシーンが記憶から消えなければ良いのかな、と。そしてふとどこかで、例えばブログでも何でも懐かしいな、とか思い出せれば良いんじゃね?とかね。コレクションにあっても結局YouTubeで手軽に聴いてしまうってのもあるしさ。だからまぁ、そんだけ好きだった自分のコレクション、っていうことを満足していれば良いかと。結局コレクターって自己満足だし(笑)。

 …なんてことをね、ふと感じてしまって、いや、こだわりで生きてきたものを失くす時って割り切るしかないし、それで前向きに考えたいしさ。そんなお話なんです。まぁ、別に今回のお題となるエルヴィン・ビショップとか全然関係ないんだけど、昔学生の頃にエルヴィン・ビショップが大好きなギタリストがいたな〜と思い出した。自分はマイク・ブルームフィールドが好きだったけど、そいつはエルヴィン・ビショップだった。今でも何でかわからんが、改めて聴いてみるとなるほど、ハマる人が多いのもわかってきた(笑)。

 1969年にリリースされたエルヴィン・ビショップ最初のソロアルバム「Elvin Bishop Group」。そうか、こういう音か、と思えるくらいにエルヴィン・ビショップ風ブルース。何つうのか…、誤解されるように書くと、本物じゃないブルース・ロック(笑)。やりたい音楽の幅が結構広かったのか、本能のままに作ったのか、ギターは見事なまでにブルースなんだけど、やってる曲がブルース一辺倒じゃないっつう感じで、その後ポップシーンで売れるってのもこういう探究心なんだろうけど、そのヘンがちと方向性の相違かな、自分の好みと、って意味で。もちろんマイク・ブルームフィールドとも異なるけど、それはスタイルの違いだから、お互いは結構面白かったとも思う。なんかね、簡単に書くと、ギターが笑ってるんだよ、本人と同じく(笑)。そういう音してるから、暗い自分としてはやや相容れない、ってかさ。憂いがなくてねぇ…、だから本物じゃないブルース、なのか、納得。ただ、このファーストアルバム「Elvin Bishop Group」は相当良いアルバムだと思う。ましてやその辺のブルース好きな人には絶対格好のネタだと思うもん。聴きやすいし、ブルースってこういうモンだよ、と言えるアルバム。ギター的にも勉強できるし。

 最近は自分の好みと音楽の面白さと分けて聴けるようになったからこうして書けるようになったワケで、やっぱ根本的には受け付けない(笑)。何がどんだけ違うんだ?って思うけどね。多分…笑ってるから(笑)。



Paul Butterfield Blues Band - Resurrection of Pigboy Crabshaw

Paul Butterfield Blues Band - Resurrection of Pigboy Crabshaw (1967)
Resurrection of Pigboy Crabshaw The Paul Butterfield Blues Band (Original Album Series)
The Resurrection of Pigboy Crabshaw - The Paul Butterfield Blues Band The Resurrection of Pigboy Crabshaw Better Days +3 (ベター・デイズ+3) - Paul Butterfield's Better Days Better Days +3

 やっぱブルースって面白いです。自分の原点に持っていたいし、もう持っているサウンドだな…と実感しながらも詳しく追求していないという適当な付き合い方もこれまた良しとしておこう(笑)。さてさて、ブルースというジャンルに手を出したのは今となってはロックとほとんど変わらない頃で、そりゃその差数年はあるけどさ、もう何十年も聴いているってことに変わりはないし、長い付き合いになっているよ。その最初期から聴いていたバンドのひとつにポール・バターフィールド・ブルース・バンドってのがあって、最初は名前が長くて覚えにくいな〜と思ってたし、そこのギタリストがマイク・ブルームフィールドって似たように長くて覚えにくかった。しかしアルバム「Paul Butterfield Blues Band」や「East-West」はもう最高で、発掘音源の「Original Lost Elektra Sessions」や「Strawberry Jam」もこれまた最高に楽しめる内容ばかりでポール・バターフィールド・ブルース・バンドのアルバムなんてほとんどこのヘンばかりを聴いていたけど、さすがにマイク・ブルームフィールドが脱退してからもそりゃそれなりに面白いだろう、と思って何枚かは手を出していたんで、そのウチの一枚を挙げてみよう。

 1967年にリリースされた「Butterfield Blues Band」や「East-West」に続く三枚目のアルバム「Resurrection of Pigboy Crabshaw」で、マイク・ブルームフィールドも抜けてしまっているので、エルヴィン・ビショップがギターを一人で担った最初の作品。どうなるのかな〜なんていう楽しみはあったけど、そこはポール・バターフィールドもさすがで、同じ事を繰り返さずに独自のブルース路線を走りはじめたという意気込みとなった。1967年だからなぁ…ロックがどんどん進化していった時代、やはりエレクトリックでブルースを奏でていたポール・バターフィールドとしてはその影響もあるだろうし、アメリカに根差す音楽の継承者としてはロックとは違う方向での確立ってのもあっただろうし、これがまた面白い方向に進んで行った。ご存知のようにブラス・ホーンセクションの導入だ。この時代でここまでホーンセクションを堂々と導入してやってる音楽はブルースっつう、そりゃもう見事にロックと同じく融合の世界ですな。ちょいとホーン入れすぎだろ?ってな感じもするけど、シカゴとか出てきた頃だし、まぁ、そうか。シカゴ出身のバンドだしな。

 そしてギターのエルヴィン・ビショップ、良いプレイをしているじゃないですか。この人の場合はブルースって言うよりももっとなんかラーガ的っつうかベタッとした感じのブルースフレーズのギターなんだよね。でも良い感じで入ってくるから「お?」と思う。そしてそれよりも何よりも圧巻なのは当たり前だけど、同時代のR&Bの連中に負けないくらいのポール・バターフィールドの歌唱力。ソウル連中に負けない迫力で迫ったくる歌声が凄い。こんなに歌えるんだなぁ、やっぱり、っつうか抜け切らないのは声質だけど、ビンビンに伝わってくるもん。だから新たな扉を開いた一枚なんだよね、実は。偏見なしに早く聴くべき音楽でしたなぁ…。



Mike Bloomfield - Don't Say That I Ain't Your Man: Essential Blues

Mike Bloomfield - Don't Say That I Ain't Your Man: Essential Blues (1994)
Don't Say That I Ain't Your Man: Essential Blues If You Love These Blues / Play 'Em As You Please
Greatest Moments - One Night Only - Mike Bloomfield Greatest Moments - One Night Only Sweet Chicago Blues - Mike  Bloomfield Sweet Chicago Blues

 1964年頃、一方のアメリカでもブルースを追求する白人ってのが数人いて、顕著なのはもちろんマイク・ブルームフィールドとポール・バターフィールドなのだが、こちらはもう本場のブルースを生でそのまま吸収してセッションしていたというツワモノ達なので、英国のブルース好きなロック小僧達とは全くアプローチの異なるブルースの世界。もう自分がマイク・ブルームフィールドというギタリストを初めて聴いてから30年近く経過するのだが、今でもやっぱり凄いな〜って思う瞬間が多くて、聴く度に発見のある人、そのくせ、あきる野でハマり切れない人という側面も持つ(笑)。んで、今回は編集盤なんだけど、実に貴重なセッションを中心にしているのでほぼオリジナル盤としての位置付けで聴いている「Don't Say That I Ain't Your Man: Essential Blues」という作品。

 1964〜65年頃にジョン・ハモンドが気に入っていたマイク・ブルームフィールド、ちょいとセッションレコーディングしないか?ってな感じで声掛けされたようだが、その場にいたのは著名なブルースメン達だったと言うから如何に期待され、また仕組まれたセッションだったことか。そりゃもちろんこんだけ自分の曲を歌詞付きで作り上げて録音しているんだから本人はきちんと作っていたんだろうが…。ま、デビューするためのデモレコーディングみたいな位置付けだったのかな。そんなのが冒頭5曲に入っていて、どこが?ってくらいノビノビとギター弾いて歌ってて、それも本場のアメリカン・ブルースそのままからややオリジナリティを打ち出したホワイトブルースな世界観も出ている見事な楽曲ばかりでさ、ギターにしてもとにかく本物を血肉にして、白人というフィルターを通して出しているギタープレイで、当時じゃ唯一無二の存在だったはず。クラプトンとはまるで異なるアプローチとプレイで、明らかに本物志向。歌もギターも王道です、これは。そんな曲ばかりでさ、とにかくリリースされた時に聴いて驚いたもん。これ、64年とか65年の録音なの?って。完全なステレオレコーディングでさ、音も凄く良いワケよ。ジャズのアルバムみたいに。当時の英国なんてモノラルとか音悪い2トラ音源による録音なんて当たり前だったじゃない?同じ時代にこんなに完全なステレオレオコーディングの見事なバランスの音で録音されてるワケよ。そこからしてもう何かが違う。しかも、これがデモ、ってワケだ。もう明らかに何かが違う(笑)。

 こんなギター弾きたいなぁ…どうやったら弾けるんだ?まず音をコピーするところからなんだけど、それすらも結構ままならないし、もちろんそこからこういう味付けのフレーズでのプレイを学ばないと出来ないし、なかなかこんなの出せないし、いや〜、30年近く聴いててホントに手の届かないギタリストのひとりです…ってか全部手が出ないけどさ(笑)。ブルースとロックの架け橋からギターとしての在り方まで駆け抜けた天才マイク・ブルームフィールド、この「Don't Say That I Ain't Your Man: Essential Blues」は手始めのベスト盤としちゃかなりクォリティ高い作品だよ。



The Yardbirds & Sonny Boy Williamson - The Yardbirds & Sonny Boy Williamson

The Yardbirds & Sonny Boy Williamson - The Yardbirds & Sonny Boy Williamson (1965)
サニー・ボーイ・ウィリアムソン&ザ・ヤードバーズ+12(K2HD/紙ジャケット仕様) ダウン・アンド・アウト・ブルース+7
Live In London (with Eric Clapton) - Sonny Boy Williamson & The Yardbirds Live In London

 英国でマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフの知名度が圧倒的だったのは1963年に行われたアメリカンブルースフェスティバルの英国ツアーによるものだろう。その中にはソニー・ボーイ・ウィリアムスンというハーピストもいたのだが、ハープっつうのもあってかやや人気度では劣っていた気がするが、それにしても英国ブルース・ロック誕生前夜のこの時期に本物のブルースメンを見た連中はどんだけインパクトを受けたことだろうか。その後にはクラプトンを筆頭にこれらのブルースメンとのセッションアルバムなんつうものを出したりするのだが、ストーンズとマディ・ウォーターズのジョイントは1981年の「ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ 1981」で割と新しい。一番最初に本物のブルースメンとのセッションアルバムを出したのは…出したっつうかやったのは多分意外なところでヤードバーズ。ソニー・ボーイ・ウィリアムスンが初めて家国に来た時に見たデビュー前のヤードバーズを気に入ってライブのバックバンドをやらせているってなもんだ。1963年の話。それを後にレコード化したのが「サニー・ボーイ・ウィリアムソン&ザ・ヤードバーズ」というアルバム。その後その時のヤードバーズ単独のライブ音源も追加してかなりの拡張盤にもなってるけど、やっぱソニー・ボーイ・ウィリアムスンとのジョイント盤が迫力満点で面白い。

 しかしデビュー前のバンド…即ちアマチュアバンドをバックに起用するって凄いけど、その期待にしっかり応えて違和感なくブルースをプレイしているヤードバーズの面々も凄い。ここで聴けるギターはもちろん今から50年前のエリック・クラプトンなのだろうが、さすがだ。しっかり本場のブルースメンのサポートとなるブルースのフレーズをしっかりとカマしてくれているし、自己主張もかなりはっきりと表れているもので、ソニー・ボーイ・ウィリアムスンとしてもエリック・クラプトンのギターがあったからヤードバーズを採用したんだろうが、なるほど、聴いていると納得するってなもんだ。もちろんソニー・ボーイ・ウィリアムスンくらすになれば一人で歌ってハープも吹いてブルースできる人だったろうからバックバンドなんて大して重要でもなかっただろうが…。

 しかしこの「サニー・ボーイ・ウィリアムソン&ザ・ヤードバーズ」という作品、もちろんライブ盤なんだが、普段のレコーディングだってライブみたいなモンだったんだろうから変りないって言えば変わりないんだが、やっぱ迫力が良いな。雰囲気も。「Baby Don't Worry」なんて、歌とハープと手拍子だけでさ、多分後のクリームの「Rollin' & Tumblin'」なんて影響与えているよな、とか。自分的にもソニー・ボーイ・ウィリアムスンってどうしてもハープの人だからあんまりきちんと聴いてないんだよね。でも、バックヤードバーズだし、って思って聴いた時に、本場のブルースメンの底力を感じたよな…当たり前だけど。そんな歴史的に重要なセッションアルバム♪



Muddy Waters And The Rolling Stones - The Checkerboard Lounge 1981

Muddy Waters And The Rolling Stones - The Checkerboard Lounge 1981 (2012)
ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ 1981【初回限定盤DVD+2CD/日本語字幕付】 ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ 1981 【2,000セット数量限定生産デラックスBOX:DVD+2CD+3LP/日本語字幕付】

 古くから知られていた1981年のMuddy WatersとThe Rolling Stonesの共演ライブ「ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ 1981」がいよいよオフィシャル映像とCDでリリースされたようだ。なんでまた今更?みたいな感もあるんだけど、こんな歴史的なイベントが陽の目を見たのはありがたいことだ。随分前に知り合いにビデオを借りて見せてもらったことがあったんだけど、話題とメンツの割にはさほど面白味のないライブだったな、という印象が強くてさほど興味をソソらなかったんだが、折角だからこの機会にもう一度ということで見て見ることにした。

 1981年11月22日にタイムスリップしてみよう。The Rolling Stonesは今じゃ歴史的とも言われるアメリカツアーの真っ最中、先日もStonesArchivesから1981年のライブがリリースされてその白熱ぶりを聞かせてくれたのだが、同じ年の秋、ちっぽけなシカゴのチェッカーボード・ラウンジというライブバー?でMuddy Watersがライブを行うことになっていた。その面々ですら、バディ・ガイやジュニア・ウェルズが参加したちょい豪華なライブだったのに、そこにミック、キース、ロニーの3人が加わり、更にイアン・スチュワートも参加したメンツだけ見れば相当歴史的なイベントになったのだった。

 「Baby Please Don't Go」の曲途中でMuddy Watersがミック・ジャガーとキース・リチャーズを呼び入れてセッションが始まる。ロニーはそのちょっと後にまだ地味に参加。スチュはいつの間にかって所か。しかし、このなんとなくそれなりの雰囲気を醸し出しているバーに真っ赤なフットボールシャツのミック・ジャガーってのは全く場違いな格好だし、ブルースという面からしてもまるでお門違いで、もうちょっとTPO考えればよかったのになとも思う。ブルースメンにとってライブってのは正式なお披露目の場だから皆きちんとした格好でやるんだよな。せっかくだからスーツくらいで歌ってほしかった(笑)。一方のキースはもうあのまんまだからかっこ良いな~。ステージに上がってタバコを吹かしてテレキャス担いで音鳴らした瞬間からブルースな音色とフレーズで、そういえばキースが本物のブルースをきちんと弾く姿ってほとんど聞いた記憶も見た記憶もなかったからかなり新鮮に響いたんだった。さすがにクラプトンとまでは言わないけど、Muddy Watersと一緒にやっても遜色ないギターを聞かせてくれます。キースって繊細だよな…、と。ボリュームやトーンに凄く気を使いながらフレーズを紡いでいって、場の雰囲気とか他のプレイヤーにも気を回して、それでいて自分が一番なんだ、みたいな雰囲気を出しているというプロフェッショナルさ。ロニーも地味だけどそういうのを凄く意識してるし、フロントのミックは結構大変だったと思う。アバウトな雰囲気で入ってくるMuddy Watersに合わせていくわけだし、性格も知らないだろうからどうすんだろ?みたいなシーンはいくつも見られるし、そういう意味ではハラハラするライブだ。

 ただねぇ、やっぱりリハ不足かな。もちろんこのライブが突発的な飛び入りのはずもなく、きちんとキースもロニーもスチュも自分の器材がセッティングされているワケだし、ミックにしても歌詞とかやり取りとか色々決め事はあったと思うんだが、リハ不足感が出てしまったかな。ストーンズの面々もMuddy Watersの方も馴れない感じで、やっぱりぎごちなくプレイしている。ギタリスト同士だったしボーカル同士だったり、またその組み合わせだったりすればなんかときめく瞬間もあるんだろうけど、椅子に座ったMuddy Watersと元気いっぱいのストーンズの面々では絡みようもなかった、という所か。そしてMuddy Atersもいつものあの表情だからギター連中がギター弾いても楽しんでるのか何なのかさっぱりわからないし、そういうのが聴き手にも伝わってしまって、キースやロニーも自分のギターってどうなんだ?みたいなのあるし、それが一方Muddy Bandの方だとしっくりと隙間が埋まっているのでやはり専属は違う。ストーンズがこの「ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ 1981」を30年以上リリースしなかったのはやっぱり理由があって、リリースに足る程のレベルにないライブだったから、自分たちの記念品でしかなかったということだったからに違いない。まぁ、今なら出しても良いか、くらいなのはあるんだろうけど、なるほどね。そう思うと、これからときめくようなライブってのはなかなか出てこないのかもしれない…。

 そんな邪推はさておき、まぁ、あまりこんなセッション活動をしないストーンズの面々によるセッションってこんな風なんだな、というのが見えて面白いし、もちろん皆好きでやってるから商売抜きに楽しんでる姿ってのは良いね。



Muddy Waters - Electric Mud

Muddy Waters - Electric Mud (1968)
エレクトリック・マッド(紙ジャケット仕様) Electric Mud
Electric Mud - マディ・ウォータース Electric Mud

 本物の黒人ブルースメンがサイケデリックブルースをやってみたら…なんていう空想の企画が実現してしまったアルバムが先のHowlin' Wolfの「The Howlin' Wolf Album」と今回のMuddy Watersの「エレクトリック・マッド」なワケだ。以降それぞれの黒人ミュージシャン達は自由に音楽表現の場を上手く使いながらシーンに数々のユニークなアルバムを残している。エレクトリックとの融合も著しく進化していったワケだし、その余波か、超ど派手な衣装から楽器やステージングに至るまでの一連の流れを最初に形作ったのはある意味Muddy Watersの「エレクトリック・マッド」だったのかもしれない…とは言い過ぎだろうな(笑)。その世界にはJames Browneっつう革命者がいたワケだし…、ただ、なんとなくMuddy Watersの「エレクトリック・マッド」を聴いているとファンカデリックなんてのはやっぱりこういうスタンスがなかったらやりきれなかったんじゃないかとも思うワケで、どこか参考にしていると思いたいんだよな。ブルース好きな人間としてはさ。

 1968年にリリースされたMuddy Watersの問題作「エレクトリック・マッド」。こいつを大愛聴盤にしている人もいるだろうけど、やっぱり邪道です。いや、アルバムとしては結構好きなんだよ、自分は。ただ、邪道だろ、ってのはMuddy Watersは歌っているだけって感じで、もちろんやってるのはMuddy Waters自身の曲だったり馴染みのある曲ばかりなんだけどさ、ギター弾いてないし、あ・うんの呼吸が聴けるワケでもないし、独特のブルースがあるわけでもないし、スタジオミュージシャンがMuddy Watersの曲を派手に重くエレクトリックにサイケデリックにアレンジしてギター弾きまくってドカドカやったカラオケの中にMuddy Watersが歌っているというだけの印象。多分、ほんとにそんな感じだったんじゃないかな。それでもMuddy Waters名義できちんとカタログ化されているんだから偉業のひとつではる。その中にはストーンズの「Let's Spend The Night Together」なんてのもあったりするんだからストーンズの連中も大喜びだったろうよ。でも、聴いてみて「?」な感だったことにはあまりコメントを聞いたことがないという事実からすれば想像は付くってなもんだ。やっぱロックはロック、ブルースはブルース、だな。

 しかし、凄い挑戦だったものだ。レーベル側からの強い意向で出来上がった作品という匂いが簡単に想像できてしまうけど、それでもMuddy Watersのアルバムだからなぁ。この頃既に50歳を超えていたMuddy Watersにはそんな冒険する必要性どこにもなかったんだろうが、見事。音楽とは色々なところでクロスオーヴァーするものなのだなぁと改めて実感。もちろんこの「エレクトリック・マッド」なんてアルバムはアナログ時代には見ることすらなかった貴重で珍しいアルバムだったんだが…。



Howlin' Wolf - The Howlin' Wolf Album

Howlin' Wolf - The Howlin' Wolf Album (1969)
The Howlin' Wolf Album Blues from Hell
The Howlin' Wolf Anthology - Howlin' Wolf The Howlin' Wolf Anthology Live - Howlin' Wolf (Live) - Howlin' Wolf Live

 ブルースには実に色々なスタイルがある。一言では到底語りきれない世界だし、スタイルもプレイも音も捉え方も間口がとにかく広いし懐は深い。そんな中で、いつまでも大御所として語られ、ある意味ではこの人達を聴かなきゃブルースを聴いたとは言えないって音もある。ましてやロック側から入った人間たちからしたらマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフってのは超標準なワケだ。自分もそうだったけど。ところが普通にアナログ時代からそういう聞き方で入っている人間としてはそりゃやっぱスタンダードなブルースアルバム、例えばハウリン・ウルフなら「モーニン・イン・ザ・ムーンライト」や「Howlin Wolf」、マディ・ウォーターズなら「ベスト・オブ・マディ・ウォーターズ」や「At Newport 1960」だったりするんだよな。当たり前だけど。それがさ、今の時代なんかだとCDやDLで何でも手に入っちゃうからあんま幻のアルバムとかあり得ない作品、お遊びで作ったアルバムっつうかロックに対抗して出しただけだ、みたいなアルバム、本来ならカタログから抹消されるアルバムまで簡単に手に入っちゃうのだから恐ろしい。自分の時にはそんなのあることすら知らなかったもんな。良い時代…と言うか、誤解も生まれる時代、か。

 1969年にリリースされたHowlin' Wolfの異質作品「The Howlin' Wolf Album」。Howlin' Wolfの名が割と出てきたのは多分ストーンズが騒ぎ出した頃だろうから60年代中後半、そこで本家本元のマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフがロックに対抗したアルバムぞ続々とリリースしてきたってのが面白い。対抗、だったのか売るって意味だったのか、小僧たちに負けてたまるかだったのか、ブルースからロックってのはこうやってやるんだよ、と教える意味だったのかわからんが、相当の異質作だったことは間違いない。なんせアルバムのジャケットを見てもらってわかるように、このアルバムは嫌いだ、と宣言しているんだから(笑)。ただ、ロック側からしたらこんなに素晴らしい回答例もなかっただろうなぁとも思う。「The Howlin' Wolf Album」がリリースされた時のそれぞれのロックミュージシャンの受けた印象なんてのを聞いてみたいもんだ。

 「The Howlin' Wolf Album」はHowlin' Wolfの作品だが、アレンジが全てロックになっている…っつうか、物凄くぎごちないロック。ん〜、本物のブルースメンがロックをやるとこうなるのかっていう好例。やってる曲はしかもブルースの名曲オンパレードなワケで、Howlin' Wolfだって馴染みのある曲ばかりさ。それをドラムとベースを入れて重くギターを弾いているというスタイルで、違いはギターソロの派手さがないっつうことくらいか。ただ、それでもHowlin' Wolfってこんなに不器用でゴツゴツした人なんだ、ってのがよくわかるくらいにゴツゴツ。ホントに骨っぽい音と歌になってるのが面白い。これはロックの連中も聴いたとしてもこんなんは出来ない、って思っただろう。ただ、ロックのフィールドからしてみたらロックさが全然ないアルバム。そういう意味では物凄く中途半端なアルバムになっているんだけど、歴史的価値からしたらよくぞやってくれた、っつう代物だろうと思う。

 まぁ、あり得なかっただろうけど、ここに凄腕ギタープレイヤーとか入って熱いプレイまでしていてくれたら60年代末期のインタープレイブルースロックの中に軽く入っていけたアルバムだったろうなぁと想像がつく。あまりにも本物のゴツゴツさ加減が聞く人を選んでいる気もするが。Howlin' Wolfを最初に聴く作品としては選んではいけません(笑)。Howlin' Wolfの本質はまるで存在していなくて、サイケデリックなスタイルなブルースってのはこういうもんだ、っつう回答だったりするだけなので、音楽としては大して面白味はないし。異質さが楽しめる、ってとこです。音のイメージはかなりアチコチに広がっているだけど、ファンカデリックが近いかもしれんなぁ…と思ってみたり。しかし…凄いアルバムだ。





Fenton Robinson - I Hear Some Blues Downstairs

Fenton Robinson - I Hear Some Blues Downstairs (1977)
I Hear Some Blues Downstairs サムバディ・ローン・ミー・ア・ダイム(紙ジャケット仕様)
I Hear Some Blues Downstairs - Fenton Robinson I Hear Some Blues Downstairs Mellow Fellow - Fenton Robinson Mellow Fellow

 ホントはブルースって一口に言っても、それぞれ傾向やスタイルやメンバーの繋がりや師匠、弟子など、または類似性の高い音楽性やスタイルなど系統立てて整理していけばもっと理解しやすいんだろうな、とか思うのではあるがなかなかそこまできちんと掌握しきれていない自分がややもどかしい。まだまだホントに深い世界だよ、ここは。このブログ書く時って大抵このヘンかな〜ってライブラリをまとめて引っ張ってきてMacのHDDに纏めて吸い出して入れておくんだよね。んで、自分が何書きたかったか、とか何を書こうとしていたかとか、どんな方向に進めようとしていたかってのを忘れないで済むっつうか、そうしたかったんだ、自分、ってのがわかるようしているんだけど(笑)、その時に経路とか系統まできちんと整理できている時は問題ないけど、一言でブルース、と認識しているものは結構無茶苦茶。その中からある程度の系統でチョイスしてるんだけど、やっぱまだわかってないっす。なんでこんな話?ってぇと、そのライブラリの中にフェントン・ロビンソンって人を見つけてね…、明らかにソウル・ブルース…ややモダンに近い音だったんで、もちっと前の時に間に入れて書いておいた方がスムーズだったな〜とか思うワケですよ。別に本来流れなんか無くても良いんだろうけど、自分的にね、そう思った次第です。

 1977年にリリースされたFenton Robinsonの3枚目の作品「I Hear Some Blues Downstairs」。冒頭からモダンに洗練されたメロウなブルースがおしゃれな歌と共に流れてきてかなり心地良い。軽快なブルースとブラコン的ソウルフルな歌声ってのは70年台中盤以降の特徴かね、ブルースの歌とは結構違うんでね…。例えばB.B.Kingの歌だって結構ソウルな感じだけど、やっぱブルースなんだよね。でも、Fenton Robinsonのはソウルな歌な感じ。別に大差ないんだろうし、歌なんて響けば良いんでそんな区分けは意味ないことではあるんだが、この辺の微妙な好みの差ってのは自分的にはもう聴くか聴かないかってボーダーラインなんで割と重要なんです。ただ、ギターがねぇ…、良いんです。良いっつうか甘いフレーズと甘美な音のギターでまぁ、ブルーススケールとブルースな魂で弾いているんだけどおしゃれ。このおしゃれ感がFenton Robinsonの特技でもあってこの「I Hear Some Blues Downstairs」ではそれがもうたっぷりと楽しめたりします。メロウなバラード「West Side Baby」とか味出しまくっててちといやらしいくらい(笑)。

 Fenton Robinsonってどういう位置付けになるんだろうな…。70年中後期に出てきてるからあんまりブルースメンとしての認識は強くない。でも、ブラコンかと言うワケじゃないから、やや中途半端なのかもしれないと自分の中ではそう思っててね、別にそんあんい時代ごとに人とか音を聞き分けてもいないけど、一番聴かない70年後半のブラコンと被ってしまっていたのだな。ちょっと勿体無い。ちょいと小洒落たバーでBGMに流れていると良い感じだな〜♪ジャケット見たらちょっと失望するけど(笑)。



Hound Dog Taylor & The HouseRockers - Natural Boogie

Hound Dog Taylor & The HouseRockers - Natural Boogie (1973)
ナチュラル・ブギ(紙ジャケット仕様) & Houserockers
Natural Boogie - Hound Dog Taylor & The HouseRockers Natural Boogie Hound Dog Taylor and The HouseRockers - Hound Dog Taylor & The HouseRockers Hound Dog Taylor and The HouseRockers

 どんどんとロック寄りなブルースメンの登場となってきて自分で書いていながらも嬉しくなってくる始末という、まぁ、奥深いブルースの歴史と世界の中で、かなり異端児という印象も深い人物も何人かいる。ただ、中心のブルースメンってのは一体誰かと言われるとそれはそれでまた結構困るのだが、それだけ深いってことで…。60年台からブルースメン達もエレクトリックで弾き倒すというスタイルが現れてきて、それはロックに教わった手法だったり、ご存知英国ロックな若者たちがブルースを盛り上げたりしていたというあたりから音楽の世界はどれも結局繋がっているという素敵なお話になるのだが、ここまでロックに近づいた黒人ブルースメンもそうそう多くはない。

 ハウンドドッグ・テイラーが1973年にリリースしたセカンド・アルバム「ナチュラル・ブギ」。ハウンドドッグ・テイラーっつうとどうしても6本指のギタリストという言葉が最初に思いついてしまうのだが、いや、事実なんだけど別に使える指ではなくてデキモノのように付いているだけだそうで…、でも、最初に知った時には指が一本多ければギタースタイルも変わるだろうし、それは聴いてみたい、って思ったものだ(笑)。そんな戯言はともかく、思い切りエレクトリくなスライド・ギターから始まる軽快なブギ野郎ハウンドドッグ・テイラーってのはどうにもロック側から聴いても「ハッ」とするプレイではあるもののやや軽めだし、ブルース側から見てもかなり異質なロック寄りな音で、何とも中間を縫っている感じの作品なワケだ。プレイはもちろん恐ろしいほどのテクニシャンっつうか普通にブルースとロックを弾けている人なんだが、フレーズに味が少ないっつうか、フレーズそのものは割とスタンダードな焼き直しが多いようで、さほど個性的なフレーズじゃない。もちろんエルモア・ジェームズばりのスライド・ギターは健在で、正直そのスライド・ギターのインパクトだけで成り立っている面もある。あ、それとベースレスでギター二人だったりするので音が軽め。考えてみればWhite Stripeってこういうのを元にやってるんか、ってのも納得するスタイルなので、そう思えば、なるほど…と頷ける音です。

 二人のギタリストとドラマーで成り立っているバンド、として聴くとかなり異質なスタイルだし、ハウンドドッグ・テイラーともう一人のギタリスト、ブリューワー・フィリップスがベースラインを受け持ったりギターソロプレイを受け持ったりと変幻自在にプレイを楽しんでいる姿を聴いているとなかなか未来に繋がるヒントは多い作品とも言える。実際そんな風に聴いてみると音楽の良さというよりもギターの良さというよりもアイディアの着想という面が面白く聴こえる。後は録音によりけりなのだろうが、左右どちらがどっちのギタープレイなのかに頭を悩ますくらいだ(笑)。

 普通のロックとかブルースに飽きた人はこの辺漁ってみるとちょいと変わり者が聴けます。ただ、音楽的にアルバム的にはムニャムニャ…って感じもしますが、このスライドは堪らんでしょ。



Magic Sam - West Side Soul

Magic Sam - West Side Soul (1967)
ウェスト・サイド・ソウル Rockin Wild in Chicago

 黒人ブルースメンの世界でも時代の変化とともに音楽が進化していることがここ最近の集中的ブルース聴きによってアリアリとわかってきて面白い。ギター一本と歌にハーモニカっつう世界からスライドやピアノが入ってきて、そこまでは音の進化であって音楽の進化じゃなかったけど、戦後になってからは明らかに進化してる。エレキの革命ってのはやはり大きかったしやはりあまり言われる事もないけどエルヴィス・プレスリーのR&Rってのはブルースの世界にも多大な影響を及ぼしてるのがわかった。音楽的にではなくて音への取り組みとして、という意味でね。エレキもしかしバンドのスタイルも音の見せ方とかも含めてショウマンシップまでね。なるほど、こうすりゃいいんだ、みたいなのが50年代以降のブルースメン達には見られるし、それは一般には戦後ブルースの経緯のひとつに挙げられてる。そのさらなる進化系のひとつに今回のマジック・サムって人は出てくることになりそうだ。

 1967年にリリースされた名盤の誉れ高い「ウェスト・サイド・ソウル」。アナログ時代にP-Vineからもリリースされててど派手な黄緑色にペインティングされたジャケットは印象的だったが、どこかソウルチックに見えてやや引いてしまった記憶がある。んで、聴いてみればその本能はあまり間違っていなくて、その時はあんまり好まない音だな〜ってくらいだったけど、今聴いてみればそれは明らかにソウルとブルースの融合だったワケで、単にブルースという枠には収まらないサウンドが収められている。だからこそ名盤と言われるのだろうけど、ここまで軽やかにスイングしてしまって良いのだろうか?みたいな感じ。ギターがえらくテクニカルなんだろうが、スタジオミュージシャン並にさらりと何でも弾きこなしてしまうスタイルで、自分の好みとは大きく異るんだよ。ま、ただ、そういうもんだ、ってのはあるが。器用すぎる感じ?その代わり曲のグルーブ感はもの凄いものがあって、グイグイとドライブしている。そこはロックの世界とは異なるグルーブがある…ってか、このグルーブがこの時代は主流だったんかも。

 しかし…、カッコ良い。一般のブルースをイメージして聴くブルースとは大きく異るのロック寄りな、ソウル寄りなアルバムで、そこにブルース・ギターが参加しているなんていうくらいに異質な作品だけど、基本3コードは変わらないし、なんか不思議な世界だ。多分ロックからも影響を受けているからかもしれない。本場のブルースメン達が当時の英国ロックを聴いていたとしたらマジック・サムのことはバカにしていただろうと思うが、そんな英国ロックなんて聴いていなければ、変わり者だ、っていう感じで見られていたのかもしれない。この数年後に心臓発作で亡くなってしまうので、伝説になっている部分もあるけど、少なくともロック畑の人間にとっては聴きやすいアルバムのひとつだ。



Fred Mcdowell - Mississippi Fred Mcdowell

Fred Mcdowell - Mississippi Fred Mcdowell (1962)
Mississippi Fred Mcdowell Mama Says I'm Crazy
Mississippi Blues - Fred McDowell Mississippi Blues You Gotta Move - Mississippi Fred McDowell You Gotta Move

 戦前にブルースをやってた人達が戦後に故郷に戻ってきてアテもなくフラフラしてるところを伝承音楽研究家みたいな人が発見して次々にレコーディングさせていって歴史を記録として残していったという。そんな一例に入るFred Mcdiwellというミシシッピ出身のブルースメン。昔のインフォだとそんな事わかんないからさ、1962年にファーストアルバムがリリースされたミシシッピのブルースメンなんていうことで戦後ブルースなら聴けるかな〜ってことで聴いたんだけど、音は全然戦前と変わらないじゃないかっつうオチが付いたアルバム。

 「Mississippi Fred Mcdowell」、そのまま自分の名前を出した最初のアルバムだけどキャリアは多分数十年なワケで、様々な曲をまとめて収録したという代物のようだ。ところがしっかりと音に残されているもので、もちろんギター一本と歌しかないんだが、そのギターがいつものことながら二人で弾いてるんじゃね?ってくらい多様な音色を出してて、この人も弾き方がわからん(笑)。更にスライドギターの名手…っつうか巧みにスライドを使っているので音色のバリエーションが幅広くてそういう意味では飽きにくい音。ただ、やっぱり単調なのは否めないんで結局飽きるんだが、それでも物凄く激しいプレイだったり歌とのユニゾンだったりギターソロらしきパートでも結構な技巧を凝らして楽しませてくれるのはあるので、早い話がギタリストのソロアルバム、本当の意味でのソロアルバムなワケだ。

 あんまりメジャーに成り切れなかった人なんだろうけど、そんなの気にしたことないって感じだね。あ、忘れてた、ストーンズのカバーで有名な「You Gotta Move」の原作者です。んで、全編があんな感じのブルースナンバーで本物のかっこ良さはストーンズバージョンも敵わないか?なんて。



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Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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