Nucleus - Elastic Rock

Nucleus - Elastic Rock (1970)
Elastic Rock Ltd.Ed. (Spec) Elastic Rock / We'll Talk About It Later
UK Tour '76 - Nucleus UK Tour '76 Live in Bremen - Nucleus Live in Bremen


 よく音楽にジャンルは関係ない、と言われるが実際にはかなりジャンル分けが細分化されているしジャンルとかカテゴリ分けと言ったものが存在しないと色々な面で困るのだが、聴く側に立てば実際にそう言ったカテゴライズは無関係である。ただし、それも従来の文化と歴史とイメージという枠があって、いつまでもその印象から抜け出せない事例も多々存在する。ん?何をいきなり真面目な論議しているんだって?いや~、ジャズロックってさ、ロックジャズもあるしジャズロックもあるし凄くにありーな世界にあるよなぁ…とつくづく思ったからです。そんなきっかけの作品がコチラ♪

 1970年にリリースされた時代は正に英国何でもあり時代でしてね、Nucleusのファーストアルバム「Elastic Rock Ltd.Ed. (Spec)」です…、はい、Vertigoレーベルってのもこのイメージ戦略に一味買ってしまっているんですけどね…、1970年のVertigoから出てきたバンドってったらもう気になる人は気になりますが…、ホントはPrestigeとかジャズ系のレーベルから出てきた方が良かったんじゃないかなぁ…っていうバンドです。Nucleusってよくプログレの中で語られ、更にジャズロックで語られるけど、こりゃもう明らかにジャズですわ。自分はあまり詳しくないけどエレクトリック時代のマイルス・デイヴィスを踏襲しているかのような部分が大きい。そりゃ、イアン・カーと言うリーダーがトランペット奏者なんだからジャズになるわな…と。

 ところが試みは面白くて、そのエレクトリックジャズなトランペット中心のインストに対して、クリス…すペンディングがギターを被せて、更に後にソフトマシーンで名を上げるジョン・マーシャルがドラムを叩き、カール・ジェンキンスがオーボエを奏でる…、オーボエ??その時点でVertigo行きってのは分かる気がするが、出てきた音はやっぱり面白い。こういうのを英国的と言うべきなんだろう…、概念に囚われずにどんどんと新しいアイディアを実現しては進化させていく、そして音は淡々とクールに奏でて一部分だけを聴けば本物と大して変わらない旋律や音色を出しながらも全体ではまるで異なる音世界を紡ぎ上げるという…、冒頭に書いたジャズとロックの境目を多分簡単に行き来している連中の音です。しかもモダンジャズじゃなくて明らかに進化系のエレクトリックな世界を含めたジャズと発展していこうとしているロックの間。凄い。

 ま、Nucleusと後期Soft Machineってほとんど同じメンバーになっちゃうんだから当たり前だけど、この「Elastic Rock Ltd.Ed. (Spec)」を聴いているとこの路線でメンバーのやりたいことってのは進化していったってのがわかると思う。イアン・カーはソフツに絡まなかったからトランペット抜きでのNucleasというイメージをしてみると全くわかりやすくなる…、冷たい夜を更に淡々と冷たくしてくれる音で熱くなれるねぇ~♪





Corrado Rustici - Deconstruction of a Post Mod

Corrado Rustici - Deconstruction of a Post Mod (2006)
Deconstruction of a Post Mod メロス(紙ジャケット仕様)
Deconstruction of a Postmodern Musician - Corrado Rustici Deconstruction of a Postmodern Musician

 先日仲間のお一人から「Deconstruction of a Post Mod」って作品をオススメ頂いた。自分的にはそれほど興味のある部類ではなかったし、記憶にも留めていなかったバンドなので「はぁ…」って言う感じではあったんだが(笑)、ただね、やっぱそれでも聴いてもらいたいなぁって思ってもらって音のご紹介を頂いているのでやっぱり聴く側も興味湧くんですよ。知らない世界だけどどうなんだろ?しかもある程度ブログで指向性なりを認識したであろう上でのオススメなワケだし、多分聴くと面白いんだろうなぁ…というね。んでさ、聴いてみたワケですよ。

 2006年にリリースされたコッラード・ルスティーチって人の「Deconstruction of a Post Mod」って作品です。ここでピンと来る人は凄いです、多分。古くはチェルベッロやノヴァのギタリストさんでして、その後ズッケロなどのプロデュースで有名になった凄腕のギタリストさん、のようです。まぁ、調べてみるとですね、そんなに多く書かれているトコロもなくていつもお世話になってるelmar35さんのところが詳しく書かれてましてね、全く凄いお仲間さんがいます。コメント見ればナゴヤハローさんや懐かしのpapini嬢(元気かな?)なども聴かれていて、そりゃもう濃い~ハズだわ、と納得。まぁ、それも音を聴きながらの話でしてね、聴いていたら凄くかっこよくて…かっこよいと言うのかクールで熱くてエネルギッシュでドライで…と正反対の音色と心が同居する、そんな作品なんですよ。色々なゲスト陣が参加しているみたいだけど知ってるのはアラン・ホールズワースくらい。でも、そのゲスト陣の技量よりもアルバムそのものの洗練されたサウンドの方が明らかに世界観を作っていて、素晴らしい作品になってる。多分言葉で書き切れないし、それよりもまだ自分がこの入口に立ったばかりで何も書けないってトコかなぁ。

 ギターだけを聴いているとジェフ・ベックやアラン・ホールズワース的な音色やフレーズや弾き方ってのが根底にあって、作品が広がっていってるけど、あくまでもクールなロックサウンド。もちろんテクニックは凄いけど、何とも言えないトーンのギターの音色が新しい。二曲目に入ってる女性ボーカルのエリサ嬢が、これまた凄く好みの歌い方でさ…、どこかコアーズのアンドレアを思い起こすようなちょっと切ない雰囲気を持った声色とあどけなさ。いいね。んで、聴き進んでいくと実に様々なコラボレーションと言うのかバリエーションに富んだサウンドで実験しているみたい。ところがアルバムとしての統一感はジャケットに象徴されるような見事なクール感で満たされていて、非常に面白い。さり気なく変拍子なんかもサラリと入れてあったり、ストリングスも入ってたりと才能を思い切り使った美しくもロックな知っている人の作品。見事だなぁ。

 こういう刺激って面白い。ココのところ結構幼稚なロックを聴く気にならなくて、どこか切り捨ててしまう時があって冷めてしまっていた部分があったんだよね。でも、コッラード・ルスティーチの「Deconstruction of a Post Mod」っていう作品に出会えてやっぱりロックや音楽って面白いな、って再認識できたもん。その点実に紹介頂いた方に感謝です。もちろんelmar35さんやナゴヤハローさんやpapini嬢と言うコアな方々の連鎖による所も大きいので余計に感謝ですね。音の世界の輪ってこういうもんなんだろうなと思うし。そんな一端をアチコチで担げれたら面白いよな、なんて思い直してます♪





Bill Bruford - Feels Good to Me

Bill Bruford - Feels Good to Me (1978)
Feels Good to Me One of a Kind

カール・パーマーのドラムの音でちょいと正反対のドラマーを思い出したので、勢いのままブログを流していこう(笑)。うん、ビル・ブラッフォードさんです。もうね、クリムゾンもイエスもジェネシスにも絡んでいながら更にカンタベリー一派との付き合いも深く、プログレと呼ばれる世界のドラマーとも云える人ですね。しかも音楽性から派生するとジャズ・フュージョンまでも入ってくるので全くクロスオーバーな世界を股にかけたテクニシャン。変拍子が変拍子に聴こえない…ってか普通に叩いてる印象しかなくて、変拍子らしく叩かない変拍子のドラマーだったりするので恐ろしい。

 1978年にリリースされたビル・ブラッフォード最初のソロアルバム「Feels Good to Me」。UK前の録音らしいが、参加メンバーにはアラン・ホールズワースやデイブ・スチュアートなんてのがいるからGilgameshやGongなどの隙間を縫っての録音なのかな、凄いスケジュール感とレコーディング予定だな…。テクニシャンな人達はこんな複雑なサウンドでもそれほど時間を掛けずに仕上げてしまうんだろうか、こんなのをさ。それで短期の集中録音だったとしか思えないんだが、その反面出来映えがもの凄い。好き嫌いは出るだろうなぁと思うけど、自分的には昔は全然ダメ、今は割とキライじゃない音。最近こういう音って抵抗なくなってきててさ、それはもうベックの影響かもしれないけど、ビル・ブラッフォードの場合は音がカンタベリーしてるからまだ聴きやすいんだと思う。変拍子でフュージョン的ってのはあるんだけどデイヴ・スチュワートのおかげでかなりカンタベリーな雰囲気持ってるもん。ベースのジェフ・バーリンもそういうラインを弾きこなす人だから余計にそう聴こえる部分も多い。

 一方でカンタベリーらしくもあり、フュージョン的クロスオーバーなサウンドをだしているのがアラン・ホールズワースのギター。知性を感じる音だよねぇ、この人のギターはホントに。だから構築されつつある音なんだけど、それが的確に出来上がっていって頂点で音的にはデイヴ・スチュワートにタッチするみたいに出来上がってて、それぞれのパートではもの凄く高みにあるサウンドを出している。音色自体は結構ポップなのもあったりするんだけどさ。ブラッフォードって曲を作る才能もあるんだろうし、こういうのは自分でどこまで作るんだろうか?それを言ったらジャズでも同じだけど不思議なんだよな。

 そして驚くのはアンネット・ピーコックのボーカル。これはもう好き嫌い分かれるだろうなと思うくらいに強烈なインパクトを放っているね。普通に歌を入れていれば問題なかったんだろうけど、ステレオで音全体の上から更に被せたような雰囲気でふつうじゃない音でおどろおどろしい歌が聴こえてくるんだから面白い。全曲これだったらたまったもんじゃないが、わずかなもんだから良いじゃないですか。こういうセンスが実験的で好きですね。カンタベリーらしいとも云えるかな。な~んてことで、「Feels Good to Me」という作品、今聴き直してみて、さすがにミュージシャン中のミュージシャンが集まっているだけあるテクニカルな作品で凄い。こんなのバックに流れてたら何もリズムに乗れずにできないことばかりになっちゃう(笑)。でもね、軽くて聴きやすいんだよ、それが面白いところ♪





EL&P - Trilogy

EL&P - Trilogy (1972)
Trilogy Brain Salad Surgery Deluxe Edition (Hybr) (Dlx)
TRILOGY - Emerson, Lake & Palmer TRILOGY BRAIN SALAD SURGERY (恐怖の頭脳改革) - Emerson, Lake & Palmer BRAIN SALAD SURGERY

 はて、マンティコアレーベルの大元でもあるEL&Pでのレーベルリリースは「Brain Salad Surgery」からと言う事になるのだが、その前の作品「Trilogy」をちょいと取り上げてみましょう♪ いや、単に「」は前に書いたことがあるのでいいかな、って言うだけでしてね、EL&Pも結構自分的には苦手な部類なんだけど割と聴いて書いているので「Trilogy」くらいしか空いてないんだよね、もう。まぁ、「Welcome Back My Friends to the Show That Never Ends - Ladies and Gentlemen: Live」とかあるけどそれはちょっとズレる話になるので(笑)。

 1972年にリリースされた「Trilogy」というEL&P絶頂期を表す作品とも言われているし、この年に日本公演で後楽園球場でのライブをフリーを前座にして行ったことも知られているだろうし、そのツアーでの甲子園球場ではかなり暴動に近い熱狂さが出てきてしまったためにロックコンサートのあり方みたいなモンまで取り沙汰される始末。時代がそういう時だったんだよね。だから最全盛期に来日して本場のロックをそのまま見せつけてくれた貴重なバンドのひとつなんですね。だから故に二本でのEL&Pの人気ってのは根強い部分もあるでしょう。まぁ、既に40年前の話になっちゃったのでどこまでそれが生きているのかわからないけど、文化と神話ってのはそんなもんだ。

 そんな時にリリースされていた「Trilogy」はどっからどう聴いても見事なロックアルバム。この手の音が苦手な自分でもやっぱ凄いバンドなんだなぁ…と言うことに圧倒されてしまうワケですからね、好きな人には堪らないサウンドでしょう、きっと。クラシカルなフレーズからってのはいつものことだろうけど、そこから展開して白熱していくバンド的協奏曲って言うようなあたりが面白くて、それは冒頭の組曲からしてゾクゾクする。ピアノの硬い音とアコースティックのソフトな音、そこにカール・パーマーのドタバタしたドラムが疾走感を殺してあたふた感を出す…、良いか悪いかは別としてもこのリズムこそEL&Pなんだろうな。グレッグ・レイクとキース・エマーソンだけなら流暢に流れるリズムもカール・パーマーのドラムで一気にバンド感が出る。まぁ、好ましくはなかったんじゃなかろうかと思うが、どうなんだろ?自分としてはこういうドラムって好きだけど、ちょっとやりにくいかな。

 さて、一般的には割とまずまずな評判の「Trilogy」、バンド的にまとまりすぎていてエマーソンの傍若無人ぶりが少ないとか…、確かにちょっと方向性を模索しているような節は感じるけどやっぱり充実した作品集だよね。グレッグ・レイクのベースとかギターだって聴きトコロ満載だしさ、エマーソンの鍵盤や旋律だって、ましてや音だって今聴いたってハッとするものばかりだし、古臭く感じないもん。ムーグとかって知ってれば古さを感じるのかもしれないけど、目新しい音色なんじゃないかな、一般リスナー的にはさ。そして何と言っても「Hoedown」という真面目にEL&Pらし~い曲が入っているのも「Trilogy」を高めている。この曲のこの音こそEL&Pを代表するようなもんだと自分では聴いていて、それが故にあまり聴かなかった…、こういう曲ばっかなのかな~なんて思ってたので得意じゃなかったっていうだけなんだが…(笑)。

 40年前の作品に今更だけど、現代でもしっかりと様々な形で「Trilogy」というアルバムが残されていて、聴かれているんだからやっぱり凄いアルバムなんだろう。好みかどうかは別とすれば聴くべきだと思うしね。ただ、ま、好みじゃないのでやはりあまりじっくり聴くという機会が少なかったな。



Keith Christmas - Brighter Day

Keith Christmas - Brighter Day (1974)
Brighter Day (Reis) Timeless & Strange: Selected Tracks 1969-1971
Brighter Day - Keith Christmas Brighter Day Timeless & Strange - Selected Tracks (1969-1971) - Keith Christmas Timeless & Strange

 マンティコアレーベルに移籍してきてピート・シンフィールドとグレッグ・レイクによるプロデュース作品という売り文句により名を馳せた?かもしれない人もいる。ちょっと前にこのブログで取り上げていたエスペラントっつうバンドがあったんだけどさ、その「死の舞踏」でのボーカルを務めていたのがキース・クリスマス。元々は英国フォークのシンガーとして知られていたようだが、なかなか売れなかったんだろう。って言っても来歴を見るとDavid Bowieの「Space Oddity」にギタリストとして参加しているので相当なプロフェッショナルな人だったんだろうという影の率役者。

 1974年にリリースされた4枚目のソロ作品「Brighter Day (Reis)」がマンティコアレーベル在籍のものだが、プロデュースは先のピート・シンフィールドとグレッグ・レイク、参加メンバーとしてイアン・ウォルラスやメル・コリンズというクリムゾン組がいるのも面白い。このあたりの交流関係はそれぞれのアルバムにいくつかクレジットで見受けられていくので英国ロックのお仕事は深いものなのだ。

 そのキース・クリスマスの「Brighter Day (Reis)」だが、最初に聴いて驚くのがどういうワケだか、えらくファンキーな黒いノリを実現した曲からスタートしている。何だこりゃ?と思うような曲にややびっくり。ただし時代的には1974年、David Bowieがファンキーなモノを目指したのが1975年なのでやや早めに時代を先取った感性だったのかもしれない。最もEsperanto時代にその傾向は出ていた気もするが…。ただ、そんなにファンキーなノリっつうのは曲数的には多くはないので、元々のフォーキーな曲が散りばめられているのは嬉しい。やっぱね、フォーキーで歌い上げていると思い切り英国産な音世界なので安心するんだよね。



Banco - Banco

Banco - Banco (1975)
Banco As in a Last Supper

 マンティコアレーベルの貢献と言えばPFMとBancoを世界に送り出した実績と言うべきか。どちらのバンドもその貢献がなければ世界に出てこなかったバンドなのかもしれない…ってそれは多分ないだろうけど(笑)。今じゃ逆にどちらのバンドも世界進出のきっかけとなったアルバム以前のオリジナルなイタリア語によるイタリアでのレコードが容易に入手できてしまうので音の差を簡単に聴けるんだけどさ、前はそんなの入手するの大変だったからやっぱり名前を知るには良いきっかけだったもんね。英語版ってさ。

 1975年Bancoの「Banco」という世界メジャー最初のアルバム、実質は初期三枚のベスト盤に近い英語バージョンってことで、悪いアルバムになるはずがない自信の英語版による世界進出アルバムとも云える。あちこちのレビューなんぞを読んでいるとイタリ語がマッチしたバンドだったが故に英語版での迫力の無さが残念だ、と言うような旨を書かれていることが多いし、多分実際そうなんだろう。そこまで深くBancoにハマったことがないのであまり感じないことではあるが、そりゃオリジナルがイタリア語だったらそういう話になるのも当然。ところが最初がこの英語版だったので全然違和感もなく、逆にこういうもんだという認識してしまっているアルバムでした。

 音の中身はまぁそりゃプログレッシブロックと呼ばれるに相応しい作品で、アコースティックな音色に加えて不思議な音がいくつも入っている曲も多く、実にバリエーションに富んだ創作的なアルバムで、英国ではあまり聴かれないタイプの曲という印象だ。実はオリジナルのイタリア版とはアレンジが異なっているものが多いらしいけど、バンド側も二度目の録音だったら同じようにはしないだろうとは思うものだ。さすがにイタリアンな雄大さやカンツォーネの雰囲気が飛び出してくるあたりなどは英米では考えられない展開だし、だからこそ面白く聴こえるよね。凄いな。



Peter Sinfield - Still

Peter Sinfield - Still (1973)
Still Still
Stillusion - Peter Sinfield Stillusion

 1972-73年当時のマンティコアレーベル発足時にはプログレ人脈…、主にEL&Pとクリムゾン関係が大集合していたみたいだけど、主たるメンツは勿論さほど関わらずに、周辺メンバーが集まってきていたという印象。その中にはSnuffy Waldenも名を連ねていたのだが、その第一弾ともなった集大成の気合一発であったろう作品が、なんでまた?って感じではあるが人望が厚かったピート・シンフィールドの最初で最後の音楽的ソロアルバム「Still」。

 1973年にリリースされた唯一の作品だが、元々音楽家ではなく詩人だったピート・シンフィールドのソロアルバムってどうよ?って思うんだが、結構持てはやされていることが多い。そりゃさ、メンツはGreg LakeやMell CollinsやKeith TippettやJohn Wetton、Ian Wallaceなどなどなどなどと錚々たるメンバーが出てくるんだけどね。音的にどうかと言われると、まぁ、期待するほどのものではないし何かを象徴するほどのサウンドでもないし実験的でもない。まぁ、友人集めてレコーディングしてみました、みたいな側面が大きいかと。クリムゾン時代に独特の歌詞世界を築き上げたことで有名になった人だけど、やっぱり詩人ですからね。そういう意味では見事な詩世界を作るのが仕事な人なんで、音的には特徴はない…、ただ、全体を通して凄く優しさが伝わってくるので、クリムゾンの研ぎ澄まされた世界から一気に反動で優しさが出てきたのかもしれない。もしくは詩世界だけならこういう優しいサウンドをイメージしていたのかもしれない。人間的な感じで生理的にはものすごく受け付けやすい音です。フワフワしてるしさ。

 ピート・シンフィールドっていくつかのバンドの名盤にプロデューサーとして登場することがあるんだけど、どれもこれも音的にはそんなにプロデュースしていないのかもしれないな。存在だけで良いと言うか、歌詞の世界についてアドバイスなんかはあるのかもしれないけど、音としては多分バンドそれぞれの力加減によるトコロが大きいんだろう。エスペラントなんかも特徴的というワケじゃなかったし、PFMはもともと凄いバンドだったワケだし。ただ、彼等が持っていなかったのはブランド、ですね。ピート・シンフィールドにはそれがあって且つ目立ちすぎないっていうところが良かったのかも。もしくはクリムゾンの手法を知りたかったのかもしれん。

 はて、この「Still」というアルバムの音…、とことん英国的で牧歌的です。激しい音は一切ないし、単なるインストなんてのもない。参加しているメンツも結構個性を出さないで演奏しているというか、とても余所余所しい演奏と言うか(笑)、そもそもピート・シンフィールドの歌が弱いからそうならざるを得ないのかな。そんな中でグレッグ・レイクはマンティコアを支えるために頑張ってかなり割り込んで参加してきているのは面白いかも(笑)。



Stray Dog - Stray Dog

Stray Dog - Stray Dog (1973)
Stray Dog While Youre Down There
Live from the Whisky a Go-Go (March 15, 1975) [Remastered] - Stray Dog Live from the Whisky a Go-Go Stray Dog - Stray Dog Stray Dog

 先日ゲイリー・ムーア関連ってことでグレッグ・レイクのソロアルバム聴いてて、クレジットとか眺めてた時にスナッフィ・ウォルデンってのを見つけてしまって、ん?Stray Dogの?と思い出して、あ、そうか、マンティコアから…、ん?プロデュースがグレッグ・レイクだっけ?ってな感じで気になってしまって引っ張り出したが運の尽き。ゲイリー・ムーアを聴き漁る一方で、Stray Dogからマンティコア関連やら英国B級ものやらと各方向に飛び火して聴くことに…(笑)。

 なことで、ちょっと音的には錯誤する部分があるが、1973年にリリースされたストレイ・ドッグの「Stray Dog」というファーストアルバム。これがですね、聴いてみるとわかるんだけど、思い切り好みな英国B級ロックなんですな。ところが、メインのスナッフィときたらアメリカ人なワケでしてね、純然たる英国ロックなのか?と問われる部分はあるけど、音的には純然たる英国ロックですから良いじゃないか。もっともアメリカナイズされたテイストも入っているのは聴いてるとわかるので、それも含めて英国ロックのごった煮感覚なんだよね。

 期待の音はですね、さすがにグレッグ・レイクがプロデュースしただけのことはある、と言うかこの時代の英国ハードロックってのはホントにこういう独自の音世界が多くて面白い。ギターがネチネチとリフを奏でていながらもベースがグイグイとドライブしてドラムはドタバタと叩く、そして曲の構成はオイオイってくらいに妙に展開していくという普通ではない筋書き、それでも妙にポップさやキャッチーさを兼ね添えている見事さと、演奏だけを聴かせる面も覗かせるという面白さ満開。ロックなノリノリとかってのは無縁なので、ストレイ・キャッツと間違えるとそりゃもう大変さ(笑)。

 スナッフィってフリーでコソフがヤバくなった後のギタリストだったんだよね。それは多分、ストレイ・ドッグ結成直前の話で、ラビットが引っ張ってきたみたい。同じテキサス出身でバンド仲間だったらしいから。そんな繋がりからあちこちに発展していく人脈関係がこれまた面白くて、まだまだ整理できていないんだけどさ、ピート・シンフィールドからキース・クリスマスやエスペラントなどなどマンティコアから離れてどんどん広がってしまうんだよ。こんなにマイナーな人ですら…、いや、職人だからこそプロ達に好まれるんだろうな。



Scars - Scars

Scars - Scars (2002)
Scars

 ゲイリー・ムーアがクラプトンの代わりにクリームに入ってみたら?ってのがBBMだったとしたら、今度はゲイリー・ムーアがジミヘンになってみたら?っていう取り組みが2002年にリリースされたScarsというバンド名義でのアルバムによるギタープレイ&歌ってトコだ。いやいや、その実このアルバム存在ってのを全然知らなくて、今回初めて発見したんで大したことは書けないんだけどさ(笑)、ゲイリー・ムーアってこんなこともしてたのか…とちょっと驚いたのと嬉しかったのとあるかな。

 2002年にリリースされたScarsというバンド名義での唯一のアルバム「Scars」。こちらもトリオ編成で、どんなキャリアのメンツなのかはよく知らないけど、それなりにメジャーのバンドの出身者らしい…って書くといい加減なんだが、実際知らないバンドだしなぁ…。っていうトリオ編成ってのが既にジミヘンやりたがってるワケで、冒頭の「When The Sun Goes Down」からしてワウペダルでの「Voodoo Chile」紛いだし、以降もひたすらジミヘン的アプローチが続く。まぁ、散々聴いていれば自ずと出てくるようなギターフレーズと曲調ではあるけどさ、それよりも自分的にはこのギターの音が結構キタね。アナログなチューブアンプの歪み方なのかな、今時の歪んだ音では出せない何とも言えない粒の粗いサウンドがよく研究しているなぁと。だから故にジミヘン的とも言われるんだろうけど、多分本人も成り切ってて楽しかったんじゃないかな。だから覆面バンドという形態でリリースしたと勝手に推測。

 そしてギタープレイも普段のゲイリー・ムーアよりも更に一掃ワイルド&ラフなプレイと繊細な音色という正にジミヘン的な「Rectify」なんてのもあるし、一方じゃ「Stand Up」なんて曲じゃ、SRVやサラスみたいなジミヘンに影響を受けた連中からの影響をゲイリー・ムーアが受けて作ったみたいなトコるのも面白い。バラード系はもうね、お得意の域に入っているからさも当然って感じではあるけど、作り方がこれもまたきちんと正しくジミヘン的ではある。そこまでのレベルに行かなかったのはちと残念だけど、これまでのジミヘンフォロワーとは一線を画した圧倒的にプロの奏でるジミヘンフォローアルバムで、自分自身の個性もしっかりと出した見事なアルバム。これ、面白いわ。ただ、難点なのは何度も聴かないだろうな、ってトコか。





BBM - Around the Next Dream

BBM - Around the Next Dream (1994)
Around the Next Dream Essential Montreux: Live 1990, 1995, 1997, 1999 & 2001
Around the Next Dream - Bbm Around the Next Dream

 ロックのアルバムってのは最初のインパクトが一番重要かもしれない。特にファーストアルバムの一曲目ってのはさ、バンドの挨拶代わりみたいなもんだから、その一極でどれだけ心を掴むか、みたいなトコロがある。それによってアルバム全編を聴くのか、聴かなくてもいいか、って思ってしまうかの違いがあるからねぇ。そんなことをふと思ったのもゲイリー・ムーア続きの中でかなり特殊な位置付けとなっているであろうBBMを聴いていたから♪

 1994年にリリースされた唯一のアルバム「Around the Next Dream」はもちろんクリームの再編とも言われるくらいに話題となった作品で、ベース・ボーカルにはジャック・ブルース、ドラムにはジンジャー・ベイカー、そしてギターとボーカルにゲイリー・ムーアと言う面々で録音された純正なオールドタイムロックバンド。その一曲目の「Waiting In The Wings」ってのがさ、もうゲイリー・ムーアなんだけどいきなりワウワウを器用に鳴らしまくってまるでクリームの「White Room」のソロでも聴いているかのような感覚に陥らせるものだったからだ。曲調もこの頃のゲイリー・ムーアを彷彿させるものではなくって、やっぱりクリームを意識した楽曲だからさ、オーソドックスなんだよね。それでいてブリティッシュの香りたっぷりの古めかしい作風。そこにゲイリー・ムーアの熱くしつこいギターが入ってくるからどうにも古くならないという仕掛け。いや~、ジャック・ブルースの歌声は健在だよな。ジンジャー・ベイカーのドラムはもちろん大人しくなったキライがあるけどさ、ドタバタ感は相変わらず。ジャック・ブルースのベースもそれは同じでもちろんクリームの時のようには弾いてはいないね。でも、結構ブイブイ鳴らしてるよ。良いバランスに仕上がっている気がするね、これ。

 もう少し長続きするとよかったプロジェクトなんだが、この頃既にジンジャー・ベイカーは55歳くらい?ジャック・ブルースも51歳くらいでゲイリー・ムーアが42歳…、それでクリームってのはちと無理があるだろうけど、そんな年齢を感じさせないくらい熱気を持った作品なのは確か。ちょっと巧くなりすぎたロックバンドって面があるが、そりゃもちろんテクニシャンならしょうがない(笑)。でも、いいね、これ。リリースされた時は割と笑って聞いててそんなに深く何度も聴かなかったけど、こうして久々に出して聴いているとかなり良いじゃないか、なんて思い直した作品です。ブルースとハードロックの中間を弾くゲイリー・ムーアは実はこういうバンドが一番望ましかったんじゃないだろうか?なんて思ってもしまうプロジェクトの作品だね。





Greg Lake - Greg Lake (& Gary Moore)

Greg Lake - グレッグ・レイク&ゲイリー・ムーア (1981)
グレッグ・レイク&ゲイリー・ムーア(紙ジャケット仕様) グレッグ・レイク&ゲイリー・ムーアII~マヌーヴァーズ(紙ジャケット仕様)
Greg Lake (グレッグ・レイク & ゲイリー・ムーア) - Greg Lake Greg Lake Manoeuvres - Greg Lake Manoeuvres

 ゲイリー・ムーアという人は随分と若い頃からロックシーンにいたおかげで70年代の英国を思い切り経由している人なんですよね。Skid Rowで出てきているのが1971年ころだから当然同時代のバンドやミュージシャンにも知られていたし知っていただろう。だからこそ後々になってBBMでジャック・ブルースやジンジャー・ベイカーとの共演なんてのもキャリアの成せる業という面もあっただろう。もっともその辺はよくわからないので推測だが…、ま、クラプトンのクリームをやってみたかったってのはあるだろうけど。

 1981年になってどういう経緯なのかよく知らないけど、あのグレッグ・レイクとのコラボレーションアルバム「グレッグ・レイク&ゲイリー・ムーア」が実現している。丁度ゲイリー・ムーアがJETレーベルと揉めている頃の気晴らしというか仕事なのだろうけど、これがまた面白い按配に出来上がっているところが頼もしい。もちろんグレッグ・レイクの方もファーストアルバムになるので気合は入っていただろうし、少しでも話題は作りたかっただろうからThin Lizzyからソロに入ったゲイリー・ムーアという稀代のギタリストと一緒にやれることには文句なかっただろう。

 「グレッグ・レイク&ゲイリー・ムーア」の最初を飾るのはゲイリー・ムーアのライブでもお馴染みの「Nuclear Attack」で、グレッグ・レイクのボーカルで聴けるのが楽しみか。曲そのものはもちろんゲイリー・ムーアのあのハードなプレイそのままなので、違和感なし。ただしグレッグ・レイクの歌っつうのが…、いやね、このころのグレッグ・レイクの歌ってもの凄くエイジア的って言えばわかるかもしれんけど、AOR系に聴こえるような節があるので好みじゃないんだよ。それはもうアルバム全般に渡っての話だけどさ、何かもうちょっと…って。EL&Pの「Love Beach」のイメージのままなのかな。それでもゲイリー・ムーアのギターは要所要所で弾き過ぎなくらいに弾きまくっているので目立つ。グレッグ・レイクは一体このソロアルバム「グレッグ・レイク&ゲイリー・ムーア」で何をしたかったんだろうか?と疑いたくなるくらいゲイリー・ムーアのギターだけがポップな曲調の中に詰め込まれている。う~ん、不思議なサウンドだ。これってドラムはテッド・マッケンナかな?MSGでお馴染みのあの人ですね。ってことはグレッグ・レイクもそのままHR/HM界に入って来ようとしたのだろうか?

 な~んて話はあるものの、この「グレッグ・レイク&ゲイリー・ムーア」にはかなり豪華なゲスト陣が参加しているのでやっぱり気合満点なワケですよ。スティーブ・ルカサーの参加はともかく、個人的に驚異的にぶっ飛んだのがスナッフィ・ウォルデンの参加。Stray Dog以外でこの人の名を見かけるのはほとんどなくって、フリーのポール・コゾフ不在時の代役ギタリストとして参加、ってくらいしか知らない。なので、こんなところでのゲスト参加は驚いた。でもグレッグ・レイク=EL&P、そしてEL&P=マンティコアレーベル、Stray Dog=マンテイコアってことで繋がってもおかしくないんだな…なるほど。やはり英国ロック史は知ってると面白い、って推測しながらStray Dogのジャケ見たらプロデュースがグレッグ・レイクじゃないか(笑)。



Colosseum II- Strange New Fresh

Colosseum II - ストレンジ・ニュー・フレッシュ (1976)
ストレンジ・ニュー・フレッシュ~エクスパンデッド・ヴァージョン(紙ジャケット仕様) ウォー・ダンス(紙ジャケット仕様)
Strange New Flesh (Expanded Edition) - Colosseum II Strange New Flesh (Expanded Edition)

 そしてまたゲイリー・ムーアのキャリアの中では音楽的にはかなり異色でいながらも、以降のキャリアに大きく影響を及ぼすバンドとしてのColoseum IIへの参加だ。最初のColoseum IIってのはもちろんColoseumの続編バンド…ってもドラムのジョン・ハインズマンだけがそれを引きずっているワケなのだが、それが故にColoseum IIというバンドなのだ。まぁ、目指すべき音楽性はロックとジャズの融合という辺りだったようだが、ややチグハグな雰囲気が漂うところが面白い。

 1976年にリリースしたファーストアルバム「ストレンジ・ニュー・フレッシュ」は多分かなりの度合いで気合を入れて革新的な音を目指していたのだろうというのがわかる作品で、一般的にはそれほど知名度はないものの中の音を聴くと時代を先んじていこうとしているのがよくわかるんだな。単にその方向性は鍵盤奏者のドン・エイリーがグイグイと進めている音の線だろう。ん?いや、奇しくもですね、ここでちょっと前にブログ上で展開していた路線でもあったロックフュージョン路線に被るんですよ。下手したらゲイリー・ムーアだってジェフ・ベックみたいなのは弾けただろうから、入れ替わっていてもおかしくない頃にシーンの中でキャリア形成していたんですね。「ストレンジ・ニュー・フレッシュ」の2曲目なんてベックのやってた「迷信」にも似た雰囲気あるしさ。まぁ、そんなのよりもベースにはニール・マーレイでしてね、これがまたこれまで聴いたことのあるニール・マーレイのプレイではまったく聴くことのなかったフレージングのファンキーなベースだったりして驚くんですな。よくこれだけ弾けてクロスオーヴァー方面に進まなかったものだ。

 そして肝心のゲイリー・ムーアだが…、やっぱり器用に様々な曲の展開と曲調の中で雰囲気を合わせて弾いているというトコロか。自分自身が新たな音楽を作り上げているというような感じでの弾き方ではない感じで、その辺は他のメンバーの方が野心的かな。だからと言ってゲイリー・ムーアの才能が云々という話ではなくってですね、こういうサウンドの中でギターの占める役割って何だろう?ってのを悩んだんじゃないかな。それにしては以降のアルバムでもちゃんと参加しているんだから不思議なものだ。まぁ、ファーストアルバムだからまだこれからってのはあったのかもしれない。音的にはこれまでベックの「Blow By Blow」くらいでしか聴けることのなかった作風の音なので、興味深いでしょ。テクニックは凄いんで、何が弱かったかってのはよくわからんが、どこか聴き続けていこうという音じゃぁないのは確かかな(笑)。

 そんなバンドだけど、後々にゲイリー・ムーアと絡むことになっていくニール・マーレイとドン・エイリーとの出会いは貴重な財産になったであろうバンドですね。



Skid Row - 34 Hours

Skid Row - 34 Hours (1971)
34 Hours Live & On Song

 1971年にゲイリー・ムーアがプロとして初めてシーンに出てきたバンドは言わずもがなのSkid Rowなのだが、これがまた時代が時代なワケで、普通に英国B級ロックシーンを漁っていても出てくるバンドだし、HR/HMシーンからの後追いでも追いつくバンドなワケだな、今では。ただ、当時としちゃ、皆が皆、目立つために個性を発揮していて何が良いのかわからないまま好きに音楽を奏でていたのだ。それでもSkid Rowはアルバム二枚のリリースが残っているのだから結構期待されていたバンドだったのだと思う。CBSだしね。それは多分当時17歳くらいの天才少年ギタリストがいたからということに尽きるのじゃないだろうか。

 1971年リリースのSkid Rowのセカンドアルバム「34 Hours」。レコーディングがタイトル通りに34時間で終わったから、っていう話を聴いたことがあるが、Led Zeppelinのファーストアルバムが36時間と言われているし、それくらいの時間でのレコーディングってのは短い部類に入るのだろうか?それとも当時としては長い部類に入るのだろうか?なかなか判断しにくい時間の掛かり方ではあるのだが…(笑)。

 それはともかくですね、Skid Rownの「34 Hours」ではゲイリー・ムーアネタから進んでいるんですが、聴き所…と言うか勝手に耳が聴いてくるのは多分ベースだと思う。何せ滅茶苦茶ヘンに弾きまくっていて言うならばず~っとベースソロを弾いているようなもので、それも結構ゴリゴリと耳に付く音ではっきりしたトーンでのソロなので凄い目立つ。しかもジャズともプログレとも云える複雑な…勝手な弾き方でしてね、曲の構成がどうのとか、良い悪いとか判断する以前にベースのラインが気になる。そこにゲイリー・ムーアのギターが絡むのだが、これがまたさすがに天才少年なだけあって曲ごとに見事に合わせたギターを弾いているし、かと思えばかなり実験的にフレーズを試していたり、曲に合うギターを探しているような面すらある。恐ろしく前衛的な取り組みとも言えるし、それでも17歳の少年が一生懸命に自分のパートを担った結果としては普通のプロ顔負けです。そんな絡みが面白いバランスを奏でているのが「34 Hours」という作品。普通にHR/HMを期待して辿り着いた人には全く受け入れられないであろうアルバム(笑)。逆にこんな音に出会ってしまったことで70年代英国ロックの世界を探索する人はとことん楽しめる世界が待ってます(笑)。



G-Force - G-Force

G-Force - G-Force (1980)
G-FORCE(紙ジャケット仕様) バック・オン・ザ・ストリーツ
G-Force - Gary Moore G-Force Corridors of Power - Gary Moore Corridors of Power

 ゲイリー・ムーアもマイケル・シェンカー並に数々の脱走劇を繰り広げた経緯のあるある意味ワガママな人だったり、レコーディングでも非常にワンマンで独裁者的だったとも聞くが、それが故に天才肌でもあったんだろう。頭の中に出来上がっている音を具現化することが如何に難しいかがよくわかる逸話でもある。そんなゲイリー・ムーアが1979年のThin Lizzyのツアー中に脱走して、自分で再度組み直したバンドがG-FORCEというバンド。これがまた今聴くと滅茶苦茶かっこ良いから困ったもんだ(笑)。

 アルバムとしては1980年に「G-FORCE」というのが一枚だけ出ているんだけどさ、ゲイリー・ムーア以外のメンバーの名前ってほとんど聞くことのない面々でしてね、そこまで追求していってないけど明らかにゲイリー・ムーアが自分で出したい音を出すためだけに集めたメンツなんだろう。逆に言えばですね、如何にゲイリー・ムーアがやりたい音が入っているか、ってことでさ、なんとまぁ、こないだの「ライヴ・アット・ザ・マーキー」や「ロッキン・エヴリ・ナイト(ライヴ・イン・ジャパン)」っつうライブアルバムではこのヘンからの曲も多いので割と馴染みがあったりするのが面白い。そして…、ここまで弾くか、ゲイリー・ムーアよ、と言いたくなるくらいにギターアルバムです。曲も結構ポップな感じがあって良いんだけどね。何よりもとにかく弾きまくりなゲイリー・ムーアが最高にかっこ良い。この路線を推し進めたのが自分のソロ名義になるんだろうが、結局そうでも進まないと駄目だったんだろうなぁと言うのもよくわかる。

 「G-FORCE」はレコーディングが稚拙だったのか、結構バランスが悪いと言うかバラついた音で、アメリカ人の誰かがアメリカンミックスでもすればもの凄い売れたアルバムになったんじゃないかと思うくらいだけど、その前夜とも言うべきサウンドはさすがです。この後すぐにやってくるハードロックシーンを予言するかのようなハードなサウンドはメジャーながらもあまり聴かれない「G-FORCE」という矛盾を引き起こしているが、是非是非聴いてみてほしい。普通にNWOBHMとして聴くと滅茶苦茶ハイレベルな音を出してます。

 ここでの失敗というバネがあったからゲイリー・ムーアって以降凄い激しく突き進んでいったのかもしれないなぁ。音へのこだわりとレーベルとの軋轢…、それでもきちんとシーンに名を残す人になるのだからとんでもない才能の持ち主だったのだろう。もちろん音を聴けばそりゃそうなんだろうけどさ。やっぱりハードロック時代のゲイリー・ムーアがいいなぁ…。







Gary Moore & Friends - One Night in Dublin: A Tribute to Phil Lynott

Gary Moore & Friends - One Night in Dublin: A Tribute to Phil Lynott (2005)
One Night in Dublin: A Tribute to Phil Lynott [DVD] [Import] ワン・ナイト・イン・ダブリン~トリビュート・トゥ・フィル・リノット [DVD]
Gary Moore: Parisienne Walkways - The Blues Collection - Gary Moore The Blues Collection A Retrospective - Gary Moore A Retrospective

 ゲイリー・ムーア死去の知らせにより、しばらくは忙しさにかまけて想いを馳せるだけという部分が大きかったが、少し時間が出来てくると色々な想いが心をよぎっていった。正直言ってここ最近のゲイリー・ムーアの活動を真面目に追いかけてはいなかったし自分的には既にノスタルジックな人という面もあったんだよね。だから突然の訃報に驚くワケだが、そうか~と思って自分のブログ見ると結構ゲイリー・ムーア関係は書いていたんだな。そうか、やっぱ好きなんだ、自分(笑)。何か面白いのあるのかな~って見ていると「One Night in Dublin: A Tribute to Phil Lynott」ってのを発見したので早速ゲットして見てみる。

 2005年に行われたフィル・リノット追悼ライブという名目のゲイリー・ムーアの過去を振り返るシリーズにするべくものだったのかな。曲目も知ったものばかりでゲスト陣も気になったので興味深々♪2005年か…、話題になったんだろうけど全然アンテナ張ってなかったから初めて観ました。

 おいおい…、とんでもなく熱くなって見てしまったぞ、自分。とにかくThin Lizzyの曲ってこんなにかっこ良かったんだなという再認識もともかくながら、ゲイリー・ムーアのフィル・リノットと遜色ないボーカルスタイルっていうのも実感してしまった。相当影響受けたんだろうな、この歌い方って。昔はそんなこと思わなかったけど、こうしてThin Lizzyの曲ばかりをゲイリー・ムーアが歌っているのを聴くと魂が一緒なんだよね。ちょっと驚いた。そしてまずはゲイリー・ムーアのギタープレイ…、これがまた昔ながらのHR/HMスタイルに弾きまくりで何とも素晴らしく、思わず目頭が熱くなってきてしまったしついつい見入ってしまったものだ。レスポールばかり弾いているので音の太さやメロウさも見事なものだしさ。

 そしてゲスト陣とのセッション…、ブライアン・ロバートソンとの「Emerald」では中間のギターソロのやり取りに興味深々でね、そりゃ現役バリバリのゲイリー・ムーアと比べちゃいかんけど、少なくともルックスは圧倒的にブライアン・ロバートソンの方がかっこ良い。もう50代半ば頃だろうけど革パンツだぜよ、それがまたスリムでかっこ良いままなんだ。そんでもってこれはもう観ないと、っていう「Black Rose」。ゲイリー・ムーアがコレを弾いているのを見たのは初めてだし、ホントにあのケルティックフレーズが炸裂するのだろうか?なんて疑問を持ってたんだが…、これこそ驚いて感動した。相方にはこれもまた年老いてもかっこ良いスコット・ゴーハムを交えてさ、往年のツインギターを目の前で…、感動です、はい。そして怒涛のケルティックフレーズ!ウワァ~、ほんとにそんなに弾いてるよ…凄い。最高にかっこ良い。見れてよかったわ、これ。スコット・ゴーハムってかっこいいわ…。

 そして更に驚きのエリック・ベルと共に弾いて歌う「Whiskey in the Jar」。最初気に色々会ってバンドを去ってしまったギタリストが佇まいはさすがに冴えないが、枯れたストラトの音色と渋い歌声である意味ゲイリー・ムーアを圧倒しているシーンすら見られる。凄い。まったくフィル・リノットも驚きだったろうよ、この面々は。そして最後にはゲイリー・ムーアの独壇場の「パリの散歩道」の超変形バージョン。ここまで気持良く熱くギターを独りよがりで弾ける人も多くはない(笑)。いやぁ、よくフィードバックするアンプとギターとエフェクターですね、ホントに。そしてゲイリー・ムーアのギタープレイをこれまで映像でそんなにマジマジと見たことなかったのでようやく気づいた次第ですが、人差し指軸にして中指でフレージングしていくんだね。普通は薬指で弾くのが多いところを全部中指で弾いてる感じで、手がデカイんかな、やっぱ。だからと言って小指をよく使うわけでもないから結構面白い指使い。

 色々な発見と大いに驚きと満足を与えてくれた「One Night in Dublin: A Tribute to Phil Lynott」の映像。やっぱ見ているとホントに熱くなれる人です。







Gary Moore - Live at the Marquee

Gary Moore - ライヴ・アット・ザ・マーキー (1983)
ライヴ・アット・ザ・マーキー(紙ジャケット仕様) ダーティ・フィンガーズ(紙ジャケット仕様)
Live At the Marquee - Gary Moore Live At the Marquee Dirty Fingers - Gary Moore Dirty Fingers

 先日の訃報には大変驚いた。58歳って…まだまだじゃないか、ってのとそんなに病気だったような感じでもないし…って。今更ドラッグかね?って思うけど、どっちかっつうと心筋梗塞とかそういうのなんだろうか。その原因はともかく、全く驚いたと同時に一気に懐かしい想いも蘇ってきてしばし何枚かのアルバムを聴き入っていました。

 多分1983年の日本公演の頃にゲイリー・ムーアが日本で盛り上がっていたのか、その後の「Rockin Every Night: Live in Japan」というアルバムがリリースされる頃になって再度盛り上がっていたのか、あちこちで目にすることが多くて多感な少年時代に颯爽と宣伝文句に惹かれて手にしたのがゲイリー・ムーアとの最初の出会いだったと思う。当時はレコード買うとポスターとか貰えてさ、しっかりとゲイリー・ムーアのピンクのストラトを顔で弾いているポスターとか付いてきたもん。その後に、立て続けに「ライヴ・アット・ザ・マーキー」とか「ダーティ・フィンガーズ」がリリースされて、全くこんなにたくさんアルバムが出る人なのか?聴くのも買うのも大変だよ、これじゃ…なんて思ってたけど結局買ってた。ゴリゴリに弾きまくってたギターが凄かったしそんなにまだたくさん聴くものもなかったから何回も聴いてたし。

 今ならあの怒涛のリリースがJETレーベルの蔵出し一掃ってのはわかるけど、当時はもうなんじゃこりゃ?で、中でも「ダーティ・フィンガーズ」は好きだったな。んでとある時には「ライヴ・アット・ザ・マーキー」も見つけてしまって…、ホントはカネなかったからパスしたかったけど「パリの散歩道」のインストのタブ譜付きってんでそりゃギターで簡単に弾けるんじゃないか?って思ってしまったのだな(笑)。だから「ライヴ・アット・ザ・マーキー」を買ってすぐにアルバムっつうよりも「パリの散歩道」ばかりを聴いて譜面見ながらギター弾いてた。アルバム全体の印象とか全然残ってないもん(笑)。今回久々に聴いててさ、「あれ?こんなんだっけ?」とか思った部分もあるしね。まぁ、それでもやっぱよく聴いてたんだろうな、覚えてるもんだ(笑)。冒頭のギターの軽い音出しから、あ、始まる、とかさ、イマイチ抜け切らないボーカルとか。

 時期的に1980年のマーキーのライブってのも後で知ったことだし、メンツの凄さも後で分かってきたことだし、それよりも何よりもギターばっかり聴いてた。曲のかっこ良さとか好みはあったけど、他のアルバムとほとんどダブってなかったから全然新鮮なオリジナルアルバムに近い感じで聴いてたし、ライブらしいライブってよりも録音しただけの生々しい一発ものっていう感じもあったからスタジオ盤的に聴いてたかも。ただ、その前にも「Rockin Every Night: Live in Japan」を聴いてたからライブ盤ばっかだったんだよな。ゲイリー・ムーアってこういうもんだよ、っていう変に刷り込みされてたのかもしれん(笑)。

 この後ブルースに転向とか色々チャレンジあったけど、自分的にゲイリー・ムーアってったら「Rockin Every Night: Live in Japan」「ダーティ・フィンガーズ」「ライヴ・アット・ザ・マーキー」の三枚が一番記憶に残ってます。それはもうアルバムの良し悪しじゃなくて刺激という意味でですね。後はフィル・ライノットとの「Out In The Street」が強烈。この辺のゲイリー・ムーアがとにかく一番彼らしくて良いわ。しかしあのゴリゴリ泣きのギターを継承してくれる人がいるかどうか知らないが、まだまだアルバムをじっくりと聴いて楽しみたい人です。合掌。





Esperanto - Danse Macabre

Esperanto - 死の舞踏 (1974)
死の舞踏 ラスト・タンゴ(紙ジャケット仕様)

 エキサイティングなバイオリンによるアルバムの引き立て方って意味でMahavishnu Orchestraを聴いていたらふと頭の中をよぎったのがEsperantoと言うバンド。まぁ、知らない人の方が多いとは思うんだけど、その筋ではかなり有名なんじゃないかな…と思ってる。結構1970年代の英国ロック好きな人多いし、紙ジャケなどでも何度もリリースされているからその辺のロックって実はもう割と有名なんじゃなかろうかと思ってるんだけどさ。時間の勝利だよね。

 1974年にリリースされたエスペラントっつうバンドのセカンドアルバム「死の舞踏」。アナログ時代にはかなり探し回った記憶があるアルバムで、結局ボロボロのジャケットになってしまったのを買って最初に針を落とした時のインパクトは絶大だったな。もちろんそれはバイオリンという楽器が奏でるヒステリックな音とバンドのバランスだったんだと思う。今思えばそりゃもうMahavishnu Orchestraのそれとは大きな違いだけどさ、自分的に好きなんだろうね、こういうの。おかげでエスペラントは三枚しかアルバム出てないけど探しまわり続けて手に入れたもん。三枚目の「ラスト・タンゴ」が一番好きかもしれないけどね。

 バンド名が表す通りに様々な国のメンバーから結成されたバンドで、メンバーチェンジもアルバムごとに行われているので音楽性そのものに一貫性があるかと言われるとやや苦しいかもしれない。ただ、この「死の舞踏」という作品ではインストだけじゃなくて、歌モノもあるし、強烈なインストもある。ただ、哀しいかな思い切りメジャーになれていないってことでわかるようにアルバム一枚をじっくりと聴かせられるほどの緊張感と技量を持ったバンドではないので単発の面白さに賭けているって部分も大きい。バンドの実力派それでも割と面白いとは思うけど、エスペラントの場合はジャズからっていうのではなくロックからクラシックを持ち込んで音を構成しているようで、かなり流暢に流れる旋律が多い。だからゴツゴツした緊張感とかはあんまりない。冒頭の「旅」は結構インパクトあるんだけどね。ま、ただコンセプトアルバムではあるので何度か聴いているとそういうことか、と唸る部分もあるのは事実。

 ロックファンにはピート・シンフィールドのプロデュース作品という方が有名だろうか。しかも時代は1974年なのでKing Crimsonを離れてすぐに近いくらいにプロデュースしているバンドなのだな。彼の目に止まったってことでひとつの指標とできるとか?うん、だから静と動が相まって美しい旋律や攻撃性の高い曲なんかもあるんだな。ただ、基本的には纏まった印象はあるな。でも、良い作品なので好きです、「死の舞踏」は。生々しいしさ。



Mahavishnu Orchestra - Inner Mounting Flame

Mahavishnu Orchestra - Inner Mounting Flame (1971)
Inner Mounting Flame Birds of Fire

 ホントにエキサイティングなジャズロックってのはやっぱりフュージョンとか綺麗な音ではなくて、やっぱりゴリゴリとロックイズムを持った音なんじゃないかと自分的には思う次第でしてね…、えぇ、ここのトコロジャズロック系に流れていったのでちょろっとそんなのを聴いていたんですが、どうにもブログを書く気にならない…ってか書けるほど聴いていられないっつうのか、生理的な面でダメってのか、慣れてないから集中して聴けないってのかね、ペンが進まなかったんですよ。そんで、ちょっと方向性を変えて…と言うか、あ、そう言えばMahavishnu Orchestraがあるな、と思い付いたトコロ、これがまた大変エキサイティングな音でね、ジャズロックとかどっちゃでもいいや、これかっこ良い~♪

 1971年…ん?もう40年前の音?になってしまったMahavishnu Orchestra…即ち今ではジョン・マクラフリンの在籍していたっていう言い方になるんだろうが、当時は多分ヤン・ハマーがビリー・コブハムと組んだと言う表現だったのかもしれないMahavishnu Orchestra。そんなメンツが組んで最初に発表した作品が「Inner Mounting Flame」。昔から有名だった「Birds of Fire」ってのは結構聴いていたんだけど、ファーストの「Inner Mounting Flame」は結構後になってから聴いたのかな、このインパクトを忘れていましたね。

 「Inner Mounting Flame」の冒頭を飾る「Meeting of the Spirits」や「Noonward Race」ってのは正直言ってどんなバンドも敵わないであろうエキサイティングでテクニカルで、超絶なマジックが働いているぶっ飛びものの楽曲と演奏です。ロックとかジャズとかそんな事を言ってられる場合じゃないくらいに1970年代初頭の英国ロック界を象徴するかのような何でもありの音楽がただひたすら詰め込まれているというようなもの。ひたすらにエキサイティングという言葉を使うのはヴァイオリンの音色がヒステリックなまでにエキサイティングだから。もちろん美しい調べを聴かせてくれる曲なんかもあるけど、もうねぇ、凄い狂いまくってくれてて最高♪追随するかのようにヤン・ハマーの鍵盤やジョン・マクラフリンのヒステリックなギターが狂い鳴る。これがもう凄いのなんのって。息をつく間もなくひたすらに攻め立ててくるこの音世界、そして美しく変幻自在に曲を操っていく素晴らしさ。ドラムだって見事に自己主張しているしよく聴けばベースは全然違うことやってる、みたいなアンサンブルの高さが恐ろしいくらいに緻密に組み立てられている。これが偶然かどうかってのはこの後のセカンドアルバム「Birds of Fire」を聴いてみるとわかるが、実力で組み上げられている作品なのだ。ホントかよ?って言いたくなるくらいに完璧という言葉が似合う決定的な作品。今の時代にはもう出てこれないだろうな、こういう音は。でも、いるかもしれない。

 1971年の音楽として出てきた頃は完全にプログレッシブなロックの音で、決してジャズのシーンからの音じゃない。だから英国のこの頃の音に紛れて出てきた鮮烈なプロ集団としてかなり多数のミュージシャンが注目したに違いないし、その中にはジェフ・ベックもいたってことだ。アメリカではサンタナなんかが気にしたんだろうし。そして本家本元の英国プログレ集団達が果たしてどう思ったのだろうか?特にKing Crimsonの音に酷似しているものもあるし、それどころか「You Know You Know」なんて曲は1972年になってKing Crimsonが奏でてきた音を既に実践しているじゃないかとも云える発展形…。違うのは計算されて作られているってことだが、出ている音にそれほどの違いはない。

 「Inner Mounting Flame」はちょっと刺激に飢えているリスナの皆様には是非是非聴いてもらいたいこんなアンサンブルと音のあり方。あ、ポップス系大好きな人や歌モノ好きな人はちょっとキツイかも…歌なんて一言もないし、ポップさのカケラもないから(笑)。でも凄く引き込まれると思うよ。





Jeff Beck - There and Back

Jeff Beck - There & Back (1980)
There & Back Blow By Blow
Live and Exclusive from the Grammy Museum - ジェフ・ベック Live and Exclusive from the Grammy Museum The Best of Jeff Beck - ジェフ・ベック The Best of Jeff Beck

 ギターインストでアルバム一枚聴かせてしかも作品として機能させるって結構大変なワケだが、フュージョンの波を作ってしまったジェフ・ベックには割とお手の物だったのか、それだけで生きていると言ってもおかしくないくらいにその世界観を達観してしまっている。なので今更何を書いてもナンセンスなのではあるが(笑)。他に色々なフュージョン的なのを耳にしたこともあるけど、結局ロック的アプローチから入ってくるジェフ・ベックのが一番聴きやすし、ガツンと来るんだよね。

 1980年にリリースされたその手のアルバム三部作ともなった「There & Back」。「Blow By Blow」「Wired」とその辺で来たのでリアルタイムな人にはもちろん聴きやすかっただろうし受け入れられたんじゃないかと。もしくは飽きられたっていうのもあるかもしれんけど、80年代になってこれだもんな。日本では80年代にこの手のフュージョンが流行った気がするけど、世界中のテクニシャンは皆こぞってフュージョンサウンドを奏でていたようだ…。ちなみに自分的にはこの手の音って苦手だったので全然聴けてません♪ジェフ・ベック然り、ですので割とここ何年かでジェフ・ベックの良さをわかりかけてきたっていう不埒者なので悪しからず。

 いやぁ~、最初から凄い展開。ただ面白いのはジェフ・ベック一人だったら絶対にフュージョンにはならないしロックにしかならないんだ、ってのが分かったこと。ヤン・ハマーとかいたからこういう音になってるんだろうな、と。もちろんギターインストのノリノリものではあるんだろうけど、モ・フォスターにサイモン・フィリップスってメンツでさ、やっぱゴツゴツしたロックの音してるんだよね。そういう骨っぽさってのがテクニックの根底にあるかないか、っていうのが大きい。もう30年前の作品だから30年間聴き続けている人もいるだろうし、そりゃもう良いところ悪いところあるだろうし…、今のジェフ・ベックの音もこういう作品から出来上がっているワケで、一世代を作ったよね。昔は全然わかんなかったアルバムだけど、今はチョコチョコ聴きます。んで、毎回凄いなぁと思うワケですが、まだギターの音にエッジが立っているのが嬉しい。ピックだよね?この頃。ただしギターの音がバリエーションに満ちていてさすがです。音の変え方とか選び方とか通り一遍じゃ行かない音色の選択。ギターの教科書とも言われる人のハズだ。

Jeff Beck 3-Pak

 そして何とアマゾンのCDの価格が驚くほどのものだ。更に書けば、名盤「Blow By Blow」「Wired」「There & Back」の三枚がまとめて入った3CDセットが1500円とは!?う~ん、安くなったものだ。





Soft Machine - Alive and Well

Soft Machine - Alive and Well (1978)
Alive and Well バンドルズ(紙ジャケット仕様)
Alive and Well (Recorded In Paris) - Soft Machine Alive and Well Bundles - Soft Machine Bundles

 カール・ジェンキンスのヒーリングミュージックでの成功は元々名を有名にしたSoft Machineから離れること20年くらいしてからの話で、その間には色々あったんだろうなぁと思わせるものがあるが…。一方では最近Soft MachineのHarvest時代の作品がデラックスに再発されたこともあってその時期のものが見直されている風潮もあるので良いかな、ってことで自分でもほとんど聴くことのなかったSoft MAchineのHarvest時代です。

 1978年にリリースされた「Alive and Well」が、何と2枚組ボーナストラック未発表曲も含めて加えてリリースされたようだ。元々の中身も1977年のパリのライブが収められていたもので、更に1978年のライブも追加されていたりするようで、まぁ、この時期が好きなファンには嬉しいリリースだろう。自分的にはSoft Machineって凄く好きな部類に入るんだけど、「バンドルズ」以降はほとんど受け付けない音だったのであまり聴いてない。よく聴けばそりゃロックな魂入りまくってるのはわかるんだけど、やっぱフュージョンって好まなかったしね。フュージョンじゃないっていう言い方もあるんだろうけど、やっぱその部類に近いワケで…。んで、この「Alive and Well」はどうかっつうとそれよりもややロック寄りに入ってきてはいるけど、やっぱちょっと違うイメージを持ってた。今回聴き直して、曲によりけりだけどロックなアルバム、なのかなとも思ったけど(笑)。

 そう言ったジャンルの話をともかく、オリジナルメンバーが誰もいなくなったSoft Machineというバンドのなれの果て、それがジョン・エサーリッジのとんでもなくフュージョンなギターをフューチャーしたライブアルバム「Alive and Well」なのかもしれない。その前にはアラン・ホールズワースだったワケだしね。ところがこのジョン・エサーリッジのギターもとんでもなく弾きまくりなのでぶっ飛ぶ。フルピッキングに近い超速弾きで明らかにシーンのクロスオーバーを意識しているし、モノにしているってトコか。ところがカール・ジェンキンスが奏でる鍵盤などは今のヒーリングミュージックに通じる音色や展開で広げられているものもあって、基本は変わってないんだなと。バンドのアンサンブルで大きく変化する部分は大きいけど、へぇ~って思ったかな。ベースとか凄いし明らかにフュージョンになってるんだが(笑)。

 しかしですね、この「Alive and Well」ってライブ盤、完璧に上手くて激しくてスリリングでライブアルバムとしても凄く優れた作品なのだった。好みは別としてやっぱよく出来ているバンドだと感じるし、曲の展開などもライブの緊張感持ってるし、好みの人には堪らないでしょ。ジャケットも良いし。最近リリースされたものは聴いてないけど、これの一年後のライブが入ってるってことで…、もう解散期かと思っていたこの頃に一年後のライブがあったのも驚きだけど、どうなんだろ?それほど興味は沸かないけど気にはなる、ってトコか(笑)。



Adiemus - Songs of Sanctuary

Adiemus - Songs of Sanctuary (1995)

Songs of Sanctuary アディエマスII-蒼い地球の歌声
The Essential Adiemus - Adiemus The Essential Adiemus Adiemus (Live) - Adiemus & Karl Jenkins Adiemus (Live)

 全然これも毛色が違うけど、どこか水のイメージが被るなぁ…ってことで更にひと押し進めてみたのが、結構メジャーな環境音楽?癒し系音楽?みたいなイメージで有名になったAdiemus。ジャケット見るからに癒されるでしょ?トランスとかビートとかってのは一切なくってひたすら美しいシンセの間を美声が駆け巡って縦横無尽に響き渡っているという全くこころの広がる音楽。ストリングスやピアノなどの自然な音も入っているので優しいんだろうな。

 アデイエマスの1995年の作品「Songs of Sanctuary」あたりから…。別に全作品揃えているワケじゃないので適当なチョイスなんだけど、特に曲を覚えるとかいうもんじゃないからいいでしょ。そりゃもちろん作品によってテーマが違ったり出てくる音にも差があるんだろうけど、そこまで聴き込めない(笑)。でもこういうのってホントに音楽家っつうか、需要が結構あるんだろうなぁ…と改めて思う。そして自然などをテーマにするってのはイメージを増幅創造させるものだから映像ありきみたいなところで作っているんだろうな。凄い才能じゃなきゃできないよな…。

 って音だけじゃなくてBBCのMotion GallaryってのをYouTUbeで見ながら思った。自然の雄大さをスケールの大きいサウンドで表現して見せてくれるこの作品などは全く映像に見入ってしまうし、その音の融合具合も見事なもの。この音楽じゃなきゃどんな音楽がこういう映像に似合うんだ?って言いたくなるくらいに完璧に映像に馴染んでいる。 凄い。

 まぁ、自分的にアディエマスを知ったのはもちろんそういう映像やBBCの話じゃなくて、後期Soft Machineの、と言うかNucleusの、と言うか、カール・ジェンキンスさんのプロジェクトだったんで、気になってたらいつしかえらく有名になっていたアディエマスっていうトコだったんだよね。だからジャズロックからフリージャズ、フュージョン的展開へとバンドが変貌していったカール・ジェンキンスの成れの果てがこのアディエマスなんだ、っていう繋がりを見出すとなかなか納得感があってわかりやすい。究極の所に進んだんだなぁ…と。その分嬉しいし、何か違和感もあったりするけど、世界に愛される音楽を創り上げた才能はやっぱり遂に、という言葉で感動できる。別に知り合いじゃないけどね(笑)。



OceanLab - Sirens of the Sea

OceanLab - Sirens of the Sea (2008)
Sirens of the Sea Sirens of the Sea Remixed
Sirens of the Sea - OceanLab Sirens of the Sea Sirens of the Sea - Remixed (Bonus Track Version) - OceanLab Sirens of the Sea - Remixed

 またまた何かのアルバムをアマゾンで探していた時にジャケットが出てきて気になって一目惚れした作品の登場です。全く背景も存在も知らなかったアルバムだしアーティストなのである意味期待満々で聴いてみたんですよね。だから音楽的な関連が近辺の記事と全然かけ離れているっつうものだったんですが、まぁ、それも良いでしょう(笑)。ジャケット非常~によろしいと思いません?

2000年から活動を始めているOceanLabというバンド?でして、このジャケットの作品は2008年にリリースされた「Sirens of the Sea」というアルバムのようです。今では更にリミックス版ってことで「Sirens of the Sea Remixed」っつうのも出ているらしいけど、やっぱ最初のがジャケットが良いな。ふ~ん、なんて思ってアレコレみているとロンドン出身なバンドだそうで、なるほど、やっぱりそうかと妙にそのジャケットのセンスに共感してしまったが、音を聴いてみてこれまたちょっと驚いた。うん、ジャケットとバンド名そのままの音が出てきたんだよね。バンドっつうかグループっていう感じなんだろうけど、歌は女性でして、これもまた美しく浮遊したサウンド♪

 巷ではトランステクノ系と言われているジャンルに属するらしいが、まぁ、確かにグルーブの利いたリズムにふんわかとしたサウンドが被さってきて心地良くトランス状態に入れる音…、なるほどねぇ~。これは気持ち良いわ。どこかで聴いた覚えのあるような雰囲気の音でさ、何だったっけな、こういうの…っていう感じ。いや、誰かと似ているっつうか、雰囲気が近い…のがあった気がする。それはさておきながらも、OceanLabのこの音、面白いな。クラブとか行くとこういうのが流れているのかな?行ったことないから知らないけど、心地良いだろうなぁ…。淡々とビートが効きながらもピコピコと…、あ、思い出した、誰かの音に似てると思ったら…ってか多分時代の傾向的にはこっちのが最先端だったはずだが…、Nenaの新作近辺あたりだ。アレンジとか似てるのがあるんだ。

 ひたすら垂れ流しで聴いていてもこれは心地良いだろうと思う癒し系な音です。女性の歌声も自然に流れていくし、多分エッジの立った音が全くないから邪魔にならないんだな。ただロック好きからしたら物足りないって思うと思うけど(笑)。





浜田 麻里 - Aestetica

浜田麻里 - Aestetica (2010)
Aestetica 25th Anniversary Tour “On The Wing” in Tokyo [DVD]
Reflection -axiom of the Two Wings - EP - 浜田麻里 Reflection LUNATIC DOLL (Remastered) - 浜田麻里 LUNATIC DOLL (Remastered) -

 何度も書いてるんだが、アルバムのジャケットってのはCD時代、もしくはDL時代になってもやっぱり重要なファクターを占めるものでして、ジャケットの作りによっては全然聴かなかったり手に取らなかったりするものも多いし、だからと言って音とジャケットがかけ離れていてもこれはまたよろしくないので、ミュージシャンと云えどもやはりアーティストという一端を担う意味でトータル的な芸術品を創造してほしいもんなんですよね、本音は。もちろん音だけでOKって人もいるしジャケット良いから許してる、みたいなのもあるんだけどさ(笑)。

 2010年にリリースされた浜田麻里の「Aestetica」という作品に気づいたのはリリースされてから結構経ってからだったんだけどね、パッと見て「お?誰これ?」って思ったもんね。もちろん音もサンプルで聴いていて、かなり面白い感じだったから余計に「誰これ?」って思った。そしたら浜田麻里なんだよ。声聴けば一発でわかるんだけどさ、アルバム冒頭の音を聴いているとまさか浜田麻里とは思わない音でさ、かなりびっくり。更に驚いたのはその「Stay Gold」っつう一曲目のギターって高崎晃が弾いててさ、こういう曲もやるんだなぁ…と。次の曲も高崎晃が弾いてるんだけど、この二曲がダントツにクォリティ高いもんね。パワーも楽曲レベルも多分想い入れも。いや、本人ってよりも聴く側が、って云うべきかな。2008年の冬に亡くなった樋口宗孝氏の姿がチラつくからかな。やっぱりさ、リアルタイムでその辺通ってるとどうしても関連付けて聴いてしまうんだよ。そんで、全く恥ずかしくない楽曲と歌を盟友と共に奏でるっていうのはね、いいよ。しかも新たな展開とも云えるゴシックメタル風味ながらもしっかりと憂いのあるメロディで好ましい。過去にも多数の良い曲あるけどこのアルバムがもしかしたら一番良い作品なんじゃないだろうか?想い入れとか製作過程とか環境とかメンバーの思いなんてのも色々あるんだろうけどさ、全てがひとつのベクトルに向いて集中している、しかも変にとんがってなくて自然に出来ているのが聴く側にもわかるし、それでいてこのジャケットだ。

 普通の状態ならこれって単なるお姫様の古城ロマン?ってトコだけど、何かそこから新しい世界に進もうという意思を感じるんだよ。んで、凄いのはもう50歳近い女性のこの格好で、しかもまるで違和感ないという素晴らしさ。今更ヘンな言い方だけど凄く大人になった浜田麻里に会える感じ。「Aestetica」を聴いていると声質も全然変わらないし、もの凄いパワーでのロングトーンなんかも聴けるし、何も変わらない。ただ、深みと甘さが出てくるようになっていて、もっと人の心に近づいたっていう極端な言い方をできるなら、そんな風に聴こえてくる。だから染み渡りやすい…そういう曲も多いし作詞面でも出てきてるし。普通に聴いたら単なる歌モノだけどバックのメンバーと背景の環境が違うからやっぱり浜田麻里の世界。

 日本人外人含めてキャリアの集大成を一気に集めた、それも売れ線時代のは一切無視して原点に帰ったヘヴィメタルの面々を揃えているところも何かを物語っている。これから彼女はどこに進んでいくのだろう…。



Dreams of Sanity - Masquerade

Dreams of Sanity - Masquerade (1999)

Masquerade Komoedia

 The Gatheringをアマゾンで見ている時に下の方に何となく気になるジャケットが出てたので、ちとクリック♪ふ~ん、オーストリアのバンドなんだ…、って嬢メタル系なワケね…と食指が少々動いてしまったのでそのまま聴いてみることにしたのがこのDreams of Sanityです。そんなに期待もしていないけど、そんなにつまんなくもないだろうっていう気がしててね、何と言ってもジャケットで選んでるからどっちかっつうと希望的観測が強いのかもしれん。

 1999年にリリースされたDreams of Sanityというバンドの二枚目の作品「Masquerade」です。メンバーチェンジなども行われたようで、更に言えばファースト「Komoedia」では二人の女性ボーカルがいたのが一人抜けてしまったという状況で製作されたもののようだ。まぁ、10年以上前の作品だからアレコレ見てると割と好評なのがこのセカンドアルバム「Masquerade」だった。そうか、ジャケットだけじゃないんだ、と安心して聴いていた次第です。

 冒頭からオペラチックなインストが…、んで「オペラ座の怪人」です。うん、やっぱNightwishのバージョンが耳にこびりついているので比べてはいけないがちっとチープな感じがしてしまった。ただ、構成とかは結構面白いかも?というところで次に進んで行くのだが、これがまたMasquerade Act.1」っつう大曲で、どんどんと曲の展開が繰り広げられていく代物で、その展開には脈絡もなく普通にリズムが変わっていくとかいうもので、そりゃもちろん意味はあるんだけど、ちょっと唐突(笑)。更に言えば作られている音がかなりチープな音色なのはなんでだろ?時代?んなワケないよな…。こういう音を狙っていたのかな。ただ、そういう強引な点とかを差し引いて聴くと、そりゃもう練られていてしっかりしてますね。ピアノとか目立つように曲も殺さずに展開しているし、何よりもボーカルのサンドラ姫の歌声がかなり変容していく様が面白い。この変幻自在さはあまり類を見ないものじゃない?やや声量不足な感は否めないけど、結構クラッとくる歌かも。

 楽曲的にはさほど陰鬱でもないし別にゴシックメタルって言われるほどのものでもなくって、鍵盤やギターの音からすると80年代ロック好きな音なのか?と思うくらいです。ただ、歌と展開が世紀末な感じでして、構築美ももうちょっと磨きがかかったら一級品に仕上がるのでは?と思うような節も多い。曲によってはもの凄く好みなんだよね。一人の女性ボーカルだけど、元々二人だったからか、ボーカルトラックを重ねてる曲やパートも多くて、それはもう結構な天使の歌声状態なので良いね。今でも活躍してるかどうかわからないが、音圧増してバンドに磨きが掛かっていたら結構パワフルで面白くなってるかも♪





The Gathering - Nighttime Birds

The Gathering - Nighttime Birds (1997)

Nighttime Birds Mandylion (Reis) (Dlx)
Nighttime Birds - The Gathering Nighttime Birds Mandylion - The Gathering Mandylion

 今となっては時代の産物だったのではないかとも思えるThe Gatheringの傑作「Mandylion」からアルバムに参加していたボーカルのアネク嬢。続く1997年にリリースされた4枚目の作品「Nighttime Birds」で既に音楽的な変化はやや伴っていたことに当時のリスナーはそれほど気づいていなかった…って言うか気にしなかった。まさか現行のThe Gatheringみたいな音楽性に向かうとは…と言ったところだね。別に悪くないし、「Nighttime Birds」って作品でもそんな片鱗が存在しているので今にしてみればわからんでもない、って感じ。でもねぇ…ってのが本音(笑)。

 1997年だから既に14年も前の話になるんだが、そこでようやくゴシックメタルという世界がメジャーに出てきつつあったのかもしれん。別にThe Gatheringが発祥というワケでもないが、「Mandylion」は一時代を担うアルバムとして祭り上げられているってのも事実で、今聴いてもかなり深みのある作品。そんなアルバムの次の作品に当たる「Nighttime Birds」はどうか、と。これがまたメタルという言葉は不要で、ただ単にゴシック世界を醸し出した作品として聴いていられるものだ。ゆったりと見を任せながらフワフワと浮遊した気分でリラックス出来るというようなもので、心地良かったりする(笑)。いや、音的にはもちろんヘヴィーで歪んだギターが鳴っているんだけどさ、テンポとかフレーズが洗練されてるのかな、邪魔にならない音。その分一曲一曲をきっちりと聴き込むのかと言われると自信がないが(笑)、アルバムの捉え方としてはそんな好印象。

 しかしこのバックの音でも全然負けていないアネク嬢の声量と歌声はやっぱり本物なんだな。歌唱力とか普通の範囲は十分に満たされているんで、後は天性のものが多くを占めるのだが、これが見事。The Gatheringの全盛期の作品であることに間違いはない。今で言うゴシックメタル的な音ではなく、単にゴシック調の雰囲気を醸し出している作品として粒揃いのアルバムとして聴いているけど、心地良いって言葉が一番合ってるかな。メタルじゃないゴシックの世界を奏でていたワケだし、その影響はDead Can Danceってトコだし、進化系も同じところに行き着いてる気がする。時代的に手法としてメタルを一部使ったってトコなのかな。かなり知的なバンドな気がする今日この頃♪







Devin Townsend - Addicted

Devin Townsend - Addicted (2009)
Addicted KI~氣~
Addicted - Devin Townsend Project Addicted Ki ~氣~ - Devin Townsend Project Ki

 Steve Vaiが1990年にリリースしたソロアルバム「Sex & Religion」にて一躍注目を集めたボーカリスト、Devin Townsendという人。…と言う人ってのは、知ったのが最近だったから(笑)。いや、その筋では相当有名なミュージシャンで、奇才とも言われているくらいにシーンへの貢献度が高くてインパクトのある人のようだ。以前にtwitterで流れていたのが気になって聴いてみたら割と不思議な世界観だったので何度となく聴き直していたりしたんだよね。それからしばらくしてかな、Steve Vaiの「Sex & Religion」に参加していたボーカリストって知ったのは。へぇ~、って感じで、そんなトコロに繋がっていくのか、と驚いたし。

 2009年にリリースされた「Addicted」という作品で、巷の評判もかなりのものらしいが、聴いてみるとこれがまた奇才って言うのが良いかどうかわからないけど、凄くハイレベルな世界を実現している。音的にはカオス的とも言えるうるさ型のロックなんだけど一言でHR/HMって世界とも言えない広がりがあるので深い。凄い芸術家な面も多いんだろうけどしっかりと売れる線ってのも持っていてこりゃハマる人はハマるわ、って。単純にくくれない音楽性の広さと歪んだギターにしても縦横無尽に使われている。更に歌にしても結構なインパクトがある…、ルックス見ると更に凄いインパクトあるんだが(笑)、こういう輩とSteve Vaiが組むってのも意外な感じがするもんだ。

 Devin Townsendの「Addicted」が気になったのは、Steve Vaiからの繋がりではなくて、The Gatheringというゴシックメタルの第一人者とも言われるバンドの看板ボーカリストのアネク嬢が参加した作品だから、ということで気になった次第なんですね。ゴシックメタルのお姫様が普通のHR/HM系の曲を歌うとどうなるのかな?っていう興味だったんだが、普通のHR/HMじゃないから何とも(笑)。そもそもアネク嬢がDevin Townsendのファンでライブでもカバーしたりしていた関係で、チャレンジャーなアーティストのDevin Townsendが声がけして実現したセッションのようだ。それが故にDevin Townsendの作品ながらもアネク嬢とのジョイントという側面が強くて、ボーカルもアネク嬢が結構前に出てきていて凄い新鮮。音楽的な深さの中、アネク嬢が歌う曲はまるでゴシックではなく疾走感のある曲だったりするんでかっこ良い。

 こういう新鮮な世界って取っ付くのも大変だけどやっぱ面白いなぁと思う次第で、Devin Townsendの色々な作品にも手を出しておくべきかな。ただ自分的にはどうしてもアネク嬢に先に行ってしまうのだが(笑)。いや、それはともかく凄い面白いアーティストと作品。多彩で深いアルバムとしてはとっちらかった印象すら受ける作品だけど一本筋の通った統一感が作風として存在しているという面白さ。アネク嬢のカラフルさはしっかりとアルバムを彩っているのもいいね。





Alcatrazz - Distrubing The Peace

Alcatrazz - Distrubing The Peace (1985)
Distrubing The Peace アルカトラス~ディスタービング・ザ・ピース・ツアー~ライヴ・イン・ジャパ ン 1984.10.10 オーディオ・トラックス
Disturbing the Peace - Alcatrazz Disturbing the Peace Live In Tokyo - Alcatrazz Live In Tokyo

 さてさて、今じゃもう大物ギタリストというかベテランミュージシャンとして既に評価も高く、世間的にもかなりの音楽家として知られているSteve Vaiなのだが、ZappaバンドからHR/HMの世界に出てきた頃はまだまだ若造でギターのテクニックだけでは世界を制することができないということも当然実感しながら様々な試みを行いながら模索していたワケだ。そのひとつの実験の完成形がアルカトラズというバンドとしてはセカンドアルバムとなった「Distrubing The Peace」だろうか。Steve Vaiとしては初めてのアルカトラズ参加作品ながらもかなりの音楽的貢献度…ってかVaiの作品に近い部分あるみたいだけど、当然ながらその評判はグラハム・ボネットと二分するワケですね。

 1985年にリリースされた「Distrubing The Peace」。まぁ、何と言っても前任がインギーなのでどうしたって音楽性もギタリストの腕も比較されてしまうワケで、それに対応できたかどうかわかんないけど、大変だったろうなぁ…。何か今となってはどこか同情してしまう感があるのだが、試練試練。グラハム・ボネットだってSteve Vaiを採用したってのはHR/HMの世界だけに留まりたくなかったワケだろうし、だからこそ様々なアプローチを試みた作風が並ぶ「Distrubing The Peace」は当時あまり評価されなかった気がする。ミュージシャンの進化ってのをどう切り取って聴いていくか、はたまたミュージシャンはその変化を如何に上手くリスナーに付いてこさせるか、そんなせめぎ合いがレコードやCDのリリース時に行われるのだ。そんなこと気にしなくて良いんだろうけどね。

 さて、この「Distrubing The Peace」という作品、冒頭の「God Blessed Video」のイントロからして衝撃的。デジタルディレイのエコーそのものをリフとして入ってくるっつう革新的なアプローチ。これは斬新な手法ですよ。しかもドラムの入り方がそのリフに合わせてスネアが鳴らされるので更に驚く。ライブだと完全にテンポ合わせないと曲そのものがズレるじゃないか?なんて余計な心配してみたりしたけど、グラハム・ボネットの声よりも何よりもこのリフの構成に驚いた。当時も今も。いや~、久々に聴いたら新鮮でさ。音はさすがにチープだけど曲への取り組みが意欲的。だからHR/HMだけじゃなくて妙~な感じの曲が多くてグラハム・ボネットの歌を聴いていると違和感を感じるのも多い(笑)。グラハム・ボネット自体はそりゃもう60年代からいろいろな歌を歌っている人だから何でも歌えるんだろうけど、リスナーはそういう風に聴いてないからさ。その辺のギャップが看板持ってしまうと大変なんだろう。

 そういえば、ココのところひたすら気に入っているLight Bringerっつうバンドがこの曲をカバーしてこないだシングル出してるんだがどうなんだろ?まだ聴いてないや。それにしても推定平均年齢24~25歳のバンドがこれカバーするって…、親の影響?後追いでこんなトコに辿り着くのか?不思議なコトだが、やっぱり歴史がこの「Distrubing The Peace」というアルバムを評価しているんだろうな、きっと。





David Lee Roth - Skyscraper

David Lee Roth - Skyscraper (1988)
Skyscraper Eat 'em and Smile
Skyscraper - David Lee Roth Skyscraper Crazy from the Heat - EP - David Lee Roth Crazy from the Heat - EP

 Van Halenのフロントマンとして名を馳せたデヴィッド・リー・ロス。今でもデイブ時代のVan Halenしか興味ないというファンは多いし、自分自身サミー・ヘイガーのVan Halenというのはほとんど聴いたことがないし、あまり興味が沸かない。単に明るいアメリカンロックに変貌してしまった感じがするからという理由なのだが、デイブ時代だって派手なエンターティナーとしてショウを繰り広げていたハズだから何がそんなに違うのだとも思う部分もあるが…、なんだろね、決定的に違うんだよ、そこってさ。ま、その辺はいずれ…ってことにして、Van Halenのフロントマンとしてつい最近も戻ってきて新作アルバムをレコーディングしているなんていう話もあるくらいだからやっぱりVan Halenの顔役でもあるデイブ。そのデイブが強者メンバーを従えて製作したセカンドソロアルバム「Skyscraper」を…。

 1988年にリリースされたセカンドアルバム「Skyscraper」なので、ファーストの「Eat 'em and Smile」からさほど時間は経っていないしそれくらい脂が乗っていた時代なのかもしれんな。多分メンバーが強烈なのでいくらでも楽曲が出来ただろうし、勢いのあるうちにライブやアルバムで稼いでおこうというのももちろんあったとは思う。ただしここで問題なのは肝心のデヴィッド・リー・ロスというミュージシャンは何がしたかったのか?ってことだ。デヴィッド・リー・ロス自身はハリウッド的エンターティナーになりたかっただけで音楽的なこだわりはそれほどなかった人だと思うので、楽しめる楽しませることなら何でも良かった様子で、別にハードロックやヘヴィメタにこだわることはなかったワケで、まぁ、R&Rならいいかってトコだったと。まぁ、流れからしてもの凄いテクニカルな面々が揃ってしまって、一応デイブの経歴からしてもHR/HM的延長線であることも必要だったろうからという理由での音楽性だったんじゃないかと。今にして思うと何か色々と余計なことを考えてしまえる自分が大人になりすぎてるって思うのだが(笑)、こんだけの素材だったら上手く使いたいもんな…。

 そんな戯言はともかく、「Skyscraper」では音楽的には明らかにSteve Vai主導の楽曲が多いしアレンジも多分Steve Vaiだろう。多分デヴィッド・リー・ロスの注文は明るく楽しくポップに派手に、みたいなとこなんじゃないかな。何となくHR/HMみたいな様相をしてはいるもののその実態はかなりポップでキャッチーになったどこか魂を売ってしまったようなサウンドかもしれない。その辺はリスナーが評価してしまうワケで、これを境にデヴィッド・リー・ロスという商品は堕落の一本道を歩むことになったのは歴史が証明している。別にいいと思うけど…。いやね、それでもこんだけのメンツでエンターティナーとして楽しませてくれたアルバムだったんですよ。「Just A Paradise」とか売れたしさ。「Stand Up」はちと短調過ぎたキライがあったけどアルバム通して聴くにはなかなか凝った展開をたくさん見せてくれてるし…、それは多分Steve Vaiの実験精神が反映されているんじゃないかと。後々のVaiのソロ作品とか聴いてるとどことなく繋がってくるし。

 そういう意味で魂を売り渡せなかったのがスーパーテクニシャンのビリー・シーンかもしれない。こんだけのメンツで売れるのもわかっていながらMr.Bigの結成のためにこのバンドから抜け出ていくワケだから。この決断ってなかなか難しかったんじゃないだろうか?結果は良かったけどこの時のデヴィッド・リー・ロス・バンドって言えばドームとか平気て埋まってたしさ。そんな紆余曲折ありつつも、「Skyscraper」を久しぶりに耳にすると野望もあるけどやや稚拙、さすがに時代を超えて聴くにはしんどいアルバムだったかもしれない…。代わりに懐かしのPVでも見て矛先を変えておこう(笑)。





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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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