Motorhead - Better Motorhead Than Dead: Live at Hammersmith

Motorhead - Better Motorhead Than Dead: Live at Hammersmith (2007)
Better Motorhead Than Dead: Live at Hammersmith Stage Fright [HD DVD] [Import]
Better Live At Hammersmith Ace Ace of Spades (Deluxe Edition)

 ちょっと前にスカパー流してたら音楽系チャンネルで唐突に轟音が聴こえて、なんだ?と思ったらモーターヘッドのライブビデオ流しててさ。モーターヘッドかぁ…と思ってちょっとボリューム上げて見てたら普段あんまり聴かなかったので滅茶苦茶新鮮でカッコよくってそのまま見入ってしまったんです。音的にもメタルじゃないしロックンロールっていうロックンロールでもないしハードロックじゃないしパンクじゃないし、何というのか…、モーターヘッドなので改めてその存在感に驚かされた。そこで気になって、というかちゃんと聴きたくて見たくて入手して見る聴く、です。

 モーターヘッドの2007年にリリースされた30周年記念ライブの模様からDVDでは「Stage Fright」、CDでは「Better Motorhead Than Dead: Live at Hammersmith」という二つの公演がリリースされている。DVDはドイツでのライブなんだけど、モーターヘッドって21世紀に入ってからドイツではヒットチャートを駆け抜ける存在でもあり、ここ数年ではチャート上位に必ず入るバンドになってるらしくて他国では考えられないくらいの人気を誇っているんですよ。なのでDVDの映像的にももの凄い広い会場で大観衆を前に三人で叫んでる姿がカッコ良いんです。CDではやはり英国人としてのプライドと記念ってことでロンドンのハマースミスでのライブを音源化している。そりゃそうだろうな、ポートベロー出身だっけ?ロンドンだもんね。なのでリスナー的には二粒楽しめるお得な記念盤なワケだが…。

 まずもって、全く変わらない音と声。それよりももっと凄みと迫力を増しているんだが、とにかくロックンロールな音であることに全く変化はなくって、これはもう見ていて聴いていてラモーンズと同じ領域に入っている気がした。アルバム「エース・オブ・スペーズ」が非常に有名で、多分一番売れたという名盤に挙げられているけど、どう聴いたってそれもモーターヘッドの一部でしかなくて、こうしてライブで紛れ込んでくると全然突出しているってものじゃないことに気づく。それよりももっと迫力満点なロックンロールがやまのようにある。最初から世界に引き込まれるもん。それでいて、全然飽きないというのか、つまんないってのがない。だから途中で切るってのがなくて最後まで聴いちゃう。聴かせる魅力がある。不思議だなぁ、飽きっぽい音なのに。多分ライブだからその熱気に押されるのかな。

 映像の方でメンバーのプレイを見ていても全然衰えてなくて…、それどころかホントに迫力を増した族って感じで、でも英国人なんだよな。そして当たり前だけど、メンバー全員がもの凄く上手い。テクニカルに上手い。バンドとして上手い。歌は上手い下手じゃなくて個性だけど、音楽として成り立たせている部分はプロ中のプロなだけあってまったくソツなくミスなくバンドとして一体の音を出しているというプロフェッショナルさ加減。この上手さが聴き続けたくなる秘訣だ。だからテンポが良いんだ。下手なバンドではなかなかできないこの領域を3ピースで完璧に演じ切っているところが凄い。

 いや、モーターヘッド、毎日聴かなくてもいいけどちょこちょこ聴くバンドになってきました。アルバムも沢山あるし、楽しめそうです。そういえば今年のラウドパークで来日してこの雄姿を魅せつけていったらしいです。さすがレミー…。





サンハウス - 金輪祭

サンハウス - 金輪祭 (2010)
金輪祭 [DVD] THE CLASSICS/SONHOUSE~35th anniversary~(DVD付)

 ロックンロールの解釈とは実に様々ではあるけど、自分的にロックンロールってのはこういうもんだよな、っていうのはやっぱりしっかりとあって、それを全て体現しているバンド、と云うよりもこれこそがロックンロールってモンだろ、って云う方が正しいんだろう。日本のバンドってあんまり聴かないなんて言いながらもこれこそロックンロールっていうのが日本の誇るサンハウスっていうのも面白い自己矛盾(笑)。なんかさ、何やってもロックンロールな人達でさ、それはもうボーカルの菊さんがそういう毒気を思い切り吐いているからに尽きるんだけど、鮎川さんのギターもこれがまたロックンロールで…。

 ってな音を出していたサンハウスも何度となくライブで同窓会的に再結成劇を行っていたんだけどね、ここのところでまた再結成していて、今年はドラムの鬼平さんが還暦だってことでまた再結成してたりする。もっとも他のメンバーはとても還暦とは思えないルックスなんだが、しっかりと超えているのだ。記憶に新しいサンハウスの集大成ボックス「THE CLASSICS/SONHOUSE~35th anniversary~」もリリースされたし、もう過去の遺品で…ってことではあるけど、そのリリースに毎回喜んでいる人も多いはず。そして今回はその再結成劇をさっさとDVD+CD「金輪祭」でリリースしてくれたので取り上げてみよう。いや、リリース前から予約してリリース日には手にしていたんだけど、レビューするタイミングを逸していたんだよな、これ。だから今登場♪

 タイトルがカッコ良い。

 「金輪祭

 だもんね。これまでのアルバムもそうだけど日本語のセンスが最高にイカしてる。それだけでロックを感じるよ。DVDの方はさ、生ライブ見た人は足りないっていうかもしれないけど、映像を見る人間からしたらとにかく凄いエネルギーでぶっ飛んでる。これこそロックンロールの迫力と熱気。本物なんだよな、サンハウスってさ。鬼平のドラムがこれまた凄くスコーンと抜けてて良いんだ。プロ活動していないのが勿体無いくらいのドラムセンスと音。だからこそこれだけのメンツとライブやっても違和感ないしギャップもなくサンハウスの音出せてる。ベースの奈良さんはもう今でも現役のミュージシャンで著名バンドばかり渡り歩いているので知られているんだろうけど、滅茶苦茶若く見えるのが凄い。でも、サンハウスのオリジナルメンバーでここから出て来ているんだ。鮎川さんはややギターの腕前が落ちた気がするけど、やっぱりロック。音もキレも違う。存在感も圧倒的。しかし、それら全てを包括してもサンハウスというバンドを体現しているのはやっぱり菊さん。栄える人だよなぁ、ほんとに。しかも他でやってる時とは全然違うくらいに生き生きとしてて若返ってるし。すげぇや、この人達。

 DVDが恵比寿のライブをメインに据えたもので、CDは博多のライブまるごと収録したもので、それぞれ似通った曲はやってるけどそこはナマモノなので楽しく聴けるってなもんだ。東京での気合と地元での気合…博多じゃ伝説だしね。とにかくハイテンションなライブが二種類、しかも還暦前後の爺さん達のライブだよ。すげぇな…。これからもサンハウスは何かと話題を振りまくだろうけど、多分その度に自分のロック魂も復活するんだろうな。原点です、このバンドは♪



Dead End - Metamorphosis

Dead End - METAMORPHOSIS (2009)
METAMORPHOSIS(初回生産限定盤)(DVD付) INFERNO(DVD付)【初回限定生産盤】
METAMORPHOSIS METAMORPHOSIS Dead Dead End (Live)

 突然の再結成劇で往年のファンどころか伝説と化していたことから幻が現実に見れると喜ぶ新しいファン層をも巻き込んだDead Endの再結成。今や日本の伝統文化とまでなっている感のあるビジュアルロック系バンドの元祖とも言われる面もあって、まぁ、新たなファンも巻き込んでいるようだ。自分的にはリアルタイムバリバリでDead Endというバンドを知っていたので感覚がまるで異なるんだが、単に再結成として驚いたっていう方が大きいかね。

 2009年に新作…、正に22年ぶりとのことなんだが、新作「METAMORPHOSIS」をリリースしたのだ。新作をレコーディング中ってあたりに確か夏のライブイベントに出ていて、驚いたし、その新作「METAMORPHOSIS」ってのも気になって気になって結構待ち遠しかった。ただ、Dead Endって現役時代の最初のインディーズの頃とメジャーになってからどんどんと作品が透明化していったので追いかけなかったんだよ。もっとヘヴィで重いのとか深いの聴いてたからどうしても透明系ってダメでねぇ…。だから自分的にはDead Endが解散したって云うのを知った、という瞬間がない。いつのまにか消えていたっていう感覚で、作品も目にしなくなってたから。かといって古い作品を何回も聴きまくったかっていうと、そうでもなくってGastunkとかの方に行ってたからどうにも中途半端なDead Endってのはあまり手に取らなかった。ただ、周りは好きなの多かったかな。歌声が歌っていう人でもないのでイマイチよくわからんかったんだよ。それはこの新作「METAMORPHOSIS」を聴いてても思うけど、歌が上手いとか云々って人じゃないんで、いわゆるメタル系ボーカルってのとは違う。確かにどっちかっつうとビジュアル系的にナルシスト風に歌ってるってのかな、ボーカリストってんじゃなくて表現者、かな。ま、いいんだけど。

 その「METAMORPHOSIS」はね、話題性もあって聴いたんだけど、自分が知ってるDead Endの音が最初から出てきてすんなりと馴染めた(笑)。ただやっぱり歌はこういうもんか…っていうのは変わらなかったけどね。いや、キライじゃなくて楽しんでるけどある種独特の存在ではあるなぁと。ただ、歌詞の世界が相変わらずおかしい…おかしいって言うと誤解があるだろうけど変。難解ってのと深いってのもあるけど言葉的に遊べているっていうか、歌詞に重きを置いているけどその実歌詞の創作に重きを置いている傾向があって歌詞そのものじゃないんじゃないかと。ワケわからんこと言ってるか(笑)。まぁ、よくわからん歌詞の世界がカッコ良い世界観なんです。そして音がもうギターのYouさんとのままの世界なんだろうけど、オシャレ。センス良いよ、ホントに。だからうるささは全くなくてクールでモードにカッコ良い。それがDead Endの世界感で他にはない所。だからビジュアル系がこの世界観を共有したくて、よりも更に進化してナルシストの境地に進んでいったのがわかる。

 う~ん、カッコ良いなぁ…。大人になってコレ聴いたら結構良さがわかってきたかも。ってかDead Endの世界ってどこか触れてはいけない世界だったのかもしれないが故に今は理解できたとか…。妖しいってのかね、どこか触れられなかったもん。




Gastunk -Deadman's Face

Gastunk - DEADMAN'S FACE (2010)
DEADMAN'S FACE ARISE AGAIN TOUR_2010 [DVD]
DEADMAN'S DEADMAN'S FACE 51percent Son Of A Bitch (Tatsu)

 往年のバンドのリバイバルという傾向は欧米に顕著ではあったけど日本のバンドでもそう云う風潮はもちろん出てきていて、久々の再結成ライブだったりオリジナルメンバーに依るアルバムリリースだったり結構色々なバンドが騒がれたりしている。自分の趣味的にもそういう情報がいっぱい入ってくるし、近い中ではBowWowの再結成ライブってなことで巷では盛り上がっているし、それを云うならEarthshakerやLoudnessなんてのはもう今では普通にバンドとして機能している状態。インディーズの世界へ行くと話題性があったのはDead Endの再結成で、まさかという感じではあったがしっかりとライブで印象づけた感がある。そしてガスタンクの再結成も何度となくイベントはあったもののここのところきちんとライブをやったりしている中で新曲3曲のシングルをリリースしてきた。もちろんリリースされた当初から聴いていたのだがブログ登場するのが遅れ遅れだったのでせっかくの機会に♪

 Gastunkが2010年6月にリリースしたシングル「DEADMAN'S FACE」で、メンバーはセカンドアルバム「UNDER THE SUN」の頃の面々によるもの。最初はさぁ、あのハードコアパンクで一世を風靡したバンドの再結成自体がどうよ?ってな感じだったし、でも見たら滅茶苦茶カッコよくて、再結成がどうとか関係なくてバンドのパッションはそのままなんだなっつうことで気にしてて、今でも気にしてるけど(笑)。ただ、それはライブでの話で、新曲となったらどうんあんだろ?ってまた不安があったワケですよ。それがね、またまた良い意味で裏切られてしまって、こんな風にGastunkっていう名前に相応しい音を出してくるとは…ってさ。それくらい今では昔の曲と同じくらいに馴染みのある音として聴いています。

 一曲目のタイトル曲「DEADMAN'S FACE」では往年のBakiのシャウト…これがさ、時代を超越して変わらない歌い方と声でさ…やや日本語がはっきりしてしまったってのはあるけど(笑)、何とも言えないダミな声とハイトーンと…、これだよコレ、Gastunkってばさ。んで、どっからどう斬ってもGastunkっつうサウンドでハードロックでもパンクでもないハードコアなハートフルメロディサウンド。いいよいいよ、これ。二曲目の「Cold Blood」もこれまたGastunkらしいハートフルメロディと展開と盛り上がりを魅せるバラードじゃないんだけどメロディアスな聴かせる系な音。Gatunkって結構そういう曲多いからこれもまたしっかりと馴染んでしまったサウンドです。いや~、Tatsuのギターもしっかり個性を主張しててやっぱ面白いバンドだ。見事。そして3曲目…、これがGastunkとしては有り得ない音。何せレゲエリズムでBakiが日本語のリズムを歯切れよく歌ってるみたいな感じだしね。ベースのBabyが今ではレゲエバンドをやっているってことから、そしてメンバー皆がレゲエ自体をそれほど嫌いじゃないだろうし、パンクとの精神が似ていることもあってすんなり出来たんだろうなとは思う。まぁ、Tatsuがやや逆らっていたんじゃなかろうかと推測できるんだが、まぁ、しょうがないってとこで…、多分ね。しかし、これがGastunkってのがありだとするとさ、今後ももの凄い幅を見せるバンドになるんだよな。

 もうね、自分くらいになってくるとGatunkはこうじゃなきゃ、っていう概念もあるけど、それと同時にどんなバンドに進んでいくんだろ?っていうのもひとつの興味なんです。だからレゲエフォームでもいいかと。ただ、あの熱い燃えるようなライブの質とは異なるんだからそれは捨ててほしくないなぁ。やっぱりハートフルメロディで攻撃的なスタイルであってほしいもん。ま、だからシングルの、昔で云うB面にこういう実験曲が入ってるんだろうけどね。それも含めて「DEADMAN'S FACE」をもの凄く聴いて聴いて聴いて、Gastunkの新作を楽しんでました。もちろん往年のアルバムも聴き直してね。もうじき今やってるライブのDVD「ARISE AGAIN TOUR_2010 [DVD]」もリリースされるみたいなのでこれもまた楽しみ♪



Light Bringer - Tales of Almanac

Light Bringer - Tales of Almanac (2009)
Tales of Almanac(テイルズ・オブ・アルマナック) Midnight Circus(ミッドナイト・サーカス)
Midnight Midnight Circus

 自分のロックブログの中で「萌え」という言葉が使われることがあるとは思わなかったが、正に「萌え」な世界からメタルへと乱入して見事に「萌え」心を奪い去っていったとも云えるLight BringerのFuki嬢。そのきっかけはセカンドアルバム「Midnight Circus」に大いにあるワケで、それ以前のアルバムや楽曲だけならそこまでハマり込む人も多くなかったんだろうなと思う。でも実際に「Midnight Circus」では「萌え」という世界から力強いメタルシンガーへと変貌し、ただでさえテクニカルなバンドの音に突き抜けた感を植えつけて正に快進撃、と言わんばかりのアルバムを作り上げている。

 そんなLight Bringerの最初のフルアルバム「Tales of Almanac」をご紹介♪まぁ、色々とシングルやミニアルバムってのをリリースしていて、それでも今のところ、そうセカンドアルバム「Midnight Circus」に於いても多分これ自主制作レベルなんじゃないか?レーベル名がLight Brinerの略称ラブリーになってるワケだから…。ま、その大層なセカンドアルバム「Midnight Circus」はここのところ文句なしの最高傑作ってことで良しとして、ファーストアルバム「Tales of Almanac」はモロに自主制作そのものだ。サウンドプロダクションからしてもチープな感…っても普通のアマチュアレベルは思い切り超越しているんだけど…、それはもうバンドの力量に尽きる。そしてこの時代まで…って、セカンドアルバム「Midnight Circus」との差が一年くらいしかないんだが、ボーカルのFuki嬢は「萌え」な声と歌だったのだ。今プロフェッショナルな歌声になってしまったFuki嬢がこの時のような歌が歌えるのかどうか疑問ではあるが、ここまで変わってしまうと面白い。このころの方が大好きだ、という草食系男子も多いのだろうが、ま、好みは色々ってことで…。

 正直言ってセカンド「Midnight Circus」を聴いてしまっているので、ファースト「Tales of Almanac」での曲は割とちゃっちい音に聴こえてしまうんだが、楽曲レベルでの差はそれほど大きくないんだろうと思う。メロディアスな面とロックな面のバランスがどうなのかってことだけだろうから。それよりも音の作り方や歌の違いによる印象の違いが大きい。今の力量でこのファーストアルバムをメジャー作品として再録してリリースしてみたら一体どうなることだろうかという興味がフツフツと沸き起こるんですがねぇ…。まぁ、それよりも新しい曲に進むんだろうけどさ。でも、これまでも同じ曲を何度か再録してその度にクォリティ高いものに仕上げているんだから是非是非って感じですね。

 実に久々に新しい日本のバンドを聴いてハマってます。そもそも日本のバンドあんまり聞かないし、テレビでも見ないからどんなのがあるのか知らないけど、人づてに教えてもらったLight Bringerはホントに凄い。世界観も音も歌詞もテクも全部。売れまくっていくのも面白くないけどもう少しメジャーになっても良いんじゃない、っていうか…、いいね。





追加:
2010/10/31 Light Bringer Live@国立音大
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Unsun - Clinic for Dolls

Unsun - Clinic for Dolls (2010)
Clinic for Dolls ジ・エンド・オヴ・ライフ
Clinic Clinic For Dolls The The End of Life

 結構色々な新譜がリリースされているんだけど聴くもの多くてレビューが追いついてないってのもある。まぁ、嬉しい話ではあるけどすっかり忘れてしまうバンドなんてのもあって、それはよろしくないよなと。尤も忘れてしまうくらいの音だったってのもあるかもしれないのだが、やはり音を作る苦労がある以上聴く側もそれなりにきちんと聴かないと失礼だろ、ってのもあって、一応きちんと聴いている、つもり。ま、心構えは少なくともそうありたい…(笑)。

先月末頃に結構期待されてリリースされたUnsunというバンドのセカンドアルバム「Clinic for Dolls」なのだが、ファーストアルバム「ジ・エンド・オヴ・ライフ」が2008年終わり頃だからまだ二年目くらいのバンドなのかな。ファースト「ジ・エンド・オヴ・ライフ」が出た当時はかなり好評を博していて、確かになぁ…なんて気もしたけど自分的にはやっぱりフェイバリットになるほどじゃなかった。でもまあ名前は記憶に残ってたし音も、ん?ちとのっぺりした感じのヤツね、って記憶もあります。ポーランド出身のバンドだったかな。ルックスがモロにお人形さん的でダークっつうかゴシックっつうのか、そんな感じだった。その路線自体は好きなので今回のセカンドアルバム「Clinic for Dolls」を聴く前からリリース情報を把握していたし、その前評判と期待もかなり高かったようだ。

 ところが実際「Clinic for Dolls」を聴いてみるとですねぇ…、全部一辺倒なポップなメタルらしい感じのする歪んだ音での音で、キャッチーなフレージングが耳を引くとか、引っ掛かるリフと音が…とかが一発ではなかなか聞こえなかった。アルバム45分ある意味素晴らしくも音の波と起伏を感じることなくアルバム一曲と言わんばかりのスタイルに驚いた。駄作と言われることもあるんで、実際そうなのかとも思う反面、これはもう狙ってこの音だろ、と。そう考えると駄作ではなくて「Clinic for Dolls」のタイトル通りお人形さんの治療ですよ。ボーカルのAya嬢ってルックスがお人形さんだし、そのサイドの人とご成婚したようで、まぁ、夫婦バンドなワケですよ。んでもってこの音だから狙ってこういう変化のない感情の見せ場のない音なのかと。別にギター歪んでなくても良いだろうし、ただ売り方としてこういう路線なのか?なんてね。

 見せ方は上手いと思うんだよね。だからジャケットもインパクトあるし、前評判の高さも良いし。しかしなぁ…、多分次に聴くことって考えられない、っていうアルバム。一応4回くらい聴きまして。えぇ、それでもダメでしたから(笑)。ま、ゴシックメタル界ってのは難しい世界なんでね、どんどん派生してってほしい部分ありますよ。



Taylor Swift - Speak Now

Taylor Swift - Speak Now (2010)
Speak Now Speak Now
(Normal CD) and (Deluxe Edition)

 ポップスを聴くことはほとんどなくって、それらしいものと言えばCorrsみたいにケルト風味かかったものか、マドンナくらいなものでここ最近のポップスなんてほとんど縁がない。多分ポップス自体は嫌いじゃないんだけど、最近のポップスってどこかラップ的だったりやたら攻撃的だったりデジタル三昧だったり昔のと違って聴きにくいからだと思う。ところがそんなの一切無視してアイドル的に普通のポップスとして売れないと言われていた割に滅茶苦茶売れてしまっているテイラー・スウィフトというアメアイ出身のカントリー(?)歌手ってのがいてですね、なんかで見かけて気になって聴いてみたらえらく気に入ってしまったんだよ。声だったり歌だったり曲だったり純朴さだったりPVだったり、まぁ、自然体ってのか、作り込まれていない感じで良いんだよね。本人も元々カントリーシンガーだったからデジタルやラップにはならないしさ。曲はポップスなんだが、これもまた聴きやすいしよろしい。そんなテイラー・スウィフトが3枚目のアルバムをリリースしたので早速ながら…。

 「Speak Now」というアルバムでこれまでの路線と大して違いはないし、超メジャーA級のポップスが詰め込まれているキラキラした作品集。もちろんスランプもないし声も艶やかだし可愛らしいし、文句の付け所がない。多分聴くか聴かないかという違いしかなくて聴いたらそれなりに楽しく聴けてしまうハズ。害にもならないので心地良いしさ。だから別にどの曲がどうとか良く知らないんだが、良質なポップス。もちろんシングル曲の出来映えは傑出していると言えばしているけど、どれもレベル高いからアルバム丸ごと楽しめるでしょ。そしてそもそもから不思議なんだけど、Speak Now (デラックス・エディション)とか普通のとか出ていてさ、そんなんで値段分けたりしなくても良いと思うけどな。何種類も出したほうがユーザーの好みを満たせるだろうってことなのか、複数購入ユーザーを狙ってるのか、単に余った曲を入れて出してみようというだけなのか、今の時代のリリースって難しいんだろうな。ま、本人は関係ない世界なんだろうけど。

 はて、自分は彼女のどこが好みなのか?今回また新作をたっぷりと…いや、しょっちゅう聴いてるんだけどさ、何で気にってるんだろ?って自分でも思うんですよ。まず、声質…、甘ったるい部分と歌の上手さのギャップですか。それとメロディーの流れ方…これはもうプロが書いてるポップスだから曲の勝利でしてね、テイラー・スウィフトも伸び伸びと歌っているから余計に気持ち良い。歌詞とかよくわからんから聴いてないけど、あとはもう軽さが良いのかもしれないね。こんだけ軽いのって普段全く聴かないから、っていう理由だけで好きなのもあるし。ま、やっぱ美人だし若いしっていう本能的なのもあるか(笑)。がんばり屋さんだろうなぁという姿勢も好ましい。

 …てな理由はともかく、新作「Speak Now」も十分に1年以上は気楽に聴ける作品として日持するんじゃないか?3枚合わせて聴けば結構な日持ちですよ。それこそがポップスの寿命だし、楽しませてもらいます。そういえばフジロックに来てたことでファンも増えたのかな?テイラー・スウィフトくらいだと日本での人気なんて全然気にしない気がするけどね。



Steeleye Span - Rocket Cottage

Steeleye Span - Rocket Cottage (1976)
Rocket Cottage All Around My Hat
All All Around My Hat The The Collection

 Blackmore's Nightを聴いているとヤケに英国トラッドの方向が聴きたくなるんだよな。元々秋の空にはトラッドが似合うので都度都度聴いていたりするし、現実自分のiPodにも今はたくさんトラッドが入っていて聴けるようになってるし。そんな気分にちょっと火を点けてしまった部分があるのでちょっとそっちにも走ってみたいな…とここ最近の定まらない秋の空のような気分で書き続けてます♪

 1976年にリリースされたSteeleye Spanという英国トラッドフォークの重鎮バンドの「Rocket Cottage」という作品で、これまた超マイナーな扱いになってるんですね。アマゾンじゃプレミア付きだし、つうかそもそも国内盤出てだのかな?CDでは出てないような気もするけどどうだろ?Steeleye Spanって初期は割と知られていてCDとかも紙ジャケで出てたりするんだけど以降はもの凄くマイナーな扱いになっちゃってさ、なかなか広がらないんだよね。勿体無いなぁ~と思いつつも、分かる気はするんだよ。重鎮の重さがなくなって、やや軽くなった節があるからポップバンド化してきたのが中期以降。故にロックファンからもトラッドファンからも割と敬遠されてしまいがちな時代なんですね。音楽性は全然この辺りの方が聴きやすいし、軽快だし一般的な音だから良いハズなんだが、それが身売りとも思えるのかもしれん。

 ところが実際に今の時代になってこの辺りのアルバムを聴き直してみると結構どころか相当良いんだ。Steeleye Spanの場合はアシュレー・ハッチングスが脱退してからドラムをバンドメンバーに入れてもっとポップで明るいトラッドに根ざした音を進めていくことになった。良くも悪くもハッチングスの重い英国伝統音楽へのこだわりから開放されたことで「All Around My Hat」のようなヒットチャートをも賑わす曲も出来上がり、新たなバンドの歴史を刻み始めたとも云える…ってかこっちのが有名なんじゃないだろうか?よくわからんが。

 なことで、1976年リリースの「Rocket Cottage」は同じ路線を正しく歩み、高尚な伝統音楽兼ポップサウンドっていう融合を果たした快心の作品なんだが、いかんせん音を手に入れるのが大変という今時珍しいアルバム。それもまた良し、か。秋には似合うバンドだし♪



Blackmore's Night - Autumn Sky

Blackmore's Night - Autumn Sky (2010)
Autumn Sky Autumn Sky
Autumn Autumn Sky

 リッチー・ブラックモア65歳にして父親になる、愛妻はそれでも40歳前くらいなので高齢出産ではあるよな。若い若いって言われていても40歳なら若くもないだろう、母親になるには、という意味では。しかしリッチー、やるな。往年のロックファンからはえらく評判のよろしくないBlackmore's Nightではあるが、自分的にはPurpleやRainbowよりも好ましい音世界ではあるのでこのユニットが長生きしているのは嬉しいね。もっともここまで続くとは思わなかったし、それはもう二人の付き合いも同じでこんなに続くとは…。

 先日リリースされた娘さん出生記念盤とでも云える「オータム・スカイ」という8作目のアルバムがリリース。レコーディング中には妊娠が判明していて娘に捧げるアルバムってことで二人してえらくハッスルして幸せな香りが漂うアルバムに仕上がってます。最初のコンセプト通りにリッチーがアコギだけでというようなこだわりは特になく、しっかりとエレキでの歪んだ音も鳴っているし、曲もポップよりの曲も増えてきているし今回の「オータム・スカイ」は実にそういう意味では売れる要素も聴きやすい要素もふんだんに取り入れられている結構な力作。個人的な注目はキンクスのカバーとなった「Celluloid Heroes」かな。ご存知キンクスの名曲中の名曲をどうやって料理するのかな、と。聴いてみると割と普通に、というかキャンディスの歌モノに仕上がっているので多分彼女のリクエストなんじゃないかな。悪くはないけど、まぁ、こんなもんか。

 それ以外は多種多様…、やっぱり幅は広いのでロックとトラッドとケルトの合いの子とでも云うように熟成されてきた感のある音世界で、良いわ。今回の「オータム・スカイ」は。躍動感もあるしロック感もあるし哀愁もあるし見事に音楽を知り尽くした人間の出す音って感じで偏見持たずに聴いたらかなり売れる音。リッチーだからという名前が逆に足を引っ張ってしまっているかもしれないな。英国産のロックとして聴いたらこれは面白いよ。キャンディス嬢は英国人ではないが…。意外と気に入った一枚です♪

 それにしても今回は日本盤も出てるみたいで、しかも日本盤ってこれはジャケット違うんだろうな。ヨーロッパ盤だとお城をイメージする情景で国内盤は旅をイメージすると言ったところか。ま、どっちもコンセプト的にはわかるんだがヨーロッパ盤の方がやはりスマートな気がするね。



Sharon Corr - Dream of You

Sharon Corrs - Dream of You (2010)
Dream of You テン・フィート・ハイ
Dream Dream of You Silver Aled Jones & Sharon Corr

 The Corrsがフルで活動している90年代終りから2000年代にかけて結構The Corrsを聴いてて、気に入っていた。3姉妹の美貌と音楽的才能による音楽性は実にポップでケルトでトラディショナルなもので面白かったものだが、女性陣主体というバンドの性格上、結婚出産というステップが3回もあるということはバンドとしての活動に随分と制約が出来てしまうことで、2000年代になってからモロにその影響が出てきてバンドは現在活動停止状態。まぁ、しょうがないんだろうけどね。そうすると忘れ去られて行くのもポップス界の常でして、すっかりとThe Corrsという稀有な存在はシーンから忘れ去られてしまった現在、ひっそりとアイルランドに戻って最初に結婚して今や2児の母となった長女シャロン・コアーが活動再開していたのだな。

 いつの間にか「Dream of You」というソロアルバムをリリースしていて、9月中旬らしいんだが全然知らなかった。ま、たまたま気づいたのでもちろん聴きましたよ。季節柄も丁度良くって、秋に似合う人なんだよ、このアイルランド系の音楽ってのはさ。秋から冬にかけてが一番しっくりくる。んで、期待を込めて聴きました♪もうね、素晴らしい。癒されるし美しいし。ポップだけどポップスじゃないから耳障りな音はないし、自然な音楽。ホント音楽ってこういうものだよな、と。ストリングスあったりギターあってり…、ギターってジェフ・ベックが弾いている曲もあってさ、これがまたぴったりと曲にハマってて素晴らしい相乗効果なんだ。美しい。見事。

 しかしシャロンの声ってこんなにアンドレアに似てたっけ?もっとスマートな声な気がしてたけど、こうやってソロアルバム聴いてるとやっぱりコアー一族の歌声なんだと思うもん。ポップス界広しと云えども、こういう音色と歌声を聴かせてくれる人ってなかなかいないので貴重です。別に宣伝して売るというものじゃないだろうけど、こういうのがないと高尚な楽しみができないですよ。「Dream of You」のジャケットの美しさシャロンの美しさ、音の美しさと自然の調和。如何に幸せに過ごしているかっていう証なのかもしれないな。

 バンドメンバーはコアーズ時代からのリズム隊の名前もあって、アイルランドの音楽好きがシャロンと一緒にやってますっていう気心知れた感じ。家族が参加していないのがちょっと残念だけど、こうして姉妹がそれぞれアルバム出したり活動してくれれば途切れることなくコアーズを楽しめるじゃないかと思ってしまうんで、どんどんマイペースで続けてほしいね。それにしてもホントきれいで美しいアルバム。しばらく毎朝の友になりそうな予感です♪



Aldious - Defended Desire

Aldious - Defended Desire (2010)
Defended Desire Deep Exceed (CD+DVD)
Defended Defended Desire

 しかしまぁ、これはやっぱり目立つ存在だ。簡単に言うとキャバ嬢みたいなルックスのお姉ちゃん達によるメタルバンド。ま、もともとメタルの世界ってのは綺羅びやかで派手な格好をしてステージをする、ある種幻想の世界だったワケだし、それはもうLAメタルが顕著だったワケでね、そういう解釈からしたら女性だけでバンドを組んでメタルという選択をしたら当然派手なドレスとか艶っぽい衣装でステージに出てくるってのは当たり前ではあるわな。男のメタルの衣装はああいうケバケバのもんだったけど、そこに入るんじゃなくて女性のもつ色気をメタルにしたっつうかね。しかし凄いのはそれが多分世界初の試みなんじゃないか、っつうガラパゴス文化日本の誇る進み方ってとこだ。

 こないだメジャー最初のアルバム「Deep Exceed」がリリースされたみたいだけどまだそっちは聴いてないのでとりあえずシングル「Defended Desire」の方ですが…、既にコレクターズアイテムと化しているのかアマゾンでは驚異的な値段が付いているのが凄い。んで、こんなジャケット見たら無茶苦茶目を引きつけられるワケでしてね、それだけで聴いてみたっていう部分は大きいもん。テクニックとか音とかそんなに期待してなかったしさ、どんだけ演奏できるんだろ?っていうか。でもまぁ、ここの所世界を聴いていても女性のテクニシャンとか増えてるから全然おかしくないんだけどさ。そんな物珍しさも狙っているだろうから、いいじゃないか、聴いてみよ♪って。

 聴いてみた…。簡単に言えばパワー不足。でもこれって音の作り方次第だからバンドとしての、って云うには誤解を招くので、置いとくと、う~ん、どこかのっぺり一辺倒な音なのかな、メロディがもちっと洗練されてくると違うだろうし、メリハリとかタテの躍動感とかそんなのがあると変わるのかもな。ただ、バンドのカラーとしてこういう路線ならなるほどっていうのはあるけど。関西系ってことなので昔のラウドネスやアースシェイカーみたいな部分ってどこかにあるんだな、って聴いてて思う。面白いね、そういう流れってさ。

 ルックスの独自性は見事なので今後音楽性のセンスをどこまで展開できるのか、女性らしいメタルっていう世界を確立できるのか、なんていう世界観を出していけたら強いんだろうなぁ、なんて思う。





カルメン・マキ - 真夜中詩集

カルメン・マキ - 真夜中詩集 - ろうそくの消えるまで - (1969)
真夜中詩集 - ろうそくの消えるまで - BEST&CULT

 寺山修司監修によるアーティストと言えばやはりカルメン・マキを思い出す。どうしてもハードロックバリバリのOZ時代が一番記憶に残ってて、大好きな時期なんだけど、その前に名前を聴いたのはやはり「時には母のない子のように」という暗い暗い歌だった。OZ時代と同一人物とはとても思わなかったので、え?あのカルメン・マキなの?と思って驚いてしまったもんね。そんな時代のカルメン・マキの作品集「真夜中詩集 - ろうそくの消えるまで -」です。

 「真夜中詩集 - ろうそくの消えるまで -」では寺山修司色が強くてカルメン・マキはその絵の上を歩んでいるという感じではあるけど、1969年という時代の成せる技でしかない、このアングラ色の強い赤裸々であるものの妙に絵的なアルバム。普通に聴くにはあまりにも暗いというか赤裸々というか作り上げられたというか40年もの月日が流れてしまった今聴くにはあまりにも前時代的。だからと言って作品の価値自体には全く変わりはなくて今でも純粋に純情に輝いている世界。人間ってこんなもんだよな、っていう暗さというか昭和の時代、1969年という時代を反映している。歌詞にも音にもセリフにも。そしてカルメン・マキというどこかシュールで幻想的な少女に対する憧れもピュアなままに反映しているから美しい。

 聴いたことある人はわかるんだろうけど、聴いたことのない人にはどんな世界?って思うのかも。バンドとかロックとかどうでも良くて、ムード歌謡的な側面ながらもあまりにも聴いていて恥ずかしくなるくらい赤裸々な歌詞、そして印象的な歌詞、響きやすい歌詞。真面目に追っていると分かりすぎる部分とカルメン・マキという人そのものじゃないかと思うような面もあって辛くなる。特にセリフ部分はね…。

 ハードロック時代は割と色々漁ったんだけど、その前の時代ってあまり追求してなくてさ、久々に流れで聴いたんだけど、他にも何枚かアルバム出てたりベスト盤「BEST&CULT」が出てたりするんだよね。カルメン・マキ好きなのに聴いてないや、自分。いかんなぁ…と思ってはいるもののこの世界に手を出すのはちょっと時間かかりそうだ。それよりも最近のジャズなマキさんの方が先かな、と思ってる。これだけキャリアが長くなってくると追いかける方もなかなか大変です。



浅川マキ - 浅川マキの世界

浅川マキ - 浅川マキの世界 (1970)
浅川マキの世界 CD10枚組BOX自選作品集【復刻限定生産】 DARKNESS I

 日本のロックって凄いな。どんだけアメリカとか英国とかかっこいい~って聴いてても日本語という表現による歌詞というのはダイレクトに耳に入ってくるから直結しちゃうもん。そこは音楽的に云々とかってよりも歌詞が頭を占めることが多いのだ。普段まるで歌詞を気にしないのは英語だからということなんだが、そこが日本のロックの凄いトコロ。ロックに限らず、だけど。それでいて音楽性は結構面白くて独自性を持った、今時の言葉で言うならガラパゴス的進化を遂げた世界なので、これもまた唯我独尊の世界なのでした。

 1970年にアルバム「浅川マキの世界」でデビューした浅川マキさんの訃報を聴いたのは今年の始めだったか、そんなに想い入れがあったワケじゃないけど、ちょっとショックだった。寺山修司さん関連の人で異質な世界観を持ったそれこそ独自の世界を繰り広げていた人だし、長い音楽人生に於いても媚びることなく自分のまま歌い続けて活動していた奇特な人でもある。その時ふとアルバム聴きたいな、って思ったんだけどなにせCDなんてリリースしていないに等しい人でして、この時代にそれでも愛され続けていた歌手ということ自体驚きではあるんだよ。だから単体でのCDがなくて、ボックスの初期10枚組みたいなのなら出ていたことあるらしいんだけどそれだって手に入らないからちと大変だった。ネットで探し回ったもん。そしたら今は復刻で出ているみたいなので無くならないうちに押さえておくべし、と。

 まぁ、そんだけ探して聴く価値はあったかと言われれば、それはもう人それぞれだろうな、と。時代的に1970年なワケで、そりゃまだまだ日本が成鳥していこうとしている頃の歌なんだから色々あるさ。しかも寺山修司さん発掘の歌手なんだから芸術志向の強いアーティストってことはわかるでしょ。カルメン・マキの最初期と似たような世界ではあるけど、多分浅川マキさんの方が暗さじゃなくてストレートに歌を出している感じ。ある種演歌に近い感覚でもあるんだろうけど、こういう歌詞の世界って音よりも全然自然に頭に入っちゃうから困る。良い曲ばかりです、ホントに。ロックとか何とかっていう次元は超越していて本物のロック。音じゃなくて世界が。だから聴いたら凄く気になっちゃってさ、結局何枚も聴いて深みに入っていくパターン。カッコ良いんだよ。こういうのが日本のロックとしてもっと主張していってもいいんじゃないかと。

 毎日聴く人じゃないけど、ふとした時に聴くには凄くハマり込める作品で、惜しい人を亡くしたものだ。それでもこの「浅川マキの世界」というアルバムを含めて初期の作品は永遠に語り継がれるであろう宝石のように光り輝いているアルバム。ゆっくりと時間を取ってレコードと向きあって聴いてほしい一枚ですね。

そして、遺作ともなったDVD「浅川マキがいた頃 東京アンダーグラウンドーbootlegg-」がリリースされていることを先程知った。これはまた…。

浅川マキがいた頃 東京アンダーグラウンドーbootlegg- [DVD]
EMI MUSIC JAPAN (2010-05-12)
売り上げランキング: 3289
おすすめ度の平均: 5.0
5 非常に価値の高い映像だと思います。
5 浅川マキさんの記録
5 夜、、、







金子マリ - Shoot The Moon

金子マリ - Shoot The Moon (1978)
Shoot The Moon ライブ We got to・・
Kanekonariyyu 金子マリ流
 マリア・マルダーの歌声聴いてて、ん~、何かに似てる感じなんだよなぁと記憶の彼方を漁ってるんだけど出てこなくて、もしかしてアレかな…それとも?などなど思い起こしていて、辿り着いた先がなぜか金子マリだったのだが…(笑)。聴いてみたら全然違ったので我ながら記憶のいい加減さに呆れた次第です…。ま、それでもいいか、と金子マリを聴き続けていたのでした。

 1978年リリースの「Shoot The Moon」で、スタジオ盤としてはソロ二作目となったアルバムのようだ。まぁ、金子マリっつうのは自分的にはRCサクセション絡みで知ったのが最初でして…、それも随分昔の話ではあるんだけど何だろ?RCサクセションの「カバーズ」だっけっかな?それともRCのライブをテレビで見ていたらゲストで登場して凄い歌を聴かせてくれていたのが先かな?何か、そんな感じで割と昔に金子マリっていう名前はインプットされてたけどなかなかレコード買うまでは進まなくてさ。ソロ作聴くのは随分後になってから。フュージョンとか好きじゃないからCharやスモーキーメディスンも聴かなかっし、そもそも日本のロック系って弱かったから通ってないし、そういう意味ではかなり奥手でしたね。なのでキャリア滅茶苦茶浅いです。ただ、聴いてみるとしっくり聴けるのは日本人の性だろうか、スルッと馴染んでしまったのでした…。

 そんな作品で、「Shoot The Moon」は名盤と呼ばれるライブ盤「ライブ We got to・・」の次にリリースされたスタジオアルバムで、相変わらず歌中心のソウルフルな作品だけどややフュージョン的な音ももちろん入ってきているニューミュージック的な扱いになっちゃうアルバム。けど、歌上手いから聴きやすいなぁ。演奏もベースは鳴瀬さんだし、鍵盤は難波さんだし、まぁ、玄人集団ですわ。だからそういうトコロに問題はなくてよく出来ている。アレンジも含めて流石に昭和の楽曲はレベルが高い。変に英語かぶれしていないのもある種のポリシー感じるし、日本語の歌ってこういうもんだろうな。ほっとする歌でリラックスできます。

 ん?マリア・マルダーとの相似点?リラックスできるところですかね。金子マリさんの方は日本のニューミュージック系列なのでちょっとアメリカのルーツミュージックってのとは違いますが…、誰のことを思い出したのかなぁ、あのリラックス具合の歌声…。




Maria Muldaur - Maria Muldaur

Maria Muldaur - Maria Muldaur (1973)
オールド・タイム・レイディ ポテリィ・パイ
Heart Sings Love Songs of Bob Dylan Naughty Naughty Bawdy & Blue

 エイモス・ギャレットという名のおかげで随分と懐かしい響きの音と歌声を持つアルバムに出会えてきた。もう1960年代後半からシーンで活躍していたというマリア・マルダーという女性が1973年にリリースしたソロとしては初めてのアルバム「オールド・タイム・レイディ」にエイモス・ギャレットはおろか、ライ・クーダーやドクター・ジョンなどなども参加しており、バターフィールドのベターデイズとほぼ同時期の作品なので同じくエイモス・ギャレットというギタリストを聴けるんだけどさ、これがまた渋いんだな。マリア・マルダーってのはジェフ・マルダーと元々夫婦で活動していたけど離婚しましたってことで、最初のソロアルバムらしい。バターフィールドのアルバムにも参加しているので離婚前の作品がベターデイズで離婚後がこのソロアルバム「オールド・タイム・レイディ」なんだろうな、なんて勝手に思ってますが。

 1973年リリースの「オールド・タイム・レイディ」。最初はさ、どういう音なのかな~とワクワクしててさ、昔だったらレコード買ってきてターンテーブルに乗せるまでの楽しみっていう感じ。ああいう感じのワクワク感って良いよね。デジタル時代になってからはそんなにないんだけどさ…、だって何でも手軽に聴けちゃうしさ。探してる時は何か、宝探しみたいにデータの嵐だけだし(笑)。ま、そういうのも含めてアナログの良さ♪いや、結局デジタルで聴いてるんだが…。

 昔だったらレコードに針を落として…と云う気分で聴いてみた「オールド・タイム・レイディ」だけど、いや、こういう世界か…。ブルースとかっつうか、アメリカのラグタイムっつうのかブルーグラスっつうのかカントリーっつうのかそういう軽やかで親しみのある、無理することのない自然な音色と歌声でリラックスして聴けるサウンド。そりゃライ・クーダーもドクター・ジョンも名を連ねるハズだわ。当時凄くヒットした「真夜中のオアシス」っつう曲も入っているってことでマリア・マルダーの名は一躍メジャーに躍り出たらしいけど、こういう音だったらアメリカ人好きだもんな。今でもアメリカ人ってのは結局カントリーフレイバーが入っていると国民的に受けるってのはテイラー・スウィフトなんかでも立証されてるしさ。

 しかしこの「オールド・タイム・レイディ」は心地良いなぁ…。好きかキライかで言ったら好きな部類。ただ、じっくりと何度も聴く部類の好きではなくって音が流れていたら好きだなと思う部類。気持ち良いから。こういうアメリカの音ってのはサラリと聴けるのが多くて良いよね。じっくり聴くのはじっくり聴かないとわからない音だからじっくり聴くんだよ、というヒネたスタンスがあるので(笑)。いや、そんなことは元より、この「」の軽さとリラックス感は他の国では絶対に出てこないアメリカ独自の音世界。しかもマリア・マルダーって無茶苦茶歌巧いし可愛らしい声だから全て許されるってトコあるもん。それでいてWikiに出てた写真を見たら凄く失望してしまったのだが…。

 うん、気を取り直して、「オールド・タイム・レイディ」の改めてこの軽さと乾いた質感は楽器がどうのとかギターがどうのとか云うものではなくって音楽的に好きなやつが集まって楽しんでる姿そのままというアルバムですね。



Paul Butterfield Better Days - Better Days

Paul Butterfield Better Days - ベター・デイズ (1973)
ベター・デイズ+3(K2HD/紙ジャケット仕様) ベター・デイズ
Better Better Days The Anthology

 エイモス・とジェフ・マルダーの来日公演が話題になっていた。そのおかげでよく名前を見るようになったのでちと食指が動いて引っ張り出してきましたポール・バターフィールドが1973年に心機一転してウッドストックに活動拠点を移して組んだバンド、Better Daysの最初のアルバム「ベター・デイズ」。

 アルバムジャケットにステータスとプライドとシンボルを感じるよね。たかがハープのアップの写真なんだけどさ、こんなにゴージャスなものなのかと言わんばかりに骨董品的に輝きを放っているところがカッコ良い。ところがその実自分的にはPaul Butterfieldってのは最初の二枚の作品、即ちMike Bloomfieldが在籍していた時代ばかりしか聴いていなかったので以降にはさほど詳しくない。いくつかライブ盤を聴いてたりスタジオ盤も聴いたりはしたけど何度も何度も、ってんじゃなかったんだな。なのでこういうきっかけで聴くのは結構面白いし楽しみ。

 1973年リリースの「ベター・デイズ」というバンド名になったファーストアルバム、かな。Mike Bloomfieldのようにギターが激しくなっているアルバムってんじゃなくて、エイモス・ギャレットって人のギターはかなり職人芸に近くて、メチャクチャ目立つギタープレイというわけではなくて要所要所のツボを押さえて味のあるギターをプレイする人ってことがよくわかった。だから若い頃にはあまりこちらの世界って聞かなかったという自分の未熟さもわかった(笑)。こういうギターの音がわかるのって結構時間かかるんじゃない?そうやって聴くとエイモス・ギャレットというギタリストに最初から着目して聴いていた人達って凄いなと思う。アルバム全編聴いててもハープの派手さが先に耳に付くし…、そりゃバターフィールドのアルバムなんだから当たり前なんだけどさ、それと確かにジェフ・マルダーのピアノとかは目立つな。

 そういう力量よりもさ、曲の良さと云うかカバーのセンスというのか…、「Walkin Blues」こそが自分の指標なんだと言わんばかりに再度Better Daysでも録音して「New Walkin Blues」って違うアプローチでやってるし、「Please Send Me Someone To Love」なんてカバーもブルースという枠から離れたソウルバラードだしね、それよりもB面の怒涛の楽曲が凄い。マディ・ウォーターズでロックファンにもお馴染みの「Baby Please Don't Go」からジャニスのキャッチコピーによく使われる「生きながらブルースに葬られて」、そもそもニック・グレイヴナイツの曲でジャニス用だったけど未完の作品になってしまったので同僚のバターフィールドがここで取り上げたもの。ジャニスのは歌なしだけどこちらはもちろん歌もハープも入ったものでしっくりとハマってるね。そして「Nobody Fault But Mine」はZepので有名だしDylanも取り上げてたりする割とその筋のブルース好きにはウケの良い曲で、原曲に忠実な感じ。そして最後の「Highway 28」ではバンド全員のアグレッシブなジャムをそのまま曲にしましたと言わんばかりの激しいジャミングプレイが素晴らしくて、熱く燃えてくる。ここまで枯れた感じとアメリカの土着的なサウンドを聴かせてきたのに最後の最後では白熱したセッションですよ、やっぱりこういうのがいいねぇ。

 そんなサウンドの歴史を記録したBetter Daysのライブ盤「ベター・デイズ」も是非是非聴いておいてほしいところ。



Bob Dylan - Real Live

Bob Dylan - Real Live (1984)
Real Live Highway 61 Revisited (Reis)

 ロン・ウッド…、そしてTwitter側ではちょっと前にボブ・ディランの話もあったりしてそういえばライブ・エイドでロン・ウッドとキースとディランが三人でフォークギター持って出てきたなというのを思い出して、更にディランのギターの弦が切れてしまって、ロン・ウッドが間髪入れずに自分のギターをディランに差し出したという感動的なシーンが脳裏をよぎった。今ならそんな回想もYouTubeで瞬時に思い起こせるだろうから良い時代だ。

 そして一方でやや話題になったのがディランの1984年のヨーロッパツアーを収録したライブアルバム「Real Live」です。自分的にはディランってそんなに詳しくないのであまり書けることもないんだけど、ファンの間では割と評価の低いライブアルバムのようで、その理由にディランの覇気がないとか標準的過ぎるとか言うのもあって、どんなんかな~なんて思って聴いてみた。ミック・テイラーがギタリストとして参加しているってのも興味あったし、最後に「Tombstone Blues」でサンタナがギター弾いてるってのもやや興味深かったし。やってる曲も「Highway 61 Revisited (Reis)」からの曲が多く入ってて自分も知ってる曲だし、とっつきやすそうだ、ってのもあったしさ。つまんなきゃつまんないでしょうがないか、と。

 ところがどうした、「Real Live」のどこが駄盤だ?最初の「Highway 61 Revisited」からしてディラン節全開で凄いじゃないか。「Maggie's Farm」が続くってのも良いし、それも結構な迫力とミック・テイラーのギターが良い按配に泣いているのも単なるがさつな楽曲と歌になりがちなディランに華を添えているようだ。あまりにもかけ離れたミック・テイラーのギターの美しさが結構際立つ。マイク・ブルームフィールドのアメリカンなブルースギターとは大きく異なる華麗で繊細なミック・テイラーのギターが浮いてるっちゃあ浮いてる。でもかなり弾きまくってるのは珍しいのかもしれない。

 それにしても1984年か…、ず~と変わらない音楽スタイルだったんだろうなディランって。80年代の真っ最中のアメリカ人なのにコレだもんな。真のロックンローラーなんdなろうと思う時がある。歌は大して上手くないし、音幅だって大したことなく投げやりな歌い方は呟きにも聴こえるくらいだし。ただ、それでもカリスマになってしまうのは歌詞の素晴らしさもあるだろうけど、真に迫ったパフォーマンスが本物だからだろうね。そろそろディランという世界にハマってみたい気がしたライブアルバムでした。それでも評価が高くないんだから一体ホントはどんなんなんだ?





Rod Stewart / Faces Live - Coast To Coast

Rod Stewart / Faces Live - Coast To Coast (1973)
ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ Faces Box: Five Guys Walk Into a Bar
The The Best of Faces: Good Boys.

 やっぱりこの辺の人脈で一番なのはFacesに尽きるだろ、ってことでFacesを聴く。しかもファーストから一気に順番に聴いたんだがバンドってのは面白いものでアルバム聴いてるだけで上り調子なのか下り調子なのかってのもわかってしまうもんなんだな。それぞれのアルバムについては既にブログで結構書いているので繰り返さないけど、今回はその続編ってことでこれまであまり積極的ではなかったライブアルバム「ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ」に出てきてもらいましょう。ロニー・レイン繋がりで来たけど実際にこの「ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ」に参加しているのは既にフリーから流れてきた山内テツさんでして、ロニー・レインじゃないんだけど、まぁいいじゃないか。唯一全盛期70年代英国ロック界で活躍していたサムライジャパンなのだから。

ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ」は1973年のツアーでのライブを収録した一枚で山内テツが参加したFacesのアルバムとしては唯一の作品。ライブ盤だから故にロニー・レインの面影なくとも全然ロックンロールを繰り広げることのできたFaces我流のパーティライブ。正直に言えばこのくらいの楽曲とライブならベーシストは誰でもよかったのかな、とも思うけど、これからってとこだったのかな。もっと活躍してほしかったテツさんです。ただまぁ、しょうがないかね、この辺の流れは。全ての要因はロッドにあるんだが(笑)。

 そんな戯言はさておき、「ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ」のロックンロールなライブは間違いなくロックの名盤ライブに挙げられること間違いなしの躍動感と臨場感。チープな音とも言えるけどステージの熱気と楽しさがありありと伝わってくるもんね。ロン・ウッドのギターも結構派手に弾いているし、ロッドはもう普通に歌ったってアレだしさ。Facesとロッドってどっちも同じ面々でのレコーディングだったからというのもあってか、ライブではロッドのソロ曲もFacesの曲もプレイしているのが面白くて、最初はなんだこれ?なんて思ったけどやってる側からしたらそりゃそうだよな。おかげでロッドの初期の素晴らしい作品も聴けたし、それこそFacesだし…。「ロッド・スチュワート & フェイセズ / ライヴ」でもロッドの曲も入ってるのが面白いし、ただ、ライブだからやっぱりFacesになってる。ここまでご機嫌なロックンロールを奏でられるバンドって実は少ないんだよ。ホントにFacesとStonesくらいじゃない?カバー曲も自作曲なにも全部ひっくるめて楽しんでるし、いいなこういうの。全くご機嫌になるサウンド♬



Ronnie Lane - Anymore for Anymore

Ronnie Lane - Anymore for Anymore (1974)
Anymore for Anymore ロニー・レイン&スリム・チャンス+3(紙ジャケット仕様)


 ロニー・レインがフェイセスを離脱した背景にはロッドとロンによる酔いどれR&Rバンドの傾向が強くなりすぎて自分の求める音楽像からかけ離れていってしまったことだろうか。ロッドの作品なんかを聴いているとロニー・レインが参加しててもおかしくないと思うのだけど、派手なショウマンシップな世界を好まなかったのかもしれないな。フェイセスの中ではちょっとインテリジェンスな雰囲気を出していたからさ。そんな事でさっさと人気絶頂だった1973年頃にフェイセスから離脱。即座に自分のやりたかったアメリカンスワンプ、パブサウンド的なものに着手。その傾向はフェイセスの「ウー・ラ・ラ(紙ジャケット)」で顕著に表れているのでわかりやすいんだけど、もっと推し進めた自身の趣味の世界といったところか。

 1974年にリリースされた名作「Anymore for Anymore」でロニー・レインがやりたかった自分の世界をアピール。なるほど、ここまでアメリカスワンプな世界にどっぷりと浸かりたかったのか、ってくらいにパッと聴いているとアメリカなサウンド。ちょっと知ってる人だと英国人が奏でるアメリカスワンプへの情景ということに気づくだろう。それは英国のパブロックにも通じる話だけど自分的にはスワンプですね、これ。驚くことに英国的な人脈の繋がりってのがあってさ、バンドの名はスリムチャンスなんだが、その面々にはギャラガー&ライルの参加、またBlossom Toes…英国の60年代末期に出てきたサイケデリックロックバンドのメンツなんてのも参加していて、同時代のバンドの連中だからSmall Faces時代からの知り合いなんだろうなぁ、とどこか黄昏てしまう。そんな音楽ってのもあるが。

 「Anymore for Anymore」ってホントにリラックスしまくりです。ロックとかいう世界で聴くのじゃなくて音楽としてリラックスして聴くものでさ、力の抜けた作品。一時期のクラプトンなんかも似たようなトコロあるけど、ロニー・レインも色々と疲れたんだろうなぁ、なんて。単にこういうのがやってみたかったってだけかもしれんが。秋のウチに何度も聴くとかなりの名盤なんだなってこともわかってくるような作品。自分ではやっぱりそんなに熱心に聴かないんだけどハマる時にはハマる、そんなアルバムだね。あるb無っつうかロニー・レインのソロになってからの作品って大体そういう音だから。

 しかし…CD凄いことになってるな(笑)。ボーナストラックの豊富さは嬉しいとしても発売数量が少ないのは問題だろ、このアマゾンの価格は。こういうのが稀少盤として狙われやすいんだろう。



Pete Townshend And Ronnie Lane - Rough Mix

Pete Townshend And Ronnie Lane - Rough Mix (1977)
Rough Mix Rough Mix

 ロニー・レインの人柄の良さもまた人脈を広げて様々なセッションが聴けるんだが、その象徴的な出来事といえば今や幻のA.R.M.Sコンサートでしょうかね。三大ギタリストの共演なんてのが話題になって他にもStonesな面々とポール・ロジャースやウィンウッドとかアレコレ…、話題の三大ギタリストの共演は興醒めな演奏だったもののイベントそのものは大成功の企画。これこそロニー・レインの人柄の良さを象徴しているワケですな。そんなことでロニー・レインのもうひとつの有名な共作アルバム「Rough Mix」です。

 1977年にリリースされた今度はピート・タウンジェンドとのジョイントで…、と言っても実際に共作品は一曲程度で一緒に歌ってるのですらほとんどないという、正にお互いの曲を持ち寄ってひとつのアルバムにしましたという感じの作品。どうやらロニー・レインがレーベルとの契約上でアルバムを一枚完成させなければいけなかった、との事らしく当時はThe Whoだったピートも後には世話になるATCOレーベル絡みもここら辺からか。

 この作品って結構不思議でさ、またまたゲスト陣が豪華でチャーリー・ワッツのドラムでピートの曲、とかクラプトンはこの頃アル中でピートと親交が厚かったので結構な曲数で参加しているし、それも相当リラックスしたギターを聴かせてくれる。そもそもロニー・レインの作品はアメリカスワンプ的だし、クラプトンもアメリカサザンに傾倒していた後だから枯れた感じがお互い良かったのだろう。ピートの作風はこの頃既にThe Whoに対するものとは異なったソロ傾向の強い曲ばかり。どうも世間的には相当評判が高く、またピートも今でもソロでここからの曲を数曲演奏するくらいだから気に入っているのだろう。もしくはロニー・レインへの敬愛からかもしれないけど。自分的には気持ちはわかるけど何回も何回も聴くものではないな。やっぱガツンとロックしていてほしいから。ただ、心地良いのは確かだし、秋には癒される音だな…。

 「Rough Mix」のジャケットって実はピートとロニーが映っていない細かい絵だけのヤツがオリジナルで、その後何のアルバムかわからないって言うので二人のショットを入れたのがジャケットになっている。確かにこっちのがポートレートアルバムっぽくて良いかなって気がするけど、そこまでこだわるものでもないか。しかし英国人によるアメリカへの羨望を音にするとこうなるんだな、みたいな感じ。しかも寄ってたかっての面々でのプレイだし。



Ron Wood & Ronnie Lane - Mahoney's Last Stand: O.S.T. (1976)

Ron Wood & Ronnie Lane - Mahoney's Last Stand: O.S.T. (1976)
Mahoney's Last Stand: O.S.T. Mahoney's Last Stand: O.S.T.
 ロン・ウッドって人柄の良さが顔に出ているし、こういうロックンローラーもそうそういない人。ギターが好きで酒が好きで女が好きで、でも良いヤツ、っていうのでさ、日本的な不良からのロックンローラーっていうんじゃない、もっと本当に心底天然のロックンローラーっつうか…、ハチャメチャ小僧だったんだろうな。そんなロニーってジェフ・ベック・グループからFaces、Stonesって流れる人なんだけどその間に絡んだ人脈全てと仲が良いままってのもこれまた人柄の良さか。そんな関係での共演盤となったロニー・レインとの作品をご紹介。

 1976年にリリースされた「Mahoney's Last Stand: O.S.T.」という同名映画のオリジナルサウンドトラックらしいが、映画自体は見たことないしほとんど話にも聞かないので非常~にマイナーな作品らしい。大体ロックミュージシャンがサントラを担当した映画はあまりヒットしたのを聞いたことがないのでそんなもんだろう。ロニー・レインがそのオファーを受けたのが1972年頃のことらしくて、音楽的センスの高かったロン・ウッドと…、当時まだ二人共Faces在籍中なのだが、その時点で曲を作り上げていた作品。映画の公開が遅れたことでアルバムリリースも1976年になったっつうだけらしい。

 そんなサントラなので中味はほとんどインストもの、これもまた思い切りアメリカスワンプした楽曲が多くて気怠いな~っつうトコロ。ロン・ウッドのスライドがいつもと違ってドブロ的ってのもアメリカンブルースを意識した感じ。ロックナンバーなんてのはほとんど入っていないに等しいアルバムだけど参加ミュージシャンは見事なものでFacesのロッド以外の面々とBobby KeysやMicky WallerやPete Townshendという面々。ロニー・レインの人脈も見事なものだ。

 その割には特にロックらしい音でもなくカントリーチックなサウンドばかりで特段二人の個性とか豪華ゲスト陣営の音楽性が発揮されているようには感じないのがちと期待外れ。ま、そんなもんか。そしてこの「Mahoney's Last Stand: O.S.T.」という作品、ジャケットの種類も豊富で何枚も出ている。昔は見つける度にこの二人で何枚もアルバム出してたのか?と誤解していたが全部同じ「Mahoney's Last Stand: O.S.T.」だったのだ。デニムシャツのジャケットが最初だったな。



Ronnie Wood - I Feel Like Playing

Ronnie Wood - I Feel Like Playing (2010)
I Feel Like Playing 俺と仲間
I I Feel Like Playing (Digital Bonus Version) Ode Ode to Ronnie

 「ロックンロールはブルースから生まれた子供さ」とは良く言ったものだが、正にそんなことを実感させてくれるバンドというものも今ではそれほど多く記憶されていないかもしれない。ココのところ世間を賑わせているストーンズは別格として、その他って?となるんじゃないだろうか?もっともオールドロックファンならいくらでも名前が出てくるんだろうが(笑)。とは言え、ココのところ聴いていた女性ブルースシンガー達は一度ロックのフィルターを通したブルースを元に自身達のオリジナリティを加えてアウトプットしているということからするとあながちロックンロールはブルースの子供、というだけではなくなってきているワケだ。進化系は難し話になるな。

 そういえば先日何かでHowlin' Wolfの生まれ年は1910年だと書かれているのを読んで、ちと待て、それは今から100年前ってことだよな?そりゃそうか、と思うのだが今でもHowlin' Wolf達の偉業はStonesなどを経由してしっかりと残されているワケで、そう考えるとロックの歴史も深くなってきたものだと実感する。

 前置き長くなったけど、そんなロックンロールを素のまま体現しているロン・ウッドの新作「I Feel Like Playing」をね、聴いててそんなことを思ったんですよ。ま、ただ単に何も変わっていないロニーのロックって良いな、って♪最初聴いた時はなにやら気怠くて締まりのないアルバムだなぁ、なんて思ってあまり響かなかったんだよね。多分その頃はもちっとハードなのを聴いてたからかもしれない。ところがちょっと気分が変わってブルース的なのとかを聴いてから聴いた「I Feel Like Playing」はこれでもかっつうくらいに心に染みた。その間にFaces聴いたのもあるんだが、基本的にロニーのギターは何も変わってない。昔のまま…言い換えると昔からロックンロールをマスターしていたってことだ。今回の「I Feel Like Playing」も別に音としてはR&Rじゃないのも多いけどさ、全体はR&Rな作品なんだよ。静かな曲やレゲエな曲でも。別に豪華なゲスト陣が必要だったワケじゃないし、売ろうと思ったわけでもないと思うから偶然と機会の産物なんだと解釈しているが、やはり主役が目立つんだ、とにかく。曲によっては何となくチャーリー・ワッツのドラムの方がいいな…なんてのもあったり歌もロッドだったらなぁ…って思うのがあって、ロン・ウッドに何を求めているワケでもないけど、何か自然体の酔いどれR&R野郎的なのを聴きたいんだな、きっと。

 昔からロニーのアルバムって大人のR&Rでさ、ファースト「俺と仲間」を聴いたのも随分昔の話しだけど、その頃から同じような音で、若い頃聴いて「やっぱ大人のロックってこういうものなんだな」なんて解釈して聴いてたし、今聴いても同じなんだから早くから大人だった人な解釈…大いに間違っているのだが(笑)。はて、ストーンズが盛り上がりロニーがこんなナイスな新作をリリースして世間を騒がせている。いいのかね、そんな時代で(笑)。



Carolyn Wonderland - Miss Understood

Carolyn Wonderland - Miss Understood (2009)

Miss Understood Bloodless Revolution
MissMiss Understood Bloodless

 テキサスはヒューストン出身のブルースウーマンと聞いたらやっぱり何かを期待してしまう。そしてその期待にしっかりと答えてくれるかのような迫力と魂でギターを弾いて歌ってくれるのがCarolyn Wonderlandというブルースウーマンだ。宣伝文句的には歌はジャニス・ジョプリンの再来、ギターはジョニー・ウィンターの再来と言われているくらいのもので、なるほど、と興味を示して結構最初の頃から聴いているアーティストです。そんな時に知らなかったんだけど、丁度9月の終わり頃に日本に来日してライブを各地で行っていたらしい。Webで探すといっぱいその時の感想が出てくる。それなりに日本にもファンがいるみたいなので喜ばしいね。

 そんなCarolyn Wonderlandの2009年の作品「Miss Understood」だが、既に90年代前半から活動していたCarolyn Wonderlandの遅咲きながらも代表作として名高い一枚となっているらしい「Miss Understood」だ。期待満点で聴いたんだよね。前評判と印象が良かったしさ、ジャケットがそのまま物語ってるじゃない?どんなシンガーなのかさ。んで聴いてみました。最初から小気味良いノリのシャッフルブルースでおぉっ!と気になるリフ。そして迫力満点のシャウトを聴かされてとりこになります♪ちょっとしたバラード的な曲では正にブルース…ジャニスを思わせる歌と自身のギターでちょっとスワンプ的なサウンドで聴かせてくれるのもテキサス出身の荒くれイメージとは異なる。でも、良いな。3曲目の「Bad Girl Blues」ってさ、どこかUncle Dogの「Old Hat」でPaul Kossoffと一緒にやってる曲を思い出させるな。マギー・ベルのね。正にスワンプバラード。いくつかのカバー曲もアメリカでウケるための選曲な気もするけど結構渋めのところからチョイスされているようだ。そしてCarolyn Wonderlandの歌声が存分に生かされているのが違和感ない。自分的にはオリジナルに馴染みがないから全然Carolyn Wonderlandの曲として聴いてるけどね。それでもリック・デリンジャーの「Still Alive And Well」はカッチョ良い♪

 歌の迫力があるから歌聴いちゃうけど、ギターも乾いたトーンで要所要所キメてくれるんだよな。歌と絡むので心地良いし、ライブだったら凄いワンマンショーになるんだろうな、そのヘンがジョニー・ウィンター的かもしれん。元気になるブルースだよ。曲によってはホーンセクションも入ってくるし、どんどんブレイクしてほしい未来を背負うブルースウーマン♪ココのところ脚光を浴びる出来事が続いているようで更に躍進する年になっているみたい。うん、いいね。







Sue Foley - Where the Action Is

Sue Foley - Where the Action Is (2002)

Where the Action Is Young Girl Blues
Where Where the Action Is Young Young Girl Blues

 秋の空に似合うブルースを聴き続けて…、しかもここのところ賑わっている(自分の中で)女性ブルースメンばかりを聴き漁っているんだが、これまた割と奥の深い世界でしてね、こんなに世界各国に様々なブルースウーマンがいるのかっつうのもさりとて、どれもこれもが一昔前のブルースのレベルを軽くクリアしているってのは、時代の流れか。中でも早くから注目されていたと言われているSue Foleyにスポットを当ててみます。

 SUe Foleyはカナダ出身の女性シンガー兼もちろんギター弾き、しかもピンクのペイズリーテレキャスメインだからなかなかおしゃれ♪イメージ浮かびやすいし…、ってそういえば随分昔にそんな女性ギタリストの写真を何かで見たことあるな、と思い出した。Sue Foleyだったのかもしれない。そんな彼女が「Young Girl Blues」でデビューしたのは1992年って言うから結構古い。女版SRVと言われていたらしいが、プレイを聴く限りはそんなでもないので、あくまでも宣伝文句なんだろう。

 はて、23歳くらいで出てきたようだけど、今回手にしたのは2002年にリリースされた「Where the Action Is」というアルバムで、何でって言われてもコレが若気のいたりと大人の境目になるアルバムみたいに書かれていたので、それくらいが良いのかな、なんて思って聴いてみました。結構ね、ここのところ女性ブルースに免疫出来てきたので、割と現代風にアレンジしたブルースってのを楽しもうって思うワケですが、全くその期待を裏切ることなく、ともすればブルースギタリストっていう側面を忘れてしまうくらいの比重ってのも問題だが、そんなアルバムだ。ストーンズの「Stupid Girl」のカバーだってへぇ~ってなモンだしね。

 ギタープレイよりもだね、Sue Foleyという歌手の歌声にちょっと新鮮さを感じだ。なんつうのかな、ボーカリスト、っていうよりもかなりラフで投げやりで可愛らしくて良い感じ。ジャニスみたいに熱唱なワケでもないけどポップスみたいに軽くは歌えない、でも声質は可愛いから…っつうちと中途半端な位置付けが妙なバランスを占めているんだな。普通にロックバンドでボーカルやってたらパンク系の流れにカテゴライズされるような投げやり感。いいんじゃない、これ、っていうトコです。ブルースギターの方は要所要所でしっかりキメてくれるし、もうみんな彼女の手腕はわかってるでしょう、って感じにしか弾いてない。それよりも多分曲の面白さに比重を置いたんだろと。その甲斐あって、レベル高いもん。「Where the Action Is」…新しい世界ではあるね。



Dani Wilde - Heal My Blues

Dani Wilde - Heal My Blues (2008)
Heal My Blues (Jewl) シャイン
HealHeal My Blues Shine Shine

 テレキャス持ってギター弾いて歌って、しかも結構なポップセンスと本格的なブルースセンスを持ちあわせて且つ、割と可愛らしいキャラっていうのも女の子なら受ける要素でしょ。ってことでまたまたそんなキュートなコが英国にいたのでちらっとご紹介♪

 Dani Wildeというまだ22~23歳の女の子だけど、これもまたキャリアはしっかりしているらしい。2009年にリリースされたピンクの綺麗な「Heal My Blues」という作品ではブルースギタリストという古臭い枠に囚われずに、昨今の流れからか結構明るくファンキーでポップで軽快に、しかもブルースハープあったりギターはメチャクチャブルーストーンのソロだったりと本物を本物だけで聴かせないで、売れる要素の中にしっかりと入れ込んで本人の価値を高めているというワザか。リズムも音もブルースなのに何か凄く新しく聴こえるポップファンクブルース。普通に聴いているとなんかちょっと違ってカッコ良いし、この女の子の歌も結構黒っぽくファンクに聴こえるからなかなか良いんじゃない?みたいな。んで、ギターソロ始まるとクラプトン並に風雨にブルースが感じられるソロだったりする…しかも本人弾いてるし。

 ところが「Heal My Blues」のアルバムを聴き進めて行くと次第にそのブルース臭さやファンキーらしさというのが気にならなくなってきて、結構なオールドロック的要素を含んだロックじゃないか、みたいに聴こえてくる。作り手の割り切りもあるんだろうけど、この爽快感はかなり変わった感覚。昨今の音世界ではこういうのも当たり前なのだろうか?それにしてもDani Wildeという女性の歌は快活で良い。それでいてギターも相当の音色で弾いてくれるから堪らんわ…。ブルースってこんなにポップになるのか、とマジマジと思ってしまう作品。かと行ってポップスではないから、クラプトンが作ったブルースロックの一般化がこうして反映されているのかもしれない。

 しかもアルバムタイトルは「Heal My Blues」だから、これまた入れ込んでるでしょ。そして今度リリースされるセカンドアルバム「シャイン」ではあのマイク・ヴァーノンをプロデューサーに迎えての制作らしいのでかなり期待できる。



Erja Lyytinen - Grip of The Blues

Erja Lyytinen - グリップ・オブ・ザ・ブルース (2008)

グリップ・オブ・ザ・ブルース ヴォレイシャス・ラブ
Grip Grip of the Blues Voracious Voracious Love

 北欧メタルの聖地とも言われるフィンランドはもちろんヘヴィメタルだけじゃなくって音楽全般に渡って懐の深い国だということらしいが、なかなか自分でもそれを感じることも多くはなくって、言われてみれば80年代からHanoi Rocksみたいなバンドが世界に出てきていたし、以降はもちろんメタル中心に世界を創り上げてきているのだな。だから今回紹介するErja Lyytinenみたいなブルースウーマンが出てきたっておかしくはない土壌はあるんだろうと思う。ギターとか音楽に接するチャンスが割とあるのだろうか?日本よりも多いのかもしれないね。

 そんなことでフィンランド出身のブルースウーマンギタリスト兼ボーカリストのErja Lyytinenが2009年にリリースしたアルバム「グリップ・オブ・ザ・ブルース」です。アルバムデビュー自体は2003年頃というからもう結構なキャリアを積んでいて、今回の「グリップ・オブ・ザ・ブルース」はその前にミシシッピに修行に出た後の作品ってことで本場の空気とサウンドを持ち帰った作品で大きく成鳥を遂げたとか。Erja Lyytinenの特徴はスライドギターにあるらしくて、こんかいも最初っから凄いスライドがグイグイと生々しく鳴っているので、そりゃもう聴けば一発でわかるだろ、ってなモンですが、かなりワイルドで良い感じ。ドブロでもちとヘンなテレキャスでもスライドを武器にグイグイと曲を制圧してくれるので頼もしい。もちろん通常のギターソロにしてもエモーショナルで線の太いトーンを聴かせてくれるのでいい感じ。ただ、何となく引っ掛かりが弱い部分があるかなぁ…、いや、ギター的にね。歌の方はもちろん情熱的に歌ってくれますが、やはりギターに耳が行ってしまってきちんと聽けてないかも…。収録されてる曲はこれもまたブルース一辺倒なハズがなくって多様なジャンルの曲をやってくれてますが、でもやっぱりこだわりがあるんだろうな、その他大勢と比べたら全然ブルース寄りの曲が多いね。それはスライドギター中心ってのもあるからな。

 こんだけ世界中からブルースを弾いて歌う、しかもそれが普通のレベル以上の興味深さを持った音っていうのが面白い。そんなのコントロールできるモンじゃないだろうから自然発生的な要素とか環境に起因するものが大きいんだろうけど、日本はガラパゴス状態で成鳥を遂げるから同じようなシーンがあるのかどうか知らない。ただ、ヨーロッパからここまでブルースに根ざした音楽を土台にした音が出てくるのは英国を除けば珍しいんじゃない?もっとも知られてなかっただけってのはあるだろうけど…、それも時代か。結構深くて楽しい世界です、女性によるブルースって。



Ana Popovic - Still Making History

Ana Popovic - Still Making History (2008)

Still Making History Ana [DVD] [Import]
Still Still Making History Ana!: Live in Amsterdam

 世界は広い!ブルースウーマンで横断する世界のギタリスト、ってなトコロか(笑)。今度は旧ユーゴスラビア、現セルビアとなっている国から超新星の如く出現したこれもまた凄くエネルギッシュでシャープなブルースギタリストウーマンが出ています。Ana Popovicという女性でして、既にシーンに出てきてから7~8年くらいが経っているとのことなのだが、今回紹介する「Still Making History」というアルバムからアメリカからのディストリビューションによって世界リリースされるようになったということで、メジャーへの進出が叶ったというトコロのようだ。それまではローカルなレーベルからのリリースだったらしいけど、それでも日本のAmazonでしっかり買えるんだからそれなりに名が知られている人なんだろう。

 Ana Popovicの2008年の作品「Still Making History」。ジャケットからして想像は付かないんだが、ギターを弾いて歌を歌うという当たり前のことをしてくれている才女。しかもそのギターはブルースをベースにしているもののかなりロックに近いアプローチなので相当SRV的な印象を持てるものだ。ロングトーンとかアグレッシブでグイグイ心に引っかかるフレーズを出してくるところとか、前に突っ込んだ引っ掛け的なプレイが普通にあって相当良い。ワウワウも普通だし歪むのも当たり前だけど、何か凄いカッコ良い。更にAna Popovicの特徴としては、なぜかとってもファンキーなサウンドが同居してるんです。ラッパとかそういうのが入っててさ、ノリもかなりブラックなリズムがあったりするので全く従来の常識から逸脱した感覚が見事。そのためもちろんブルースな曲ってのが少なくて、ファンキーだったりジャジーなバラードだったり歌モノだったりハードロック的だったりと全く多彩な人だ。そのそれぞれでのギタープレイは曲にマッチしているのはともかく、しっかりとポリシーを聴かせてくれるのもさすが。

 キャリアが長いからってのあるし、一辺倒じゃないサウンドとプレイはお国柄と憧れの狭間で出来上がったスタイルなんだろうか?アメリカ在住ですって言っても不思議はないくらいの音なんだけど、感覚的なところが東欧なんだろうな、きっと。ちょっと何度も聴いているとえらく気になる存在になる人です。これからもまだじっくりと色々と聴いていきたい人ですね。



Joanne Shaw Taylor - White Sugar

Joanne Shaw Taylor - White Sugar (2009)
White Sugar
WhiteWhite Sugar

 世界的にブルースウーマンと言うのが出没してきているのか…、これは昨今始まったことではないようだけど、それでもこれだけ目立つようになったのは面白い。そういう面白さにちょっとハマってみている自分がいてさ、しかもブルースベースのサウンドだから嫌いじゃないし、ともすればとんでもない逸材に出会える可能性もあるし、ってことで日夜漁るのだった…。

 Joanne Shaw Taylorという今年24歳になる新人、「White Sugar」でのアルバムデビューは2009年というから若い若い。それでも下積みはしっかりあってEurythmicsのDave Stewartに見出されて16歳頃からプロの世界でギターを弾いていたらしいので遅すぎたデビュー作と見る方が正しいのかもしれない。うん、そう、英国出身なんですよ、このJoanne Shaw Taylorという女性。英国ってやっぱ凄いよな。ソルフルな歌ではJoss StoneとかAmy Winehouseとか本格的なシンガーを輩出していてホワイトブルースの本家としてもJoanne Shaw Taylorという本格派をいとも簡単に輩出しちゃうという国。見事なもんだ。

 そのJoanne Shaw Taylorはアルバート・コリンズが好きでギターを始めたっていう共感できる部分があって、テレキャスターをメインに使っているってのも嬉しい。女性がテレキャスでブルースギターのソロを弾くって、これまたなかなか見ることのない姿だったし、しかも出てくる音が確かにあのテレキャスター独特の音で、さすがにアルバート・コリンズほどぶっとい音じゃないけど、ソロ聴いてるとなるほど、と頷いてしまうトーンとフレーズ。そこに英国風な感覚が入ってるからだろうか、往年のブルースロックと被るようなフレージングも聴けるからこれまた楽しめる。やはり英国産ホワイトブルースはどこか湿っていて良いものだ。

 「White Sugar」というアルバムでの楽曲的にはブルースっていう感じではないかな…、でもギターソロが全編に渡って思い切りブルースな香りで聴かせてくれるので曲そのものがそれほど気にならない…とは失礼な言い方にはなるんだけどさ(笑)。そっちに耳が行ってしまうので歌の線の細さとか弱さってのはそれほど気にならなくて…、うん、情感豊かに歌ってるんだけどその辺はもうちょいかな。もちろん雰囲気は出てるし嫌いになれない歌と音なのは言うまでもなし。こういう女性にどんどん頑張ってもらいたいね。ココのところ聴き漁ってたブルースウーマンの中では一番のお気に入りです。



Laurie Morvan Band - Fire It Up!

Laurie Morvan Band - Fire It Up (2009)
Fire It Up Cures What Ails Ya
FireFire It Up! Cures Cures What Ails Ya
 新世代のブルースメンってのを漁っているとどうも女性のジャケットが出てくることもあって、何でだろ?って最初は思ってたんだけど、まさかタフガイな女性達がギターを抱えてしかもSRVを目指したブルースを歌ってギター弾いているって姿にはちょっと軽いカルチャーショックを受けた。少なくとも日本に於いてそんな女性ってのはほとんど見たことないし会ったこともない。ギター弾きます、とかロックギター鳴らしますとかならわかるけど、そこから更にブルース一辺倒な世界へ、なんてのは全然思いもしなかった世界。オリアンティだって凄いけどブルースじゃないしさ、速弾きの方だからまだ…、いや、それでも凄かったんだが、まぁ、ある種の偏見を自分が持っていたってことか。

 それで気になったので聴いてみる気になったんだが、まずもって誰が良いのかとか音楽性なんかもよくわからんので、いつものように適当にAmazonに流されるままに…ってことで何人も聴きました、っつうか割と何回も聴いたりして自分で消化できるようにしてたんだよね、ここのところさ。まだ誰が凄いとか傑出してるとかってのが明確じゃないんだけど、それなりに…。

 Laurie Morvan Bandの「Fire It Up」というジャケット見てわかるようにえらくタフガイな印象を持つジャケットに釣られて聴いてみたのですが…、オイオイ、これホントに本人のギター?だろうな…、見事にストラトでブルースでした。まぁ、このジャケット見ればしっかり弾いているってのはわかるんだけど、それでもホントにこんな音でブルース弾いてるってのに衝撃。歌はどうかと言えば、これもまたしっかり普通にシャウトしているという素晴らしきミュージシャン。このアルバム「Fire It Up」はどうも3枚目の作品らしいけど、既に10年以上のキャリアを持った人のようで舌だ海が長いだけあってしっかりした音を出してくれます。曲調そのものは割とバリエーションに富んでいて、ブルース一辺倒にはならないで、もっとカントリーチックだったりソウルっぽかったりするのもあるので聴きやすい。その分軽さが出てしまうというのはあるけど、ストラトの乾いたトーンが心地良いのでそれはそれでハマった音かな。歌もの中心になってる気もするけど、よくできたバランスでして…だから、歌モノとして聴きながらもクラプトンの作品みたいに、ギターソロとかになるとヤケにギターが目立ってカッコよく決まってるっつう感じ。そのフレーズは確実にブルースベースの音。

 へぇ…、世の中進化したものだ。「Fire It Up」のジャケットだとアグレッシブな表情してるけど、割と美人さんのようなので、そのギャップも結構良いんじゃないだろうか。いやいや、見事なまでのブルースウーマンです。今年になって日本盤も初めてリリースされたみたいなので、これからこの世界も日本に広がるか?



Eric Sardinas - Black Pearls

Eric Sardinas - Black Pearls (2003)
Black Pearls Devil's Train
Black Black Pearls Devil's Devil's Train
 新世代ってほど若くはないけどシーンに出てきたのがちょっと遅めだと新世代と言われてしまうものだ。ブルースロックの世界で30才くらいなんて言ったらまだまだ新人同然扱いなのだが、若さ故の激しさはもちろん勝利の一つでもあるわな。SRV的なアグレッシブさを求めて探し続けているブルースロック新世代系、今日もまた一人素晴らしいのがいたんです。

Eric Sardinasという若者…でもないけど、まぁ、エネルギッシュな人。90年後期にデビューしているらしいけど最も評判の高かった2003年にリリースされた「Black Pearls」を聴いてみましたと。音がものすごくエアロスミスなので一体これはブルースロック…っつうかロック野郎がやるブルースなのか?と思ったが後で見ているとプロデューサーがエディ・クレイマーだと言う事が判明しまして、なるほど、そういうミュージシャンですか。それでもエディ・クレイマーなんだから相当なもんだろ、ってことで期待満々。それにしても音の処理がエアロ風でして…、歌声まで似ているように聴こえてくる始末。コーラスワークはノリ具合なんかもエアロスミスがバックでやっても多分出せるだろう味わいな感じ。まぁ、いいか。

 ハチャメチャなプレイを繰り広げる人ってことらしいけど、顔はハンサムだし、相当インパクトある音を出すのは確かで、ブルースもメチャクチャ弾けるんだろうな、というのはあるけどこの「Black Pearls」での音の路線はレニクラとかブルースエアロとかっていうような方向性で、際立った歌声ではないけど骨っぽい歌。そしてスライドギターがグイグイと曲を引き立てているけど、楽曲そのもののクォリティにはそれほどこだわりなさそうな感じがある。うん、アメリカだからこの手の音は多いのは事実だ。セッションマンとしては相当生きてくる人なんじゃない?

 ウンチクはともかく、聴いて「カッコ良い」という印象は持てる作品だし、ライブ感グルーブ感、そしてロック感がかなり出ているのでブルースっていう枠じゃなくてロックという枠でウケる人だろうと。あのSteve Vai曰く「Jack Buttlerとはヤツのことだ」というくらいに惚れ込んでいるギタリストのようだ。アルバムにはビリー・シーンも参加しているようで、なかなか期待に答えてくれる作品。今でも名前が出てくるギタリストなので実力の度合いは非常に高いんだな、ってのは感じるね。自分的にはちょっと一辺倒的な音がもう少し聴きこなさないと何とも言えない感じ。





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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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