I Teoremi - I Teoremi

I Teoremi - I Teoremi (1972)

I Teoremi
I I Teoremi

 やっぱりイタリアンロックらしい~ベタベタで暑苦しくて勝手気ままに一人づつが燃えているというような仰々しいアルバムって…と思って見ていたらあったあった…、I Teoremiってバンドです。まぁ~、とにかく聴いてみてもらいたいんですけどね、暑苦し~んだよ、これがまた(笑)。ベースがかなりランニングしていて上手いのに合わせてか、ドラムはドタバタドタバタと叩きまくってついていく…、そこへギターもやや音程が怪しいながらも必死にソロを繰り広げて暑苦しく盛り上げてくれます。そこにとんでもなくイタリアンな歌声が熱唱してくれましてですね…。これぞイタリアンハードロック!と言う様相。日本で言えば圧倒的演歌メタル、っていうようなモンです。それがまた凄くハマっててさ、聴いてるとこれでいいじゃないか…Viva! イタリア!と言いたくなるくらい無茶苦茶(笑)。

 え~っと、1972年にリリースされたこれもまたI Teoremiの唯一の作品という「I Teoremi」。アルバムジャケットが真っ白なのでどんなイメージも持たずに聴いて欲しいっていうメッセージなんじゃないかと思うんだふが、そのメッセージのままに受け取って聴いてみると正に英国B級ロック路線と同様にハマり込める音世界が繰り広げられます。確実にB級路線(笑)。ここまでギターとベースで暴れだすってのもイタリアでは多くないから珍しいし面白い。それでいてブルース的アドリブのアプローチなんてのは感じられないので一体何をモチーフにしてアドリブみたいな楽器合戦を繰り広げているのか…ややテーマに戸惑う部分は多い。

 しかしまぁ、文化かね、この曲の長さってのは。もっとシンプルに作り上げれば良いのがなぜか展開して長尺な楽曲になっていくってのは。それと録音のミックスのイマイチさが気になるかな…、まぁ、それでもこの暑苦しさはタマランっていうパワーを持っているが。もっともっと歌っていいんだがな。



Il Paese Dei Balocchi - Il Paese Dei Balocchi

Il Paese Dei Balocchi : Il Paese Dei Balocchi(1972)

Paese Dei Balocchi

 やはりイタリ勢の中から傑作一枚だけを世に放ったまま突如としてシーンから消え去ってしまったバンド、Il Paese Dei Balocchiを書いておこう。プログレッシブロックとして語られるのはもちろんだが、かなりクラシックのバロック寄りという印象が強いIl Paese Dei Balocchi。それは多分冒頭の楽曲からしてハードロック路線を絶ち切ってのストリングスによる強烈な効果と落差が印象を強める。アルバム全体としての曲調は割と短めな曲で世界を語ってくれるので入り込みやすいんだけど、基本インストっつうところでややハードルを上げているかもしれない。ただそれぞれのパワーとパフォーマンスは忙しくて目まぐるしい音の洪水という側面も持っていて楽しめるね。

 アルバムジャケットのカラフルさと音世界のカラフルさがリンクしてたぶんトリップしながら聴いていたら心地良いんだろうなぁ、こういう作品は。一方では元来イタリアが持つ力強い美しさってのも所々で顔を出してくるのが面白く、普通ではあまり考えられない展開を持っているあたりが特徴的だ。風景画を見ているような美しさだもん。多分非常~にドラマティックでストーリー性のある何かを演奏しているんだろうな、という印象で、それはもしかしたら「Paese Dei Balocchi」というアルバムの「子供たちの国」という邦題の示すことなのかもしれない。

 こういう音ってアルバムとしてはちょっとバラバラ感が目立ってしまうんで取っ付きにくいんだろうけど、一つずつ聴いていくと実に作りこまれているし聴き手を驚かせる意向も見え隠れするので楽しめる。ソフトで繊細な側面が高いけどどこか大胆な作品の作り方はまったく新鮮。こうした路線で何枚かリリースしていたらまた変わったんだろうが…。イタリアのロックってのは層が厚いっ!だから一気にまとめていかないと飽きるってのもあるが(笑)。


Nico, Gianni, Frank, Maurizio : Canti D'innocenza - Canti D'esperienza

Nico, Gianni, Frank, Maurizio : Canti D'innocenza - Canti D'esperienza (1973)

Canti D'esperienza サン・シュープリーム(紙ジャケット仕様)


 そのNew Trollsの分裂組が結成したバンドの一部がこのNico, Gianni, Frank, Maurizioとなるんだけど、こっちのが多分本流…、本流だけどこれを本流としちゃうとNew Trollsって何だったんだ?ってなるから難しい(笑)。音楽性だけをNew Trollsに残してきて削ぎ落したシンプルな筋肉だけで創り上げたのがこの「Canti D'esperienza」という作品、という言い方になるのかな。凄くシンプルな英国的ハードロックをモチーフとしたサウンドで、Uriah HeepとかQueenとかそんな系統を感じさせる部分が多い。「Canti D'esperienza」をプログレッシブバンドのサウンドとしては大きな勘違いを生じることになるのは間違いないね。

 仰々しい鍵盤がないのと凝った展開も押さえ気味で割と普通に攻めてくる曲が多いのでそう聴こえるんだろうけど、やっぱり展開という意味では細かに細かにではなくてまとまった展開を考えているようで、別曲が始まったかのような大仰な印象。楽器的にはどれが目立っているというのでもなく、ややギターに比重を置いている感じだけどレンジが狭いからギターバンドとしては聴けないという独特のネックは変わらず。それにしてもNicoの歌声は完全に英国ハードロッカー達と変わらぬヘヴィなボーカルとして聴けるのが面白い。ぜひUriah Heepに参加してもらいたかった(笑)。

 本作「Canti D'esperienza」はNew Trollsで「UT」という名盤を創り上げながらも分裂してしまった一派としてこういう音がやりたかったんだろうけど、やってみたら結構シンプルに終わってしまってどうしよう?みたいなところがあったのかその後はIBISとなって超名作「サン・シュープリーム」をリリースするという成長過程のひとつとして重要な一作。美しさとハードさシンプルさはこの「Canti D'esperienza」が突出しているね。



New Trolls - Atomic System

New Trolls : Atomic System (1973)

Atomic System コンチェルト・グロッソ(紙ジャケット仕様)
Concerto Concerto Grosso No. 1

 昔から中古レコード屋に足を伸ばしてひたすらとレコードを漁っていると、もちろんあちこちのコーナーを見ては探し、そうしている内に知らないレコードでも気になるものが出てきたり、ジャケットで覚えてしまったりして知識が広がるものだ。今回のNew Trollsの「Atomic System」なんてのは正にそんな賜物でして、ユーロロックを意識する前から強烈なインパクトを放つこのジャケットは覚えてしまったもんなぁ。どんな音かなんてのは後から気になった事で、ハンマーで卵を潰している瞬間の写真ってのが強烈。いくつかそんなジャケットがあるんだけど、イタリアのは英国のと違ってある意味下品な迫力を持ってるのが多いかも。

 New Trollsってのは基本的に英国ハードロック系統の影響下が大きいように感じるので、聴いてみると聴きやすいんだけど、それももちろん名作「コンチェルト・グロッソ」などは論外…っつうか自分的には「コンチェルト・グロッソ」が基本なんだが、おかげでこの「Atomic System」はちょっと出足が遅れた。後から聞けば、全盛期のメンバーが分裂してIBIS系とNew Trolls系に大きく分かれてしまったという事で、その残党が創り上げた作品がこの「Atomic System」で、リアルタイムだったらある意味悲しかったかもしれないし、期待満点だったのかもしれない。ただ、出てきた作品がこんなに質の高いロックで、イタリアロック史に残る傑作だったことはバンド分裂が成功だった、ってことだろうね。

 最初の曲からしてフルートが刺さりまくってかなり攻撃的なエッセンスが入っているのが良い。クラシカル且つシンフォニックに聴かせるバンドの傾向が強いのかなってのあったから、こういうフルートの使い方は良いね。アルバム内であちこちにそんな風に使われているからギターよりも目立ってるかもね。ベースはブリブリしてるので全然良いんだけど、この辺のバンドの音ってどうして音が軽く聞こえてしまうのだろう?イタリア全般に云えるんだけど…、録音やミックスの問題か?4曲目の「禿げ山の一夜」のカバーを入れているんだけど、やっぱりレベルが違って圧巻です。やはり偉大なる楽曲だったんですなぁ…、それをアレンジするとこんなに迫力ました音でできますよ、っていうところがNew Trollsの凄さでもあるが。

 「Atomic System」はややポップスがかった部分や演奏で聴かせる部分と退廃的な部分を持ち合わせた時代の産物的な作品とも云えるかな。



J.E.T. - Fede Speranza Carita

J.E.T. : Fede Speranza Carita (1972)

消えゆく希望の灯(紙ジャケット仕様) ツァラトゥストラ組曲(紙ジャケット仕様)

 70年代のユーロロックはどういうワケか邦題の方がピンと来るものが多い。多分英語じゃないからとても原題では覚えきれなかったってのが大きな要因だろう。それが故に海外サイトからユーロロック系を探すのがちょいと面倒で、一旦邦題から原題を調べて、それから検索に走るということなのだが、それがまた現地の一般的な言葉だととても探し出せないというネットならではの難しさにぶち当たる。今回のJ.E.T.なんてアルバムタイトルの原題が「Fede Speranza Carita」っていっぱい出てくるんだもん(笑)。ってことで実態の調査を諦めてさっさと音を聴き直して自分の感覚だけに頼ることに…。ただ、ちょっと前に紙ジャケ化されているように日本では人気のあるアルバムなので皆様が色々書かれていて読めるのが救いです。

 そんなJ.E.T.の邦題「消えゆく希望の灯」っつう作品で、1972年リリースの唯一のアルバム。唯一ってのがこの頃のイタリア産のバンドには実に多いんだけどさ、勿体無い~っていうくらいの出来映えなんだから余計にだ。この後メンバーの一分はムゼオ・ローゼンバッハのメンバーと合体してポップスバンドを結成して成功しているらしいが、まぁ、そういうのもありなんだろうな。それはともかく、ちょっと硬質でヘヴィな音世界ってことで何となく繋がって聴いてみた「消えゆく希望の灯」なんだが、やっぱりイタリアは暑苦しいねぇ~(笑)。音だけならかなり英国のプログレに影響を受けたような感覚があって、英国産バンドだよ、と言われても納得してしまう雰囲気なんだが、歌が入った瞬間からこれはイタリアだ、とありありとわかってしまうくらいの暑苦しさ♪しつこさともいうのか…、こういうのって聴いているとうわ~ってハマるんだけどさ、それもバンドとバックの音の感性度の高さがあって初めて納得出来るものだからね。

 J.E.T.の「消えゆく希望の灯」はベースのブリブリさが面白いのと多分プログレとかユーロとか意識してやってるんじゃない部分ってあるんだろうな、と思う。壮大にプレイするってのはあるけど、好き勝手に曲の展開を進めていく…その中で起承転結があればそれでいいし、またそれぞれのプレイヤーが目立つパートは思い切り目立たせるような曲構成とも感じる。でもね、J.E.T.の「消えゆく希望の灯」が凄いのはアルバム収録楽曲の緊張感とレベルの高さ。もちろん曲の良さもピカイチに等しいんだが、テンションの高さが心地良いんだよ。音の硬さはもう少し、ってトコだけど、そういう優しさやソフト感もイタリアの暑さの現れだからなぁ…。しっかしまぁ、暑いわ(笑)。



Ataraxia - Saphir

Ataraxia : Saphir (2004)

Saphir Mon Seul Desir
Llyr Llyr

 ちょっと寄り道していつものニッチなブログから情報を入れたAtaraxiaというバンドの作品を…。2004年にリリースされたアルバム「Saphir」です。イタリア出身のAtaraxiaというバンド…っつうか女性ボーカルユニットというところなんだろうけど、結構呪術的な雰囲気がオドロオドロしく漂っていて、それはそれでまたかなり聞き応えのある作品に仕上がってます。ただ、まぁ、採捕はアコギの美しい調べと割と低音な歌声で神秘的に響いてきたんだけどどこかバリエーションに欠ける部分もあるかなぁ。宗教的な側面からすると凄くハマれるんだけど、まぁ、息抜き的に聴く作品か。

 実に耽美的でこういう音だとはあんまり想像しなかったからだけど、何かとBGM的に聴くことになるのかもしれない。不思議とリラックスしてしまうのはあるんだわな、これが。スペインチックな雰囲気だけどイタリア…、なかなか奥の深い世界です。そしてこのジャケット…、別にロリコンではないがどこかそそられるものがあるジャケットでしてね、センス良いです。

 通常のロック的概念で聴いてはいけない異世界の感覚。ただ、これはこれで色々なバンドが存在しているから調べてみると色々出てくるんだなぁ…とまた新たな世界の入口だけを見た感じ(笑)。



Sylvan -Force of Gravity

Sylvan -Force of Gravity (2009)

Force of Gravity Posthumous Silence
Force Force of Gravity Posthumous Posthumous Silence

 どうにもまた気になるジャケの印象だけが残って、あちこち見てると割と目に付くジャケットだったので、きっと似た傾向のバンドなんだろうな…と聴いてみることに。Sylvanというバンドの2009年の作品「Force of Gravity」だ。どうもドイツのシンフォニックプログレッシブバンドとして知られているらしいが、ザザッとネットで探してみてもそんなにブログで書かれてる感じがしないのでしょっと「?」なんだが、まぁ、聴いてみましょうよ、ってことで…。

 Sylvanというバンド自体よくわかっていないけど、確かにシンフォニック系だけどどっちかっつうとメタル系に入れた方が良さそうな類のプログレバンド…、プログレ?う~ん、ちょっと中途半端な気がするけど、確かにメタルシンフォってだけじゃないのでそう呼ばれるんだろうな。「Force of Gravity」では曲によっては実にコケティッシュなForcusみたいなものもあって、イマイチ好みではない…。かと言ってそんなバンドかと言うとそうでもなくてしっかりとしたシンフォニックな楽曲もあって結構良いじゃないか、ってのもある。最後は14分半もの大作だし、アルバム通して聴いてみるとかなり気合の入れた作品で、良質なものということもわかる。全体的にはかなり叙情的でメロディックな音が制しているんだよ。

 ドイツのバンドなのに英語で歌っていて、一聴したくらいではどこのバンドかが全然わからないくらいにメロウかつ甘い感じにメロディが纏められていて、音そのものもそれほど堅くないというドイツらしからぬ世界。それが故に世界で認められているバンドになっているのかもしれないが、ヨーロッパの影響よりも英国の影響というような節が見受けられる。そんな変わったバンドでしたね。



Kino - Picture

Kino : Picture (2005)

Picture Tall Ships

 スーパーバンドって…ある種売るために集まって軽快でパワーポップでテクニックも細かいところで駆使してサラリと難し演奏をする、みたいなのあるかもしれない。今度はArenaとMarillionとIt BitesとPorcupine Treeの融合体として出来上がったKinoというバンド。さすがに2005年にアルバム一枚「Picture」をリリースして今のところは進んでいないようだ。ただし、この仕事のおかげでIt Bitesの再結成時にボーカルが参加しているとか…。ちょっと詳しく調べてないからアレだけど、まぁ、いいや、そのへんは(笑)。

2005年「Picture」というアートワークも素晴らしいアルバム。想像していた音はどっちか…、テクニカル路線価ポップ路線か…。やはりポップ路線に出てきた…、聴いているとね、もうエイジアを彷彿とさせるんですよ。曲の組み立て方とかポップなメロディとか爽やかでハジけた歌い方とか、そのくせやけに凝った楽曲だったり。やっぱり英国なんだなぁ、こういう音ってのは。突き抜けた感が凄いのとメジャー感がズバ抜けてる。次どうなるんだろうという不安を一切持たせることなく完結。期待だけは残しておく、みたいなのがあってさ。だから彼らの背景にあるバンドを知るとさらに面白く深く聴けるという無限地獄。そのためにこんなKinoっていうスーパーバンドを組んでシーンを賑わせたんだろう。自分は知らなかったけど…(笑)。

 どの曲聴いてもどこかの何かを彷彿させるアレンジだったりメロディだったりするが、力強さが素晴らしいもん。ノリノリだぜ~ってロックじゃないけど、大人の聴かせるロック。こういうのは面白く聴かせてくれるよ。70年代のバンドを想うような感じじゃないけど、知ってると面白いね、っていうかさ。哀愁とか陰鬱とかじゃなくてもっと明るくて英国的で素敵な世界を感じさせてくれる作品。



The Tangent - Music That Died Alone

The Tangent : Music That Died Alone (2003)

Music That Died Alone Place in the Queue (Bonus CD) (Spec) (Dig)

 スーパーバンド的な位置付けになるのか…、どうやら鍵盤奏者のソロアルバムとして企画してメンツを集めていたらしいんだけど、集まってきたのがThe Flower Kingsの面々3人とどういうわけだかVan Der Graaf GeneratorのSax奏者、デヴィッド・ジャクソン。一体どんなん?って気になってもちろん手を出してみるワケですよ。

2003年にリリースされた「Music That Died Alone」という最初のアルバムの一曲目からして70年代プログレへのオマージュとばかりの音が詰め込まれている。ただし、どれもこれも最新の楽器によって演奏されて録音されているから音色は全く新しい音。それでも今風のとは音が違うから面白い。Yes的な側面にVDGGの…というかDavid Jacksonのサックスが吹き込まれることでどこかジャジーで凶暴なイメージを植えつけたり…、それでも基本的には演奏テクニックが優れているが故にフュージョン的な軽快な演奏になってみたり…、あ、これ全部最初の26分位の組曲の中での話。その後はカンタベリーへの望郷というシチュエーションが明確にタイトルに表され、往年のHatfieldやCaravanと言ったカンタベリー代表バンドの楽曲へのオマージュが始まる…。

 凄いなぁ、この突き抜け感も。聴き漁って聴きまくって分析しまくってチャレンジしてブラッシュアップして出来上がったんだろうな。レコーディングの音色も追求しているし、歌メロの構成なんかもしっかりと練られてらしくされている。やや軽快でポップなメロディ…つぶやくに相応しいんだけどどこかジャジーで、浮遊感漂うセンス。期待して聴いたら期待通りに聴けた珍しい事例。これはもうプロだわ。演奏がどうのっていうよりもプロデュース側の成果ってのがありありとわかるもん。

 ただこの手の音って何回か聴くかっていうとやっぱりそれほど聴かないんだよね。どうしてもオリジナルに行くからさ。ただ、The Tangentの場合は楽曲そのものと音が良いので、BGM的に…いや、プログレ扱いだけど邪魔にならない音なので流しておきやすいんだよね。だから、そういう爽やか感という意味で面白いかも。んで、楽器に触れるような人は「何これ?」とびっくりするっていうかさ、そういう音とも云える。無性に心地良く聞けるからさ…。



Frost - Milliontown

Frost : Milliontown (2006)

Milliontown Experiments in Mass Appeal (Bonus Dvd) (Dig)

 現代でもスーパーバンド的位置付けとなるバンドがしばしば登場してくるってのは面白い。そこに群がる期待感ってのも楽しめるし、何か素直に嬉しいもんね。…っても自分的にはとんと意味を成さないスーパーバンドってのが今回なんだけど(笑)、いや、恒例のアマゾンのリコメンドでふ~んって聴いて、相当ハジけた突き抜けた音だったのでこれは面白いじゃないか、ってアチコチ調べてみるとIQのリズム隊にArena、It Bitesの面々ってことで、それとKIINOっつうバンドも絡んでるとか云々…、それはともかく、やっぱりある程度名を馳せた面々によるバンド編成ってのは出てくる音がこうも違うか、ってくらいに垢抜けて洗練されている。ま、それとここんとこポーランド漬けだったからこういう英国的な音を聴くとスッキリするってのがあるかもしれない(笑)。

 2006年にリリースされたFrostの最初のアルバム「Milliontown」。今でもまだセカンドアルバム「Experiments in Mass Appeal」までしか出てないんじゃないか?っつうか解散してるのかもしれないが…。とにかく、キャッチーなメロディと洗練されたリズムと音。決して明るくはないし、しっかりと凝った展開やシンフォニックしてる部分もあるし、泣きを演じているのも十分なのに、この突き抜けた感は凄いものがある。やはりメジャーな音ってのを聴かせてくれるもので、突出して評価が高いのはなるほどなるほど。余裕があるんだろうな、きっと。雰囲気を演じなくても自然にできるっつうかさ、多分笑いながら悲しい曲を悲しく演奏できちゃうプロさっていうもので、聴いている側は涙流してるのに演奏側は普通にしてる、みたいな。こんだけプロだと心地良いわ…、確かに。

 80年代初頭にエイジアが出来て大ヒットを飛ばして成功した頃70年代プログレのファンは「は?」って感じだったけど、その頃聴いていた新たなリスナーは大いにエイジアを受け入れていた。多分Frostも同じ部分あって、過去に在籍していたバンドを知らない人が聴いても取っ付き易い音を提供して、エイジアと違うのは過去のバンドの作品を聴いてみると更に深みが分かるというパターン。なるほど、狙ってるかどうかはともかく、音楽の才能がなきゃできない話。そういう邪推をさせてしまうくらいに完璧に近い突き抜けたネオプログレ的アルバム…っつうかバンド。もうちょっと進むとフュージョンっていうのもあるし、雰囲気だけのもあるし、器用なバンドです。

 しかし凄いな…インスト曲になるとジョン・ウェットン並のベースブリブリを筆頭にバンド全体のアンサンブルをフルに活用して演奏してる…、ライブでKing Crimson的に展開していたら相当のライブに白熱度が期待できるんじゃないか。このテクニックは。



Votum - Metafiction

Votum : Metafiction (2010)

Metafiction Time Must Have a Stop
Time Time Must Have a Stop

 ポーランドを漁っていて何となくその雰囲気って見えてきた部分もある。まぁ、かなりニッチで限定的なジャンルでしかないので総合的にではないのだけど、メロディの作り方とか音の組み立て方とか、なんとなくお国ごとに違いってあるもんね。まぁ、だからと言って聴いてすぐわかる、ってもんでもないんだが…。本日のVotumにしても同じくポーランド産でこれもまた紹介されたバンドなので初耳だったんだけど、ちょうど新作が出たとか出るとかの頃だったので入手して聴いてみます。幸いなことにVotumというバンドはまだアルバム一枚「Time Must Have a Stop」しか出しておらず、これで二枚目なのでまだ容易に追いつけそうだ、ってことがよかった(笑)。

 2008年にリリースされたファーストアルバム「Time Must Have a Stop」に続くセカンドアルバム「Metafiction」。多分国ごとにリリースが異なっているんだろうけど、アマゾン見るとUS盤がまだ未発売らしい。さてと、ジャケットの趣味から察するにメタル色入ってるだろうよ、思いながら聴くワケですよ。メタル色入ってると聴きやすいんだもん、自分(笑)。いや、プログレ色だけでも十分なんだけどじっくりと聴かないといけないから、なかなか時間が取れない。でも、メタル色入ってると何となくすんなりと入ってきやすくなるのがある。こういう時代の変化も音楽の変化も多分同期している部分あるんだろうと思うわ。それでいてじっくり聴いてみるとハマりこめる本格派のバンド、ってのがいいな。なかなか見当たらないけど、このヘンの世界ではいくつかありそう♪

 話が逸れたけど、Votum、多分ヴォーテムって読むんだろう…、ちょっと重さはまだまだ未熟なところありそうなんだが、割と割と…。「Metafiction」では歌に重きを置いている部分も見え隠れするか…。ただ、どれも大作志向な曲の長さは持ってるけどアルバム自体は割とコンパクトな45分程度の長さに纏められている。だから聴きやすいんかな。ただ、ちょっと惹きつけるフックが弱い気がするなぁ…。鍵盤の使い方とかおしゃれで品があってハッとすることも多いんだけど、何かが弱いような…。叙情的な雰囲気や起伏やアレンジなどは圧倒的にプロフェッショナルな領域に入ってるが…。自分の耳が聞き慣れてきたせいか?大雑把に言えばうまくまとまりすぎ、なのかもしれない。

 しかしこれだけの音色と和音を使って陰鬱さをしっかり出して、雰囲気も叙情性も保ちつつアレンジを施して出てくる、更にコーラスワークも考え抜かれてメロディが乗る…、凄い才能だよ、これは。良し悪しと言う前に褒め讃えて然るべき事柄だとつくづく思う。




Satellite - Nostalgia

Satellite : Nostalgia (2009)

Nostalgia (Dig) Into the Night
Satellite Satellite

 旧来のポンプロックからの影響力を強く感じさせるポーランドのネオ・プログレッシブロックバンド連中。ちょっとだけアチコチ紐解いて見ると、時代は進化しているものだ…と我と我が身の世代の狭さを実感する。今時のこの手のネオ・プログレッシブバンドってのはそれこそ第三世代に位置するワケで…、70年代のプログレッシブロックの影響を強く受けた80年代以降のフォロワー、例えばMarillionとかPendragonとかがあって、今時はやや世代を超えているものの、彼ら=即ちMarillionやPendragonの影響を受けたバンド達ってことらしい。そこに70年代の源泉も入ってくるから複合的な面白さと独自の世界観になって音として現れてくるのが今時。現代ロックは時空を超えてのミックスが上手く出来上がっているようだ。そこに機器の進歩が絡むから新しい音には尽きることがないワケだ。

 さて、このポーランド斬っての名バンドとも謳われたSatellite、現代の系譜の中でも中核に位置するバンドのようで、多くの派生バンドや源流バンドが出ているみたい。まぁ、そういうのよりも紹介されて聴いているってだけなので知識後付けなんだけどさ…、結構期待しながら聴いてみたワケですな。何が良いのかはTwitterで呟いてもなかなか返ってこない部分あるので、適当に漁って見まして…、タイトルとジャケットで「Nostalgia」にしました。どうやら2009年にリリースされたSatelliteの4枚目の作品らしいです。

 冒頭のシンセからしてやや安っぽい印象を受けてしまうんだけど、結構アグレッシブに攻めて来るので意外と単なる陰鬱系ではないぞ、という部分を聴かせてくれた。ただ、それはSatelliteというバンドの幅の広さを魅せつけるようなもので、キャッチーに仕掛けながらもその実かなり自分たちが創り上げた世界をどんどんと聴かせてくれる。全体観で言えば非常~にシンフォニックで美しいシンセに包まれた哀愁漂うかなり英国的な香りがする起伏に飛んだ曲調が多い。Camel的という評論もあったけど、なるほどな…、Camel的な鍵盤とギターではあるか。このトーンのギターってあまり好まないんで意識しないけど…。

 好みの差で言えば、ややパンチが足りない気がして掴み所がない感じ。聴き続けていると良さが出てくるのかもしれないけど…、ところでSatelliteってドラムが主役の部分あるのか?やけにリズムの部分が凝ってる気がするが…。





Riverside - Second Life Syndrome

Riverside : Second Life Syndrome (2005)

Second Life Syndrome Anno Domini High Definition
Out Out of Myself Simple Simple Life

 プログレッシブロック的楽曲構成にメタルやポップやトラッドなどを詰め込むという作業によって新たなるサウンドを模索していくってのがDream TheaterやQueensrychあたりで確立されてからありとあらゆるところで様々な実験が行われて試されていくと替わった世界が出来上がったものだ。まぁ、ここ最近聴いているようなネオプログレッシブロックと一言で書いても、結局メタルの世界と同じくものすごく多岐に渡るサブジャンルみたいなのがあるっぽい。難解なプログレ、という図式から随分と聴きやすい、聴き応えのあるプログレというところに幅を広げている。

 ポーランド出身のRiversideというバンド。今回はちょっと怪しそう…っつうか一歩間違えると違う世界かも、という予感をさせたセカンドアルバム「Second Life Syndrome」をチョイス。2005年にリリースされていたらしいけどこの時点でセカンドアルバム…だから面白そう。このバンドもいつもブログを覗いてくださる方のコメントから拾い出してきたんですけどね、ヒットですよ、ホント。結構好みで、売れてるのかどうか知らないけど、なるほど…と唸らされる世界。ゴシックメタルを切り開いている時もそうだったんだけど、既存の世界を突き抜けたバンドっていうトコロにあって、ゴシックメタル側からするとOpethやPaladise Lostってのがそんな世界なんだけど、ネオプログレ的な中でもやはり同じような世界に突き抜けるバンドがいるんだ、と。

 要するにOpeth的な世界を持ったバンドだけど、元々がプログレ系から来てるからメタルを追求して美学になったOpethとはやや姿勢が異なるのだな。出てくる音世界はなるほど…行き着いたか、って音だと思うけど、これがセカンドアルバムなんだからさもあらん。完全にダークで陰鬱ながらも徹底して美学を追求しているけど、音がとんがってるから刺激エッセンスが出まくってる。歪んだギターもちゃんと歪んだギターなりのエッジの立った音で鍵盤も鍵盤の位置で音が出ているし、歌にしてもデス声まではいかないけど咆哮することもあって、想いの深さを表している。楽曲は見事にプログレッシブなほどの凝り具合で展開も見事なものだが、代表はアルバムタイトル曲ともなった「Second Life Syndrome」で15分半以上の演奏で展開している。他の曲にしても何かしら手が加えられていてメタリックな手法でプレイされるのでキツさもあるが心地良く聴ける不思議さもある。

 しかし…、売り方ひとつでメタル側とかプログレ側とか変わるのか自分たちの影響具合によってそのどちらかが決まるのか…、数回聴いたんだけどやっぱメタル側にしか聞こえないのもあるんあぢょな。まぁ、こだわってはいけないのでどっちでも良いんだが、多分頭良いバンドなんだと思う(笑)。




Believe - This Bread Is Mine

Believe : This Bread Is Mine (2009)

This Bread Is Mine (Dig) Yesterday Is a Friend
Hope Hope to See Another Day

 ポーランド出身の陰鬱系バンドということでアレコレ見てると色々なものにぶつかるものだ。こうしてバンドあさりの情報はどんどん入ってくるんだが、その数たるや半端なものではなく、それこそ似た傾向のバンドが雨後の筍のように出てくる出てくる。まぁ、いちいち聴いている自分もアレだが(笑)、音の系譜が読み取れて面白い部分はある。陰鬱さそのものは昔からあるものの、代表的なのは80年前後のNew Waveと呼ばれる中での系統…、Joy Divisionとかそのヘンの暗さがあって、一方でプログレッシブにシンフォニックに美しくも艶かしい世界を築き上げていたわけで、そこにメタルナルシストが登場してきてダークに重く美しく…となるわけだ。そんで、このヘンの何と言うロックの世界かわからないけど、すべてを包括してきた世界が登場。

 そんな世界の一端を担っていたであろうポーランド出身のBelieveというバンドの3枚目の作品「This Bread Is Mine」にてどうもボーカリストが替わったようだが、もちろんまだ1st「Hope to See Another Day」2nd「Yesterday Is a Friend」とも聴いていないので何も書けません…。ただ、この「This Bread Is Mine」という作品はかなりの力作なんだろう、というのは聴いていてわかる。ってかさ、プログレとデスメタルの接近ってのも何か分かる気がしてくるもんな、こういうの聴いてると。ちょっとでもどっちかに偏ると聞く人がガラリと変り、更にバンドとして呼ばれる形容詞が変わるだろうからこのへんのブレンドの下限は重要。今のところBelieveはどうやら今のところ原題プログレッシブ的バンドに挙げられているようなのでよろしい。

 猛烈に暗い(笑)。バイオリンやフルートが特徴的なのかもしれないけど、それよりもコーラスや曲の持って行き方ってのが上手い。もちろん叙情性ってのが全体を引っ張ってるけど、さすがだなぁ…、どの音も突出しないで綺麗に纏められていて、ギターソロでさえトーンがアルバムのカラーに染まっていて突出してこない。こういうトータルコンセプションって今時のバンドはセンスあるよな。しかし悲しみに溢れた哀愁漂う美しさを持ったバンドだ。聴いてみないとこういう世界ってわかんないね。はて、自分ってそんなに暗かったっけ?と言われるとそんなことないけど、好みの音ってこういう暗い叙情系っての多いから暗いんかもな…。



Anglagard - Hybris

Anglagard : Hybris (1992)

Hybris Epilog

 北欧のプログレッシブバンドという定義はつい最近にして確立されたものではないかと…、つい最近ってももう20年経過しているワケだから立派な一時代なのだが、こういう感覚ってのはいつまでも抜けないね。年取ったからかな(笑)。90年代に70年代を考えると凄く古い気がしたけど、2010年に90年代を考えても、あぁ、最近のことか…と流れてしまう自分をちょっと反省(笑)。Anekdotenで一躍話題をさらったスウェーデンのプログレッシブロックシーン、実はその前にシンフォニックな世界観を打ち出したAnglagardというバンドがしっかりと出ていたようだ。

 いや~、これもバンド名で聴かずキライしてまして…、うん、メタルバンドにAngraってのがあってさ、それと一緒くたにしていた部分があったんですよね。いや、しっかり識別していなかったというのか、アレ?みたいな感じがあって、メタルじゃないの?シンフォニックプログレバンド?なんて変わったんかな…とか。もっとしっかり掌握しないとイカンですよね、まったく。

 ってなことで1992年にリリースされたAnglagardのファーストアルバム「Hybris」ですが、見事に1992年という時期に10分超えの大作3曲と8分の大作一曲と合計4曲しか入っていないアルバムなのです。ちょっと期待して聴いてしまうんですよ、こういうのは。曲が長いってのは大体なんかしら面白い試みがあるだろう、っていう感覚があるのでね。…とするとネットとかでレビューされているような音の印象と自分で聴く印象ってのはやっぱり違うものだなぁと思うものだ。ネットなどでは中期クリムゾンの~とか色々書かれているけど、えらくソフトで優しい音色を醸し出すバンドじゃないですか。もっと硬質で攻め立ててくるような音をイメージしてたけど、割と優しいです。いや、ベースの音とかブリブリなんだけど硬くない…これはミックスの問題かもしれないけど、どっちかっつうとフルートや鍵盤が前に出てくるからソフトタッチになってるのかも。よくわからんが、ジェネシス的なソフトさ…、決してソフトじゃないんだろうけど、クリムゾンと比べたら、っつうところです。アコースティックな美しさとかコーラスの少なさってのもなかなかよろしいんだけど、もっとガツンと来るかと思ってたのとは違った。これはこれでもちろん良い作品なんだろう。最初の曲を聴いていると結構期待するサウンドなんだけどなぁ…。

 とは言え、「Hybris」と共にAnglagardは北欧で評価を博したバンドというのはもちろんテクニックの面もあるし音の面も受け入れやすい部分があるからだろう。サウンドで言えば70年代英国のサウンドの香りはするからしっかりと影響下にあるのはわかるもんね。



Anekdoten - From Within

Anekdoten : From Within (1999)

フロム・ウィズイン ライヴ・イン・ジャパン
From From Within Gravity Gravity

 ひたすら硬質なプログレを聴きたい、と思うこともあって大体はKing CrimsonとかVDGGくらいしかないのだろうが、ここ最近ではしっかりとその辺のフォロワーも多数出現しているし、それぞれが個性を持っているそうだ…。そうだ、ってのはまぁそれほどよく知らないからなんだけど(笑)。中でもAnekdotenの存在はAnekdotenがデビューする頃から知っていて結構興味深くて聴いていた。だから最初から知ってたって言うことなんだけど、その割に聴いている回数は多くないし、アルバムも最初の二枚はうわ~って聴いたけど、三枚目あたりからそんなに聴いていない。そんなこともあって、この流れなのでちょっと聴いてみよう~ってことで出してきましたAnekdoten三枚目の「フロム・ウィズイン」。Withinって言葉はこの辺から流行ったんかな?

 1999年にリリースされた期待の三枚目「フロム・ウィズイン」。1st「暗鬱」2nd「ニュークリアス」と怒涛の衝撃を与えてくれた後の作品なので当然同系統の作風というのはわかるが、ちょっと重みと落ち着きを取り戻したというような部分があって、相変わらずハードでエッジの立ったクリムゾン風な冷酷さを持っているものの更に凄みが付いてきた感じ。ただ、その分優しさも赤裸々に現れてきたような…、そんな部分も見え隠れする。雰囲気だけどさ(笑)。やっぱメロトロンの憂いってのは聴くものを圧倒するよな。更に歪きれないギターが絡み、ブイブイベースが鳴っているってのはたまらん。ドラムの音だってブラッフォードに近いし…、クリムゾンフォロワーと呼ばれるワケだ。「Hole」という11分にも渡るナンバーが入ってるんだけどさ、こいつがアルバム内最高の出来栄え。自分が何を聴いているのかすら忘れ去ってしまうくらいに音の洪水にハマり込んでしまう美しさ。近年ではなかなか聞くことの出来ない繊細な世界…、もっともっと聴いてみればよかったなぁ…と反省ですよ。比較論でアルバムを聴いてはいけないね。

 最初の衝撃が強かったからその後は…っていうバンドが多い中、独自の解釈とパワーを含めて成長しているAnekdotenの「フロム・ウィズイン」は凄い。クリムゾンはアルバムごとの表情を変えてさっさとシーンから消え去ったから伝説になったけど、Anekdotenは既に20年近くシーンに居座りながら幻影を見せてくれ続けているような感じだ。彼らの独自性をどこかで本当に打ち出したら面白いのに、と思う。もったいないけど、この音世界に浸れるのもAnekdotenのみなのだよな…。素晴らしい。



Paatos - Kallocain

Paatos : Kallocain (2004)

Kallocain (Bonus Dvd) (Spec) Timeloss

 儚い夢を一瞬だけでも紡ぎ出して見せてくれるアルバム…、そんな謳い文句が相応しいスウェーデンのPaatos、傑作といえばセカンドアルバムの「Kallocain」に限る、らしい。らしい、ってのは他はまだ聴いていないからだ。この辺のバンド全てそうなんだけど、じっくりと時間をかけて最初のアルバムから順に聴いていかないとまともなことはあまり書けないだろうな、という空気感を持っているハズ。単発で聴いたアルバムからその中にどんどん吸い込まれていくというパターンではあるが、なかなか真髄が見えない。だから時間がかかる…。時間を掛ける価値があるバンドというのがわかるのには時間がかからないんだが…。

Paatosの「Kallocain」。不思議なジャケットの様相だが、どこか説得力を持っているのは色使いなのだろう。決して明るいとは言えない欝系のサウンドであることは見てわかるという話で、どんだけ暗いのか、ってことがキニナルが、何とも美しい世界観を聴かせてくれる一枚。何はなくとも70年代好きなロックファンには堪らないメロトロンの響きがアルバム中を駆け巡っているだけで、陶酔してしまう世界であろう。破壊感は全く感じられず、女性の歌姫によるほんのり感と浮遊した時間を与えてくれる。一曲ごとの時間もさほど長くなく6分程度レベルが並んでいるのは聴きやすさの表れとバランスの取り方か。それでも曲の中では様々な展開を進めている。

 美しい…、プロデュースがPorcupine TreeのSteve WillsonだからKing Crimsonの1stと同じ質感を味わえるのか?この人のプロデュース品は細かい音が実に緻密に加えられているようだし、雰囲気が独特のようだ。あぁ、こういうじドラムって好きだな…。



The Gourishankar - 2nd Hands

The Gourishankar : 2nd Hands (2007)

2nd Hands Close Grip
2nd2nd Hands

 いくつかのニッチなブログで見つけて、そのジャケットのセンスの良さには好感を抱いていたんだけど、聴くのか、となるとちょっとそこまでは手が出なかったんだけど、自分のセンスってのはあまり変わらないもので、そのジャケットを見つけてしまった時には同じようにセンスの良さについ手が出てしまった、というトコロだ。

 それがThe Gourishankarというバンドの「2nd Hands」というアルバム。両開きで見るとこの情景がそのまま左側にも繋がっていてかなり幻想的な雰囲気を楽しめるもの。この寒々しい情景が物語るようにこのThe Gourishankarというバンドはロシア産とのことだ。ロシアでこの音かい?とかなり不思議な感じはするけどまぁ、もう文化的にはおかしくないしある意味独特の空気感を持っているのは事実、それがロシア的なのかと言われてもピントこないけど、多分そんな雰囲気なんだと思う。

The Gourishankarの二枚目の作品となる「2nd Hands」にして既に最高傑作と名高いのだが、どんなバンドか?って言うとですね、King Crimson…ってかUKとかも含めたブラッフォードのあのピッコロで軽快に叩きまくるドラムの音が心地良いサウンドにエッジの立った攻撃的な歪んだギター、低音ボトムを聴かせたベースがフレーズごと付いてくる音圧、そして変拍子しかない、ってくらいに変拍子だけど曲そのものはかなり流れていくという進化した変拍子プログレ的破壊的サウンドだけど、とっつきにくさはあまり見当たらないという不思議。それよりも引き込まれていく要素のほうが強い気がするわ。そんなイメージで聴いていたんだけど、その実どこかフュージョン的な音色の軽やかさってのも耳に付いてきたので、テクニカルなのはわかる。ただ、微妙。ものすごく微妙でして、歌もちゃんと入ってるからロックの領域だけどさ、面白いな。

 しかし時代は進化するものだ。こんなに音が散漫でありながら強力にひとつに固まってぶつかってくるなんて考えられなかったし、それが耳あたり良く展開されているという不思議。冒頭の「Moon7」からして最強の凄い音。1stの「Close Grip」と共に楽しみたいバンドです。




The Pineapple Thief - Someone Here Is Missing

The Pineapple Thief : Someone Here Is Missing (2010)

Someone Here Is Missing Tightly Unwound
Someone Someone Here Is Missing Tightly Tightly Unwound

 英国のこの手のロックっての…、ず~っとあったんかな?結構多数のバンドがひしめき合っていながら今残っているバンドはどれもこれも質の高いものばかりということらしいが、全然通ってこなかったなぁ~、自分。なんでだろ?プログレってほどのプログレバンドでもないから?ロックってほどロックバンドでもなかったから?でもポップでもないし?まぁ、どれも面白いかってぇとまだまだ全然わかんないし、じっくりと聴かないとなんとも言えないレベルなのだが、興味をソソる存在なのは確かだな。

 ってな感じでドドド~っと聴いているのだが、Th Pinapple Thiefというポストオルタナモダンプログレバンドってことらしい。何かにつけてこのバンドのジャケットが出てきていたのでそういうもんか、気になるなってことでちと拝聴。丁度5月頃に新作アルバム「Someone Here Is Missing」がリリースされたばかりってことでクローズアップされていたのもあったようだが、それよりもジャケットが気になったので、色々な意味を併せて…。

 ジャケット…、なんだ、ストーム・ソーガソンじゃないか、やっぱり(笑)。ヒプノシスの片割れですよ、コレ。ちょっとヒプノシス的センスとは異なるけど目を引くデザインってことは変わらないね。現実と虚構の境目を表現しているっていうのかさ。

 はて、2010年にリリースされたThe Pineapple Thiefの8枚目という「Someone Here Is Missing」だが…、これまでの音を知らないので偉そうに何かを書けるもんでもないが、正にポストモダンオルタナなロックの世界。かなり綺麗で洗練されているのが近年のバンドの象徴でもあるかな。その分聴きやすいんだけど、プログレってのはちょっと違ってて、普通に変拍子らしきものも取り入れていたりするけど、曲の起伏とかはオルタナな感じなんだろうな。言葉の意味がよくわかってないけど、モダンポストっつうのかね。熱の入ったロック~ではないです。淡々とした感じの歪んだギターの音が少なくてどっちかっつうとエレクトロニックなサウンドに彩られたサウンド…、ただ、サウンドクォリティは凄く高いよね、これ。当たり前だけど飽きさせないように練られていて、歌とかで起伏を生むのではなくって曲のアレンジで生んでいるというような…。英国的に明るくなりきれないところはまるなんだけど、もうちょっと感情があっても良いんじゃないかと思うもののやっぱり凄いな~と感心する。結構じっくり聴いているとハマってくるところがびっくり。なかなかいいな…。

 これまでの作品もあんまり売ってないっつうか見かけないので結構苦労したバンドなんだろうか、新しいものから順に追いかけてみようかという気になるバンドだ。フォーク調の「Barely Breathing」なんてメチャクチャ美しいしね。




Strawberry Fields - Rivers Dry Gone

Strawberry Fields : Rivers Dry Gone (2009)

Rivers Dry Gone Into the Night

 恒例の事ながらアマゾンでCD情報物色中に何やら気になるものが目の前をチラホラ…。Strawberry Fieldsなるバンド名の「Rivers Dry Gone」っつうアルバムってことで紹介されているじゃないか。果たしてそんなバンド名を付けるってのはいったいどんなん?って気になるワケで、まぁ、アメリカじゃなさそうだし…ってことで聴いてみる。

 意外や意外とモダンなポップ…ポストロックに近いっつうか…、普通のポップスに近いっつうか…、ヤケに聴きやすい音だけどばっちりロックしてるようで、なかなかユニーク。ふ~ん、なんて思いながらちょこっと調べてみるとポーランドのバンドで2009年にリリースされたファーストアルバムが「Rivers Dry Gone」だとか。なるほど、それでも世界中に知られるようにはなっているんだから実力派なのだろう…、と思うんだけど最初の曲とか聴いてるとちょっと危なげ(笑)。歌とか音は浮遊感に溢れながらもちょっと攻撃的な時もあるかな、という程度。ただし、どんな文化圏なのかなぁ~というよくわからなさはあって、頼もしい音作りにはなってる。ソフトに聴ける曲が多いから割とポピュラーにオススメできる作品かも。

 なにやらSatelliteなるバンドの変名に近い作品だとか…、う~ん、そこまでは漁らなくても良いかなぁ。しかしちょっと間違うとこんなバンドは普通にポップチャート駆け上ってしまうんだが、何かが違うんだろう。肩肘張れないトコロがちょうど心地良いんだという人気か。ポーランドのバンド…、あんまり知らないもんなぁ。Moonlightくらいか?



Iona - The Circling Hour

Iona : The Circling Hour (2006)

Circling Hour Open Sky
The The Circling Hour Open Open Sky

 Panic Room、Karnataka、Mostly Autumnと関連を辿って行ったところにIonaとの類似性ってのも見え隠れしていて、あれ?Ionaって…、と思ったらもちろん自分が知ってるIonaではなく新しい方のIonaでした。それでも1990年に出てきたIonaなので別に新しくもないのだろうけど…。自分の知ってるIonaは更に古くて70年代のバンドだったからさ(笑)。

 昔から耳にしていて気にしてもいたけどそういえばCDを買ったことはなかったな、というバンド。それがこんなトコロで繋がってくるのもなかなか不思議な体験だけど、音を聴いていると確かに類似性は高いな、と。今のところ最新作らしき「Circling Hour」という作品を流してみる。ケルトの旋律を巧みに取り入れた美しき音の調べを奏でるバンドとして知られていたみたいで、全くそのままで、割と長めの曲が多くてドラマティックです。シンフォニックっつうよりももうちょっと爽やか感が漂うところで、よろしい。

 でも、「Circling Hour」は結構な作品として位置するものだと思う反面、どこかBGM的に聴いてしまっている自分がいて、お腹いっぱい感があるのかな…、それともIonaというバンドの性格が引っ掛かりのないものなのか。ロックの洗練された音世界からはちょっと離れた透明感なのでたまに聴くには良いのだろうけど、常に聞く音楽ではないようだ、少なくとも自分に取っては。



The Flower Kings - Stardust We Are

The Flower Kings : Stardust We Are (1999)

Stardust We Are Retropolis

 ネーミングが今ひとつだったために全然聴かなかったバンドのひとつ。名前は知ってたけどどんなんやってるか、ってのは知らなかったなぁ(笑)。今回ネオプログレ系を漁っている時にアチコチで出てきたのがThe Flower Kingsでして、ネーミングの印象がよろしくなかったのは単純にThe Gypsy Kingsだと思ってたから(笑)。いや、勘違いはしてないが…、ああいうバンドなのかと。ところが、シンフォニックロック系の代表みたいなことを書かれていて、そうなのか?とやや気になりながらも名盤と呼ばれる「Stardust We Are」のジャケットを見るとやや心配になってくるのもあって、遅れてましたねぇ。先入観だけで決めるしかないのでこういう選択もしばしば起こります…。

 1999年にリリースされたThe Flowe Kingsの三枚目?にして最高傑作との誉れ高いアルバム「Stardust We Are」、二枚組の大作ばかりというところで驚いたものだが、シンフォニックロックと期待してさぞや起伏に飛んだシンフォニーが聴けるのだろうと期待して聴きました♪ ところが…、そういう音じゃなかったんだね。ちなみにスウェーデンのバンドなのでこないだのAnekdotenと同郷なのだが、何でこんなに明るさと言うのか空気感が異なるのか…、割と爽やかでサンタナやザッパみたいな世界なんだよね、The Flower Kingsってさ。聞く人によって印象違うとは思うけど、綺麗な音が並んでる。楽曲はそりゃもうさすがに作られた音世界でロックとか細かい世界じゃなくって作曲家の世界だからさ、プログレッシブとか言うのではなく当然のように曲が進化していくっていくものですね。だから楽器も実に色々なものが使われているし、効果音も楽しめる。ただ、個人的に得意ではないのがギターの音なんですね。フュージョンなギターの音色が飛び交っているのでやや引いてしまうという本能…。そのおかげでアルバム全体がサンタナみたいに聞こえてしまうのですよ。

 もちろんアルバムとしての出来栄えはものすごいバリエーションに富んでいて普通じゃできない世界だし、そんなに飽きることもなく聴いていられるので全くすごい作品です。やや凝り過ぎかなと思うくらいの部分はあるけどね。まぁ、基本大作の中で最後の最後のアルバムタイトル曲が25分もの代物でバンドのやりたい世界の全てが詰め込まれているんじゃないだろうか?往年のプログレッシブバンドがやりたかったことが詰め込まれているっても過言ではない。だけど、これ、シンフォニックロックって言うの?こういうのがシンフォニックロックなんだろうか?もしそうなら自分の認識変えないとなぁ…。




Mostly Autumn - Glass Shadows

Mostly Autumn : Glass Shadows(2008)

Glass Shadows Heart Full of Sky
Glass Glass Shadows Heart Heart Full of Sky

 Panic Roomの系譜からKarnatakaへ進み、いつしかMostly Autumnなるバンドまで辿り着いた。一瞬にしてこんな風に辿り着いてしまうのはやはりネット時代だから、の一言に尽きる。あまりにも容易な情報収集が価値を半減させているという指摘はさておき、辿り着いた先のMostly Autumnなるバンドの「Glass Shadows」に耳を傾けてみよう。

 最初から…、「お?」全く英国のバンドって言うのはどうしてこうも何も意識しないトコロでいとも簡単にLed Zeppelin的なリフとバンドスタイルってのが出てくるのだろうか。Mostly Autumnのメンバーに聴いても多分全く意識していないだろうとは思うのだが、瞬時にして影響下を感じてしまう自分の耳。Led Zeppelinが…と言うよりはこういうセンスが英国人のセンスなのだろうと解釈した方がわかりやすい。The AnswerにしてもMostly Autumnにしても、だ。

 このバンド、別にハードロックバンドではないし、こと「Glass Shadows」というアルバムについてはシンフォニックロックを鍵盤で美しく聴かせるというようなものでもなかった。Karnatakaと共に名前の出てくるバンドなのとボーカリストがヘルプで参加しているのもあって、似たような音楽性かと思ったけど、もっと骨っぽい部分が出てきている音だ。Led Zeppelin的ってのがリフの組み方と音のタイム感でそう思っただけでさ、パクリじゃないんだよね。そこから「Glass Shadows」というアルバムをじっくりと聴き込むにつれて非常にアコースティックという言葉が似つかわしく、それもフォークというよりももっとジャリジャリとしたアコースティック。そんな硬質なイメージが漂う中での女性ボーカルによる展開…。優しさはアルバム全体に溢れ出ていて凄く素朴。多分Mostly Autumnというバンドの中でも異色作なのかな?それともこういう音?他の作品に手を出してみないとわからないけど、紛れもなく英国の深さを持ったバンドなので、これからが楽しみ。バンドの成長というよりも自分がこのバンドを聴いていけるという楽しみ♪

 「Glass Shadows」での中盤では見事なまでの仰々しく大層なシンフォニックロックといえる「Tearing At The Faerytale」という7分弱の大作が入っていて感動する…、やはり地力があっての音楽性なんだな。ソフトタッチから豪勢な音まですべてをモノにしつつ、英国ならではの重さもしっかりと訴えてくるこの重厚感が堪らない。実に幅広い…。終盤は正にピンク・フロイドの世界観をしっかりと継承して打ち出しているという全く英国王道ロックをひとりでやってしまえる実力には脱帽。



Karnataka - Delicate Flame of Desire

Karnataka : Delicate Flame of Desire (2003)

Delicate Flame of Desire Storm

 音楽の旅には尽きるということがない。次から次へと新しい出会いが生まれ、決して飽きることのない、そして繰り返されることのない巡り逢いが実に心地良く頼もしい。一つ所に落ち着いた音楽を聴き続け愛するのも良い。それこそ真なるアーティストへの忠義であり音楽性を理解し、人間性を理解してより深く付き合っていける楽しみ方だ。一般的には掌握できるだけのバンドの中である程度のサイクルで、そして新しい発掘音源なんかも拾いながら深めていくものだ。その最中には新しい音との出会いもあったりするだろう。ところが、一般的ではない音楽に敢えて刺激を求めて出会って行けるのはなかなか意思を持たないと困難だったり忘れ去ったりしてしまう。だからこそブログを書いてメモしているのかもしれない。ただ、聴いた音ってのは実は割と忘れない。それが素晴らしければ必ず。そうじゃない場合は…、なかったことになることもあるが(笑)。

 長々と何を書いていたのかと…、こんだけ色々とアンテナを張って情報もらって手を出している浮気者なクセにまだまだ知らない世界が英国を基本としたロックの世界にあるのかと思ってさ。なんて広い世界なんだ…と自分の浅はかさを知る…っつうか元々全部を制覇しようとかいう大胆なことは思っていないのだけれど、多少は英国ロックわかるかな、って思ってたからさ。70年代はそれなりかもなぁ…、でも、まぁ、以降はそれほど追求もしてないから当たり前か…。

 Karnatakaっつうバンドがあって…、こないだのPanic Roomの母体となったバンドらしいが、これがまた最高に素晴らしくて美しくて幻想的でシンフォニックで浮遊感漂いまくって心地良くって綺麗で自然なアルバムなんだ。「Delicate Flame of Desire」という2003年の作品にして最高傑作と名高いアルバムなのだが、全く謳い文句に引けを取ることのなく素晴らしい。こんな音世界を創り上げている人達がいるのか、ってくらいだもん。古い言い方すればRenaissanceの世界の拡張版で、歌声ももちろんクリスタルだけど優しいし、曲調はあそこまで躍動感に充ち溢れたものではないからもう少し落ち着いて聴けるという微妙な展開で、素晴らしい。なんて美しいのだろう…。実に優雅で高尚な音楽とは「Delicate Flame of Desire」のようなアルバムの事を指すのだろう。素晴らしい以外の言葉が出てこないんだよな。秋から冬にかけてハマりまくりたいバンドです。



Panic Room - Visionary Position

Panic Room : Visionary Position (2008)

Visionary Position Satelite
Equilibrium Equilibrium

 Porcupine Treeあたりを漁っている時にアマゾンのオススメみたいなトコロにやたらと綺麗なジャケットがいくつも並んでて、普段見ないジャンルのモノに取り掛かると大体そういうオススメのジャケットが気になってしまうのだ。そこでも一番気になったのがPanic Roomの「Visionary Position」というアルバムジャケット。モロに見た目通りに何とも言えない表情の女の子の顔面どアップなワケでしてね、そりゃ救いの手を差し延べたくなるってもんでしょう(笑)。

 そんなことで話の前後もバンド関係の前後も全く知らないままに聴いてみました。もうさぁ、どんなバンドからの派生で~とかアレコレ調べていくにはバンドの数が多すぎないか?それと皆あっさりとバンド脱退して次に行きます~ってのが多くて整理出来なくなってきた気がするんだよな、自分。そんなこと気にしなくて音が良ければいいんだ、という考え方は大賛成なんだが、良いものだとわかった時に調べて追いかけていける情報は必要なのだよ。だから何系の誰それで~と記憶しておかないといけないんだな。それがちょっと複雑になりかかってきた。

 さて、このPanic Roomというバンドも背景は多様だけど、まずは「Visionary Position」は2008年のアルバムってことだ。そしてアルバムジャケットから想像していた音はもっとヒステリック且つ耽美的なものかと思いきや、割と淡々とキッチュなポップを聴かせてくれたり、美しいバックの演奏と共にしっとりとロックを聴かせてくれたりして、プログレとかゴシックとかそういうのとは違う…、女の子が歌ったしっとりとした普通のロック…、普通ってもなぁ…アイドル的なロックじゃないし。やっぱり英国ウェールズ産のひっかかる部分は持ち得たロックです。ただ、不思議なことにこれまであまり聴いたことのないジャンルに属するようなロック…なんだよな。だから何みたいな~と言い辛いサウンド。不思議なものだ。メジャーシーンには踊り出てこないだろうけど、ちょくちょくと聴いていると非常に気になる存在かも。

 楽曲によっては10分を超えるものもあって、演奏力も割となのでふ~む…ってな。となるとどんなん?って調べてみるとシンフォニックロック系と呼ばれるらしいが…、なるほど、こういうのはそういう呼び方になるのか。確かに曲展開は多様で起伏に富んでいるし、メロディアスで音も繊細…、ふむふむ。深みがもうちょっとあれば面白いけどこれからかな。YoutTubeで見つけたPanic Roomの動画では「No Quater」ってのがある…♪





Ian Hunter - You're Never Alone With a Schizophrenic

Ian Hunter : You're Never Alone With a Schizophrenic (1979)

You're Never Alone With a Schizophrenic You're Never Alone With a Schizophrenic: 30th Anniversary Edition
You'reYou're Never Alone With a Schizophrenic (30Th Anniversary Edition)

1. Just Another Night
2. Wild East
3. Cleveland Rocks
4. Ships
5. When The Daylight Comes
6. Life After Death
7. Standin' In My Light
8. Bastard
9. The Outsider

 イアン・ハンター=Mott The Hoopleのフロントマン=英国バイオレンスロックの扇動者とも呼ばれた張本人によるソロアルバム。盟友ミック・ロンソンと組んでリリースした渾身の一作とも言える気合の一枚で、イアン・ハンターのキャリアの中ではかなり上位に位置するアルバムということに異論はないんじゃないかな。驚くのはこの「You're Never Alone With a Schizophrenic」という作品のバックバンドにあのブルース・スプリングスティーンのバックバンドとして名高くなったEストリートバンドを配しているということだ。どんな経緯でイアン・ハンターのバックにブルース・スプリングスティーンのバックであるEストリートバンドが付いたのか…、しかもプロデュースまで任せているようだ。おかげで「You're Never Alone With a Schizophrenic」はまるでアメリカンロックを聴いているかのようなカラッとした空気感と清涼な雰囲気さえ漂う英米融合作の代表とも言うような音として出来上がっている。それでもポップチャートを登らなかったことはイアン・ハンターの意地…ではないけど、英国性が高かったからだろうか。

 そんなことで聴いているとかなり違和感を覚えるしこの空気感って妙~だななんてわかるんだよ。わかるけど、作品の質はきっと高いに違いない。軽快なロックンロールから「Ships」や「The Outsider」みたいな美しいバラードで歌いあげるイアン・ハンター、軽快なポップスのような「When The Daylight Comes」…、どこを切っても素晴らしい作品だ。だ。だ。だが…、Mott The Hoopleから追いかけていたファンにはこの毒気の無さは失望しただろうと思う。イアン・ハンターソロ作品から入ったリスナーには大好評だろうけど。

 自分的には…、まぁ、何度も聴かないアルバムかな。最近こんなブログを書いているが故にどこか評論っぽく聴いていたり書いたりするクセが付いてきてしまったのでイカンのだよ。素直に感情だけで書かないとさ。せっかく作ったアルバムだからどこか絶対良いところがあるに違いない、って思って聴いてしまっているので好き嫌いが後回しになってるんだよな。まぁ、そのほうが平等なんだろうが。
…って言うジレンマも含めて、良い作品です、「You're Never Alone With a Schizophrenic」は。普通に聴けばたいていハマるアルバムとして仕上がってますよ。特にアメリカンを好む傾向のある方は良いでしょ。今は30周年記念盤ってのも出ているらしくてジャケットが逆になってるんだな…、後は曲がいくつか多いみたい。




Chapman Whitney - Streetwalkers

Chapman Whitney : Streetwalkers (1974)

STREETWALKERS(ストリートウォーカーズ)(直輸入盤・帯・ライナー付き) First Cut

First First Cut

1.Parisienne High Heels
2.Roxianna
3.Systematic Stealth
4.Call Ya
5.Creature Feature
6.Sue and Betty Jean
7.Showbiz Joe
8.Just Four Men
9.Tokyo Rose
10.Hangman

 古き良き英国ロックの世界に戻ってみて、白人ながらもソウルフルな歌声を持つ人物ってのも何人も存在するんだけど、多分一番不運だったような気がするのがファミリーで知られたロジャー・チャップマンじゃないだろうか?いや、不運っていうのも言い方が悪いんだけど、凄い歌声持ってるんだけどパートナーに恵まれなかったというのか、もう一つ弾けてもらってもよかった、みたいな感が強いんだよね。FamilyってJohn Wettonが在籍していたおかげで、知られているっていう側面の方が大きい感じがしてさ、結局John Wetton在籍時はイマイチ、っていうのにも拘わらずね。まぁ、そんなこともあって勢い余ってFamilyを解散させたロジャー・チャップマンが同胞のチャーリー・ホイットニーと共に再度創り上げたプロジェクトがこのChapman Whitneyの「STREETWALKERS」で、この後は「 Streetwalkers」をバンド名として活動していくこととなる。蛇足だけど、今のIron MaidenのドラマーであるニッコはこのStreetwalkersのドラムでもあったという繋がり。英国ロックは深いのだ。

 そんでまたこの「 Streetwalkers」という作品に招集されたゲスト陣営がものすごい豪華になっていて、こんな感じ。

Roger Chapman (vocals, percussion), Charlie Whitney (guitars, steel guitars), Max Middleton (keyboards), Tim Hinkley (keyboards, vocals), John Wetton (bass, Vocals), Ric Grech (bass), Neil Hubbards (guitar), Ian Wallace (drums), Mike Giles (drums), Godfrey McLean (congas), Poli Palmer (electric vibes), Linda Lewis (backing vocals), Jim Cregan (backing vocals), Boz Burrell (backing vocals), Mel Collins (all brass and woodwind and arrangement on "Showbiz Joe"), Del Newman (string arrangements)。

 ざっと見てわかるようにKing Crimson陣営がガンガン参加しているし、マックス・ミドルトンやリンダ・ルイス、ジム・クリーガンなんて布陣も参加しているのでその実英国ロック一大セッションにもなっているのでもっともっと話題になっていてもおかしくないのだが、そこはロジャー・チャップマンの不運さを物語っている(笑)。アルバム的に面白くないんですよ…、いや面白くないというよりもセッション的に個性がそれなりに際立った作品ではあるけど平凡になってしまっているんです。どれもプレイヤーとしての力量は存分に発揮していると思うが、楽曲の問題かねぇ。セッションプレイヤーに罪はないんだけどね、地味になってしまってる。

 それでもやっぱりKing Crimson的な位置を期待してしまうんだが、そこはメル・コリンズが美味しいところを持っていきます。アチコチで独特の演奏を聴かせてくれるもんね。数多くのドラマー勢は期待したほどの個性を発揮できていない…のはやっぱり楽曲の問題かなぁ。悪くないし、英国的だけどな…。FamilyとKing Crimsonって別に音楽的にリンクすることはないんだけどバンド単位では割と遭遇しているので、「 Streetwalkers」ではその二つを組み合わせたようなサウンドになっているのは面白い試みだけどね。でもやっぱロジャー・チャップマンは小技使うよりも熱唱していてもらいなぁ。どうも今は「First Cut」ってタイトルとジャケットで曲順が変わってアメリカ盤がリリースされて容易に手に入るらしいので聴いてみて下さい。



Ike & Tina Turner - Get Yer Ya-Ya's Out! 40th Deluxe Edition

Ike & Tina Turner : ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!<40周年記念デラックス・エディション>(1969)

ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!<40周年記念デラックス・エディション>(DVD付) Live in 71 (2pc) (W/CD) (Coll Dol) [DVD] [Import]
Get Get Yer Ya-Ya's Out! Ultimum Ultimum Maximum (Live)

06.Gimmie Some Loving
07.Sweet Soul Music
08.Son Of A Preacher Man
09.Proud Mary
10.I've Been Loving You Too Long
11.Come Together
12.Land Of 1000 Dances

 この頃のストーンズは全く怖いものなしでR&Rの王道を進んでいただろうし、その自信の表れのひとつが「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!<40周年記念デラックス・エディション>」によるライブの集大成だ。恐れ多くもデビュー5年に満たない若造ロックンローラーを名乗る連中が、B.B.KingとIke & Tina Turnerというそれぞれの領域での王道を歩む連中をオープニングアクトに起用してイベント形式でライブを行ってしまうワケだから。そんな歴史の一ページがこの時代になって日の目を浴びるというのは実にありがたいし面白いし、なるほど…と納得するものも多い。今回はそんな中からIke & Tina Turnerのパートとして収められた7曲にスポットを浴びせてみよう。

 まぁ、なんだ…、この時代には既にR&Bの世界ではある程度確立していたIke & Tina Turnerということだから、全く油の乗った時期だったんだろうと思う。そこで曲目を見てまず最初に、「ん?」と思うのはどれもこれも見た記憶のある曲のタイトルが並んでいたワケだ。はて?と思ったが音を聴いてみてなるほど…と。全曲カバーだったというのはその通りだった。背景的にはストーンズを見に来たロックファンに向けてわかりやすく自分たちを理解してもらおうという試みが強かったんだろう。その結果、「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!<40周年記念デラックス・エディション>」を聴く限りに於いては馴染み易く聴きやすい音の収録になっているので嬉しいものだ。やっぱ知らない曲だけど聴いててすごいな、っていうソウル系の歌って、歌中心になっちゃうから、それよりも良い楽曲をソウル系の人が歌うと更に凄さが増すっていう方が好ましいもんな。

 で、その楽曲群だが、「Gimmie Some Loving」はSteve WinwoodがSpencer Davis Group時代に書いた曲で、もちろん良い曲なんだが、ここでのTina Turnerの歌では更にパワーアップした本家本元の黒人歌で聴けるのは面白いね。ウィンウッドもこう歌いたかったんだろうと言うのもわかるし。短いけどおぉ~!と唸ってしまった一曲。「Sweet Soul Music」「I've Been Loving You Too Long」は言わずと知れたOtis Reddingで知られているからねぇ…、この辺は前年のモンタレーでのオーティス・レディングのパフォーマンスによる知名度からロックファンに浸透しただろうという試みか、単にオーティス・レディングの名曲を、ということかもしれないね。「Son Of A Preacher Man」はこの時代には珍しかった白人女性ソウルシンガーDusty Springfieldのヒット曲。知ってる人も多かっただろうし、メロディがよろしいよね。それを本家の黒人が歌うとこうなります、ってことで凄いパフォーマンス。「Proud Mary」はCCRのアレです。あの軽いロックなタッチがこうまでソウルにグリグリと化けるってのは面白いなぁと。「Come Together」は言わずもがなのビートルズだけど、なんとまぁ恐ろしいまでの迫力満点のパフォーマンス。「Land Of 1000 Dances」はあの「ダンス天国」なので定番的なんだろう、と。

 いや、それにしても普段全くこういうソウルなものって聴かないので、こうしてジョイントで収録されていると聴く気になって良いね。しかも並大抵の音じゃなくて多分最高級のサウンドだから余計にソウルって凄いな…と。Tina Turnerってほとんど通ってないからなぁ…。



B.B.King - Get Yer Ya-Ya's Out! 40th Deluxe Sdition

B.B.King : ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!<40周年記念デラックス・エディション>(1969)

ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!<40周年記念デラックス・エディション>(DVD付) Live at the Regal
Get Get Yer Ya-Ya's Out! Live Live At the Regal

01.Everyday I Have The Blues
02.How Blue Can You Get
03.That's Wrong Little mama
04.Why I Sing The Blues
05.Please Accept My Love

 B.B.キング目当てでこの「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!<40周年記念デラックス・エディション>」というストーンズの40周年記念版を買う人もそれほどいないだろう。当然ストーンズ目当てだけどB.B.KingもIke & Tina Turnerが付いてるからお得だ、という意味合いで購入する人が多いはず。もちろんこの時点ではB.B.Kingってのはそんなにメジャーな人ではなかったのだろうと思う。よくわからんけど。だとするとストーンズのこの「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!<40周年記念デラックス・エディション>」である程度世間に対して、またロック・フィールドの連中に対してのアピールが大きく出来たこととなる。ましてやアメリカの東海岸でのショウだから、アメリカ人にとっても大一番だったことは想像に難くない。

 そんなB.B.Kingが44歳の頃のライブが記録されているのが「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!<40周年記念デラックス・エディション>」だ。既にデビューして10年以上のキャリアを誇っていたB.B.Kingだったワケだし、アルバムもそれこそ山のようにリリースしていた多忙な頃、名盤として名高い「Live at the Regal」なんてのが1965年にリリースされていたからそれなりの知名度はあったのかな。自分的に知っていて好きなのは1967年の「ザ・ジャングル」っつう作品だけど、まぁ、それくらいの頃にこのイベントのライブに登場したワケだな。そういう意味ではもちろん百戦錬磨のライブのプロ。ただし、MSGなんていう巨大な箱でプレイしたことがあったとはあまり思えないので、一世一代の出番とばかりに出演していたのかもしれない。

 そんなB.B.Kingの大一番のステージを5曲も収録してくれた、正に油の乗り切った全盛のショウを聴かせてくれます。B.B.Kingと言えばオブリだけでスクイーズギターをカマしてくれて、その一音一音が強烈にハートに突き刺さる名手なのだが、もちろんこの時代に既にそんなギターの手法は確立されているので、今と変わらないサウンドを聴かせてくれるのも凄い。いや、もちろん熱気とか色気とか艶やかさとかいうのは全然「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!<40周年記念デラックス・エディション>」の方が凄いんだけど根本的にやってることが変わっている人じゃないから、いつものB.B.Kingだよな、と思って聴いてみれば良いんだけど、それでもグルーブ感は強烈だしね。ロックほど波があるライブにならないのが純正ブルースの落ち着いているところ。ハコバン的なショウばかりをこなしているからステージごとに差が出てはいけないってのを知ってるんだろう。

 それを差し引いても上記の曲を演奏だ…、今でもやってる曲がいくつか散見される…ってことはもう全然変わらない人だったのだ(笑)。たださぁ、このスクィーズギターのエロさって凄いぜよ。バックのベースとかドラムやホーンセクションのノリも凄くて熱演している。そんな模様がはっきりとわかるのが「Why I Sing The Blues」かな。5分半くらいの演奏なんだけど客声が凄くクローズアップされてるからかもしれないが、バンドの力量を純正ブルースのプライドと併せて聴けるし、やっぱりB.B.Kingのギターに酔う。なんてこった…、ロック以上のブルースだぜよ、こいつは。こんだけ盛り上げておいてそのままの流れからスムーズに「Please Accept My Love」なんて言うメロウな曲へ雪崩れ込むんだが、ここでの冒頭のB.B.Kingのプレイと来たらマネの出来ない色気がある。素晴らしい。そして味のある歌声で正にアメリカンエンターティンメントの40sを思い起こさせるステージショウ。素晴らしい。

 ストーンズの名盤を買い直してみたらB.B.Kingが付いてきた…ところがストーンズの演奏をトリとして聴くためにB.B.Kingを聴いていたらこいつが凄くて凄くて…って言うパターンこうしてロックの世界…いや音楽の聴く幅が広がっていくのは良いね。うん。



The Rolling Stones - In Concert 40th Anniversary Get Yer Ya-Ya's Out

The Rolling Stones : In Concert 40th Anniversary Get Yer Ya-Ya's Out (2009)

Get Yer Ya-Ya's Out ザ・ローリング・ストーンズ / ギミー・シェルター 〈デジタル・リマスター版〉 [DVD]
Get Get Yer Ya-Ya's Out! (40th Anniversary Deluxe Version)

Disc 1:
1. Jumpin' Jack Flash
2. Carol
3. Stray Cat Blues
4. Love In Vain
5. Midnight Rambler
6. Sympathy For The Devil
7. Live With Me
8. Little Queenie
9. Honky Tonk Women
10. Street Fighting Man

Disc 2:
1. Prodigal Son
2. You Gotta Move
3. Under My Thumb
4. I'm Free
5. (I Can't Get No) Satisfaction

 書きたい書きたいと思いつつもなかなかタイミングが来なくて、来ていたのにすっかり失念していたりして流れに乗り損ねていたおかげでリリースから半年以上も遅れてしまったTHe Rolling Stonesの名盤ライブ「Get Yer Ya-Ya's Out」の40周年記念盤デラックス・エディション。その間に「メイン・ストリートのならず者(スーパー・デラックス・エディション)」もリリースされてしまって全く出る間がなかったのだが…(笑)。それで、今が良いタイミングってワケでもないけど聴いていたらやっぱ書いておきたいな~と思って脈絡なく取り上げました。

 やっぱさ、一番過渡期を迎えた時期のライブ、しかも1969年の11月っていう時期でブライアン・ジョーンズを亡くし、ミック・テイラーを入れての全米ツアーを収録したものなので悪いはずがない…っつうか永らくアナログ時代からストーンズのライブ名盤として必ず挙げられてはいたハズだ。一方ダークサイドとして同じ時期のライブとして高名な「ギミー・シェルター」もあるが…、こちらは例の「オルタモントの悲劇」として知られているライブなので全くこの二枚は明暗くっきりした存在。もちろんライブの空気感も全く異なっているのは聴いていてもよくわかるくらいだ。演奏的にどっちがどうってのは好みになってしまうけど、自分は昔は「ギミー・シェルター」の方が好きだったな。今は「Get Yer Ya-Ya's Out」かもしれない…。

 そんな歴史の瞬間ではあるけど、「Get Yer Ya-Ya's Out」はその実結構なオーバーダビングが施されていたライブアルバムとしても知られていて、今回のリマスター時にはそれらのアフレコ音をカットして生のライブ音だけど収録することも検討されたのかどうかは知らないが、とても「Naked」としてはリリースできなかったようなので、そのヘンの経緯と生々しいライブ音が別の機会を待とう。そんな事情からか、折角の40周年記念盤なのに一枚目のディスクはオリジナルアルバムと同じ内容のリマスターとなっている。まぁ、これはこれで良いんだけどさ、ライブ盤のリマスターとかデラックス・エディション盤ってのはやっぱり拡張盤が望ましいし、好ましいのでねぇ…。そんなことでおまけには同じ1969年11月のMSG公演から5曲が収録されている。この理由は御存知の通り、当時のステージで演奏された曲ってことなので入れてあるのだな。だから曲順さえきちんとすれば一応1969年11月のMSGにタイムトリップできるよ、という配慮なのだろう。ちなみにそのセットリストはこちら。

Madison Square Garden, NYC, NY Nov, 1969

1. Jumpin' Jack Flash
2. Carol
3. Sympathy For The Devil
4. Stray Cat Blues
5. Love In Vain
6. Prodigal Son
7. You Gotta Move
8. Under My Thumb
9. I'm Free
10. Midnight Rambler
11. Live With Me
12. Little Queenie
13. (I Can't Get No) Satisfaction
14. Honky Tonk Women
15. Street Fighting Man

 まぁ、現実的にはMSGの前のBaltimore公演も入ってるんだが、それは良しとしてこんな曲順でライブは行われたようだ。やっぱり当時リリースされる媒体がレコードというフォーマットしかなかったのでA面B面に合わせた曲のスタートなんてのを意識した結果オリジナルディスクの曲順になったのだろう。それはよくわかる話で、だからこそ名盤と名高かったワケだ。当時から何十年も実際のライブがどうだった、とか曲順がどうだった、なんて気にする人は本当に僅かしかいなかったのだろうから。ここ最近だよね、そういうライブに関しても厳密な情報がわかるようになってからそういうニーズが出てきたのはさ。まだ十数年だよ、そういうのを意識し始めたのって。ただ、今回の「Get Yer Ya-Ya's Out」でもそういう点を意識したからこそこんなボーナスディスクが付けられているワケだろう。

 中味についてはさ…、もう言う事ないんだよね。オリジナルナンバーもカバーナンバーも全部ストーンズの色になってるし、堪らないタメが心地良いし。なんせミック・テイラーって凄く好きなギタリストなので、正に最強ストーンズの時代なんだよ。理屈抜きにR&Rを楽しめるライブでこんなにグルーブしているバンドってあるか?ってくらいに素晴らしいライブ。




 | HOME |  »

プロフィール

フレ

Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


ロック好きの…別館リンク


ブログ検索


最新記事


カテゴリー


最新コメント


最近のトラックバック


カレンダー

06 | 2010/07 | 08
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

過去ログ+

2017年 03月 【1件】
2017年 02月 【25件】
2017年 01月 【32件】
2016年 12月 【32件】
2016年 11月 【30件】
2016年 10月 【31件】
2016年 09月 【30件】
2016年 08月 【31件】
2016年 07月 【31件】
2016年 06月 【30件】
2016年 05月 【31件】
2016年 04月 【30件】
2016年 03月 【31件】
2016年 02月 【29件】
2016年 01月 【32件】
2015年 12月 【32件】
2015年 11月 【30件】
2015年 10月 【31件】
2015年 09月 【30件】
2015年 08月 【31件】
2015年 07月 【31件】
2015年 06月 【30件】
2015年 05月 【31件】
2015年 04月 【30件】
2015年 03月 【31件】
2015年 02月 【28件】
2015年 01月 【32件】
2014年 12月 【31件】
2014年 11月 【30件】
2014年 10月 【31件】
2014年 09月 【30件】
2014年 08月 【31件】
2014年 07月 【31件】
2014年 06月 【30件】
2014年 05月 【31件】
2014年 04月 【30件】
2014年 03月 【31件】
2014年 02月 【28件】
2014年 01月 【32件】
2013年 12月 【32件】
2013年 11月 【30件】
2013年 10月 【32件】
2013年 09月 【30件】
2013年 08月 【31件】
2013年 07月 【31件】
2013年 06月 【30件】
2013年 05月 【31件】
2013年 04月 【30件】
2013年 03月 【31件】
2013年 02月 【28件】
2013年 01月 【32件】
2012年 12月 【32件】
2012年 11月 【30件】
2012年 10月 【31件】
2012年 09月 【30件】
2012年 08月 【31件】
2012年 07月 【31件】
2012年 06月 【30件】
2012年 05月 【31件】
2012年 04月 【30件】
2012年 03月 【31件】
2012年 02月 【29件】
2012年 01月 【32件】
2011年 12月 【31件】
2011年 11月 【30件】
2011年 10月 【31件】
2011年 09月 【30件】
2011年 08月 【31件】
2011年 07月 【31件】
2011年 06月 【30件】
2011年 05月 【31件】
2011年 04月 【30件】
2011年 03月 【31件】
2011年 02月 【28件】
2011年 01月 【32件】
2010年 12月 【32件】
2010年 11月 【30件】
2010年 10月 【31件】
2010年 09月 【30件】
2010年 08月 【31件】
2010年 07月 【31件】
2010年 06月 【30件】
2010年 05月 【31件】
2010年 04月 【30件】
2010年 03月 【31件】
2010年 02月 【28件】
2010年 01月 【32件】
2009年 12月 【32件】
2009年 11月 【30件】
2009年 10月 【31件】
2009年 09月 【30件】
2009年 08月 【31件】
2009年 07月 【31件】
2009年 06月 【30件】
2009年 05月 【31件】
2009年 04月 【30件】
2009年 03月 【31件】
2009年 02月 【28件】
2009年 01月 【32件】
2008年 12月 【32件】
2008年 11月 【30件】
2008年 10月 【31件】
2008年 09月 【29件】
2008年 08月 【30件】
2008年 07月 【30件】
2008年 06月 【30件】
2008年 05月 【31件】
2008年 04月 【30件】
2008年 03月 【31件】
2008年 02月 【29件】
2008年 01月 【31件】
2007年 12月 【29件】
2007年 11月 【30件】
2007年 10月 【29件】
2007年 09月 【28件】
2007年 08月 【31件】
2007年 07月 【30件】
2007年 06月 【29件】
2007年 05月 【30件】
2007年 04月 【30件】
2007年 03月 【26件】
2007年 02月 【27件】
2007年 01月 【20件】
2006年 12月 【31件】
2006年 11月 【30件】
2006年 10月 【31件】
2006年 09月 【30件】
2006年 08月 【31件】
2006年 07月 【31件】
2006年 06月 【30件】
2006年 05月 【31件】
2006年 04月 【30件】
2006年 03月 【31件】
2006年 02月 【28件】
2006年 01月 【31件】
2005年 12月 【31件】
2005年 11月 【30件】
2005年 10月 【20件】


リンク


RSSフィード


全記事表示リンク

全ての記事を表示する


QRコード

QR

Click! Click!


楽天市場
HMVジャパン

Amazon