Cheap Trick - Cheap Trick

 70年代アメリカンロック…っていう流れからするとかなり異色な部類に入るんだろうけど、それでもしっかりと70年代アメリカのロックバンドという称号を獲得しているチープ・トリック。特に日本に於いてはクイーンと共に日本から人気の出たバンドということでバンド側も日本には思い入れがあるようだ。しかし当時の少女達がそういうバンドには目ざとい確かな眼力を持っていたようだ…。

Cheap Trick 蒼ざめたハイウェイ

 1977年にリリースされたチープ・トリックのファーストアルバム「Cheap Trick」。ギタリストのリック・ニールセンは既に当時は名の知れたギタリストだったようだが、もちろんメジャーを制覇できるほどのものではなかったためか、自分のバンドを大事に育てていきたかったからなのかジョン・レノンのアルバムレコーディングの話を断ったとか…。まぁ、それはともかく、1977年と言えばもうエアロスミスやキッスが大ブレイクしていて、それらの前座としてツアーを回っていたりするので、ちょっと後輩なのだろうけど、音的にはキッスと狙いが同じだったのかもね。これも実は結果論だけどさ。

 そもそもこのファーストアルバム「Cheap Trick」を聴いてみるとわかるんだけど、凄い意欲と実験精神に溢れていて、普通にアメリカンロック・ポップスです、なんて軽く言い放てるレベルではなくて全然真逆のアグレッシブな作曲とバンド演奏による取り組みってのがわかる。もっとも後に聞かれる軽快なメロディやおふざけ的なR&Rみたいなのは出てくるんだけど、それよりももっと器用に展開してくれる。「Taxman, Mr. Thief」とか凄いもんね…、驚いたよこれは。昔聴いた時はファースト「Cheap Trick」って結構地味だな…と思ってどうしてもセカンド「蒼ざめたハイウェイ」とか「天国の罠」を聴いていたからさ。ファースト「Cheap Trick」のこのアグレッシブな取り組みにはなかなか気付かなかった。

 その分チープ・トリックらしい軽快なサウンドってのはちょっと違うポジションにあるので多分異質なアルバム。それでもしっかりボーナストラック付きバージョンでリリースされていて、カタログ的にも自信ありげに扱われているのは嬉しい。まぁ、ジャケットにしてもルックスをきにせずに全員平等に扱っているのも珍しいしね(笑)。



Elf - Elf

 春ってのは昔からキライではないのでどこか区切りにしたい季節ではあるが、なかなかそういう出来事でもないと気分は変わらないのも事実。ただテレビ番組が一新されるとか、そういう所で区切りの基準を見つけるってのはあるか。このブログサイト自体はそれこそ大した変化もなく日夜更新をひたすら続けているので少々アクセントを加えたいと考えてはいるのだがなかなか…、きちんと考えないとね。

Elf The Elf Albums

 さて、1972年頃のアメリカのロックシーンはちょこちょことハードロック的なバンドが出てきたりして英国ロックからの逆輸入というようなサウンドが出てきた。エアロスミスやキッスなんてのもそういう例のひとつだけど、割とマイナーながらもしっかりとそんな流れを汲んだElfにしてもそうだ。ストーンズやフェイセスタイプのR&Rバンドっていうのも元はアメリカからの輸入だったのに、そいつを更に取り入れたというもう何でもありの世界なんだけど、それがまた確かに変わった味付けになっているから面白い。

 エルフって言えばもちろんあのロニー・ジェイムズ・ディオがボーカルだったバンドですね。はい、レインボウに引き抜かれるまではアルバム三枚も出してて、活動歴も1970年からだから多分6~7年くらいはやってたってことだ。そこをリッチー・ブラックモアが引き抜いてしまうのだが…、もっとも当初のレインボウはご存じのようにエルフのメンバーごと乗っ取ったようなものだから今更というのもあるが。

 そしてエルフのファーストアルバム「Elf」は1972年にリリースされていて、アルバムジャケットもなかなか秀逸なアメリカ産とは思えないアートワークで、非常によろしい。英国のレーベルからリリースしてもらいたかったものだ。そしたら多分かなり重宝したバンドとしてコレクターズアイテムとなっただろうに。それはともかく、音の方はホントにスタンダードなR&Rバンドを踏襲してはいるものの、かなり後のハードロック的なセンスが持ち込まれていて、なかなか好ましい。別にディオの歌でなくても良いんだけど、ディオだからこそバンドにスジの通った良いスタンスを持ち込めているし、ギターも結構好みだな。ホントにアメリカ人バンドか?と思うくらいに曲によっては英国的。3曲目の「Never More」とか凄く英国的だもん。

 HR/HMを意識しないで70年代初頭のR&Rバンドっていう聴き方したらエアロスミスなんかよりも全然出来てるし、もっと売れてもおかしくなかったんじゃないか?多分、同じようなバンドは英国からアメリカ制圧として出てきているから市場からしても不要だったのかもしれないが。今聴いてみるとかなり良いセンス。三枚のアルバムがリリースされるくらいのバンドだったのは納得です。



Aerosmith - Get Your Wings

 70年代中期頃までのアメリカンロック…、ハードロックと呼ばれる類のバンドの音ってのはもう大陸的に広がりを見せるサザンロック傾向とか脳天気にスカッと大音量で〜なんていうものが出始めてきたくらいで、マウンテンやアリスクーパーなんてのは結構英国的な要素が強いロックサウンドで、まだまだアメリカンロックの定義がそんなにスカッとしたものとは定義されていなかったくらいだ。後はレイドバックしたものが多かったみたいだしね。

飛べ!エアロスミス(紙ジャケット仕様) 野獣生誕(エアロスミスI)(紙ジャケット仕様)
Aerosmith - A Little South of Sanity A Little South of Sanity

 1973年にエアロスミスがボストンの片田舎から出てきたところでそんなにシーンは変わらなかったし、話題にもならなかったようだが、エアロスミスってのはもう英国のロックにひたすら影響を受けたバンドで、ただただロックが好きというジョー・ペリーの気質が可愛らしい。もっともバンドそのものはスティーブン・タイラーにより牽引されていたのだが、ライブやルックスなどではそれだけではなくバンド全体が野性味に満ち溢れていて魅力的だったハズだ。ただ、出てくる音が英国のそれと非常に近く、今でこそアメリカンハードロックの帝王みたいに言われているが、初期の作品聴いてるととてもとてもそんな風には思えない。70年代のエアロスミスと80年代以降とは大きく異なるバンドなのだよ。

 そして1974年にリリースされたセカンドアルバム「飛べ!エアロスミス」です♪ いや、ファースト「野獣生誕(エアロスミスI」はもう書いているから単にセカンド「飛べ!エアロスミス」ってことなだけで、別に初期なら何でも良いんだけど、三枚目の「闇夜のヘヴィ・ロック」からは売れていって、名盤と名高い「ロックス」で極める。極めても堕落に向かう陰りがあるのが良いね。そんなことでセカンドアルバム「飛べ!エアロスミス」なんだが、チープで野性的なファースト「野獣生誕(エアロスミスI」とゴージャスなゆとりすら感じさせる傑作「闇夜のヘヴィ・ロック」の間に挟まれたアルバムということで後に聴いた時のインパクトはちょっと弱い。弱いけど、決して駄作ではないし、今でもライブで取り上げられる曲だっていくつか入っている。なのにあまり会話にされることのなうアルバムなんだな。

 自分的には若い頃にエアロスミスにハマって、結構ファーストから順番にアルバムをじっくりと聴いていったからしっかりと意識して聴いたアルバムだけど…、そうだな、ちょっと地味っていう印象はあった。でも「Same Old Song And Dance」もあったし「S.O.S」とか…、何と言っても「Train Kept A Rollin'」があったから聴いたわ。今また聴いてみるとこのシンプルな音のロックンロールってアメリカとは言い切れない陰湿さを持っているし、スティーブン・タイラーの作詞作曲能力の高さを実感する。毒もあり華もあり、かっこよさもあるという典型的なR&Rバンドをそのまま描いて突き進んだエアロスミスの若い時代。うん、音も含めて相当かっこよいぞ。こういう刺激って今なかなか味わえない…。

 今の時代ってエアロスミスの昔のってどういう風に聴かれているんだろ?そもそも全アルバム聴くぞ、っていう風になるヤツって多くはないんじゃないだろうか?そう考えるとなかなかロックを聴くってのも変わってきているんだろうな…などと余計なことを考えてしまう(笑)。





New York Dolls - Too Much To Soon

 世に放つインパクトってのがロックの醍醐味でもあり一般人とは異なる世界観を体現していたり、だからこそヘンな所に拘る…一芸に秀でていたというような図式がまかり通っていた華やかな時代。それこそがロックのロックたる世界で、輝かしいのだと思うのだが最近のバンドは全く…、いや、それは良しとして(笑)。まずはこのバンドのこのジャケットですよ。見てくれれば一目瞭然、これこそロック。

悪徳のジャングル+4(紙ジャケット仕様) From Here to Eternity: The Live Box Set
New York Dolls - Too Much Too Soon Too Much Too Soon New York Dolls - Rock 'n Roll Rock'n Roll

 ニューヨーク・ドールズの1974年リリースのセカンドアルバムにしてジョニー・サンダース参加の最終作品「悪徳のジャングル」。まぁ、ニューヨーク・ドールズの場合は初期二枚だけがオリジナルアルバムとして認識されているのだが、とにかくこのジャケットだ。ファースト「ニューヨーク・ドールズ」のグラマラスでヤバそうなジャケットも衝撃的だったが、セカンドの「悪徳のジャングル」はコレだ。一体どんなライブステージだったのだろう?とかヤバすぎないか、このルックスは…とか、イロイロと思うのですよ、こんだけ華があってトゲがあると。特にジョニー・サンダース(右端)のかっこよさと言ったら堪らないものがある。どんな髪形?んでこれってどんなギターなんだ?とかね、思った。レスポールスペシャルなんつうのがあるってのはここで知ったもん。そしてデヴィッド・ヨハンセンのクネり方もヤだねぇ(笑)。ミック・ジャガーみたいなもんだが、もっとわいせつさ度合いが高いのだ。

 さて、「悪徳のジャングル」の中味だがファースト「ニューヨーク・ドールズ」でかっちょよい要素は全て使い果たしてしまったのか、クォリティ的には圧倒的にファースト「ニューヨーク・ドールズ」に劣るような気がするが、その分ゆとりを持って多様な取り組みに挑戦している。おかげでニューヨーク・ドールズらしいケバケバなR&Rと言うよりもカバーソングをニューヨーク・ドールズ風にやるとこうなる、っていうのが多い。もっともそれだけ確立してしまっていたってのは凄いのだが…。

 まぁ、最初に聴いたのが15〜16歳頃だったのでそんなオリジナルがどうのとかアレンジがどうのとか関係なくとにかく凄くかっこよく聞こえたものだ。今でもそのせいでこんあにダサいのにかっこよく聞こえるんだもん(笑)。ハチャメチャなニューヨーク・ドールズのライブの様相を思い浮かべながらよく聴いたわ、コレ。しかし今聴くとホントにイマイチなアルバムだな(笑)。いや、良いのだ、これがニューヨーク・ドールズなのだ。

 最近では4曲のボーナストラック入りでSHM-CDで出てるんだね…、定期的に需要があるアルバムってことなのだろうから、このインパクトに惹き付けられる若い世代はいつの時代もいるってことにちょっと安心したい…ん?何回も買い直す世代向け?



Kiss - Hotter Than Hell

 ショックロックの代表的なバンドってのはそれほど思い付くモノじゃないな…などと思っていたら、気付いた。大道芸人のプロがいるじゃないか、と。そう、キッスですね。もっともショックロック的に狙っていたのかどうかってのはちょっと疑問があるんだけど、日本の歌舞伎のメイクをモチーフにして悪魔的…というのを出したらしいけど、アリス・クーパーの意図とは大きく異なるような気がする。まぁ、今更キッスについてあれこれと何かを書くこともないだろうけど。

地獄の叫び(紙ジャケット仕様) 地獄からの使者~キッス・ファースト(紙ジャケット仕様)
KISS - Hotter Than Hell Hotter Than Hell KISS - Alive! ALive!

 1974年2月にファーストアルバム「地獄からの使者~キッス・ファースト」で出てきて、同じ年の10月にはこのセカンドアルバム「地獄の叫び」をリリースしているのだから凄いペースだ。ツアーにしてももちろん前座扱いとして組まれるものの、徐々にヘッドライナーのバンドの方がイヤがるようになるワケだ。そりゃもちろんそうだろう…、こんなにわかりやすくロックを体現しているワケだからキャリアがどうとか言う前にリスナーは持って行かれますよ。当時このセカンドアルバム「地獄の叫び」がリリースされる頃には既にヘッドライナー級のバンドになっていたようで、前座の方が持ち上がってしまっていたとか…。

 さて、キッスというのは初期三枚と「アライヴ!~地獄の狂獣」、その後三枚と「アライヴII」で一区切りしてメイクを落とすまでの間、とそれぞれの期が分けられるので…、自分的にはそんな感じで区切ってるんだけど、それぞれの面白さがあって、その完成度の高さと狙いの良さには舌を捲くね。特に初期三枚はポップでキャッチーでR&Rでもあるというメロディセンスの良さが圧倒的に前面に出てきているし、このセカンドアルバム「地獄の叫び」でも同様の曲が多い。ファースト「地獄からの使者~キッス・ファースト」の方がそのインパクトが強いんだけど「地獄の叫び」も何度か聴いているとやっぱり良くできてる、ってことに気付いてハマっていくんだよ。単純ながらも飽きさせない音で全米を制覇したキッスを久々に楽しもう。

 とにかくかっこよいリフが結構並んでいてさ、「Parasite」や「Watchin' You」、もちろん「Hotter Than Hell」や「Let Me Go R&R」なんてのはもう当たり前だけど、そのソリッドなリフの良さって初期キッスのお家芸でしょ。レスポールらしからぬシャープさがあるところがちと不思議だけど、音は太いからやっぱりレスポール?ってのはある。しかしどの曲取ってもかっこよいな…。アルバムが30分強と短めで聴きやすいってのも狙っていたんだろうけど、今の時代になってもこのコンパクトさは非常によろしい。キッスアーミーがゾクゾクと膨れ上がったのは十分にわかる傑作。



Alice Cooper - Killer

 先日テレビでBBCの「Top Of The Pops」か何かの総集編みたいなのが放送されていて見てたんだけど、まぁ、時代だな(笑)。結構顔を知らない自分に気付いた。もっとも動いてるのを見ることも少なかったからだろうけど、何となくっていう人達はやっぱ分からないな…。その中でもちょっと意外だったのはバックの面々はグラマラスにキラキラの衣装だったのに本人が出てきたら一人だけ超ダーク、っていうギャップを楽しめたのがアリス・クーパー。さすがに異世界の人でした。


Killer School's Out
Alice Cooper - Killer Killer Alice Cooper - School's Out School's Out

 1971年リリースのメジャーレーベルからの二枚目の作品「Killer」でして、Blackfootの「Strikes」とはほぼコンセプトが同じようなジャケットってことで登場です。こっちのがやっぱ毒があるかな。ロックの名盤何とかとかよくあるんだけどさ、「Killer」ってのは70年代のアメリカって括りだったら絶対に出てくるようなアルバムで、それもそのはずで後の多数のハードロックバンドなどがカバーすることの多かった「Under My Wheels」が冒頭に収録された作品だね。ところが割と多様な曲が詰め込まれていて実験的に色々とやっている曲もあるから面白い。アメリカのこの時期でこれほど意欲的に取り組んでいる人も多くはなかったんじゃないか?キッスもエアロもまだまだ出てきてない頃だし。

 もちろん音そのものはかなりチープに聞こえるし、バンドもそれほど上手いワケじゃないけどやっぱり歌のインパクトがルックスを見ないでも出ている。ルックスを知ってれば更に印象付けられるだろうが、かなり変わった歌だな…というのは分かる。それと良い意味でハチャメチャ。バンド全員がルールなんてそれほど気にすることなくアイディアを詰め込んでいるのが分かるし、どことなくコンセプトも伝わってくるもん。

 一般的に露出してきたのはこの後の「School's Out」かららしいけど、多分初期アリス・クーパーの傑作はこの「Killer」じゃない?ハードロックと言われたりショックロックと言われたりするけど、単にインパクトのあるロック、という辺りに落としておく方が聴きやすいし、今聞いてハードロックとか言えないし(笑)。ただ、熱いねぇ〜、この熱さが良い。淡々としたところも良い。アリス・クーパーって不思議な人でアメリカンってのはあまり感じないもんな。オバカな所はアメリカってのあるけど音的にはあまりね、ない。シアトリカルだからかもしれないけど。



Blackfoot - Strikes

 英国ロックに影響を受けたアメリカのバンドって70年代中期以降は多いんだろうと思う。そりゃあんだけ英国のロックが流出していけばキッズ達がこぞって聴きかじって影響を受けるってもんだ。そいつらがロックをやり始めるのだから…、いや、こういう傾向は日本も同じだからさ、独自のロック文化になっていくんだけど、アメリカの場合はそこに土着性が入るからちょっと変わった感じになるのもある。南部の大らかな人間が英国ロックを吸収して邁進していったのは何もHydraだけではなくって意外なところ、レーナード・スキナードからの離脱者リッキー・メドロックが始めたバンドも代表的。

Strikes Live
Blackfoot - Strikes Strikes Blackfoot - Highway Song Live Highway Song Live

 ブラックフットが1979年にリリースした作品「Strikes」を久々に…、コレさ、ジャケットもインパクトあるし音もかっちょよかったよな…って記憶からですが、そもそも「Highway Song Live」っつうライブ盤があって、それが好きで聴いてたのから、スタジオテイクってのを聴いてみたくて「Strikes」をチョイス。ついでにフリーの「Wishing Well」もやってるから気になったんだな。もうさ、大らかな南部のゆったりとした大地で奏でられる雰囲気はそのままで小技とか一切なくってね、心地良いんだな。ギターにしてもキュイーンって入ってくるのがサザンロックの影響下。もっと暑くなってから聴くべき音だったな(笑)。

 オープニングからザクザクと快活なサザンハードロックが演奏されてさ、一発でキライって言う人は多分いないんじゃないだろうか、っつうくらいある意味害がない音。しつこくもないし、カラッとしててアメリカの空気を感じるようなね、そんな感じが良いんだろう。フリーの「Wishing Well」だって同じ目線とレベルでプレイされているんだから恐れ入る。一方でポール・ロジャースはアメリカな音を目指してバドカンやってたのに、アメリカ人によるフリーのカバーがこうも簡単にアメリカンになっちゃうってのが凄い。歌声の違いもあるみたいで、発音もはっきりしてるしイロイロと要素があるが…。

 そして待望の「Highway Song」はアルバムの最後を飾る大曲として登場するんだけど、やっぱり名曲の域に入ってる曲でレーナード・スキナードの「レーナード・スキナード - The Essential Lynyrd Skynyrd - Free Bird Free Bird」のような位置付けだろう。アルペジオから泣きのギターソロで曲が始まりほぼ全く「Free Bird」と同じ曲構成で進んで最後は怒濤のギターソロという展開…、わかってるけどかっこよいわ(笑)。

 後の1983年にはなんとユーライア・ヒープのケン・ヘンズレーが参加してアルバム「Siogo」を制作、初っ端の「Send Me An Angel」はもう見事にヒープ節、でもサザンっつう世界だから頼もしい。その後もメンツを替えてはいるものの2000年のライブ盤「Live」では何とユーライア・ヒープの「Easy Livin'」をカバーしている模様を収録しているので驚く。



Hydra - Land of Money

 広大な土地を持つアメリカには一言で括れないロックという世界があるワケで、どっちかっつうとそれぞれの地域性から出てくる土着的なサウンドってのがあって当然なので、ハマる人は凄くハマるんだろうね。自分的にはそれほどのめり込んでいかなかったので、今でもそんなにハマって聴けるほどじゃない。ただ、なんだかんだと聴く機会もあるし、それよりも英米の別なく洋楽を聴いていたころには単に好みだけだからさ、その時にはもちろんアメリカのもイロイロと聴いているんだけどね。

Land of Money Hydra

 ハイドラというバンド名を持つアメリカのバンドの1975年にリリースしたセカンドアルバム「Land of Money」…、なんとジャケットはヒプノシスのデザインによるもので、この頃のアメリカのバンドってさ、やっぱり英国のハードロックとかに影響を受けているのが多くて、正にそんな感じの音を出していたのがハイドラ。もちろん無名のバンドなんだけど、今ではもう割とアチコチで露出しているみたいでCDも出ているので懐かしがる人も多いし、カタログ的にも何となく揃って言う感じ。昔はレコード買うのも何枚も一気に買えないから気になっても聴けてないっての多いんだけど、そんな中の一枚。友人にカセットテープで貰った記憶があるが…。

 そんなワケで、こんな流れでないと聴き直さないだろうってことで登場ですが、これがまた変わった音…っつうか、英国のロック勢をモチーフにして自分達でやってるんだけどそもそも南部のバンドなのかな?土地柄が出てしまって、曲とかメロディーは英国のそれを狙っているけど出てくる音は乾いた南部系の音っつう感じで、ユニーク。歌も伸び伸び歌われているし、楽曲も大らかにうねっている感じなのでどう聴いてもアメリカなんだよ(笑)。でも、曲そのものの作りは英国的…う〜ん、そりゃ難しいな…。

 ネットであれこれ調べているとキャプリコーンっつう南部のサザンロック中心のレーベルからのリリースで珍しいバンド、と書かれていたから、なるほどな…と。結構快活で時代が違ったらボン・ジョビみたいになれたのかもよ、という音で、ハードロック的なスタイルがなかなかかっこよい。タイトル曲「Land of Money」なんて相当気合い入ってるし。ポール・ロジャースのバドカンが目指した音ってこれに近いんじゃないかなぁ…。

Ted Nugent - Cat Scratch Fever

 巨漢と言えば横ではなくって縦に大きい人ってのもあるんだろう。そもそも無茶苦茶ワイルドで豪快な如何にもアメリカ人っていうのも当然多くて…、いや、こういう人は普通プロレスラーとかが向いていると思うのだが、どういうワケだがロックの世界にもいらっしゃったりします(笑)。そんなに多くはないけど80年代中盤のアリス・クーパーのところのギタリストなんて超マッスルな男だったしね。まぁ、そんな肉体派の代表でもある野生児です。

Cat Scratch Fever Weekend Warriors
Rick Derringer & Ted Nugent - Cat Scratch Fever (Live) Cat Scratch Fever (Live)

 テッド・ニュージェントの1977年リリースの三枚目「Cat Scratch Fever」が一番売れたアルバムのようでして…、この顔のジャケットならインパクト絶大だわな。昔このヘン漁ってた時から既に中古では700円くらいでレコード売ってたので、聴いてみるかな、ってことで聴いたことがあるハズなんだけどあまり覚えてなかった。エアロスミスとかの方がやっぱり華があったからね。しばらくしてDamn Yankeesに参加したって聞いた時にテッド・ニュージェントなの?みたいな感じで驚いた。ターザンみたいな格好と猟銃持ってライブやる人がナイト・レンジャーの人間とか一緒にできるのかよ?って(笑)。

 まぁ、そんな逸話がたくさん残っているくらいワイルドな人だったみたいです。どっちかっつうと音楽よりもそういうステージでの話題とかの方が多くて、今の時代ではそういうの通じないだろうけど、時代が時代だからウワサがウワサを呼ぶように話題になっていったってことかもしれない。それでこの「Cat Scratch Fever」というアルバムなんだが…、もちろんアメリカンにスカッとするロックンロールが基本。ちょっと歪んでてラフな感じがあるからハードロックと捉えられることもある人だけど、根本的にロックンロールですね。もちろんそんなに面白いか?と言われると…ちと答えにくいが、面白味はほとんどない(笑)。時代の産物だったのかも…。

 ところがですねぇ、クレジットされている人達を見るとなんとゲスト陣営が凄い。ボズ・バレルなんてのが参加してるのと、ちょっと前に聴いていたジム・スタインマン=ミートローフ絡みのボーカルさんだったロリー・ドッドさんも歌で参加しているじゃないですか。う〜ん、やっぱりアメリカのこの辺ってのは狭い世界なのか?それと、後にマイケル・シェンカーがアメリカ進出を狙った時に出てきたデレク・セント・ホルムスがメインボーカルで歌ってますね。この人はテッド・ニュージェントと長くやっていたみたいだけど、そんな面々で割と不思議。




Mountain - Nantucket Sleighride

 ロックってのはさ、見た目のかっこよさってのが凄く重要だと思うワケよ。ここが押さえていないとどんだけ音がシャープでも最終的にかっこよい、っていう風にハマれないっていうのがあって…、今の時代がどうなのか知らないけど、昔はアルバムジャケットとかインナーとかくらいでしかその姿を見ることがなくて、そこから想像することでそのバンドのかっこよさってのを膨らまして音に重ねて聴いてた。だから太ってるとかメガネ掛けてるとかそういうのは一切御法度でして、ステージ上ではあくまでもスター然としていること、ってのが定義の一つだった。

ナンタケット・スレイライド Live (The Road Goes Ever On)
Mountain - Official Live Mountain Bootleg Series, Vol. 14: New Year Concert 1971 Official Live Mountain Bootleg Series, Vol. 14: New Year Concert 1971

 1971年にリリースされたレスリー・ウェスト名義のものから数えて三枚目のアルバム「ナンタケット・スレイライド」。いや〜絶頂期なので悪いはずがないアルバムなのだが、なんせルックスがよろしくなかったが故に聴く機会をグッと減らしてしまったという欠点がある。うん、自分の中に、だが(笑)。この頃のロックバンドなんてそんなに動いている姿を見る機会が多くなかったのに、マウンテンに関しては結構色々な意味で気になっていてアルバムを聴く前に姿を見てしまったのですよ、テレビで。何の番組かわからないけど、今思い出してみるとそれはBeat Clubに出演してレスリー・ウェストがどアップでレスポールJr.を弾いている姿だったのだが、これがいかん。やっぱりこういう姿をさらけ出しては若い視聴者はハマり込めないのだよ…。それが音に関して凄くかっこよかったんだけど、行ってはいけない、みたいなのがあって余計に困った。うん、それでマウンテンというバンドに関してはかなり出遅れていた。

 そんなリアルな話はともかく。時を経て当然70年代アメリカのロックの名盤ってことでいくつもマウンテンのアルバムを聴くのだが、やっぱ偏見ってのはあったな(笑)。ところが毎回思ったのが音はかっこよいんだけどな…ってこと。言い換えれば音だけ聴いていれば素直に好きになっていたバンドの音ってことだ(笑)。知識的なことはともかく、コレって重要なことだよね…。フェリックス・パッパラルディによるクリーム狙いのバンドとかレスリー・ウェストのウーマン・トーンによるギターの艶っぽさの出し方とか…、良いもんね。

 はて、この「ナンタケット・スレイライド」という作品ではタイトル曲「ナンタケット・スレイライド」が突出している…と言うか入魂の作品って感じで圧倒的にかっこよい。ライブアルバム「Live (The Road Goes Ever On)」の長尺バージョンを聴くと更にハマれるのだが、スタジオ盤でも十分に痺れる素晴らしさ。アメリカンロックの雄とは言われないのもわかる。手法は明らかに英国風だから…。ある意味真正面から当時の英国ロックに対抗したバンド…、そう、そしてこの頃にはThe Whoともセッションをして優れたギタープレイをいくつか残しているのが「Wフーズ・ネクスト」のボーナストラックに入っている…、素晴らしいギタープレイだ。



Meat Loaf - Bat Out of Hell II: Back Into Hell

 巨漢ミートローフによる美しい歌の数々はその姿とは似つかわしくない人気を誇ったものだが、それはそれはもう最初驚きましたね。マウンテンのレスリー・ウェストも驚いたけどそれよりもミートローフの方が驚いた。こんなに巨体でロックかよ?ってなモンで、その時点で音を聴くとか以前の話で聴くのが遅れたもんな。まぁ、音を聴いてみてもやっぱり暑苦しかったのはジム・スタインマンの仕業ではあったが、役回りとしてミートローフが暑苦しい、となっちゃうわけだ(笑)。

Bat Out of Hell II: Back into Hell Bat Out of Hell III: The Monster Is Loose
Meat Loaf - Bat Out of Hell II: Back Into Hell... Bat Out of Hell II: Back Into Hell Meat Loaf - Bat Out of Hell 3 Bat Out of Hell 3

 そのミートローフが裁判まで起こして大げんかしたジム・スタインマンとまたタッグを組んで「Bat Out of Hell」の続編に取りかかったのはソロ活動だけではなかなか成功しなくて、結局最初の栄光に頼るのが一番と気付いた頃だろう。ジム・スタインマンの方は売れっ子作曲家という黄金時代から抜けて落ち着いていたのもあってもう一花ってのがあったのか、この申し入れを受け入れて最強タッグの再結成となったようだ。

 1993年になってリリースされた「Bat Out of Hell II: Back into Hell」という「Bat Out of Hell」の続編は見事に全米1位を獲得し、これも多分2500万枚以上売っているようだ。CD一枚あたり40円の印税が入ったとしたら10億円の稼ぎだぜよ、それ(笑)。そんな思惑はもちろんあったのだろうが、売れたモン勝ちの「Bat Out of Hell II: Back into Hell」はそりゃもう期待を裏切ることなく前作「Bat Out of Hell」を上回る程の出来映えを誇る作品に仕上がってます。

 最初の「Bat Out of Hell」の方がドタバタ感があって面白い雰囲気なんだけど、「Bat Out of Hell II: Back into Hell」ではかなり洗練されて作品が仕上がっている。それでもやっぱりジム・スタインマンの作風に変化はなく…、そうでもないか、ちょっとメロディが滑らかになった、という感じ。その昔自分のソロ作品「Bad for Good」で取り上げていた曲もこの「Bat Out of Hell II: Back into Hell」でミートローフに歌わせて再度収録しているのも見逃せない。やはり「Bat Out of Hell II: Back into Hell」だったら聴かれる確率も高いし、総合的に全てジム・スタインマンの作品内なので浮くことはないし、実際聴いていても全く違和感ないからね。

 しかしちょっと落ち着いた感じでのシュールなドラマティック感が強くなったかな…。時代に即したアレンジと音作りってのが印象的。ちなみに2006年には更なる続編「Bat Out of Hell III: The Monster Is Loose」がリリースされたので、その時の記念盤ってことで「Bat Out of Hell II: Back into Hell」のコレクターズエディションなんてのもリリースされてライブDVDが付けられている。





Jim Steinman - Bad For Good

 70年後半から80年代にかけてひとつの特徴ある楽曲を提供して話題をさらっていたが表舞台には出てこないという人…、そういう作曲家やプロデューサーや仕掛け人ってのは今でもいつでも存在していて、業界のキーとなったりするのだが、この時期のアメリカでは何と言ってもジム・スタインマンの勢力は凄かった。当時はそんなこと気にしないで聴いていたけど、後になって聴いたり調べたり情報を漁ってみるとそんなことに気付く。

Bad for Good Bat Out of Hell

 有名な作品ではミートローフのデビュー作にしてアメリカ市場売上げ枚数4300万枚という歴代3位に位置する傑作「Bat Out of Hell」があるが、当時から爆発的に売れていたワケでもないようだ。それでもアメリカ人が好むのと世界各国で売れたってのもあってロングセラーになってる名盤です。うん、実にドラマティック。それで、その後しばらくしてジム・スタインマンが次作をまたミートローフと組んでやろうか、と思っていたら声が出ない、という理由から却下されてしまってしょうがないので自分で歌って作品として仕上げてしまったのが初ソロアルバム「Bad for Good」なのだった。

 1981年リリースでこれがまたミートローフと被る…当たり前なんだけどさ、歌い方がやっぱり似ているっつうか、こっちが元祖っつうか…、もうそのままなので、あの世界を想像して下さい。ところがミートローフの「Bat Out of Hell」に比べたら全然売れてない作品なのであの世界が好きな人はもったいないなぁというくらい聴いてほしいね。もちろんくどい、暑苦しい、しつこい、ドラマティック、ミュージカル的で詰め込まれすぎてて疲れる、っつうジム・スタインマン要素がてんこ盛り(笑)。その後のヒット作となる「ストリート・オブ・ファイヤー」で歌っていた人員を配置済みで、挙げ句は「フットルース」で売れ、日本でも売れた「ヒーロー」の原曲ともなる「Stark Raving Love」を収録していて面白い。更にあのエレン・フォーリーは今回も登場して「Dance In My Pants」という曲でメインボーカルを取ってドラマティックに盛り上げてます。

 「Bad for Good」中のほとんどが後々にミートローフの「Bat Out of Hell II: Back into Hell」続編達で使われるのでミートローフ版も聴けるようになるんだけど、ジム・スタインマンのバージョンもなかなかよろしいです。っつうかかなり良い。「Bat Out of Hell」が好きな人なら絶対に聴くべきだし、アレがダメな人は無理かなぁ。ジャケットのクサさも含めて笑えるし好きだね、これ。




Dan Hartman - The Best Of

 ダン・ハートマン…、アラフォー世代にはどう考えたって「ストリート・オブ・ファイヤー」の映画中での黒人四人組の歌「あなたを夢みて」の印象しかなくって、調べていなけりゃあれがダン・ハートマンっつう四人組なんじゃないかと思うくらいだ。いや、少なくとも歌っているヤツがダン・ハートマンだろう、ってなくらいに認識していた人も多いはずで、更に言えば黒人だよな、っていう認識だったんじゃなかろうか?

ベスト・オブ・ダン・ハートマン ストリート・オブ・ファイヤー 【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD]
James Brown - Rocky Balboa: The Best of Rocky (Soundtrack) The Best of Rocky

 ところがどっこい、エドガー・ウィンター・グループでベースを弾いていたことからわかるようにもちろん白人の割とナイスガイな人です。1992年頃にエイズで他界していることでわかるようにそっち系の人だったみたいだけど隠しながら仕事していたらしい。やっぱりアーティストってのは繊細な人が多いからそっち系の人も多くなるだろう…。そんなダン・ハートマンの追悼盤としてリリースされていた「ベスト・オブ・ダン・ハートマン」をご紹介。

 ブルーアイドソウル=白人によるコンテンポラリーなブラック感溢れる音、っていうのを追求していたダン・ハートマンだったので、それは元々エドガー・ウィンター・グループ時代からその音があったが故にそうなったのか、自身の趣味がグループに反映されたのかわからないけど、恐らく肝だったんじゃなかろうか。それが好反応だったエドガー・ウィンター・グループなワケだが、ベーシストという位置もあってリズムが妙に濃くなった、っていうのもさすが。そんなダン・ハートマンのベスト盤「ベスト・オブ・ダン・ハートマン」を聴いていると見事にブルーアイドソウルの音ばかりで辛い(笑)。「ストリート・オブ・ファイヤー」に出てきた「あなたを夢みて」なんかは懐かしさも漂うのだが…、あ、あとは「ロッキー 4」でジェイムズ・ブラウンが歌っていた「リヴィング・イン・アメリカ」もダン・ハートマンの作品だったんだね。知らなかったけど、凄い。JBに曲を書き下ろしてしまうんだもんな…。

 アメリカンロックをそこそこ詰めていたらこんな所に繋がってしまった。リック・デリンジャーがアル・ヤンコビックの「Eat It」でVan Halen並のソロをぶちかましているのも80sに繋がるし、全くアメリカってのは広いわな…。



Rick Derringer - Live

 ひとつのバンドが解体して才能あるメンバーがそれぞれ活動を開始するとその人がどういう方面の才能を持っていたのかが割とわかりやすい構図いなるというのもアメリカの特徴だろうか。エドガー・ウィンター・グループの場合は解体してはいないけど、ダン・ハートマンはこの後独自の世界でブルーアイドソウルの世界を突き進めていったし、モントローズはアメリカンハードロックの祖となった。そしてプロデュース面を担っていたリック・デリンジャーは…。

Derringer Live Live in Cleveland
Rick Derringer - Live At Cheney Hall Live At Cheney Hall Rick Derringer - Greatest & Latest Greatest & Latest


 1977年にリリースされた恐らくリック・デリンジャーの作品の中で最も自分らしさが出せたであろうライブアルバム「Derringer Live」を聴いてみるとリック・デリンジャーって人がエドガー・ウィンター・グループで何をしていたかが何となくわかる。簡単に言えばラフ&ワイルドなロックンロールを体現していたってところですな…。

 さすがにライブアルバムなのでもの凄いドライブ感とライブ感が充満していて、その分ラフなプレイってのもしっかりと収録されていてどこかのアマチュアバンドかと思うくらいに激しく走りまくり、ラフなライブを聴かせてくれるというある意味アメリカらしいライブアルバム。収録されている曲はどれもこれもロックンロールそのものでギターを弾きまくるものばかりで全く大人しく演奏するということを心がけたことは多分ないだろうというくらいの代物だ。やっぱりアメリカだなぁ…。

 最後の「Rock'n Roll Hoo Chie Coo」の後にも「You Really Got Me」が出てきたりしてまったくラフに楽しんでいる。これで良いんだよ、うん、きっと…。そんな気分にさせてくれるワイルドなライブ。でもず〜と現役でロックンロールばかりしている人なのだからアメリカ的には非常に人気があるワケで、「Derringer Live」も含めて今でも何枚も何枚もアルバムをリリースしている永遠のロック小僧。



Edgar Winter Group - They Only Come Out at Night

 ロニー・モントローズがハードロックを弾きまくるきっかけになったのは間違いなくエドガー・ウィンター・グループでの欲求不満か味を占めて更に深堀したくなったかのどちらかだろうと踏んでいるのだが、ちょっと気になってエドガー・ウィンター・グループの名盤「They Only Come Out at Night」を再度聴き直してみました。あまり腰を入れて聴いたことのあるアルバムじゃなかったので良い機会だったね。

They Only Come Out at Night Roadwork
Edgar Winter - Not a Kid Anymore Not a Kid Anymore

 1972年リリース…即ちモントローズ結成前夜でもある頃だが、エドガー・ウィンター・グループの名盤として名高い作品のひとつでもある「They Only Come Out at Night」。エドガー・ウィンターとロニー・モントローズ、そしてダン・ハートマンというメジャーなメンツが揃っていたアルバムで、更にプロデューサーにリック・デリンジャーという強烈な布陣でのアルバム。さすがにあまりアメリカンロックを突っ込んで聴かない自分でも全部知ってる名前じゃないですか(笑)。そんなメンツでの作品だったのか…とちと改めました。昔は音を聴いて「う〜ん」という程度だったので…。

 何というのか…ソウルフルとかファンキーなロックと言われるアルバムみたいなんだけど、それもどっちかっつうと脳天気な部類に入るくらいスカッとした音だね。だから若い頃はダメだったのかもしれないな、純粋にロックだけを好きだったからさ。「They Only Come Out at Night」で聴けるのは確かにファンクな音とロックが入り乱れて更にギタープレイヤー達が弾きまくったりしているので熱い演奏が聴ける。エドガー・ウィンターのシンセなんかも躍動感アップに大変貢献していたりするんだけどね…、どっちかっつうとクサい曲の雰囲気作りに非常に役立っていると思う。まぁ、そのヘンはメロディそのものがアメリカの歌モノってなってるけどさ。

 ロックな楽曲が半分くらい…、それがもうギターありきでのハードチューンなので面白い。こんなに面白くギターが聴けるのにキャッチーでポップなメロディやアレンジっつうのが軽さを強調しているとも言えるので、その辺が好みの差かも。自分的には残らない部類に入ってしまうけどリアルで通っていたらかなり印象違うね。しかし、「They Only Come Out at Night」、面白いアルバムじゃないか、これ、さすがに名盤と言われる作品です。




Montrose - Montrose

 70年初頭のアメリカンロックと言えば、まだまだ往年のアメリカの文化と空気を背負っているバンドが多くてウェストコーストサウンドなどと言ってもてはやされたものがある程度で、GFRが頑張ってはいたものの、カラッとしたアメリカンなサウンドをベースとしていたことに変わりはなく、もちろんひとつのアメリカンロックではあったが、現代に通じるアメリカンハードロックの基礎を築き上げたのはもしかしたらマウンテンでもなくGFRでもなくモントローズだったのかもしれない。

Montrose The Very Best of Montrose
Montrose - Montrose Montrose Montrose - The Very Best of Montrose The Very Best of Montrose

 1973年にリリースされたモントローズのデビュー作「Montrose」を一度聴いてみるとその革新的な音に驚くことだろう。後のアメリカンハードロックの基礎となるべく歪んだギターサウンドによるリフを中心とした楽曲が展開されている。ここで聴けるロックはそれまでのアメリカンロックのカラッとした土臭い雰囲気とは全く異なったもので、土臭さがほぼ皆無に仕上げられ、カラッとしたバンドサウンドこそアメリカンと言った感じだが、曲やバンドの音そのものは英国ロックをベースとしたものに仕上がっている。後にアメリカンハードロックと呼ばれる原型だ。

 ギタリスト兼リーダーのロニー・モントローズはここに至るまでにはエドガー・ウィンター・グループでギターを弾いていたり、ヴァン・モリソンと一緒にやっていたりとキャリアは豊富だったがようやく自分のやりたい音を追求できたという渾身のアルバムだったワケだ。プロデュースには後にヒットを放つテッド・テンプルマンを迎えて…言うならばKIssやエアロスミスやVan Halenなんかと同じスタートを切っていたっつうことだが、なぜか速すぎたハードロッカーというのがあったのかそれほど大成はしなかったみたいで…。

 今語られるのはもちろんボーカルのサミー・ヘイガーがメジャーシーンに出てきた最初のバンドとアルバム、という所と、せいぜいデニー・カーマッシと言う後にザ・ハートに参加し、更にCoverdale Pageプロジェクトに参加しているという印象がある有名人が在籍していたというところだ。そんな人脈からでもこのモントローズのファースト「Montrose」に辿り着いてくれれば多分楽しめるご機嫌な音に取り憑かれる人もいるのじゃないだろうか?ちと古くさいけど相当ハードロックしてて面白い。





Grand Funk - We're An American Band

 70年代のアメリカってのはロックが衰退していたりレイドバックしていたりしてしてなかなか英国ロック勢の波を押さえきれなかった面は否めないが、その分独自のアメリカンロックを司ったのも事実で、良い悪いの話ではないな。ここの所軽めの音ばかり聴いていたのでちょっと欲求不満に陥り、せっかくフリートウッド・マックまで書いたのだから…と思いつつやっぱりもっとガツンと来るのが良い!ってことで男の中の男のバンド登場。

アメリカン・バンド Caught in the Act
Grand Funk - We're an American Band We're an American Band グランド・ファンク・レイルロード - Caught In the Act Caught In the Act

 言わずと知れた男のバンド、グランド・ファンクの名盤「アメリカン・バンド」1973年リリース。アメリカで英国ロックに対抗できるのはグランド・ファンクしかいない、と言われていたのは果たして日本だけなのか、当地でもそんな風潮だったのかは知る由もないが、多分この頃のアメリカのハードロックではなかなか英国勢に敵わなかったのでこうした宣伝文句も有効に働いたのだろう。ハードロックっつうかさ、男臭い根性ロックってのをモロに出したバンドだったってだけで、その中味はメロウだったり土臭かったりするので決してハードロックだけじゃなかったんだけど、スタイルは完全にアメリカンハードロックそのものだった、と言うかそういうのを創り出したバンド、だ。

 グランド・ファンク・レイルロードと言う名前からグランド・ファンクと短縮してからの作品なんだけど皆そんなこと気にしていなくてそもそもGFRという略称で全てが語られている。その辺の細かいところには誰も気にしないのがアメリカのバンドを物語っているが(笑)、そんな背景はともかくプロデューサーにトッド・ラングレンを器用してこれまでのちょっと野暮ったいサウンドから一新して非常に洗練されたシンプルにロックサウンドとして詰め込まれた音の良さは見事にトッド・ラングレンの技術だろう。楽曲そのものはそれほど傑作群というものでもないとは思うけどバンドの持っている熱さってのはやっぱり詰め込まれているし、そういう姿勢が受けたんだろう。そもそもゴールドディスクを取ると宣言してからのアルバム制作なので、ジャケットはゴールドだしレコードも最初はゴールドだったとか…。そして「アメリカン・バンド」というタイトルと楽曲にはインパクトがあってしっかりと目標達成したアルバム。

 初っ端の「アメリカン・バンド」がやっぱり飛び抜けているかな…。アルバム全体で行くと結構土臭くてキャッチーではない作りに驚くんだけど、音の配分や録音はかっちりとしている。40分弱のレコードなんだけど結構疲れるってのはやっぱり濃いんだろう。B面に入るとちょっとダレ気分になるんだよな、これ。でもA面の期待が大きかったからCD時代になった今でも何とか聴き続けられるアルバムで、気迫と根性にやられるアルバムって言うのが相応しい感じ。

 ネットであれこれ見てるとさ、やっぱり1971年の来日公演で豪雨の後楽園球場でのライブのインパクトが絶大なんだよな。写真とか見てもやっぱ凄いし、燃えるバンドだわ…。この伝説がある限りグランド・ファンクって言うバンドはリスナーの中には生き続けていくね。



Fleedtwood Mac - Rumours

 グラミー賞のパフォーマンスは毎年アレコレと話題になるものが多い。マドンナとブリトニーのアレもグラミー賞じゃなかったっけ?それで先日の話題はエルトン・ジョンとレディー・ガガによるど派手ピアノ共演とか…、まぁ、レディー・ガガはそういう時は栄えますわな。ところが本質的なパフォーマンスで観客を魅了してしまうシーンのひとつもあって、その中では新進テイラー・スウィフトがかのスティーヴィー・ニックスと共演するというサプライズが用意されたものの実際のパフォーマンスはかなり批判の多いものになってしまったようだ…。

噂 ファンタスティック・マック(リマスター&ボーナス・トラック・エディション)
Fleetwood Mac - Rumours (Remastered) Rumours Fleetwood Mac - Fleetwood Mac Fleetwood Mac

 それはともかく、話題の若い新進アーティストとまだまだ現役バリバリの再結成を果たしているフリートウッド・マックの看板であるスティーヴィー・ニックスがもっとも輝いていた黄金期にもっとも売れたと言われるアルバム「」を久々に…。

 1977年リリースの作品で、メンバー入れ替え後二枚目のアルバムで金字塔を打ち立てているが、このバンドも入れ替わり立ち替わり恋愛愛憎劇も盛んに繰り広げられてよくわからないので最初期のブルースバンド時代以降はあまり立ち入って聴いていなかったんだよね。一般的にはこの「」辺りが一番浸透度が高いみたいだけど一般人と会話しないからわからん(笑)。それでもこっそりとどんなんだろ?って聴いてはいたんだが全然ピンとこない…。そりゃそうか、良質なポップスだから、ってことで納得する。英米混合のバンドでメロディメーカーはリンジー・バッキンガムという名前は英国人だが実際はアメリカ人という人物による作風なので西海岸風の音色…うん、それでも多彩な楽曲が入っているんだけど、そいつが中心でスティーヴィー・ニックスとクリスティーン・マクビーの二人による英米シンガーが出てくるという感じ。

 確かにバリエーションに富んだ美しい作風が並んでいるが、ちょっと霞がかった毛色の雰囲気はやっぱり英国性を持っているためか、そのバランスが唯一無二のアルバム「」を産み出したのかもしれん。今聴くと非常に底抜けに快活な作品ではないし、アメリカでそんなに受け入れられたってのもちょっと不思議。一方ではディスコブームに突入しようとしている時期なので、余計に「」がシーンで受けたってのがね。まぁ、検証したってしょうがない、良いものは良い、というんだろう。

 はて、「」の何が良かったのか?曲のポップさ…、ちょっと落ち着いた感じのアダルトな雰囲気…、美しい歌声…などなど。自分的にはリアルで通っていないが故に良さがあまりわかっていなくて、話題だけ。ロック的側面から聴いてしまうと完全に突然変異の異種交配バンドだし、そもそもフィールドが違う。趣味的に聴くには時代を超えてしまった…。う〜ん、売れた物が必ず後々まで世代を超えて引き継がれるものではないってのはわかった。





Taylor Swift - Taylor Swift

 アメリカってのは何年かに一度くらいシーンをリフレッシュするようなことが起こる…のか意図しているのかわからないが、洋楽不振と言われる日本までしっかりとそのインパクトを伝えられるほどの話題性を持った女性アーティストが出てくるんだな。Lady Gagaなんて典型的だけど、その前はブリトニーとかアヴリルとかがそんな感じで出てきたし。その間も誰かいたのかもしれないけど全然チェックしていないしね。そして今はLady Gagaとビヨンセ…それとテイラー・スウィフトという女性。こないだのグラミー賞で4冠取った強者らしい。

Taylor Swift FEARLESS
テイラー・スウィフト - Taylor Swift Taylor Swift テイラー・スウィフト - フィアレス (Japan Digital Version) フィアレス (Japan Digital Version)

 今のところアルバムは二枚出ているんで話題性の高い二枚目の「FEARLESS」を敢えてハズして一枚目の「Taylor Swift」を聴いてみる…ってか二枚とも聴いたんだけどさ(笑)。というのはオリアンティの時もそうだったんだけど、元々カントリーフレーバーの強い女の子で、そもそもカントリーというジャンルに位置付けされるらしい…、ナッシュビルの出身だとか?なワケで、多分売れ線を狙った二枚目ってのはポップな味付けが強くなっているんだろうな、と思ったので一枚目の方が興味深いんだよね。

 案の定二枚目「FEARLESS」よりも一枚目の「Taylor Swift」の方がカントリーチックな味付けが多分に入っていてまだジャンル性ってのがわかる。二枚目もそういうフレーバーは入っているんだけど、ブレンド度合いがちょっと落ちるかな。ま、それは単なるフレーバーってことで良いのだが、一枚目の「Taylor Swift」。出てくる音は透明感の強い可愛い歌声によるカントリーフレーバーを振り掛けたポップス。これは売れるわ。聴きやすいし、普通のデジタル化されたポップスにはない自然な柔らかさで曲が構成されているので老若男女聴けるってのも大きいんじゃないか?最近のアレンジに使われる不自然な音はやはりアナログ世代には受け付けにくい生理的側面はあるもん。そういうのがこの「Taylor Swift」にはないし、それはセカンド「FEARLESS」でも同じ。カントリー=ジョン・デンバーではないのだけど、田舎の音であるが故に自然と調和した音、というのは受け入れやすいね。

 メロディそのものなんかは別にカントリー的というのはなくって単にポップスですな。ちょっと前の世代ではアイルランドから出てきたコアーズってのが同じようにケルト旋律をフレーバーとして持ちながらポップス領域を制覇したことがあるけど、手法は同じなのでフレーバーがなければ良質ポップス=誰でも変わらない、というメロディになっちゃうけど、その辺を歌詞でカバーしているのも本物らしい部分。確かにカントリーを自分の言葉で同世代に向けて歌うって新鮮なことだろう、と。普通はスタンダードのまま自分流にアレンジする程度なのにテイラー・スウィフトは普通にSSWと同じ感覚でカントリーをモチーフにした歌詞を作り上げているのだ。あ、テイラー・スウィフトってアイドルじゃなくって自分で作詞作曲する人なので勘違いしないように(笑)。それでも売れるために周りはこういうアレンジを施したってことが商売の上手さを感じるが、それでもこの音に出会えたってのは良いことだ。うん、長続きしてほしいアメリカの旗手だなぁ…。



Orianthi - Violet Journey

 マイケル・ジャクソン最後の映像として爆発的に売れている「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」って見た?ギタリストの女の子凄いでしょ?オリアンティって子なんだけどタフな態度でギターを弾いて見せつけてくれてたかっこよい彼女。残念ながらツアーによるORIANTHIの勇姿を世界中に知らしめることはできなかったけど、「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」がリリースされたことでもしかしたらORIANTHIの存在はより一層注目されたのかも。

Violet Journey ビリーヴ(初回限定盤)
Orianthi - Believe Believe

 そんなORIANTHIがマイケル・ジャクソンのツアーギタリストとして参加する以前の、注目されるきっかけとなったであろうファーストアルバムに着目。それだって21歳の時の作品で2007年にリリースされた「Violet Journey」っつうものだが…、最初はまぁそれなりに、なんだろうと思ってて聴かなかったんだよね。でもセカンドアルバムの「ビリーヴ」が割と知られてきてあちこちで見かけるようになって、そうか、どんなんだろ?って思ってせっかくなのでファーストの「Violet Journey」を聴いてみたんです。ところがこれがまた凄くて驚きの連続でさ…、うわぁ〜こんなのがいるのか、って。

 ギタリストとしての才能ってのももちろんあるんだけど、やってる音が独特で個性的。極端に言うと過去誰も出したことのない音世界を自分のギターで紡ぎ出しているっていうくらいにオリジナリティが高くてセンスがよい。アルバム冒頭の「Lights of Manos」からして「へ?」っていう感じで、単なるギターインストかと思って聴いていたら大間違い。しっかりとした作品として出来上がっていて驚く。そして間違いなくロックなんだけど、それだけじゃなくてさ…、かと言ってサンタナみたいなもんでもないし…、ヴァイみたいでもない。もっと自然で柔らかな音っつうのか、曲と歌があってギターと旋律があるという当たり前の構図なんだけど、それがそのままギターに表れているんだろうな。「He's Gone」でのナチュラルで優しい歌とメロディは結構ノックアウトされた。ギターもしっかりと泣いているし、自己主張は忘れていないけどギターだけじゃない、みたいなね。ブルースに根ざした部分はあるんだろうけど、もうちょっと洗練されているし、う〜ん、やっぱりオーストラリア人っていう不思議な傾向なのだろう。

 勢い余ってセカンドの「ビリーヴ」も聴いたんだけどこちらは売れるだろうな、っていう音作りで圧倒的にレベルアップした洗練された音色なので本質とは少々異なる感じ。自分的には圧倒的にファースト「Violet Journey」が素晴らしいと思うね。アルバムとしての音は結構荒削りでチープなんだけど、そこにあるORIANTHIの姿勢とか本能ってのはしっかり表現されていてマイケル・ジャクソンのツアーに参加するしないというのがなくてもどこかで出てきたのは間違いないでしょ。ここのところの愛聴盤でひたすら聴いているナイスな作品。これで21歳の女の子か…と思うと自分が情けなくなる(笑)。







Stream of Passion - Live In The Real World

 バンドの中でのギタリストとしての女性というのはあんまり多くはないし、ガールズバンドなんかだとあるにはあるがテクニックは…というのが多かった。ところがいるところにはいるもので、何とセッションミュージシャン的にヘヴィなギターを弾いてきた人ってのがいます。陽の目を浴びるのはつい最近になってからというもののキャリアは十二分に長いLori Linstruth。

Live in the Real World [DVD] [Import] Live in the Real World
Stream of Passion feat. Ayreon - Live In the Real World Live In the Real World

 …かと言ってソロアルバムがあるワケでもなく、参加していた作品が多いワケでもなく、どちらかというとギターの講師とかをしていた人らしい。Lori Linstruthが一躍注目を集めたのはルカッセンのプロジェクトのひとつでもあるStream of Passionの最初の作品と、そのライブ映像を収めたライブDVD「Live in the Real World」だね。2006年の初頭に行われたライブ映像で、これがまたゴシックで華のある、お気に入りのタイトルなのだが、美しい。そこでのマルセラ嬢の切なさと艶めかしさはもちろん良いのだが、それと比べて劣らないのがLori Linstruthのギタープレイ。しっかりとしたテクニックと大柄な体格が目立つ派手な印象が見る者を惹き付ける。ギター弾きなら尚更だと思う。

 その実年齢的にはもう結構なもので、今はルカッセンの彼女をやってるくらいで落ち着いているみたい。新作「On This Perfect Day」でも歌とギターと作詞などで貢献しているようだが、Lori Linstruthとしてまともにソロ作品がないってのはなんとなく残念。もうそんなに欲もないのだろうけど、テクは披露してほしいものだ。

 さて、このStream of Passionの「Live in the Real World」というDVDではそこかしこでかっこよいギタープレイを聴かせてくれるのはもちろんのこと、ルックスがかっこいいんだよ。女性なのにギターを弾く姿がサマになっているってのもよろしい。更にStream of Passionの音楽性が素晴らしくこのライブアルバムですら名盤の域に入っているくらいだからよろしい。DVD「Live in the Real World」を見てみるとLori Linstruthという人のギターの素晴らしさもわかるでしょう。もっとも奇抜さとか独創性ってのではなくっていわゆるメタルギター的に弾かれるテクニックについては文句なく普通に弾けるということだが。



Amy Schugar / Michael Schenker - Under Construction

 この流れで書くのが良いかわからんが、女性ギタリストってことではなかなかの実力者だったと思われるエイミー・シュガーという人。アメリカ人なんだが、ひょんなことであのマイケル・シェンカーと知り合ったことから良い仲に…、とそれが発展してその頃に書き溜めていた楽曲群をマイケル・シェンカーに手伝ってもらってアルバム1枚分のデモが完成。そのままリリースする予定だったのか不明だけど、今では国内盤でもリリースされた作品。

Under Construction
Amy Schugar / Michael Schenker - Under Construction Under Construction

 2003年リリースのシュガー/シェンカー名義での「Under Construction」。う〜ん、既に別の道を歩んでいる二人のラブラブな時期の記録がこうして後々にスポットを浴びるってのはなかなか本人達としては苦い思い出なんじゃないだろうか。エイミー・シュガー的にはまだ若くて名を売ったと思えるのかもしれないけど、マイケル・シェンカー的にはちょっとどうですかね(笑)。まぁ、そんなこと気にしててもしょうがないんだが、凡人にはそういう心境ってのがちょっとどんなものかと気になるものですな。

 さて、「Under Construction」というアルバムは元々デモ的に録音されてライブ会場…MSGの、なんだが、で売られていたりしたもので結構入手しづらかったものらしいが、さすがにマイケル・シェンカー大好きな日本はしっかりリリースです。そしてこのエイミー・シュガーさんはもちろんこの「Under Construction」という作品では歌を歌っていましてね、別にヘタでもないが特筆すべきものでもないかね…。ギターの腕前の方はどうかという話だが、正直パートナーが凄すぎた(笑)。彼女のギタリストとしての腕前がどうの、っていう前にマイケル・シェンカーの音と存在感がインパクト絶大でさ。エイミー・シュガーのギターってこのヘンかな?ってくらいにしかわかんない。もっともアルバムの中ではシンガーとして十分に目立っているワケだからそれで良いとも思うが。

 話は主役から逸れまくるんだが、なんとも微笑ましい事にこの「Under Construction」という作品でマイケル・シェンカーが4曲くらい目立つコーラス…っつうかクレジット上はVoなんだよな、しっかりと聞こえます。あそして結構クールな声にちと驚き。それよりも歌うのか、マイケル・シェンカー…、しっかり英語じゃないか(笑)。いや、ギタリスト的視点よりもミーハーになってしまった(笑)。




Desiree' Apolonio Bassett - Power & Force

 その実ジェニファー・バトンがマイケル・ジャクソンのツアーギタリストになったのは1987年のことで、当時彼女は29裁か30歳くらいだったらしいので今の年齢は想像に難くないがそれを感じさせないエネルギーを持っているのは素晴らしいことだ。実際日本の普通のその年齢くらいの女性って…単なるおばちゃんと言って良い頃合いでしょ?凄いよな、それ…。ま、芸能人だからそういうのもありなんだろうけどさ。そして一方では15歳くらいで同じくトリッキーなギターをプレイする天才少女とも呼ばれたのがDesiree' Apolonio Bassettという女の子。

Power & Force Vol. 2-Power & Force
Desiree' Apolonio Bassett - Power & Force Power & Force Desiree' Apolonio Bassett - Power & Force, Vol. II Vol. 2-Power & Force

 ジェニファー・バトンのアルバムがリリースされた1992年に生まれた女の子…う〜ん、若い…の2008年にリリースしたファーストアルバム「Power & Force」です。こちらはもちろん圧倒的にありがちなギタリストが弾きまくっているギターインスト…っつうかギター弾けるのを自慢とばかりに収録している名刺代わりみたいなもんだ。それでもこの年齢でこのテクニック…、恐ろしいです、まったく。

 自主制作とは言わないけどかなりラフな状態で録音された作品なのか、音が結構粗削りなのが余計にドライブ感を増していて、ウソじゃなくって凄いな、っていうのを感じる。だから故に同じ曲でもいくつかの曲をリマスターした「Vol. 2-Power & Force」ってのをリリースし直したんだと思うし、それは多分正解だろう…。聴いてないけど。何かファースト「Power & Force」の粗さが親しみ覚えるんだよな。まぁ、男の子だったらこれくらいでアルバム出せたか?と言われるとちょっと疑問なんだけど、まだまだこれからなんだろう。どういう路線の音が産み出されるのかわからないけど、ギターを楽しんでいる。

 ギターだけでなく歌を歌っているのもあるんだけど、さすがにまだまだ未熟だな、ってのは抜けなくて歌はそれほど注目するモノでもないんだが、やっぱギターだろうな。ただ、さすがに若いから単調になってしまうところはしょうがないか。






Jennifer Batten - Above, Below and Beyond

 昔はギタリストのソロアルバムなんてあんまり真面目に聴かなかったね。今でも基本的にインストものってそんなに何度も聴くものじゃないかな。でもジェフ・ベックなんかだとやっぱり面白いから何度も聴いているし、最近の作品だってそりゃもう面白いんで、やっぱり音の接し方なのかな。そういえばジェフ・ベックももうすぐ新作「エモーション・アンド・コモーション」がリリースされるからまた楽しみではあるな。そんなジェフ・ベックも女性プレイヤーってのは好みなのか、自分と一緒にやるメンバーってのも強烈な女性プレイヤーを引き入れているのもこれまた面白い。そんな中の一人でもあるジェニファー・バトンです。

アバーヴ・ビロウ・アンド・ビヨンド モーメンタム
Jennifer Batten - Above, Below and Beyond Above, Below and Beyond

 1992年リリースの初めてのソロアルバム「アバーヴ・ビロウ・アンド・ビヨンド」なんだけど、その前からジェニファー・バトンって人はマイケル・ジャクソンのツアーギタリストとして有名になってて、そのテクニックとインパクトで目立っていたものだ。かなり画期的なプレイをしていたというのもあるけど、やっぱり音的なセンスが面白い人だったみたいで、その結果がこの「アバーヴ・ビロウ・アンド・ビヨンド」というファーストアルバムだ。

 ギタリスト好きにとってみるとかなり衝撃的。ジェフ・ベックの「ユー・ハッド・イット・カミング」や「フー・エルス!」と言った作品で知ったギターインストのインダストリアル系デジタルサウンドみたいなのはこのアルバムで既に実践されていて、ベックと一緒にやるようになったジェニファー・バトンがベックにその手法を教えたというところか。ほぼ全く同じような音作りとギタープレイ…それって凄いよな。ジェニファー・バトンの一番敬愛するギタリストはジェフ・ベックって言うからセンスが良い。

 まずは一聴してみるとわかるんだが、ぶっ飛んでる(笑)。スティーブ・ヴァイ的とも言うが、バックの音が面白いしね、ヴァイよりももっとギターが笑っている…っつうか人的に聞こえるんだな。マイケル・ジャクソンの「Wanna Be Startin' Somethin'」とかやってるんだけど何だかわからないくらい解体…いや進化させてしまっている。アレサ・フランクリンの「Respect」はまだ歌が入ってるからわかるけど、それも革新的解釈。最初の「蜜蜂の飛行」ってクラシックで有名らしいんだけど、それをギターのタッピングなんかでプレイしてしまっていて、相当話題だったらしい。凄すぎてよくわからないけど、あまりにも流暢なギタープレイなので単なるツアーギタリストでは勿体ないってものだ。今回のマイケル・ジャクソンとも一緒にプレイすることになっていたとか…。

 いやいや、驚くばかりのアルバム「アバーヴ・ビロウ・アンド・ビヨンド」とギタープレイで思ったよりもハマってしまった。ちゃんと音楽しているのが良くて聴きやすい。




Impellitteri - Stand In The Line

 リッチー・ブラックモアの速弾きクラシカルスタイルは後にイングヴェイ・マルムスティーンによって拡大解釈されてネオクラシカルなギタープレイへと引き継がれていった…。そして更に当時イングヴェイ脱退後のアルカトラズのオーディションに来ていた超速弾きギタリストのクリス・インペリテリによって高速ギターの頂点を極めたと言っても過言ではないだろう。もっともそれが良いとか悪いとかではなくって、ひとつの流れをそこまでの高嶺に持っていったってことですが…

Stand in Line システムX

 ここまで知ってる人ってのは多分リアルにギタリストを追いかけていた人なんじゃないかと。普通にグラハム・ボネットを追いかけていても出てくるけど、おいおい、ってなモンだっただろうし。1988年にリリースされたImpellitteriというバンドのセカンドアルバム「Stand in Line」には何とグラハム・ボネット本人がもちろんボーカルで全曲参加してアルバムをリリース。それなりに…と言うか相当話題にはなったのだが、「Stand in Line」以降のヒットもほとんど聞かないどころかこの「Stand in Line」ですらそんなに売れたというワケでもないようだ…。

 いやぁ…、レインボウ時代の「Since You Been Gone」をヘヴィメタル的解釈でカバーして本人が歌っているということでへぇ〜ってくらいには面白いし、ここまでヘヴィにアレンジされているならコージー・パウエルが嫌がった時点でレインボウも頑張ってアレンジ施せばよかったのに、などと思うが、確かに拡大解釈しているキライはある…。しかしまぁグラハム・ボネットの歌声ってのはいつでもどこでも特徴のある個性的なもので、バンドがどんな音を出していようとも押さえつけてしまう迫力はさすが。「Stand in Line」でももちろんクリス・インペリテリの超高速ギターが炸裂しまくるんだけど、歌が入るとグラハム・ボネットの世界だしさ。

 そのクリス・インペリテリの超高速ギターの速さと言ったら開いた口が塞がらないくらいに凄い。速い、速すぎる…、が、今の時代ではこの手のギタリストが山のようにいるから恐ろしい。そしてImpellitteriの音楽性はやはりアメリカではなかなかウケないようで、こういうのはヨーロッパですかねぇ…というような音作り。その後21世紀に入ってからもまたグラハム・ボネットが歌っているアルバム「システムX」があるらしいが、そこまでは聴いてないな…。

 ちなみに1988年当時、結構話題になったんだけどさ、その頃はもうこういう速く弾くとかハイトーンで歌い上げるとか、いわゆるメタル的なものってのは飽き飽きしてしまってお腹いっぱい、もっと刺激的にロックしてる方が全然良いよ、っていう頃だったので今また聴いている自分が面白い。多分そんなことを繰り返していくんだろう(笑)。今聴いててもさすがに最後まで聴くと飽きてきたもんな…。



Deep Purple - Burn

 ロックバンドの在り方ってのは基本的にオリジナルメンバーによる継続ってモノだと思っていたんだが、どちらかと言うとそういう在り方で継続出来ているバンドってのは実に少ない。だからと言ってメンバーチェンジがない方が良いってことでもないのかな、なんてことを思ったりもするんだが、昔は少なくともオリジナルメンバーじゃなかったらやっぱりダメになるだろう、ってのが多かった気がしてた。でもその真逆を行っていたのがDeep Purple。コロコロとメンバーが入れ替わっていってアルバム単位でメンバーを覚えないといけないという後追いには大変辛いバンドだったのだ(笑)。

Burn 紫の炎 30th アニバーサリー・エディション
Deep Purple - New, Live & Rare New, Live & Rare

 1974年リリースの言わずと知れた名盤「Burn」で既にこの有名バンドの第三期のメンバーとなる。どんだけメンバーがいなくなる時間が早いことか…。しかも高名な第二期の看板だったボーカルのイアン・ギランが脱退してしまったんだから恐ろしい。ボーカルの入れ替えに成功したバンドってのはあまり例がないので、ここでのDeep Purpleの選択と挑戦は見事な取り組みだった。ベースのロジャー・グローヴァーの替わりににはTrapezeからグレン・ヒューズが参加して穴埋め完了どころか歌だって相当気合いの入った人なのでベーシストとして入れるだけでは勿体ないってのは皆が気付いていたようで、とりあえずのボーカル候補は確保できていたってことだ。もっともそれで満足せずにしっかりとボーカルを探していたってのはバンドのこだわり。この時期にポール・ロジャースに声掛けして断られたって話も割と有名か。結局見つからずに再度オーディションテープを聴いていたところで無名の新人デヴィッド・カバデールの声に気付いてめでたく決定。

 この新人デヴィッド・カバデールの凄いのは大御所バンドのメンバーを相手にしっかりとほぼ全ての作品で歌詞を書き、共同作成でバンドに加わっていることだ。単なる歌い手じゃないってことを証明している。しかもDeep Purpleにブルースロック的要素を持ち込んでいるのでバンドとしても新しい機軸に取り組めることになったようだ。それはグレン・ヒューズのファンキーなロック路線も同様に新しい息吹となってめでたく「Burn」が完成。

 さて、中味はもうそれぞれの人がそれぞれの想いを持って聴いていることでしょう…。自分的には全く思い入れがないので何も書くことないんだけどさ(笑)。ただ、半分くらいはあまり面白味のない曲で、半分くらいがなるほど、パープルって凄い、って思う。やっぱ「Burn」のイアン・ペイスのドラムが圧倒的に面白くて、こんな風に曲中でドラムを叩くってあまりないもん。それで歌えるってのも凄いが、カバデールの気合いが感じられるし、グレン・ヒューズのコーラスも凄い。リッチーのギターは何となくこの時代のリッチーならこれくらいは思い付いちゃうだろうな…なんてのがあるから、どっちかっつうともっと歪ませてヘヴィに弾きたかったんじゃなかろうか、などと思うくらいだ。全般的にストラトで歪ませているかた線が細くて軽い音なのでどうもイマイチ好まない音なんですよ。アルバム「Burn」として聴くとそんな感じで、グレン・ヒューズの「Lay Down Stay Down」あたりがかなりユニークに聞こえるのもこの時期の特徴らしい。カバデールの歌はまだまだイモくさい部分も見え隠れするけど見事にイアン・ギランというボーカリストの穴を埋めたという力量は凄い。

 こうしてバンドのメンバーを入れ替えながら新たな息吹を注入していくという手法もありなのか、というのがそれぞれの時代のアルバムを聴いていて思うが、やっぱり持たないよな…。それでも長い年数をその手法を駆使してバンドを世界的地位に持ち上げて継続していく力は努力の賜物でしょう。今のパープルはやりすぎだと思うけどさ…。

 そしてこの名盤「紫の炎 30th アニバーサリー・エディション」も30周年記念盤がリリースされていてくっきりはっきりと懐かしの年代には涙ものの音が刻まれているようだ。



Trapeze - Hold On

 恐ろしく深い英国ロックの森…というよりも不景気による仕事探しの結果、という背景が付くのかもしれないが、ともかくその系譜は面白いように繋がっていく。かなり抜けている部分はあるんだけどそれでもアチコチとんでもない方向に繋がっていくのは自分の未熟さを知るきっかけになるし更になるほど~と深みにハマるのであった。しかしあくまでも自分の知識満足だけの話てあって世の中には何の役にも立たないという哀しい性(笑)。

Dead Armadillos Hold On

 知ってる人は知ってるハズのトラピーズ。もちろんあのグレン・ヒューズが在籍どころかメインで頑張っていたバンドとして有名なんだけど、結構独特の音楽性を目指していてさ、面白いバンドとして聴いていたかな。まだまだ全部聴いたワケじゃないから詳しく書けないんだけどロックよりもソウルよりっつうか英国人の思うR&Bへの接近を果たしているバンド。どうしてもグレン・ヒューズ=Deep Purpleっていう図式もあるからハードロック的なイメージが付いてくるおかげでTrapezeの評価がちょっと違うんだよな、ってことになることが多いようだがそれは勿体ないってもんだ。

 しかしどのバンドにも波があって上手く行っている時もあれば悪い時もある。メンバーも入れ替わったり戻ったりもする…、そういうのが70年代後期ではあちこちのバンド=即ち70年代初頭から活躍したバンドに多い、で盛んにもがいていた結果が今は図式的によく見える。当時はそこまで細かい情報網もなかったので雑誌てまとめてそうか…とかレコードのクレジット見て、「ん?」とかライナーに書いてあることを記録していくとかくらいしかなかったし。そもそも今みたいに忙しい時代じゃなかったから情報も整理できたが。で、何だっけ?あぁ、んでTrapezeってのもグレン・ヒューズがディープ・パープルに移ったことでバンドが困ってしまってピーター・ゴールビーというボーカリストを加入させてバンドを継続。このピーター・ゴールビーはこの後Uriah Heepに加入して三枚のアルバムをリリースすることとなる人です。ってことはこのヘンもまた繋がってしまうのですな…。

 そしてTrapezeの結果的には最後のスタジオアルバムとなってしまった1979年にリリースされた「Hold On」にピーター・ゴールビーが参加して歌っているんだけど、それよりも1981年にリリースされた最後のライブアルバム「Dead Armadillos」の方がハジけたバンドの姿を刻み込んでいて面白い。グレン・ヒューズが具現化したかったであろう世界をしっかりと残った面々達が形にして出来上がっている世界とも言えるソウルフルな…と云うよりもかなり黒い音を出したロックライブアルバムとして完成している。もっとも収録されている曲はグレン・ヒューズ在籍時のものが大半なのだが…。

 このTrapezeの音を聴いてUriah Heepで歌うってのはちょっとイメージが付かないんだけどねぇ、Uriah Heepのメンバーとはツアーで一緒になったことがあって打診があった…と云うか熱望されたらしいが。全く運命ってのはいたずらなものだ。して有名なことでもあるがTrapezeのメル・ギャレーはその後ホワイトスネイクに参加するのだ…って云われるとどんなバンドだったんだ?と気にならない?



Wishbone Ash - Twin Barrel's Burning

 Uriah HeepとWishbone Ashのどちらにも在籍していたことのある男が二人いる。一人はさすらいのベーシスト、ジョン・ウェットン。この人の仕事をそれぞれのバンドの関連性に入れてしまうとそれこそ果てしないバンドが繋がってしまうと言うキーマン(笑)。ジョン・ウェットンとかコージー・パウエルってのはもうそういう人達だよね。最近ではサイモン・フィリップスとかニール・マーレイってのもそうなんだけどさ。そしてもう一人がトレバー・ボルダー。こんなところで名前を聞いてもピンと来ない人は多分デヴィッド・ボウイのスパイダースのベーシストという方がわかりやすいだろう…。

Twin Barrels Just Testing

 トレバー・ボルダーはスパイダースからBritish Lionsを経由してUriah Heepに参加、ジョン・ウェットンの後釜っていう時代。しかし時代は1980年代初頭で、正に音楽的に迷走していたUriah Heepをすぐに脱退してしまって行った先がWishbone Ash。これもまたWishbone Ashからジョン・ウェットンが脱退した後釜ってなるワケで二の轍を踏んでいるワケだ…。ちなみにトレバー・ボルダーが脱退した後のUriah Heepのベースには例のボブ・デイズリーが加入している。そんなトレバー・ボルダーが参加したWishbone Ashの唯一の作品が1982年の「Twin Barrel's Burning」というアルバム。

 それにしても行った先がこの時代のWishbone Ashって…、と思うんだがなぁ。全く泣かず飛ばずとなっていた当時のWishbone Ashはメジャーレーベルからも落とされてマイナーレーベルからしかリリースできなかった時代。そりゃもうトレバー・ボルダーは焦ったんじゃなかろうか?少なくともUriah Heepならメジャーレーベルとの契約は確保できていたワケだし…、と。案の定「Twin Barrel's Burning」一作でWishbone Ashを脱退して古巣のUriah Heepに戻るのだが、そういうことが簡単に出来てしまうのがまた面白い。どちらのバンドも低迷期だったしねぇ…。トレバー・ボルダー的には当時売れまくっていたボウイの元へ参戦ってのも選択できるならしたかっただろうな…。

 さて、そんなWishbone Ashの「Twin Barrel's Burning」ですが…一体誰が残っているのか?アンディ・パウエルとローリー・ワイズフィールド?とスティーブ・アプトン…ですか。それでこの音?時代の産物でもあるんだろうけど、往年のWIshbone Ashという古き良き大英帝国の美しきハードロックを奏でていた姿は一体何処へ?みたいにアメリカンポップ的に洗練されたハードロック的な音と妙に浮ついた鍵盤やらコンガみたいなのを入れて派手に聴かせている音。売れるか売れないかという意味ではかなり売れる可能性をもった曲が並んでいるのは事実。ポップで覚えやすい感じだし、もちろん軽めのディスコティックな音の処理なんてのも時代だけど悪くはない、それほど。ただ、やっぱり邪魔するのに「これがWishbone Ash?」っていう印象か。アルバムジャケットにしても同じだけどね。そんなに目くじら立てないでも普通に聴いて音で判断すりゃいいんだけどさ、何聴いてるのかわからなくなるくらいに解体されているのが問題。過去作品への思い入れがあるが故にギャップが激しいわ(笑)。

 多分往年のアルバムを聴いている人達はここまでのアルバムって追いかけることもないだろうし、ほとんど聴いてない人が多いだろうからその方が幸せだと思う。本当にWishbone Ashが好きな人は聴いているだろうけど、もちろん別モノとして聴いているだろうし、それは音が好きとかではなくって、というファン心理なんじゃないかな。ちょっとあまりにも哀しいサウンドが詰め込まれた感じ。それがトレバー・ボルダー参加のWishbone Ashの「Twin Barrel's Burning」というアルバムの印象。もちろんトレバー・ボルダーは悪くないけどさ。久々に後悔したアルバムでした…。



Lucifer's Friend - Lucifer's Friend

2010年の今から見た2000年頃の音楽なんて凄く新しいものだし、そんなに変化が激しいものでもないという感じなんだが、これが1980年頃から見た1970年頃となるととんでもなく変化していて、面白い。面白いっつうか…、まだまだ発見もいっぱい出てきて何それ?ってなのが多い。それは2010年の今になっても70年代を漁るファンが多いことでわかるし、自分も今でも発掘してくるバンドもあるワケで…、やっぱ面白い。

Lucifer's Friend Where the Groupies Killed the Blues


 後にユーライア・ヒープのデヴィッド・バイロンの後任ボーカルとして名を馳せることとなるジョン・ロートンが在籍していたバンド…っつうかオリジナルバンドのLucifer's Friendのファーストアルバム「Lucifer's Friend」です。自分的にはUriah Heepのボーカル云々以前に70年代ブリティッシュロックとして捉えられるLucifer's Friendという名のドイツ人4人と英国人一人のバンドが気になっていたし、そのジャケットも強烈なインパクトがあって知っていた。CD時代への移行期にもかなり早い段階で「Lucifer's Friend」とセカンドの「Where the Groupies Killed the Blues」がリリースされたので聴きやすかったってのもある。その時はUriah Heepのボーカルになる人が在籍していたなんて考えなくて、凄くユーライア・ヒープと似たサウンドを出すバンドだ、って思ったくらい。

 うん、ホントにね、ユーライア・ヒープとほぼ同じアプローチで畳みかけてくる極上のハードロック。ハモンドロックと言うに相応しいくらいハモンドが唸っているし、ギターももちろん相当ヘヴィに畳みかけてくる。ドラムにしても一本調子じゃなくってこの頃特有のドタバタドラムで素晴らしい…。やっぱり自分の趣味の原点ってこういうブリティッシュサウンドにあるんだってのが嬉しい(笑)。聴いたことのない人にはかなり新鮮で衝撃的に聞こえるハードロックなハズ。しかもほぼドイツ産のバンドでボーカルのジョン・ロートンだけ英国人。だから多分ドイツのハードロックバンドとしては初の世界進出バンドとも言えるか?

 ユーライア・ヒープとの類似点は多々あるのだが、何と言っても全く同時期に同じVertigoレーベルからどちらもファーストアルバムをリリースしているし、似たような音楽性ってのもあって交流はあったんじゃないだろうか。それが故に後のユーライア・ヒープへのボーカル加入となったんだろうと思うし。Lucifer's Friend自体はかなり音楽性の幅も広くてテクニックもしっかりしているので一過性のバンドとは少々趣を異にしていて、かなり長期間に渡って活動しているし、この後の「Where the Groupies Killed the Blues」というセカンドアルバムもかなり評価が高い隠れた名バンド。



Love Affair - The Best of the Good Times

 英国のアイドソウルボーカリストとして名高いのが三人のスティーブ…と呼ばれるハズなのだが、まぁ、日本ではそんな呼び名もあまりされることがなくって、三人のスティーブって誰だろ?って思ってくれたら面白いな、っていう程度だが…(笑)。まずはスティーブ・ウィンウッドがダントツかね。それとスティーブ・マリオットですね。個人的にはもちろん後者の方が圧倒的に好きなんだけどさ。そしてスティーブ・エリス…後のWidowmakerのボーカリスト、と言うよりも60年代後期に出てきたラブ・アフェアというバンドで活躍していた素晴らしい歌い手さん♪

Love Affair, The Best of the Good Times New Day

 あまり来歴まで詳しくないし、実際CDもそんなにリリースされていないのでオリジナルアルバムがどうのっていう程メジャーじゃないのかもしれない。わかんないけど。それでもこの時代になってくるとベスト盤ってのが重宝しまして…、「Love Affair, The Best of the Good Times」なんてのを聴いている次第ですが、これがまたどれもこれもポップでキャッチーでハードでもあって実に楽しい音じゃないですか。この頃って上手くないと出てこれないワケだから音はしっかりしているし、スティーブ・エリスの歌は後のWIdowmakerほどのアグレッシブさではないけど、かなりパワフルでパンチが効いている感じ。

 っつうかさ、シングルヒット集だからなのかホーンセクションはあったりストリングスはあったりとかなりゴージャスな印象の曲も多いし、その分ドラマティックに仕上がっているのでやっぱりそこそこ売れていたんだろうね。正直言って悪い曲がないです。ベスト盤だからかもしれないけど、確かにカラフルでキャッチーでパワーのある60年代サウンド。どこかデヴィッド・ボウイの初期と相通じるものもある。歌はソウルフルで上手いし聴いていて気持ち良い。

 HR/HMを深堀してきてもなかなかここまで辿り着かないっつうか聴かないだろうけど…音的には別にHRじゃないからね、そりゃそうか。でもこうしてルーツを追いかけていくとなかなか発見が多くて楽しめる。それと平行して同時代のアーティストとの聴き比べとかもできるしさ。ロッド・スチュワートと被る曲もやってて叙情感を比較してみたりさ…。いいよ、かなり。最近ではまた再結成してアチコチでライブやってたりしてるみたいなので、ちょっと面白いかも。




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物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


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