2009年末御挨拶

 2009年も早いモノでもう少しで終わりを迎えます。当然ながら2010年にも引き継いでいく「ロック好きの行き着く先は…」ブログですが、ここの所はかなりマニアックに偏ったものを取り上げていたので来年はまた多岐に渡ったロック中心に展開したいと思います。

 取り急ぎ本年はありがとうございました。来年もまた心機一転ガンガンと展開していきますのでご愛読下さい。

 良いお年を♪

                           フレ

Rod Stewart - Soulbook

 大晦日となれば恐らく多くの人はネットには目もくれず、テレビを見ているか出掛けているか飲みに行っているか家族団らんしているか…みたいなトコロだろう。旅に出ている人も多いだろうし、ゆっくりとしていることだろう。また逆に今が稼ぎ時っていうことで働いている人も多いかもしれない。何はともあれ2009年が終わりを迎えようとしている。はて、今年は「ロック好きの行き着く先は…」的にどうだったかな。英国三昧ってのはあったが、特に新しいジャンルに目覚めたわけでもなかったか。あ、まとめWebサイトに着手したってことくらいだろうか。コンテンツが埋もれてしまってもったいないので適度なジャンル別にまとめたのはいずれ完全なカタログとして機能してくれるだろう。

ソウルブック ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック

 さて、2009年最後のアルバムレビューは先日素晴らしいカバーアルバムをリリースしたばかりの大御所、ロッド・スチュワートの新録アルバム「ソウルブック」です。以前から「ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック」や「グレイト・ロック・クラシックス」などで自作の曲ではなく世の中にある名曲群をひたすらカバーして、その歌声だけを我々に届けてくれることに専念しているようだが、この作戦は見事に聴き手の情感に訴えるモノがある。今更新作と言われるよりは往年の名曲をロッドの歌声で聴くという方が楽しみが増えるというモノだ。

 そして今回はアルバムタイトル「ソウルブック」通りにR&Bやソウルの名曲群をロッドの歌声でカバー。これがまたメロウで良い~感じなんです。黒くないからしつこくなくて、それでいて楽曲は黒いから深いので、結局ロッド色に染められた名曲が甦るってなモンですわ。ゲスト陣も気を配っていて、スティーヴィー・ワンダーやメアリー・ブライジなんかをも迎えている。更に楽曲ではビートルズで有名な「You Really Got A Hold On Me」なんかが気を引くところだけど、正直言ってどの曲もムードたっぷりに歌われているので、気楽にBGMとして非常に優雅な気持ちで聴けるという代物です。いやぁ~、かなり感動的だったわ、これ。しばらくBGMで流してたけど、ホンモノみたいに引っ掛からないから心地良く聴けるもん。ある意味ムーディでエロいかもしれん。いや、エロいってのはちょっと言い過ぎだが、かなり雰囲気が漂ってます。良い言い方すると一年を締め括るのには最後にこういうのを聴いて流して「ぼ~っ」としているのが一番心地良いのかなぁという気もする。

 ロッドってこういうの昔から聴いていたからカバーしたんだろうな。今回のために覚えたワケじゃないだろうけど…、どうなんだろ?そんでアレンジも結構さらりと軽くなっているのもロッドらしく仕上げているんだろう。ロックやポップスのカバーと違ってやっぱり多少黒っぽい部分は意識したような感じはあるね。うん、それでも面白い。いいじゃないか、こういう今のロッドの在り方、ヘンに頑張るより良いぞ。



Blondie - Parallel Lines

 女性ボーカルによるパンク上がりのバンドってことでもう一つ挙げておくならば超有名なブロンディーかね。デボラ・ハリーですよ。ん?ちょっと前に来日公演を行ったとか?情報収集してないけど、それほど著しく容姿は変わっていなかったとか?いやホントか?見たくないから見ないのだが(笑)。

Parallel Lines Autoamerican
Blondie - Parallel Lines 恋の平行線

 はて、ブロンディの印象って全然パンクじゃなくって単にテクノ調なポップスな印象でロックという感覚すらない音だったというものだが、裏側ではNYパンクシーンの女王様でもあったとか?最近興味を持ったのはシルバーヘッドのベーシストでもあったナイジェル・ハリソンが参加していたってのを突き止めたから。うん、それまで知らなかったんだよね、そんな経緯。だからこのバンドも英米混合バンドなんだな…。もっとも英国的影響度は多くはないのだろうが…。

 そんなことで1978年にリリースされたヒットソング「Blondie - Parallel Lines - Heart of Glass Heart Of Glass」が収録されたアルバム「恋の平行線」ですが、ここには先ほどのナイジェル・ハリソンが参加していて、へぇ~と耳を疑ったものだ。Chequered Pastでも再度マイケル・デ・バレスとバンドを組むこととなるナイジェル・ハリソンがここまで魂売って仕事してたのかと思うようなポップでキャッチーで、テクノな売れ線狙いのバンド…というかアルバムに参加しているとは…。

 そんでもって「恋の平行線」というアルバムはブロンディというバンドとしては三枚目の作品で滅茶苦茶売れたアルバムなんだな。そりゃもう聴いてみればわかるけど、売れない理由がないっていうような作り方しているし、1978年でこの音でしょ?テクノ的なポップを入れ込んだポップメロディでロック的な側面なんてあんまり聴かれないからねぇ…。やっぱりセクシーさも売りだっただろうから、かなりよかったんだろう。音だけを聴いていると一体自分は何聴いているんだっけ?みたいな感覚に陥るが…、適当に流しておくには結構害がなくて良いかも。

 やっぱ、この辺アメリカの音楽なんだな…、ひっかかるものが何もない。ナイジェル・ハリソンの音があるからちょっとでも…と思って何度も聴いたが、やっぱり何もひっかからないんだもん(笑)。そりゃそうか。さて、このアルバム「恋の平行線」は多分リアルタイムな人には非常に印象深いアルバムなんだろう。ちょっとズレてたんだけどレコード屋でよく見かけたような気がするアルバムジャケットだもん。



The Pretenders - The Pretenders

 年の瀬も押し迫ってきた今日この頃、ロック好きの行き着く先は…ブログでは相変わらずロックな毎日を過ごすことになるんだが、毎年年の瀬ってのはアクセス数がグッと下がる傾向にある。まぁ、年末なので皆様色々とすることもあるだろうし、ネットなんか見てられないっていう状況になるのだろう。全くそういうのとは無縁なこのブログサイト…、いいのか(笑)?それでもやっぱり年始は盛り上げていかないといかんかな、と言うことでやっぱりメジャー路線も復活させていかないとね。

愛しのキッズ ラーニング・トゥ・クロール
Pretenders - Pretenders (Expanded & Remastered) The Pretenders

 さて、大物メジャーというワケではないけど2008年にも新作「Break Up the Concrete」をリリースして相変わらずの健在さを顕示したプリテンダーズ。結成が1978年、シングルデビューが1979年、アルバムデビューが1980年だから既に30年選手なワケで、デビュー時にクリッシー・ハインドは既に30歳前だったので、今の年齢がわかるのだが、それであんだけロックかよ?日本の普通のおばあちゃんと変わらないのにアレかい?やっぱ違うわな…。

 そんなプリテンダーズの一番最初のアルバム「愛しのキッズ」。最高傑作は多分三枚目の「ラーニング・トゥ・クロール」なんだろうなと思うけど、やっぱり初々しいデビューアルバムってのはいつの日も宝石の原石の如く輝いているモノだ。「愛しのキッズ」もヒットはと言えばキンクスの「Stop Your Sobbing」というものくらいなのかな?多分「愛しのキッズ」とかもシングルだったと思うが…売れたかどうかは知らない。多分売れたんじゃないだろうか。

 なんつうのかね、とんがってるんだけど聴きやすいサウンドとメロディのシンプルなロック。それで女性のクリッシーが歌っているってものだから物珍しい面が大きかったのかもしれない。ただねぇ、やっぱり本質が良く表れている。ソフトに作ったのかもしれないけどやっぱり凄く骨のあるロックなところが聴けるもん。イメージではなくって音でそれがわかる。その骨太なトコロがウケたんじゃないかな。アルバムとしてはまだまだ未熟で、良質以上のものじゃないっていうレベル。ただし個性ははっきりと打ち出しましたという感じで、クリッシー・ハインドという名刺を差し出したというようなものか。ビートを効かせたポップでシンプルなロック。やっぱり「Pretenders - Pretenders (Expanded & Remastered) - Kid (2006 Remastered Version) Kid」が一番素晴らしく泣かせてくれるしかっこよい。コレでプリテンダーズにヤラれた、って思った。

 年の瀬押し迫った時に「愛しのキッズ」を聴いて…、何か一年が振り返れるっつうかさ…、そういう雰囲気の曲ですよ。彼女はアメリカ人でロンドンに来ていてバンドを組んだ人なのでプリテンダーズ自体は英国のバンド…として認識してるけど、その辺の不思議な音楽的な融合も面白い。クラッシュのミック・ジョーンズにギターを教えたのはクリッシー・ハインドだったというのもまた裏話だ…。

 今はリマスターで色々入ったのが出ているらしい…、まだ聴いてないけど面白そうだな。



Steve Jones - Mercy

 そろそろ年末の仕事納めという人も多いだろうし、まだまだこれから仕事だ~って人もいるのだろう。今年は一体どんな年だったかなぁ…とふと考えると、まぁ、無茶苦茶は悪くないか、と。良くはないけどさ。それはもう毎年だから、今年はまだマシだったかな…と思うようにしている。そういうことに思い耽るようになると年の瀬を感じるのだな。うん…いろいろ考えることがあるわ…。そんな雰囲気にピッタリのサウンドをも醸し出していた元Sex PistolsのSteve Jonesの初ソロアルバム「Mercy」です。

Mercy Fire and Gasoline


 こちらも1987年リリースでプロデューサーはアンディ・テイラーというものでしてね…、多分「Thunder」と平行して作られたんだろうなと。音世界も全く同じで、歌っているのがそれぞれ当人というだけで、ホントに双子のような音を出したアルバムです。当時はそういう風に聴いてなかったけど、似てるなぁ~って思ってたくらいだもん。冷静になってクレジットとか見てるとさ、なんだ、一気に作って二人の名義で出しただけなのか、っていうくらいなもんだ。

 しかし、やはりSteve Jonesはクリエイターだった。こっちの「Mercy」の方が深い。単なる脳天気なハードロックには進まずに渋みのある深みのあるミディアムで重めの音を収録しているから大人に聞こえるんですよ。しかもリフトか相当かっこよくってさ、粒の粗いギターサウンドもかなりポイント高いし、当時もよく聴いたけど、最近また聴いてみてなかなかどうして、大変かっこよいですよ。歌はもう渋く低い声で歌っているのでアダルトだし。何かを狙っているね、こういうサウンドは。曲自体はそんなに大したモンじゃないけどさ、なんか全体的に良いんだよねぇ…。Sex Pistolsのギタリストがこんなにアダルトな音を出せることにも驚いたものだ。

 ジャケットもこれまた渋いしさ、この人この後チャーリー・セクストンのプロデュースなんかもやったりして、それもまた同じような音だったような気がするんだがどうだろ?。そんで、しばらくしたらセカンドアルバム「Fire and Gasoline」をリリース…、時代のヒーローだった全盛期のアクセル・ローズがゲスト参加したという代物なんだよな…。




Andy Taylor - Thunder

 デュラン・デュランから一足早く離脱し、己のロック魂そのままに歩みを進めたのがギタリストのアンディ・テイラー。デュラン・デュランが一端活動を止めて各人の活動に専念した際にアーケイディアとパワー・ステーションに分割されたことは以前にも書いたし、割と知られたことだろうけど、そこでアンディ・テイラーはしっかりと自分のハードロック好きを認識してしまったのだな。そんで、そもそもデュラン・デュランのツアー時の前座で起用されていたChequered Pastの面々と意気投合したんだろう。そりゃそうだ、伝説のSex PistolsのオリジナルギタリストでもあるSteve Jonesがいたんだから。アンディ・テイラーがSilverheadやIggy Popまでを網羅していたかどうかは怪しいけどピストルズはね、さすがに伝説でしょ。

Thunder Mercy
Andy Taylor - Thunder (Original 1987 Format) Thunder

 そんなスティーヴ・ジョーンズに教え込まれたロック魂は仕事場のデュラン・デュランを放棄させるには十分なアウトサイダーだったってことだ。そして一緒に組んでソロアルバム「Thunder」を1987年にリリース。全くChequered Pastと同じような音世界だったんだが、そこはアンディ・テイラーのネームが呼び込むレーベルのカネの掛け方の違いが出るね。かなり洗練された、そしてモダンで大人な感じのする心地良いロックが聴ける。後で聴けば全てがSteve Jonesの手による作品だったらしいが、おかげでSteve Jonesは後にリリースするソロアルバム「Mercy」ではタイトル通り静かな曲ばかりを詰め込んでいて、アンディ・テイラーの「Thunder」で多くのハードロックソングを使い果たしたような感じだ。

 そんなに才能があるとかではないと思うけど、しっかりプロダクションされていて今でも古くささを感じないモダンな風味はなかなかのもの。快活なナンバーも多いし、アンディ・テイラー意外とやるな、と当時は思ったがさすがに今はちょっと子供だまし…っつうか狙ってるのが見えてるのでね…。いやいや、それでも英国のハードロックバンドのサンダーなんてのは見事にこのアルバムからバンド名を拝借して彼等のファーストアルバム「Back Street Symphony」ではプロデューサーにアンディ・テイラーを迎えているのだから影響力は大きい。

 日本盤はアンディ・テイラーの顔面アップ写真だったけどもともとは山の景色みたいなジャケットだったらしい。アートスクール出身じゃなかったのかな?あまりジャケットにこだわりはなさそうだけど…。しかし、アンディ・テイラーも案の定この一枚でどこか失墜…、そしてデュラン・デュランという仕事場にも一端復帰することになるのだった…。



Duran Duran - Thank You

 80年代の栄華の象徴とも言えたエイティースポップス、またの名を第二次ブリティッシュインヴェイジョン…ってのは後に付けられたシーンへの振り返りとも言えるんだが、MTVがどんどん世に出てきて同時にPVでアーティスト色を象徴していた80年代…、今CDとか聴いてても面白いし、それこそあちこちで音楽はリバイバルしているし、バンドも復活しているようだ。中でも代表的だったデュラン・デュランは80年代中期までは栄華を誇っていたもののメンバーの脱退から一気に失墜、低迷期を歩むことになるのだった。

Thank You Duran Duran : The Wedding Album
Duran Duran - Thank You Thank You Duran Duran - Duran Duran 2 (The Wedding Album) The Wedding Album

 そこで原点回帰なのか起死回生なのか満身創痍なのか1995年に唐突にカバーアルバム「Thank You」をリリース。もっとも前作「The Wedding Album」でもいくつかカバー曲が収録してあったり、ツェッペリンのトリビュートアルバムに「Thank You」を提供していたりしたので、そこからのアイディア拡大だとは思われるのだが、既にバンドメンバーはこの時点でジョン・テイラー、ニック・ローズ、サイモン・ル・ボン、ウォーレン・ククルロというメンツでして、なかなか選曲が意外だったんだが…、そして当時ワーストアルバムトップに輝いた栄えある作品です。

 これら全てをカバー作とは知らずに聴いた場合、相当のセンスに溢れたデュラン・デュランのセンスに惚れることは大いにあり得ると思う。多様なアーティストのカバー曲を収録しているんだけど、割と統一されたカラー=デュラン・デュランの色で染められていて、それはしっかりとジャパンを意識するかのようなシュールで割と冷淡な音色だったりするのでセンスが良い。ただしカバーアルバムとして原曲を知っている人間が聴くと確かにワーストワンになるのもわかる(笑)。悪くないんだけど原曲を超える取り組みがイマイチ見られないというのか…、これならニューロマンティック風味に仕上げた方が好まれたことだろう。

 個人的には結構好きなアレンジだけど…、何回も聴きたくなるような面白さではない。ただ、こういうのって原曲の良さが際立ってしまうので、そういう意味では見直した曲もある。例えばドアーズの「Duran Duran - Thank You - Crystal Ship Chrystal Ship」なんてのは原曲も良いのだが、あくまでもジム・モリソンだから、と思っていたらサイモン・ル・ボンの歌もこれまた素晴らしいじゃないか。そんな発見があったりね。Zeppelinの「Thank You」はちと語ることはないのだが(笑)、意外なトコロではSly & Familystoneの「I Wanna Take You Higher」かね。まぁ、特筆すべきものではないが取り組んだことに驚いた。

 日本盤のボーナストラックだとボウイの「Diamond Dogs」とVelvet Undergroundの「Duran Duran - Duran Duran 2 (The Wedding Album) - Femme Fatale Femme Fatale」が入っているのだが、そういう曲は本編に入れるだろう、普通。





Wham! - Last Christmas

 クリスマス♪ 今年は珍しくベタにクリスマスソングって書いてみようかと(笑)。特に嬉しいことも楽しいこともロマンチックなことも何もないのだが、だからこそクリスマス♪って気分にしておきたいな、と。

ラスト・クリスマス ザ・ベスト~スペシャル・エディション(DVD付)

 1984年リリースの言わずと知れたワム!の「ラスト・クリスマス」。売れたねぇ…当時から。それから毎年クリスマスには流れているんだから凄い。既に25年間も流れ続けているという…、クリスマスソングの美味しさってそこなんだろうな。スレイドの「Merry Xmas Everybody」だって、スレイドなんて普通知られてないだろうけど曲はしっかりクリスマス全集とか何とかに入っていたり、クィーンの「Thank God It's Christmas」なんてアルバム未収録ベスト盤にも未収録なレアソングなんだけど、しっかりクリスマスオムニバスには入っていたりするからね。ポーグスの「The Pogues & Kirsty MacColl - The Very Best of the Pogues - Fairytale of New York Fairytale Of New York」も英国では人気があるとか…。日本ではイマイチな気がするが。

 さて、ワム!、だ。っつうか「ラスト・クリスマス」だ。今まで歌詞を気にしたこともなかったし、そもそもちゃんと聴いたこともあまりなかった…、売れた当時は聴いたけど、それ以来普通に流れてる時には無意識だったもんね。そんで今回初めて歌詞を見て訳詞を見て知ったのだが…、割とネガティブな歌だったんだ…。まぁ、言い方を変えれば恋に臆した男の子の歌、なのだが、ジョージ・マイケルの趣味的に相手が男なのだろうと思うとちょっとげんなりする…、が、恋は恋。

 PVではなんか無邪気に学生達がスキー場で遊んでいる風景だったよな…。まぁ、爽やかで良い風景です。もうそういうのに憧れる年でもないから何とも言えないけど…、あぁ懐かしい(笑)。昔好きだった女の子とデートした時に流れていたBGMでもあるな…、いや、それ言ったらいつの時にも街では流れているのだからという話になるか。うん、リアルタイムの1984年頃ね。まぁ、結局苦い思い出となるのだが(笑)。

 そんなクリスマスの定番曲「ラスト・クリスマス」…、やっぱ良い曲だろう。クリスマスソングって何が一番って難しかったんだよね、考えたけど。そういえば昨年はリッチー・ブラックモアとキャンディス・ナイトも「Winter Carols」っつうのをリリースしていたな…。今年引っ張り出して聴く気には全くならないのは何故(笑)?







Band Aid - Do They Know It's Christmas?

 例年のことだがクリスマスイブでもある12月24日にこのブログでははどうしようかな、と思ってしまう…。まぁ、常に時勢の流れを気にせずに書いているので結局自分の流れをそのままにして書いていたんだけどさ、今のところ80年代キッチュなR&Rバンドの流れがあるので、う~ん…とちょっと考えてしまった。せっかくだし、クリスマス時期に書くのが一番適当かな~なんていう一大イベントのバンド・エイドってね。まぁ、ロックっつうよりもポップ界でのイベントなんだけど、今でも毎年クリスマスになればどこかで耳にするし必ずPVなんかも流れるワケでさ。

Do They Know It's Christmas? Do They Know It's Christmas?

 1984年11月末にレコーディングされて12月のクリスマスシーズンにはシングルが店頭でリリースされていたという驚異的なスピード。ボブ・ゲルドフによる有名な発案から具体化されたチャリティシングルの代表的な例で、今でもバンド・エイドを超えるものは出てきていないんじゃないか?こないだライブ8って企画が20周年記念ってことで行われてピンク・フロイドの再結成なんてのが話題になったけど、エチオピアの飢餓問題って結局20年間変わっていないってことなんだろうか?アメリカの「We Are The World」などを含めてかなりの額がアフリカやエチオピアの飢餓問題に流れているハズなんだけど、やはりチャリティというのは流通経路で95%は経費で消えていくという状況からするとほとんど変わっていないってことかもしれんな…。そうなると世界を救うなんてのはやっぱりキツイよねぇ…。

 さてさて、それはともかく英国のアーティスト…ポップアーティストや新鋭アーティストを中心としたチャリティ企画でもあったバンド・エイドの楽曲はご存じのようにブームタウン・ラッツのボブ・ゲルドフとウルトラボックスのミッジ・ユーロによる作品で、似たような傾向のバンドのフロントマンによる共同作業だったのもあるが、歴史的にも名曲と思われる「Do They Know It's Christmas?」を書き上げる才能は凄い。狙って書けるならもっともっと売れたバンドだったろうに…。こういう名曲ってのは偶然もあるだろうが、「Do They Know It's Christmas?」の場合は狙ったんだろうと思うから、才能ですかね。凄いね、プロは。その二つのバンド、ほとんど聴いたことがないのでどんな人達なのかもよく知らない。集まった面々についてはスーパースターとは言うモノの、ポール・ヤングなんてこの頃まだそんなにヒット出してなかったからこの後に売れたんだよね。このプロジェクトって英国で人気のあった人達によるコラボでそこから世界に出てきているから先を切って人気アーティストを収録しているように見えるところが巧い。

 はて、「Do They Know It's Christmas?」ってどんな歌詞なんだろう?ってふと思った。チャリティシングルの割に気にしたことなかったな…、と。「…。」ちょっと宗教的っつうのか、高尚な感じでわかりにくい。クリスマスってもんがあるんだよ、ってことを教えてあげたい、っていう歌だったんだな。ん~、こういうのって深いな。

 久々にYouTubeでPVを見た。良い曲だな…と。そんで皆若い(笑)。クリスマスイブ、か。何もないなぁ(笑)。



Chequered Past - Chequered Past

 う~ん、ニッチなシンガーのくせにメジャー指向と言うのか、なかなか立ち位置の微妙な所に存在するマイケル・デ・バレス♪ 彼の活動経歴は実に頼もしい。元々シルバーヘッド好きなだけなので、そんなにマイケル・デ・バレスに固執することはなかったんだけどソロ作聴いてそういえば…と思い出したというか記憶の片隅から掘り起こしてきたと言うかネットであれこれ見てたらこれもあったっけ…と今更ながら驚いたバンドです。

Chequered Past Mercy

 Chequered Pastってご存じ?アルバムは1984年に「Chequered Past」がリリースされているんで…しかも今オフィシャルサイトで改めて読んでたら当時全盛期だったINXSやDuran Duranの前座で回ってたらしい…。それでPower Stationへの加入ってのも納得するし、話題は逸れるけどDuran Duranのアンディ・テイラーのソロアルバムのプロデューサーだかゲストギタリストだかでSex Pistolsのスティーヴ・ジョーンズ参加ってのも納得なんですよ。…ってのはさ、このChequered Pastってバンド、1982年頃結成なんだが、何とマイケル・デ・バレスとSex Pistolsのスティーヴ・ジョーンズとブロンディのベース=シルバーヘッドの同僚のナイジェル・ハリソンも参加。更にブロンディのドラムだったクレム・バークがドラムを叩いてて、どういうワケだかセカンドギタリストにトニー・セイルス…Iggy Popバンドのベーシスト=後のTin Machineのベースのあの人が参加。何ともスーパーバンドじゃないですか。当時は全然知らなかったけど、今改めて見ると恐ろしくロックな面々による豪華なバンドだったのだ。

 そんなメンツが揃ってアルバム「Chequered Past」で出てくる音は割とかっこよかったのだ。洗練されすぎていて英国風とか米国風とかって言えないんだけど間違いなく80年代中期のハードロックンロールバンドの音でしてね…、そういえばスティーヴ・ジョーンズのソロアルバム「Mercy」みたいでもあるしアンディ・テイラーの「Thunder」のようでもある…即ちスティーヴ・ジョーンズの音楽的才能が出てきているバンドだったんだろうと想像できるね。我らがマイケル・デ・バレスさんはそういうところに割と無関心で歌えれば満足というタイプだしさ、他のブロンディ組はやはりリズム隊だし、トニー・セイルスだってリズム隊上がりだし…そっか、スティーヴ・ジョーンズ偉い。Sex Pistolsで唯一音楽していた人だしね(笑)。

 と言うことを書いていても相当かっこよいロックな音だから聴いてみる分には良いんじゃないかなと思う。些かポップなサウンドが入っているのは時代として、骨格はやはりハードにドライブするロックンロールだもん。もうちょっとプロモーションしていれば売れただろうに…勿体ない。そしてこのバンドも短命に終わって空中分解してそれぞれの道を進む事になるのだった。それでもロック史に傷跡を残したバンドだった、と思いたい(笑)。



Michael Des Barres - It's Only Human



 英国の深い森とはしっとりと湿ったサウンドや空気の印象があって実に霧に埋もれたシーンのイメージなんだけど、そこから大きく脱出していく英国ロッカー達も数多く存在していて、まぁ、有名なのは例えばフィル・コリンズとかさ(笑)。ところが、そんなにメジャーにはならなくてもアメリカに進出して感化されて…でも英国人っていう人もいて、出元から追いかけていると「え?」ってな感じになってしまってビックリなんだが…。

 ご存じフランスの貴族という触れ込み?でシーンに出てきたマイケル・デ・バレス=Silverheadの花形ボーカリスト、そしてDetectiveのボーカリスト、そしてThe Power Stationのライブシンガー、で著名なのですけどね、多分。その合間合間のバンドやソロ活動ってのも結構あったりしてニッチに好きだったので細々と聴いていたりするのですよ。もちろんほとんど全く話題になることもないし、レコード見つけたら多分100円以下で買えるだろう(笑)。

 1980年にソロアーティストとして初めてリリースした「I'm Only Human」というアルバムがあります。割とまだ知られているのはThe Power Stationの後にリリースしたセカンドアルバム「Somebody Up There Likes Me」なんだろうけど、敢えてファーストアルバム「I'm Only Human」を紹介。時期的にはDetectiveが解体したのが1978年頃なのでその後制作に入ったんだろうね。面白いのはそのメンツでして…。バンドのメンバー自体はそんなに知られているメンツじゃないんだけど、ベーシストと作曲クレジットにはシルバーヘッド時代の盟友ナイジェル・ハリソンが全面協力。このNigel Harrisonって実はシルバーヘッドの後しばらくしてからブロンディーに加入しているから割と知られている人なんだよね。そんなところがニッチ的でしょ?いや、面白いんだよね、このヘン。んで、プロデューサーにはMike Chapmanって人で、ナックの「My Sharona」をプロデュースしてた人ってことで、へぇ…と。アルバムの音を聴くと凄く納得するので、ここはツボです。そして個人的には恐ろしく意外な組み合わせで驚いたのがBarry Goldbergって…アメリカンブルースの著名人で、Mike Bloomfieldなんかとよく一緒にやってた人で、それで名前知ってるしアルバムとかもあるんだけど、なんでこんなベタベタなブルースメンがマイケル・デ・バレスのアルバムに?みたいな感じなんですよ。大体そのメンツで出来上がった超ニッチでポップでキュートでキャッチーでキッチュなアルバムが「I'm Only Human」です(笑)。

 初っ端から最後まで恐ろしく脳天気でハチャメチャなロック?みたいなサウンドがゴマンと詰め込まれていて楽曲がどうとか歌がどうとか言うのではなくって、いかにも英国人がアメリカンにやってみました、っていう象徴みたいだけど聴いていると結構面白くてハマるからコワい(笑)。救いはマイケル・デ・バレスの声があのままで変わっていないことくらいだが…後に俳優になるだけあって、いとも簡単にスタイルを変えているのが何とも…。敢えて言えば歌のラインや歌い方はシルバーヘッド時代と変わらないのでアレンジと音を変えればやっぱR&Rであってほしい、ということくらいか。こういうサウンドってほとんど聴かないから新鮮だけどさ…(笑)。ジャケットからして想像するようなサウンド、って意味では合っている。



Detective - It Takes One To Know One

 自分で持っているのにしっかりと聴けていないモノをこうした機会に聴き直すという意味で自分的には非常に意義のあるブログサイトとして成長した「ロック好きの行き着く先は…」ですが(笑)、本日もまた改めて感動した次第のアルバムがこいつ。

イット・テイクス・ワン・トゥ・ノウ・ワン(衝撃の共同体) ディテクティヴ/ファースト(直撃波)

 Detectiveのセカンドアルバム「イット・テイクス・ワン・トゥ・ノウ・ワン(衝撃の共同体)」。1978年リリースなので最早70年代英国ロックのマジックは働いていない時期なのだが、どうしてもファーストの「ディテクティヴ/ファースト(直撃波)」に注目してしまって、聴くとしてもファースト「ディテクティヴ/ファースト(直撃波)」だったからセカンドを聴くのは実に久々。ジミー・ペイジがプロデュースしてスワンソングからリリースされたファーストはかなり話題に事欠かなかったみたいだけどセカンドの「イット・テイクス・ワン・トゥ・ノウ・ワン(衝撃の共同体)」となると期待は掛けられたモノの実際にはあまり芳しくないセールスだったということらしい。まぁ、セールス面は置いといて、音がさ、ここまでボンゾ直系のドラムだっけ?ってなくらいでファースト「ディテクティヴ/ファースト(直撃波)」も聴き直してしまったくらい。

 アルバム冒頭から軽快に聞こえるハズのギターリフが始まってマイケル・デ・バレスの個性的な歌声が聞こえてくるんだけど、その後の「Competition」って曲ではドラムが思い切りボンゾでさ、曲構成もツェッペリン的で非常~にハマれる。こういうのがかっこよいと思えてしまう自分のセンスに感心するんだけど、ちょっとアメリカ市場狙いしている感があって鼻につくのがアカン。それでも結構かっこよいサウンドを奏でてくれているのでついつい聞き込んでしまいました。トニー・ケイの鍵盤がどこまで必要なんだろう?って気がするけどしっかり自己主張しているのは確か。自分的にはそれよりも圧倒的に曲構成と重さっつうのか独特のサウンドが気になってさ。いやぁ~、B級バンドばっかり聴いていたからこういうメジャー路線を走れたバンドの音の垢抜けたサウンドが新鮮です。Detectiveだって全然メジャー路線ってワケじゃないんだけど、やっぱ違うな。滅茶苦茶かっこよいもん。

 1978年って事はもうパンクが出てきて衰退した頃で、こういう王道ロックな音って全然受けなかった頃なんだよな。もうちょっと早ければバドカン的位置付けでいられたかもしれないのに、勿体ない。そうしてこの後サンプラーなライブアルバムだけが残されたらしく、今でも未発表のコレクターズアイテムと化している…。紙ジャケでリリースされたら面白いのにね。



Gary Holton And Casino Steel - Gary Holton And Casino Steel

 もしかしたらホントのB級バンドってのはこのCD衰退のご時世に於いてもなおCD化されることのないバンドのことを云うのかも知れない…などと本気で思ってしまった今日この頃。何故にそんなことを思ったかと言うとですね…、いや、英国のどんなにマイナーなバンドでも今じゃ紙ジャケとかSHM-CDとかCDになったことがある、とかじゃないですか。それなのにもっとメジャーだったにもかかわらず全くCD化されたことのないバンドって一体どういうこっちゃ?と。もちろんセールスが見込めないからっていうのはあるんだろうけどさ(笑)。アメリカのはそういうの多いと思うけど英国ものでは珍しいんじゃないかと…。そうでもないのかな。ポップの世界はわからんけど。

With the Hollywood Brats, the Boys, Gary Holton, etc.
 Heavy Metal Kidsからそのまま流れてきて…、1981年になってジャンキーのGary Holtonがちっとはマシになってもう一度R&Rやろうや、ってなことなのかどうかは知らないがノルウェー人の同じような酔いどれロックンローラー、Casino Steelと一緒に組んでリリースしたアルバムがある。何と4枚もリリースしているんだから恐れ入る…。だってGary Holtonって1985年にドラッグで死んでるんだから、4~5年の間に4枚出してるってことでしょ?いや、詳細まで知らないけどさ。だって、冒頭に書いたように、この人達の作品ってCDになってないんだもん。だから入手は大変だよね。まぁ、アナログ見つけたら多分100円で買えるような気もするんだが…(笑)。

 そのファーストアルバムはまんま「Gary Holton And Casino Steel」ってなもんだ。アマゾンには全然ないし…あってもちょっとした編集盤だけなのでYouYubeで全曲見た方が良いかもしれない。もちろん動画じゃなくて音声だけだけど、Heavy Metal Kidsと共に好みを理解してもらえるかもしれない(笑)。いや、こういうのが好きなんだ~ってさ(笑)。音的には何か結構ヘンなロックで…、ノルウェー感覚が入っているからだろうけど、Horslipsみたいなさ、アレはアイルランドだけど…いや、そういう感じ。もっとも歌がGary Holtonなので一気に引き込まれてしまうんだが。

 キャッチーでロックでグラムでパンキッシュなR&R。こういう退廃的なサウンドを出していけるバンドって少ないね。伝統的には根付かないロックの部類なのかもしれない。洗練されないっつうか。やっぱシルヴァーヘッドとの類似性が一番で…継承してたのは多分Hanoi Rocksくらい。マイケル・モンローはよくカバーしてたしね、このヘン。うん、わかる。そしてこの二人組の出すR&Rもやっぱりかっこよい!





Heavy Metal Kids - Heavy Metal Kids

 ここのところ割とハマっていた英国B級路線ってのはさ、何となくプログレともハードロックともつかないと言うか、ブルースロック上がりってのもサイケデリックってのもポップってのもあったりして、それこそ英国の楽しみって感じだったんだけど、セールス的にもほとんどが目立つことなく、そしてまた知名度でもほとんど語られることのなかったバンドが多くて…、それでもB級だっていう言い方なんだけど、表のロックの世界から見たB級バンドってのもあって…、別に区別する必要もないんだけど、何となく、ね。こちらのB級は一応知名度があったり当時売られたりしたけど結局時間が経っていくウチに忘れ去られてしまうようになっていったのでB級レベルとして語られたというものだ。まぁ、前者が存在自体がB級だったのに対し、後者はセールス的にB級だったというのか…。はい、そんなバンドもたくさんあるわな…。

Heavy Metal Kids Anvil Chorus

 もうねぇ…、凄くかっこよくってこれぞB級の醍醐味だろ、っていうくらいに最高のロックンロールをやってくれているHeavy Metal Kids。ダサいでしょ(笑)?1974年にアルバムリリースした「Heavy Metal Kids」が最初なんだけど、その後セカンド「Anvil Chorus」もリリースして、解散前に三枚目「Kitsch」を出してオシマイ。そしたら解散してからシングルヒット「She's so Angel」を放ってしまいましたという全くツキに見放されたバンドでもあるのだが…、これがまた素直なR&Rで実に良いのだよ。Silverhead的なかっこよさを持ってるしさ、音楽的にもかなり好みで楽しめる。

 まずはもうやっぱりゲイリー・ホルトンの歌声に尽きる。ロッドっつうのかマイケル・デ・バレスっつうのかネチョッとした声質でのR&Rだからインパクトあるんです。音楽的にはR&Rからミディアムテンポからバラードからかなり幅広いアプローチを試みてて、鍵盤のダニーさんのセンスが光る。この人、この後MSGに参加したりと割と音楽畑を渡り歩いているのでセンスあったんだろうね。決してHeavy Metal Kids出身という言い方はしなかっただろうけど。まぁ、そんなところくらいが有名どころなんだけど、とにかくB級的センスの塊で虜になる。ファーストアルバムだからイモ臭いところもあるんだけど、これが良いのだよ。好きだわ~こういうの(笑)。

 えっと、逸話を二つばかり…。Heavy Metal Kidsと言うバンド名はその昔FREEがデビューする際にもアイランドレーベルから提示されたらしいけどメンバーが却下してアレクシス・コーナーのFREE AT LASTからFREEを取って命名。このHeavy Metal Kidsはその勢いなのか今回命名されているけどレーベルはアトランティックだから由来はよくわからん。もともとThe Kidsというバンドだったとか?

 それとこのゲイリー・ホルトン氏って俳優業もやっていて何と驚くことにあの映画「さらば青春の光」にロッカー役で出演してます。まったく「さらば青春の光」ってのは凄いよ。スティングもいればゲイリー・ホルトンもいるワケだからね。そんな逸話を持った人のバンドです。滅茶苦茶よろしいんだよ、コレ。っつうかアルバム三枚とも結構良く聴くバンドです♪



Mott The Hoople - Brain Capers

 時を同じくして英国ロック史に今では割と名を轟かせているが、この頃はと言えば全然パっとはしなくてどうしたモノかと思い悩んでいたバンドでもあるモット・ザ・フープル。もしデヴィッド・ボウイとの出会いがなければ恐らくこのままB級だけど結構センスの良いバンドとして祭り上げられていたに違いないと予想できるんだけど、歴史と運命はそれを許さなかった…。そんな幸運なバンドとして今では語られるが、先日英国で再結成ライブを何日か連続でやって大盛況だったらしい。やっぱり英国人にはわかりやすい英国のバンドなんだろう。

ブレイン・ケイパーズ(紙ジャケット仕様) Brain Capers
モット・ザ・フープル - Brain Capers Brain Capers

 1971年リリースの4枚目の作品「ブレイン・ケイパーズ」。デヴィッド・ボウイの手による「All the Young Dudes」以前のアルバムで、この「ブレイン・ケイパーズ」をリリースしてツアーしてあまりにも売れなくてバンドの解散を表明したらしいが、それすらも話題にはならなくてベーシストが仕事を探してボウイのところに電話したらモット・ザ・フープルというバンドを気に入っていたボウイが手助けした、という美しく見える逸話がある。ボウイのセンスの良さが目立つ逸話なんだけどさ、まぁ、それはともかく「ブレイン・ケイパーズ」はさすがに瀬戸際で制作されたアルバムってのもあって実に充実した内容の作品なんだよ。

 一言で言えばかっこよいロックンロールアルバム。モット・ザ・フープルのR&Rって独特なんだけど、警戒するようなものじゃないから素直に聴ける。ヒネリが多いわけじゃないしね。でも、何でかわからんがヤケにロールしているんだ。イアン・ハンターの独特の浮遊した悲痛な声もあるとは思うが、雰囲気が良い。そしてこの「ブレイン・ケイパーズ」は初期作品の中では多分最高傑作。全キャリアを含めてもベスト3には入るくらいに素晴らしいアルバムでさ、特に「モット・ザ・フープル - Brain Capers - The Journey The Journey」っつう9分にも及ぶ大作はドラマティックで素晴らしい曲。これがあったからこのアルバムを聴きまくったっていうくらいに美しい。基本的に他の曲はR&Rなんだけど「The Journey」はね…、バラードという感じで片付けられないドラマな曲なんだもん。その前の「モット・ザ・フープル - Brain Capers - Darkness, Darkness Darkness Darkness」っつうのがヤングブラッスっつうバンドのカバーソングだけど良いセンスしてる、これも。ボウイが気に入るバンドのハズだ。

 この頃のモット・ザ・フープルって既にライブではヴァイオレンス・ロック・バンドと呼ばれていたくらいに暴動が起こるバンドだったんだよね。何故か観客がエキサイトしても良いバンドだったみたい。後にパンクが起こった時の初期は皆が皆モット・ザ・フープルみたいにエキサイティングなバンドを…ってのが合い言葉だったし、それは多分リアルに知っていた世代ならではなんだろう。クラッシュにしてもハノイ・ロックスにしても敬愛するバンドって言うもんね。

 そう、「ブレイン・ケイパーズ」はホントに傑作。モット・ザ・フープルの煌びやかな黄金期を聴いて知った人は次に「ブレイン・ケイパーズ」を試してみることをオススメするね。なんという美しいバンドなんだろうと言うことに気付くと思う。ここの所何度も何度も聴いているんだよね、これ。イアン・ハンターの悲痛な歌がさ、今の自分にマッチしちゃって…、かっこよい♪





Bell+Arc - Bell+Arc

 マイナーなバンドの世界はその世界で融合とか解体とかが繰り返されていて、先日書いたTear GasとAlex Harveyとの合体なんてのはザラにあって、奥深い世界では皆兄弟というような英国ロックシーン。今回もちょっと前にようやく聴いた音で、なかなか期待を裏切ることなくスカッと聴かせてくれたので大満足な一枚です。

Bell + Arc Arc...At This

 1971年リリースの「Bell + Arc」です。うん、Graham Bellというジョー・コッカーばりのボーカリストとArcというバンドの合体です。Arcはデッカにこれまた名盤の「Arc...At This」を一枚残してBell + Arcとして再出発してしまったので、この「Bell + Arc」が彼等にとっては二枚目のアルバムという位置付けになるのかもしれない。でも、圧倒的にグラハム・ベルの歌のインパクトが強烈で、Arcが完全にバックバンド化してしまっているというのは融合した理由も分かるってもんです。Arcの線の細い歌声による英国ロックも好きだったんだけどね。まぁ、グラハム・ベルみたいなボーカルが来たら取り憑かれてしまうだろうな。

 音は割とスタンダードなロック。ハードロックというにはハード過ぎないし、もちろんフォークロックでもなくってポップさは持っているけどちょっとロック色が強い。ピアノもギターもベースもドラムもそれぞれがバランス良く自己主張しているバンドの姿で、これもArcというバンドの人柄を物語っているようだ。優しい音作りのサウンドで、繊細で湿っぽいし(笑)。一方のグラハム・ベルの歌唱力も相当のもので、バンドが違ったら相当歴史に残る歌い手だったんじゃなかろうか。これ聴いてつまらないと思う人は多分英国ロック向いてないんじゃない?っていう感じの歌声だからさ。ま、しつこいけど(笑)。

 ん~、YouTubeには見当たらないんだねぇ…。まぁ、アマゾンでCD買えるだけ立派なモンだが。Arcの「Arc...At This」と共に好ましい~ロックの音です♪

Steel Mill - Green Eyed God

 割と事ある毎にドイツ人と日本人の感性が似ているんじゃないかと思うことがある。まぁ、職人気質な所とかもそうだけど、音楽的な好みというのもそんな傾向があったりするような感じでさ。もちろん全部じゃないけど。そういえばビートルズだって若い頃はハンブルグで武者修行をしていたくらいだからドイツってのは何かと魅惑のある国なんだと勝手に思ってるんだけど…。ドイツを制するものは世界に進出できる、みたいなさ。Zeppelinなんかもそうだし、結構ドイツ制覇してから出てくるバンドってあるんじゃないかな。

Green Eyed God グリーン・アイド・ゴッド(紙ジャケット仕様)

 Steel Millというイギリス人によるバンドがその昔に存在していて、そんなドイツでの武者修行からなのか何故か1971年にドイツのベラモフォンレーベルというところからアルバム「Green Eyed God」をリリースしたバンドがあってですね…、その後1975年に逆輸入バンド的に英国でその「Green Eyed God」がリリースされたらしいんだけどさ、その間の4年間ってSteel Millは英国からドイツに出て売れているバンド…とまではいかなかったけど、それなりの評価があったから英国盤がリリースされたのかもしれない。または、その間にそんなバンドがあるってことで非常に珍しがられた人気の上でのリリースだったのか、英国としては自国のバンドのアルバムを余所の国でしかリリースされていないという事実を許せなかったのか(笑)。いやいや…。

 そのSteel Millの「Green Eyed God」なんだが、自分的には随分と前にカウンターフィット盤を手に入れまして散々聴いてたので結構思い入れあるなぁ。オリジナルなんて見ることはなかったけど、とにかく最初の曲のギターリフがとてつもなくダサくてかっこよくてさ。速攻でギターコピーしてたもんな。それくらい簡単でインパクトのあるリフなんだが、アルバム全体としても紛れもなく英国風の品位に包まれたアルバムです。ゴツゴツしないで優しく、上品にそしてまろやかに…、出てくる音は全然違うけどGnidrologみたいな雰囲気があってね、技術力のなさもB級で心地良い。音そのものは基本的に線の細いギターを中心としたハードロック風味のスカスカな音で、歌はこれもまた線の細い特徴がなくて頼りなさ気な声でして(笑)。特筆すべきところがあまり見当たらない英国ロックサウンドとしか言いようのない世界だけど、何度聴いても飽きない深さ。これ、一体何なんだろう?別に激しいってワケじゃなくてプログレってモンでもないし、でも何か心地良い。不思議だ。

 あまりレビューされていないみたいだけど、CDは一応出ていたらしく多分再発もあまりないんだろうけど、機会あったら聴いてみてほしいな。ま、最初からコレだと疑われるからある程度英国ロックを聴いた後に聴くとよろしいかと。かっこよく書けばさ、ブラック・サバスから暗黒を抜いたような音とも言えるんだけど…、いやかっこよくないか(笑)。



Strife - Rush

 早いモノで既に12月の半ば…あと少しで今年が終わってしまうじゃないかと言うことに遅まきながら気付くのだが、何と今年は英国B級類を改めて聴き直して漁り続けて久々に英国漬けの日々を過ごしたのだった。それが多分半年くらい続いていたのでこのブログ記事もほとんどそんなので占められていたような気がする。まぁ、それはそれで良いんだけど、ここはホントは別に英国だけではなく自分で聴いた音をあれこれ書き連ねるってな所でして…うん、別に英国だけではないです(笑)。今年内に今の英国路線片付くかな…と少々不安なのだが、まぁ、考えずに進めよう。

Rush Rockin' the Boat

 1975年にリリースされたストライフというバンドのファーストアルバム「Rush」です。ファーストアルバムと言うからにはきちんと1978年にセカンドアルバムがリリースされたという珍しいパターン(笑)。いやぁ、そんなに凄いバンドとは思えないけど、結構無理したのかね。それは置いといて、このファースト「Rush」だが…と言うかストライフというバンド自体がよくわからない。トリオ編成のバンドでこの後もNWOBHMシーンに貢献するメンバーもいるらしいのだが、あまり出てこないので追求してないし…。一発モノとして聴いてみても面白い音だからいいんじゃないかと。

 確かに後にヘヴィな影響を及ぼすような楽曲がいくつも聴けるので、そういう話には納得する。どれもこれもBudgieみたいに一辺倒な迫力と白熱が感じられるし、チープな音質で録音されているからかそのひたむきさがナマで伝わってくるというのも狙ってはいなかっただろうけど、効果抜群。本来は多分叙情性をも持ち合わせたバンドで、もちろん断片は「Rush」でも聴けるんだけど、基本的にはグイグイと攻め立てるこれぞハードロックというような曲が多い。1975年という中途半端な時期にシーンに出てきたことで正統な評価がなかなか下されないが後数年早ければかなり評判の高いバンドだっただろう。

 何ともセンスを感じられないアルバムジャケットについては実はヒプノシスのデザインによるもので、このジャケットにセンスを感じないのは日本人だからなのか、世界中の人が思っているのかはわからないが、絵と写真を巧く組み立てたデザインで、技巧的にはヒプノシス的なものだがやっぱりヒネりがちょっと足りないのでは?と思ってしまうものだね。そんなマイナスイメージもあってイマイチ浸透しないストライフというバンド。悪くはない、悪くはないが…人生損するほどのものでもないのは確かか(笑)。

 驚くことにその頃のライブ盤「Rockin' the Boat」なんてのがリリースされているようでアマゾンにあった。びっくりしたなぁ…、でもやっぱり迫力ありそうなのでちと興味深いね。

Deep Feeling - Deep Feeling

 ハードロックバンドだとばかり思っていたのがその実多彩なアプローチを試みるバンドだったり、またその逆もあったりする70年代のロックだが、それと言うのも一つのバンドがひとつのカテゴリに属する音をやっていることはあまりなく、皆が皆多様なアプローチを試みているものだ。しかし、それでも傾向というのは出てくるので、それによってカテゴライズされることが多いんだな。でも、やっぱり自分の印象と異なるカテゴライズってのはあるワケで…。

ディープ・フィーリング

 1971年にDJMというポップなカラーを放つレーベルからリリースされたDeep Feelingというバンドの唯一のアルバム「ディープ・フィーリング」。その他にシングルが何枚かリリースされていたらしく、そちらは今のところ未入手。ボーナストラック付きCDとかリリースされているならば手に入るのかもしれないけど、よくわからん。少なくともアマゾンにありそうなのにはそういうCDはなかったみたいだけど。

 そもそもこれも入手するのに相当手間取って、アナログでは絶対に見つからなかったし、CD時代になってからも日本で一回出たくらいなのかな?そこからは知らないけど、あんまり再発されていないんじゃないかな。まぁ、そんなに人気があるものじゃないだろうし、知られているワケでもないだろうから普通の扱いなんだけど、昔何かの本でこれを見かけてから気になっててさ。その時の印象がハードロックだったんで、今でもそういう印象が残ってるんだけど、聴いてみるとかなり異なるのも面白い。

 どんなんか、ってぇと…、いや、美しいコーラスワークに於けるポップなメロディラインとオルガンやベースラインがメロディアスに引き立つ洗練されたロックで、ハードじゃなくてソフトに優しく聴かせてくれる音と品の良いサウンドが売りでしょ。楽曲自体もしつこくなくかなりレベルの高いアプローチですんなり聴かせてくれるし、アコギの音色やオルガンや鍵盤類の自然な音も美しい。空間音ですら洗練されている感じがするものだ。決してハードロックではないけど、ジャケットの印象をそのまま引きずったイメージがハードロックなのかね。その「ギロチン」っつう曲は9分にも及ぶ代物で、その恐怖と状況をしっかりと描いているホラーソング(笑)。

 ちょろっと調べなおしてみると、Deep Feelingというバンドはバンドと言うよりはセッションマンによるひとつのプロジェクトだったらしく、それにしては質が良く出来上がっているのでアルバムまでリリースしたというものらしい。全くリスナーを困らせるというか覆面アイドルみたいなモンだけど、それでもこの「ディープ・フィーリング」みたいな良質な作品が創られて残されていることは大したモノだ。

Daemon - The Entrance To Hell

 ジェフ・ベックと組んでいたコージー・パウエルですら自分のバンドで活動しようと思った時には先日のBedlamのようなサウンドが自然に出てきてしまうワケで、如何に英国のロック好きの連中が自然にロックを奏でるとこうなるか、というのが多分指向性はあるが、英国ハードロックの姿なんだろうと思う。自然にああなる、っていうのがね。それを好んで受け入れる人達が多いってのは感性の話だから不思議なんだけど(笑)…。さて、そんなことでまたしてもちょっとハードロックに目覚めてみました…。

Entrance to Hell バレットプルーフ

 かなりニッチかもしれないんだが、Daemonっつうバンドの「Entrance to Hell」という作品集。もっとも1970年から71年頃に存在したバンドの後発掘作品なので当時はリリースされていないものだ。何かと言うと、あちこちで書かれていて自分も知らなかったんだけど、Quatermassが解散してメンバー分裂の末にHard Stuffというバンドが結成されたという流れの中で、実はその隙間がありました、というのが本バンドのこの作品「Entrance to Hell」なのでした。最初はDeamonっつうバンド=アル・ショウというボーカリストが参加していたHard Stuffなワケだ。だから楽曲が結構ダブるんだけど、相当洗練されたハードロックで面白い音が収録されてます。

 やっぱりギターとベースとドラムと歌によるハードロックは快活でよろしい♪ いささか凝ったリフをアチコチに持ってきてリスナーの耳を惹き付けたりさ、メロディにしてもこれぞ英国、と言わんばかりの覚えにくい旋律だったり(笑)、アレンジにしても今できることはほとんどやってます、みたいに詰め込んでいるのも心地良くてね…。当時未発表というのが勿体ないくらいの作品のレベルの高さはそのままHard Stuffで使用される楽曲群で聴ける。個人的には何故かこちらのDeamonの方が生々しいハードロックで好みかな。Hard Stuffはちょっと落ち着いてしまったというのか…、いや、Deamonの方が荒削りに聞こえるから良いのだと思う。

 「Entrance to Hell」はジャケットだけがちょっといい加減的な仕事で残念だけど、音はとんでもなく迫力あってクリアーで、あの頃のハードロック好きには無茶苦茶面白いアルバム。



Bedlam - Bedlam

 ちょっとハードな音世界に行き着いたので、またまた英国のハードロックを語ってみよう~。大丈夫です、皆が知ってるコージー・パウエルが在籍…というか組んだリーダーバンドでもあったBedlamです。このベドラム以前のコージー・パウエルはもちろんジェフ・ベック・グループに参加していて、それが解散してから組んだバンドがBelamなのですな。まぁ、その筋を追いかけていた人には知られているだろうしネットで調べても結構引っ掛かるからコージー・パウエル関連として知られているだけあってよろしい。

Bedlam Live in London 1973

 アルバムリリースは1973年となったBedlamの「Bedlam」。ジャケットからして気合いの入ったハードロック的なイメージを持てるでしょ?もしかしたらメタル的な音が聴けるんじゃないかと思うようなジャケットは好みではないけど、かなり好印象だね。そんでもって中身…、これが驚くことに実に秀逸な英国ハードロックの音世界でしてね…、GunやThree Man Armyともヒケを取らないくらいにソリッドでタイトな英国ハードロックですよ。コージー・パウエルからBedlamに雪崩れ込んでしまった人にはThree Man Armyなんかをお薦めするし、逆に英国ハードからBedlamに辿り着いた人は恐らくコージー・パウエルを意識しないで聴けてしまえるくらいB級の色が漂った作品です(笑)。


 いや、それは楽曲とか演奏とかに関して、という意味でして…、ドラミングは正直言ってとんでもなくシャープで鋭いセンスが炸裂しまくってまして、そんな風に普通叩かないだろ?っていうくらいにとんがったドラムが聴けます。曲の全てがコージー・パウエルのドラムで引き締まって鋭角に聞こえてしまうんだから個性的。だが、楽曲そのものの印象を変えることまではできなかったようだ…。おっと…、このBedlamの「Bedlam」は驚くことにプロデューサーにあのフェリックス・パッパラルディを配しているので、音は洗練されているし、クリームやマウンテンと同じくビッグなバンドになるはずだったのだ…。が…?

 そういうコージー・パウエルのリーダーバンドという事実はともかく、英国ハードロックの世界として1973年にリリースされたアルバムとして聴くと実に良質で英国感を味わえる秀作なので、ニッチな人達には愛されるアルバムの音です。自分も好きだもん、こういうの。コージー・パウエル云々じゃなくて英国ハードロック好きとして凄いから。もうちょっとエグさを出してもよかったんじゃないかなと思うけど、それはコージー・パウエルがやってるから良いのかな。そして、レーベルからの支持も得られずに翌年には解散して、こんどはハマーを結成するコージー・パウエル…。

 今となっては驚くことに1973年のライブ盤「Live in London 1973」やベスト盤「Anthology」まで出ているという人気ぶりで、ライブ盤「Live in London 1973」なんかはまだ聴いてないけど面白いかもしれないな。しかし、こういう音やるんだったら是非ポール・ロジャースあたりとのバンドも聴いてみたかったものだ…。



Marsupilami - Arena

 ちょっと勢い余って聴いてみたアルバムがあったので今回はそいつを。もちろん英国ロックの世界なのですけどね…、いやぁ、VDGGやRaw Materialを書いている時に進めばよかったのに失念してましたので、唐突にここで登場させてしまってます(笑)。こういう音って好きなんだよ、本質的に、っていうバンドの作品で、この辺わかってる人は好みの傾向を理解してくれることでしょう…、うん、やっぱハードなのが面白いんですよ、音の世界って。

Arena Marsupilami

 マルスピラミの「Arena」という1971年の作品。古代ローマをモチーフにして云々と色々と書かれていて、まぁ、古代ローマのイメージなんてよくわからんわな…ってのと、ジャケットがその模倣もあってイマイチ美しさとは無縁のジャケットだったので食指が動かなかったのだ。そういう勘違いが大きな後悔の一つの要因となることは重々承知しているものなんだけど、しょうがないよな、食指が伸びないってのは(笑)。

 で、結局後悔です(笑)。いやぁ、なので、是非このヘンの…、VDGGやRaw MaterialやGnidrologなんてのが好きな人は聴いてみた方が良いでしょう。ああいうわけの分からないインパクトを持っていて、且つヤケにテクニックはあるじゃないか、みたいな感じでして、もちろん楽曲はテーマから導かれていくヘンなものが多いのでプログレと言えばプログレだけど、そこまで緻密に計算されてはいない。勢いの所もある感じでさ、その分フルートのヘンな入り方とかメロトロンの洪水の使い方とかちょっとズレている部分もあるので楽しめる。ただし、ファズの入ったギターのセンスが相当独特のテクニックで、良いかも。歌がちょっとイケてないけど、まぁ、このバックの音なので問題ないか。

 聴いてアルバム見ててふと気付いたのがプロデューサーにあのキャメルのピーター・バーデンスが配されているのだった。う~ん、音的にはピーター・バーデンスのセンスが反映されているようには思えないので、話題だけの話なのかな…それともバンドのインパクトはプロデュースできなかったって?いやいや、きっと凄いところ…例えばオルガンだらけの曲で指示を出していたとかあるのかもしれない。そうやって聴くとオルガンハードなところもあるもん。

 しかし…暑苦しい音(笑)。その暑苦しさがベタで人の心を擽ります。好きですねぇ~こういうの。



Shaftsbury - The Lull Before The Storm

SHAFTSBURY

 毎度のことだが何故ここに転がっているのだろう?と思うアルバムに出会うことが家の中で起こる。はて?と調べてみてわかるものなら良いんだけど、ほとんど情報が出てこないような作品っつうのは困る。聴いてみて音を楽しむだけなら良いんだけど、どういういきさつのバンドで、誰かのどこかに関係があるのだろうか?とかちょっと深堀して確認しようと思ってもわからない事もあって…。音だけで良いんだけどね、ホントは。何故かあれこれ調べたくなるからしょうがない。

 そんなバンドのひとつだったSHAFTSBURYというバンドの1979年のデビューアルバム「The Lull Before The Storm 」。バンド自体は70年頃に結成していたらしいから苦節何年ってヤツだ。どこかの何かで見かけて手に入れたんだと思うけど、音を聴いているとどうにもプログレからすっかりと洗練されたちょっとハードだけどポップな音を出した作品でして…、時代が時代だからプログレってもちょっと違うしさ。確かにテクニックは結構しっかりしてるし細かいワザも持ってる。でも曲がどうにも中途半端にポップで…、好みではない。ただ、良くできてる。そんなのもアリかな、と思えるから。

 アルバム全曲で6曲、最後のアルバムタイトル曲「The Lull Before The Storm 」だけ13分程度であとは5分前後。時代的には限界だろうけど、なんでまたこんな中途半端な音で出てきたのかが不思議。さらに自分の手元にあるのもやっぱり不思議だが…。ジャケットに釣られたワケでもないし…う~ん(笑)。

 すると古い本が出てきた。これか…、それで入手したのかということが判明。多分何となく記憶していた見つけたから手に入れたのだろう。聴いた記憶すらないアルバムだったからちょっとビックリしたが、間違いなく英国のユーモアセンスを持ったバンドだな。SHAFTSBURYか…。

Gryphon - Red Queen to Gryphon Three

 静かめのサウンドで…なんてライブラリをずらりと見ているとふと、「これでいいや」というジャケットに目が留まった(笑)。最近更新されていないブログの主さんがプログレはここから入った、というこれもまた実に珍しい人だとは思うのだが、グリフォンです。過去にも何枚か取り上げているので今回は1974年にリリースされた三枚目「Red Queen to Gryphon Three」です。多分グリフォンの歴史の中では最高傑作に挙げられる一枚だろうね。

Red Queen to Gryphon Three Midnight Mushrumps

 「Red Queen to Gryphon Three」…、邦題「女王失格」とのことで…、なんか中身の高貴さと邦題のアンバランスさがちょっとよく理解できないのだが(笑)、まぁ、そこは置いといて…、昔聴いた時はもっと大人しくて古楽器ばかりの印象だったんだけど改めて久々に聴いてみると、凄くロックだったんだということに気付いた。プログレっつうか…、中世音楽って言われているし、実際にそうなんだろうけど、これが中世音楽ってモンなのだろうか?まぁ、現代音楽ではないのだが…。クラシックに近いけど、そんなに厳かでもないし、喜劇のBGMだったり悲劇のBGMだったりするような印象なので、劇音楽ってな感じだろうか。情景から音が思い付いている、というような音。音を聴いていると情景が何となく浮かぶ。だって「Red Queen to Gryphon Three」は全部インストモノだから歌詞ないし。だから全部想像の世界。面白い試みだよね。それでいてロックの世界でアルバムが紹介されていくし、今でもリマスターされたり再リリースされたりするし、文化の一端を担っているワケだ。

 簡単に言うと物語の情景に併せて音楽が作られているから固定的なリズムだとか旋律だとか言うモノがほとんど存在しない。情景に併せてリズムも旋律も変化していくし、コード進行だって同じ曲でメジャーマイナー入れ替わって雰囲気を作っているし、そういうのを繰り返して演奏しているメンバーも凄いけど、元が国立音楽院出身者達なので手法は完全にクラシック的なんだろう。そんなのを4曲作ってアルバムに入れているってなもんで、どれも10分程度の大作だから聴いていると面白い。疲れるんじゃなくて聴き応えがあるし一曲を聴いている気がしないくらい多彩だから楽しい。そう思えるのも不思議だが…。

 唐突にグリフォンの「Red Queen to Gryphon Three」なんてのを聴くとさ、やっぱりホンモノの音楽家さん達って凄いんだな、と感じてしまう。ロックだぜ~ってのとは違うしさ…。ただ、まぁ、面白さっていう面では色々あるからね。たまにはこんなのも良いでしょ♪



Fantasy - Paint A Picture

 昔アナログを漁っていた時にどうしても手に入れたかった一枚をタイミングも良いのでここで…。何とかアルバムガイドなんかで紹介されていて、その時にアルバムジャケットを見て、かなり欲しくなったので探したんだけどオリジナルなんてもちろん見ることなくてね。確かカウンターフィットではなくって何かの再発アナログ盤を買ったのかな。一応ダブルジャケットでさ。もうそれで良いや…って思ってたんだけどさ。

ペイント・ア・ピクチャー

 バンド名がこれまたそそられるもので…ファンタジーってんだよ。Fantasy。1973年リリースのアルバム「ペイント・ア・ピクチャー」がさ、バンド名とジャケットと英国的な想像を豊かにしてくれて、気に入ってたもん。実際に音を聴いてみると何となくもっとファンタジックで起伏に富んだ壮大なスケールのバンドかと思ってたんだけど、全然逆でして、フォークタッチが中心のメルヘンチックな軽い感じの音がメインでして、なかなかマッチしない音だなぁ~なんて思ってた。もちろんそれでも何回も聴いてたけどね。

 しばらく聴かない期間があったけどやはりちょくちょくと聴いてて、こないだも久々に聴いてみて…、この優しさっていいなぁ…と、Fantasyというバンド名とアルバムジャケットとアルバム名「ペイント・ア・ピクチャー」がピタリとマッチしたんだよ。あぁ、ようやくわかってきたかな、自分、みたいな(笑)。今じゃ未発表集のCDが出たり、この「ペイント・ア・ピクチャー」でもボーナストラック付きでリリースされたりしてるからそんなに考えることもないんだろうけど、手に入らない時期に目覚めた自分的にはそんな印象。

 簡単に音だけで言えばどこかBJHみたいな盛り上がりと叙情性を持ったバンドで、ギターはやたらと雰囲気を作るソロが巧いし、フォークギターでも基本楽曲構築を行うというもので、プログレっつうか…フォークと鍵盤を合わせたら良い感じの雰囲気が出来ましたっつうような感じかね。それを良質な印象で包んでコーラスを入れたものってトコ。決してメジャーな感性での作品じゃないけど、ま、好きなので(笑)。



Sally Oldfield - Water Bearer

ウォーター・ベアラー(水の精) セレブレーション(紙ジャケット仕様)

 ご存じMike Oldfieldのお姉様のSally Oldfield。19歳の時にサリアンジーでデビューしていたワケだからそこから1978年に最初のソロアルバムをリリースするまでの10年程度の期間が空いていたのだが、何が彼女をそうさせたのか無事に…と言うか、とんでもなく素晴らしいクォリティでのアルバムリリースに漕ぎ着けたところは凄い。その合間に有名なコーラスワークとしてSteve Hackettの「Voyage of the Acolyte」の最後にコーラス参加しているというものはあるけど、他にはそれほど目立たないし、弟君の作品に登場しているワケでもないようだし。まぁ、それでもアルバム一枚をほいっとリリースできちゃうのだからコネが強いのか才能なのか…。

 そしてそのアルバム「ウォーター・ベアラー」なんだけどね、まずジャケットが素晴らしいんですよ。滝の下の泉に佇む白いドレスの女性…、なんか幻想的ですよこれは。んで、アルバム自体は「指輪物語」にインスパイアされた組曲を収録しているということで、ほほ~ぉ…と期待するのです。そして針を落としてみるとさざ波の音から始まり軽やかにロックの世界ではあまり聴き慣れないマリンバなんかの音がしてくる…どっちかっつうとドラムとかエレキギターとかの音がないのでちょっと驚きつつも、このフォークな感触は好みの世界なのでワクワクしてくるしね。聴いているとこの人絶対アイリッシュの血がいっぱい入ってる…ってことに気付く。そういうメロディや資質がそこかしこに出てくるもんね。

 さて、その組曲なんだが…、全く組曲としか言えないのだけど、どれもこれも柔らかく優しく…、他の女性アーティストや歌姫と大きく異なるところはですね、サリー・オールドフィールドという女性はこのアルバムのほぼ全ての楽器を自分で演奏しているということでして、弟君と同じくとんでもないことやるんだな~というモンなんだけど、そのせいなのかどれもこれも非常に女性的な繊細さやアプローチやまろやかさなどがにじみ出ていて粗雑で粗野な男性的な部分が全く見当たらない。だから作品そのものが女性という個人的な代物になっているんだな。そういうのって他にはないからさ、ちょっと変わった感触で聴ける音世界。

 「ウォーター・ベアラー」の音そのものはフォークというかアイルランドフォークというか時代が1978年というのもあってちょっとケイト・ブッシュ的と言うのか浮遊したサウンド。よくプログレコーナーにあったりするのが可哀相でね。リラクゼーションとかフォークとかそんな感じの音だから。心地良いね。ただ、聴いた曲が側から流れていってしまうのでそういうところはどうなのか、とは思うが(笑)。

Sallyangie - Children of the Sun

 マイク・オールドフィールドってもちろんあの「チューブラー・ベルズ」でのヒット以降はメジャーなミュージシャンとして歩むのだが、それ以前からシーンには顔を出していた天才ミュージシャンでもあったんだよな。Kevin Ayersのバンドでのベーシスト参加は二作で終わってしまったけど、その前には実姉のサリー・オールドフィールドとのデュオ作品に参加していたことも有名な話…。

Children of the Sun チューブラー・ベルズ<2009年ヴァージョン>

 1968年にリリースされたサリアンジーの「Children of the Sun」ではMike Oldfield 15歳、Sally Oldfield 19歳かな?何にしてもこの年齢で自作曲で出てくるって、多分とんでもない話だろう、と思う。そんな天才肌の姉弟だったワケで、その後どちらも成功を収めていくのはある意味当然だったのかもしれないとすら思う。

 さて、このサリアンジーの「Children of the Sun」だが、同時代の似たようなアーティストで言えばDavid Bowieの最初期の作品に似た感性を聴けるかもしれない。トラッドに根ざさないファンタジーな感性を持ってアコースティックギターで奏でる感性…、この辺りのルーツってのは一体何なんだろう?と最近違う側面からもぶつかっているテーマでして(笑)、12弦ギターを掻き鳴らしただけでは出てこないし、かと言ってトラッドやアイリッシュというルーツには根ざしていない…、全くのオリジナルな感性で奏でて展開していくこの音こそミュージシャンのオリジナリティなのかもしれない。

 さて、サリアンジーではもちろん姉のサリー・オールドフィールドの歌がメインなのだが、これがまた浮遊した天使の歌声でとんでもなく可愛らしい歌声なのだ。まぁ、萌え系と言っても良いだろう、今の言葉なら。そこで彼女は実に色々な歌唱法を試していて、可愛い声からちょっとドスを効かせたような声など歌の可能性を広げている。弟のマイク・オールドフィールドの方はこれと言って素晴らしい個性を発揮してはいないけど15歳にしてこんなスタンダードなサウンドを奏でているのかと思うと驚くばかり。

 多分この辺りの時代にしか存在できなかった美しいアコースティックで奏でられるフォーキーな世界、その代表的な一枚がサリアンジーの「Children of the Sun」だから、いつも耳にしてほっとする一枚です。



Kevin Ayers - Shooting At The Moon

 勝手な解釈なんだけど、シド・バレットとケヴィン・エアーズってセンスが似てるというのか同じ香りがするというのか…、一方は向こうの世界に行ってしまったけど一方は脳天気に同じような世界を披露しているというのか…。まぁ、印象だけなのでどこがどうというモンじゃないんで、多分ファンからしたら一緒にしないでくれというのもあるのかもしれない…。

Shooting at the Moon Whatevershebringswesing
Kevin Ayers And The Whole World - Shooting At the MoonShooting At The Moon

 そんなケヴィン・エアーズのソロセカンドアルバム「Shooting at the Moon」が1971年にリリースされているが、この時はバンドThe Whole World名義でのリリース。もちろんメンツは今となっては豪華なものでしてね、David BedfordにMike Oldfield、Lol Coxhill、Mick Fincherという面々に加えて何とBridget St Johnがゲスト参加、もちろんソフツの面々もサポートというような代物で、カンタベリー一派によるものなんだけど、ケヴィン・エアーズの場合はちょっとズレているのでカンタベリーの技巧派のあの音ではない。が、この「Shooting at the Moon」という作品はケヴィン・エアーズの中ではかなりアヴァンギャルド且つポップな作品であることは間違いないかな。それでもこれだけ聴きやすいポップなんだから凄いわ。

 そして才能が思い切り光っているのがこの頃多分10代だったと思われるMike Oldfield。もちろんソロデビュー前のセッション参加で、ここではベース弾いてるんだけどね、冒頭の超名曲でのある「Kevin Ayers And The Whole World - Shooting At the Moon - May I?May I」からしもベースラインが思い切り歌っているという天賦の才能をフルに出したセンス抜群のベースラインを聴かせてくれてます。これこそが曲の骨格を成すというようなベースラインを紡ぎ出しているんだから凄い。更に「Kevin Ayers And The Whole World - Shooting At the MoonLunatic Lament」っつう曲ではギターを弾いていて、そのギターソロがエキセントリックかつかなりクレイジーな音で弾きまくっていて、ぶっ飛ぶ。一体このMike Oldfieldって何者なんだ?と当時聴いていた人なら思ったに違いない。ケヴィン・エアーズの歌よりも全然目立ったアグレッシブなプレイがそこかしこで聴けてしまうというMike Oldfieldの裏ソロ作とも言えるかも。

 まぁ、アバンギャルド、っていうのは言い方なんだけど、「Shooting at the Moon」で聴けるアバンギャルド性って、明るくてハチャメチャな感じだからドイツのプログレとかとは違ってて、英国のお茶目なお遊びという感じなんだよね。それもセンスなんだが…、あまり気にしないで普通にヘンなポップとして聴いていればいいんじゃないかと。まぁ、ところどころかなりヘンにはなるんだが(笑)。

 そしてこのアルバムの魅力は更にあって、英国フォークの女王という異名まで取っていたBridget St Johnという女性がB面一曲目「Kevin Ayers And The Whole World - Shooting At the MoonThe Oyster And Flying Fish」で参加しているところも不思議。曲自体もね、相当面白くてケヴィン・エアーズ独特のポップなメロディで「Urah Urah」と歌われるんだけど、ほぼユニゾンで二人で歌っている。こんなのをBridget St Johnが歌うのが面白い。そしてその歌声はケヴィン・エアーズの浮遊する歌い方とは対照的に地に着いた重みのある歌声。う~ん良い曲だ。

 更にこれこそアヴァンギャルドポップスとも言うべきアルバムタイトル曲「Shooting at the Moon」なのだが、題名通り月を射つ、ってなもんで終盤まであくまでもポップ的に盛り上がりを見せてくれ、ここでもMike Oldfield大活躍なんだけど、テンション高い演奏が続いて最後の最後には正に月が爆発する音、ってのが入ってて面白い。というかこの発想ってユニークだよね。こういうセンスがシド・バレットとは角度が違うけどセンスが似ているというのか…ね。ってなことで実に楽しく明るくなってくるケヴィン・エアーズの作品の中でも名盤の域に入る傑作「Shooting at the Moon」です。



Syd Barrett - The Madcap Laughs

 「ロック史においては重要な存在だろうけど、俺たちにとっては厄介な存在だった」とはロジャー・ウォーターズの弁。言い得て妙であろうと思う。ここまで厄介な存在になってしまったシド・バレットという友人をどうしてよいのか非常に悩ましかったことだろう。残念ながら一昨年に60歳で逝去してしまったのだが、その時既に肉体と魂は切り離された存在だったことはシド・バレットという名前を知っている人にとっては久々に聞いた生々しいニュースだったことだろう。

帽子が笑う不気味に その名はバレット
Syd Barrett - The Madcap Laughs The Madcap Laughs

 1970年にリリースされた最初のソロアルバム「帽子が笑う不気味に」。アルバムジャケットはヒプノシスのデザインによるもので、写真撮影はロック写真家として有名なミック・ロック。これ、当時シド・バレットが住んでいたフラットの部屋の写真で、実際はピンクと黒に塗り分けてあったらしい。しかもミック・ロックが撮影に来ると聞いてシド・バレットが自分で突如として床を塗り分けたらいいから、実にアートセンスに長けた面々が揃ったアートワークなのだ。

 さて、背景は多々知られているのでそこらを漁ってもらうとして…、あまり詳しく書かれたブログ記事やウェブでの記事って多くなくって、ほとんどがシド・バレットの存在についてだったりイメージだったりピンク・フロイドとの云々になってしまっているので、ちょっと突っ込んだことを調べるのに手間取ってしまった「帽子が笑う不気味に」。まぁ、別にそんなに突っ込む気もなかったんだけど…。ただね、やっぱりシド・バレットの「帽子が笑う不気味に」って自分的にも恐らく多くのロックファン的にもかなり特異で異彩を放っている存在で、中身の音がどうのとか言うレベルじゃないんだよね。だから迂闊に書けないなぁ…って久々に思った。あんまりそういうのないんだけど、「帽子が笑う不気味に」はちょっと別。

 とある友人がこのアルバムを総評して一言「本当の狂ってしまった人の音楽と狂気を演じている音とは全く違っていて、本当に狂ってしまった人の作品は表面には出てこない危うさを被っていて一見普通に聞こえるものだ。」と言っていた。

 「帽子が笑う不気味に」を知識無しに聴いてみたら凄くアシッドフォーク的で良いアルバム、と思う人もいるだろうし、受け付けない人もいるだろう。ただ、本能的に何か違う、と感じるのでは?それがこのアルバムの持つシド・バレットという人間の本質だろうと思う。

 いやぁ、やっぱ書いてると他のサイトと同じく存在や背景についてになってしまうので、そろそろ中身について…。うん、「帽子が笑う不気味に」のバックはソフト・マシーンだ、と言われていてソフツ好きな人間からするとやはりというような満足感はあるんだけど実際にはアルバムの2曲目と3曲目のみのバックでマイク・ラトリッジ、ヒュー・ホッパー、ロバート・ワイアットがプレイしている。さすがにアルバム中ではこの二曲のアレンジがかなり浮いている。シド・バレットの歌唱力というか存在感がアルバムを統一しているから問題ないけど、バックの音を聴いているとかなり異質な音色ですね。さすがソフツ。その他の曲はロジャー・ウォーターズとデヴィッド・ギルモアが基本サポートしているので、確かにしっくりとしたプレイ。危ういギターバッキングは全部シド・バレットによるものだろうけど、最初の「Syd Barrett - The Madcap Laughs - TerrapinTerrapin」が始まった途端にゾクゾクしちゃうもんね。アコギ一本と鍵盤少々のアレンジで生々しいシド・バレットの浮遊した世界。アルバム中どの曲も基本的にこの浮遊感が漂っていて、何故かとても美しい音が聞ける。

 やっぱり辛いねぇ…この人のアルバム。何か純粋に音だけを語れないというか、一曲づつが重く響いてしまうんだよね。普通に聴けばとても聴きやすく軽い音なんだけど、自分的にはどうしても重くて…、好きなんだけどさ、ちょっとだけシド・バレットの存在していた世界をチラチラと見えてしまうから、キツイ。扉の向こう側に存在している人達の世界を表に出すとこういう音なんだろう…。



Blossom Toes - If Only for a Moment

 60年代英国のサイケデリックポップバンドの中でアルバムを数枚もリリースしたバンドってのは70年代のバンドと同じようにやっぱりそんなに多くはないようだ。一枚のみで違うバンドに発展したりまた新たなバンドになったりというようなシーンで、だから故にサイケデリックならこのバンド、という代名詞的なバンドがないのもその象徴。その点ピンク・フロイドの執念は大したもので、最初期のシド・バレットの脱退劇からミュージシャンとしてのバンドに立て直したというのは珍しいケースだったのかもしれない。

If Only for a Moment [Import] We Are Ever So Clean [Import]

 そんな中で1969年に二枚目のアルバム「If Only for a Moment」をリリースしたBlossom Toesというサイケデリックポップの申し子的バンドです。ところがファーストアルバム「We Are Ever So Clean」ではカラフルで煌びやかなサイケポップを展開していたのに、この「If Only for a Moment」では発展してしまって、もの凄くヘヴィーに粘っこいブルースに根ざした重いロックをプレイしている。まぁ、言い方を変えればサイケデリックからアシッドロックに変化したという言い方もできるんだけどね。

 それが故に非常~に最初からギターがファズギラギラで面白い。ブルースに根ざしたと言ってもブルースを奏でているワケではなくって重さのモチーフにブルースを使っているだけで実に中途半端なのは事実(笑)。いや、魅力的なんだけどさ…。なんかねぇ…これほどB級にならなくても良いのに、ってくらいにB級エッセンス全開なんだよ。もともと4人編成のバンドだからこうなってもおかしくないんだけど、あまりにも時代を反映しすぎてる。かと言ってカラフルさはないのかと言うと、結構残ってたりするので中途半端。

 プロデュースがジョルジオ・ゴメルスキーってのも怪し気な所かもしれない(笑)しマーマレードレーベルからのリリースってのも更にB級感を漂わせている…。いやいや、直後のブルースハードロックの全盛期を思うと一足早く取り組んでいたバンドという見方もできるってもんだ。悪くはないがどこを取っても中途半端な印象は否めない…。



 | HOME |  »

プロフィール

フレ

Author:フレ
物心付いた時からロックが好きでいつぞや何でも聴き漁るようになり、多趣味な生活を過ごしているロックマニア。


ロック好きの…別館リンク


ブログ検索


最新記事


カテゴリー


最新コメント


最近のトラックバック


カレンダー

11 | 2009/12 | 01
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

過去ログ+

2017年 12月 【1件】
2017年 11月 【18件】
2017年 10月 【31件】
2017年 09月 【30件】
2017年 08月 【31件】
2017年 07月 【31件】
2017年 06月 【30件】
2017年 05月 【31件】
2017年 04月 【30件】
2017年 03月 【31件】
2017年 02月 【28件】
2017年 01月 【32件】
2016年 12月 【32件】
2016年 11月 【30件】
2016年 10月 【31件】
2016年 09月 【30件】
2016年 08月 【31件】
2016年 07月 【31件】
2016年 06月 【30件】
2016年 05月 【31件】
2016年 04月 【30件】
2016年 03月 【31件】
2016年 02月 【29件】
2016年 01月 【32件】
2015年 12月 【32件】
2015年 11月 【30件】
2015年 10月 【31件】
2015年 09月 【30件】
2015年 08月 【31件】
2015年 07月 【31件】
2015年 06月 【30件】
2015年 05月 【31件】
2015年 04月 【30件】
2015年 03月 【31件】
2015年 02月 【28件】
2015年 01月 【32件】
2014年 12月 【31件】
2014年 11月 【30件】
2014年 10月 【31件】
2014年 09月 【30件】
2014年 08月 【31件】
2014年 07月 【31件】
2014年 06月 【30件】
2014年 05月 【31件】
2014年 04月 【30件】
2014年 03月 【31件】
2014年 02月 【28件】
2014年 01月 【32件】
2013年 12月 【32件】
2013年 11月 【30件】
2013年 10月 【32件】
2013年 09月 【30件】
2013年 08月 【31件】
2013年 07月 【31件】
2013年 06月 【30件】
2013年 05月 【31件】
2013年 04月 【30件】
2013年 03月 【31件】
2013年 02月 【28件】
2013年 01月 【32件】
2012年 12月 【32件】
2012年 11月 【30件】
2012年 10月 【31件】
2012年 09月 【30件】
2012年 08月 【31件】
2012年 07月 【31件】
2012年 06月 【30件】
2012年 05月 【31件】
2012年 04月 【30件】
2012年 03月 【31件】
2012年 02月 【29件】
2012年 01月 【32件】
2011年 12月 【31件】
2011年 11月 【30件】
2011年 10月 【31件】
2011年 09月 【30件】
2011年 08月 【31件】
2011年 07月 【31件】
2011年 06月 【30件】
2011年 05月 【31件】
2011年 04月 【30件】
2011年 03月 【31件】
2011年 02月 【28件】
2011年 01月 【32件】
2010年 12月 【32件】
2010年 11月 【30件】
2010年 10月 【31件】
2010年 09月 【30件】
2010年 08月 【31件】
2010年 07月 【31件】
2010年 06月 【30件】
2010年 05月 【31件】
2010年 04月 【30件】
2010年 03月 【31件】
2010年 02月 【28件】
2010年 01月 【32件】
2009年 12月 【32件】
2009年 11月 【30件】
2009年 10月 【31件】
2009年 09月 【30件】
2009年 08月 【31件】
2009年 07月 【31件】
2009年 06月 【30件】
2009年 05月 【31件】
2009年 04月 【30件】
2009年 03月 【31件】
2009年 02月 【28件】
2009年 01月 【32件】
2008年 12月 【32件】
2008年 11月 【30件】
2008年 10月 【31件】
2008年 09月 【29件】
2008年 08月 【30件】
2008年 07月 【30件】
2008年 06月 【30件】
2008年 05月 【31件】
2008年 04月 【30件】
2008年 03月 【31件】
2008年 02月 【29件】
2008年 01月 【31件】
2007年 12月 【29件】
2007年 11月 【30件】
2007年 10月 【29件】
2007年 09月 【28件】
2007年 08月 【31件】
2007年 07月 【30件】
2007年 06月 【29件】
2007年 05月 【30件】
2007年 04月 【30件】
2007年 03月 【26件】
2007年 02月 【27件】
2007年 01月 【20件】
2006年 12月 【31件】
2006年 11月 【30件】
2006年 10月 【31件】
2006年 09月 【30件】
2006年 08月 【31件】
2006年 07月 【31件】
2006年 06月 【30件】
2006年 05月 【31件】
2006年 04月 【30件】
2006年 03月 【31件】
2006年 02月 【28件】
2006年 01月 【31件】
2005年 12月 【31件】
2005年 11月 【30件】
2005年 10月 【20件】


リンク


RSSフィード


全記事表示リンク

全ての記事を表示する


QRコード

QR

Click! Click!


楽天市場
HMVジャパン

Amazon